説明

タイヤ

【課題】排水性能を確保しつつ、パターンノイズやロードノイズなどのタイヤ騒音をより低減したタイヤを提供する。
【解決手段】タイヤ周方向に沿って延びる主溝によって形成される複数の陸部を備える。陸部は、主溝の一方の壁面を形成する第1溝壁を有する第1陸部と、主溝の他方の壁面を形成する第2溝壁を有する第2陸部とを備える。第1陸部から第2陸部にわたって延びる横溝が形成されている。横溝は、第1陸部の踏面において、タイヤ周方向と交差する方向に延びるとともに、一方の端部が主溝に開口する第1横溝部と、第2陸部の踏面において、タイヤ周方向と交差する方向に延びるとともに、一方の端部が主溝に開口する第2横溝部と、主溝内において、第1横溝部の一方の端部と第2横溝部の一方の端部とに連通する溝内溝部とを有し、溝内溝部は、第1溝壁又は前記第2溝壁において、タイヤ周方向からタイヤ周方向に交差する方向に屈曲する屈曲部を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイヤ周方向に沿って延びる主溝によって形成される複数の陸部を備え、陸部は、主溝の一方の壁面を形成する第1溝壁を有する第1陸部と、主溝の他方の壁面を形成する第2溝壁を有する第2陸部とを備えるタイヤに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、乗用自動車などに装着される空気入りタイヤ(以下、タイヤ)では、ウェット路面での排水性を確保するため、トレッドに複数の周方向溝を形成する方法が広く用いられている。
【0003】
また、このような周方向溝に入り込んだ雨水を積極的に排水するため、周方向溝の溝底に、タイヤ周方向に対して傾斜するように複数の突起が設けられたタイヤが知られている(例えば、特許文献1)。このようなタイヤによれば、周方向溝に入り込んだ雨水に螺旋状の水流が生じ易くなり、排水性などのウェット性能が向上するとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−170381号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、近年、電気自動車や、内燃機関と電気モータとを併用したハイブリッド型の自動車が登場するに連れて、タイヤが発生するノイズの低減がさらに強く求められている。また、内燃機関を搭載する自動車でも、自動車自体が発生するノイズの低減に伴って、タイヤが発生するノイズの低減が以前にも増して求められている。タイヤが発生する主なノイズとしては、トレッドパターンに起因するパターンノイズ(ピッチノイズ)や、路面の凹凸に起因するロードノイズがある。
【0006】
さらに、このような近年のノイズが低減された自動車であっても、タイヤのウェット性能は、従来のタイヤと同等以上確保する必要がある。
【0007】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、排水性能を確保しつつ、パターンノイズやロードノイズなどのタイヤ騒音をより低減したタイヤを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るタイヤの特徴は、タイヤ周方向に沿って延びる主溝(主溝10)によって形成される複数の陸部(陸部20)を備える。前記陸部は、前記主溝の一方の壁面を形成する第1溝壁(第1溝壁11)を有する第1陸部(第1陸部21)と、前記主溝の他方の壁面を形成する第2溝壁(第2溝壁12)を有する第2陸部(第2陸部22)とを備える。前記第1陸部から前記第2陸部にわたって延びる横溝(30,40)が形成されており、前記横溝は、前記第1陸部の踏面において、前記タイヤ周方向と交差する方向に延びるとともに、一方の端部(31a,41a)が前記主溝に開口する第1横溝部(31,41)と、前記第2陸部の踏面において、前記タイヤ周方向と交差する方向に延びるとともに、一方の端部(32a、42a)が前記主溝に開口する第2横溝部(32,42)と、前記主溝内において、前記第1陸部から前記第2陸部に向かって延びるとともに、前記第1横溝部の前記一方の端部と前記第2横溝部の前記一方の端部とに連通する溝内溝部(33,43)とを有し、前記溝内溝部は、前記第1溝壁又は前記第2溝壁において、前記タイヤ周方向から前記タイヤ周方向に交差する方向に屈曲する屈曲部(R31,32,41,42)を有することを要旨とする。
【0009】
このようなタイヤでは、第1陸部から第2陸部にわたって延びる横溝が形成されている。横溝は、第1陸部の踏面に形成される第1横溝部と、第2陸部の踏面に形成される第2横溝部と、第1横溝部と第2横溝部とに連通する溝内溝部とを有する。
【0010】
溝内溝部は、主溝内において、第1横溝部の主溝側の端部と、第2横溝の主溝側の端部とに連通しているため、溝内溝部が設けられていない場合に比べて、主溝に流れる水と、第1横溝部から主溝に流れ込む水との合流部分において、乱流が発生しにくくなる。すなわち、第1横溝部から主溝に流れる水を、主溝に円滑に導き、また、主溝から第2横溝部に導くことが可能になり、タイヤ全体の排水性能が向上する。他方、主溝に流れる水が、主溝の許容量以上となる場合であっても、許容量以上の水を、主溝から第2横溝部に円滑に導くことが可能になる。
【0011】
また、溝内溝部は、第1陸部の第1溝壁又は第2陸部の第2溝壁において、屈曲部を有するので、第1陸部及び第2陸部には、路面接地時に接地圧が付与されても圧縮変形による膨出先が確保されている。このようなタイヤによれば、第1陸部及び第2陸部は、路面接地時に踏面に付与される接地圧を分散することが可能になるので、第1陸部及び第2陸部の路面接地時のタイヤ騒音、特にロードノイズを抑制できる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の特徴によれば、排水性能を確保しつつ、パターンノイズやロードノイズなどのタイヤ騒音をより低減したタイヤを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、本発明の実施形態に係る空気入りタイヤ1の概略斜視図である。
【図2】図2は、本発明の実施形態に係る空気入りタイヤ1のトレッド部の一部拡大斜視図である。
【図3】図3は、本発明の実施形態に係る空気入りタイヤ1のトレッド部の一部拡大平面図である。
【図4】図4は、本発明の他の実施形態に係る空気入りタイヤのトレッド部の一部拡大平面図である。
【図5】図5は、本発明の他の実施形態に係る空気入りタイヤのトレッド部の一部拡大平面図である。
【図6】図6は、本発明の他の実施形態に係る空気入りタイヤ1のトレッド部の一部拡大平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に、本発明に係るタイヤの実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の図面の記載において、同一または類似の部分には、同一または類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率などは現実のものとは異なることに留意すべきである。したがって、具体的な寸法などは以下の説明を参酌して判断すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれ得る。
【0015】
(1)タイヤの全体概略構成
図1は、本実施形態に係る空気入りタイヤ1の概略斜視図である。図2は、本実施形態に係る空気入りタイヤ1のトレッド部の一部拡大斜視図である。図3は、本実施形態に係る空気入りタイヤ1のトレッド部の一部平面展開図である。
【0016】
また、空気入りタイヤ1は、タイヤ赤道線CLを基準として線対称のパターンを有するとともに、トレッド幅方向Twの一方に形成されるパターンと、他方に形成されるパターンとが、所定間隔だけタイヤ周方向Tcに位相をずらして形成されている。
【0017】
空気入りタイヤ1には、タイヤ周方向Tcに延びる複数の主溝10が形成される。具体的に、空気入りタイヤ1には、主溝10が、タイヤ赤道線CLを境に、トレッド幅方向Tw外側の一方に1本形成され、他方に1本形成される。主溝10は、トレッド面視において直線状の溝である。
【0018】
主溝10によって形成される壁面は、トレッド幅方向Tw及びタイヤ径方向Tdに沿った断面視(図2参照)において円弧状である。つまり、主溝10の溝深さは、第1陸部21に向かうに連れて浅くなる。同様に、主溝10の溝深さは、第2陸部22に向かうに連れて浅くなる。
【0019】
空気入りタイヤ1は、タイヤ周方向Tcに沿って延びる主溝10によって形成される複数の陸部20を備える。具体的に、陸部20として、主溝10の一方の壁面を形成する第1溝壁11を有する第1陸部21と、主溝10の他方の壁面を形成する第2溝壁12を有する第2陸部22とを備える。
【0020】
第1陸部21は、主溝10のトレッド幅方向Tw内側に設けられる。第1陸部21は、主溝10に隣接し、タイヤ周方向Tcに延びる。第1陸部21は、主溝10よりもトレッド幅方向Tw内側、具体的には、2つの主溝10の間に位置する。
【0021】
一方、第2陸部22は、主溝10のトレッド幅方向Tw外側に設けられる。第2陸部22は、主溝10に隣接し、タイヤ周方向Tcに延びる。
【0022】
なお、本実施形態において、第1陸部21の第1溝壁11は、主溝10の最深部Dbを境に、第1陸部21側の溝壁であり、第2陸部22の第2溝壁12は、主溝10の最深部Dbを境に、第2陸部22側の溝壁である。
【0023】
また、本実施形態に係る空気入りタイヤ1には、第1陸部21から第2陸部22にわたって延びる横溝30,40が形成されている。また、空気入りタイヤ1には、横溝30と横溝40とに連通する周方向溝50が形成されている。なお、横溝30と横溝40と周方向溝50との構成については、詳細を後述する。
【0024】
(2)横溝の形状
次に、図3を参照して、横溝30と横溝40と周方向溝50との構成について、さらに説明する。
【0025】
横溝30は、第1陸部21の踏面21aに形成される第1横溝部31と、第2陸部22の踏面22aに形成される第2横溝部32と、主溝10内に形成され、第1横溝部31と第2横溝部32とに連通する溝内溝部33とを有する。
【0026】
第1横溝部31は、タイヤ周方向Tcと交差する方向A1に延びる。つまり、第1横溝部31は、タイヤ周方向Tcに対して傾斜するように延びる。
【0027】
なお、方向A1とトレッド幅方向Twに延びる直線とが成す角度θ1は、30度以上であることが好ましい。また、第1横溝部31は、タイヤ周方向Tcに対して傾斜しているため、角度θ1は、90度未満となる。すなわち、角度θ1は、30度以上、90度未満であることが好ましく、45度〜60度であることがより好ましい。
【0028】
また、第1横溝部31では、一方の端部31aが主溝10に開口し、他方の端部31bが周方向溝50に開口する。
【0029】
第2横溝部32は、タイヤ周方向Tcと交差する方向に延びる。つまり、第2横溝部32は、タイヤ周方向Tcに対して傾斜するように延びる。第2横溝部32は、第1横溝部31と平行に延びる。なお、第2横溝部32は、第1横溝部31と異なる方向に延びるようにしてもよい。また、第2横溝部32では、一方の端部32aが主溝10に開口し、他方の端部32bがトレッド部のショルダー領域Sにおいて終端する。
【0030】
ここで、トレッド部は、トレッド幅方向Twにおいて、トレッド接地領域TAとショルダー領域Sとを有する。本実施形態において、トレッド接地領域TAのトレッド幅方向Twの両端は、タイヤが路面に接した状態における接地範囲のトレッド幅方向Twの両端を示す。タイヤが路面に接した状態とは、例えば、タイヤが正規リムに装着され、かつ正規内圧及び正規荷重が負荷された状態を示す。なお、正規リムとは、JATMA(日本自動車タイヤ協会)のYearBook 2008年度版に定められた適用サイズにおける標準リムを指す。正規内圧とは、JATMAのYear Book2008年度版の最大負荷能力に対応する空気圧であり、正規荷重とは、JATMAのYear Book2008年度版の単輪を適用した場合の最大負荷能力に相当する荷重である。日本以外では、これらを規定する規格が、タイヤが生産又は使用される地域に有効な産業規格によって決められている。例えば、アメリカ合衆国では、”The Tire and Rim Association Inc. のYear Book ”であり、欧州では”The European Tire and Rim Technical OrganizationのStandards Manual”である。
【0031】
溝内溝部33は、主溝10の内壁面から、タイヤ径方向内側にさらに凹んでいる。溝内溝部33は、第1陸部21から第2陸部22に向かって延びるとともに、第1横溝部31の一方の端部31aと第2横溝部32の一方の端部32aとに連通する。
【0032】
溝内溝部33は、第1溝壁11において、タイヤ周方向Tcに交差する方向からタイヤ周方向Tcに屈曲する屈曲部R31と、タイヤ周方向Tcからタイヤ周方向Tcに交差する方向に屈曲する屈曲部R32とを有する。
【0033】
具体的に、溝内溝部33は、第1溝壁11において、第1横溝部31に連通するとともに、屈曲部R31によって、タイヤ周方向Tcに交差する方向からタイヤ周方向Tcに屈曲する。そして、溝内溝部33は、第1溝壁11において、タイヤ周方向Tcに延びるとともに、屈曲部R32よって、タイヤ周方向Tcからタイヤ周方向Tcに交差する方向に屈曲する。そして、溝内溝部33は、第1溝壁11から第2溝壁12まで延びるとともに、第2横溝部32に連通する。
【0034】
横溝40は、第1陸部21の踏面21aに形成される第1横溝部41と、第2陸部22の踏面22aに形成される第2横溝部42と、主溝10内に形成され、第1横溝部41と第2横溝部42とに連通する溝内溝部43とを有する。
【0035】
第1横溝部41は、タイヤ周方向Tcと交差する方向A2に延びる。つまり、第1横溝部41は、タイヤ周方向Tcに対して傾斜するように延びる。なお、上述した第1横溝部31の延在する方向A1と、第1横溝部41の延在する方向A2とは、平行であっても良いし、異なっても良い。
【0036】
方向A2とトレッド幅方向Twに延びる直線とが成す角度θ2は、30度以上であることが好ましい。また、第1横溝部41は、タイヤ周方向Tcに対して傾斜しているため、角度θ2は、90度未満となる。すなわち、角度θ2は、30度以上、90度未満であることが好ましく、45度〜60度であることがより好ましい。
【0037】
また、第1横溝部41では、一方の端部41aが主溝10に開口し、他方の端部41bが周方向溝50に開口する。
【0038】
第2横溝部42は、タイヤ周方向Tcと交差する方向に延びる。つまり、第2横溝部42は、タイヤ周方向Tcに対して傾斜するように延びる。第2横溝部42は、第1横溝部41と平行に延びる。なお、第2横溝部42は、第1横溝部41と異なる方向に延びるように形成されていてもよい。また、第2横溝部42では、一方の端部42aが主溝10に開口し、他方の端部42bがトレッド部のショルダー領域Sにおいて終端する。
【0039】
溝内溝部43は、主溝10の内壁面から、タイヤ径方向内側にさらに凹んでいる。溝内溝部43は、第1陸部21から第2陸部22に向かって延びるとともに、第1横溝部41の一方の端部41aと第2横溝部42の一方の端部42aとに連通する。
【0040】
溝内溝部43は、第2溝壁12において、タイヤ周方向Tcに交差する方向からタイヤ周方向Tcに屈曲する屈曲部R41と、タイヤ周方向Tcからタイヤ周方向Tcに交差する方向に屈曲する屈曲部R42とを有する。
【0041】
具体的に、溝内溝部43は、第1横溝部41に連通するとともに、第1溝壁11から第2溝壁12まで延びる。そして、溝内溝部43は、第2溝壁12において、屈曲部R41によって、タイヤ周方向Tcに交差する方向からタイヤ周方向Tcに屈曲するとともに、タイヤ周方向Tcに延びる。そして、溝内溝部43は、第2溝壁11において、屈曲部R42よって、タイヤ周方向Tcからタイヤ周方向Tcに交差する方向に屈曲するとともに、第2横溝部32に連通する。
【0042】
空気入りタイヤ1には、上述した横溝30と横溝40とが、タイヤ周方向Tcに沿って、交互に形成されている。周方向溝50は、横溝30と横溝40とに連通するように形成されている。具体的に、周方向溝50は、タイヤ周方向Tcに沿って延びる。周方向溝50は、横溝30と横溝40との間に形成されており、横溝30と横溝40とを一つおきに連通する。
【0043】
(3)作用・効果
空気入りタイヤ1では、タイヤ周方向Tcに沿って延びる主溝10と、主溝10によって形成される複数の陸部20を備える。具体的に、空気入りタイヤ1では、陸部20として、第1陸部21と第2陸部22とを備える。また、空気入りタイヤ1では、第1陸部21から第2陸部22にわたって延びる横溝30,40が形成されている。
【0044】
横溝30は、第1陸部21の踏面21aに形成される第1横溝部31と、第2陸部22の踏面22aに形成される第2横溝部32と、第1横溝部31と第2横溝部32とに連通する溝内溝部33とを有する。一方、横溝40は、第1陸部21の踏面21aに形成される第1横溝部41と、第2陸部22の踏面22aに形成される第2横溝部42と、第1横溝部41と第2横溝部42とに連通する溝内溝部43とを有する。
【0045】
溝内溝部33,43は、主溝10内において、第1横溝部31,41の主溝10側の端部31a,41aと、第2横溝部32,42の主溝10側の端部32a,42aとに連通しているため、溝内溝部33,43が設けられていない場合に比べて、主溝10に流れる水と、第1横溝部31,41から主溝10に流れ込む水との合流部分において、乱流が発生しにくくなる。すなわち、第1横溝部31,41から主溝10に流れる水が、主溝10に円滑に導かれるとともに、主溝から第2横溝部32,42に円滑に導かれるようになるため、タイヤ全体の排水性能が向上する。
【0046】
また、横溝30では、溝内溝部33が、第1陸部21の第1溝壁11において、屈曲部R31,R32を有するので、第1陸部21は、路面接地時に接地圧が付与されても圧縮変形による膨出先が確保されている。さらに、横溝40では、溝内溝部43が、第2陸部22の第2溝壁12において、屈曲部R41,R42を有するので、第2陸部22は、路面接地時に接地圧が付与されても圧縮変形による膨出先が確保されている。
【0047】
かかる空気入りタイヤ1によれば、第1陸部21及び第2陸部22は、路面接地時に踏面に付与される接地圧を分散することが可能になるので、第1陸部21及び第2陸部22の路面接地時のタイヤ騒音、特にロードノイズを抑制できる。
【0048】
以上のように、本実施形態に係る空気入りタイヤ1によれば、排水性を確保しつつ、パターンノイズやロードノイズを一層低減できる。
【0049】
また、空気入りタイヤ1では、第1陸部21の第1溝壁11に屈曲部R31,R32を有する横溝30と、第2陸部22の第2溝壁12に屈曲部R41,R42を有する横溝40とが、タイヤ周方向Tcに交互に形成されている。よって、第1陸部21又は第2陸部22のいずれか一方のみに屈曲部を形成する場合に比べて、第1陸部21の剛性又は第2陸部22の剛性が著しく低下することを抑制できるので、操縦安定性の低下を抑制できる。
【0050】
(4)その他の実施形態
上述したように、本発明の実施形態を通じて本発明の内容を開示したが、この開示の一部をなす論述及び図面は、本発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかとなる。
【0051】
例えば、本発明の実施形態は、次のように変更することができる。図4は、本発明の他の実施形態に係る空気入りタイヤのトレッド部の一部拡大平面図である。上述した実施形態に係る空気入りタイヤ1では、タイヤ赤道線CLを境に、トレッド幅方向Tw外側の一方に形成される横溝30と横溝40と周方向溝50と、トレッド幅方向Tw外側の他方に形成される横溝30と横溝40と周方向溝50とが、タイヤ周方向Tcに所定間隔だけ位相が異なるように構成されていたが、図4に示すように、タイヤ赤道線CLを境に線対称となるようにしてもよい。
【0052】
また、図5は、本発明の他の実施形態に係る空気入りタイヤのトレッド部の一部拡大平面図である。図5に示すように、トレッド幅方向Tw外側の一方に形成される横溝30と横溝40と周方向溝50と、トレッド幅方向Tw外側の他方に形成される横溝30と横溝40と周方向溝50とが、タイヤ赤道線CLを境に点対称となるようにしてもよい。
【0053】
また、図6は、本発明の他の実施形態に係る空気入りタイヤのトレッド部の一部拡大平面図である。図6に示すように、トレッド幅方向Tw外側の一方に形成される横溝30と横溝40と周方向溝50と、トレッド幅方向Tw外側の他方に形成される横溝30と横溝40と周方向溝50とが、タイヤ赤道線CLを境に非対称となるようにしてもよい。
【0054】
このように、本発明は、ここでは記載していない様々な実施の形態などを含むことは勿論である。したがって、本発明の技術的範囲は、上述の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められる。
【符号の説明】
【0055】
1…空気入りタイヤ、CL…タイヤ赤道線、R31,R32…屈曲部、R41,R42…屈曲部、S…ショルダー領域、TA…トレッド接地領域、Tc…タイヤ周方向、Tw…トレッド幅方向、10…主溝、11…第1溝壁、12…第2溝壁、20…陸部、21…第1陸部、22…第2陸部、30…横溝、31…第1横溝部、31a,31b…端部、32…第2横溝部、32a,32b…端部、33…溝内溝部、40…横溝、41…第1横溝部、41a,41b…端部、42…第2横溝部、42a,42b…端部、43…溝内溝部、50…周方向溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タイヤ周方向に沿って延びる主溝によって形成される複数の陸部を備え、
前記陸部は、前記主溝の一方の壁面を形成する第1溝壁を有する第1陸部と、前記主溝の他方の壁面を形成する第2溝壁を有する第2陸部とを備えるタイヤであって、
前記第1陸部から前記第2陸部にわたって延びる横溝が形成されており、
前記横溝は、
前記第1陸部の踏面において、前記タイヤ周方向と交差する方向に延びるとともに、一方の端部が前記主溝に開口する第1横溝部と、
前記第2陸部の踏面において、前記タイヤ周方向と交差する方向に延びるとともに、一方の端部が前記主溝に開口する第2横溝部と、
前記主溝内において、前記第1陸部から前記第2陸部に向かって延びるとともに、前記第1横溝部の前記一方の端部と前記第2横溝部の前記一方の端部とに連通する溝内溝部とを有し、
前記溝内溝部は、前記第1溝壁又は前記第2溝壁において、前記タイヤ周方向から前記タイヤ周方向に交差する方向に屈曲する屈曲部を有する
ことを特徴とするタイヤ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−107416(P2013−107416A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−251656(P2011−251656)
【出願日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)