説明

セルフアンローダ船のばら物荷揚げ装置

【課題】 移動や保管に適した短尺で機能的であるばかりか、トラッカーの機能も併有する。
【解決手段】 岸壁上を走行可能な車輪111を有する機体11に垂直ベルトコンベヤ12が配置されているとともに、機体11には垂直ベルトコンベヤ12の下方に位置する搬出端の上方にシャトルコンベヤの搬出口3が接続される伸縮ホッパ13が伸縮可能に配置されている荷揚げ装置本体1と、機体11の垂直ベルトコンベヤ12の排出端122の下方に形成された空所15に挿入配置可能な岸壁上を走行可能な車輪211を有するトラックホッパー2とからなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セルフアンローダ船に積載されている木材チップ、石炭、石灰石、鉄鉱石等のばら物を岸壁に荷揚げするための荷揚げ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、木材チップ、石炭、石灰石、鉄鉱石等のばら物を運搬する貨物船において、荷卸しの効率を上げる目的で、船体に荷揚げ装置を備えたセルフアンローダ船が使用されており、船倉内に積載したばら物をシャトルコンベアから連続的に岸壁に荷揚げされる際に、岸壁において使用される荷揚げ装置が、特開平6−227677号公報、特開平11−322083号公報などに提示されている。
【0003】
これらの公報に提示されているセルフアンローダ船のばら物荷揚げ装置1は、例えば図6に示したように、岸壁B上に設置されたレールに載置された車輪を有する走行機構16によって走行可能な機体11には、水平軸17によって軸着された起伏動可能な前部コンベア18 と後部コンベア19とからなるベルトコンベア20が設けられており、セルフアンローダ船 に設置されたシャトルコンベアにより排出される積荷のばら物を、前部コンベアの先端部に取り付けられたシュートによって受入れられ、前部コンベアおよび後部コンベアによって、後部コンベアの端部下方に設けられた後背地コンベアに移送されるものである。
【0004】
ところで、この従来のセルフアンローダ船のばら物荷揚げ装置は、起伏動可能な前部コンベア18が通常のベルトコンベアであることから傾斜角度に制限があり(例えば12度の傾斜角度)、その結果、全体として長尺になるという欠点があり、特に、近頃は荷揚げしたばら物を岸壁に設置したヤードに積み付けるだけでなく、トラックホッパを用いてトラックで別の場所に移送する場合には10数メートルの高さまで移送する必要があり、通常は前部のコンベアだけでも長さが50メートルにもなり、限られた岸壁でしか使用できない場合が生じる。
【0005】
また、近頃は、従来のように岸壁の一定個所に常駐させておくことなしに移動式として荷卸しの時だけ船舶が着いた岸壁の所定位置に走行配置して使用することにより多数の荷揚げ装置を設置することによる経済的な負担を軽減しているが、岸壁を移動させることが容易でなく、また、不使用時に待機させておく場所の確保も困難であり、特に公共の埠頭にあっては特定の船舶専用の荷揚げ装置では各種の船舶に対応が困難であるという問題があった。
【特許文献1】特開平6−227677号公報
【特許文献2】特開平11−322083号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、上記のような問題点を解決しようとするものであり、移動や保管に適した短尺で機能的であるばかりか、トラッカーの機能も併有可能なセルフアンローダ船の荷揚げ装置を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するためになされた本発明は、セルフアンローダ船に積み込まれているばら物を船内に設置したシャトルコンベアから岸壁に荷揚げするためのセルフアンローダ船のばら物荷揚げ装置であって、岸壁上を走行可能な車輪を有する機体に垂直ベルトコンベヤが配置されているとともに、前記機体には垂直ベルトコンベヤの下方に位置する搬出端の上方に前記シャトルコンベヤの排出口が接続される伸縮ホッパがウィンチにより伸縮可能に配置されている荷揚げ装置本体と、前記機体の前記垂直ベルトコンベヤの排出端の下方に形成された空所に挿入配置可能な岸壁上を走行可能な車輪を有するトラックホッパーとからなることを特徴とする。
【0008】
本発明は、従来の傾斜コンベヤに代わって垂直ベルトコンベアを採用することにより全長を従来の傾斜コンベヤを用いたものの1/2程度に短縮することができ、移動が可能であるとともに保管場所も狭くて良いなどの優れた効果を発揮する。
【0009】
また、従来の荷揚げ装置に比べて排出端も船舶に接近することにより、船舶からの荷揚げ作業の全体を容易に確認することもできる。
【0010】
また、本発明において、 前記機体に前記トラックホッパーの挿入、配置位置の確認手段が設けられている場合には別体である移動式のトラックホッパーを機体の所定位置に迅速且つ確実に配置とができる。
【0011】
更に、前記車輪がタイヤであることにより、岸壁にレールを配置する必要がないばかりか、自由に走行可能でありきわめて便利で効率良い移動が可能となる。
【発明の効果】
【0012】
このように本願発明であるセルフアンローダ船の荷揚げ装置は、従来のように岸壁の一定個所に常駐させておくことなしに移動式として荷卸しの時だけ船舶が着いた岸壁の所定位置に走行配置して使用することにより、一台で複数台を設置したと同様に使用することができることからきわめて経済的に有利であり、特に、垂直ベルトコンベアを採用したことにより、短尺に形成することが可能で、設置スペースが少なくて良いばかりか機動性に富み、保管スペースもす楠なくて済む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下に、図面を参照して本発明を実施するための最良の形態を説明する。
【0014】
図1〜図5は本発明の好ましい実施の形態を示すものであり、主として、セルフアンローダ船(図示せず)に積み込まれているばら物を船内に設置したシャトルコンベアの排出口3から排出されるばら物を上方後方へ搬送するための荷揚げ装置本体1と、この荷揚げ装置本体1の後端下部に配置されるトラックホッパー2とから構成される。
【0015】
荷揚げ装置本体1は、それぞれ走行方向が可変であるとともに所定の位置で固定可能な複数の岸壁B上を走行可能なタイヤからなる車輪111を有する長尺矩形状の機体11に、垂直ベルトコンベヤ12とこの垂直ベルトコンベヤ12の前端下方に位置する搬入端121に前記シャトルコンベアの排出口3が連結される受け入れシュート13が配置されている。
【0016】
この受け入れシュート13は、前記機体1に設置したウィンチ131により駆動する昇降架台132に装着されて各船舶のシャトルコンベヤの排出口3の上下方向位置に対応可能であるとともに、全体が蛇腹状に形成されて伸縮可能であり、荷揚げに伴って変化する船舶の吃水の変動や港湾の潮位、波浪などによる船舶の上下方向の揺動に追従可能である。
【0017】
また、前記垂直ベルトコンベヤ12は、前端部121aが前記受け入れシュート13から搬出されるばら物の搬入端121部分を形成するともに、搬出端122を形成する後端部122aが前記機体11の後端上方に配置される基台112に形成した搬出口113の上方に配置されて駆動装置123aにより駆動する下側のコンベアベルト12aと、このコンベアベルト12aの上面に沿って配置されて駆動装置123bにより駆動して、前記下側のコンベアベルト12aの搬入端121部分に前記受け入れシュート13に搬入されたばら物を前記下側のコンベアベルト12aとで挟むことにより前記搬出端122に搬送する上側のコンベアベルト12bとから構成される。
【0018】
一方、荷揚げ装置本体1の後端下部に形成される空所15に配置されるトラックホッパー2は、全体が平面方形の架台状を呈しており、下端部に、それぞれ走行方向が可変であるとともに所定の位置で固定可能な複数の岸壁B上を走行可能なタイヤからなる車輪211を有する。
【0019】
また、トラックホッパー2は、上下二段の棚板状の基板212,213を有しており、上側の基板212には前記荷揚げ装置本体1の垂直ベルトコンベア12の搬出端122から排出されるばら物の投入口212aが形成されているとともに下側の基板213に形成された前記投入口212aに連通する投入口213aには駆動装置214aにより駆動される開閉式のホッパ214が配設されている。
【0020】
更に、前記トラックホッパー2の下側の基板213の下方にはトラック4の上方開口の荷台部分41を出し入れ可能な空所215が形成されている。
【0021】
尚、図面中、符号14は前記機体11に設置された前記垂直ベルトコンベア12のカバー、符号216は前記トラックホッパー2の上側の基板212の周囲に立設されたばら物の落下防止と防塵を兼ねたネットである。
【0022】
以上の構成を有する本実施の形態は、荷揚げ装置本体1およびトラックホッパー2を別々に或いは一緒に岸壁Bの所望の待機位置に保管しておき、船舶が接岸して荷揚げ作業を行うときに船舶の所定の位置に走行させて配置、固定する。
【0023】
このとき、本実施の形態は垂直ベルトコンベアを採用しているので従来の傾斜コンベアを採用したものに比較して半分以下(例えば傾斜コンベアでは傾斜角度は12度程度であり、高さ10.8mの高さまで搬送するにはほぼ50mの長さが必要であるのに対して本実施の形態ではほぼ24m程度の長さ)の長さであることから保管スペースが少なくて済むばかりか移動も容易である。
【0024】
また、本実施の形態は船舶に積載されているばら物を岸壁に野積みする場合には、荷揚げ装置本体1だけを用い、搬出端122にベルトコンベアを介して或いは直接スタッカなどを接続、配置する(図示せず)。
【0025】
一方、トラック4を用いて所望位置に移送する場合には、前記荷揚げ装置本体1の機体11における垂直ベルトコンベア12の搬出端122の下方に形成される空所15に前記待機させてあるトラックホッパー2を配置する。
【0026】
このとき、荷揚げ装置本体1とトラックホッパー2との間に備えた位置決め手段を配置しておくことにより(図示せず)、容易且つ確実に所定の位置に配設することができる。
【0027】
そして、荷揚げ装置本体1の受け入れシュート13に船舶に設置されているセルフアンローダにおけるシャトルコンベア(図示せず)の排出口3を接合する。尚、荷揚げ装置本体1の受け入れシュート13は、その高さ位置をウィンチ131により昇降架台132を昇降させて調節することにより受け入れシュート13に排出口3を接合させる。また、受け入れシュート13は蛇腹状であり、港湾の潮位や波浪に対処することができる。
【0028】
次に、駆動装置123aおよび機構123bを駆動させて垂直ベルトコンベア12を稼働させ、前記船舶のセルフアンローダを稼働させて前記排出口3から船舶に積載されているチップなどのばら物を受け入れシュート13を介して垂直ベルトコンベア12の搬入端121に投入する。
【0029】
垂直ベルトコンベア12に搬入されたばら物は、垂直ベルトコンベア12により搬出端122に搬送されてトラックホッパー2のホッパ214に投入され、駆動装置214aにより開閉してトラックホッパー2の空所215に出入りするトラック4の荷台部分41に間歇的に積載して移送する。
【0030】
尚、前記駆動装置214aは例えばトラックホッパー2の下側の基板213上に配置した運転室において目視しながら開閉操作することもできる(図示せず)。
【0031】
尚、本実施の形態ではセルフアンローダ船からの陸地への荷揚げ作業を行う場合を示したが、本荷揚げ装置は、例えば垂直ベルトコンベア12の排出端122を船内に配置することにより、荷積み装置として使用することができなど多くの用途に使用することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の好ましい実施の形態における側面図。
【図2】図1のA−A線に沿う断面図。
【図3】図1のC−C線に沿う断面図。
【図4】図1に示した実施の形態の正面図。
【図5】図4の平面図。
【図6】従来例を示す側面図。
【符号の説明】
【0033】
1 荷揚げ装置本体、2 トラックホッパー、3 搬出口、11 機体、12 垂直ベルトコンベヤ、13 伸縮ホッパ、15 空所、111,211 車輪、121 搬入端、122 排出端


【特許請求の範囲】
【請求項1】
セルフアンローダ船に積み込まれているばら物を船内に設置したシャトルコンベアから岸壁に荷揚げするためのセルフアンローダ船のばら物荷揚げ装置であって、岸壁上を走行可能な車輪を有する機体に垂直ベルトコンベヤが配置されているとともに、前記機体には垂直ベルトコンベヤの下方に位置する搬出端の上方に前記シャトルコンベヤの排出口が接続される伸縮ホッパが昇降可能に配置されている荷揚げ装置本体と、前記機体の前記垂直ベルトコンベヤの排出端の下方に形成された空所に挿入配置可能な岸壁上を走行可能な車輪を有するトラックホッパーとからなることを特徴とするセルフアンローダ船のばら物荷揚げ装置。
【請求項2】
前記機体に、前記トラックホッパーの挿入、配置位置の確認手段が設けられていることを特徴とする請求項1記載のセルフアンローダ船のばら物荷揚げ装置。
【請求項3】
前記車輪がタイヤであることを特徴とする請求項1または2記載のセルフアンローダ船のばら物荷揚げ装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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