説明

セラミックヒール

【目的】 本体柱状部を外側部が包囲する婦人靴のヒールにある。
【構成】 本体柱状部である心材(1)と化粧(4)とを合成樹脂で成形し、この合成樹脂製心材(1)の側面のほぼ全面または一部をセラミック製の外側部(3)が包囲する。
【効果】 靴または靴のヒール部分が衝撃にあっても模様を帯びている外側部も模様も損傷しないので美観を保ち、靴の他の部分が損傷しなければ化粧の交換が必要ない限り靴の継続使用が可能であって経済的である。

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
この考案は、婦人靴のヒールに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来婦人靴のヒールは木材とプラスチックとから作られてきた。即ちヒールを靴に接合するためにヒールと靴を釘で連結するので、釘が打てるように木材を使用して心材を形成し、その周りをプラスチックで包み、下面に化粧を取り付けてヒールを完成した。
【0003】
最近このヒールを皮革で包み、この皮革に任意の模様を施すことが流行している。模様は靴を一層美しく見せるために彩色され、靴購買者の好みに合うよう種々のものが描かれる。
【0004】
しかし皮革は、殊に靴のヒールに貼ったものは貼りつけた場所から言って極めて傷つき易く、折角の模様も台無しになる率が高い。この場合利用者は靴の他の部分は全然損傷していないにもかかわらずまた新品の靴を購入する。修理がきかないからである。
【0005】
【考案が解決しようとする課題】
従ってこの考案の課題は、衝撃を受けてもヒール外側面や模様が損傷しないヒールの提供にある。
【0006】
【問題を解決するための手段】
前記の課題をこの考案では、本体柱状部である心材と化粧とを合成樹脂で成形し、この合成樹脂製心材の側面のほぼ全面または一部をセラミック製の外側部が包囲することにより解決する。
【0007】
このヒールを靴に固定するための釘は合成樹脂製の心材に通される。
更に化粧とヒール本体の間にクッション材を入れることもできる。
また外側部の表面には色とりどりの任意の模様を施すことができる。模様の付設はセラミックの材料(素地)で外側部の型を造り、この外側部の表面に任意の模様を描き、彩色し、素焼きして釉薬をかけ、焼き上げて完成する。
【0008】
この考案のヒールは靴との接合面を全面が心材と同じ合成樹脂製で心材と一体に形成され、心材はヒール本体の柱状部をなしている。樹脂製心材と靴は釘または釘と接着剤で接合される。
【0009】
【実施例】
図1はこの考案の一実施例を示す分解図である。ヒール本体は柱状部である心材1と、この心材1にかぶせた恰好の、心材1の径より広い屋根状部即ち靴との接合面2とを一体成形した本体とヒールの最下面である化粧4とから成り、本体及び化粧はプラスチックで成形してある。符号3で示すものがこの考案のセラミック製外側部であって、図示のようにこのセラミック製外側部3がプラスチック製の心材1を接合面2と化粧4の間、より詳細にいうと接合面2と、外側部3を保護するために外側部と化粧4との間に挿入された弾力性薄板状のクッション材5との間で包囲している。外側部3は上面外周が心材1からはみ出した接合面2の外周と同じ大きさであり、(外側部の)下側面外周は化粧4の外周と同じ大きさである。クッション材5も同様に外側部3の下側面と同じ大きさである。
【0010】
この実施例では、セラミック製外側部3がヒールの柱状部、即ちヒールの心材1の全側面を包んでいる。即ちセラミック製外側部3はヒール上面である、靴との接合面2と下面である化粧4を除いて心材1の側面をすっぽり包囲している。
【0011】
符号6は化粧4に埋設された金属製の釘で、ヒールを組み立てるとき心材1に打ち込まれる。
組み立てられたヒールを靴に連結するときは靴の中から靴底を貫通して打たれた釘が接合面2を貫通して、ヒールの中心をなす柱状部である心材1に打ち込まれる。
【0012】
セラミック製外側部3の表面には前側面を除いて任意の模様を描いて彩色することができる。 図2はこの考案の他の実施例を示す側面図である。この実施例ではセラミック製外側部3はヒールの心材1の全側面ではなく、心材1の一部を包囲している。
即ち心材1の前側面7は心材1の径より広く横に張り出している。従って外側部3はこの前側面7を除いて心材1の残りの周面を包囲している。このように外側部3は馬蹄形であって、この外側部3を下で受け止めて安定させるために下側に靴との接合面2と対応する板状部を接合面2や心材1とは別体に成形する。
【0013】
クッション材5はこの板状部と化粧4との間に挿入される。釘6は図1の例と同様化粧4に埋設されていて、板状部とクッション材5の釘通し穴を通って心材1に打ち込まれる。
【0014】
このような構成のヒールを靴に連結する仕方は図1に示した例のものと同様である。
図1の例のヒールでも図2の例のヒールでも靴に接合するときは靴底を貫通した釘を合成樹脂製の心材1に打ち込む。この接合を一層確実にするために釘を使用した上更に接合面2と靴底の間に接着剤を用いることもできる。
【0015】
既に記載したように、セラミック製外側部3は従来のヒールの皮革に相当し、本考案のヒールにはこのセラミック製外側部3の表面に彩色模様を施すことができる。即ちセラミックの材料、つまり素地で型を造り、この型に模様を描いて素焼きして釉薬をかけて焼成して模様を描くことができる。
【0016】
【考案の効果】
この考案の構成により、靴または靴のヒール部分が衝撃にあっても模様を帯びている外側部がセラミックで形成されているために外側部も模様も損傷しないので美観を保つことができ、靴の他の部分が損傷しない限り化粧の交換を必要とするときを除き靴の継続使用が可能で、経済的である。
【図面の簡単な説明】
【図1】一実施例の分解図である。
【図2】他の実施例の分解図である。
【符号の説明】
1 心材
2 接合面
3 セラミック製外側部
4 化粧
5 クッション材
6 釘

【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】 本体柱状部を外側部が包囲する婦人靴のヒールにおいて、本体柱状部である心材(1)と化粧(4)とを合成樹脂で成形し、この合成樹脂製心材(1)の側面のほぼ全面または一部をセラミック製の外側部(3)が包囲することを特徴とするセラミックヒール。
【請求項2】 本体柱状部を外側部が包囲する婦人靴のヒールデあって、本体柱状部である心材と化粧とを合成樹脂で成形し、この合成樹脂製心材の側面のほぼ全面または一部をセラミック製の外側部が包囲した請求項1のセラミックヒールにおいて、ヒールと化粧(4)との間にセラミックを保護する弾性物質製薄板であるクッション材(5)を挟設することを特徴とするセラミックヒール。
【請求項3】 本体柱状部を外側部が包囲する婦人靴のヒールであって、本体柱状部である心材と化粧とを合成樹脂で成形し、この合成樹脂製心材の側面のほぼ全面または一部をセラミック製の外側部が包囲し、ヒールと化粧との間にセラミックを保護する弾性物質製薄板であるクッション材を挟設した請求項2のセラミックヒールにおいて、セラミック製の外側部(3)の表面に任意の模様をあしらったことを特徴とするセラミックヒール。
【請求項4】 本体柱状部を外側部が包囲する婦人靴のヒールデあって、本体柱状部である心材と化粧とを合成樹脂で成形し、この合成樹脂製心材の側面のほぼ全面または一部をセラミック製の外側部が包囲し、ヒールと化粧との間にセラミックを保護する弾性物質製薄板であるクッション材を挟設し、セラミック製の外側部の表面に任意の模様をあしらった請求項3のセラミックヒールにおいて、靴との接合を釘で行うことを特徴とするセラミックヒール。
【請求項5】 本体柱状部を外側部が包囲する婦人靴のヒールデあって、本体柱状部である心材と化粧とを合成樹脂で成形し、この合成樹脂製心材の側面のほぼ全面または一部をセラミック製の外側部が包囲し、ヒールと化粧との間にセラミックを保護する弾性物質製薄板であるクッション材を挟設し、セラミック製の外側部の表面に任意の模様をあしらった請求項3のセラミックヒールにおいて、靴との接合を釘と接着剤で行うことを特徴とするセラミックヒール。

【図1】
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【図2】
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【登録番号】第3016884号
【登録日】平成7年(1995)8月2日
【発行日】平成7年(1995)10月9日
【考案の名称】セラミックヒール
【国際特許分類】
【評価書の請求】未請求
【出願番号】実願平6−15888
【出願日】平成6年(1994)12月26日
【出願人】(592157087)