説明

セル解体装置

【課題】 セルを解体する作業を簡素化できるセル解体装置を提供する。
【解決手段】 X線透過性を有するフィルム32が液状の試料Sを収容する試料室3aの少なくとも一部を形成する蛍光X線分析装置のセル3を、解体するためのセル解体装置1であって、フィルム32を下方側に向けた状態でセル3を保持する保持部11と、セル3が保持部11で保持される際にフィルム32を切断する刃部121と、刃部121よりも下方側に配置され、切断されたフィルム32から流下する試料Sを受ける試料受部13とを備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液状の試料を収容する蛍光X線分析装置用セルを解体するためのセル解体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図13(a)に示すように、蛍光X線分析装置2は、液状(液体)の試料Sを収容するセル(「試料セル」ともいう)3を固定し、X線源21により、試料室3a内の試料Sに向けてX線を照射し、検出器22により、試料Sから発生する蛍光X線を検出して、試料S中の所定元素(例えば、軽油中の硫黄)を分析する。
【0003】
そして、従来、蛍光X線分析装置のセル3として、図13(a)及び(b)に示すように、X線透過性を有するフィルム31で試料室3aの一部を形成するセル3が知られている(例えば、特許文献1)。具体的には、セル3は、2枚のフィルム31,32と、筒状に形成されるセル本体33と、セル本体33とによりフィルム31,32を挟んで固定する筒状のフィルム固定体34とを備える。
【0004】
一方のフィルム(以下、「第1フィルム」ともいう)31は、試料Sを収容すべく、セル本体33の内部で凹状にされる一方、他方のフィルム(以下、「第2フィルム」ともいう)32は、平面状に張った状態で、セル本体33の一端を覆っている。そして、各フィルム31,32は、外周部がセル本体33とフィルム固定体34とに挟持されて固定される。また、各フィルム31,32は、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレートといった樹脂材料で形成されている。
【0005】
セル本体33は、フィルム固定体34に外嵌される。そして、セル本体33は、外周部に、フィルム固定体34と係合する凹状の係合部331を備える。また、セル本体33は、開口が一端側に向けて拡がるように、テーパ部332を備える。なお、セル本体33は、プラスチック等の樹脂材料で形成されている。
【0006】
フィルム固定体34は、一端側の内周部に、セル本体33の係合部331と係合する凸状の係合部341を備える。また、フィルム固定体34は、他端側の外周部に、凸状のフランジ部342を備える。なお、フィルム固定体34は、プラスチック等の樹脂材料で形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平7−134082号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、一般的に分析される試料Sは、原油や重油等であるため、廃棄物処理に関わる法律等により、多くの場合に、しかるべき廃棄処理を行う必要がある。そのため、試料Sの分析が終了し、上記セル3を解体するには、セル3(フィルム31,32)から試料Sを分離して分別廃棄(分別処理)させる必要がある。
【0009】
そして、フィルム31,32をセル本体33から分離したり、フィルム31,32から試料Sを分離したりする際に、作業者の手や作業周辺を試料Sで汚染させることがあり、また、その汚染を防止するには、斯かる作業を慎重に行う必要がある。このように、セル3を解体する作業が非常に煩雑なものであった。
【0010】
よって、本発明は、かかる事情に鑑み、セルを解体する作業を簡素化できるセル解体装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係るセル解体装置は、X線透過性を有するフィルムが液状の試料を収容する試料室の少なくとも一部を形成する蛍光X線分析装置のセルを、解体するためのセル解体装置であって、フィルムを下方側に向けた状態でセルを保持する保持部と、セルが保持部で保持される際にフィルムを切断する刃部と、刃部よりも下方側に配置され、切断されたフィルムから流下する試料を受ける試料受部とを備えることを特徴とする。
【0012】
本発明に係るセル解体装置によれば、X線透過性を有するフィルムを下方側に向けた状態のセルを保持部が保持する際に、保持されたセルのフィルムを刃部が切断する。そして、刃部よりも下方側に配置される試料受部が、切断されたフィルムから重力により流下する試料を受ける。これにより、セルを保持部で保持することにより、自然と、セル(フィルム)から試料を分離することができる。
【0013】
また、本発明に係るセル解体装置においては、保持部は、セルを下方側から支持する支持部と、支持されたセルが側方に移動するのを防止すべく、セルを側方側から係止する係止部とを備えてもよい。
【0014】
斯かる構成のセル解体装置によれば、支持部がセルを下方側から支持すると共に、係止部がセルを側方側から係止するため、支持されたセルが側方に移動するのを防止できる。これにより、セルが位置ずれするのを防止できるため、試料受部で確実に試料を受けることができる。
【0015】
また、本発明に係るセル解体装置においては、刃部は、切断されたフィルムの一部が下方側に向けて垂れるべく、有端であって、且つ湾曲状又は屈曲状に形成されてもよい。
【0016】
斯かる構成のセル解体装置によれば、刃部が有端に形成されると共に、湾曲状又は屈曲状に形成されるため、切断されたフィルムの一部が重力により下方側に向けて垂れる。これにより、試料を流下するための開口がフィルムに形成されるため、試料がフィルムから確実に流下できる。しかも、切断されたフィルムの部位が他の部位から分離するのを防止できるため、流下した試料にフィルムの一部が混入することも防止できる。
【発明の効果】
【0017】
以上の如く、本発明に係るセル解体装置によれば、セルを保持部で保持することにより、自然と、セルから試料を分離することができるため、セルを解体する作業を簡素化できるという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一実施形態に係るセル解体装置の全体図であって、分解斜視図を示す。
【図2】同実施形態に係るセル解体装置の全体図であって、分解断面図を示す。
【図3】同実施形態に係るセル解体装置における図2のA領域の拡大概要図であって、(a)は断面図、(b)は上面図を示す。
【図4】同実施形態に係るセル解体装置の要部概要図であって、(a)〜(c)は刃部材の装着状況を説明する上面図をそれぞれ示す。
【図5】同実施形態に係るセル解体装置で解体するセルの全体図であって、(a)及び(b)はセルの組立状況を説明する断面図をそれぞれ示す。
【図6】同実施形態に係るセル解体装置で解体するセルの全体図であって、(a)及び(b)はセルの組立状況を説明する断面図をそれぞれ示す。
【図7】同実施形態に係るセル解体装置で解体するセルの全体図であって、(a)及び(b)はセルの組立状況を説明する断面図をそれぞれ示す。
【図8】同実施形態に係るセル解体装置で解体するセルの全体図であって、(a)及び(b)はセルの組立状況を説明する断面図をそれぞれ示す。
【図9】同実施形態に係るセル解体装置の要部概要図であって、(a)及び(b)はセルの解体状況を説明する断面図をそれぞれ示す。
【図10】同実施形態に係るセル解体装置の要部概要図であって、(a)及び(b)はセルの解体状況を説明する断面図をそれぞれ示す。
【図11】同実施形態に係るセル解体装置の要部概要図であって、(a)及び(b)はセルの解体状況を説明する断面図をそれぞれ示す。
【図12】同実施形態に係るセル解体装置で解体する他のセルの全体図であって、(a)は分解断面図、(b)は組立断面図を示す。
【図13】従来におけるセルの全体図であって、(a)は蛍光X線分析装置で分析される際の断面図、(b)は拡大断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明に係るセル解体装置における一実施形態について、図1〜図11を参酌して説明する。なお、図1〜図11において、図13の符号と同一の符号を付した部分は、従来技術と同一の構成又は要素を表す。
【0020】
図1〜図3に示すように、本実施形態に係るセル解体装置1は、第2フィルム32を下方側に向けた状態でセル3を保持する保持部11と、セル3が保持部11で保持される際に第2フィルム32を切断する刃部材12と、刃部材12よりも下方側に配置され、切断された第2フィルム32から流下する試料Sを受ける試料受部13とを備える。
【0021】
そして、セル解体装置1は、保持部11がセル3を傾斜させて保持するための装置本体14を備える。また、セル解体装置1は、セル本体33からフィルム固定体34を取り外すための取外部材15と、取外部材15と嵌合し取外部材15を覆う蓋部材16とを備える。
【0022】
保持部11は、セル3を下方側から支持する支持部111を備える。また、保持部11は、支持部111で支持されたセル3が側方に移動するのを防止すべく、セル3を側方側から係止する係止部112を備える。
【0023】
支持部111は、円環状に形成されると共に、外径がセル本体33の一端(下端)の外径と略同一となるように形成される。そして、支持部111は、セル3を支持する際に、全周に亘ってセル3と当接する。また、支持部111は、係止部112よりも下方側に配置される。さらに、支持部111は、内周部に、刃部材12を取り付けるための溝状の刃取付部111aを備える。
【0024】
係止部112は、円環状に形成されると共に、内径がフィルム固定体34の外径と略同一となるように形成される。そして、係止部112は、セル3に挿入される。また、係止部112は、支持部111を囲うように、支持部111よりも外方に配置される。
【0025】
刃部材12は、上縁が鋭利な板状に立設され(セル3が係止部112に挿入する方向に沿って立設され)、第2フィルム32を切断する刃部121と、刃部121と直交する方向へ板状に延設され、先端が支持部111の刃取付部111aに取り付けられる取付部122とを備える。なお、刃部材12は、0.5mm程度の厚さを有する金属板を加工して形成されている。
【0026】
刃部121は、第2フィルム32の切断を容易にすべく、上方に向けて尖って形成される尖り部121a,121aを備える。また、刃部121は、上下方向における中間に、貫通孔121b,121bを備える。
【0027】
そして、刃部121は、切断された第2フィルム32の一部が下方側に向けて垂れるべく、有端であって、且つ屈曲(湾曲)して形成される。具体的には、刃部121は、一対の直線状に形成される部位を備え、該部位同士は、傾斜して交差するように配置される。より具体的には、刃部121は、略V字状に形成される。
【0028】
ところで、図4(a)に示すように、刃部材12は、直線状に形成される部位同士が接近するよう(B矢印方向)に付勢されると、図4(b)に示すように、支持部111に入り込むことが可能な大きさに弾性変形する。そして、刃部材12は、当該付勢を維持された状態で、支持部111に入り込むよう(C矢印方向)に移動される。
【0029】
その後、当該付勢を解除されると、図4(c)に示すように、直線状に形成される部位同士が離反する(D矢印方向)ように復元し、取付部122が刃取付部111a(図4において図示していない)に嵌り込むため、刃部材12が支持部111に取り付けられる。このように、刃部材12は、弾性変形することにより、支持部111に着脱可能に構成されている。
【0030】
図1〜図3に戻り、試料受部13は、試料Sを貯める容器(ボトル)131と、第2フィルム32から流下する試料Sを容器131へ案内する案内部132とを備える。そして、案内部132は、支持部111に対応して凹状に形成される凹状部132aと、一端部が凹状部132aに連結され且つ他端部が容器131に挿入されることにより、凹状部132a及び容器131を連通させる管状部132bとを備える。
【0031】
装置本体14は、容器131に載置される一対の棒部材141,141と、容器131の口部を封止すべく、容器131の口部に当接される封止部142と、封止部142とにより容器131を挟持すべく、容器131の底部を付勢する付勢手段143とを備える。そして、付勢手段143は、付勢するための弾性体143aと、固定されるための固定具(ナット)143bとを備える。
【0032】
取外部材15は、筒状に形成される。そして、取外部材15は、外周部で且つ一端側にフランジ部151を備えると共に、内周部で且つ中間部に環状の突起部152を備える。ここで、取外部材15は、突起部152が設けられる部位の内径がセル本体33の外径(フィルム固定体34の内径)よりも大きく且つフィルム固定体34の外径よりも小さくなるように形成される一方、他端側の部位の内径がフィルム固定体34の外径よりも大きくなるように形成される。
【0033】
ところで、セル解体装置1は、係止部112として機能する開口を有する第1部材1aと、支持部111として機能する環状突起を有する第2部材1bとを備える。そして、第2部材1bは、下面が封止部142として機能し、下面に管状部132bとして機能する管材が固定される。
【0034】
本実施形態に係るセル解体装置1の構成については以上の通りであり、次に、本実施形態に係るセル3の組立方法及び解体方法について図5〜図11を参酌して説明する。
【0035】
まず、図5(a)に示すように、セル本体33の一端が上向きとなるように、セル保持部材4に設けられる凸状の基部41に、セル本体33を嵌めて保持する。そして、基部41(セル本体33)を挟むように一対配設される棒状のフィルム支持部42,42と、セル本体33の一端とに跨るように、第1フィルム31を載置する。これにより、第1フィルム31がセル本体33の一端を覆うように配置される。なお、フィルム支持部42,42は、本実施形態においては、丸棒を屈曲して略コ字状に形成されているが、板状に形成されてもよく、また、円筒形状に形成されてもよい。
【0036】
その後、セル本体33を、第1フィルム31ごと、環状に形成されるフィルム仮止部材5の内部に通過させる。これにより、図5(b)に示すように、フィルム仮止部材5がセル本体33よりも下方側で第1フィルム31を仮止めすることにより、第1フィルム31がセル本体33の一端及び外周面に沿って配置される。このとき、第1フィルム31がフィルム支持部42,42により安定した状態で載置されていたため、変形により発生する第1フィルム31のシワが均一となっている。
【0037】
そして、筒状の押込部材6の内部に設けられる環状突起部61を、セル本体33の内部に挿入すると、図6(a)に示すように、第1フィルム31が環状突起部61によりセル本体33の内部へ押し込まれ、凹状に変形する。なお、セル保持部材4の基部41から突出する凸部43により、第1フィルム31は、セル本体33の内部において、凹凸状に変形されている。
【0038】
その後、押込部材6を取り外し、図6(b)に示すように、凹凸状に変形された第1フィルム31に、試料Sを注ぎ込む。そして、図7(a)に示すように、第2フィルム32を、セル本体33の一端と、一対のフィルム支持部42,42とに跨らせて、第1フィルム31の上に載置する。さらに、図7(b)に示すように、フィルム固定体34の他端を、セル本体33の一端に嵌める。
【0039】
そして、図8(a)に示すように、押込部材6の端部62がフィルム固定体34のフランジ部342に当接した状態で、押込部材6を下方に向けて付勢する。これにより、セル本体33の係合部331とフィルム固定体34の係合部341とが係合する位置まで、フィルム固定体34の内部にセル本体33を挿入させる。その後、押込部材6を取り外し、図8(b)に示すように、フィルム仮止具5と共に、セル3を取り外すことにより、セル3が組み立てられる。
【0040】
次に、蛍光X線分析装置によりセル3内の試料Sが分析された後には、セル3(フィルム31,32)から試料Sを分離して分別廃棄(分別処理)させる必要がある。そこで、図9(a)に示すように、セル3を、第2フィルム32を下方側にして、係止部112の内部に挿入すると、図9(b)に示すように、刃部材12が略V字状の刃部121で第2フィルム32を切断する。
【0041】
すると、略V字状に切断された第2フィルム32の切断片321が、重力により、下方側に向けて垂れるため、試料Sが自然流下するための開口が形成される。そして、セル3を保持部11で保持させることにより、試料Sは、第2フィルム32に形成された開口と、案内部132とを介して(矢印Eのように)、容器131内に流下するため、各フィルム31,32から自然と分離される。
【0042】
そして、図10(a)に示すように、取外部材15の突起部152がフィルム固定体34のフランジ部342に当接した状態で、取外部材15を下方に向けて付勢する。これにより、図10(b)に示すように、セル本体33の係合部331とフィルム固定体34の係合部341との係合が解除され、フィルム固定体34が下方に移動する。このとき、フィルム固定体34の一端(下端)が、セル本体33の一端(下端)よりも下方側に位置している。
【0043】
そして、図11(a)に示すように、蓋部材16を取り外した後、セル本体33をフィルム固定体34から取り外す。さらに、各フィルム31,32を取り外した後、図11(b)に示すように、取外部材15、フィルム固定体34を順に取り外すことにより、セル3が解体される。
【0044】
以上より、本実施形態に係るセル解体装置1は、第2フィルム32を下方側に向けた状態のセル3を保持部11で保持する際に、刃部材12の刃部121で第2フィルム32を切断する。そして、切断されて形成された第2フィルム32の開口から試料Sが流下するため、刃部121よりも下方側に配置される試料受部13が試料Sを受ける。これにより、保持部11がセル3を保持することで、セル3から試料Sを自然と排出することができるため、セル3を解体する作業を簡素化できる。
【0045】
また、本実施形態に係るセル解体装置1は、支持部111がセル3を下方側から支持すると共に、係止部112がセル3を側方側から係止するため、支持されたセル3が側方に移動するのを防止できる。これにより、セル3が位置ずれするのを防止できるため、試料受部13で確実に試料Sを受けることができる。
【0046】
また、本実施形態に係るセル解体装置1は、刃部121が有端であって屈曲状(湾曲状)に形成されるため、第2フィルム32の切断片321が重力により下方側に向けて垂れる。したがって、試料Sを流下するための開口をフィルムに形成することができるため、試料Sが第2フィルム32の開口から確実に流下できる。しかも、切断片321が第2フィルム32から分離することもないため、流下した試料Sに第2フィルム32の一部(切断片321)が混入することも防止できる。
【0047】
また、本実施形態に係るセル装置1は、保持部11でセル3を保持した状態で、セル3から試料Sを分離できると共に、さらに、保持部11でセル3を保持した状態で、セル本体33とフィルム固定体34との係合を解除することができる。したがって、セル3から試料Sを分離することと、セル3を解体することとを連続的に行うことができるため、分析後の処理作業を簡素化することができる。
【0048】
なお、本発明に係るセル解体装置は、上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。また、下記する各種の変更例に係る構成や方法等を任意に選択して、上記した実施形態に係る構成や方法等に採用してもよいことは勿論である。
【0049】
例えば、上記実施形態に係るセル解体装置1においては、2枚のフィルム31,32と、セル本体33と、フィルム固定体34から構成されるセル3を解体する場合を説明したが、斯かる場合に限られない。例えば、図12に示すように、セル7は、1枚のフィルム71と、試料Sを収容する凹部721を有するセル本体72と、セル本体72とによりフィルム71を固定するフィルム固定体73とを備え、フィルム71とセル本体72とにより試料室7aを形成する場合でもよい。
【0050】
また、セルは、密閉された試料室3a,7aを有する場合に限られず、開放された試料室を有する場合でもよく、さらには、円形状に形成される場合に限られず、例えば、角形状に形成される場合でもよい。要するに、セルは、X線透過性を有するフィルムで、液状の試料Sを収容する試料室の少なくとも一部を形成していればよい。
【0051】
また、上記実施形態に係るセル解体装置1においては、保持部11がセル3を斜めの状態で保持する場合を説明したが、斯かる場合に限られず、例えば、保持部がセル3を水平な状態で保持する場合でもよい。
【0052】
また、上記実施形態に係るセル解体装置1においては、支持部111が連続した環状に形成される場合を説明したが、斯かる場合に限られない。例えば、支持部は、2点支持や3点支持により、セル3を下方側から支持する場合でもよく、また、断続した環状に形成される場合でもよい。
【0053】
また、上記実施形態に係るセル解体装置1においては、係止部112が連続した環状に形成される場合を説明したが、斯かる場合に限られない。例えば、係止部は、複数の箇所でセル3を係止することにより、セル3が側方に移動するのを防止するように構成される場合でもよく、また、断続した環状に形成される場合でもよい。
【0054】
また、上記実施形態に係るセル解体装置1においては、セル本体33とフィルム固定体34との係合を解除する際に、支持部111がセル本体33のみと当接し、フィルム固定体34の一端(下端)が、セル本体33の一端(下端)よりも下方側に位置する場合を説明したが、斯かる場合に限れない。例えば、セル本体33とフィルム固定体34との係合を解除する際に、支持部は、セル本体33だけでなくフィルム固定体34とも当接するような大きさに形成される場合でもよい。
【0055】
また、上記実施形態に係るセル解体装置1においては、刃部材12が金属板を加工して形成される場合を説明したが、斯かる場合に限られない。例えば、刃部材は、プラスチック等の硬質樹脂から形成される場合でもよく、要するに、フィルム32を切断可能に構成されていればよい。
【0056】
また、上記実施形態に係るセル解体装置1においては、刃部121が略V字状に形成される場合を説明したが、斯かる場合に限られない。例えば、刃部は、略U字状に形成される場合でもよく、また、略W字状に形成される場合でもよい。さらには、刃部は、直線状に形成される場合でもよく、円形状や楕円形状といった無端形状に形成される場合でもよい。
【0057】
また、上記実施形態に係るセル解体装置1においては、刃部121が二つの尖り部121aと二つの貫通孔121bを有する場合を説明したが、斯かる場合に限られない。例えば、刃部は、尖り部を有していない場合や、尖り部を一つ又は三つ以上備える場合でもよく、そして、貫通孔を有していない場合や、貫通孔を一つ又は三つ以上備える場合でもよい。
【0058】
また、上記実施形態に係るセル解体装置1においては、試料受部13が、容器131と、凹状部132a及び管状部132bからなる案内部132とからなる場合を説明したが、斯かる場合に限られない。例えば、試料受部は、床や机等の上に載置した容器と、容器に向けて試料Sを案内するチューブとからなる場合でもよい。要するに、試料受部は、セル3から排出された試料Sを受けることができるように構成されていればよい。
【0059】
また、上記実施形態に係るセル解体装置1においては、取付部材15と蓋部材16とが別部材からなる場合を説明したが、斯かる場合に限られず、取付部材と蓋部材とが一体となった部材を備える場合でもよく、また、取付部材と蓋部材とがヒンジ機構により連結されている場合でもよい。
【符号の説明】
【0060】
1…セル解体装置、3…セル、3a…試料室、31,32…フィルム、11…保持部、121…刃部、13…試料受部、111…支持部、112…係止部、S…試料

【特許請求の範囲】
【請求項1】
X線透過性を有するフィルムが液状の試料を収容する試料室の少なくとも一部を形成する蛍光X線分析装置のセルを、解体するためのセル解体装置であって、
フィルムを下方側に向けた状態でセルを保持する保持部と、セルが保持部で保持される際にフィルムを切断する刃部と、刃部よりも下方側に配置され、切断されたフィルムから流下する試料を受ける試料受部とを備えることを特徴とするセル解体装置。
【請求項2】
保持部は、セルを下方側から支持する支持部と、支持されたセルが側方に移動するのを防止すべく、セルを側方側から係止する係止部とを備える請求項1に記載のセル解体装置。
【請求項3】
刃部は、切断されたフィルムの一部が下方側に向けて垂れるべく、有端であって、且つ湾曲状又は屈曲状に形成される請求項1又は2に記載のセル解体装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2010−256202(P2010−256202A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−107449(P2009−107449)
【出願日】平成21年4月27日(2009.4.27)
【出願人】(000111247)ニューリー株式会社 (29)
【Fターム(参考)】