説明

ダクト蓋

【課題】運搬等に際して軽量で取り扱い易く、多数積み重ねて運搬等しても嵩張らず荷崩れを起こし難く、しかも劣悪な環境下の使用にも優れているダクト蓋を提供する。
【解決手段】矩形板状に成形する。上面に複数の滑り止めの突起2、下面に複数の補強リブ3a,3b,3c、さらに縁端部の対称な位置に手掛け4をそれぞれ設ける。前記滑り止めの突起と補強リブは平面に見て交互に隣り合うように設ける。前記手掛けに滑り止めの突起4bを設ける。各コーナ部aの下面に緩衝ボード5を設ける。各コーナ部の上面に緩衝ボートと対応するように凹部6を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はダクト蓋に関し、運搬等に際して軽量で取り扱い易く、多数積み重ねて運搬等しても嵩張らず荷崩れを起こし難く、しかも劣悪な環境下の使用にも優れている。
【背景技術】
【0002】
例えば、鉄道の線路の脇などには、図4と図5に図示するようなケーブル等を収納するためのケーブルダクト7が線路に沿って溝状に敷設され、ケーブルダクト7には蓋1が被せられている。
【0003】
ケーブルダクトの蓋1は、一般にコンクリート製で、人力でも持ち運び可能な大きさの矩形板状に成形されている。また特に、発注主への納品の際や現地への搬入などに際しては、十枚程度ごとに積み重ね、結束バンド等によって束ねて運搬される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−138451号公報
【特許文献2】特開2000−55240号公報
【特許文献3】特開2004−116080号公報
【特許文献4】実用新案登録3134451号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、これまでのケーブルダクトの蓋は、コンクリート製であるために重く、このため人力による取り扱いは取り扱う者に大変な負担を強いていた。
【0006】
また、かなり厚く成形されているため、納品の際や現地への搬入の際などに重ねて運搬すると嵩張りやすく、また荷崩れを起こして破損するおそれがあった。
【0007】
本発明は、以上の課題を解決するためになされたもので、運搬等に際して軽量で取り扱い易く、特に積み重ねて運搬しても嵩張りにくく荷崩れを起こし難く、しかも劣悪な環境下の使用にも優れているダクト蓋を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1記載のダクト蓋は、上面に複数の滑り止めの突起、下面に複数の補強リブ、さらに縁端部の対称な位置に手掛けがそれぞれ設けられ、前記滑り止めの突起と補強リブは平面に見て交互に隣り合うように設けられていることを特徴とするものである。
【0009】
本発明は、運搬等に際して多数積み重ねても嵩張らない上に荷崩れを起し難く、しかも軽量で取り扱いやすいようにしたものであり、例えばケーブルダクトの蓋や配管ダクトの蓋などとして広く用いることができる。
【0010】
本発明によれば、蓋を多数積み重ねても、下側に位置する蓋の滑り止めの突起が上側に位置する蓋の補強リブ間に収納されることにより嵩張り難く、また滑り止めの突起と補強リブが交互に係合することにより蓋の横ずれや蓋の荷崩れを防止することができる。
【0011】
また、ダクト蓋は鉄筋コンクリートによって成型され、高炉スラグを混和材として利用することで、製品の強度が向上し、従来製品より薄肉化を図り、軽量化による運搬等のコスト削減ができる。しかも高炉スラグはリサイクル材であり、環境にも配慮した製品である。
【0012】
製品の強度が向上することで、海沿い地域の塩害や寒冷地などに対する耐久性も向上し、劣悪な環境下での使用にも優れている。
【0013】
請求項2記載のダクト蓋は、請求項1記載のダクト蓋において、コーナ部の下面に緩衝ボードが設けられ、コーナ部の上面の前記緩衝ボードに対応させて凹部が設けられていることを特徴とするものである。
【0014】
本発明は、多数の蓋を積み重ねて運搬する際などに、各蓋のコーナ部に取り付けられた緩衝ボードが蓋間に挟まれて潰れたり剥がれたりするのを防止するようにしたものである。
【0015】
なお、ダクト蓋は、通常、矩形板状に成形されていることから、蓋の各コーナ部の下側に緩衝ボードを取り付け、その上側に凹部を設ければよい。また、緩衝ボードは、ダクト蓋を設置する際などに、ケーブルダクトの縁部と蓋間のガタツキを防止するためのクッション材(発泡体)である。
【0016】
請求項3記載のダクト蓋は、請求項1または2記載のダクト蓋において、手掛けに滑り止めの突起が設けられていることを特徴とするものである。
【0017】
手掛けに滑り止めの突起を設けることにより、運搬中に蓋を誤って落とし足などをけがしたり、あるいは蓋を破損したりするのを未然に防止することができる。この場合の突起はビード状あるいは単に点状に隆起した形状のものでよい。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、重ねても下側に位置する蓋の滑り止めの突起が上側に位置する蓋の補強リブ間に収納されるため、運搬等に際して多数積み重ねても嵩張り難く、また滑り止めの突起と補強リブが交互に係合することにより横滑りしにくいため、横ずれや荷崩れを起して損傷することはないので運搬等の取り扱いが容易である。
【0019】
また、各蓋のコーナ部の上面に凹部が設けられていることにより、各コーナ部の下面に取り付けられた設置用の緩衝ボードが蓋間に挟まれて潰れたり剥離したりするのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】ケーブルダクトの蓋を示し、(a)は平面図、(b)は底面図である。
【図2】ケーブルダクトの蓋を示し、(a)は正面図、(b)は右側面図である。
【図3】ケーブルダクトの蓋を示し、(a)は断面図、(b)は(a)におけるイ部拡大図である。
【図4】ケーブルダクトの一部斜視図である。
【図5】ケーブルダクトを示し、(a)はその一部平面図、(b)は(a)におけるロ−ロ線拡大断面図である。
【図6】運搬等に際して複数の蓋が積み重ねて梱包された状態を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1〜図6は、本発明の一実施形態を示し、図において、ケーブルダクトの蓋1は、鉄筋コンクリート製で矩形板状に成形されている。また、その上面に滑り止めの突起2、下面に補強リブ3a,3bおよび補強リブ3cがそれぞれ形成されている。さらに、対向する縁端部の対称な位置に手掛け4,4が形成されている。
【0022】
また、各コーナ部aの下面に緩衝ボード5が取り付けられ、各コーナ部aの上面に緩衝ボード5よりやや大きい凹部6が形成されている。さらに、各コーナ部aと各側面上部bに角欠け防止および蓋の敷設を容易にするためのテーパー加工部cが施されている。
【0023】
滑り止めの突起2は平面に見てほぼ矩形状に形成され、かつ蓋1の隣り合う二辺の連続方向にそれぞれ所定間隔おきに複数形成され、また隣り合う二辺の連続方向に所定間隔おきに複数列に形成されている。
【0024】
補強リブ3aは蓋1の周縁部に環状に連続して形成され、補強リブ3bは対向する補強リブ3a,3a間に当該補強リブ3aの軸直角方向に連続し、かつ当該補強リブ3aの長手方向に所定間隔おきに複数列に形成されている。
【0025】
そして、補強リブ3cは補強リブ3aと補強リブ3b間および補強リブ3b,3b間に補強リブ3bの軸直角方向に連続し、かつ補強リブ3bの長手方向に所定間隔おきに形成されている。
【0026】
また、これらの補強リブ3a,3bおよび補強リブ3cは、蓋1を平面に見て滑り止めの突起2と交互に隣り合うように形成されている。
【0027】
以上の構成により、図6に図示するように複数の蓋1が複数段に積み重ねられた際、下側に位置する蓋1の滑り止めの突起2は上側に位置する蓋1の補強リブ3a、3bおよび3c間に収納される。また、各蓋1のコーナ部aの上面に凹部6が形成されていることで、各コーナ部aの下面に取り付けられた各緩衝ボード5が凹部6内に収納される。
【0028】
なお、緩衝ボード5は、図5(b)に図示するように、蓋1がケーブダクト7に設置された際に、ケーブルダクト7の縁部7aと蓋1間のガタツキを防止するためのクッション材であり、ポリエチレン樹脂を主原料とした発泡体などから形成されている。
【0029】
手掛け4は、図1(a),(b)に図示するように凹溝状に形成され、かつその底部4aには図3(a),(b)に図示するように指が引っ掛り易いように下向きのテーパーが付けられ、さらに指が滑らないように凹凸の滑り止めの突起4bが形成されている。突起4bは、横方向に連続するビード状あるいは単に点状に隆起した形状のものでよい。
【0030】
以上のような構成により、蓋1の運搬等に際して図6に図示するように、多数の蓋1を積み重ねても嵩張り難く、また滑り止めの突起2と補強リブ3a,3bおよび補強リブ3cが交互に係合することにより蓋1,1間の横ずれや蓋1の荷崩れを防止することができる。
【0031】
また、緩衝ボード5が上下の蓋1,1間で潰れたり、あるいは剥がれたりするのを防止することができる。さらに、手掛け4の底部4aに凹凸状の指掛け4bが設けられていることにより蓋1を両手で確実に持つことができ、これにより運搬中に蓋を誤って落とし、破損したりけがをしたりするおそれはない。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明は、軽量で取り扱い易く、数枚毎に重ねて運搬する際などに嵩張りにくく荷崩れを起こしにくく、しかも劣悪な環境下の使用にも優れている。
【符号の説明】
【0033】
1 ケーブルダクトの蓋(ダクト蓋)
2 滑り止めの突起
3a 補強リブ
3b 補強リブ
3c 補強リブ
4 手掛け
4a 手掛けの底部
4b 滑り止めの突起
5 緩衝ボード
6 凹部
7 ケーブルダクト
7a ケーブルダクトの縁部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面に複数の滑り止めの突起、下面に複数の補強リブ、かつ縁端部の対称な位置に手掛けがそれぞれ設けられ、前記滑り止めの突起と補強リブは平面に見て交互に隣り合うように設けられていることを特徴とするダクト蓋。
【請求項2】
請求項1記載のダクト蓋において、コーナ部の下面に緩衝ボードが設けられ、コーナ部の上面に前記緩衝ボートに対応させて凹部が設けられていることを特徴とするダクト蓋。
【請求項3】
請求項1または2記載のダクト蓋において、手掛けに滑り止めの突起が設けられていることを特徴とするダクト蓋。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−152007(P2011−152007A)
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−12736(P2010−12736)
【出願日】平成22年1月25日(2010.1.25)
【出願人】(504434420)株式会社ハセガワ (1)
【Fターム(参考)】