説明

ダイカスト用アルミニウム合金および成形品

【課題】
ダイカスト性に優れ、高い硬度を有する成形物が得られ、また、この成形物の表面をアルマイト処理することで、光輝性に優れる成形品を製造することができるダイカスト用アルミニウム合金、この合金をダイカストして得られる成形物、及びこの成形物の表面をアルマイト処理して得られる成形品を提供する。
【解決手段】
Mn:0.5重量%以上2.5重量%以下、Cr:0.2重量%以上1.0重量%以下、Ti:0.1重量%以上0.5重量%以下、Mg:0.1重量%以上0.5重量%未満、およびAlを含有することを特徴とするダイカスト用アルミニウム合金、このダイカスト用アルミニウム合金をダイカストして得られる成形物、及びこの成形物の表面をアルマイト処理して得られる成形品。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ダイカスト性に優れ、高い硬度を有する成形物が得られ、また、この成形物の表面をアルマイト処理(陽極酸化処理)することにより、高光沢で光沢ムラがなく均一な色調を示す(光輝性に優れる)成形品を製造できるダイカスト用アルミニウム合金、この合金をダイカストして得られる成形物、及びこの成形物の表面をアルマイト処理して得られる成形品に関する。
【背景技術】
【0002】
アルミニウム合金は、成形し、得られる成形物をアルマイト処理することにより、耐食性、耐摩耗性に優れ、染色や着色に適し、美観性、装飾性に優れた成形品を得ることができる。
【0003】
アルミニウム合金を成形する方法としては、低コストで量産に適し、プレス加工ではできない複雑形状の成形が可能なダイカスト法(溶融金属を金型に注入して精密鋳造品を製造する方法)が知られている。
【0004】
ダイカスト法に用いられるアルミニウム合金としては、ダイカストする際に熱間割れがなく、充填性に優れ、金型への焼付きがない(すなわち、ダイカスト性に優れる)ものが好ましい。
【0005】
従来、ダイカスト性に優れるアルミニウム合金としては、生産性が高く、加工に要する硬度を有するADC6(Al−Mg系合金)、ADC12(Al−Si−Cu系合金)などが開発されている。しかしながら、これらの合金はダイカスト性に優れるものの、得られる成形物をアルマイト処理して光輝性に優れる成形品を得ることが困難であった。
【0006】
また、特許文献1には、色ムラのない均一な酸化膜を与える高加圧鋳造用アルミニウム合金が提案されている。しかしながら、この合金はダイカスト性に優れ、硬度の高い成形品を得ることができるものの、成形品の光輝性が十分でないという問題があった。
【0007】
従って、高い硬度を有し、光輝性に優れる成形品を製造することができる、新しいダイカスト用アルミニウム合金の開発が望まれていた。
【特許文献1】特開昭52−133012号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、このような従来技術の実情に鑑みてなされたものであり、ダイカスト性に優れ、高い硬度を有する成形物が得られ、また、この成形物の表面をアルマイト処理することで、光輝性に優れる成形品を製造することができるダイカスト用アルミニウム合金、この合金をダイカストして得られる成形物、及びこの成形物の表面をアルマイト処理して得られる成形品を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、アルミニウムに所定量のMn、Cr、Ti及びMgを添加して溶製したアルミニウム合金は、ダイカスト性に優れ、高い硬度を有する成形物が得られること、および、この成形物の表面をアルマイト処理することで、光輝性に優れる成形品を製造することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
かくして、本発明の第1によれば、Mn:0.5重量%以上2.5重量%以下、Cr:0.2重量%以上1.0重量%以下、Ti:0.1重量%以上0.5重量%以下、Mg:0.1重量%以上0.5重量%未満、およびAlを含有することを特徴とするダイカスト用アルミニウム合金が提供される。
本発明のアルミニウム合金においては、Si及びFeの含有量がいずれも0.5重量%未満であることが好ましい。
【0011】
本発明の第2によれば、本発明のダイカスト用アルミニウム合金をダイカストして得られる成形物が提供される。
本発明の成形物においては、その表面硬度が35(HV)以上であることが好ましい。
【0012】
本発明の第3によれば、本発明の成形物の表面をアルマイト処理して得られる成形品が提供される。
本発明の第4によれば、本発明のダイカスト用アルミニウム合金をダイカストし、得られる成形物の表面をアルマイト処理して得られる成形品が提供される。
本発明の成形品(前記第3の成形品及び/又は第4の成形品)においては、光沢度が160以上であることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明のダイカスト用アルミニウム合金によれば、ダイカスト性に優れ、高い硬度を有する成形物を得ることができ、また、この成形物の表面をアルマイト処理することで、光輝性に優れる成形品を製造することができる。
本発明のダイカスト用アルミニウム合金によれば、湯ジワがなく、表面の光輝性、美観性に優れる装飾性に富んだ成形品を効率よく製造することができる。
本発明の成形品は、本発明のアルミニウム合金をダイカストすることにより製造されるため、生産性及び経済性に優れる。
本発明の成形物は高い硬度を有する。従って、この成形物の表面をアルマイト処理して得られる成形品(アルマイト処理がされていない表面及び内部)も高い硬度を有するため、ネジ加工等の加工性に優れている。
また、本発明の成形品は高い光沢度を有し、光輝性に優れるため、高い外観品質、高級感が要求される、カメラ、携帯電話等の家電製品のケース(筐体)等に好適に用いることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明を詳細に説明する。
1)ダイカスト用アルミニウム合金
本発明のダイカスト用アルミニウム合金(以下、単に「アルミニウム合金」ということがある。)は、Mn:0.5重量%以上2.5重量%以下、Cr:0.2重量%以上1.0重量%以下、Ti:0.1重量%以上0.5重量%以下、Mg:0.1重量%以上0.5重量%未満、およびAlを含有することを特徴とする。
【0015】
本発明のアルミニウム合金は、Mnを0.5重量%以上2.5重量%以下、好ましくは0.5重量%以上2.0重量%以下含有する。
Mnは、固溶体化して素材硬度の向上に有効な合金元素である。Mn含有量が0.5重量%未満では素材硬度を向上する効果が乏しくなる。逆に、Mnの含有量が2.5重量%を超えるとダイカスト時に初晶の金属間化合物が生成して、光輝性が不十分となり色ムラが発生するため好ましくない。
【0016】
本発明のアルミニウム合金は、Crを0.2重量%以上1.0重量%以下含有する。
Crは、成形品の硬度の向上に必須の合金元素であり、また成形品の光沢度を向上させる効果もある。Cr含有量が0.2重量%未満では成形品の硬度が不足し、逆に1.0重量%を超えると、合金の液相線温度が上昇して合金の溶解性、鋳造性が悪化し、また金属間化合物による発色ムラが発生するため好ましくない。
【0017】
本発明のアルミニウム合金は、Tiを0.1重量%以上0.5重量%以下含有する。
Tiは結晶粒を微細化し、アルマイト処理後の発色を均一にする効果を有する合金元素であり、また硬度を向上させる効果もある。Ti含有量が0.1重量%未満ではその効果が乏しくなり、逆に0.5重量%を超えると、液相線温度が上昇して、合金の溶解性、鋳造性が悪化するため好ましくない。
【0018】
本発明のアルミニウム合金は、Mgを0.1重量%以上0.5重量%未満、好ましくは0.2重量%以上0.3重量%以下含有する。
Mgはアルミニウム合金の硬度の向上に有効な合金元素であり、また光沢度を向上させる効果がある。Mg含有量が0.1重量%未満ではその効果が乏しくなり、0.5重量%以上であると溶湯が酸化しやすくなり、ダイカスト時に酸化膜を巻き込み、アルマイト処理後に色ムラが発生するため、好ましくない。
【0019】
本発明のアルミニウム合金においては、Si及びFeの含有量は、いずれも0.5重量%未満であることが好ましく、Si及びFeの総含有量が0.5重量%未満であることがより好ましい。従来、Si及びFeは合金強度を向上させ、かつダイカスト作業性を向上させ、特に焼付き性の改善が著しく鋳造用アルミニウム合金には必須の元素と考えられていた。しかしながら、本発明によれば、Si及びFeの含有量をいずれも0.5重量%未満に制御する、好ましくはSi及びFeの合計含有量を0.5重量%以下に制御することで、ダイカスト性を損なわず、アルマイト処理後において、湯ジワがなく光輝性に優れる成形品を製造することができる。
【0020】
本発明のアルミニウム合金において、Si及びFeの含有量を0.5重量%未満とする方法としては、合金の溶製に用いるAl、Mn、Cr、Ti、Mgとして、Si及びFeの含有量の少ないものを使用する方法が挙げられる。また、アルミニウム合金を溶製する場合に、Al、Mn、Cr、Ti、Mgに加えて、含有量が0.5重量%未満となる量のSi及び/又はFeを添加してもよい。
【0021】
また、本発明のアルミニウム合金は、上記した金属(Al、Mn、Cr、Ti、Mg、Si、Fe)以外に不純物を含有していてもよい。不純物の含有量は少ないほど好ましいが、本発明のアルミニウム合金の特性に影響しない程度の量である。
【0022】
本発明のアルミニウム合金は、前記成分組成に従ってAl、Mn、Cr、Ti、Mgを溶製して調製することができる。溶製する方法としては特に限定されず、公知の溶製法を採用でき、例えば、溶解法が挙げられる。
【0023】
本発明のアルミニウム合金はダイカスト時に熱間割れがなく、充填性に優れ、金型への焼付きがなく、ダイカスト性に優れるものである。ここで、焼付きとは、溶湯が金型表面に溶着して盛り上がり、鋳造を行うとその部分に欠肉や粗面を生じる現象をいう。耐熱間割れ性、充填性、耐焼付き性等が良好であることは、ダイカストして得られた鋳造品を目視で観察することによって、確認することができる。
本発明のアルミニウム合金は、従来のアルミニウム合金に比べ、高い硬度を有し、光揮性に優れるアルミニウム成形品の製造原料として有用である。
【0024】
2)成形物及び成形品
本発明の成形物は、本発明のアルミニウム合金をダイカストして得られる。また、本発明の成形品は、本発明の成形物の表面をアルマイト処理して得られる。
より詳細には、本発明のアルミニウム合金をダイカストして、所望の形状を有する成形物を得(工程1)、得られた成形物をアルマイト処理し(工程2)、次いで封孔処理を行うこと(工程3)により、目的とする本発明の成形品を得ることができる。以下、これらの手順を詳細に説明する。
【0025】
(工程1)
工程1では、本発明のアルミニウム合金をダイカストして、所望の形状を有する成形物を得る。
ダイカストとは、合金を溶融して金型に注入して鋳造品を製造することをいう。
本発明の合金をダイカストする方法としては、特に制限されないが、金型に加圧注入して鋳造するプレッシャーダイカスト法が好ましい。
【0026】
ダイカスト法は、加工の自由度及び寸法精度に優れており、鋭角的な稜を必要とするものや肉厚の薄いものを製造するのに有効である。また、経済性に優れ、自動化された電気制御式油圧ダイカスト等によれば大量生産を行うことができる。
【0027】
ダイカストに用いる装置としては、ホットチャンバー型とコールドチャンバー型のうち、コールドチャンバー型が好ましい。
ダイカストする温度は、通常500℃〜1000℃、好ましくは、600℃〜850℃である。
【0028】
用いる金型としては、特に制約はなく、従来公知の材質のものを使用できる。また、本発明のアルミニウム合金はダイカスト性に優れるため、金型の形状は特に制約はなく、複雑な形状であっても構わない。
【0029】
このようにして得られる本発明の成形物は高い硬度を有する。従って、この成形物の表面をアルマイト処理して得られる成形品(アルマイト処理がされていない部分)も高い硬度を有するため、ネジ加工等の組み立て加工が可能である。
【0030】
本発明の成形物の、JIS Z2244に準拠したビッカース硬さ試験法による表面硬度(ビッカース硬度:HV)は、35HV以上であるのが好ましく、40HV以上であるのがより好ましい。成形物の硬度は、公知の硬度計を用いて測定することができる。
【0031】
(工程2)
次いで、得られた成形物のアルマイト処理を行う。
アルマイト処理とは、シュウ酸、ホウ酸、硫酸、クロム酸等の水溶液中に前記成形物を浸漬し、定電流を流すことにより、前記成形物の表面に多孔質の硬い酸化膜を形成させる処理をいい、アルミニウム成形品の表面保護を目的としてなされるものである。
【0032】
本発明において、アルマイト処理における電流密度や処理温度、処理時間などは、特に制限されず、目的とする成形品の大きさ、形状、用途などに応じて適宜設定することができる。アルマイト処理する際の電流密度は、通常、0.1〜2A/dmであり、処理温度は、通常10〜70℃である。また、アルマイト処理に要する時間は、通常、数分から数時間/面積である。
【0033】
なお、アルマイト処理する前に、前記成形物の表面をバフ研磨、リン酸系処理液等による化学研磨処理等を行うことにより、アルマイト処理効率を向上させることができる場合がある。
【0034】
アルマイト処理により、前記成形物の表面に薄い酸化膜が形成される。形成される酸化膜は、直径数十nmから数百nmの微細な針孔(微細孔)が垂直に開いた厚さ数μmの硬い多孔質層と、該孔の底から合金界面までの薄い緻密な層の二重構造となっている。この酸化膜は、透明度が高く、染色してもメタリック感を失わず装飾性に優れる。
【0035】
(工程3)
アルマイト処理後においては、封孔処理を行う。アルマイト処理後の酸化膜表面は多孔性に富み、吸着性を有するため汚染されやすく不安定な状態にある。そのため、酸化膜の無数の微細孔を塞いで吸着性を消滅させる処理(封孔処理)を行う必要がある。
【0036】
封孔処理の方法は、特に制約はなく、封孔処理に供するアルマイト処理後の成形物の形状や用途に応じて選択することができる。例えば、(i)酢酸ニッケル、酢酸コバルト、ホウ酸(塩)等の金属塩による金属塩封孔法、(ii)100℃以上の加圧水蒸気による蒸気封孔法、(iii)フッ化物による低温封孔法、等が挙げられる。
【0037】
本発明の成形品は高い光沢度を有する。光沢度は、物質の表面に当たった光が正反射する程度を表す量であり、JIS規格(JIS Z8741)では、屈折率1.567であるガラス表面において、60°の入射角の場合における反射率10%を光沢度100(%)、または20°の入射角の場合の反射率5%を光沢度100(%)と定義されている。
【0038】
本発明の成形品においては、入射角60°における光沢度は150以上であるのが好ましく、160以上であるのがより好ましい。光沢度は、公知の光沢計を用いて測定することができる。
【0039】
本発明の成形品は色調が銀白色で、色ムラがなく均一であり、美観性、光輝性に優れるものである。成形品の色調、色ムラの有無は、目視で観察することによって確認することができる。
【0040】
本発明の成形品は染色されていてもよい。染色は、アルマイト処理後、酸化膜の活性度が低下しないうちに速やかに行うことが好ましい。染色は、具体的には、表面の酸化膜の微細孔に染料や金属塩を吸着させ、微細孔中に色素などを封入し、封孔処理により微細孔の口を閉じることにより行うことができる。このような染色方法としては、特に制約はなく、酸化膜中に染料を吸着させる方法(アルマイト染色法)、金属塩を吸着させる方法(電解着色法)等が挙げられる。
【0041】
また、アルミニウムの合金成分の相違とアルマイト処理に用いる電解液の組み合わせによっては、特に染色をしなくても、アルマイト処理を行うことによりアルミニウムの素材と異なる色調が得られる場合もある(自然発色法)。アルミニウムの合金成分の相違とアルマイト処理に用いる電解液の組み合わせによって酸化膜が着色するもので、色調の耐候性に非常に優れる。この自然発色法を採用する場合には、アルマイト処理後、特に染色を施すことなく、封孔処理を行えばよい。
【0042】
本発明の成形品は、これらの染色法により着色した場合であっても優れた光輝性を有するため、アルミニウム合金の特色を活かした多様な装飾表現が可能である。
【0043】
本発明の成形品は、経済性や生産性、耐候性、装飾性、美観性等に優れるため、家電製品、自動車部品、精密機器部品、建築用内外装材、家庭用品等として、多様な分野で好適に用いることができる。
【実施例】
【0044】
以下、実施例及び比較例により、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例によりなんら限定されるものではない。
【0045】
(実施例1〜7及び比較例1〜3)
下記第1表に示す各成分組成よりなる、実施例1〜7及び比較例1〜3のアルミニウム合金を溶解法により溶製した。
【0046】
次いで、得られたアルミニウム合金のそれぞれをコールドチャンバー型ダイカストマシン(型締力250トン)を使用して、700〜750℃の鋳造温度でダイカストして、ダイカスト成形物1〜10を得た。
【0047】
金型は、材質:SKD61、寸法:170×150×54(mm)のものを用いた。
尚、比較例1はADC12、比較例2はADC6、比較例3は、第1表に示す組成のアルミニウム合金である。
【0048】
【表1】

【0049】
次に、実施例1〜7及び比較例1〜3のアルミニウム合金のダイカスト性を調べるため、ダイカスト成形物1〜10を製造する際、耐熱間割れ性、充填性、及び金型への耐焼付き性を観察した。
耐熱間割れ性、充填性及び耐焼付き性は、非常に優れる場合を「◎」、良好な場合を「○」、不十分な場合を「△」、非常に悪い場合を「×」として評価した。
これらの評価結果を下記第2表に示す。
【0050】
続いて、上記で得たダイカスト成形物1〜10から、寸法:80×54×4(mm)、厚み:0.8(mm)の試験片を切り取り、試験片1〜10とした。
この試験片1〜10を、バフ研磨後にリン酸系処理液にて2分間化学研磨処理し、22℃の硫酸浴中で、電流密度1A/dmにて20分間処理したところ、厚さ約7μmの酸化膜が形成された。さらに、酢酸ニッケル系処理液を使用して、10分間の封孔処理を行ない、実施例1〜7及び比較例1〜3の成形品1〜10を得た。
【0051】
得られた成形品1〜10のアルマイト処理されていない部分の硬度を硬度計(松沢精機(株)製、VK−M)により測定した。測定結果を第2表に示す。
【0052】
また、成形品1〜10の外観を評価するため、表面の光沢度、色調及び均一性(色ムラ)を評価した。
光沢度は、光沢計(ミノルタ製、UNiGLOSS#60(60°))を用いて測定した。
色調、均一性(色ムラ)は目視にて観察し、均一性は、◎:非常に優れる(色ムラなく均一)、○:良好(若干色ムラあり)、△:不十分(色ムラが目立つ)、×:非常に悪い(色ムラが著しい)、として評価した。
下記第2表にこれらの光沢度測定結果、色調、及び均一性の評価結果を示す。
【0053】
【表2】

【0054】
第2表より、実施例1〜7の合金は、ダイカスト性に優れ、しかも、高い硬度を有し、光沢度、色調及び均一性が良好で外観に優れる成形品を得ることができることが分かる。 一方、比較例1、3の合金は、ダイカスト性に優れ、得られる成形品の硬度にも優れるものの、成形品の色調、光沢度、均一性に劣っていた。
また、比較例2の合金は、耐焼付き性が不十分であり、得られる成形品の光沢度が低く、外観上に問題があった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
Mn:0.5重量%以上2.5重量%以下、Cr:0.2重量%以上1.0重量%以下、Ti:0.1重量%以上0.5重量%以下、Mg:0.1重量%以上0.5重量%未満、およびAlを含有することを特徴とするダイカスト用アルミニウム合金。
【請求項2】
Si及びFeの含有量がいずれも0.5重量%未満であることを特徴とする請求項1に記載のダイカスト用アルミニウム合金。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のダイカスト用アルミニウム合金をダイカストして得られる成形物。
【請求項4】
前記成形物の表面硬度が35(HV)以上である請求項3に記載の成形物。
【請求項5】
請求項3または4に記載の成形物の表面をアルマイト処理して得られる成形品。
【請求項6】
請求項1又は2に記載のダイカスト用アルミニウム合金をダイカストし、得られる成形物の表面をアルマイト処理して得られる成形品。
【請求項7】
光沢度が160以上である請求項5または6に記載の成形品。