説明

ダンパ装置および冷蔵庫

【課題】冷却機で発生させる冷気などの供給を制御するダンパ装置において、当該ダンパ装置が配置される冷蔵庫などの機器の小型化を図ることのできる構成を提供すること。
【解決手段】 ダンパ装置1では、吸気口52および排気口53を備えたハウジング2に対して、送風ファンとしてのシロッコファン3が一体に取り付けられている。複数の排気口53の各々にはバッフル5が配置されており、バッフル駆動装置6は、バッフル5により排気口53の開閉を行うとともに、バッフル5を揺動させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷気などの供給を制御するダンパ装置、およびこのダンパ装置を備えた冷蔵庫に関するものである。
【背景技術】
【0002】
冷蔵庫などにおいて食品などを収納する収納室を冷却する場合には、冷却機の近傍に送風ファンを配置するとともに、この送風ファンにより送られてくる冷気をダンパ装置のバッフルにより遮断した状態と収納室に供給する状態とに切り換えるようになっている。また、複数の収納室の各々を冷却する場合には、冷却機の近傍に配置した共通の送風ファンで冷気の送風を行うとともに、複数の収納室の各々に対して配置したダンパ装置のダンパによって、送風ファンにより送られてくる冷気の供給および遮断を制御するようになっている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来のように、冷却機近傍に送風ファンを配置すると、複数の冷却室の各々に冷気を供給するには大型のファンが必要となり、送風ファンが大きな空間を占有してしまうという問題点がある。
【0004】
また、収納室を急速冷却する際には、収納室内の冷気を攪拌する必要があるので、収納室に対しては、バッフルの他にルーバを追加する必要があり、このようなルーバを配置する空間を確保しようとすると収納室を狭くせざるを得ないという問題点がある。
【0005】
以上の問題に鑑みて、本発明の課題は、冷却機で発生させた冷気の供給などを制御するダンパ装置において、当該ダンパ装置が配置される冷蔵庫などの機器の小型化を図ることのできる構成を提供することにある。また、本発明の課題は、当該ダンパ装置を備えた冷蔵庫を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明では、吸気口および排気口を備えたハウジングと、該ハウジング内の流路を開閉可能なバッフルとを有するダンパ装置において、前記ハウジングに対して一体に取り付けた送風ファンと、該送風ファンを駆動するファン駆動装置とを有することを特徴とする。
【0007】
本発明では、送風ファンが冷却機近傍ではなく、ダンパ装置のハウジングに対して一体に取り付けられているため、例えば、共通の冷却機から複数の収納室に冷気を供給する場合でも、個々の収納室に向かう各冷気通路にダンパ装置を配置すればよい。このため、送風ファンとしては小型のものでよく、冷却機の近傍に大型のファンを配置するための大きな空間を確保する必要がない。それ故、冷蔵庫などの機器の小型化を図ることができる。
【0008】
本発明において、前記送風ファンは、前記ハウジング内の前記吸気口から前記排気口に向かう途中位置に配置されていることが好ましい。このように構成すると、送風ファンを配置するための空間を別途、設ける必要がないので、冷蔵庫などの機器の小型化を図ることができる。
【0009】
本発明において、前記バッフルは、前記排気口で所定方向に互いに隣接するように複数配列される場合があり、この場合、前記ファンは、前記複数のバッフルの背後で当該複数のバッフルの配列方向に沿って軸線が延びたシロッコファンであることが好ましい。このように構成すると、1台のシロッコファンによって、複数のバッフルが配置された位置の各々から略均等に送風を行うことができる。
【0010】
本発明において、前記バッフルは、複数配置される場合があり、この場合、当該複数のバッフルに対するバッフル駆動装置は、当該複数のバッフルに対して共通の駆動源と、該駆動源の駆動力を前記複数のバッフルの各々に伝達する伝達機構とを備えていることが好ましい。
【0011】
本発明において、前記複数のバッフルは、前記排気口で回動して当該排気口を開閉するとともに、当該排気口からの送風方向を切り換えるルーバとしての機能を備えていることが好ましい。このように構成すると、バッフルとルーバを各々別々に設ける必要がないので、冷蔵庫などの機器の小型化を図ることができる。
【0012】
本発明に係るダンパ装置と、冷却機と、該冷却機で発生した冷気が供給される収納室とを備えた冷蔵庫では、前記ダンパ装置が前記収納室における冷気取り入れ口に配置されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明では、ダンパ装置のハウジングに対して送風ファンが一体に取り付けられているため、例えば、共通の冷却機から複数の収納室に冷気を供給する場合でも、個々の収納室に向かう各冷気通路にダンパ装置を配置すればよい。このため、送風ファンとしては小型のものでよく、冷却機の近傍に大型のファンを配置するための大きな空間を確保する必要がない。それ故、冷蔵庫などの機器の小型化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下に、図面を参照して、本発明を適用したダンパ装置の一例を説明する。
【0015】
[実施の形態1]
(全体構成)
図1は、本発明の実施の形態1に係るダンパ装置の一部を断面で示す斜視図である。図2は、図1に示すダンパ装置の分解斜視図である。図3(a)ないし(d)は、図1に示すダンパ装置におけるバッフルの開閉動作を示す説明図である。
【0016】
図1および図2に示すダンパ装置1は、冷蔵庫などにおいて食品などの収納室の冷気取り入れ口に配置され、冷却機30からダクト40を介して送られる冷気の供給および遮断を制御するものである。
【0017】
ダンパ装置1において、ハウジング2は、冷却機30から延びたダクト40に接続された吸気口52を前端面に備えているとともに、側端面で開口する収納室への排気口53を備えている。詳しくは後述するが、排気口53は、ハウジング2の前後方向に3つ、一列に配列されており、3つの排気口53の各々に対して矩形のバッフル5が配置されている。なお、バッフル5の下方では、ハウジング2に形成された収納部分213の内部にバッフル駆動装置6が配置されている。
【0018】
本形態のダンパ装置1において、ハウジング2の内部には、複数のバッフル5の背後で3つのバッフル5の配列方向と平行に回転軸31が延びたシロッコファン3(送風ファン)がハウジング2と一体に取り付けられており、ハウジング2の後端部には、ファン駆動装置4が配置されている。
【0019】
(各部分の詳細構成)
このような構成のダンパ装置1を構成するにあたって、ハウジング2は、左右両側の2つの部材を接合した構造を備えている。2つの部材のうちの一方の部材は、排気口53が形成された本体ケース21であり、他方側の部材は円弧状カバー22である。また、本体ケース21の後端部は、ファン駆動装置4の収納部分212になっており、その後端面は蓋23で塞がれている。また、本体ケース21においてバッフル駆動装置6の収納部分213の底部開口は底蓋24で塞がれている。
【0020】
本体ケース21および円弧状カバー22の前端面には、半円形の切り欠き211、221が各々形成されており、本体ケース21と円弧状カバー22とを接合すると、切り欠き211、221によって円形の吸気口52が形成される。吸気口52の周りには前方に向けて4本のボルト251が等角度間隔に突き出ており、これらボルト251にねじ込まれたナット252によってダクト40の端部が吸気口52に連結されるようになっている。その際、ダクト40とハウジング21との間にはリング状の軸受部材8が固定され、シロッコファン3の回転中心軸31の先端部は、軸受部材8によって回転自在に支持されている。これに対して、回転中心軸31の基端部は、円弧状カバー22の後端面を回転自在な状態で貫通し、ファン駆動装置4に連結されている。ファン駆動装置4は、駆動源としてのモータ41と、このモータ41の出力を送風ファン3に伝達する減速歯車列42(ファン用伝達機構)とを備えている。
【0021】
本体ケース21において、3つの排気口53の各開口縁には外側に突き出た矩形枠部分202aが構成されている。また、本体ケース21では、3つの排気口53の上側部分および下側部分が外側に張り出しており、これらの張り出し部分には、バッフル5の回転軸51の上端部および下端部を回転可能に支持する軸穴215が形成されている。このため、バッフル5は、回転軸51周りに回転可能であり、矩形枠部分202aに当接した状態が排気口53に対する全閉状態となる。ここで、バッフル5の回転軸51の下端部は、収納部分213の内部まで延びており、バッフル駆動装置6に機構的に接続されている。
【0022】
バッフル駆動装置6は、共通の駆動源としてのモータ61と、モータ61の出力を3枚のバッフル5の各々に伝達して3枚のバッフル5をそれぞれ、所定の角度範囲にわたって回転させる伝達機構62(バッフル用伝達機構)とを備えている。伝達機構62は、モータ61の出力軸に取り付けられたピニオン621を含めた減速歯車列622、この減速歯車列622の出力歯車と噛合して前後方向に移動可能なラック623と、バッフル5の回転軸51の下端部にそれぞれ取り付けられたピニオン624とから構成され、3つのピニオン624は各々ラック623に噛合している。従って、モータ61を正転あるいは逆転させることによってラック623を前後方向に移動させれば、図3(a)〜(d)に示すように、3枚のバッフル5の全てを同時に駆動することができる。ここで、バッフル駆動装置6は、バッフル5によって排気口53を図3(a)に示す全閉状態にして冷気の供給を遮断するとともに、図3(b)〜(d)に示す全開状態にして冷気の供給を行う。また、バッフル駆動装置6は、バッフル5を図3(b)〜(d)に示すように揺動させて、ルーバとしても機能させる。このため、排気口53から供給される冷気は、バッフル5の姿勢が切り換わることにより、収納庫内の各位置に向けて供給され、かつ、収納庫内では冷気の攪拌が行われる。それ故、収納庫内を均等に急速加熱することができる。
【0023】
(本形態の効果)
以上説明したように、本形態のダンパ装置1では、送風ファンとしてシロッコファン3がハウジング2に対して一体に取り付けられているため、例えば、共通の冷却機30から複数の収納室に冷気を供給する場合でも、個々の収納室に向かう各冷気供給経路にダンパ装置1を配置すればよく、大型の送付ファンを冷却機30近傍に配置する必要がない。このため、本形態では、送風ファンとしては、小型のシロッコファン3を用いればよく、冷却機30の近傍に大型のファンを配置するための大きな空間を確保する必要がない。それ故、冷蔵庫の小型化を図ることができる。
【0024】
また、本形態では、従来であればそれぞれ冷蔵庫内の別々に配置されていたバッフル5と送風ファンとを1つのダンパ装置1にまとめたため、冷蔵庫への取り付け、取り外し作業などが容易である。
【0025】
さらに、本形態では、送風ファンとしてシロッコファン3を用いたため、3枚のバッフル5を所定方向に配列した場合でも、これら3枚のバッフル5の全てにかかるように1つの送風ファンを配置でき、3つの排気口53から略均等な冷気を供給することができる。
【0026】
さらにまた、3枚のバッフル5をルーバとしても動作させるため、バッフルとルーバを各々、配置する必要がない。それ故、冷蔵庫の小型化を図ることができる。
【0027】
(実施の形態1の変形例)
なお、吸気口52および排気口53のレイアウトは自由であり、排気口53に配置したバッフル5の枚数も任意である。ここで、バッフル5にルーバの機能を持たせるためには、バッフル5の枚数は、3枚以上であることが望ましい。また、上記形態では、バッフル5は左右に開くように構成されていたが、上下に開くように構成してもよい。
【0028】
[実施の形態2]
図4は、本発明の実施の形態2に係るダンパ装置の分解斜視図である。図4において、本形態のダンパ装置50は、冷却機30から延びたダクト40に接続される吸気口52、および冷蔵庫の収納室で開口する排気口53を備えたハウジング55と、このハウジング55内に配置されたバッフル56と、排気口53の外側に配置された軸流ファン57(送風ファン)と、バッフル56に対する駆動装置58とを有している。
【0029】
ハウジング55は、吸気口52が形成された第1ケース551と、この第1ケース551の側方に取り付けられた第2ケース552と、底部分を塞ぐ底カバー553と、第1ケース551の側方に形成されたボックス上の収納部分554の底面を塞ぐ底蓋555とを備えており、収納部分554には駆動装置58が配置されている。
【0030】
第1ケース551の側端面および第2ケース552の側端面にはそれぞれ、半円形の切り欠き531、532が形成されており、ケース551、552を接合すると、切り欠き531、532によって円形の排気口53が形成される。排気口53の周りには外側に向けて4本のボルト59が等角度間隔に突き出ており、これらボルト59にねじ込まれたナット(図示せず)によって軸流ファン57が排気口53に固定されている。なお、排気口53には排出ダクト45が軸流ファン57とともに固定されている。
【0031】
バッフル56は、第1ケース551の側板部分に対して、その下端部分の両側に連結された回転軸561、562を中心に回転可能に支持されており、起立した吸気口52を塞いだ閉姿勢と、平伏して流体の流通を許容する開姿勢とに切り換えられる。ここで、回転軸562は、その先端部が収納部分554まで延びて、収納部分554の上面に形成されたスリット558を介して駆動装置58に機構的に接続されている。
【0032】
バッフル56に対する駆動装置58では、駆動源として軸流ファン57のモータ自身が用いられ、軸流ファン57の基部の外周面には歯車571が形成されている。また、駆動装置58は、減速歯車列583、584を備えた伝達機構582を有しており、この伝達機構582はクラッチ機構585を備えている。ここで、軸流ファン57の歯車571はスリット559を介して減速歯車列583に機構的に接続し、バッフル56の回転軸562は、スリット558を介して減速歯車列584に機構的に接続されている。
【0033】
このように構成した本形態のダンパ装置50では、モータ(図示せず)を駆動して軸流ファン57を回転させると共に、クラッチ機構585で切り替えを行ってバッフル56を所望の姿勢にすることにより、冷却機30で発生した冷気の流体排出ダクト45への送風および遮断を行うことができる。
【0034】
以上説明したように、本形態のダンパ装置50においても、送風ファンとしての軸流ファン57がハウジング55に対して一体に取り付けられているため、例えば、共通の冷却機から複数の収納室に冷気を供給する場合でも、個々の収納室に向かう各冷気供給経路にダンパ装置50が配置すればよい。このため、送風ファンとしては、小型の軸流ファン57でよく、冷却機の近傍にファンを配置するための大きな空間を確保する必要がない。それ故、冷蔵庫の小型化を図ることができる。また、本形態では、従来であればそれぞれ冷蔵庫内の別々に配置されていたバッフル56と送風ファンとを1つのダンパ装置50にまとめたため、冷蔵庫への取り付け、取り外し作業などが容易である。
【0035】
さらに、本形態では、バッフル56および軸流ファン57に対する駆動源が共通であるので、バッフル56および軸流ファン57のそれぞれに対して別々の駆動源を用いた場合と比較して構成の簡素化を図ることができる。それ故、本形態によれば、ダンパ装置50の低コスト化、および小型化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の実施の形態1に係るダンパ装置の一部を断面で示す斜視図である。
【図2】図1に示すダンパ装置の分解斜視図である。
【図3】(a)ないし(d)は、図1に示すダンパ装置のバッフルの開閉動作を示す説明図である。
【図4】本発明の実施の形態2に係るダンパ装置の分解斜視図である。
【符号の説明】
【0037】
1、50 ダンパ装置
2、55 ハウジング
3 シロッコファン(送風ファン)
4 ファン駆動装置
5、56 バッフル
6 バッフル駆動装置
41、61 モータ
42、62、582、583、584 減速歯車列(伝達機構)
52 吸気口
53 排気口
57 軸流ファン(送風ファン)
58 共通の駆動装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸気口および排気口を備えたハウジングと、該ハウジング内の流路を開閉可能なバッフルとを有するダンパ装置において、
前記ハウジングに対して一体に取り付けた送風ファンと、該送風ファンを駆動するファン駆動装置とを有することを特徴とするダンパ装置。
【請求項2】
請求項1において、前記送風ファンは、前記ハウジング内の前記吸気口から前記排気口に向かう途中位置に配置されていることを特徴とするダンパ装置。
【請求項3】
請求項1または2において、前記バッフルは、前記排気口で所定方向に互いに隣接するように複数配列され、
前記送風ファンは、前記複数のバッフルの背後で当該複数のバッフルの配列方向に沿って軸線が延びたシロッコファンであることを特徴とするダンパ装置。
【請求項4】
請求項1または2において、前記バッフルは、複数配置され、
当該複数のバッフルに対するバッフル駆動装置は、当該複数のバッフルに対して共通の駆動源と、該駆動源の駆動力を前記複数のバッフルの各々に伝達する伝達機構とを備えていることを特徴とするダンパ装置。
【請求項5】
請求項3または4において、前記複数のバッフルは、前記排気口で回動して当該排気口を開閉するとともに、当該排気口からの送風方向を切り換えるルーバとしての機能を備えていることを特徴とするダンパ装置。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれかに規定するダンパ装置と、冷却機と、該冷却機で発生した冷気が供給される収納室とを備えた冷蔵庫であって、
前記ダンパ装置は、前記収納室における冷気取り入れ口に配置されていることを特徴とする冷蔵庫。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−155146(P2007−155146A)
【公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−346749(P2005−346749)
【出願日】平成17年11月30日(2005.11.30)
【出願人】(000002233)日本電産サンキョー株式会社 (1,337)