ダンパーの打抜方法、打抜装置、及び貼付装置
【課題】中空状の打抜パンチによってダンパーを確実に打ち抜き保持することが可能な打抜方法を提供する。
【解決手段】支持面63上に可撓性のライナー15を支持し、該ライナー15上に貼付面が剥離可能に貼り付けられたダンパー材3から中空状の打抜パンチ25を用いてダンパー5を打ち抜くと共に中空状の内側面45に保持させ、該保持したダンパー5を押し出しによりヘッド・サスペンション7の対称部位に貼り付け可能とするダンパー5の打抜方法であって、支持面63とライナー15との間に支持面63に対する支持ピン65を部分的に位置させ、支持ピン65の周囲でダンパー材3からのダンパー5の打ち抜きを行うことを特徴とする。
【解決手段】支持面63上に可撓性のライナー15を支持し、該ライナー15上に貼付面が剥離可能に貼り付けられたダンパー材3から中空状の打抜パンチ25を用いてダンパー5を打ち抜くと共に中空状の内側面45に保持させ、該保持したダンパー5を押し出しによりヘッド・サスペンション7の対称部位に貼り付け可能とするダンパー5の打抜方法であって、支持面63とライナー15との間に支持面63に対する支持ピン65を部分的に位置させ、支持ピン65の周囲でダンパー材3からのダンパー5の打ち抜きを行うことを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハード・ディスク・ドライブ等のヘッド・サスペンションにおける対象部位にダンパーを貼り付けるためのダンパーの打抜方法、打抜装置、及び貼付装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ハード・ディスク・ドライブにおいては、高速で回転するディスク上をヘッド・サスペンションに支持されたヘッド部が僅かに浮上して信号の読み取り書き込みを行う。このとき、ヘッド・サスペンションは、ディスクの回転に伴う風乱(風加振)や共振等により、オフ・トラックによるデータ・エラーが生じ易いという問題があった。
【0003】
これに対し、例えば特許文献1のように、粘弾性体層上に拘束体層を積層してなるダンパーをヘッド・サスペンションに貼り付ける制振技術が提案されている。
【0004】
こうしたダンパーの貼付では、予め粘弾性体層側が離形材に貼り付けられたダンパー材を用意しておき、このダンパー材から所要形状のダンパーを打ち抜き加工する。打ち抜かれたダンパーは、いったんライナー上に整列され、これを貼付自動機により或いは作業者がピンセット等を用いて手作業によりピック・アップしてヘッド・サスペンション上の対象部位に貼り付ける。
【0005】
しかしながら、かかる貼付では、ダンパーの打ち抜きと貼り付けとの間にライナー上への整列を行うことから生産性向上に限界があった。加えて、ライナーからのピック・アップ時には、ダンパーが飛散するという問題もあった。
【0006】
これに対し、例えば特許文献2のように、離形材上のダンパー材から中空状のパンチによってダンパーを打ち抜くと同時に内側面に保持し、保持したダンパーをヘッド・サスペンション上の対象部位に貼り付けるものがある。かかる技術では、ダンパーの打ち抜きと貼り付けとを複合化して生産性の向上等を図ることができる。
【0007】
しかし、近年では、製品に対する様々な要求に対応する必要性から、従来よりも大型のダンパーが用いられることもある。
【0008】
この場合は、ダンパーと離形材との間の貼付力がパンチの内側面との間の保持力よりも大きくなり、パンチの内側面に対するダンパーの保持不良や保持不能となるおそれがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2001−067635号公報
【特許文献2】特開2009−176347号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
解決しようとする問題点は、中空状の打抜パンチによってダンパーを打ち抜き保持する際に確実な保持ができない点である。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、中空状の打抜パンチによってダンパーを確実に打ち抜き保持するために、支持面上に可撓性の離形材を支持し、該離形材上に貼付面が剥離可能に貼り付けられたダンパー材から中空状の打抜パンチを用いてダンパーを打ち抜くと共に前記中空状の内側面に保持させ、該保持したダンパーを押し出しによりヘッド・サスペンションの対称部位に貼り付け可能とするダンパーの打抜方法であって、前記支持面と離形材との間に前記支持面に対する凸部を部分的に位置させ、前記凸部の周囲で前記ダンパー材からの前記ダンパーの打ち抜きを行うことを最も主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、離形材が凸部を中心としてダンパーの縁部側から離反するように曲げられ、この曲げを通じてダンパーの離形材からの剥離を促進することができ、打抜パンチによってダンパーを確実に打ち抜き保持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】ダンパーの貼付装置の概要を示す機能ブロック構成図である(実施例1)。
【図2】ダンパー材の積層構造を示す側面図である(実施例1)。
【図3】ダンパーが貼着けられたヘッド・サスペンションの概略斜視図である(実施例1)。
【図4】図3のダンパーの貼付部分を示す要部平面図である(実施例1)。
【図5】(a)〜(c)は、打抜パンチ及び押出ピンを示す側面図であり、(a)は打抜パンチ、(b)は押出ピン、(c)は、両者の使用状態である(実施例1)。
【図6】貼付装置の打抜ステージ及び貼付ステージの概略構成図である(実施例1)。
【図7】図6の打抜ステージの要部側面図及び同平面図を並列に記載した説明図である(実施例1)。
【図8】(a)〜(d)は、支持ピンのバリエーションを示す打抜ステージの説明図である(実施例1)。
【図9】(a)〜(d)は、支持ピンのバリエーションを示す打抜ステージの説明図である(実施例1)。
【図10】(a)〜(c)は、ダンパーの打抜方法を時系列的に示す説明図である(実施例1)。
【図11】ダンパー貼付時の状態を示す説明図である(実施例1)。
【図12】ダンパー打抜時の貼付装置の要部平面図である(実施例1)。
【図13】打抜ステージの要部側面図及び同平面図を並列に記載した説明図である(実施例2)。
【図14】打抜ステージの要部側面図及び同平面図を並列に記載した説明図である(実施例3)。
【発明を実施するための形態】
【0014】
中空状のパンチによってダンパーを確実に打ち抜き保持するという目的を、ダンパー材の離形材と支持面との間に凸部を部分的に位置させ、凸部の周囲でダンパー材からのダンパーの打ち抜きを行うことで実現した。
【0015】
凸部は、離形材と支持面との間に位置させればよいので、離形材と支持面との間で挟持されるもの、離形材に取り付けられたもの、或いは支持面に取り付けられたもの等とすることができる。好ましくは、離形材を支持する支持面及び該支持面に対する凸部を有する打抜ステージを用いる。
【0016】
凸部は、打抜ステージに一体又は別体の何れでもよく、別体の場合に支持面に対する突出量を変更可能な構成としてもよい。
【0017】
凸部の突出量は、打抜ステージへの一体又は別体に拘わらず、ダンパーの弾性に応じて塑性変形を抑制する範囲内とする。
【0018】
凸部は、凸曲面状又は縁部が曲面状の錐台に形成されている。錐台の場合は、その平面形状をダンパー形状に応じて円形や矩形状等の種々の形状を採用することができる。
【0019】
以下、図面を参照して本発明の実施例について説明する。
【実施例1】
【0020】
図1は、ダンパーの貼付装置の概要を示す機能ブロック構成図、図2は、ダンパー材の積層構造を示す側面図、図3は、ダンパーが貼着けられたヘッド・サスペンションの概略斜視図、図4は、図3のダンパーの貼付部分を示す要部平面図である。
【0021】
本実施例では、図1の貼付装置1を用いて、例えば図2のようなダンパー材3からダンパー5を打ち抜き保持し、打ち抜き保持したダンパー5を図3及び図4のようなヘッド・サスペンション7の対象部位に貼り付ける。
[ダンパー材及びヘッド・サスペンション]
打抜対象となるダンパー材3は、図2のように、粘着剤からなる粘弾性体層9上に拘束体層11を積層一体化して構成されている。粘弾性体層9側の貼付面13には、その粘着性を維持するための可撓性の離形材であるライナー(セパレータ)15が積層仮着されている。
【0022】
ダンパー5の使用時には、粘弾性体層9側の貼付面13からライナー15が剥離されて、対象部位に対して貼付面13の密着により貼り付けられる。
【0023】
粘弾性体層9の材質としては、特に限定されるものではないが、一般に制振特性及び耐熱性に優れるアクリル系粘着剤を用いることが好ましい。粘弾性体層9の厚さは、特に限定されるものではないが、制振効果を考慮して15〜250μm程度に設定することが好ましい。
【0024】
拘束体層11の材質は、特に限定されるものではないが、例えば、金属板やプラスチック・フィルム等が用いられる。特に、弾性率が高いほど制振特性に優れることから、JISK7127による弾性率が2.943GN/m2 (換算前300kg/mm2 )以上のものを用いることが好ましい。
【0025】
金属板を用いる場合には、例えば、ステンレス板、アルミニウム板、銅板、リン青銅板、ベリリウム銅板等を用いることができる。また、プラスチック・フィルムを用いる場合には、例えば、ポリイミド樹脂、二軸延伸ポリエチレン・テレフタレート(PET)、二軸延伸ポリプロピレン、アラミド樹脂、ポリエチレン・ナフタレート(PEN)等を用いることができる。
【0026】
拘束体層11の厚さは、特に限定されないが、拘束体層としての効果を考慮して、金属板の場合に10〜150μm程度、プラスチック・フィルムの場合には20〜200μm程度に設定することが好ましい。
【0027】
ライナー15の材質は、特に限定されないが、粘弾性体層9からの良好な離形性が要求されるため、その積層仮着面が非シリコーン系離形処理剤によって離形処理されたもの等を用いることができる。
【0028】
ダンパー5の貼付対象となるヘッド・サスペンション7は、信号の読み取り書き込み用のヘッド部を支持するものであり、図3のように、ベース・プレート17にばね部19を介してロード・ビーム21が設けられている。
【0029】
ロード・ビーム21は、ヘッド部が取り付けられたフレキシャ23がスポット溶接され、ヘッド部に負荷荷重を与える。このロード・ビーム21に、図3及び図4のように、ばね部19に対する先端側においてダンパー5が貼り付けられる。
【0030】
なお、図3及び図4に示したヘッド・サスペンション7及びダンパー5は一例に過ぎず、これ以外の形状や構成を有するヘッド・サスペンションやダンパーであっても本発明を適用することができる。また、ダンパー5の貼付部分についても、ヘッド・サスペンション7の他の部分であっても本発明を適用することができる。
[貼付装置の構成]
貼付装置1は、図1のように、打抜パンチ25及び押出ピン27(図1のパンチ/ピン)と、パンチ/ピン駆動機構29と、移動機構31と、打抜ステージ33と、貼付ステージ35と、駆動制御部37とを備えている。なお、本実施例の貼付装置1では、少なくとも打抜パンチ25と打抜ステージ33とで打抜装置39が構成されている。
【0031】
打抜パンチ25及び押出ピン27は、パンチ/ピン駆動機構29に支持されて、それぞれ打ち抜き及び押出し駆動される。打抜パンチ25は、図2のダンパー材3から図3及び図4のようなダンパー5を打ち抜くと共に保持する。押出ピン27は、打抜パンチ25に保持されたダンパー5を押し出して対象部位に対する貼り付けを可能とする。打抜パンチ25及び押出ピン27の詳細は後述する。
【0032】
移動機構31は、パンチ/ピン駆動機構29を移動させ、打抜パンチ25を打抜ステージ33と貼付ステージ35との間で往復移動可能とする。これにより、打抜パンチ25を打抜ステージ33上からヘッド・サスペンション7の対象部位まで相対的に移動させる構成となっている。
【0033】
打抜ステージ33では、ダンパー5の打ち抜き保持が実行され、貼付ステージ35では、ダンパー5の貼り付けが実行される。なお、打抜ステージ33及び貼付ステージ35の詳細は後述する。
【0034】
駆動制御部37は、パンチ/ピン駆動機構29及び移動機構31等に接続されてこれらの駆動制御を行う。具体的には、パンチ/ピン駆動機構29を介して打抜パンチ25にダンパー5を打ち抜かせる。その後、駆動制御部37は、移動機構31を介してパンチ/ピン駆動機構29を対象部位まで相対的に移動させて位置決めを行う。当該位置で、駆動制御部37は、パンチ/ピン駆動機構29を介して押出ピン27にダンパー5を押出させる。
【0035】
かかる駆動制御を行うことにより、押出されたダンパー5のヘッド・サスペンション7の対象部位に対する貼り付けを行わせる。
[打抜パンチ及び押出ピン]
図5(a)〜(c)は、打抜パンチ及び押出ピンを示す側面図であり、(a)は打抜パンチ、(b)は押出ピン、(c)は、両者の使用状態である。
【0036】
打抜パンチ25は、例えばステンレス鋼等の金属材料からなり、全体として中空筒状に形成されている。
【0037】
打抜パンチ25の打抜方向の先端部41は、肉厚が漸次減少するテーパ形状となっており、先端部41の開口縁には、肉厚減少による歯部43が設けられている。先端部41の内側面45は、磨き込む平滑化処理がなされ、ダンパー5の打抜き保持の円滑化及びダンパー5の押出しの抜け性向上が図られている。
【0038】
打抜パンチ25の内側中空部47は、ダンパー5の平面形状に応じた断面形状を有している。この打抜パンチ25の中空部47内には、押出ピン27が挿通されている。
【0039】
押出ピン27は、例えばステンレス鋼等の金属材料からなり、全体として棒状に形成されている。この押出ピン27は、打抜パンチ25の中空部47を進退自在となっており、その進出移動によって打抜パンチ25からダンパー5を押出す。なお、押出ピン27に代えて、空気圧等によってダンパー5を押し出す押出部とすることも可能である。
【0040】
押出ピン27の軸部49は、打抜パンチ25の中空部47と同様に、ダンパー5の平面形状に応じた断面形状を有している。軸部49の一端部には、円板状の取付部51が設けられ、他端部には、矮小部53が設けられている。
【0041】
矮小部53は、打抜パンチ25の先端部41の内側面45と押出ピン27の他端部との間隙を広げて逃げ空間を形成する。従って、打抜パンチ25の内側面45に打ち抜き保持したダンパー5の押出し時には、逃げ空間によって打抜パンチ25の内側面45に対する粘弾性体層9の絡み付きを抑制し、ダンパー5の抜け障害を回避することができる。
【0042】
これらの打抜パンチ25及び押出ピン27は、打抜パンチ25が打抜方向の後端部を、押出ピン27が取付部51をパンチ/ピン駆動機構29に支持されている。
【0043】
これにより、打抜パンチ25は、パンチ/ピン駆動機構29の駆動によって打抜き方向に進退駆動され、押出ピン27は、打抜パンチ25内において押出し方向に相対的に進退駆動されるようになっている。
[打抜ステージ及び貼付ステージ]
図6は、貼付装置の打抜ステージ及び貼付ステージの概略構成図、図7は、図6の打抜ステージの要部側面図及び同平面図を並列に記載した説明図である。
【0044】
打抜ステージ33は、図6のように、ダンパー材3の送り機構55に対して設けられている。送り機構55は、従動軸57及び主動軸59を備えている。従動軸57には、略帯状のダンパー材3が芯材(図示せず)に巻き回された状態でセットされている。
【0045】
主動軸59には、ダンパー材3の端部が係着されている。主動軸59の外周には、ダンパー材3を挟んで送りローラ61が位置している。送りローラ61は、駆動制御部37の制御によりダンパー材3を適宜のタイミングで所定の距離だけ送るようになっている。
【0046】
送り機構55の従動軸57及び主動軸59間には、打抜ステージ33が設けられている。打抜ステージ33は、図6及び図7のように、矩形ブロック状又は板状に形成され、その上面に平面からなるダンパー材3の支持面63が形成されている。
【0047】
支持面63上には、ダンパー材3が架け渡され、打抜パンチ25による打ち抜き時にダンパー材3のライナー15を支持する。この支持面63には、凸部としての支持ピン65が一体的に突出形成されている。従って、打抜ステージ33は、ライナー15を支持する支持面63及び該支持面63に対する支持ピン65を有する構成となっている。
【0048】
本実施例の支持ピン65は、凸曲面状に形成され、平面視で略円形となっている。支持ピン65の径は、例えば0.6mm程度に設定されている。支持ピン65の突出量は、ダンパー5の弾性に応じて塑性変形を抑制する範囲内とする。本実施例では、例えば0.1mm程度に設定されているが、0.5mm未満程度まで突出量を増加させることができる。
【0049】
この支持ピン65は、ダンパー5の打ち抜き時に、ダンパー5の縁部よりも内側に位置してライナー15を部分的に支持する。本実施例では、ダンパー5の平面形状が略台形形状であり、その中央部付近に支持ピン65が位置するようになっている。
【0050】
なお、支持ピン65の形状、数、及び配置等は、図8及び図9のように、ダンパー5の形状に応じて適宜変更することができる。図8(a)〜(d)及び図9(a)〜(d)は、支持ピン65のバリエーションを示している。
【0051】
図8(a)では、ダンパー5の平面形状が円形であり、図7と同様に支持ピン65がダンパー5の中央部に位置する凸曲面状となっている。
【0052】
図8(b)では、ダンパー5の平面形状が図8(a)よりも大径の円形であり、支持ピン65がダンパー5の中央部周囲に位置するリング状に形成されている。リング状の支持ピン65の断面は、凸曲面状となっている。
【0053】
図8(c)及び(d)では、ダンパー5の平面形状が正方形であり、それぞれ支持ピン65がダンパー5の中央部に位置する円錐台及び四角錐台となっている。支持ピン65の縁部67は、上面69と連続する曲面となっている。
【0054】
図9(a)では、ダンパー5の平面形状が楕円形であり、凸曲面状の一対の支持ピン65a,65bが焦点付近に位置する。
【0055】
図9(b)では、ダンパー5の平面形状が底辺に凹部71を有する略台形であり、支持ピン65がダンパー5と同様の凹部72を有する略台形に形成されている。
【0056】
図9(c)では、ダンパー5の平面形状が略台形であり、凸曲面状の3つの支持ピン65a,65b,65cが中央部を囲むように位置している。図9(d)では、ダンパー5の平面形状が略台形であり、支持ピン5がダンパー5と対応する略台形に形成されている。
【0057】
なお、図7及び図8(a)〜(d)並びに図9(a)〜(d)のダンパー5及び支持ピン65の組み合わせは、一例に過ぎず、自由な組み合わせを採用することができる。例えば、図8(a)のように平面形状のダンパー5であっても、図8(c)、(d)及び図9(a)〜(d)のような支持ピン65を採用することも可能である。また、図7、図8(a)〜(d)、及び図9(a)〜(d)以外のダンパーの平面形状や支持ピンの形状も作用することが可能である。
【0058】
ただし、支持ピン65は、後述するようにライナー15に対するダンパー5の剥離を促進するものであるので、ダンパー5の外形全周にわたってバランス良く剥離促進するように配置する。
【0059】
貼付ステージ35としては、図6のように、複数のヘッド・サスペンション7が連鎖した状態の仕掛かり連鎖品73を、ワーク・クランプ(不図示)にセットして治具により固定するようになっている。
【0060】
貼付ステージ35では、こうした連鎖品73の個々のヘッド・サスペンション7の所要の対象部位に対してダンパー5を貼り付けてゆく。
[ダンパーの打抜方法]
以下、ダンパー5の打抜方法について、貼付装置1によるダンパー5の貼り付けと共に説明する。
【0061】
図10(a)〜(c)は、ダンパーの打抜方法を時系列的に示す説明図、図11は、ダンパー貼付時の状態を示す説明図である。
【0062】
本実施例のダンパー5の貼り付けの際は、図10のように、まずダンパー5の打抜方法として、打抜ステージ33の支持面63とダンパー材3のライナー15との間に支持面63に対する支持ピン65を部分的に位置させ、支持ピン65の周囲でダンパー材3からのダンパー5の打ち抜きを行う。
【0063】
具体的には、図10(a)のように、打抜ステージ33上で打抜パンチ25を支持ピン65に対して位置決める。この位置決めにより、打抜パンチ25によりダンパー5として打ち抜かれる部分(打抜対象部とも称する)の縁部よりも内側に支持ピン65を位置させるようにする。本実施例では、打抜対象部の中央部に支持ピン65を位置させる。
【0064】
この状態で、図10(b)のように、ダンパー5の打ち抜き保持を行う。すなわち、打抜パンチ25を下降駆動し、先端の歯部43をダンパー材3を貫通させてライナー15に食い込ませる。
【0065】
このとき、ライナー15は、ダンパー5の中央部に対応する部分が、支持面63に対する突出位置で支持ピン65により支持され、ダンパー5の縁部に対応する部分が、支持面63に押し付けられる。このため、ライナー15は、支持ピン65を中心としてダンパー5の縁部側から離反するように曲げられ、ダンパー5は、その縁部側でのライナー15からの剥離が促進される。この剥離促進は、ライナー15とダンパー5との剛性差によって更に助長される。
【0066】
加えて、ライナー15には、曲げによる引張が生じるので、ダンパー5との間に引張によるせん断力が作用する。このせん断力により、ダンパー5は、ライナー15からの剥離が更に促進されることになる。
【0067】
このとき、本実施例では、打抜パンチ25の歯部43がライナー15に食い込んでいるので、より確実にライナー15の引張を生じさせてダンパー5のライナー15からの剥離が更に促進される。なお、打抜パンチ25の歯部43は、ライナー15に食い込ませずに、支持面63との間でライナー15を挟持するだけでもよい。
【0068】
また、打ち抜きの際は、ダンパー材3が支持ピン65によって打抜パンチ25側に押し付けられるので、円滑且つ確実にダンパー5を打ち抜くことができる。
【0069】
こうして打抜パンチ25によってダンパー5が打ち抜かれると、ダンパー5がライナー15から確実に剥離して打抜パンチ25の内側面45に保持されることになる。なお、ダンパー5が打ち抜かれたダンパー材3には、抜き跡75が形成される。
【0070】
このようなダンパー5の打抜は、図12のように、打抜パンチ25が搭載されたパンチ/ピン駆動機構29の移動方向をダンパー材3の送り方向に対して略直交させて複数連続して行われる。
【0071】
かかる構成によって、帯状のダンパー材3の幅方向にわたって複数個のダンパー5の打抜き処理を行わせることができ、材料歩留まりを向上させた状態で円滑に作業を行うことができるようになる。
【0072】
各ダンパー5の打ち抜き保持後は、図10(c)のように、打抜パンチ25を上昇駆動させて、図11のようにヘッド・サスペンション7の対象部位に対して相対的な位置決めを行う。
【0073】
この位置決め状態で、打抜パンチ25を下降駆動させると共に打抜パンチ25内側の押出ピン27を下降駆動させる。これによって、ダンパー5を打抜パンチ25から押出すと共にヘッド・サスペンション7の対象部位に貼り付ける。
【0074】
このとき、本実施例では、打抜パンチ25が、その打抜方向の先端部41の内側面45が平滑化されており、押出ピン27が、その押出し方向の先端部分(矮小部)53が小さくされているので、ダンパー5の粘弾性体層9の絡み付きを抑制して抜け障害を回避することができる。
[実施例1の効果]
本実施例のダンパー5の打抜方法では、支持面63上に可撓性のライナー15を支持し、該ライナー15上に貼付面が剥離可能に貼り付けられたダンパー材3から中空状の打抜パンチ25を用いてダンパー5を打ち抜くと共に中空状の内側面45に保持させ、該保持したダンパー5を押し出しによりヘッド・サスペンション7の対称部位に貼り付け可能とするダンパー5の打抜方法であって、支持面63とライナー15との間に支持面63に対する支持ピン65を部分的に位置させ、支持ピン65の周囲でダンパー材3からのダンパー5の打ち抜きを行う。
【0075】
従って、本実施例の打抜方法では、ライナー15が支持ピン65を中心としてダンパー5の縁部側から離反するように曲げられ、ダンパー5のライナー15からの剥離が縁部側で促進される。
【0076】
このため、本実施例の打抜方法では、ダンパー5が従来よりも大型化してもライナー15から確実に剥離させることができる。結果として、ダンパー5の大きさに拘わらず、打抜パンチ25によってダンパー5を確実に打ち抜き保持することができる。
【0077】
しかも、本実施例では、ライナー15に対して曲げによる引張を生じさせ、ライナー15とダンパー5との間に引張によるせん断力を作用させることができる。このため、ダンパー5は、ライナー15からの剥離を更に促進することができる。
【0078】
また、ダンパー5の打ち抜き時には、打抜パンチ25先端の歯部43をダンパー材3を貫通させてライナー15に食い込ませるので、より確実にライナー15の引張を生じさせてダンパー5のライナー15からの剥離を促進することができる。
【0079】
また、ダンパー材3は、粘弾性体層9上に拘束体層11を積層させてなるので、自身の弾性とライナー15の曲げとの協働により、ライナー15からの剥離を更に促進することができる。
【0080】
本実施例の打抜装置39は、ライナー15を支持する支持面63及び該支持面63に対する支持ピン65を有する打抜ステージ33と、支持ピン65の周囲でダンパー材3からのダンパー5の打抜を行うと共に打ち抜いたダンパー5を内側面45に保持する中空状の打抜パンチ25とを備えている。
【0081】
従って、打抜装置39では、容易且つ確実に支持ピン65を支持面63とライナー15との間に位置させることができ、上記打抜方法を容易且つ確実に実現することができる。
【0082】
また、打抜装置39では、支持ピン65が、凸曲面状又は縁部67が曲面状の錐台に形成されているので、ダンパー5の損傷をも抑制することができる。
【0083】
支持ピン65は、その突出量がダンパー5の弾性に応じて塑性変形を抑制する範囲内に設定されるので、より確実にダンパー5の損傷を抑制することができる。
【0084】
また、打抜装置39では、打抜パンチ25の内側面45が平滑化されているので、打ち抜き保持したダンパー5の押出しを確実に行わせることができる。
【0085】
かかる打抜装置39を有する貼付装置1は、打抜パンチ25の中空状の内部に進退自在に挿入され、ダンパー5を打抜パンチ25から押出してヘッド・サスペンション7の対象部位に対する貼り付けを行わせる押出ピン27を備えている。
【0086】
従って、貼付装置1では、打抜パンチ25からダンパー5を確実に押出して対象部位に対する貼り付けを行わせることができる。
【0087】
しかも、押出ピン27は、その押出し方向の先端部がダンパー5を保持する打抜パンチ25の内側面よりも小さい断面形状であるので、打ち抜き保持したダンパー5の押出しを確実に行わせることができる。
【0088】
また、貼付装置1は、打抜パンチ25及び押出ピン27を駆動するパンチ/ピン駆動機構29と、打抜パンチ25を打抜ステージ33上からヘッド・サスペンション7の対象部位まで相対的に移動させるための移動機構31と、パンチ/ピン駆動機構29と移動機構31とに接続されて、これらの駆動制御を行う駆動制御部37とを備えている。
【0089】
そして、駆動制御部37は、パンチ/ピン駆動機構29を介して打抜パンチ25にダンパー5を打抜かせた後、移動機構31を介して打抜パンチ25を対象部位まで相対的に移動させて位置決めを行い、当該位置でパンチ/ピン駆動機構29を介して押出ピン27にダンパー5の押し出しを行わせる。
【0090】
従って、貼付装置1では、打抜パンチ25によるダンパー5の確実な打ち抜き保持を行わせつつ、ダンパー5の打ち抜きから貼り付けまでを自動化することができ、ヘッド・サスペンション7の生産性の向上を図ることができる。
【実施例2】
【0091】
図13は、本発明の実施例2に係る打抜装置に用いられる打抜ステージの要部側面図及び同平面図を並列に記載した説明図である。なお、本実施例では、上記実施例と基本構成が共通するため、対応する構成部分について同符号又は同符号にAを付加したものを用いて重複した説明を省略する。
【0092】
本実施例の打抜ステージ33Aは、図13のように、支持ピン65Aを打抜パンチ25の打抜方向に可動支持したものである。すなわち、打抜ステージ33Aは、その板厚方向に貫通形成された貫通孔77を備えている。貫通孔77内には、支持ピン65Aが進退自在に挿通支持されている。
【0093】
支持ピン65Aの先端部は、打抜ステージ33Aの支持面63から突出している。支持ピン65の基端側は、図示しないアクチュエータに取り付けられ、支持ピン65は、進退駆動されるようになっている。支持ピン65の駆動は、駆動制御部37によって制御される。駆動制御は、ダンパー材3の搬送時に支持ピン65を後退させて支持面63からの非突出状態とし、ダンパー5の打抜時に支持ピン65を進出させて支持面63からの突出状態とする。
【0094】
従って、本実施例では、ダンパー材3の円滑な搬送を行わせることができながら、上記実施例1と同様の作用効果を奏することができる。
【0095】
また、本実施例では、支持ピン65Aの進出量によって支持面63に対する突出量を調整することもできる。
【実施例3】
【0096】
図14は、本発明の実施例2に係る打抜装置に用いられる打抜ステージの要部側面図及び同平面図を並列に記載した説明図である。なお、本実施例では、上記実施例と基本構成が共通するため、対応する構成部分について同符号又は同符号にBを付加したものを用いて重複した説明を省略する。
【0097】
本実施例では、図14のように、打抜ステージ33Bの支持ピンを省略すると共にダンパー材3のライナー15B側に凸部65Bを設けたものである。
【0098】
かかる実施例では、従来の打ち抜き保持用の打抜パンチを用いながら、容易且つ確実に凸部65Bを支持面63Bとライナー15Bとの間に位置させることができ、本発明の打抜方法を容易且つ確実に実現することができる。
【0099】
加えて、本実施例においても、上記実施例1と同様の作用効果を奏することができる。
【符号の説明】
【0100】
1 貼付装置
3 ダンパー材
5 ダンパー
7 ヘッド・サスペンション
15 ライナー(離形材)
25 打抜パンチ
33 打抜ステージ
45 内側面
63 支持面
65 支持ピン
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハード・ディスク・ドライブ等のヘッド・サスペンションにおける対象部位にダンパーを貼り付けるためのダンパーの打抜方法、打抜装置、及び貼付装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ハード・ディスク・ドライブにおいては、高速で回転するディスク上をヘッド・サスペンションに支持されたヘッド部が僅かに浮上して信号の読み取り書き込みを行う。このとき、ヘッド・サスペンションは、ディスクの回転に伴う風乱(風加振)や共振等により、オフ・トラックによるデータ・エラーが生じ易いという問題があった。
【0003】
これに対し、例えば特許文献1のように、粘弾性体層上に拘束体層を積層してなるダンパーをヘッド・サスペンションに貼り付ける制振技術が提案されている。
【0004】
こうしたダンパーの貼付では、予め粘弾性体層側が離形材に貼り付けられたダンパー材を用意しておき、このダンパー材から所要形状のダンパーを打ち抜き加工する。打ち抜かれたダンパーは、いったんライナー上に整列され、これを貼付自動機により或いは作業者がピンセット等を用いて手作業によりピック・アップしてヘッド・サスペンション上の対象部位に貼り付ける。
【0005】
しかしながら、かかる貼付では、ダンパーの打ち抜きと貼り付けとの間にライナー上への整列を行うことから生産性向上に限界があった。加えて、ライナーからのピック・アップ時には、ダンパーが飛散するという問題もあった。
【0006】
これに対し、例えば特許文献2のように、離形材上のダンパー材から中空状のパンチによってダンパーを打ち抜くと同時に内側面に保持し、保持したダンパーをヘッド・サスペンション上の対象部位に貼り付けるものがある。かかる技術では、ダンパーの打ち抜きと貼り付けとを複合化して生産性の向上等を図ることができる。
【0007】
しかし、近年では、製品に対する様々な要求に対応する必要性から、従来よりも大型のダンパーが用いられることもある。
【0008】
この場合は、ダンパーと離形材との間の貼付力がパンチの内側面との間の保持力よりも大きくなり、パンチの内側面に対するダンパーの保持不良や保持不能となるおそれがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2001−067635号公報
【特許文献2】特開2009−176347号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
解決しようとする問題点は、中空状の打抜パンチによってダンパーを打ち抜き保持する際に確実な保持ができない点である。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、中空状の打抜パンチによってダンパーを確実に打ち抜き保持するために、支持面上に可撓性の離形材を支持し、該離形材上に貼付面が剥離可能に貼り付けられたダンパー材から中空状の打抜パンチを用いてダンパーを打ち抜くと共に前記中空状の内側面に保持させ、該保持したダンパーを押し出しによりヘッド・サスペンションの対称部位に貼り付け可能とするダンパーの打抜方法であって、前記支持面と離形材との間に前記支持面に対する凸部を部分的に位置させ、前記凸部の周囲で前記ダンパー材からの前記ダンパーの打ち抜きを行うことを最も主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、離形材が凸部を中心としてダンパーの縁部側から離反するように曲げられ、この曲げを通じてダンパーの離形材からの剥離を促進することができ、打抜パンチによってダンパーを確実に打ち抜き保持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】ダンパーの貼付装置の概要を示す機能ブロック構成図である(実施例1)。
【図2】ダンパー材の積層構造を示す側面図である(実施例1)。
【図3】ダンパーが貼着けられたヘッド・サスペンションの概略斜視図である(実施例1)。
【図4】図3のダンパーの貼付部分を示す要部平面図である(実施例1)。
【図5】(a)〜(c)は、打抜パンチ及び押出ピンを示す側面図であり、(a)は打抜パンチ、(b)は押出ピン、(c)は、両者の使用状態である(実施例1)。
【図6】貼付装置の打抜ステージ及び貼付ステージの概略構成図である(実施例1)。
【図7】図6の打抜ステージの要部側面図及び同平面図を並列に記載した説明図である(実施例1)。
【図8】(a)〜(d)は、支持ピンのバリエーションを示す打抜ステージの説明図である(実施例1)。
【図9】(a)〜(d)は、支持ピンのバリエーションを示す打抜ステージの説明図である(実施例1)。
【図10】(a)〜(c)は、ダンパーの打抜方法を時系列的に示す説明図である(実施例1)。
【図11】ダンパー貼付時の状態を示す説明図である(実施例1)。
【図12】ダンパー打抜時の貼付装置の要部平面図である(実施例1)。
【図13】打抜ステージの要部側面図及び同平面図を並列に記載した説明図である(実施例2)。
【図14】打抜ステージの要部側面図及び同平面図を並列に記載した説明図である(実施例3)。
【発明を実施するための形態】
【0014】
中空状のパンチによってダンパーを確実に打ち抜き保持するという目的を、ダンパー材の離形材と支持面との間に凸部を部分的に位置させ、凸部の周囲でダンパー材からのダンパーの打ち抜きを行うことで実現した。
【0015】
凸部は、離形材と支持面との間に位置させればよいので、離形材と支持面との間で挟持されるもの、離形材に取り付けられたもの、或いは支持面に取り付けられたもの等とすることができる。好ましくは、離形材を支持する支持面及び該支持面に対する凸部を有する打抜ステージを用いる。
【0016】
凸部は、打抜ステージに一体又は別体の何れでもよく、別体の場合に支持面に対する突出量を変更可能な構成としてもよい。
【0017】
凸部の突出量は、打抜ステージへの一体又は別体に拘わらず、ダンパーの弾性に応じて塑性変形を抑制する範囲内とする。
【0018】
凸部は、凸曲面状又は縁部が曲面状の錐台に形成されている。錐台の場合は、その平面形状をダンパー形状に応じて円形や矩形状等の種々の形状を採用することができる。
【0019】
以下、図面を参照して本発明の実施例について説明する。
【実施例1】
【0020】
図1は、ダンパーの貼付装置の概要を示す機能ブロック構成図、図2は、ダンパー材の積層構造を示す側面図、図3は、ダンパーが貼着けられたヘッド・サスペンションの概略斜視図、図4は、図3のダンパーの貼付部分を示す要部平面図である。
【0021】
本実施例では、図1の貼付装置1を用いて、例えば図2のようなダンパー材3からダンパー5を打ち抜き保持し、打ち抜き保持したダンパー5を図3及び図4のようなヘッド・サスペンション7の対象部位に貼り付ける。
[ダンパー材及びヘッド・サスペンション]
打抜対象となるダンパー材3は、図2のように、粘着剤からなる粘弾性体層9上に拘束体層11を積層一体化して構成されている。粘弾性体層9側の貼付面13には、その粘着性を維持するための可撓性の離形材であるライナー(セパレータ)15が積層仮着されている。
【0022】
ダンパー5の使用時には、粘弾性体層9側の貼付面13からライナー15が剥離されて、対象部位に対して貼付面13の密着により貼り付けられる。
【0023】
粘弾性体層9の材質としては、特に限定されるものではないが、一般に制振特性及び耐熱性に優れるアクリル系粘着剤を用いることが好ましい。粘弾性体層9の厚さは、特に限定されるものではないが、制振効果を考慮して15〜250μm程度に設定することが好ましい。
【0024】
拘束体層11の材質は、特に限定されるものではないが、例えば、金属板やプラスチック・フィルム等が用いられる。特に、弾性率が高いほど制振特性に優れることから、JISK7127による弾性率が2.943GN/m2 (換算前300kg/mm2 )以上のものを用いることが好ましい。
【0025】
金属板を用いる場合には、例えば、ステンレス板、アルミニウム板、銅板、リン青銅板、ベリリウム銅板等を用いることができる。また、プラスチック・フィルムを用いる場合には、例えば、ポリイミド樹脂、二軸延伸ポリエチレン・テレフタレート(PET)、二軸延伸ポリプロピレン、アラミド樹脂、ポリエチレン・ナフタレート(PEN)等を用いることができる。
【0026】
拘束体層11の厚さは、特に限定されないが、拘束体層としての効果を考慮して、金属板の場合に10〜150μm程度、プラスチック・フィルムの場合には20〜200μm程度に設定することが好ましい。
【0027】
ライナー15の材質は、特に限定されないが、粘弾性体層9からの良好な離形性が要求されるため、その積層仮着面が非シリコーン系離形処理剤によって離形処理されたもの等を用いることができる。
【0028】
ダンパー5の貼付対象となるヘッド・サスペンション7は、信号の読み取り書き込み用のヘッド部を支持するものであり、図3のように、ベース・プレート17にばね部19を介してロード・ビーム21が設けられている。
【0029】
ロード・ビーム21は、ヘッド部が取り付けられたフレキシャ23がスポット溶接され、ヘッド部に負荷荷重を与える。このロード・ビーム21に、図3及び図4のように、ばね部19に対する先端側においてダンパー5が貼り付けられる。
【0030】
なお、図3及び図4に示したヘッド・サスペンション7及びダンパー5は一例に過ぎず、これ以外の形状や構成を有するヘッド・サスペンションやダンパーであっても本発明を適用することができる。また、ダンパー5の貼付部分についても、ヘッド・サスペンション7の他の部分であっても本発明を適用することができる。
[貼付装置の構成]
貼付装置1は、図1のように、打抜パンチ25及び押出ピン27(図1のパンチ/ピン)と、パンチ/ピン駆動機構29と、移動機構31と、打抜ステージ33と、貼付ステージ35と、駆動制御部37とを備えている。なお、本実施例の貼付装置1では、少なくとも打抜パンチ25と打抜ステージ33とで打抜装置39が構成されている。
【0031】
打抜パンチ25及び押出ピン27は、パンチ/ピン駆動機構29に支持されて、それぞれ打ち抜き及び押出し駆動される。打抜パンチ25は、図2のダンパー材3から図3及び図4のようなダンパー5を打ち抜くと共に保持する。押出ピン27は、打抜パンチ25に保持されたダンパー5を押し出して対象部位に対する貼り付けを可能とする。打抜パンチ25及び押出ピン27の詳細は後述する。
【0032】
移動機構31は、パンチ/ピン駆動機構29を移動させ、打抜パンチ25を打抜ステージ33と貼付ステージ35との間で往復移動可能とする。これにより、打抜パンチ25を打抜ステージ33上からヘッド・サスペンション7の対象部位まで相対的に移動させる構成となっている。
【0033】
打抜ステージ33では、ダンパー5の打ち抜き保持が実行され、貼付ステージ35では、ダンパー5の貼り付けが実行される。なお、打抜ステージ33及び貼付ステージ35の詳細は後述する。
【0034】
駆動制御部37は、パンチ/ピン駆動機構29及び移動機構31等に接続されてこれらの駆動制御を行う。具体的には、パンチ/ピン駆動機構29を介して打抜パンチ25にダンパー5を打ち抜かせる。その後、駆動制御部37は、移動機構31を介してパンチ/ピン駆動機構29を対象部位まで相対的に移動させて位置決めを行う。当該位置で、駆動制御部37は、パンチ/ピン駆動機構29を介して押出ピン27にダンパー5を押出させる。
【0035】
かかる駆動制御を行うことにより、押出されたダンパー5のヘッド・サスペンション7の対象部位に対する貼り付けを行わせる。
[打抜パンチ及び押出ピン]
図5(a)〜(c)は、打抜パンチ及び押出ピンを示す側面図であり、(a)は打抜パンチ、(b)は押出ピン、(c)は、両者の使用状態である。
【0036】
打抜パンチ25は、例えばステンレス鋼等の金属材料からなり、全体として中空筒状に形成されている。
【0037】
打抜パンチ25の打抜方向の先端部41は、肉厚が漸次減少するテーパ形状となっており、先端部41の開口縁には、肉厚減少による歯部43が設けられている。先端部41の内側面45は、磨き込む平滑化処理がなされ、ダンパー5の打抜き保持の円滑化及びダンパー5の押出しの抜け性向上が図られている。
【0038】
打抜パンチ25の内側中空部47は、ダンパー5の平面形状に応じた断面形状を有している。この打抜パンチ25の中空部47内には、押出ピン27が挿通されている。
【0039】
押出ピン27は、例えばステンレス鋼等の金属材料からなり、全体として棒状に形成されている。この押出ピン27は、打抜パンチ25の中空部47を進退自在となっており、その進出移動によって打抜パンチ25からダンパー5を押出す。なお、押出ピン27に代えて、空気圧等によってダンパー5を押し出す押出部とすることも可能である。
【0040】
押出ピン27の軸部49は、打抜パンチ25の中空部47と同様に、ダンパー5の平面形状に応じた断面形状を有している。軸部49の一端部には、円板状の取付部51が設けられ、他端部には、矮小部53が設けられている。
【0041】
矮小部53は、打抜パンチ25の先端部41の内側面45と押出ピン27の他端部との間隙を広げて逃げ空間を形成する。従って、打抜パンチ25の内側面45に打ち抜き保持したダンパー5の押出し時には、逃げ空間によって打抜パンチ25の内側面45に対する粘弾性体層9の絡み付きを抑制し、ダンパー5の抜け障害を回避することができる。
【0042】
これらの打抜パンチ25及び押出ピン27は、打抜パンチ25が打抜方向の後端部を、押出ピン27が取付部51をパンチ/ピン駆動機構29に支持されている。
【0043】
これにより、打抜パンチ25は、パンチ/ピン駆動機構29の駆動によって打抜き方向に進退駆動され、押出ピン27は、打抜パンチ25内において押出し方向に相対的に進退駆動されるようになっている。
[打抜ステージ及び貼付ステージ]
図6は、貼付装置の打抜ステージ及び貼付ステージの概略構成図、図7は、図6の打抜ステージの要部側面図及び同平面図を並列に記載した説明図である。
【0044】
打抜ステージ33は、図6のように、ダンパー材3の送り機構55に対して設けられている。送り機構55は、従動軸57及び主動軸59を備えている。従動軸57には、略帯状のダンパー材3が芯材(図示せず)に巻き回された状態でセットされている。
【0045】
主動軸59には、ダンパー材3の端部が係着されている。主動軸59の外周には、ダンパー材3を挟んで送りローラ61が位置している。送りローラ61は、駆動制御部37の制御によりダンパー材3を適宜のタイミングで所定の距離だけ送るようになっている。
【0046】
送り機構55の従動軸57及び主動軸59間には、打抜ステージ33が設けられている。打抜ステージ33は、図6及び図7のように、矩形ブロック状又は板状に形成され、その上面に平面からなるダンパー材3の支持面63が形成されている。
【0047】
支持面63上には、ダンパー材3が架け渡され、打抜パンチ25による打ち抜き時にダンパー材3のライナー15を支持する。この支持面63には、凸部としての支持ピン65が一体的に突出形成されている。従って、打抜ステージ33は、ライナー15を支持する支持面63及び該支持面63に対する支持ピン65を有する構成となっている。
【0048】
本実施例の支持ピン65は、凸曲面状に形成され、平面視で略円形となっている。支持ピン65の径は、例えば0.6mm程度に設定されている。支持ピン65の突出量は、ダンパー5の弾性に応じて塑性変形を抑制する範囲内とする。本実施例では、例えば0.1mm程度に設定されているが、0.5mm未満程度まで突出量を増加させることができる。
【0049】
この支持ピン65は、ダンパー5の打ち抜き時に、ダンパー5の縁部よりも内側に位置してライナー15を部分的に支持する。本実施例では、ダンパー5の平面形状が略台形形状であり、その中央部付近に支持ピン65が位置するようになっている。
【0050】
なお、支持ピン65の形状、数、及び配置等は、図8及び図9のように、ダンパー5の形状に応じて適宜変更することができる。図8(a)〜(d)及び図9(a)〜(d)は、支持ピン65のバリエーションを示している。
【0051】
図8(a)では、ダンパー5の平面形状が円形であり、図7と同様に支持ピン65がダンパー5の中央部に位置する凸曲面状となっている。
【0052】
図8(b)では、ダンパー5の平面形状が図8(a)よりも大径の円形であり、支持ピン65がダンパー5の中央部周囲に位置するリング状に形成されている。リング状の支持ピン65の断面は、凸曲面状となっている。
【0053】
図8(c)及び(d)では、ダンパー5の平面形状が正方形であり、それぞれ支持ピン65がダンパー5の中央部に位置する円錐台及び四角錐台となっている。支持ピン65の縁部67は、上面69と連続する曲面となっている。
【0054】
図9(a)では、ダンパー5の平面形状が楕円形であり、凸曲面状の一対の支持ピン65a,65bが焦点付近に位置する。
【0055】
図9(b)では、ダンパー5の平面形状が底辺に凹部71を有する略台形であり、支持ピン65がダンパー5と同様の凹部72を有する略台形に形成されている。
【0056】
図9(c)では、ダンパー5の平面形状が略台形であり、凸曲面状の3つの支持ピン65a,65b,65cが中央部を囲むように位置している。図9(d)では、ダンパー5の平面形状が略台形であり、支持ピン5がダンパー5と対応する略台形に形成されている。
【0057】
なお、図7及び図8(a)〜(d)並びに図9(a)〜(d)のダンパー5及び支持ピン65の組み合わせは、一例に過ぎず、自由な組み合わせを採用することができる。例えば、図8(a)のように平面形状のダンパー5であっても、図8(c)、(d)及び図9(a)〜(d)のような支持ピン65を採用することも可能である。また、図7、図8(a)〜(d)、及び図9(a)〜(d)以外のダンパーの平面形状や支持ピンの形状も作用することが可能である。
【0058】
ただし、支持ピン65は、後述するようにライナー15に対するダンパー5の剥離を促進するものであるので、ダンパー5の外形全周にわたってバランス良く剥離促進するように配置する。
【0059】
貼付ステージ35としては、図6のように、複数のヘッド・サスペンション7が連鎖した状態の仕掛かり連鎖品73を、ワーク・クランプ(不図示)にセットして治具により固定するようになっている。
【0060】
貼付ステージ35では、こうした連鎖品73の個々のヘッド・サスペンション7の所要の対象部位に対してダンパー5を貼り付けてゆく。
[ダンパーの打抜方法]
以下、ダンパー5の打抜方法について、貼付装置1によるダンパー5の貼り付けと共に説明する。
【0061】
図10(a)〜(c)は、ダンパーの打抜方法を時系列的に示す説明図、図11は、ダンパー貼付時の状態を示す説明図である。
【0062】
本実施例のダンパー5の貼り付けの際は、図10のように、まずダンパー5の打抜方法として、打抜ステージ33の支持面63とダンパー材3のライナー15との間に支持面63に対する支持ピン65を部分的に位置させ、支持ピン65の周囲でダンパー材3からのダンパー5の打ち抜きを行う。
【0063】
具体的には、図10(a)のように、打抜ステージ33上で打抜パンチ25を支持ピン65に対して位置決める。この位置決めにより、打抜パンチ25によりダンパー5として打ち抜かれる部分(打抜対象部とも称する)の縁部よりも内側に支持ピン65を位置させるようにする。本実施例では、打抜対象部の中央部に支持ピン65を位置させる。
【0064】
この状態で、図10(b)のように、ダンパー5の打ち抜き保持を行う。すなわち、打抜パンチ25を下降駆動し、先端の歯部43をダンパー材3を貫通させてライナー15に食い込ませる。
【0065】
このとき、ライナー15は、ダンパー5の中央部に対応する部分が、支持面63に対する突出位置で支持ピン65により支持され、ダンパー5の縁部に対応する部分が、支持面63に押し付けられる。このため、ライナー15は、支持ピン65を中心としてダンパー5の縁部側から離反するように曲げられ、ダンパー5は、その縁部側でのライナー15からの剥離が促進される。この剥離促進は、ライナー15とダンパー5との剛性差によって更に助長される。
【0066】
加えて、ライナー15には、曲げによる引張が生じるので、ダンパー5との間に引張によるせん断力が作用する。このせん断力により、ダンパー5は、ライナー15からの剥離が更に促進されることになる。
【0067】
このとき、本実施例では、打抜パンチ25の歯部43がライナー15に食い込んでいるので、より確実にライナー15の引張を生じさせてダンパー5のライナー15からの剥離が更に促進される。なお、打抜パンチ25の歯部43は、ライナー15に食い込ませずに、支持面63との間でライナー15を挟持するだけでもよい。
【0068】
また、打ち抜きの際は、ダンパー材3が支持ピン65によって打抜パンチ25側に押し付けられるので、円滑且つ確実にダンパー5を打ち抜くことができる。
【0069】
こうして打抜パンチ25によってダンパー5が打ち抜かれると、ダンパー5がライナー15から確実に剥離して打抜パンチ25の内側面45に保持されることになる。なお、ダンパー5が打ち抜かれたダンパー材3には、抜き跡75が形成される。
【0070】
このようなダンパー5の打抜は、図12のように、打抜パンチ25が搭載されたパンチ/ピン駆動機構29の移動方向をダンパー材3の送り方向に対して略直交させて複数連続して行われる。
【0071】
かかる構成によって、帯状のダンパー材3の幅方向にわたって複数個のダンパー5の打抜き処理を行わせることができ、材料歩留まりを向上させた状態で円滑に作業を行うことができるようになる。
【0072】
各ダンパー5の打ち抜き保持後は、図10(c)のように、打抜パンチ25を上昇駆動させて、図11のようにヘッド・サスペンション7の対象部位に対して相対的な位置決めを行う。
【0073】
この位置決め状態で、打抜パンチ25を下降駆動させると共に打抜パンチ25内側の押出ピン27を下降駆動させる。これによって、ダンパー5を打抜パンチ25から押出すと共にヘッド・サスペンション7の対象部位に貼り付ける。
【0074】
このとき、本実施例では、打抜パンチ25が、その打抜方向の先端部41の内側面45が平滑化されており、押出ピン27が、その押出し方向の先端部分(矮小部)53が小さくされているので、ダンパー5の粘弾性体層9の絡み付きを抑制して抜け障害を回避することができる。
[実施例1の効果]
本実施例のダンパー5の打抜方法では、支持面63上に可撓性のライナー15を支持し、該ライナー15上に貼付面が剥離可能に貼り付けられたダンパー材3から中空状の打抜パンチ25を用いてダンパー5を打ち抜くと共に中空状の内側面45に保持させ、該保持したダンパー5を押し出しによりヘッド・サスペンション7の対称部位に貼り付け可能とするダンパー5の打抜方法であって、支持面63とライナー15との間に支持面63に対する支持ピン65を部分的に位置させ、支持ピン65の周囲でダンパー材3からのダンパー5の打ち抜きを行う。
【0075】
従って、本実施例の打抜方法では、ライナー15が支持ピン65を中心としてダンパー5の縁部側から離反するように曲げられ、ダンパー5のライナー15からの剥離が縁部側で促進される。
【0076】
このため、本実施例の打抜方法では、ダンパー5が従来よりも大型化してもライナー15から確実に剥離させることができる。結果として、ダンパー5の大きさに拘わらず、打抜パンチ25によってダンパー5を確実に打ち抜き保持することができる。
【0077】
しかも、本実施例では、ライナー15に対して曲げによる引張を生じさせ、ライナー15とダンパー5との間に引張によるせん断力を作用させることができる。このため、ダンパー5は、ライナー15からの剥離を更に促進することができる。
【0078】
また、ダンパー5の打ち抜き時には、打抜パンチ25先端の歯部43をダンパー材3を貫通させてライナー15に食い込ませるので、より確実にライナー15の引張を生じさせてダンパー5のライナー15からの剥離を促進することができる。
【0079】
また、ダンパー材3は、粘弾性体層9上に拘束体層11を積層させてなるので、自身の弾性とライナー15の曲げとの協働により、ライナー15からの剥離を更に促進することができる。
【0080】
本実施例の打抜装置39は、ライナー15を支持する支持面63及び該支持面63に対する支持ピン65を有する打抜ステージ33と、支持ピン65の周囲でダンパー材3からのダンパー5の打抜を行うと共に打ち抜いたダンパー5を内側面45に保持する中空状の打抜パンチ25とを備えている。
【0081】
従って、打抜装置39では、容易且つ確実に支持ピン65を支持面63とライナー15との間に位置させることができ、上記打抜方法を容易且つ確実に実現することができる。
【0082】
また、打抜装置39では、支持ピン65が、凸曲面状又は縁部67が曲面状の錐台に形成されているので、ダンパー5の損傷をも抑制することができる。
【0083】
支持ピン65は、その突出量がダンパー5の弾性に応じて塑性変形を抑制する範囲内に設定されるので、より確実にダンパー5の損傷を抑制することができる。
【0084】
また、打抜装置39では、打抜パンチ25の内側面45が平滑化されているので、打ち抜き保持したダンパー5の押出しを確実に行わせることができる。
【0085】
かかる打抜装置39を有する貼付装置1は、打抜パンチ25の中空状の内部に進退自在に挿入され、ダンパー5を打抜パンチ25から押出してヘッド・サスペンション7の対象部位に対する貼り付けを行わせる押出ピン27を備えている。
【0086】
従って、貼付装置1では、打抜パンチ25からダンパー5を確実に押出して対象部位に対する貼り付けを行わせることができる。
【0087】
しかも、押出ピン27は、その押出し方向の先端部がダンパー5を保持する打抜パンチ25の内側面よりも小さい断面形状であるので、打ち抜き保持したダンパー5の押出しを確実に行わせることができる。
【0088】
また、貼付装置1は、打抜パンチ25及び押出ピン27を駆動するパンチ/ピン駆動機構29と、打抜パンチ25を打抜ステージ33上からヘッド・サスペンション7の対象部位まで相対的に移動させるための移動機構31と、パンチ/ピン駆動機構29と移動機構31とに接続されて、これらの駆動制御を行う駆動制御部37とを備えている。
【0089】
そして、駆動制御部37は、パンチ/ピン駆動機構29を介して打抜パンチ25にダンパー5を打抜かせた後、移動機構31を介して打抜パンチ25を対象部位まで相対的に移動させて位置決めを行い、当該位置でパンチ/ピン駆動機構29を介して押出ピン27にダンパー5の押し出しを行わせる。
【0090】
従って、貼付装置1では、打抜パンチ25によるダンパー5の確実な打ち抜き保持を行わせつつ、ダンパー5の打ち抜きから貼り付けまでを自動化することができ、ヘッド・サスペンション7の生産性の向上を図ることができる。
【実施例2】
【0091】
図13は、本発明の実施例2に係る打抜装置に用いられる打抜ステージの要部側面図及び同平面図を並列に記載した説明図である。なお、本実施例では、上記実施例と基本構成が共通するため、対応する構成部分について同符号又は同符号にAを付加したものを用いて重複した説明を省略する。
【0092】
本実施例の打抜ステージ33Aは、図13のように、支持ピン65Aを打抜パンチ25の打抜方向に可動支持したものである。すなわち、打抜ステージ33Aは、その板厚方向に貫通形成された貫通孔77を備えている。貫通孔77内には、支持ピン65Aが進退自在に挿通支持されている。
【0093】
支持ピン65Aの先端部は、打抜ステージ33Aの支持面63から突出している。支持ピン65の基端側は、図示しないアクチュエータに取り付けられ、支持ピン65は、進退駆動されるようになっている。支持ピン65の駆動は、駆動制御部37によって制御される。駆動制御は、ダンパー材3の搬送時に支持ピン65を後退させて支持面63からの非突出状態とし、ダンパー5の打抜時に支持ピン65を進出させて支持面63からの突出状態とする。
【0094】
従って、本実施例では、ダンパー材3の円滑な搬送を行わせることができながら、上記実施例1と同様の作用効果を奏することができる。
【0095】
また、本実施例では、支持ピン65Aの進出量によって支持面63に対する突出量を調整することもできる。
【実施例3】
【0096】
図14は、本発明の実施例2に係る打抜装置に用いられる打抜ステージの要部側面図及び同平面図を並列に記載した説明図である。なお、本実施例では、上記実施例と基本構成が共通するため、対応する構成部分について同符号又は同符号にBを付加したものを用いて重複した説明を省略する。
【0097】
本実施例では、図14のように、打抜ステージ33Bの支持ピンを省略すると共にダンパー材3のライナー15B側に凸部65Bを設けたものである。
【0098】
かかる実施例では、従来の打ち抜き保持用の打抜パンチを用いながら、容易且つ確実に凸部65Bを支持面63Bとライナー15Bとの間に位置させることができ、本発明の打抜方法を容易且つ確実に実現することができる。
【0099】
加えて、本実施例においても、上記実施例1と同様の作用効果を奏することができる。
【符号の説明】
【0100】
1 貼付装置
3 ダンパー材
5 ダンパー
7 ヘッド・サスペンション
15 ライナー(離形材)
25 打抜パンチ
33 打抜ステージ
45 内側面
63 支持面
65 支持ピン
【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持面上に可撓性の離形材を支持し、該離形材上に貼付面が剥離可能に貼り付けられたダンパー材から中空状の打抜パンチを用いてダンパーを打ち抜くと共に前記中空状の内側面に保持させ、該保持したダンパーを押し出しによりヘッド・サスペンションの対称部位に貼り付け可能とするダンパーの打抜方法であって、
前記支持面と離形材との間に前記支持面に対する凸部を部分的に位置させ、
前記凸部の周囲で前記ダンパー材からの前記ダンパーの打ち抜きを行う、
ことを特徴とするダンパーの打抜方法。
【請求項2】
請求項1記載のダンパーの打抜方法であって、
前記ダンパーの打ち抜き時には、前記打抜パンチ先端の歯部を前記ダンパー材を貫通させて前記離形材に食い込ませる、
ことを特徴とするダンパーの打抜方法。
【請求項3】
請求項1又は2記載のダンパーの打抜方法であって、
前記ダンパー材は、粘弾性体層上に拘束体層を積層させてなり、
前記粘弾性体層によって前記貼付面が構成される、
ことを特徴とするダンパーの打抜方法。
【請求項4】
請求項1〜3の何れかに記載のダンパーの打抜方法に用いられる打抜装置であって、
前記離形材を支持する支持面及び該支持面に対する凸部を有する打抜ステージと、
前記凸部の周囲で前記ダンパー材からの前記ダンパーの打抜を行うと共に打ち抜いたダンパーを内側面に保持する中空状のパンチと、
を備えたことを特徴とする打抜装置。
【請求項5】
請求項4記載の打抜装置であって、
前記凸部は、凸曲面状又は縁部が曲面状の錐台に形成されている、
ことを特徴とする打抜装置。
【請求項6】
請求項4又は5記載の打抜装置であって、
前記凸部の突出量は、前記ダンパーの弾性に応じて塑性変形を抑制する範囲内に設定される、
ことを特徴とする打抜装置。
【請求項7】
請求項4〜6の何れかに記載の打抜装置であって、
前記打抜パンチは、前記内側面が平滑化されている、
ことを特徴とする打抜装置。
【請求項8】
請求項4〜7の何れかに記載の打抜装置を備えた貼付装置であって、
前記ダンパーを前記打抜パンチから押出してヘッド・サスペンションの対象部位に対する貼り付けを行わせる押出部を備えた、
ことを特徴とする貼付装置。
【請求項9】
請求項8記載の貼付装置であって、
前記押出部は、前記打抜パンチの中空状の内部に進退自在に挿入された押出部材からなる、
ことを特徴とする貼付装置。
【請求項10】
請求項9記載の貼付装置であって、
前記押出部材は、その押出し方向の先端部が前記ダンパーを保持する前記打抜パンチの内側面よりも小さい断面形状である、
ことを特徴とする貼付装置。
【請求項11】
請求項8〜10の何れかに記載の貼付装置であって、
前記打抜パンチを駆動するパンチ駆動機構と、
前記打抜パンチを前記打抜ステージ上から前記ヘッド・サスペンションの対象部位まで相対的に移動させるための移動機構と、
前記押出部を駆動する押出駆動機構と、
前記パンチ駆動機構と前記移動機構と前記押出駆動機構とに接続されて、これらの駆動制御を行う駆動制御部とを備え、
前記駆動制御部は、前記パンチ駆動機構を介して前記打抜パンチに前記ダンパーを打抜かせた後、前記移動機構を介して前記打抜パンチを前記対象部位まで相対的に移動させて位置決めを行い、当該位置で前記押出駆動機構を介して前記押出部に前記ダンパーの押し出しを行わせる、
ことを特徴とする貼付装置。
【請求項1】
支持面上に可撓性の離形材を支持し、該離形材上に貼付面が剥離可能に貼り付けられたダンパー材から中空状の打抜パンチを用いてダンパーを打ち抜くと共に前記中空状の内側面に保持させ、該保持したダンパーを押し出しによりヘッド・サスペンションの対称部位に貼り付け可能とするダンパーの打抜方法であって、
前記支持面と離形材との間に前記支持面に対する凸部を部分的に位置させ、
前記凸部の周囲で前記ダンパー材からの前記ダンパーの打ち抜きを行う、
ことを特徴とするダンパーの打抜方法。
【請求項2】
請求項1記載のダンパーの打抜方法であって、
前記ダンパーの打ち抜き時には、前記打抜パンチ先端の歯部を前記ダンパー材を貫通させて前記離形材に食い込ませる、
ことを特徴とするダンパーの打抜方法。
【請求項3】
請求項1又は2記載のダンパーの打抜方法であって、
前記ダンパー材は、粘弾性体層上に拘束体層を積層させてなり、
前記粘弾性体層によって前記貼付面が構成される、
ことを特徴とするダンパーの打抜方法。
【請求項4】
請求項1〜3の何れかに記載のダンパーの打抜方法に用いられる打抜装置であって、
前記離形材を支持する支持面及び該支持面に対する凸部を有する打抜ステージと、
前記凸部の周囲で前記ダンパー材からの前記ダンパーの打抜を行うと共に打ち抜いたダンパーを内側面に保持する中空状のパンチと、
を備えたことを特徴とする打抜装置。
【請求項5】
請求項4記載の打抜装置であって、
前記凸部は、凸曲面状又は縁部が曲面状の錐台に形成されている、
ことを特徴とする打抜装置。
【請求項6】
請求項4又は5記載の打抜装置であって、
前記凸部の突出量は、前記ダンパーの弾性に応じて塑性変形を抑制する範囲内に設定される、
ことを特徴とする打抜装置。
【請求項7】
請求項4〜6の何れかに記載の打抜装置であって、
前記打抜パンチは、前記内側面が平滑化されている、
ことを特徴とする打抜装置。
【請求項8】
請求項4〜7の何れかに記載の打抜装置を備えた貼付装置であって、
前記ダンパーを前記打抜パンチから押出してヘッド・サスペンションの対象部位に対する貼り付けを行わせる押出部を備えた、
ことを特徴とする貼付装置。
【請求項9】
請求項8記載の貼付装置であって、
前記押出部は、前記打抜パンチの中空状の内部に進退自在に挿入された押出部材からなる、
ことを特徴とする貼付装置。
【請求項10】
請求項9記載の貼付装置であって、
前記押出部材は、その押出し方向の先端部が前記ダンパーを保持する前記打抜パンチの内側面よりも小さい断面形状である、
ことを特徴とする貼付装置。
【請求項11】
請求項8〜10の何れかに記載の貼付装置であって、
前記打抜パンチを駆動するパンチ駆動機構と、
前記打抜パンチを前記打抜ステージ上から前記ヘッド・サスペンションの対象部位まで相対的に移動させるための移動機構と、
前記押出部を駆動する押出駆動機構と、
前記パンチ駆動機構と前記移動機構と前記押出駆動機構とに接続されて、これらの駆動制御を行う駆動制御部とを備え、
前記駆動制御部は、前記パンチ駆動機構を介して前記打抜パンチに前記ダンパーを打抜かせた後、前記移動機構を介して前記打抜パンチを前記対象部位まで相対的に移動させて位置決めを行い、当該位置で前記押出駆動機構を介して前記押出部に前記ダンパーの押し出しを行わせる、
ことを特徴とする貼付装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2013−51010(P2013−51010A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−187991(P2011−187991)
【出願日】平成23年8月30日(2011.8.30)
【出願人】(000004640)日本発條株式会社 (1,048)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年8月30日(2011.8.30)
【出願人】(000004640)日本発條株式会社 (1,048)
【Fターム(参考)】
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