説明

センサーとこれを用いた空気清浄機

【課題】 1μm未満の浮遊微生物を検知することを可能とするセンサーと、それを具備した空気清浄機を提供する。
【解決手段】一重項酸素を発生する一重項酸素発生部と、この一重項酸素と被測定空気を混合する混合部と、該混合部内の前記一重項酸素が放出する赤外線を測定する赤外線検出部と、を備えたことを特徴とするセンサー。
吸気口と、この吸気口から吸気される空気を清浄する空気清浄部と、この空気清浄部を通過した空気を吹き出す吹出口と、を備えた空気清浄機において、一重項酸素を発生する一重項酸素発生部と、前記空気清浄部を通過後の空気の一部を被測定空気としこの被測定空気と前記一重項酸素とを混合する混合部と、該混合部内の前記被測定空気中の一重項酸素が放出する赤外線を測定する赤外線検出部とからなるセンサーを備える空気清浄機。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部屋の空気清浄度を判定するセンサーと、これを利用した空気清浄機に関する。
【背景技術】
【0002】
一重項酸素はその酸化力から、水や空気の浄化、脱臭、除菌、あるいは抗癌治療などに利用する方法が検討され、一部は実用化している。その際に一重項酸素の量を保証する目的から、一重項酸素が三重項酸素に変化する際に放出する1270nm付近の赤外線を検知する一重項酸素発生量センサーが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
一方、浮遊するカビ菌、浮遊菌、花粉、ダニのフンや死がい、浮遊ウイルスの抑制や脱臭を目的として、空気中に電解水ミストを拡散させて、この電解水ミストを前記空中浮遊物に直接接触させ、不活性化する空気清浄機が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2001−4542号公報
【特許文献2】特開2002−181358号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記特許文献2における空気清浄機の運転は空気中の粉塵を検知するほこりセンサーと、臭いを検知するガスセンサーの信号で制御されており、前記センサーで検知できない1μm未満の浮遊微生物の情報は前記信号には含まれていない。また空気清浄度を表示するインジゲーターにも前記浮遊微生物の情報は含まれていない。
【0005】
本発明の目的は、上述した従来の技術が有する課題を解消するセンサーと、それを具備した空気清浄機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のセンサーは、一重項酸素を発生する一重項酸素発生部と、この一重項酸素と被測定空気を混合する混合部と、該混合部内の前記一重項酸素が放出する赤外線を測定する赤外線検出部と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
請求項2の発明のセンサーは、請求項1に記載の発明において、前記被測定空気を前記混合部内に導くと共に排出する被測定空気移動手段と、前記混合部を密閉する密閉手段と、を備えたことを特徴とする。
【0008】
請求項3の発明のセンサーは、請求項1または請求項2に記載の発明において、前記一重項酸素発生部において、一重項酸素発生方法が光増感法であることを特徴とする。
【0009】
請求項4の発明のセンサーは、請求項1または請求項2に記載の発明において、前記一重項酸素発生部において、一重項酸素発生方法が音増感法であることを特徴とする。
【0010】
請求項5の発明の空気清浄機は、吸気口と、この吸気口から吸気される空気を清浄する空気清浄部と、この空気清浄部を通過した空気を吹き出す吹出口と、を備えた空気清浄機において、一重項酸素を発生する一重項酸素発生部と、前記空気清浄部を通過後の空気の一部を被測定空気としこの被測定空気と前記一重項酸素とを混合する混合部と、該混合部内の前記被測定空気中の一重項酸素が放出する赤外線を測定する赤外線検出とからなるセンサーを備えたことを特徴とする。
【0011】
請求項6の発明の空気清浄機は、吸気口と、一重項酸素を発生する一重項酸素発生部を有し前記吸気口から吸気される空気を前記一重項酸素により清浄する空気清浄部と、この空気清浄部を通過した空気を吹き出す吹出口と、を備えたことを特徴とする。
【0012】
請求項7の発明の空気清浄機は、請求項5または請求項6に記載の発明において、前記赤外線検出部の出力に基づき空気清浄度を表示する表示部を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係るセンサーによれば、においセンサーやガスセンサーで検知できない1μm未満の浮遊微生物の検知が可能となる。
【0014】
また、それを具備した空気清浄機は、従来、検知不能であった浮遊微生物の情報も含めた空気の汚れ具合に応じた運転と空気清浄度の表示が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、図面に基づき本発明の実施形態を詳述する。
【実施例1】
【0016】
図1は、本発明の空気清浄機の一実施例のセンサー1を備えた空気清浄機2の概略構成図を示している。
【0017】
図1の空気清浄機2は前記センサー1の他に、吸気口3と、該吸気口3の下流側に配置された空気清浄を行う第1フィルター4と、第2フィルター5と、該第2フィルター5の下流側に配置された集塵用ファン6と、吹出口7と、から構成される。また前記第1フィルター4と、前記第2フィルター5と、前記集塵用ファン6と、から空気清浄部が構成される。
【0018】
前記センサー1は、一重項酸素を発生する一重項酸素発生部8と、この一重項酸素と被測定空気を混合するチャンバー9と、該チャンバー9内の一重項酸素が放出する赤外線を測定する赤外線センサー10と、から構成され、前記集塵用ファン5の下流側と前記チャンバー9との間には連通口11を有する。
【0019】
一重項酸素発生部8における一重項酸素発生法としては、色素等の光増感、色素の音(超音波)増感、マイクロ波放電、化学反応などが挙げることができる。光増感剤の色素として、メチレンブルー、チオニン、ローズベンガル、エリスロシン、エオシンY、フルオレセイン、プロフラビン、フルオレノン、ローダミン、ポルフィリン、フタロシアニンなどが挙げられ、その他の光増感剤として、炭素スス分子(フラーレン様分子、またはその一部を含むような炭素分子)、シリコンナノ結晶、およびこれらの誘導体が挙げられる。音増感剤の色素としてはシアニン色素、フタロシアニン、ポルフィリン、ペリレンキノン類、キサンテン系色素、およびこれらの誘導体が挙げられる。本実施例では光増感法を使用している。
【0020】
前記空気清浄機2は、前記集塵用ファン6が動作すると、前記吸込口3より室内の汚れた空気を取り込み、綿ぼこりのような粒径の大きいものは前記第1フィルター4で除去し、カビ菌、浮遊菌、花粉のような粒径の小さいものは前記第2フィルター5で除去した後、前記吹出口7から清浄空気を吹き出すと同時に、前記清浄空気は前記連通口11を通って前記チャンバー9に導入される。光増感法によって前記一重項酸素発生部8から発生した一重項酸素は、前記チャンバー9内で前記清浄空気と混合し、前記清浄空気内に浮遊するカビ菌、浮遊菌、花粉やにおい等の前記一重項酸素の酸化分解の対象物が存在しない場合は、1270nm付近の赤外線が発生するため、前記赤外線センサー10で赤外線を測定することで清浄度を評価する。図2は概略制御回路のブロック図であり、赤外線センサー10の信号をもとに制御部16は集塵用ファン6を制御し、インジゲーター17で空気清浄度を表示する。空気清浄度の評価は、予め測定した前記チャンバー9内に一重項酸素のみを入れた状態の赤外線量と比較することで行う。一重項酸素の空気中での寿命を考慮し、前記一重項酸素発生部8と前記赤外線センサー10の間の距離は30 cm以下、さらに望ましくは1 cm〜10 cmとする。前記赤外線量を精度よく計測するために、図3に示すように前記連通口11の下流側に弁12Aと、前記赤外線センサー10の下流側に弁12Bと、ファンまたはポンプ13を設置する。この場合、前記清浄空気を前記チャンバー9に導入後、前記弁12を閉じてチャンバー9を密閉状態にした後に、前記赤外線センサー10で測定し、測定後、弁12を開くと共に、ファン又はポンプ13を駆動して前記チャンバー9内を排気する。
【0021】
また図1では集塵用ファン6は第2フィルター5の下流側に設置されているが、当該配設位置はこれに限定されるものではない。例えば、図4に示すように第1フィルター4と第2フィルター5の間に配置されてもよい。
【実施例2】
【0022】
次に図5を用いて、本発明の他の実施例の空気清浄機14について説明する。図5はこの実施例の概略構成図である。図5の空気清浄機は吸気口3と、該吸気口3の下流側に配置された空気清浄を行う第1フィルター4と、第2フィルター5と、よごれ物質を酸化分解させる一重項酸素を発生させる一重項酸素発生部8と、集塵用ファン6と、吹出口7と、が配置され、前記集塵用ファン6の下流側と被測定空気導入部15との間には連通口11を有し、前記導入部15には赤外線センサー10が設置されている。
【0023】
前記空気清浄機14は、前記集塵用ファン6が動作すると、前記吸込口3より室内の汚れた空気を取り込み、綿ぼこりのような粒径が大きいものは前記第1フィルター4で除去し、カビ菌、浮遊菌、花粉のような粒径が小さいものは、非常に目の細かい前記第2フィルター5で捕集され、また、前記一重項酸素発生部8から発生した一重項酸素により酸化分解される。前記一重項酸素により清浄された清浄空気は、前記吹出口7から吹き出されると同時に、前記清浄空気は被測定空気として前記連通口11を通って前記被測定空気導入部15に導入され、前記赤外線センサー10で赤外線を測定することで清浄度を評価する。また図2に示すように赤外線センサー10の信号をもとに制御部16は集塵用ファン6を制御し、インジゲーター17で空気清浄度を表示する。前記赤外線を精度よく計測するために、図6に示すように前記連通口11の下流側に弁12Aと、前記赤外線センサー10の下流側に弁12Bと、ファンまたはポンプ13を設置して、実施例1のように前記被測定空気導入部15を密閉状態にした後、前記赤外線センサー10で測定する。また図5では前記集塵用ファン6は前記空気の下流側に設置されているが、当該配設位置はこれに限定されるものではない。例えば、図7に示されるように第1フィルター4と第2フィルター5の間に配置されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】空気清浄機の概略構成図(実施例1)
【図2】空気清浄機の概略制御回路のブロック図(実施例1及び2)
【図3】他の実施例としてのセンサーの概略構成図(実施例1)
【図4】他の実施例としての空気清浄機の概略構成図(実施例1)
【図5】空気清浄機の概略構成図(実施例2)
【図6】他の実施例としての空気清浄機の概略構成図(実施例2)
【図7】他の実施例としての空気清浄機の概略構成図(実施例2)
【符号の説明】
【0025】
1 センサー
2、14 空気清浄機
3 吸気口
4 第1フィルター
5 第2フィルター
6 集塵用ファン
7 吹出口
8 一重項酸素発生部
9 チャンバー
10 赤外線センサー
11 連通口
12 弁
13 ファン/ポンプ
15 被測定空気導入部
16 制御部
17 インジゲーター

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一重項酸素を発生する一重項酸素発生部と、この一重項酸素と被測定空気を混合する混合部と、該混合部内の前記一重項酸素が放出する赤外線を測定する赤外線検出部と、を備えたことを特徴とするセンサー。
【請求項2】
前記被測定空気を前記混合部内に導くと共に排出する被測定空気移動手段と、前記混合部を密閉する密閉手段と、を備えたことを特徴とする請求項1に記載のセンサー。
【請求項3】
前記一重項酸素発生部において、一重項酸素発生方法が光増感法であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のセンサー。
【請求項4】
前記一重項酸素発生部において、一重項酸素発生方法が音増感法であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のセンサー。
【請求項5】
吸気口と、この吸気口から吸気される空気を清浄する空気清浄部と、この空気清浄部を通過した空気を吹き出す吹出口と、を備えた空気清浄機において、一重項酸素を発生する一重項酸素発生部と、前記空気清浄部を通過後の空気の一部を被測定空気としこの被測定空気と前記一重項酸素とを混合する混合部と、該混合部内の前記被測定空気中の一重項酸素が放出する赤外線を測定する赤外線検出部とからなるセンサーを備える空気清浄機。
【請求項6】
吸気口と、一重項酸素を発生する一重項酸素発生部を有し前記吸気口から吸気される空気を前記一重項酸素により清浄する空気清浄部と、この空気清浄部を通過した空気を吹き出す吹出口と、を備えた空気清浄機において、
前記空気清浄部を通過後の空気の一部を被測定空気としこの被測定空気中の一重項酸素が放出する赤外線を測定する赤外線検出部を備える空気清浄機。
【請求項7】
前記赤外線検出部の出力に基づき空気清浄度を表示する表示部を備えることを特徴とする請求項5または6記載の空気清浄機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−32576(P2008−32576A)
【公開日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−207312(P2006−207312)
【出願日】平成18年7月31日(2006.7.31)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】