説明

タッチパネルセンサ

【課題】透明電極パターンが形成されたフィルムに生じるうねりを小さくすることができる、静電容量方式のタッチパネルセンサを提供する。
【解決手段】本発明に係るタッチパネルセンサは、第1フィルムと、この第1フィルム上に形成された第1透明電極パターンと、この第1透明電極パターンを覆うように第1フィルム上に積層された第1接着層と、この第1接着層上に積層された第2フィルムと、この第2フィルム上に積層された第2接着層と、前記第2接着層上に積層された第3フィルムと、この第3フィルム上に形成された第2透明電極パターンと、を備え、第2フィルムと第2接着層との合計の厚さDa、及び第1透明電極パターンと第2透明電極パターンとの距離Dbで規定される、Da/Dbが0.5〜0.9である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タッチパネルセンサに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、タッチパネルセンサの需要は大きく増大し、それに伴って種々のタッチパネルセンサが提案されている。特に、静電容量方式のタッチパネルセンサについては多数の提案がなされており、例えば、特許文献1には、下部電極パターンが形成された下部基板と、第1の粘着剤層と、上部電極パターンが形成された上部基板と、第2の粘着剤層と、表面部材(カバーレンズともいう)とがこの順に積層された静電容量方式のタッチパネルセンサが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−170511号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のようなタッチパネルセンサでは,次のような問題があった。すなわち、上部基板として薄いフィルムを用いると、透明電極のある部分と無い部分とでフィルムの収縮挙動が異なるために、うねり(waviness)が生じることがある。このようなうねりは、例えば、高さ30nmの透明電極パターンを形成したときには、透明電極のある部分と無い部分とで約1.5μmもの高低差が生じ、製品としての外観性状が大きく低下するという問題があった。
【0005】
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、透明電極パターンが形成されたフィルムに生じるうねりを小さくすることができる、静電容量方式のタッチパネルセンサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るタッチパネルセンサは、第1フィルムと、前記第1フィルム上に形成された第1透明電極パターンと、前記第1透明電極パターンを覆うように前記第1フィルム上に積層された第1接着層と、前記第1接着層上に積層された第2フィルムと、前記第2フィルム上に積層された第2接着層と、前記第2接着層上に積層された第3フィルムと、前記第3フィルム上に形成された第2透明電極パターンと、を備え、前記第2フィルムと前記第2接着層との合計の厚さDa、及び前記第1透明電極パターンと前記第2透明電極パターンとの距離Dbで規定される、Da/Dbが0.5〜0.9である。
【0007】
この構成によれば、第2透明電極パターンが積層される第3フィルムを、第2接着層を介して第2フィルムによって支持しているため、第3フィルムの厚さが小さい場合でも、透明電極パターンの形成時に生じるうねりを小さくすることができる。また、第2フィルムと第2接着層との合計の厚さDa、及び第1透明電極パターンと第2透明電極パターンとの距離Db、で規定されるDa/Dbを、0.5〜0.9としているため、第3フィルムの厚さを小さくしても、Dbの距離を適度に保つことができるため、タッチパネルセンサのタッチ感度を高めることができる。すなわち、うねりの低減とタッチ感度の向上の両立が可能となる。なお、Da/Dbが0.5未満である場合には、うねりによって、透明電極のある部分と無い部分との高低差が0.7μm以上となることがあり、製品性状として採用できないおそれがある。
【0008】
上記タッチパネルセンサにおいては、Daが、50〜240μmであることが好ましい。
【0009】
また、上記タッチパネルセンサにおいては、Dbが、100〜300μmであることが好ましい。
【0010】
上記タッチパネルセンサにおいては、第2透明電極パターンを覆うように第3フィルム上に積層された第3接着層と、この第3接着層上に積層された保護層と、をさらに備えることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係るタッチパネルセンサによれば、透明電極パターンが形成されたフィルムに生じるうねりを小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施形態に係るタッチパネルセンサの断面図である。
【図2】実施例におけるうねりの測定を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係るタッチパネルセンサの一実施形態について図面を参照しつつ説明する。図1は、このタッチパネルセンサの断面図である。なお、以下では、説明の便宜上、図1の上側を「上」、下側を「下」として説明を行うが、各部材の配置される位置、向きなどは、これに限定されない。
【0014】
本実施形態に係るタッチパネルセンサは、静電容量方式のタッチパネルに用いられるセンサであり、図1に示すように、3層のフィルムを接着層を介して積層したものである。具体的には、第1フィルム1、この第1フィルム1上に形成された第1透明電極パターン10、この第1透明電極パターン10を埋設するように第1フィルム上に積層された第1接着層11、第1接着層11上に積層された第2フィルム2、第2フィルム2上に積層された第2接着層21、第2接着層21上に積層された第3フィルム3、及び第3フィルム3上に形成された第2透明電極パターン20を有する。さらに、第2透明電極パターン20を埋設するように第3フィルム3上には第3接着層31が積層され、その上にはさらにカバーレンズ4が配置されている。
【0015】
このタッチパネルセンサでは、以下のように寸法を設定することができる。まず、第2フィルム2と第2接着層21の合計厚さDaを適度に大きくすることが好ましい。これは、Daが大きくなることで、第3フィルム3を強固に支持できるため、後述するように、第2透明電極パターン20の形成時に発生するうねりを小さくすることができるためである。このような観点から、Daは、50〜240μmとすることが好ましく、55〜200μmとすることがさらに好ましい。また、第1透明電極パターン10と第2透明電極パターン20との距離Dbを適度に大きくすることが好ましい。これは、Dbが大きくなると、両透明電極パターン10、20間の静電容量が小さくなり、その結果、指がカバーレンズ4に触れた際に生じる静電容量の変化率が大きくなるため、タッチの有無をより確実に検出しやすくなるからである。このような観点から、Dbは、100〜300μmとすることが好ましく、110〜250μmとすることがさらに好ましい。なお、Da,Dbが大きすぎると、タッチパネルセンサが厚くなり、適切ではないため、上記のように設定することが好ましい。さらに、第2透明電極パターン20の形成時のうねりを防止するという観点から、第2フィルム2、第2接着層21、及び第3フィルム3の合計層さDcを75〜250μmとすることが好ましく、100〜200μmとすることがさらに好ましい。そして、上述したDa及びDbに関し、うねりの低減とタッチ感度向上の両立のため、Da/Dbを0.5〜0.9とすることが好ましく、0.6〜0.8とすることがさらに好ましい。
【0016】
次に、上記タッチパネルセンサを構成する各層について説明する。
(1)フィルム
上述した第1及び第3フィルム1,3は、それぞれ第1及び第2透明電極パターン10,20を支持するものである。これらの厚さは薄い方がよく、それぞれ、15〜55μmであることが好ましく、20〜30μmであることがさらに好ましい。このように厚さを薄くすることで、透明電極の成膜条件が良くなり、電気伝導性や品質に優れた透明電極パターンが得ることができる。
【0017】
また、上述した第2フィルム2は、第1及び第2透明電極パターン10,20間の距離Dbを適度に保つために、上記第3フィルムよりも大きいことが好ましい。具体的には、上記第2フィルム2の厚さは、30〜230μmであることが好ましく、40〜200μmであることがさらに好ましい。また、第2フィルム2の1MHzにおける誘電率は、タッチ感度を高める観点から小さいほうがよく、2〜3であることが好ましい。
【0018】
上記第1、第2、及び第3フィルム1,2,3は、種々の材料で形成できるが、例えば、ポリエチレンテレフタレート(3.2)、ポリシクロオレフィン(2.3)またはポリカーボネート(2.9)を用いることが好ましい。括弧内の数値は、各材料の1MHzにおける誘電率を表す。また、各フィルム1,2,3の片面または両面には易接着層やハードコート層を形成することもできる。なお、各フィルム1,2,3を形成する材料はそれぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよい。
【0019】
(2)透明電極パターン
上述した第1及び第2透明電極パターン10、20は、タッチ位置を検出するためのセンサである。各透明電極パターン10、20は、通常、フィルム端部に形成された引き回し配線(図示せず)に電気的に接続され、上記引き回し配線は、コントローラlC(図示せず)と接続される。このような第1及び第2透明電極パターン10、20は、例えば、いずれか一方をX座標用の電極とし、もう−方をY座標用の電極として、格子状に配置することができる。また、各透明電極パターン10、20の形状は、ストライプ状やひし形状など任意の形状にすることができる。
【0020】
また、各透明電極パターン10、20は、代表的には、透明導電体により形成される。透明導電体は、可視光領域(380〜780nm)で透過率が高く(80%以上)、且つ単位面積当りの表面抵抗値(Ω/□:ohms per square)が500Ω/口以下である材料である。具体的には、例えば、インジウムスズ酸化物、インジウム亜鉛酸化物、酸化インジウム−酸化亜鉛複合酸化物を用いることができる。上記透明電極パターンを形成する透明導電体が、インジウムスズ酸化物である場合、当該透明導電体の表面抵抗値は、好ましくは300Ω/□以下であり、さらに好ましくは200〜300Ω/□である。このような表面抵抗値を有する透明導電体は、例えば、酸化インジウムを97重量パーセント、酸化スズを3.3重量%含むインジウムスズ酸化物を、厚み15〜55μmのフィルム上に成膜し、得られたインジウムスズ酸化物層を加熱処理して結晶化させることにより、得ることができる。また、各透明電極パターン10、20の高さは、10〜100nmであることが好ましく、10〜50nmであることがさらに好ましい。各透明電極パターン10、20は、種々の方法で形成することができる。例えば、まず、フィルムに対して、スパッタ法または真空蒸着法により透明導電体層を形成する。その後、形成した透明導電体層を、エッチング処理によりパターニングすることで、透明電極パターンを形成するといった方法を挙げることができる。
【0021】
(3)接着層
上記第1及び第3接着層11,31は、上述したように、各透明電極パターン10、20を埋設するものであり、感圧接着剤(粘着剤ともいう)を用いることができる。感圧接着剤は、例えば、アクリル系粘着剤を用いることが好ましい。また、市販の光学透明粘着剤(OCA:Optical Clear Adhesive)から適宜選択して用いることもできる。第1接着層11の厚さは、例えば、10〜50μmであることが好ましく、第3接着層31の厚さは、例えば、10〜200μmであることが好ましい。一方、第2接着層21は、感圧接着剤に加え、硬化接着剤を用いることもできる。第2接着層21として感圧接着剤を用いる場合、その貯蔵弾性率は、0.1〜10MPaであることが好ましい。このような弾性率を有することにより、耐収縮性が向上し、より一層うねりを小さくすることができる。感圧接着剤としては、第1及び第3接着層11,31と同じ材料を用いることができる。また、硬化接着剤は、例えば、積層するフィルムに悪影響がないような温度で硬化できる点で、活性エネルギー線硬化型接着剤を用いることが好ましく、紫外線硬化型接着剤層を用いることがさらに好ましい。第2接着層21の厚みは、感圧接着剤層である場合は、例えば、15〜50μmであることが好ましく、硬化接着剤層である場合は、例えば、0.1〜10μmであることが好ましい。
【0022】
(4)カバーレンズ
上記カバーレンズ4は、タッチパネルセンサの最表面に配置され、当該タッチパネルセンサを外部からの衝撃や擦れから保護するための保護層として用いられる。上記カバーレンズは4、一般的には、使用者がその表面をタッチすることで入力操作を行う入力領域と、その周囲に加飾印刷により形成された非透光性の非入力領域を有する。カバーレンズ4を形成する材料は、例えば、プラスチックやガラスであり、その厚みは、例えば、0.5〜1.5mmとすることができる。
【0023】
次に、上述したタッチパネルの製造方法の一例について説明する。まず、第3フィルム3の上面に透明導電体層を形成する。次に、この第3フィルム3の下面に、第2接着剤21を塗布し、この接着剤21を介して第2フィルム2を積層する。続いて、第3フィルム3上の透明導電体層にエッチングを施すことで、例えば、ストライプ状の第2透明電極パターン20を形成する。その後、この第2透明電極パターン20が埋設するように第3フィルム3の上面に第3接着剤31を塗布し、この接着剤31を介してカバーレンズ4を配置する。これと並行して、第1フィルム1の上面に透明導電体層を積層し、エッチングを施すことで、例えば、ストライプ状の第1透明電極パターン10を第1フィルム1上に形成しておく。なお、このストライプのパターンは、第2透明電極パターン20とは、直交するものである。これに続いて、透明電極パターン10が形成された第1フィルム1の上面に、第1透明電極パターン10が埋設するように第1接着層11を塗布し、これを第2フィルム2の下面に接着する。こうして、完成したタッチパネルセンサは、種々の用途に適用され、例えば、スマートフォンや,タブレット端末(Slate PCともいう)等に用いることができる。この場合、各透明電極パターン10,20に引き回し配線が適宜接続され、ディスプレイ上に配置される。
【0024】
上記のように構成されたタッチパネルセンサは、次のように用いられる。すなわち、カバーレンズ4のいずれかの位置を指でタッチすると、その位置における第1透明電極パターン10と第2透明電極パターン20との間の静電容量が変化する。すなわち、ストライプ状に形成された各パターンのいずれかの静電容量が変化するため、静電容量が変化した各パターンの交点がタッチされた位置であることを演算することができる。
【0025】
以上のように、本実施形態によれば、第2透明電極パターン20が積層される第3フィルム3を、第2接着層21を介して第2フィルム2によって支持しているため、第3フィルム3の厚さが小さい場合でも、透明電極パターン20の形成時に生じるうねりを小さくすることができる。また、第2フィルム2と第2接着層21との合計の厚さDa、及び第1透明電極パターン10と第2透明電極パターン20との距離Db、で規定されるDa/Dbを、0.5〜0.9としているため、第3フィルム3の厚さを小さくしても、Dbの距離を適度に保つことができるため、タッチパネルセンサのタッチ感度を高めることができる。その結果、うねりの低減とともに、タッチ感度の向上も可能となる。
【0026】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて、種々の変更が可能である。例えば、透明電極パターンの態様は、ストライプ以外でも種々の態様が可能であり、要求される機能、性能に応じて種々のパターンが可能である。
【実施例】
【0027】
以下、本発明の実施例について説明する。但し、本発明は、以下の実施例に限定されない。以下では、上記実施形態で示した形態を有する3種類の実施例と、第2フィルム及び第2接着層を設けない比較例を作製した。
【0028】
(1)実施例1
酸化インジウム97重量%、酸化スズ3.3重量%の焼結体ターゲットを備えるスパッタ装置を準備した。次に、厚み25μmのポリエチレンテレフタレートからなる第3フィルム上に、上記スパッタ装置を用いて厚み27nmのインジウムスズ酸化物層を形成した。そして、このインジウムスズ酸化物層は、140℃の加熱オーブンで30分間加熱処理をして結晶化させた。得られたインジウムスズ酸化物層の表面抵抗値を4端子法で測定したところ、270Ω/□であり、優れた電気伝導性を示した。
【0029】
次に、上記第3フィルムのインジウムスズ酸化物層とは反対側の面に、厚み25μmのアクリル系粘着剤からなる第2接着層を積層した。そして、この第2接着層を介して第3フィルムに厚み125μmのポリエチレンテレフタレートからなる第2フィルムを積層した。続いて、上記インジウムスズ酸化物層の表面に、ストライプ状パターンのフオトレジストを形成した後、塩酸に浸漬してエッチング処理を施した。そして、120℃で5分間乾燥させることで、高さ27nm,幅2mm,ピッチ6mmのストライプ状の第2透明電極パターンを形成した。
【0030】
次に、上記第3フィルムにおいて、第2透明電極パターンが形成されている側に、当該透明電極パターンが埋設するように、厚み100μmのアクリル系粘着剤からなる第3接着層を塗布し、これを介してカバーレンズを積層した。
【0031】
上記工程と並行して、ポリエチレンテレフタレートからなる第1フィルム上に、上記第3フィルムと同様に、インジウムスズ酸化物層を形成した。そして、上記と同様の方法で、インジウムスズ酸化物にエッチングを施し、第1透明電極パターンを形成した。但し、第2透明電極パターンとはストライプパターンが直交するように形成した。続いて、この第1フィルムに、第1透明電極パターンが埋設するように厚み25μmのアクリル系粘着剤からなる第1接着層を塗布し、この第1接着層を、上述した第2フィルムの下面、つまり第2接着層が積層されている側とは反対側の面に接着した。
【0032】
このようにして得られたタッチパネルセンサは、第2フィルムと第2接着層の厚みの合計Daが150μmであり、第1透明電極パターンと第2透明電極パターンとの距離Dbが200μmであった。したがって、Da/Dbは0.75であった。なお、これらDa,Dbのほか、各部材の膜厚は、膜厚計(Peacock社製デジタルダイアルゲージDG−205)を用いて測定した。
【0033】
(2)実施例2
実施例1との相違は、第2フィルムの厚みだけであり、これ以外は、実施例1と同様の方法でタッチパネルセンサを作製した。第2フィルムの厚みは100μmとした。したがって、Daは125μm、Dbは175μm、Da/Dbは0.71であった。
【0034】
(3)実施例3
実施例1との相違は、第2フィルムの厚みだけであり、これ以外は、実施例1と同様の方法でタッチパネルセンサを作製した。第2フィルムの厚みは50μmとした。したがって、Daは75μm、Dbは125μm、Da/Dbは0.6であった。
【0035】
(4)比較例
実施例1との相違は、第2フィルム及び第2接着剤が設けられていないことである。製造方法としては、第3フィルムにインジウムスズ酸化物層を形成した後、第2フィルムを積層することなくエッチングを施して第2透明電極パターンを形成した。その後、第1接着層を介して、第1透明電極パターンが形成された第1フィルムを第3フィルムの下面に積層した。したがって、Daは0μmとなり、Dbは50μmとなるので、Da/Dbは0となる。
【0036】
(5)うねりの測定
上記各実施例及び比較例において、第2透明電極パターンが形成された時点で、うねりを測定した。すなわち、実施例1〜3については、第2透明電極パターン、第2及び第3フィルム,及び第2接着層で形成されたフィルム積層体、比較例については第2透明電極パターンと第3フィルムで形成されたフィルム積層体を平坦なテーブル上に配置し、図2に示すように、透明電極パターンのある部分と無い部分との高低差を、光学式プロファイロメーター(Veecolnstruments社製Optical ProfilometerNT3300)を用いて測定した。結果は、以下の通りである。
【表1】

【0037】
上記実施例1〜3によれば、Daが大きくなるほど、厚さの小さい第3フィルムをしっかりと支持できているため、比較例と比べると、高低差が1/3以下に小さくなっているのが分かる。また、Daの厚さに伴って、Dbも大きくなるため、両透明電極パターン間の距離も大きくなる。そのため、指がカバーレンズに触れた際に生じる静電容量変化の変化率が大きくなり、タッチ感度を向上できることが分かる。そして、実施例1〜3では、Da,Dbにより規定されるDa/Dbが、上述した0.5〜0.9の範囲内となっているため、うねりの減少とタッチ感度の向上を両立できることが分かる。
【符号の説明】
【0038】
1 第1フィルム
11 第1接着層
2 第2フィルム
21 第2接着層
3 第3フィルム
31 第3接着層
10 第1透明電極パターン
20 第2透明電極パターン
4 カバーレンズ(保護層)


【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1フィルムと、
前記第1フィルム上に形成された第1透明電極パターンと、
前記第1透明電極パターンを覆うように前記第1フィルム上に積層された第1接着層と、
前記第1接着層上に積層された第2フィルムと、
前記第2フィルム上に積層された第2接着層と、
前記第2接着層上に積層された第3フィルムと、
前記第3フィルム上に形成された第2透明電極パターンと、を備え、
前記第2フィルムと前記第2接着層との合計の厚さDa、及び前記第1透明電極パターンと前記第2透明電極パターンとの距離Dbで規定される、Da/Dbが0.5〜0.9である、タッチパネルセンサ。
【請求項2】
前記Daが、50〜240μmである、請求項1に記載のタッチパネルセンサ。
【請求項3】
前記Dbが、100〜300μmである、請求項1または2に記載のタッチパネルセンサ。
【請求項4】
前記第2透明電極パターンを覆うように前記第3フィルム上に積層された第3接着層と、
前記第3接着層上に積層された保護層と、
をさらに備えている、請求項1から3のいずれかに記載のタッチパネルセンサ。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2013−89181(P2013−89181A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−231969(P2011−231969)
【出願日】平成23年10月21日(2011.10.21)
【出願人】(000003964)日東電工株式会社 (5,557)
【Fターム(参考)】