説明

タッチパネル用タッチセンサー

【課題】静電容量方式を用いたタッチパネルのタッチセンサーとして好適であり、ディスプレイの外観を損ねることなく、かつ製造歩留まりの高いタッチパネル用タッチセンサーを提供する。
【解決手段】粘着剤層を介して2枚の光透過性導電材料が対向するように配置されたタッチパネル用タッチセンサーであって、前記光透過性導電材料は基材上に金属細線の厚みが1.25μm以下の金属メッシュパターンを有し、前記粘着剤層を構成する粘着剤組成物の23℃における貯蔵弾性率が1×10Pa以下である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タッチパネルに用いられるタッチセンサー、特に投影型静電容量方式タッチパネルに好適に用いられるタッチセンサーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
パーソナル・デジタル・アシスタント(PDA)、ノートPC、OA機器、医療機器、あるいはカーナビゲーションシステム等の電子機器においては、これらのディスプレイに入力手段としてタッチパネルが広く用いられている。
【0003】
タッチパネルには、位置検出の方法により光学方式、超音波方式、静電容量方式、抵抗膜方式などがある。抵抗膜方式のタッチパネルは、光透過性導電材料と透明導電体層付ガラスとがスペーサーを介して対向配置されており、光透過性導電材料に電流を流し光透過性導電層付ガラスに於ける電圧を計測するような構造となっている。一方、静電容量方式のタッチパネルは、基材上に透明導電体層を有するものを基本的構成とし、可動部分がないことが特徴であり、高耐久性、高透過率を有するため、例えば車載用途等において適用されている。
【0004】
タッチパネル用途の透明電極(光透過性導電材料)としては、一般にITOからなる光透過性導電膜が基材上に形成されたものが使用されてきた。しかしながらITO導電膜は屈折率が大きく、光の表面反射が大きいため、全光線透過率が低下する問題や、可撓性が低いため屈曲した際にITO導電膜に亀裂が生じて電気抵抗値が高くなる問題があった。
【0005】
また、光透過性導電膜を有する導電材料に求められる性能として導電性と光透過率があるが、ITO等の導電体薄膜を形成させる場合、導電性を高くするにはある程度の膜厚の導電体薄膜が必要であり、それによって透過率が低下するという問題がある。従って、導電性が高くかつ光透過率が高い光透過性導電材料を製造するため、近年は光透過性基材上に金属細線をメッシュパターン状に形成し、金属細線の線幅や間隔、さらにはパターン形状などを調整することにより、高い光線透過率を維持し、高い導電性を付与した光透過性導電材料が知られている。
【0006】
金属細線をメッシュパターン状に形成する光透過性導電材料として、基板上に薄い触媒層を形成し、その上にレジストパターンを形成した後、めっき法によりレジスト開口部に金属層を積層し、最後にレジスト層及びレジスト層で保護された下地金属を除去することにより導電性パターンを形成するセミアディティブ方法が、例えば特開2007−287994号公報、特開2007−287953号公報などに開示されている。
【0007】
また近年、銀塩拡散転写法を用いた銀塩写真感光材料を導電性材料前駆体として用いる方法も提案されている。例えば特開2003−77350号公報、特開2005−250169号公報や特開2007−188655号公報等では、基材上に物理現像核層とハロゲン化銀乳剤層を少なくともこの順に有する導電性材料前駆体に、可溶性銀塩形成剤及び還元剤をアルカリ液中で作用させて、金属銀パターンを形成させる技術が開示されている。この方式によるパターニングは均一な線幅を再現することができることに加え、銀は金属の中で最も導電性が高いため、他方式に比べ、より薄い膜厚で高い導電性を得ることができる。さらにこの方法で得られた銀パターン膜はITO導電膜よりも可撓性が高く折り曲げに強いという利点がある。
【0008】
静電容量方式の中でも投影型静電容量方式を用いたタッチパネルは、複数の電極が同一平面上にパターニングされた光透過性導電材料を2枚粘着剤で貼り合わせることでタッチセンサーを製造している。しかし、電極がパターニングされた光透過性導電材料として金属メッシュパターンを用いた場合、金属細線の厚みにより光線が乱反射することなどにより、タッチパネルを通して見たディスプレイの外観を損ねることがあるという問題があった。こうした問題は金属メッシュパターンの細線の厚みを薄くすることで改善できる。しかしながら粘着剤で張り合わせる前後で、光透過性導電材料の導電性に変化が生じることがあり、タッチパネル用タッチセンサーとして使用できなくなる場合があり改良が求められていた。
【0009】
一方、特許文献1には、重、軽剥離フィルムの剥離力差が大きい基材レス両面粘着シートに用いる粘着剤として、特定の貯蔵弾性率を有する粘着剤が記載され、特許文献2には段差吸収性と耐久性に優れた光学部材貼り合わせ粘着シートの粘着剤層が、特定の貯蔵弾性率を有することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2010−168425号公報
【特許文献2】特開2010−77287号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の課題は、ディスプレイの外観を損ねることがなく、かつ製造歩留まりの高いタッチパネル用タッチセンサーを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の上記課題は、以下の発明によって達成される。
(1)粘着剤層を介して2枚の光透過性導電材料が対向するように配置されたタッチパネル用タッチセンサーであって、前記光透過性導電材料は基材上に金属細線の厚みが1.25μm以下の金属メッシュパターンを有し、前記粘着剤層を構成する粘着剤組成物の23℃における貯蔵弾性率が1×10Pa以下であることを特徴とするタッチパネル用タッチセンサー。
【発明の効果】
【0013】
本発明により、ディスプレイの外観を損ねることがなく、かつ製造歩留まりの高いタッチパネル用タッチセンサーを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の光透過性導電材料が有する電極パターンの一例
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0016】
本発明のタッチパネル用タッチセンサーが有する光透過性導電材料は基材上に金属メッシュパターンを有している。金属メッシュパターンとしては金属細線を辺とする公知の形状を用いることができ、例えば正三角形、二等辺三角形、直角三角形などの三角形、正方形、長方形、菱形、平行四辺形、台形などの四角形、(正)六角形、(正)八角形、(正)十二角形、(正)二十角形などの(正)n角形、円、楕円、星形などを組み合わせた模様でありこれらの単位の単独の繰り返しあるいは2種類以上の組み合わせパターンなどを用いることができる。また、辺が直線でなくとも例えばジグザグ線、波線などで構成されていても良い。さらに特開2002−223095号公報で開示されているような、ストライプ状、煉瓦積み模様状のパターンも用いることができる。本発明ではこれらいずれの形状も用いることができるが、好ましくは正方形、正三角形、正六角形である。
【0017】
本発明において金属メッシュパターンの細線間隔は単位図形が正方形の場合、その正方形の1辺の長さとする。また単位図形が正方形でない場合は、その単位図形と同じ面積になる正方形を算出し、その1辺の長さをその単位図形での細線間隔とする。金属メッシュパターンの細線間隔は400μm以下が好ましい。また金属メッシュパターンの金属細線の線幅は20μm以下が好ましく、より好ましくは1〜15μm、さらに好ましくは1〜10μmである。こうした金属メッシュパターンが設けられた面(導電部)のシート抵抗はJIS K7134の四端子法(端子間隔5mm)で測定した際の値で500Ω/□以下であることが好ましく、より好ましくは200Ω/□以下であり、さらに100Ω/□以下が好ましい。
【0018】
図1に本発明の光透過性導電性材料が有する金属メッシュにより構成される電極パターンの一例を示す。図1において、aは金属メッシュパターン部(導電部)、bは電極端子部、cは非画像部(非導電部)である。本発明のタッチパネル用タッチセンサーは、粘着剤層を介して2枚の光透過性導電材料が対向するように配置されるが、その際一方の光透過性導電材料が有する非画像部cに、もう一方の光透過性導電材料が有する金属メッシュパターン部aが位置するように配置される。図1では一方の光透過性導電材料が有する電極パターンの一例をパターン1として、もう一方の光透過性導電材料が有する電極パターンの一例をパターン2として示した。
【0019】
本発明において金属メッシュパターンは金、銀、銅、ニッケル、アルミニウム、及びこれらの複合材からなることが好ましい。これら金属メッシュパターンを形成する方法としては、銀塩感光材料を用いる方法、同方法を用いさらに得られた銀画像に無電解めっきや電解めっきを施す方法、スクリーン印刷法を用いて銀ペーストなどの導電性インキを印刷する方法、銀インクなどの導電性インクをインクジェット法で印刷する方法、あるいは蒸着やスパッタなどで導電性層を形成し、その上にレジスト膜を形成し、露光、現像、エッチング、レジスト層除去することで得る方法、銅箔などの金属箔を貼り、さらにその上にレジスト膜を形成し、露光、現像、エッチング、レジスト層除去することで得る方法など、公知の方法を用いることができる。中でも製造される金属メッシュパターンの厚みが薄くでき、さらに極微細な金属パターンも容易に形成できる銀塩感光材料を用いる方法が好ましい。この銀塩感光材料を用いる方法としては、特開2003−77350号公報、特開2005−250169号公報、特開2007−188655号公報、特開2007−129205号公報、特開2008−153596号公報等を挙げることができるが、中でも特開2003−77350号公報、特開2005−250169号公報や特開2007−188655号公報に記載されるような銀塩拡散転写法を用いた場合、金属メッシュパターンの厚みを薄くすることができ、特に好ましい。
【0020】
これらの手法で作製した金属メッシュパターンの厚み(金属細線の厚み)は、厚過ぎると光透過性導電材料を張り合わせタッチセンサーとしたとき、金属細線の厚みにより光線が乱反射することなどにより、タッチパネルを通して見たディスプレイの外観を損ねる場合があり、また薄すぎるとタッチパネルとして必要な導電性を確保し難くなる。よって、その厚みは1.25μm以下であることが必要であり、0.05〜1μmが好ましく、より好ましくは0.1〜0.5μmである。
【0021】
本発明の光透過性導電材料に用いる基材としては、プラスチック、ガラス、ゴム、セラミックス等が好ましく用いられる。これら基材は全光線透過率が60%以上であるものが好ましい。プラスチックの中でも、フレキシブル性を有する樹脂フィルムは、取扱い性が優れている点で好適に用いられる。基材として使用される樹脂フィルムの具体例としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、フッ素樹脂、シリコーン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ジアセテート樹脂、トリアセテート樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリスルフォン樹脂、ポリエーテルスルフォン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、環状ポリオレフィン樹脂等からなる厚さ50〜300μmの樹脂フィルムが挙げられる。基材には易接着層など公知の層が設けられていても良い。
【0022】
本発明の光透過性導電材料は基材とその上に位置する金属メッシュパターン以外にも、ハードコート層、反射防止層、粘着層、防眩層など公知の層を金属メッシュパターンの上(基材から遠い側)、あるいは基材のメッシュパターンとは反対の側に設けることができる。また、基材と金属メッシュパターンとの間に、物理現像核層、易接着層、接着剤層など公知の層を設けることができる。
【0023】
本発明における粘着剤層について説明する。粘着剤層は粘着剤を主成分とする粘着剤組成物により構成され、光透過性導電材料を張り合わせるために用いられる。ここで主成分とは粘着剤層の全固形分の50質量%以上が粘着剤であることを意味し、好ましくは65質量%以上、より好ましくは85質量%以上である。粘着剤層の厚みは特に限定されないが、2枚とも導電面側を粘着剤層側に配置する場合はそれぞれの光透過性導電材料の間に導通がない状態を保持するための厚みは必要である。また、厚みがありすぎると2枚の光透過性導電材料の電極パターンに距離ができ目視すると違和感を覚え、タッチセンサーとして外観を損ねる場合がある。粘着剤層の好ましい厚みは5〜300μm、さらに好ましくは10〜200μmである。
【0024】
本発明のタッチパネル用タッチセンサーにおいて、粘着剤層を構成する粘着剤組成物は、23℃での貯蔵弾性率が1×10Pa以下であり、貯蔵弾性率は2.0×10Pa以下であることがより好ましい。貯蔵弾性率が高すぎる粘着剤組成物により構成される粘着剤層を使用すると、光透過性導電材料の金属メッシュパターンの細線に断線が生じる場合があり、所望の導電性が得られず、タッチパネル用タッチセンサーとして不良品となる場合があった。上記貯蔵弾性率が小さすぎると貼り付けた後でのハガレなどが起きやすいので、下限は1×10Pa程度であることが好ましい。貯蔵弾性率は、特開2010−168425号公報、特開2010−77287号公報等に記載されている方法で測定することができる。
【0025】
粘着剤層は同一成分の単層構造であっても良いし、成分の異なる粘着剤、例えば、強粘着剤層と弱粘着剤層などからなる多層構造であっても良い。このような場合、光透過性導電材料の金属メッシュパターンに接する粘着剤層を構成する粘着剤組成物の23℃における貯蔵弾性率が1×10Pa以下である。
【0026】
粘着剤組成物に使用される粘着剤は特に限定されず、アクリル系粘着剤やゴム系粘着剤を使用することができるが、透明性が高く光学用途として広く用いられるアクリル系粘着剤が好ましい。
【0027】
ゴム系粘着剤としては、例えば、天然ゴム、天然ゴムとメチルメタクリレートなどのアクリル成分との共重合物、スチレンブロック共重合体及びその水素添加物、ならびに、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体及びその水素添加物などが挙げられる。これらは単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
【0028】
アクリル系粘着剤としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレートなど水酸基含有モノマーを共重合してなる(メタ)アクリル系ポリマーや、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、イソミリスチル(メタ)アクリレートなどアルキル基を有するアクリル系モノマーが共重合されたものが挙げられる。これらは単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
【0029】
上記アクリル系ポリマーの製造は、溶液重合、塊状重合、乳化重合などの公知の任意の製法を採用することができる。
【0030】
上記粘着剤組成物においてはタッキファイヤーなどの粘着付与剤を適宜用いることができる。
【0031】
粘着剤組成物においては架橋剤を適宜用いることができる。架橋剤としては、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、過酸化物等が挙げられる。
【0032】
イソシアネート系架橋剤としては、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートなどのジイソシアネート類や、各種ポリオールで変性したジイソシアネート付加物、イソシアヌレート環やビューレット体やアロファネート体を形成させたポリイソシアネート化合物などが挙げられる。
【0033】
粘着剤組成物には、その他の公知の添加剤を含有していてもよく、例えば、加硫剤、粘着付与剤、着色剤、顔料などの粉体、染料、界面活性剤、可塑剤、表面潤滑剤、レベリング剤、軟化剤、酸化防止剤、老化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、重合禁止剤、無機または有機の充填剤、金属粉、粒子状、箔状物などを使用する用途に応じて適宜添加することができる。
【0034】
上記粘着剤組成物を用いて2枚の光透過性導電材料を張り合わせる方法については特に制限はない。例えば、任意の支持体に粘着剤層を塗設し、一方の光透過性導電材料に粘着剤層を転写させてからもう一方の光透過性導電材料を貼合する方法、また直接一方の光透過性導電材料に粘着剤層を塗設し、もう一方の光透過性導電材料を貼合する方法などがある。貼り合わせる向きについては、2枚の光透過性導電材料のそれぞれの導電面(金属メッシュパターン側)を粘着剤層側に配置する場合、また2枚の光透過性導電材料のうち一方の光透過性導電材料の導電面(金属メッシュパターン側)ともう一方の光透過性導電材料の非導電面(金属メッシュパターン側と支持体を介して反対側)とを粘着剤層側に配置する場合のいずれにおいても本発明を適用することができる。
【0035】
粘着剤(粘着剤層)を任意の支持体や光透過性導電材料に塗設する方法としては、例えばリバースコーター、コンマコーターやリップコーター、ダイコーターなどがあり、目的に応じて選択することができる。
【実施例】
【0036】
以下、本発明に関し実施例を用いて詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
【0037】
<実施例1>
基材として、厚み100μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを用いた。なおこの基材の全光線透過率は91%であった。
【0038】
次に下記処方に従い、物理現像核層塗液を作製し、基材上に塗布、乾燥して物理現像核層を設けた。
【0039】
<硫化パラジウムゾルの調製>
A液 塩化パラジウム 5g
塩酸 40ml
蒸留水 1000ml
B液 硫化ソーダ 8.6g
蒸留水 1000ml
A液とB液を撹拌しながら混合し、30分後にイオン交換樹脂の充填されたカラムに通し硫化パラジウムゾルを得た。
【0040】
<物理現像核層塗液の調製>各1mあたり
前記硫化パラジウムゾル 0.4mg
2質量%グリオキザール水溶液 0.2ml
界面活性剤(S−1) 4mg
デナコールEX−830 50mg
(ナガセケムテックス(株)製ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル)
10質量%SP−200水溶液 0.5mg
(日本触媒(株)製ポリエチレンイミン;平均分子量10,000)
【0041】
続いて、基材に近い方から順に下記組成の中間層、ハロゲン化銀乳剤層、及び保護層を上記物理現像核層の上に塗設し、銀塩感光材料1を得た。ハロゲン化銀乳剤は、写真用ハロゲン化銀乳剤の一般的なダブルジェット混合法で製造した。このハロゲン化銀乳剤は、塩化銀95モル%と臭化銀5モル%で、平均粒径が0.15μmになるように調製した。このようにして得られたハロゲン化銀乳剤を定法に従いチオ硫酸ナトリウムと塩化金酸を用い、金イオウ増感を施した。こうして得られたハロゲン化銀乳剤は銀1gあたり0.5gのゼラチンを含む。
【0042】
<中間層組成/1mあたり>
ゼラチン 0.5g
界面活性剤(S−1) 5mg
染料1
【0043】
【化1】

【0044】
【化2】

【0045】
<ハロゲン化銀乳剤層組成/1mあたり>
ゼラチン 0.5g
ハロゲン化銀乳剤 4.0g銀相当
1−フェニル−5−メルカプトテトラゾール 3mg
界面活性剤(S−1) 20mg
【0046】
<保護層組成/1mあたり>
ゼラチン 1g
不定形シリカマット剤(平均粒径3.5μm) 10mg
界面活性剤(S−1) 10mg
【0047】
このようにして得た銀塩感光材料1と、図1のパターン1を同一平面上に有する透過原稿を密着し、水銀灯を光源とする密着プリンターで400nm以下の光をカットする樹脂フィルターを介して露光した。なお、図1のパターン1及びパターン2の金属メッシュパターン部(導電部)aは、線幅7μm、細線間隔300μmの単位図形が正方形のメッシュからなる。
【0048】
その後、下記拡散転写現像液中に20℃で90秒間浸漬した後、続いてハロゲン化銀乳剤層、中間層、及び保護層を40℃の温水で水洗除去し、乾燥処理した。こうして図1のパターン1の形状を持つ金属メッシュパターンを有する光透過性導電材料1−1を得た。なお、得られた光透過性導電材料の線幅、細線間隔は透過原稿と全く同じ形状、線幅の画像になっていた。金属メッシュパターンの膜厚は共焦点顕微鏡(レーザーテック社製、オプテリクスC130)で調べたところ、0.1μmであった。
【0049】
また光透過性導電材料1−1の金属メッシュパターン部(導電部)aと同じ線幅、線間隔の正方形のメッシュからなる100mm四方の大きさの金属メッシュパターンを光透過性導電材料1−1と同様にして作製した。この金属メッシュパターンのシート抵抗をJIS K7134の四端子法(端子間隔5mm)で測定したところ、50Ω/□であった。
【0050】
光透過性導電材料1−1と同様にして、図1のパターン2の形状を持つ金属メッシュパターンを有する光透過性導電材料1−2を得た。
【0051】
得られた光透過性導電材料1−1の端子部bの抵抗をテスターで測定した。得られた結果を表1に示す(貼合前)。
【0052】
<拡散転写現像液組成>
水酸化カリウム 25g
ハイドロキノン 18g
1−フェニル−3−ピラゾリドン 2g
亜硫酸カリウム 80g
N−メチルエタノールアミン 15g
臭化カリウム 1.2g
全量を水で1000mL
pH=12.2に調整する。
【0053】
次に粘着剤層に使用する粘着剤組成物を以下のように作製した。
【0054】
反応容器に、酢酸エチル233質量部を溶剤として、アクリル酸ブチル98質量部、アクリル酸1.0質量部、アクリル酸4−ヒドロキシブチル1.0質量部、2,2′−アゾビスイソブチロニトリル0.1質量部を入れ、窒素置換を行った後、55℃に昇温し15時間重合反応を行なった。質量平均分子量97万のアクリル系ポリマーの溶液を得た。このアクリル系ポリマーの固形分100質量部に対して、タッキファイヤーとしてスチレンオリゴマー(イーストマンケミカル社製、ピコラスチックA75)40質量部を添加し、さらにヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート三量体(三井化学ポリウレタン社製、タケネートD−170N)0.1質量部を添加し、粘着剤組成物を作製した。
【0055】
作製した粘着剤組成物の貯蔵弾性率の測定は以下の条件で行い、23℃での貯蔵弾性率(G′)を測定した。この結果を表1に示す。
【0056】
TAインスツルメント社製ARES、変形モード:ねじり、測定周波数:一定周波数1Hz、昇温速度:5℃/分、測定温度:粘着剤のガラス転移温度付近から160℃まで測定、形状:パラレルプレート8.0mmφ、試料厚さ:0.5〜2mm(取り付け初期)
【0057】
この粘着剤組成物を、光透過性導電材料1−1の導電面(金属メッシュパターン側)に乾燥厚さが25μmになるように塗布し、120℃で3分間乾燥し粘着剤層を形成した。
【0058】
位置合わせを行った後、粘着剤層が塗設された光透過性導電材料1−1に、光透過性導電材料1−2の導電面(金属メッシュパターン側)を張り合わせた。その後、フィルム貼り合わせ機のニップロール圧を0.5MPa/mに調整し、分速1mで搬送しながら加圧して、タッチセンサーを作製した。
【0059】
得られたタッチセンサーの光透過性導電材料1−1側の端子間の電気抵抗をテスターで測定した。この結果を表1に示す(貼合後)。
【0060】
得られたタッチセンサーを、ある夜景画を描写したディスプレイ上に置き、その外観品質を評価した。ディスプレイの画面が違和感なく見える場合を○、多少違和感がある場合を△、ディスプレイの画面が白っぽく見え違和感がある場合を×とし、○及び△をタッチセンサーとして可、×を不可とした。これらの結果を表1に示す。
【0061】
<実施例2>
粘着剤組成物を以下のように作製した。
【0062】
反応容器に、酢酸エチル233質量部を溶剤として、アクリル酸ブチル98質量部、アクリル酸1.0質量部、アクリル酸4−ヒドロキシブチル1.0質量部、2,2′−アゾビスイソブチロニトリル0.1質量部を入れ、窒素置換を行った後、55℃に昇温し15時間重合反応を行なった。質量平均分子量97万のアクリル系ポリマーの溶液を得た。このアクリル系ポリマーの固形分100質量部に対して、30質量部のスチレンと、重合開始剤としてのベンゾイルパーオキサイド0.15質量部を加えて、窒素置換しながら、60℃で5時間、70℃で8時間グラフト重合反応を行い、変性アクリル系ポリマーを得た。この変性アクリル系ポリマー100質量部に、α−メチルスチレンとスチレンの共重合体(イーストマンケミカル社製、クリスタレックス3085)80質量部、トリメチロールプロパンのトリレンジイソシアネート付加物(日本ポリウレタン社製、コロネートL)0.15質量部を添加し、粘着剤組成物を作製した。
【0063】
上記粘着剤組成物を使用した以外は実施例1と同様にタッチセンサーを作製し、評価を実施した。これらの結果を表1に示す。
【0064】
<実施例3>
粘着剤組成物を以下のように作製した。
【0065】
反応容器に、酢酸エチル233質量部を溶剤として、アクリル酸ブチル98.5質量部、アクリル酸0.5質量部、アクリル酸4−ヒドロキシブチル1.0質量部、2,2′−アゾビスイソブチロニトリル0.1質量を入れ、窒素置換を行った後、55℃に昇温し15時間重合反応を行なった。質量平均分子量112万のアクリル系ポリマーの溶液を得た。このアクリル系ポリマーの固形分100質量部に対して、40質量部のスチレンとアクリロイルモルホリン10質量部、重合開始剤としてのベンゾイルパーオキサイド0.25質量部を加えて、窒素置換しながら、60℃で5時間、70℃で8時間グラフト重合反応を行い、変性アクリル系ポリマーを得た。この変性アクリル系ポリマー100質量部に、タッキファイヤーとしてスチレンオリゴマー(ヤスハラケミカル社製、SX−85)80質量部、トリメチロールプロパンのトリレンジイソシアネート付加物(日本ポリウレタン社製、コロネートL)0.15質量部を添加し、粘着剤組成物を作製した。
【0066】
上記粘着剤組成物を使用した以外は実施例1と同様にタッチセンサーを作製し、評価を実施した。これらの結果を表1に示す。
【0067】
<比較例1>
粘着剤組成物を以下のように作製した。
【0068】
反応容器に、アクリル酸2−エチルヘキシル80質量部、アクリル酸20質量部、光重合開始剤としてイルガキュア−184(チバガイギー社製)0.6質量部を入れ、窒素置換を行った後、高圧水銀ランプにより、約100mJ/cmの照射量で紫外線を照射した。この照射により得られた粘稠物に対し、内部架橋剤としてトリメチロールプロパントリアクリレート1質量部を配合して、粘着剤組成物を作製した。
【0069】
上記粘着剤組成物を使用した以外は実施例1と同様にタッチセンサーを作製し、評価を実施した。これらの結果を表1に示す。
【0070】
<実施例4>
実施例1のハロゲン化銀乳剤層の1mあたりのハロゲン化銀乳剤を2.0gに変更した以外は実施例1と同様に光透過性導電材料2−1(図1のパターン1を使用)、2−2(図1のパターン2を使用)を作製した。共焦点顕微鏡(レーザーテック社製、オプテリクスC130)により測定した金属メッシュパターンの厚みは、0.05μmであった。
【0071】
光透過性導電材料2−1の金属メッシュパターン部(導電部)aと同じ線幅、線間隔の正方形のメッシュからなる100mm四方の大きさの金属メッシュパターンを光透過性導電材料2−1と同様に作製した。この金属メッシュパターンのシート抵抗をJIS K7134の四端子法(端子間隔5mm)で測定したところ、480Ω/□であった。
【0072】
光透過性導電性材料2−1、2−2を用いた以外は、実施例1と同様にタッチセンサーを作製し、評価を実施した。これらの結果を表1に示す。
【0073】
<実施例5>
実施例1の光透過性導電材料1−1に、下記のめっき液を用いて、液温60℃、電流密度2A/cm、めっき時間2分の条件下で電解ニッケルめっきを実施し、光透過性導電材料3−1を作製した。共焦点顕微鏡(レーザーテック社製、オプテリクスC130)により測定しためっき後の金属メッシュパターンの厚みは、0.5μmであった。同様に、光透過性導電材料1−2にめっきを施し、光透過性導電材料3−2を作製した。
【0074】
光透過性導電材料3−1の金属メッシュパターン部(導電部)aと同じ線幅、線間隔の正方形のメッシュからなる100mm四方の大きさの金属メッシュパターンを光透過性導電材料3−1と同様に作製した。この金属メッシュパターンのシート抵抗をJIS K7134の四端子法(端子間隔5mm)で測定したところ、20Ω/□であった。
【0075】
<めっき液>
硫酸ニッケル 240g
塩化ニッケル 45g
ホウ酸 30g
全量を水で1000mLとする。
pH=4.6に調整する。
【0076】
光透過性導電性材料3−1、3−2を用いた以外は、実施例1と同様にタッチセンサーを作製し、評価を実施した。これらの結果を表1に示す。
【0077】
<実施例6>
実施例1の光透過性導電材料1−1に、実施例5のめっき液を用いて、液温60℃、電流密度2A/cm、めっき時間4分の条件下で電解ニッケルめっきを実施し、光透過性導電材料4−1を作製した。共焦点顕微鏡(レーザーテック社製、オプテリクスC130)により測定しためっき後の金属細線の厚みは、1.0μmであった。同様に、光透過性導電材料1−2にめっきを施し、光透過性導電材料4−2を作製した。
【0078】
光透過性導電材料4−1の金属メッシュパターン部(導電部)aと同じ線幅、線間隔の正方形のメッシュからなる100mm四方の大きさの金属メッシュパターンを光透過性導電材料4−1と同様に作製した。この金属メッシュパターンのシート抵抗をJIS K7134の四端子法(端子間隔5mm)で測定したところ、10Ω/□であった。
【0079】
光透過性導電性材料4−1、4−2を用いた以外は、実施例1と同様にタッチセンサーを作製し、評価を実施した。これらの結果を表1に示す。
【0080】
<比較例2>
実施例1の光透過性導電材料1−1に、実施例5のめっき液を用いて、液温60℃、電流密度2A/cm、めっき時間6分の条件下で電解ニッケルめっきを実施し、光透過性導電材料5−1を作製した。共焦点顕微鏡(レーザーテック社製、オプテリクスC130)により測定しためっき後の金属細線の厚みは、1.5μmであった。同様に、光透過性導電材料1−2にめっきを施し、光透過性導電材料5−2を作製した。
【0081】
光透過性導電材料5−1の金属メッシュパターン部(導電部)aと同じ線幅、線間隔の正方形のメッシュからなる100mm四方の大きさの金属メッシュパターンを光透過性導電材料3−1と同様に作製した。この金属メッシュパターンのシート抵抗をJIS K7134の四端子法(端子間隔5mm)で測定したところ、5Ω/□であった。
【0082】
光透過性導電性材料5−1、5−2を用いた以外は、実施例1と同様にタッチセンサーを作製し、評価を実施した。これらの結果を表1に示す。
【0083】
【表1】

【0084】
表1の結果から、静電容量方式を用いたタッチパネルのタッチセンサーとして好適であり、かつ製造歩留まりの高いタッチセンサーが得られることが判る。
【符号の説明】
【0085】
a 金属メッシュパターン部(導電部)
b 電極端子部
c 非画像部(非導電部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粘着剤層を介して2枚の光透過性導電材料が対向するように配置されたタッチパネル用タッチセンサーであって、前記光透過性導電材料は基材上に金属細線の厚みが1.25μm以下の金属メッシュパターンを有し、前記粘着剤層を構成する粘着剤組成物の23℃における貯蔵弾性率が1×10Pa以下であることを特徴とするタッチパネル用タッチセンサー。

【図1】
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【公開番号】特開2013−84026(P2013−84026A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−221511(P2011−221511)
【出願日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【出願人】(000005980)三菱製紙株式会社 (1,550)
【Fターム(参考)】