説明

タービン翼及びエンジン部品

【課題】高いレベルでタービン動翼1を冷却をしつつ、タービン動翼1の空力損失を低減して、ガスタービンエンジンのエンジン効率の低下を十分に抑えること。
【解決手段】動翼本体3の腹面3vに複数の有底穴15が形成され、各有底穴15の下流側内壁部15aが動翼本体3の厚み方向Tに対して下流方向へ傾斜してあって、各有底穴15の底部15cに複数の噴出孔17が冷却通路13に連通して形成され、各噴出孔17の孔中心線17Lが有底穴15の下流側内壁部15aに沿うようになっていること。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、航空機エンジン、産業用ガスタービンエンジン等のガスタービンエンジンに用いられるエンジン部品、特に、タービン翼に関する。
【背景技術】
【0002】
通常、ガスタービンエンジンの稼働中に燃焼ガス(主流ガス)に曝されるタービン翼は、ガスタービンエンジンの圧縮機又はファンから抽気した冷却空気(圧縮空気の一部)利用して冷却可能になっている。また、近年、ガスタービンエンジンの高出力化の要請に伴い、燃焼ガスの高温化の傾向が強くなってきており、高いレベルでタービン翼を冷却することが急務になっている。そして、高いレベルでのタービン翼の冷却を可能にする先行技術として、特許文献1に示すものがあり、この先行技術に係るタービン翼の構成等について簡単に説明すると、次のようになる。
【0003】
タービン翼の内部には、冷却空気(圧縮空気の一部)を流入可能な冷却通路が形成されており、タービン翼の翼面には、スパン方向(翼高さ方向)へ延びた有底溝が形成されている。また、有底溝の底部には、冷却空気を噴き出し可能な複数の噴出孔がスパン方向に間隔を置いて形成されており、各噴出孔は、冷却通路に連通してある。
【0004】
従って、ガスタービンエンジンの稼動中に、圧縮機又はファンから抽気した冷却空気が冷却通路に流入することにより、タービン翼を内部から対流冷却(内部冷却)することができる。また、タービン翼の対流冷却に寄与した冷却空気が複数の噴出孔から噴き出されることにより、タービン翼の翼面を覆うフィルム冷却層を形成して、タービン翼をフィルム冷却(外部冷却)することができる。
【0005】
ここで、有底溝内において、複数の噴出孔から噴き出された冷却空気がスパン方向へ一旦拡がることにより、冷却空気を減速させ、なおかつフィルム冷却層のカバー率を高めて、高いレベルでタービン翼を冷却することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第6234755号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、前述のように、先行技術に係るタービン翼にあっては、高いレベルでタービン翼を冷却することができるものの、燃焼ガスが有底溝(有底溝の近傍)を通過する際に、燃焼ガスの一部が有底溝の下流側内壁部に衝突して、有底溝の下流側において燃焼ガスの剥離が発生する。そのため、タービン翼の空力損失が増大して、ガスタービンエンジンのエンジン効率の低下を招くことになる。つまり、高いレベルでタービン翼を冷却しつつ、ガスタービンエンジンのエンジン効率の低下を十分に抑えることは困難であるという問題がある。
【0008】
なお、前述の問題は、タービン翼の他に、冷却空気を利用して冷却可能なシュラウド等のエンジン部品においても、同様に生じるものである。
【0009】
そこで、本発明は、前述の問題を解決することができる、新規な構成のタービン翼等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第1の特徴(請求項1から請求項8のうちのいずれかの請求項に記載の発明の特徴)は、ガスタービンエンジンのタービンに用いられ、冷却空気を利用して冷却可能なタービン翼において、内部に冷却空気を流入可能な冷却通路が形成され、翼面に複数の有底穴が形成され、各有底穴の下流側内壁部(下流側の内壁部)が厚み方向に対して下流方向(下流側)へ傾斜してあって、各有底穴の底部に冷却空気を噴き出し可能な噴出孔(フィルム冷却孔)が前記冷却通路に連通して形成され、各噴出孔の孔中心線が前記下流側内壁部に沿うようになっていることを要旨とする。
【0011】
なお、タービン翼とは、タービン動翼及びタービン静翼を含む意であって、翼面とは、前縁、後縁、腹面、及び背面を含む意であって、有底穴とは、有底溝を含む意である。
【0012】
第1の特徴によると、前記ガスタービンエンジンの稼動中に、冷却空気が前記冷却通路に流入することにより、前記タービン翼を内部から対流冷却(内部冷却)することができる。また、前記タービン翼の対流冷却に寄与した冷却空気が複数の前記噴出孔から噴き出されることにより、前記タービン翼の翼面を覆うフィルム冷却層を形成して、前記タービン翼をフィルム冷却(外部冷却)することができる。
【0013】
ここで、各有底穴の下流側内壁部が厚み方向に対して下流方向へ傾斜してあって、各噴出孔の孔中心線が前記下流側内壁部に沿うようになっているため、前記タービン翼の翼形状を損なうことなく、各噴出孔から噴き出される冷却空気の噴出角を小さくして、コアンダ効果を十分に発揮させることができる。また、各有底穴の下流側内壁部が厚み方向に対して下流方向へ傾斜しているため、燃焼ガスの一部と前記有底穴の前記下流側内壁部との衝突を緩和して、前記有底穴の下流側における燃焼ガスの剥離を低減することができる。
【0014】
本発明の第2の特徴は、ガスタービンエンジンに用いられ、冷却空気を利用して冷却可能なエンジン部品において、内部に冷却空気を流入可能な冷却通路が形成され、表面に複数の有底穴が形成され、各有底穴の下流側内壁部(下流側の内壁部)が厚み方向に対して下流方向(下流側)へ傾斜してあって、各有底穴の底部に冷却空気を噴き出し可能な噴出孔(フィルム冷却孔)が前記冷却通路に連通して形成され、各噴出孔の孔中心線が前記下流側内壁部に沿うようになっていることを要旨とする。
【0015】
なお、エンジン部品は、タービン翼(タービン動翼及びタービン静翼)、シュラウド、燃焼器ライナ等を含む意である。
【0016】
第2の特徴によると、前記ガスタービンエンジンの稼動中に、冷却空気が前記冷却通路に流入することにより、前記エンジン部品を内部から対流冷却(内部冷却)することができる。また、前記エンジン部品の対流冷却に寄与した冷却空気が複数の前記噴出孔から噴き出されることにより、前記エンジン部品の表面を覆うフィルム冷却層を形成して、前記エンジン部品をフィルム冷却(外部冷却)することができる。
【0017】
ここで、各有底穴の下流側内壁部が厚み方向に対して下流方向へ傾斜してあって、各噴出孔の孔中心線が前記下流側内壁部に沿うようになっているため、各噴出孔から噴き出される冷却空気の噴出角を小さくして、コアンダ効果を十分に発揮させることができる。また、各有底穴の下流側内壁部が厚み方向に対して下流方向へ傾斜しているため、燃焼ガスの一部と前記有底穴の前記下流側内壁部との衝突を緩和して、前記有底穴の下流側における燃焼ガスの剥離を低減することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の第1の特徴によれば、前記タービン翼の翼形状を損なうことなく、各噴出孔から噴き出される冷却空気の噴出角を小さくして、コアンダ効果を十分に発揮させると共に、燃焼ガスの一部と前記有底穴の前記下流側内壁部との衝突を緩和して、前記有底穴の下流側における燃焼ガスの剥離を低減できるため、前記ガスタービンエンジンの稼働中に、高いレベルで前記タービン翼を冷却をしつつ、前記タービン翼の空力損失を低減して、前記ガスタービンエンジンのエンジン効率の低下を十分に抑えることができる。
【0019】
本発明の第2の特徴によれば、各噴出孔から噴き出される冷却空気の噴出角を小さくして、コアンダ効果を十分に発揮させると共に、燃焼ガスの一部と前記有底穴の前記下流側内壁部との衝突を緩和して、前記有底穴の下流側における燃焼ガスの剥離を低減できるため、前記ガスタービンエンジンの稼働中に、高いレベルで前記エンジン部品を冷却をしつつ、前記エンジン部品の空力損失を低減して、前記ガスタービンエンジンのエンジン効率の低下を十分に抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】図1は、本発明の第1実施形態に係るタービン動翼の斜視図である。
【図2】図2は、本発明の第1実施形態に係るタービン動翼の縦断面図(スパン方向に沿った断面図)である。
【図3】図3(a)(b)(c)は、図1におけるIII-IIIに沿った図であり、3つの具体的な態様を示している。
【図4】図4(a)は、噴出孔の別の態様を示す図であって、図1におけるIII-IIIに沿った図に対応してあり、図4(b)は、図4(a)を上から見た図である。
【図5】図5は、本発明の第2実施形態に係るタービン動翼の斜視図である。
【図6】図6(a)は、本発明の第3実施形態に係るタービン動翼の横断面図(コード方向に沿った断面図)、図6(b)は、図6(a)の矢視部VIBの拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
(第1実施形態)
本発明の実施形態について図1から図4を参照して説明する。なお、図中、「D」は、下流方向、「U」は、上流方向をそれぞれ指している。
【0022】
図1及び図2に示すように、本発明の第1実施形態に係るタービン動翼1は、航空機エンジン又は産業用ガスタービンエンジン等のガスタービンエンジンのタービン(図示省略)に用いられ、ガスタービンエンジンの圧縮機(図示省略)又はファン(図示省略)から抽気した冷却空気(圧縮空気の一部)CAを利用して冷却可能である。そして、本発明の第1実施形態に係るタービン動翼1の具体的な構成は、次のようになる。
【0023】
タービン動翼1は、ロストワックス精密鋳造によって製造(成型)されるものであって、ガスタービンエンジンの燃焼器(図示省略)からの燃焼ガスHG(図3(a)(b)(c)参照)によって回転力を得る動翼本体3を備えている。また、動翼本体3の基端側には、プラットホーム5が一体形成されており、このプラットホーム5には、ダブテール7が一体形成されており、ダブテール7は、タービンのタービンディスク(図示省略)の周縁部に形成した嵌合溝(図示省略)に嵌合可能である。
【0024】
ダブテール7からプラットホーム5にかけて、圧縮機又はファンから抽気した冷却空気CAを導入可能な導入口9が形成されている。また、動翼本体3の内部には、スパン方向(換言すれば、翼高さ方向(プラットホーム5側から動翼本体3の先端面3t側に向かう方向))へ延びた複数の仕切壁11が形成されている。そして、複数の仕切壁11によって冷却空気CAを流入可能な蛇行状の冷却通路13が区画形成されており、換言すれば、動翼本体3の内部には、蛇行状の冷却通路13が形成されており、冷却通路13は、導入口9に連通してある。
【0025】
動翼本体3の腹面3vには、複数の有底穴15が形成されており、本発明の第1実施形態にあっては、複数の有底穴15の配置状態は、コード方向(換言すれば、翼弦方向(動翼本体3の前縁3e側から後縁3p側に向かう方向))に複数列になっている。また、図3(a)に示すように、各有底穴15の下流側内壁部(下流側の内壁部)15aは、動翼本体3の厚み方向Tに対して下流方向(下流側)へ傾斜してあって、各有底穴15の上流側内壁部(上流側の内壁部)15bは、動翼本体3の厚み方向Tに対して上流方向(上流側)へ傾斜してある。
【0026】
なお、各噴出孔17の下流側内壁部15aの縁側及び上流側内壁部15bの縁側のうちの少なくともいずれかは、図3(b)に示すように、滑らかな曲面(R面)を呈するようになっていることが望ましい。また、各有底穴15の上流側内壁部15bが動翼本体3の厚み方向Tに対して上流方向へ傾斜する代わりに、図3(b)に示すように、動翼本体3の厚み方向Tに対して平行になるようにしても構わない。
【0027】
各有底穴15の底部15c(上流側内壁部15bの奥側部分を含む)には、冷却空気CAを噴き出し可能な円形の噴出孔(フィルム冷却孔)17が冷却通路13に連通して形成されており、各噴出孔17の孔中心線17Lは、有底穴15の下流側内壁部15aに沿うようになっている。ここで、有底穴15の下流側内壁部15aに平行な面(仮想面)VPに対する各噴出孔17の孔中心線17Lの傾斜角θは、±20度以下(−20〜+20度)に設定してある。傾斜角θを±20度以下に設定したのは、傾斜角θが±20度よりも絶対角が大きくなると、各噴出孔17から噴き出される冷却空気CAのコアンダ効果を十分に発揮ことができないからである。
【0028】
なお、円形の噴出孔17が形成される代わりに、楕円形又は長方形形等の噴出孔17が形成されるようにしても構わない。また、図4(a)(b)に示すように、各噴出孔17は、出口側(冷却空気CAの流れ方向から見て出口側)に向かって拡張されたシェイプド型に構成されていることが望ましい。
【0029】
動翼本体3の前縁3e及び先端面3tには、冷却空気CAを噴き出し可能な複数のサブ噴出孔19が冷却通路13に連通して形成されており、動翼本体3の後縁3pには、冷却空気CAを排出可能な複数の排出孔21が冷却通路13に連通して形成されている。
【0030】
なお、動翼本体3の前縁3e及び腹面3vに複数のサブ噴出孔19が形成される他に、動翼本体3の背面3bに複数のサブ噴出孔19が形成されるようにしても構わない。
【0031】
続いて、本発明の第1実施形態の作用及び効果について説明する。
【0032】
ガスタービンエンジンの稼動中に、冷却空気CAが導入口9を介して冷却通路13に流入することにより、タービン動翼1を内部から対流冷却(内部冷却)することができる。また、動翼本体3の対流冷却に寄与した冷却空気CAが複数の噴出孔17及び複数のサブ噴出孔19から噴き出されことにより、タービン動翼1を覆うフィルム冷却層CF(図3(a)(b)(c)参照)を形成して、タービン動翼1をフィルム冷却(外部冷却)することができる。なお、タービン動翼1の対流冷却に寄与した冷却空気CAの一部は、複数の排出孔21から排出される。
【0033】
ここで、各有底穴15の下流側内壁部15aが厚み方向Tに対して下流方向へ傾斜してあって、各噴出孔17の孔中心線17Lが各有底穴15の下流側内壁部15aに沿うようになっているため、タービン動翼1の翼形状を損なうことなく、各噴出孔17から噴き出される冷却空気CAの噴出角を小さくして、冷却空気CAのコアンダ効果を十分に発揮させることができる。
【0034】
また、各有底穴15の下流側内壁部15aが厚み方向Tに対して下流方向へ傾斜しているため、燃焼ガスHGの一部と有底穴15の下流側内壁部15aとの衝突を緩和して、有底穴15の下流側における燃焼ガスHGの剥離を低減することができる。特に、図3(b)に示すように、各噴出孔17の下流側内壁部15aの縁側が滑らかな曲面を呈するようにした場合には、有底穴15の下流側における燃焼ガスHGの剥離をより低減することができる。
【0035】
従って、本発明の第1実施形態によれば、高いレベルでタービン動翼1を冷却をしつつ、タービン動翼1の空力損失を低減して、ガスタービンエンジンのエンジン効率の低下を十分に抑えることができる。特に、図4(a)(b)に示すように、各噴出孔17がシェイプド型に構成された場合には、各噴出孔17から噴き出される冷却空気CAを十分に減速させて、動翼本体3の腹面3vに対する冷却空気CAの付着性を高めて、より高いレベルでタービン動翼1を冷却することができる。
【0036】
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態について図5を参照して説明する。なお、図中、「D」は、下流方向、「U」は、上流方向をそれぞれ指している。
【0037】
図5に示すように、本発明の第2実施形態に係るタービン動翼23は、本発明の第1実施形態に係るタービン動翼1と同様の構成を有しており、タービン動翼23の構成のうち、タービン動翼1の構成と異なる部分について説明する。なお、タービン動翼23における複数の構成要素のうち、タービン動翼1における構成要素と対応するものについては、図面中に同一番号を付する。
【0038】
即ち、本発明の第2実施形態にあっては、動翼本体3の腹面3vには、スパン方向へ延びた複数の有底溝(有底穴の一例)25が形成されており、前述の有底穴15と同様に、各有底溝25の下流側内壁部25aは、動翼本体3の厚み方向T(図3(a)(b)(c)参照)に対して下流方向へ傾斜してあって、各有底溝25の上流側内壁部25bは、動翼本体3の厚み方向Tに対して上流方向へ傾斜してある。そして、各有底溝25の底部(上流側内壁部25bの奥側部分を含む)25cには、前述の複数の噴出孔17がスパン方向に間隔を置いて形成されている。
【0039】
従って、本発明の第2実施形態によれば、本発明の第1実施形態による作用及び効果を奏する他に、各有底溝25内において、複数の噴出孔17から噴き出された冷却空気がスパン方向へより拡がり易く、フィルム冷却層CF(図3(a)(b)(c)参照)のカバー率を高めて、高いレベルでタービン動翼1を冷却することができる。更に、本発明の第2実施形態に係るタービン動翼23は、第1実施形態に係るタービン動翼1に比べて、有底穴15,25の個数を減らすことができ、製造コストがより安価になる。
【0040】
(第3実施形態)
本発明の第2実施形態について図6(a)(b)を参照して説明する。なお、図中、「D」は、下流方向、「U」は、上流方向をそれぞれ指している。
【0041】
図6(a)(b)に示すように、本発明の第3実施形態に係るタービン動翼27は、本発明の第1実施形態に係るタービン動翼1と同様の構成を有しており、タービン動翼27の構成のうち、タービン動翼1の構成と異なる部分について説明する。なお、タービン動翼27における複数の構成要素のうち、タービン動翼1における構成要素と対応するものについては、図面中に同一番号を付する。
【0042】
即ち、本発明の第3実施形態にあっては、前述の各有底穴15は、翼本体3の腹面3vにおける仕切壁11に整合する箇所に形成されている。
【0043】
従って、本発明の第3実施形態によれば、本発明の第1実施形態による作用及び効果を奏する他に、動翼本体3の腹面3vに複数の有底穴15が形成されても、冷却通路13の通路形状に与える影響を小さくすることができる。
【0044】
なお、本発明は、前述の実施形態の説明に限るものでなく、例えばタービン動翼1(23、27)に適用した技術的思想をタービン静翼、シュラウド、燃焼器ライナ等のタービン動翼1以外のエンジン部品に適用する等、その他、種々の態様で実施可能である。また、本発明に包含される権利範囲は、これらの実施形態に限定されないものである。
【符号の説明】
【0045】
1 タービン動翼
3 動翼本体
3b 動翼本体の背面
3e 動翼本体の前縁
3p 動翼本体の後縁
3t 動翼本体の先端面
3v 動翼本体の腹面
5 プラットホーム
7 ダブテール
9 導入口
11 仕切壁
13 冷却通路
15 有底穴
15a 有底穴の下流側内壁部
15b 有底穴の上流側内壁部
15c 有底穴の底部
17 噴出孔
17L 噴出孔の孔中心線
19 サブ噴出孔
21 排出孔
23 タービン動翼
25 有底溝
25a 有底溝の下流側内壁部
25b 有底溝の上流側内壁部
25c 有底溝の底部
27 タービン動翼

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスタービンエンジンのタービンに用いられ、冷却空気を利用して冷却可能なタービン翼において、
内部に冷却空気を流入可能な冷却通路が形成され、翼面に複数の有底穴が形成され、各有底穴の下流側内壁部が厚み方向に対して下流方向へ傾斜してあって、各有底穴の底部に冷却空気を噴き出し可能な噴出孔が前記冷却通路に連通して形成され、各噴出孔の孔中心線が前記下流側内壁部に沿うようになっていることを特徴とするタービン翼。
【請求項2】
前記有底穴の前記下流側内壁部に平行な面に対する各噴出孔の孔中心線の傾斜角が±20度以下に設定してあることを特徴とする請求項1に記載のタービン翼。
【請求項3】
各噴出孔が出口側に向かって拡張されたシェイプド型に構成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のタービン翼。
【請求項4】
少なくともいずれかの前記有底穴がスパン方向へ延びた有底溝であって、前記有底溝の底部に複数の前記噴出孔がスパン方向に間隔を置いて形成されていることを特徴とする請求項1から請求項3のうちのいずれかの請求項に記載のタービン翼。
【請求項5】
各噴出孔の上流側内壁部が厚み方向に対して上流方向へ傾斜していることを特徴とする請求項1から請求項4のうちのいずれかの請求項に記載のタービン翼。
【請求項6】
各噴出孔の前記下流側内壁部の縁側及び前記上流側内壁部の縁側のうちの少なくともいずれかが滑らかな曲面を呈していることを特徴とする請求項5に記載のタービン翼。
【請求項7】
各噴出孔の上流側内壁部が厚み方向に対して平行になっていることを特徴とする請求項1から請求項4のうちのいずれかの請求項に記載のタービン翼。
【請求項8】
内部にスパン方向へ延びた仕切壁が形成され、前記仕切壁によって前記冷却通路が区画形成され、いずれかの前記有底穴が翼面における前記仕切壁に整合する箇所に形成されていることを特徴とする請求項1から請求項7のうちのいずれかの請求項に記載のタービン翼。
【請求項9】
ガスタービンエンジンに用いられ、冷却空気を利用して冷却可能なエンジン部品において、
内部に冷却空気を流入可能な冷却通路が形成され、表面に複数の有底穴が形成され、各有底穴の下流側内壁部が厚み方向に対して下流方向へ傾斜してあって、各有底穴の底部に冷却空気を噴き出し可能な噴出孔が前記冷却通路に連通して形成され、各噴出孔の孔中心線が前記下流側内壁部に沿うようになっていることを特徴とするエンジン部品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−17721(P2012−17721A)
【公開日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−156949(P2010−156949)
【出願日】平成22年7月9日(2010.7.9)
【出願人】(000000099)株式会社IHI (5,014)
【Fターム(参考)】