説明

タオル掛け

【課題】掛止バーに上下方向の強い力が加わっても、それが折れ曲がったり、破損したり、けがなどが起こりにくいようにしたタオル掛けを提供する。
【解決手段】タオルを掛ける掛止バー2の基端部を、被取付体に取付可能な取付部材3に水平回動可能に枢着してなるタオル掛けにおいて、掛止バー2の基端部に、外力が加わった際に上下方向に弾性変形可能な可撓部6を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基端部が被取付体に取り付けられるバー状のタオル掛けに関する。
【背景技術】
【0002】
この種のタオル掛けは、例えば特許文献1〜3に記載されているものがある。
【0003】
【特許文献1】特開平8−38387号公報(図2、図3)
【特許文献2】特開2000−287871号公報(図2)
【特許文献3】特開2006−212190号公報(図1、図3)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1〜3に記載されているタオル掛けは、いずれも、タオルを掛ける掛止バーの基端部を、被取付体ヘの取付部材に水平回動可能に枢着しているのみであり、掛止バー自体も、曲がりにくい単なるバー状のものとなっている。
【0005】
このため、上記のようなタオル掛けを、キッチン台や洗面台等の比較的低い位置に取り付けた際に、掛止バーに物がぶつかったり、幼児のいたずら等により、掛止バーに上下方向の強い力が加わると、それが折れ曲がったり、基端部が破損したり、幼児等がけがをする恐れがある。
【0006】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたもので、掛止バーに上下方向の強い力が加わっても、それが折れ曲がったり、破損したり、けがなどが起こりにくいようにしたタオル掛けを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の請求項1に記載のタオル掛けは、
タオルを掛ける掛止バーの基端部を、被取付体に取付可能な取付部材に水平回動可能に枢着してなるタオル掛けにおいて、
前記掛止バーの長手方向の少なくとも一部に、外力が加わった際に上下方向に弾性変形可能な可撓部を設けたことを特徴としている。
この特徴によれば、掛止バーに上下方向の外力が加わると、可撓部が上下方向に弾性変形するので、係止バーが折れ曲がったり、基端部が破損したり、けがなどが起こりにくくなる。
【0008】
本発明の請求項2に記載のタオル掛けは、請求項1に記載のタオル掛けであって、
前記可撓部を、前記掛止バーの基端部に設けたことを特徴としている。
この特徴によれば、掛止バーは基端部を中心として弾性変形するので、取付部材への枢着部に大きな曲げモーメントが加わることがなく、従って、その部分が破損する恐れが小さくなる。
【0009】
本発明の請求項3に記載のタオル掛けは、請求項2に記載のタオル掛けであって、
前記掛止バーの基端部を中空状として前後に設け、該前後の2部材同士を、互いの中空孔内に弾性部材の両端部を嵌着して連結することにより、前記基端部を前記可撓部としたことを特徴としている。
この特徴によれば、掛止バーの基端部を、簡単に可撓部としうるだけでなく、掛止バーの基端部は、弾性部材が弾性変形することにより容易に撓むことができる。
【0010】
本発明の請求項4に記載のタオル掛けは、請求項3に記載のタオル掛けであって、
前記弾性部材を、ゴムまたはエラストマーとしたことを特徴としている。
この特徴によれば、弾性部材に安価なものを使用しうるとともに、ゴムまたはエラストマーの硬度を選択することにより、掛止バーの可撓部の上下方向の弾性変形量を、タオル掛けの用途に応じて容易に変更することができる。
【0011】
本発明の請求項5に記載のタオル掛けは、請求項3に記載のタオル掛けであって、
前記弾性部材を、引張コイルばねとしたことを特徴としている。
この特徴によれば、上記と同様、弾性部材に安価のものを使用しうるとともに、引張コイルばねは大きく弾性変形しうるので、掛止バーの基端部の上下方向の弾性変形量を大とすることができる。
また、引張コイルばねの線径を選択することにより、可撓部の上下方向の弾性変形量を変更することができる。
【0012】
本発明の請求項6に記載のタオル掛けは、請求項5に記載のタオル掛けであって、
前記引張コイルばねの両端部に、螺旋溝が外周面に形成された小径軸部と大径軸部とからなるばね支持部材を、前記小径軸部の螺旋溝を引張コイルばね内に螺合させて取り付け、かつ両ばね支持部材の前記大径軸部を、前後の2部材の中空孔内に嵌合して固定したことを特徴としている。
この特徴によれば、引張コイルばねの両端部内には、ばね支持部材の小径軸部が螺合され、かつ両ばね支持部材の大径軸部は、掛止バーの基端部の2部材の中空孔内に固定されているので、引張コイルばねが上下方向に大きく撓んでも、これが中空孔より脱落する恐れがない。
【0013】
本発明の請求項7に記載のタオル掛けは、請求項5または6に記載のタオル掛けであって、
前記引張コイルばねにおける前後の2部材よりの露出部の外周面を、可撓性を有する円筒状カバーにより覆ったことを特徴としている。
この特徴によれば、引張コイルばねが上下方向に撓み、コイル間に隙間が形成されても、その隙間に物が挟まったりすることがない。
また、引張コイルばねが外部に露出しないので、見栄えがよくなる。
【0014】
本発明の請求項8に記載のタオル掛けは、請求項1ないし7のいずれかに記載のタオル掛けであって、
前記取付部材を平板状とし、その下面に、前後方向を向く操作レバーの中間部を、後端部に設けた上向き鉤状の係止爪が取付部材より上方に露出するように、かつ前端部に形成した操作部を、下向き付勢手段に抗して上向きに回動操作しうるように、左右方向を向く枢軸により枢着したことを特徴としている。
この特徴によれば、例えばキッチン等の被取付体における天板と、その下方のキャビネットとの間に、操作レバーの係止爪が係合可能な下向きの係合凸部を有する前方に開口する隙間を設けておけば、この隙間に取付部材を前方より嵌合するだけで、ねじ等の固定手段を使用することなく、タオル掛けを着脱可能に容易に取り付けることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態を、図面に基づいて説明する。図1は、本発明のタオル掛けの第1の実施形態と、それを取り付けた被取付体であるキッチン台の斜視図、図2はタオル掛けの側面図、図3は同じく平面図、図4は、図3のIV-IV線の拡大縦断側面図である。
【0016】
タオル掛け1は、前後方向(以下、図2の左方を前として説明する)を向く掛止バー2と、その基端(後端)の左右方向に長い平板状の取付部材3とを備え、掛止バー2は、中空かつ上半部の上面が平坦面をなすアルミニウム等よりなるタオル掛け部4と、このタオル掛け部4の後端に連結された、それよりも大径をなすアルミニウム等よりなるジョイント部5と、このジョイント部5の中間部に設けられた可撓部6と、タオル掛け部4の前端に取り付けられた、タオル掛け部4の上面よりも上向きに突出するエラストマーよりなるキャップ部材7とからなっている。
【0017】
ジョイント部5は、その前端に前向き突設された小径軸部8を、タオル掛け部4の後端部の中空孔内に、その下面と摺接するように嵌合したのち、タオル掛け部4の後端部下面に螺挿した止めねじ9により止着されることで、タオル掛け部4の後端に連結されている。ジョイント部5の前端上部には、図2及び図5にも示すように、タオルTを挟み込む挟持片10が、タオル掛け部4の上面との間に隙間Sが形成されるようにして、前向きに突設されている。
【0018】
キャップ部材7は、その後端に後向き突設された差込片11を、タオル掛け部4の前端部の中空孔内に嵌合したのち、この差込片11に、タオル掛け部4の前端部の下面に螺挿した止めねじ12を、その上端が中空孔の下面に当接するまで挿通させることにより、前方に抜止めされて取り付けられている。
【0019】
上記可撓部6は、以下のように形成されている。図4に示すように、ジョイント部5を前後方向の中央部において分割し、分割した前部ジョイント部5aと後部ジョイント部5bとの対向面に、前後方向を向く有底の中空孔13、13を形成したのち、前部ジョイント部5aと後部ジョイント部5bの中空孔13内に、弾性変形可能なゴムまたはエラストマーよりなる前後方向に長い軸状の弾性部材14における両端部の小径部14a、14aを嵌合する。
【0020】
次いで、前部ジョイント部5aの下面と、後部ジョイント部5bの下端に連設された下向きの支持軸15とに、下方より螺挿した固定ねじ16、16を、それらの上端が中空孔13の上部下面と当接するまで両小径部14a、14aに挿通する。これにより、両小径部14aが中空孔13内に固定された状態で、前部ジョイント部5aと後部ジョイント部5bとが、弾性部材14により連結され、ジョイント部5の前後方向の中間部に、弾性部材14による可撓部6が形成される。なお、固定ねじ16を用いないで、小径部14aを中空孔13に圧嵌するか、または接着剤等により固定してもよい。
【0021】
上記後部ジョイント部5bの支持軸15に形成された小径軸部15aには、取付部材3の前端に連設された上下方向を向く筒部17が、所定の回動角度において回動に僅かな抵抗を付与するためのクリック部材18と、上下1対のL字状断面のスペーサ19、19とを介して、相対回転自在に嵌合され、下部のスペーサ19を、平ワッシャ20を介して上述した固定ねじ16により押さえることにより、取付部材3が小径軸部15aより脱落するのが防止されている。これにより、掛止バー2全体は、取付部材3に対し水平回動することができる。
【0022】
取付部材3の下面には、前後方向を向く操作レバー21の中間部が、左右方向を向く枢軸22により上下に回動可能に枢着されている。操作レバー21の前端部には、側面視U字状断面の操作部23が、また後端部には、上向鉤状の係止爪24が、それぞれ形成されている。操作レバー21は、捩りばね25により、操作部23側を上向きに回動操作しうるように反時計方向に常時付勢され、また係止爪24は、取付部材3の後端部中央に形成された開口26より上方に露出している。
【0023】
取付部材3をこのような構造とすると、図4に示すように、図1に示すようなキッチン台の天板27と、その下方のキャビネット28との間に、取付部材3が挿入可能な前方に開口する隙間29を、左右方向に連続させて形成するとともに、天板27の下面に、係止爪24が係合可能な下向きの係合凸部30を、左右方向に連続させて設けておけば、取付部材3を隙間29内に前方より嵌合するだけで、タオル掛け1を、左右方向の任意の位置に簡単に取り付けることができる。また、操作レバー21の操作部23を上向きに回動操作させて、係止爪24を係合凸部30より離脱することにより、容易に取り外すことができる。
【0024】
以上説明したように、上記第1の実施形態のタオル掛け1においては、掛止バー2の基端部、すなわち、ジョイント部5の中間部に、ゴムまたはエラストマーよりなる弾性部材14を設けて、可撓部6を形成してあるため、掛止バー2に、物がぶつかったり、幼児のいたずら等により、上下方向の外力が加わったとしても、図2の2点鎖線のように、掛止バー2は、可撓部6を中心として上下方向に撓むことができるので、掛止バー2が折れ曲がったり、取付部材3への取付基部が破損したり、幼児等がけがをする恐れがなくなる。
【0025】
図6は、本発明のタオル掛けの第2の実施形態の要部の断面図を示す。なお、上記と同様の部材には、同じ符号を付して、その詳細な説明は省略する。
【0026】
この第2の実施形態のタオル掛け1は、上記と同様のジョイント部5の中間部に、引張コイルばね31よりなる可撓部32を設けたものである。すなわち、まず引張コイルばね31の前後の端部内に、前後のばね支持部材33、33における小径軸部33aを、その外周面に形成した引張コイルばね31と等ピッチの螺旋溝34を螺合させることにより、抜止めして嵌合する。
【0027】
次いで、両ばね支持部材33、33の大径軸部33aと、小径軸部33bと反対方向に突出する小径軸部33cとを、それぞれ、前部ジョイント部5aと後部ジョイント部5bに形成された大径孔35と、それに連続する小径孔36とに嵌合する。
【0028】
前部側のばね支持部材33は、小径軸部33cに向かって、前部ジョイント部5aの下面より止めねじ38を螺挿することにより、抜止めされている。後部側のばね支持部材33は、大径軸部33bに穿設された上下方向を向く貫通孔39に、上記と同様の固定ねじ16を挿通させることにより、抜け止めされている。なお、前部側のばね支持部材33も、後部側のそれと同様に、大径軸部33bに止めねじを挿通させて抜け止めしてもよい。
【0029】
これにより、前部ジョイント部5aと後部ジョイント部5bとが、弾性部材である引張コイルばね31により連結され、ジョイント部5の前後方向の中間部に、引張コイルばね31による可撓部32が形成される。
【0030】
引張コイルばね31におけるジョイント部5よりの露出部は、前部ジョイント部5aにおける大径孔35の開口部に形成された拡径孔40に前端部が嵌合された、ゴムまたはエラストマーよりなる弾性変形可能な円筒状カバー41により覆われている。
【0031】
この第2の実施形態のタオル掛け1においても、掛止バー2は、可撓部32を中心として上下方向に撓むことができるので、掛止バー2が折れ曲がったり、取付部材3への取付基部が破損したり、幼児等がけがをする恐れがなくなる。
【0032】
しかも、第2の実施形態では、可撓部32を、大きく弾性変形可能な引張コイルばね31により形成しているので、掛止バー2の基端部の上下方向の弾性変形量を大とすることができるとともに、引張コイルばね31の線径を選択することにより、可撓部32の上下方向の弾性変形量を、用途に応じて容易に変更することができる。
【0033】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。
【0034】
上記実施形態では、掛止バー2を、タオル掛け部4とジョイント部5とキャップ部材7との、3部材により形成しているが、一体的に形成してもよい。この際には、基端部を分割して、その部分に可撓部6、32を設ければよい。
【0035】
可撓部6、32の位置は、基端部以外でもよく、また掛止バー2全体を可撓性を有するようにすることもある。
【0036】
取付部材3の形状は、実施形態のものに限定されるものではなく、例えば壁面等にねじ等により取り付け可能な形状としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の第1の実施形態のタオル掛けを取り付けたキッチン台の斜視図である。
【図2】同じく、タオル掛けの側面図である。
【図3】同じく、平面図である。
【図4】図3のIV-IV線の拡大縦断側面図である。
【図5】図4のV-V線の拡大縦断面図である。
【図6】本発明の第2の実施形態のタオル掛けの要部の縦断側面図である。
【符号の説明】
【0038】
1 タオル掛け
2 掛止バー
3 取付部材
4 タオル掛け部
5 ジョイント部
5a 前部ジョイント部
5b 後部ジョイント部
6 可撓部
7 キャップ部材
8 小径軸部
9 止めねじ
10 挟持片
11 差込片
12 止めねじ
13 中空孔
14 弾性部材
14a 小径部
15 支持軸
15a 小径軸部
16 固定ねじ
17 筒部
18 クリック部材
19 スペーサ
20 平ワッシャ
21 操作レバー
22 枢軸
23 操作部
24 係止爪
25 捩りばね
26 開口
27 天板
28 キャビネット
29 隙間
30 係合凸部
31 引張コイルばね
32 可撓部
33 ばね支持部材
33a 小径軸部
33b 大径軸部
33c 小径軸部
34 螺旋溝
35 大径孔
36 小径孔
38 止めねじ
39 貫通孔
40 拡径孔
41 円筒状カバー
S 隙間
T タオル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タオルを掛ける掛止バーの基端部を、被取付体に取付可能な取付部材に水平回動可能に枢着してなるタオル掛けにおいて、
前記掛止バーの長手方向の少なくとも一部に、外力が加わった際に上下方向に弾性変形可能な可撓部を設けたことを特徴とするタオル掛け。
【請求項2】
前記可撓部を、前記掛止バーの基端部に設けたことを特徴とする請求項1記載のタオル掛け。
【請求項3】
前記掛止バーの基端部を中空状として前後に設け、該前後の2部材同士を、互いの中空孔内に弾性部材の両端部を嵌着して連結することにより、前記基端部を前記可撓部としたことを特徴とする請求項2に記載のタオル掛け。
【請求項4】
前記弾性部材を、ゴムまたはエラストマーとしたことを特徴とする請求項3に記載のいずれかに記載のタオル掛け。
【請求項5】
前記弾性部材を、引張コイルばねとしたことを特徴とする請求項3に記載のタオル掛け。
【請求項6】
前記引張コイルばねの両端部に、螺旋溝が外周面に形成された小径軸部と大径軸部とからなるばね支持部材を、前記小径軸部の螺旋溝を引張コイルばね内に螺合させて取り付け、かつ両ばね支持部材の前記大径軸部を、前後の2部材の中空孔内に嵌合して固定したことを特徴とする請求項5に記載のタオル掛け。
【請求項7】
前記引張コイルばねにおける前後の2部材よりの露出部の外周面を、可撓性を有する円筒状カバーにより覆ったことを特徴とする請求項5または6に記載のタオル掛け。
【請求項8】
前記取付部材を平板状とし、その下面に、前後方向を向く操作レバーの中間部を、後端部に設けた上向き鉤状の係止爪が取付部材より上方に露出するように、かつ前端部に形成した操作部を、下向き付勢手段に抗して上向きに回動操作しうるように、左右方向を向く枢軸により枢着したことを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載のタオル掛け。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−225960(P2009−225960A)
【公開日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−74092(P2008−74092)
【出願日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【出願人】(000002222)サンウエーブ工業株式会社 (196)