説明

ソーラパネル取付架台

【課題】直流電力を交流電力に変換するインバータを内蔵すると共に、四角形のパネル本体を取り囲む角枠状の補強フレームを装備した、パネル単体での使用が可能なハイブリッド型ソーラパネルを、一般家庭等で専門的な技術を要することなく、簡単かつ安全に使用する。
【解決手段】ソーラパネル10を設置すべき手すり、壁面等の垂直面に取付ベース21,21を取付ける。各取付ベース21は、ソーラパネル10の角枠状の補強フレーム12を利用して、上下の支持部24,25によりソーラパネル10を仮止めし、且つ掛け止めされた補強フレーム12を押圧部材26により本固定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ソーラパネルと呼ばれる太陽電池パネルの設置に使用されるソーラパネル取付架台に関し、更に詳しくは、直流電力を交流電力に変換するインバータを内蔵すると共に、四角形のパネル本体を取り囲む角枠状の補強フレームを装備した、パネル単体での使用が可能な小型で可搬式の単体使用型ソーラパネルの設置に使用されるソーラパネル取付架台に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の環境問題の深刻化、エネルギー事情の悪化等を背景として、ソーラパネルと呼ばれる太陽電池パネルの使用が急増している。特に最近は、変換効率の向上、コストの低下、法律の整理等が進み、一般家庭でも使用可能になっているが、一般家庭に広く普及しているとは言い難く、その使用は公共機関、一部の大企業等に限定されているのが現状である。
【0003】
一般家庭へのソーラパネルの普及を妨げている大きな原因は、設備、工事が大がかりであり、結果的に高価となる点が挙げられる。すなわち、これまでのソーラパネルは直流電力を出力する。直流電力は一般家庭では使用できないので、直流電力を一般家庭で使用できる交流電力に変換するインバータ(パワーコンディショナ)が必要になる。このため、これまでは複数のソーラパネルを屋根上や電柱等の架台(特許文献1参照)に設置し、直流電力を接続箱に集約し、更にパワーコンディショナで交流電力に変換する大がかりな設備、工事が必要となり、その結果として、ソーラパネルの販売、施工は専門業者に依存せざるを得ない状況が続いており、これが、ここ数年のコスト低下の停滞等の大きな原因になっている。
【0004】
【特許文献1】特開2002ー57362号公報
【0005】
このような状況を打破すべく最近開発されたのが、ハイブリッドソーラパネルとも呼ばれる単体使用が可能なソーラパネルである。この単体使用型ソーラパネルは、直流電力を交流電力に変換する小型で高効率なインバータを内蔵するため、AC100Vを直接取り出すことができると共に、四角形のパネル本体を取り囲む角枠状の金属フレームにより強固に補強されており、パネル単体で使用できると共に、小型で移動も容易であり、一般家庭でも支障なく取り扱うことがてきるのである。また、AC100VだけでなくDC12Vも使え、これがハイブリッドソーラパネルと呼ばれる所以でもある。
【0006】
しかも、このソーラパネルは使用場所を選ばない利点があり、この利点のため、通常は家庭で使用しつつも、災害等の非常時には家庭外に持ち出し使用することができるのである。またキャンプ等のアウトドアでの使用も可能であり、これらのためにソーラパネルの脱着を簡単に行えることが必要となる。
【0007】
しかしながら、このような単体使用型のソーラパネルも、その特徴を生かす取付架台を持たないために、その特徴を十分に発揮できていなのが現状である。すなわち、誰もが簡単に交流電力を取り出せるという単体使用型ソーラパネルの特徴を生かす取付架台としては、一戸建て住宅にあっては壁面の低い箇所に、また集合住宅にあってはベランダの手すりなどに加工なしで取付けできるような構造が求められる。しかるに、これまでのソーラパネルの設置架台は、屋根上等に複数枚を並べて設置する形式になっており、屋根の形状やパネルの枚数等に応じて架台に加工を施すことはもちろん、架台へのパネル取付のためにパネルにも孔あけなどの加工を要求される場合も多い。
【0008】
このような従来のソーラパネル取付架台は、屋根上に設置する点で既に安全上重大な問題があり、また各種の機械加工を必要とする点でも、一般の人が取付を行うには問題が多すぎる。また、一度設置したソーラパネルを取り外すことは、取付以上に容易でない。誰もが簡単に交流電力を取り出せ、また自由に持ち出せ使用場所を選ばないという単体使用型ソーラパネルの特徴を阻害せず、その特徴を生かすソーラパネル取付架台は、出願人の知る限り存在しないのである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明はかかる事情に鑑みて創案されたものであり、単体使用型のソーラパネルを一般の人が安全にかつ簡単に設置することができ、且つ同様に簡単に取り外すことができるソーラパネル取付架台を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明に係るソーラパネル取付架台は、直流電力を交流電力に変換するインバータを内蔵すると共に、四角形のパネル本体を取り囲む角枠状の補強フレームを装備した、パネル単体での使用が可能な単体使用型ソーラパネルを単体で設置するのに使用されるソーラパネル取付架台であって、当該ソーラパネルを設置すべき箇所に設置される取付ベースと、前記補強フレームを前記ベースに掛け止めにて仮支持する仮止め手段と、前記ベースに掛け止めされた前記補強フレームを前記取付ベースに押圧により本固定する固定手段とを具備している。
【0011】
本発明に係るソーラパネル取付架台においては、ソーラパネルをその補強フレームを利用して引っ掛けなどにて取付ベースに仮止めする。そして、この仮止め状態で押圧により補強フレームを取付ベースに加圧により本固定する。仮止めを行うことにより、押圧による固定を安全に行うことができる。仮止めができないと、固定の際の位置決めなどに神経、体力を使い、作業が困難になるだけでなく危険性が増大する。固定に補強フレームを使用するので、パネル本体を傷つける危険がない。その補強フレームさえも、押圧による固定を行うために、加工の必要がない。かくして、背が届く壁面などの取付が容易な箇所にも、誰もが簡単に取付けを行うことが可能となる。
【0012】
掛け止めによる仮支持、押圧による本固定は、ソーラパネルの取り外しも容易にする。すなわち、本固定を解除するとき、ソーラパネルは掛け止めにより仮支持されているので、安全かつ簡単に行うことができる。
【0013】
取付ベースとしては、ソーラパネルを壁面、手すり等に垂直に設置する垂直型でもよいし、ソーラパネルを傾斜して設置する傾斜型でもよい。垂直型の方が設置スペース(平面的スペース)が格段に小さく、一般家庭での使用頻度、使用価値は高いと考えられる。
【0014】
垂直型の場合、取付ベースは左右一対の縦桟でもよいし、上下一対の横桟でもよい。縦桟の場合、仮止め手段は、縦桟からなる左右一対の取付ベースの上部に設けられてソーラパネルの補強フレームの上段水平部に下から係合する第1支持部と、前記取付ベースの下部に設けられてソーラパネルの補強フレームの下段水平部を下から支持し且つ該水平部に係合する第2支持部材との組合せが、構造が簡単で操作性及び安全性も高く好ましい。この場合、固定手段としては、縦桟からなる左右一対の取付ベースの上端部に取付けられて補強フレームを前記第2支持部材に押し付ける押圧部材が好ましい。この固定手段によると仮止め手段における第2支持部材を利用でき、構造が簡単である。また、仮止め操作も固定操作も上側から可能となるので、ベランダの手すりなどへの設置に適する。
【0015】
垂直型の場合の仮止め手段は、縦桟からなる左右一対の取付ベースの上部に設けられてソーラパネルの補強フレームの上段水平部を下から懸吊支持する第1支持部と、前記取付ベースの下部に昇降可能に設けられて補強フレームの下段水平部に係合する可動式の第2支持部との組合せも好ましい。この仮止め手段によると、可動式の第2支持部を固定手段に利用できる利点がある。また、仮止め操作も固定操作も下側から可能となるので、壁面等に取付けるの適する。
【0016】
取付ベースが上下一対の横桟である場合、その上下一対の横桟は仮止め手段を兼ねることができる。その場合、固定手段は、上下一対の横桟の少なくとも一方の両端部に取付けられてソーラパネルの補強フレームを両側から押圧する押さえ金具が、構造及び操作が簡単で好ましい。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係るソーラパネル取付架台によれば、パネル本体を取り囲む角枠状の補強フレームを利用し、かつ取付ベースへの仮止めと押圧による固定とを組合せることにより、垂直な壁面、ベランダの手すりといった取付が容易な箇所に、単体使用型のソーラパネルを誰もが簡単かつ安全に設置することができル。また同様に取り外しが簡単かつ安全であり、他の場所への移動も容易である。その結果、専門業者に依頼せずにソーラパネルの使用が可能になり、単体使用型ソーラパネルの優れた特徴を多くの人々が享受することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下に本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1〜図5は本発明の第1実施形態を示しており、図1は第1実施形態に係るソーラパネル取付架台の斜視図、図2は同ソーラパネル取付架台とソーラパネルとの関係を示す斜視図、図3は同ソーラパネル取付架台の使用状態を示す斜視図、図4は同ソーラパネル取付架台の使用状態を上部について詳示する側面図、図5は同ソーラパネル取付架台の使用状態を下部について詳示する側面図である。
【0019】
第1実施形態に係るソーラパネル取付架台は、ハイブリッドソーラパネルと呼ばれる単体使用型のソーラパネル10を集合住宅のベランダの手すりに垂直に設置するのに使用され、より詳しくは、長方形のソーラパネル10を手すりの外側に横向きに(長片を水平、短片を垂直にして)設置するのに使用される。
【0020】
ソーラパネル10は、図2及び図3に示すように、横に長い長方形の薄板からなるパネル本体11と、パネル本体11を取り囲むべく4辺に嵌合する角枠状の補強フレーム12とを備えている。パネル本体11は、直流電力を交流電力に変換する小型で高効率なインバータを内蔵しており、AC100VとDC12Vの2電源の使用が可能である。
【0021】
角枠状の補強フレーム12は、平行に組み合わされた一組の長片部13,13と、長片部13,13を両端部で連結する一組の平行な短片部14,14とからなり、横向きに設置する当該取付架台では、長片部13,13は横材となり、短片部14,14は縦材となる。
【0022】
上下一組の長片部13,13は、アルミニウムなどの軽金属からなる押し出し成形材であって、上下対称に設計されており、パネル本体11を保持する溝状の保持部15を表面側に全長にわたって有している。長片部13,13には更に、補強用の円筒部16が全長にわたって設けられており、円筒部16は周方向の一部が枠内側へ開口し、補強用の溝部17を形成している。一方、円筒部16の外側には、外側に向けて開口する浅い溝状の凹部18が全長にわたって設けられている。
【0023】
短片部14,14は、長片部13,13と同様にアルミニウムなどの軽金属からなる押し出し成形材であって、左右対称に設計されており、それぞれの両端部が長片部13,13の各端部にネジ止めされることにより補強枠を構成し、パネル本体10の短片側を保持固定する。
【0024】
このようなソーラパネル10を横向きに垂直支持する当該取付架台20は、図1に示すように、左右一組の垂直な縦桟形状の取付ベース21,21を備えている。取付ベース21,21を取付対象物である手すり30の外側に取付るために、取付架台20は上下一組の取付金具22,22を備えている。各取付金具22は、手すり30の縦桟を前後から把持する前後一組の水平な横桟22a,22aを有しており、手すり30の縦桟を挟んだ状態で複数本のボルト22bで締め付けることにより、手すり30の縦桟に水平に固定される(図4及び図5参照)。
【0025】
左右一組の取付ベース21,21は、断面がコ字形のアングルからなり、手すり30の外側に位置する上下2段の横桟22a,22aに、開口側を正面側に向けてネジ23,23によりそれぞれ固定されている。各取付ベース21の上端部及び下端部には、第1支持部24及び第2支持部25が仮止め手段として取付られている。
【0026】
上段の第1支持部24は、図4に示すように、取付ベース21から正面側へ略直角に突出し、補強フレーム12の上段の長片部13に設けられた溝部17に下側から嵌合する上に凸の突起24aを先端部に有している。下段の第2支持部25は、図5に示すように、取付ベース21から正面側へ略直角に突出し、補強フレーム12の下段の長片部13に設けられた凹部18に下側から嵌合する上に凸の突起25aを先端部に有している。
【0027】
上段の第1支持部24,24及び下段の第2支持部25,25により、ソーラパネル10は取付ベース21,21の正面側に仮止めされる。より詳しくは、下段の第2支持部25,25により下側から支承され、上段の第1支持部24,24により前後方向で支持される。
【0028】
各取付ベース21には又、固定手段としての押圧部材26が、最上部(上段の第1支持部24より更に上方)に位置して取付られている。押圧部材26は、取付ベース21から正面側へ略直角に突出するように取付ベース21の上端面にネジ27により取付けられ、補強フレーム12の上段の長片部13に設けられた凹部18に上側から嵌合する下に凸の突起26aを先端部に有している。そして左右の押圧部材26,26の取付けにより、上段の第1支持部24,24及び下段の第2支持部25,25にて仮止めされたソーラパネル10が下側へ押圧され、上側の押圧部材26,26と下段の第2支持部25,25との間に固定される。
【0029】
次に、第1実施形態に係るソーラパネル取付架台の使用方法及び機能について詳細に説明する。
【0030】
上下一組の取付金具22,22のうちの外側の上下の横桟22a,22aに左右の取付ベース21、21を取り付ける。このとき、固定手段としての押圧部材26,26は取付ベース21、21から外しておく。手すり30の複数の縦桟の前後から挟むようにして、外側の上下の横桟22a,22aに内側の上下の横桟22a,22aを組合せ、当該取付架台20を手するに30に取付ける。一連の取付作業は手すり30の内側から安全かつ簡単に行うことができる。
【0031】
手すり30への取付架台20の取付けが終わると、ソーラパネル10を左右の取付ベース21、21に仮止めする。具体的には、上段の第1支持部24,24と下段の第2支持部25,25との間にソーラパネル10を仮固定する。より詳しくは、上段の第1支持部24,24の突起24a,24aが、補強フレーム12の上段の長片部13に設けられた溝部17に下側から嵌合し、下段の第2支持部25,25の突起25a,25aが、補強フレーム12の下段の長片部13に設けられた凹部18に下側から嵌合する。これにより、ソーラパネル10は下側から支持されるし、前後に傾くこともなく、左右の取付ベース21、21に安全かつ確実に仮止めされる。
【0032】
取付ベース21、21へのソーラパネル10の仮止めが終わると、取付ベース21、21に固定手段としての押圧部材26,26をそれぞれ取付ける。具体的には、取付ベース21,21の上端面にネジ止めする。これにより、ソーラパネル10が縦方向の押圧により、上側の押圧部材26,26と下段の第2係合部25,25との間に挟持固定される。しかも、押圧部材26,26の突起26a,26aが、補強フレーム12の上段の長片部13に設けられた凹部18,18に上側から嵌合し、第2支持部25,25の突起25a,25aが、補強フレーム12の下段の長片部13に設けられた凹部18に下側から嵌合する。これらのために、ソーラパネル10は孔あけなどの加工を施されることなく、手すり30の外側に確実に設置固定される。
【0033】
更に、この固定作業中、ソーラパネル10は仮止めされているので、ソーラパネル10を支持したり位置決めする必要がなく、作業は非常に簡単で安全である。また、取付ベース21,21へのソーラパネル10の仮固定も、押圧部材26,26による本固定も、上側から行うことができる。この上側からの固定作業も、手すり30への取付け作業を安全かつ簡単にするのに寄与している。
【0034】
かくして、第1実施形態に係るソーラパネル取付架台20を使用することにより、ハイブリッドソーラパネルと呼ばれる単体使用型のソーラパネル10を、集合住宅のベランダの手すり30の外側に垂直に且つ横向きに簡単かつ安全に設置することが可能となる。
【0035】
ソーラパネル10を取り外すときは、取付時とは逆に押圧部材26,26を外す。押圧部材26,26を外しても、ソーラパネル10は取付ベース21,21に仮固定されている。最後に、そのソーラパネル10を取付ベース21,21から取り外す。この取り外し作業も、設置作業と同様に安全かつ簡単に行うことができる。この作業の安全性、簡略性に仮止め手段、固定手段が寄与していることは言うまでもない。
【0036】
なお、第1実施形態に係るソーラパネル取付架台20では、ソーラパネル10を手すり30の外側に設置するにあたり、取付ベース21,21を手すり30に取付ける固定金具22,22として、手すり30の縦桟を前後から挟む形式のものを使用したが、手すり30の最上部に引っ掛けるものでもよく、その形式を限定するものではない。
【0037】
図6〜図10は本発明の第2実施形態を示しており、図6は第2実施形態に係るソーラパネル取付架台の斜視図、図7は同ソーラパネル取付架台とソーラパネルとの関係を示す斜視図、図8は同ソーラパネル取付架台の使用状態を裏面側から示す斜視図、図9は同ソーラパネル取付架台の使用状態を上部について示す側面図、図10は同ソーラパネル取付架台の使用状態を下部について示す側面図である。
【0038】
第2実施形態に係るソーラパネル取付架台は、図6〜図8に示すように、ハイブリッドソーラパネルと呼ばれる単体使用型のソーラパネル10を一般住宅の壁面等に横向きで垂直設置するのに使用される。ソーラパネル10は、第1実施形態に係るソーラパネル取付架台で使用されているものと同じであり、長方形のパネル本体11を同じく長方形の補強フレーム12に取付けた構造になっている。ソーラパネル10の同一部分については同一番号を付して詳しい説明を省略する。
【0039】
このソーラパネル取付架台40は、取付面である垂直な壁面等に取付けられる左右一組の垂直な縦桟形状の取付ベース41,41を有している。左右一組の取付ベース41,41は、断面がコ字形のアングルからなり、図示されないボルトなどにより、開口側を正面側に向けて固定される。各取付ベース41の上端部及び下端部には、第1支持部44及び第2支持部45が仮止め手段として取付られている。
【0040】
上段の第1支持部44は、図9に示すように、取付ベース41から正面側へ略直角に突出し、ソーラパネル10における補強フレーム12の上段の長片部13に設けられた溝部17に下側から嵌合する上に凸の突起44aを先端部に有している。
【0041】
下段の第2支持部45は、図10に示すように、取付ベース41の下端部内にスライド自在に収容されている。この第2支持部45は、取付ベース41内に嵌合する水平部45aと、水平部45aの正面側の縁部から正面側へ斜め下方へ傾斜して延出した係合部45bと、水平部45aの背面側の端部から上側へ延出したガイド部45cとからなり、係合部45bは補強フレーム22の裏面側の縁部から枠内側へ突出するリブ部19に上方から係合するようになっている。
【0042】
この第2支持部45は、水平部45aのナット45dにねじ込まれた垂直なボルト状の操作棒46により昇降操作される。操作棒46は、取付ベース41下端の底板部を移動自在に貫通しており、取付ベース41の下からの昇降操作により、取付ベース41の下端部内の第2支持部45を自由に昇降させることができる。そして操作棒46は更に、取付ベース41の下からの回転操作により、第2支持部45を取付ベース41の底板部に対して昇降させることができる。
【0043】
そしてソーラパネル10は、上段の第1支持部44,44及び下段の第2支持部45,45により取付ベース21,21の正面側に仮止めされる。より詳しくは、上段の第1支持部44,44に懸吊支持され、下段の第2支持部45,45により前後方向で支持される。また、操作棒46を取付ベース41の下で回転操作することにより、第2支持部45を下側へ締め付け、ソーラパネル10を固定することができる。
【0044】
すなわち、下段の第2支持部45,45は、操作棒46,46と共に固定手段を構成している。
【0045】
次に、第2実施形態に係るソーラパネル取付架台の使用方法及び機能について詳細に説明する。
【0046】
ソーラパネル10を取付るべき垂直な取付面に取付架台40、すなわち左右の取付ベース41、41を取り付ける。取付面は、取付の簡易性、安全性等を考慮して、例えば家屋の壁面の比較的低い部分等である。
【0047】
取付面への取付架台40の取付けが終わると、ソーラパネル10を左右の取付ベース41、41に仮止めする。具体的には、ソーラパネル10における補強フレーム12の上段の長片部13を、上段の第1支持部44,44の突起44a,44aに引っ掛ける。これにより、突起44a,44aが、補強フレーム12の上段の長片部13に設けられた溝部17に下側から嵌合する。
【0048】
取付ベース41、41へのソーラパネル10の引っ掛けが終わると、下段の第2支持部45,45に組み合わされた操作棒46,46を下側から押し上げる。これにより、第2支持部45,45の係合部45b,45bが上昇する。ソーラパネル10の下端部を正目がへ少し引き、係合部45b,45bが、補強フレーム12の裏面側の縁部から枠内側へ突出するリブ部19より上になるまで、第2支持部45,45を押し上げた後、ソーラパネル10を垂直に戻し、第2支持部45,45を下げる。そうすれば、係合部45b,45bがリブ部19に自重で係合する。これにより、ソーラパネル10は確実に懸吊支持されると共に、前後に傾くこともなく、左右の取付ベース41、41に安全かつ確実に仮止めされる。
【0049】
取付ベース41、41へのソーラパネル10の仮止めが終わると、第2支持部45,45が下がる方向に操作棒46,46を回転操作する。これにより、第2支持部45,45の係合部45b,45bにて補強フレーム12が下方へ引かれる。つまり、補強フレーム12は縦方向の引っ張りにより、取付ベース41、41に本固定される。かくして、本実施形態でも、ソーラパネル10は孔あけなどの加工を施されることなく、取付面である壁面等に確実に設置される。
【0050】
更に、この作業中、ソーラパネル10は取付ベース41,41に仮止めされているので、ソーラパネル10を支持したり位置決めする必要がなく、作業は非常に簡単で安全である。また、取付ベース41,41へのソーラパネル10の仮固定も、第2支持部45,45及び操作棒46,46による本固定も下側から行うことができる。この下側からの固定作業も、壁面等への取付け作業を安全かつ簡単にするのに寄与している。
【0051】
かくして、第2実施形態に係るソーラパネル取付架台40を使用することにより、ハイブリッドソーラパネルと呼ばれる単体使用型のソーラパネル10を、一般住宅の壁面の低い位置等、取付が容易な場所に、垂直に且つ横向きに簡単かつ安全に設置することが可能となる。
【0052】
ソーラパネル10を取り外すときは、取付時とは逆に操作棒46,46を逆方向へ回転させて、第2支持部45,45を上昇させる。次いで操作棒46,46を押し上げ、係合部45b,45bを補強フレーム12のリブ部19から外す。最後に、そのソーラパネル10を取付ベース41,41から取り外す。この取り外し作業も、設置作業と同様に安全かつ簡単に行うことができる。この作業の安全性、簡略性に仮止め手段、固定手段が寄与していることは言うまでもない。
【0053】
図11〜図14は本発明の第3実施形態を示しており、図11は第3実施形態に係るソーラパネル取付架台の斜視図、図12は同ソーラパネル取付架台によるパネル取付方法を示す斜視図、図13は同ソーラパネル取付架台によるパネル取付方法を示す斜視図、図14は同ソーラパネル取付架台によるパネル取付方法を示す斜視図である。
【0054】
第3実施形態に係るソーラパネル取付架台は、図11に示すように、ハイブリッドソーラパネルと呼ばれる単体使用型のソーラパネル10を一般住宅の壁面等に縦向き(長片が垂直、短片が水平の状態)に垂直設置するのに使用される。ソーラパネル10は、第1実施形態及び第2実施形態に係るソーラパネル取付架台で使用されているものと同じであり、長方形のパネル本体11を同じく長方形の補強フレーム12に取付けた構造になっている。ソーラパネル10の同一部分については同一番号を付して詳しい説明を省略する。
【0055】
このソーラパネル取付架台50は、取付面である垂直な壁面等に取付けられる上下一組の水平な横桟形状の取付ベース51A,51Bを備えている。上段の取付ベース51Aは、図12及び図13に示すように、断面が逆L字形のアングルからなり、より具体的には、取付面に固定される垂直部52、垂直部52の上端から正面側へ突出した水平部53、水平部53の前縁部から下方へ突出した第1支持部54、及び垂直部52の下端から正面側へ突出した第2支持部55からなり、縦向きに立てられたソーラパネル10の上端部を第1支持部54と第2支持部55との間に挟み前後方向に固定する。
【0056】
下段の取付ベース51Bは、上段の取付ベース51Aとは上下略対称な断面がL字形のアングルからなり、より具体的には、取付面に固定される垂直部52、垂直部52の下端から正面側へ突出した水平部53、水平部53の前縁部から上方へ突出した第1支持部54、及び垂直部52の上端から正面側へ突出した第2支持部55からなり、縦向き状態のソーラパネル10を水平部53で下側から支持すると共に、その下端部を第1支持部54と第2支持部55との間に挟み前後方向に固定する。
【0057】
すなわち、本実施形態に係るソーラパネル取付架台50では、上下の取付ベース51A,51Bは、ソーラパネル10に対する仮止め手段を兼ねている。
【0058】
取付ベース51A,51Bの間に縦向きに支持されたソーラパネル10を横方向で固定するために、取付ベース51Aの両側部に固定手段である押さえ金具56,56がネジ止めされると共に、取付ベース51Bの両側部に固定手段である押さえ金具56,56がネジ止めされる。
【0059】
次に、第3実施形態に係るソーラパネル取付架台の使用方法及び機能について詳細に説明する。
【0060】
ソーラパネル10を取付るべき垂直な取付面に取付架台50、すなわち上下の取付ベース51A、51Bを取り付ける。ここで注意すべきは、上段の取付ベース51Aの水平部53と下段の取付ベース51Bの水平部53との間隔を、ソーラパネル10の高さより若干大きくすることである。
【0061】
上下の取付ベース51A、51Bの取付が終わると、図12に示すように、縦に向けたソーラパネル10を奥へ傾け、上端部を上段の取付ベース51A内に嵌合させる。この嵌合を容易にするために、第1支持部54は水平部52より十分に低くされている。上端部の嵌合が終わると、図13に示すように、ソーラパネル10の下端部を下段の取付ベース51B内に嵌合させる。このときソーラパネル10を上に持ち上げ、第1支持部54を乗り越えさせる。下段の取付ベース51Bへの嵌合を容易にするために、前述したとおり、上段の取付ベース51Aの水平部53と下段の取付ベース51Bの水平部53との間隔は、ソーラパネル10の高さより若干大されている。また、下段の取付ベース51Bでは、第1支持部54が十分に低くされている。
【0062】
この一連の作業により、ソーラパネル10は取付ベース51A,51Bに仮止めされる。具体的には、ソーラパネル10は、下段の取付ベース51Bの水平部53上に載置され、且つ各取付ベースにおける第1支持部54と第2支持部55との間で前後方向に固定される。
【0063】
ソーラパネル10の仮止めが終わると、上下の取付ベース51A,51Bに固定手段である押さえ金具56,56をネジ止めする。これによりソーラパネル10は横方向でも固定され、設置が完了する。
【0064】
このように、本実施形態でも、ソーラパネル10は孔あけなどの加工を施されることなく、取付面である壁面等に確実に設置される。更に、このネジ止め作業中(本固定中)、ソーラパネル10は取付ベース51A,51Bに仮止めされているので、ソーラパネル10を支持したり位置決めする必要がなく、作業は非常に簡単で安全である。また、取付ベース51A,51Bへのソーラパネル10の仮固定も、雨戸等を嵌め込む要領で安全かつ簡単に行うことができる。
【0065】
かくして、第3実施形態に係るソーラパネル取付架台50を使用することにより、ハイブリッドソーラパネルと呼ばれる単体使用型のソーラパネル10を、一般住宅の壁面等、取付が容易な場所に、垂直に且つ縦向きに簡単かつ安全に設置することが可能となる。
【0066】
ソーラパネル10を取り外すときは、取付時とは逆に上下の取付ベース51A,51Bから固定手段である押さえ金具56,56を外す。次いで、その取付ベース51A,51Bからソーラパネル10を外す。この取り外し作業も、設置作業と同様に安全かつ簡単に行うことができる。この作業の安全性、簡略性に仮止め手段、固定手段が寄与していることは、他の実施形態の場合と同じである。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明の第1実施形態に係るソーラパネル取付架台の斜視図である。
【図2】同ソーラパネル取付架台とソーラパネルとの関係を示す斜視図である。
【図3】同ソーラパネル取付架台の使用状態を示す斜視図である。
【図4】同ソーラパネル取付架台の使用状態を上部について示す側面図である。
【図5】同ソーラパネル取付架台の使用状態を下部について示す側面図である。
【図6】本発明の第2実施形態に係るソーラパネル取付架台の斜視図である。
【図7】同ソーラパネル取付架台とソーラパネルとの関係を示す斜視図である。
【図8】同ソーラパネル取付架台の使用状態を裏面側から示す斜視図である。
【図9】同ソーラパネル取付架台の使用状態を上部について示す側面図である。
【図10】同ソーラパネル取付架台の使用状態を下部について示す側面図である。
【図11】本発明の第3実施形態に係るソーラパネル取付架台の斜視図である。
【図12】同ソーラパネル取付架台によるパネル取付方法を示す斜視図である。
【図13】同ソーラパネル取付架台によるパネル取付方法を示す斜視図である。
【図14】同ソーラパネル取付架台によるパネル取付方法を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0068】
10 ソーラパネル
11 パネル本体
12 補強フレーム
20 ソーラパネル取付架台
21 取付ベース
22 取付金具
24 第1支持部
25 第2支持部
26 押圧部材
30 手すり
40 ソーラパネル取付架台
41 取付ベース
44 第1支持部
45 第2支持部
46 操作棒
50 ソーラパネル取付架台
51 取付ベース
54 第1支持部
55 第2支持部
56 押さえ金具

【特許請求の範囲】
【請求項1】
直流電力を交流電力に変換するインバータを内蔵すると共に、四角形のパネル本体を取り囲む角枠状の補強フレームを装備した、パネル単体での使用が可能な単体使用型ソーラパネルを単体で設置するのに使用されるソーラパネル取付架台であって、当該ソーラパネルを設置すべき箇所に設置される取付ベースと、前記補強フレームを前記取付ベースに掛け止めにて仮支持する仮止め手段と、前記取付ベースに掛け止めされた前記補強フレームを前記取付ベースに押圧により固定する固定手段とを具備することを特徴とするソーラパネル取付架台。
【請求項2】
請求項1に記載のソーラパネル取付架台において、前記取付ベースは、ソーラパネルを壁面、手すり等に垂直に取付けるべく垂直に設置される垂直取付型であるソーラパネル取付架台。
【請求項3】
請求項2に記載のソーラパネル取付架台において、前記取付ベースは、垂直な取付面に垂直に取付られる左右一対の縦桟であるソーラパネル取付架台。
【請求項4】
請求項3に記載のソーラパネル取付架台において、前記仮止め手段は、縦桟からなる左右一対の取付ベースの上部に設けられてソーラパネルの補強フレームの上段水平部に下から係合する第1支持部と、前記取付ベースの下部に設けられてソーラパネルの補強フレームの下段水平部を下から支持し且つ該水平部に係合する第2支持部材とからなるソーラパネル取付架台。
【請求項5】
請求項4に記載のソーラパネル取付架台において、前記固定手段は、縦桟からなる左右一対の取付ベースの上端部に取付けられて補強フレームを前記第2支持部材に押し付ける押圧部材であるソーラパネル取付架台。
【請求項6】
請求項3に記載のソーラパネル取付架台において、前記仮止め手段は、縦桟からなる左右一対の取付ベースの上部に設けられてソーラパネルの補強フレームの上段水平部を下から懸吊支持する第1支持部と、前記取付ベースの下部に昇降可能に設けられて補強フレームの下段水平部に係合する可動式の第2支持部とからなるソーラパネル取付架台。
【請求項7】
請求項6に記載のソーラパネル取付架台において、前記固定手段は、前記可動式の第2支持部と、この第2支持部を下方へ下降操作するネジ式の操作棒とからなるソーラパネル取付架台。
【請求項8】
請求項2に記載のソーラパネル取付架台において、前記取付ベースは、垂直な取付面に水平に取付られる上下一対の横桟であるソーラパネル取付架台。
【請求項9】
請求項8に記載のソーラパネル取付架台において、前記上下一対の横桟は前記仮止め手段を兼ねるソーラパネル取付架台。
【請求項10】
請求項9に記載のソーラパネル取付架台において、前記固定手段は、上下一対の横桟の少なくとも一方の両端部に取付けられてソーラパネルの補強フレームを両側から押圧する押さえ金具であるソーラパネル取付架台。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2007−273862(P2007−273862A)
【公開日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−99641(P2006−99641)
【出願日】平成18年3月31日(2006.3.31)
【出願人】(594208075)フジプレアム株式会社 (15)
【出願人】(506110830)フジサンエナジー株式会社 (1)
【出願人】(000226943)日晴金属株式会社 (19)
【Fターム(参考)】