説明

ダンパ

【課題】外部流体の侵入によるピストンロッドのロックを防止可能とするダンパを提供する。
【解決手段】シリンダ3内に作動流体を封入しピストンロッド5を介してピストン7が移動可能に配置された流体室17と、該流体室17の内外を連通する開口部65と、該開口部65に対して開閉移動自在に支持された封入用の可動シール59と、可動シール59を付勢して開口部65の閉止を行わせるコイルスプリング73とを備え、可動シール59が、流体室17の内圧上昇によりコイルスプリング73の付勢力に抗して移動し開口部65を開放することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、切削油等の外部流体が飛散し易い環境下で用いられるダンパに関する。
【背景技術】
【0002】
ダンパとしては、例えば特許文献1のように、シリコンオイル等の流体を封入したシリンダの流体室内に、ピストンロッドを介してピストンを移動可能に配置するものがある。このダンパでは、ピストンロッドが外力を受けてストロークすると、流体室内でピストンを連動させて所定のダンパ効果を発生させることができる。
【0003】
このようなダンパでは、流体室に対する内部流体の流出や外部流体の侵入がシールによって防止されており、性能の安定化が図られている。
【0004】
しかしながら、これらの内部流体の流出や外部流体の侵入を完全に防止することは困難である。このため、ダンパが切削油(クーラント)等の外部流体が飛散し易い環境下に設置されると、その外部流体がシリンダの流体室内に侵入することがある。
【0005】
この場合、ダンパは、いわゆるオイルロック(ピストンロッドのロック)を起こしてピストンロッドが全くストロークしないか或いは途中からストロークしなくなり、緩衝対象となる装置の損傷等を生じさせる結果となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−188601号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
解決しようとする問題は、外部流体の侵入によるピストンロッドのロックが発生する点である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、外部流体の侵入によるピストンロッドのロックを防止するために、シリンダ内に流体を封入しピストンロッドを介してピストンが移動可能に配置された流体室と、該流体室の内外を連通する開口部と、該開口部に対して開閉移動自在に支持された前記封入用の可動シールと、前記可動シールを付勢して前記開口部の閉止を行わせる付勢部材とを備え、前記可動シールは、前記流体室の内圧上昇により前記付勢部材の付勢力に抗して移動し前記開口部を開放することを最も主な特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明では、流体室の内圧上昇時に開口部を開放して作動流体を排出することができ、外部流体が流体室内に侵入してもピストンロッドのロックを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】ダンパの断面図である(実施例1)。
【図2】図1のダンパの要部拡大断面図である(実施例1)。
【図3】図1のダンパの流体室に内圧上昇が生じた状態を示す断面図である(実施例1)。
【図4】図3のダンパの要部拡大断面図である(実施例1)。
【図5】ダンパの断面図である(実施例2)。
【図6】図5のダンパの側面図である(実施例2)。
【発明を実施するための形態】
【0011】
外部流体の侵入によるピストンロッドのロックを防止するという目的を、流体室の内圧上昇に応じて流体室内の流体を外部に逃がす構造によって実現した。
【0012】
具体的には、流体室の内外を連通する開口部と、該開口部に対して開閉移動自在に支持された封入用の可動シールと、可動シールを付勢して開口部の閉止を行わせる付勢部材とを備え、可動シールが、流体室の内圧上昇により付勢部材の付勢力に抗して移動し開口部を開放する。
【0013】
好ましくは、開口部が、ピストンロッドの外周面と該ピストンロッドの外周面に対向するシリンダ側の内周面との間に区画され、シリンダ側の内周面が、少なくとも周方向一部に可動シールの開放移動によって開口部に連通する拡径部を備える。
【0014】
また、シリンダは、ピストンロッドを外部に引き出す端部側にダストシールを備え、付勢部材は、ダストシールと可動シールとの間に設けられるのが好ましい。
【0015】
更に好ましくは、可動シールの開放移動を外部から視認可能とするインジケータを備える。
【0016】
以下、図面を参照して本発明の実施例について説明する。
【実施例1】
【0017】
[ダンパの構成]
図1は、本発明の実施例1に係るダンパの断面図であり、図2は、図1のダンパの要部拡大断面図である。図3は、図1のダンパの流体室に内圧上昇が生じた状態を示す断面図、図4は、図3のダンパの要部拡大断面図である。
【0018】
ダンパ1は、図1及び図3のように、シリンダ3と、該シリンダ3内にピストンロッド5を介して配置されたピストン7とを備えている。
【0019】
シリンダ3は、円筒形状に形成され、その一端側が一端閉部材9によって閉止されている。一端閉部材9は、シリンダ3の内周に嵌合する円柱形状であり、その外周にシリンダ3との間をシールするOリング13を保持している。一端閉部材9は、シリンダ3の内周に螺合されたナット15により抜け止め支持されている。
【0020】
このシリンダ3の一端側には、流体室17が区画形成されている。流体室17内には、シリコンオイル等の粘性を有する作動流体(内部流体)が封入されている。この流体室17内には、内筒19が配置されている。
【0021】
内筒19の一端は、一端閉部材9を介してシリンダ3の一端側に支持され、内筒19の他端は、ロッドガイド21、スペーサ23、他端閉部材25を介してシリンダ3の他端側に支持されている。
【0022】
この内筒19は、シリンダ3の内周面との間に隙間を形成している。この隙間内には、独立発泡のゴム等からなる第1のアキュムレータ27が配置されている。第1のアキュムレータ27は、一端閉部材9の環流路29を介して内筒の内周側に連通している。環流路29は、開閉ボール31によって開閉されるようになっている。
【0023】
内筒19の内周側には、ピストン7が往復移動自在に配置されて圧力室33と非圧力室35とが区画されている。ピストン7とシリンダ3の一端閉部材9との間には、リターンスプリング37が配置されている。リターンスプリング37は、ピストン7を非圧力室35側に向けて付勢して初期位置に復帰させる。
【0024】
リターンスプリング37の一端は、一端閉部材9に設けられた受凹部39内に嵌合支持され、他端は、ピストン7に設けられた突起部41外周に嵌合支持されている。突起部41は、ピストン7を貫通したピストンロッド5内端に螺合している。これにより、ピストン7は、突起部41を備えると共にピストンロッド5内端に対して締結固定されている。
【0025】
ピストンロッド5の外端は、シリンダ3の他端側から外部に引き出されている。このピストンロッド5は、シリンダ3に対する収縮動作を行うように軸方向移動自在となっている。これにより、ピストンロッド5は、流体室17に対して出没しながらピストン7を往復連動移動させる。ピストンロッド5の軸方向移動は、ロッドガイド21によってガイドされる。
【0026】
ロッドガイド21は、中空円筒形状に形成され、軸心部の挿通穴43によりピストンロッド5を挿通ガイドする。ロッドガイド21の外周側中間部には、周回状の凹部45が形成されている。凹部45内には、独立気泡のゴム等からなる第2のアキュムレータ47が収容保持されている。
【0027】
ロッドガイド21の一端部49は、内筒19の他端に突き当てられ、その外周がシリンダ3の内周との間で連通路51を形成している。連通路51は、第2のアキュムレータ47を第1のアキュムレータ27に連通させている。
【0028】
このロッドガイド21の一端部49には、連通路51と挿通穴43との間を連通する連通穴53が形成されている。従って、第1及び第2のアキュムレータ27,47は、ロッドガイド21の連通路51、連通孔53、挿通穴43を介して非圧力室35に連通している。これにより、流体室17内は、ピストンロッド5の出没による容積変化、及び作動流体の体積変化が吸収可能となっている。
【0029】
ロッドガイド21の他端部55には、図1及び図2のように、Oリング57及びUパッキンからなる可動シール59が支持されている。これらのOリング57及び可動シール59は、シリンダ3の一端閉部材9との間で流体室17を区画する。
【0030】
Oリング57は、他端部55の外周凹部61内に保持されてロッドガイド21とシリンダ3との間をシールする。可動シール59は、他端部55内周のシール凹部63内に保持されてロッドガイド21とピストンロッド5との間をシールする。
【0031】
シール凹部63は、ロッドガイド21の挿通穴43を介して非圧力室35側に連通しており、流体室17の内外を連通する開口部65を構成している。具体的には、開口部65は、ピストンロッド5の外周面67とこの外周面67に対向するシール凹部63の内周面69(シリンダ3側の内周面)とで区画されている。この開口部65を可動シール59が嵌合により閉止し、流体室17内からの作動流体の流出を防止している。
【0032】
可動シール59は、ピストンロッド5外周に軸方向移動自在に支持、つまり可動シールとして開口部65に対して開閉移動自在に支持された構成となっている。この可動シール59は、背面側の支持プレート71を介し、付勢部材としてのコイルスプリング73によって開口部65側に付勢されている。これにより、可動シール59は、開口部65への嵌合状態が保持されている。従って、コイルスプリング73は、可動シール59を付勢して開口部65の閉止を行わせる構成となっている。
【0033】
可動シール59は、図3及び図4のように、流体室17の内圧上昇によりコイルスプリング73の付勢力に抗して反流体室側に開放移動する。流体室17の内圧上昇は、第1及び第2のアキュムレータ27,47の吸収量を超えた作動流体の体積変化時に生じる。この開放移動により、可動シール59が全体としてスペーサ23側のスプリング凹部75内に位置すると開口部65が開放される。
【0034】
スペーサ23は、図1及び図2のように、中空円筒形状に形成され、軸心部の挿通穴77によりピストンロッド5を挿通する。スペーサ23の一端側は、ピストンロッド5の他端部55に突き当てられている。このスペーサ23の一端側内周には、スプリング凹部75が設けられている。
【0035】
スプリング凹部75は、可動シール59を付勢するコイルスプリング73を収容保持している。このスプリング凹部75は、ロッドガイド21のシール凹部63と略同径に形成されてシール凹部63に連通している。このため、スプリング凹部75の内周面79は、シール凹部63の内周面69と共に、ピストンロッド5の外周面67に対向するシリンダ3側の内周面となっている。
【0036】
このスプリング凹部75の内周面79は、少なくとも周方向一部に、可動シール59の開放移動によって開口部65に連通する拡径部81が軸方向に沿って設けられている。本実施例の拡径部81は、溝状に形成されて周方向で複数設けられている。ただし、拡径部は、周方向全体に周回状に設けることも可能である。
【0037】
拡径部81の軸方向寸法は、可動シール59よりも大きく設定されている。これにより、拡径部81は、図3及び図4のように、可動シール59がスプリング凹部75内に位置するときに、その軸方向両側を連通できるようになっている。
【0038】
スペーサ23の他端側には、図1及び図2のように、他端閉部材25が突き当てられ、他端閉部材25は、板状のキャップ83及びスナップリング85によりシリンダ3の他端側に抜け止め支持されている。
【0039】
他端閉部材25は、中空円筒形状に形成され、軸心部の挿通穴87によりピストンロッド5を挿通する。他端閉部材25は、その外周にOリング91が保持されてシリンダ3との間がシールされる。
【0040】
他端閉部材25の内周は、凹部93内にダストシールであるダストシール95を保持してピストンロッド5との間がシールされている。従って、本実施例では、コイルスプリング73が可動シール59とダストシール95との間に設けられた構成となっている。ダストシール95は、ロッドガイド21に保持された可動シール59とは逆向きに指向しており、外部流体の侵入を防止する。
[ダンパの動作]
ダンパ1は、ピストンロッド5の外端が緩衝対象物からの外力を受けると、通常の動作として図3及び図4のようにピストンロッド5がシリンダ3内へ収縮移動によってストロークする。なお、図3及び図4では、流体室17の内圧上昇時を示しているので可動シール59が開放状態となっているが、通常の動作時には、可動シール59が閉止状態となっている。
【0041】
このストロークにより、ピストンロッド5は、流体室17内に没入しながらピストン7を圧力室33側へ軸方向連動移動させる。
【0042】
ピストン7が移動すると、作動流体がシリンダ3内の内筒19とピストン7との間を介して非圧力室35側へ移動し、所定のダンパ効果を発揮することができる。このとき、ダンパ1では、ピストンロッド5の没入による流体室17内の容積変化及び熱膨張による作動流体の体積変化が第1及び第2のアキュムレータ27,47で吸収され、ピストンロッド5を確実にストロークさせることができる。
【0043】
一方、ダンパ効果によって外力が緩衝されると、ピストン7がリターンスプリング37の付勢力によってピストン7を非圧力室35側へ軸方向復帰移動する。これに応じて、ピストンロッド5が流体室17から突出しながらシリンダ3に対して伸張方向へ引き出される。
【0044】
このとき、第1及び第2のアキュムレータ27,47からは、一端閉部材9の環流路29を介して作動流体が圧力室33側に環流する。
【0045】
こうしてダンパ1では、ピストンロッド5を確実にストロークさせて所定のダンパ効果を発揮することができる。
【0046】
かかるダンパ1は、切削油(クーラント)等の外部流体が飛散し易い環境下で用いられると、その外部流体が内部の流体室17に侵入することがある。この場合は、外部流体の分だけ流体室17内の作動流体の体積が増加することになる。作動流体の体積増加は、第1及び第2のアキュムレータ27,47によって、ある程度吸収することはできる。
【0047】
しかし、アキュムレータ27,47の吸収量を超えて外部流体が侵入した場合は、ピストンロッド5の収縮ストローク時に流体室17内への没入分の容積変化を吸収することができなくなる。この結果、流体室17には、吸収できない容積変化分の内圧上昇が生じる。
【0048】
本実施例のダンパ1は、この内圧上昇に応じて流体室17内の作動流体を外部に逃がすようになっている。
【0049】
すなわち、ダンパ1では、図3及び図4のように、ピストンロッド5の没入によって流体室17内に内圧上昇が生じると、ロッドガイド21の挿通穴43を介して流体室17内の作動流体に押圧される。この押圧により、可動シール59は、コイルスプリング73の付勢力に抗してシール凹部63の開口部65から離脱方向に向けて開放移動する。
【0050】
その後、可動シール59は、ピストンロッド5の没入が進んで開口部65から完全に離脱すると、全体としてスペーサ23側のスプリング凹部75内に位置する。このとき、開口部65は、スプリング凹部75の拡径部81に連通、つまり拡径部81を介した可動シール59に対する内外の連通により開放される。
【0051】
こうして開放された開口部65からは、図4の矢印のように、流体室17内の作動流体(外部流体との混合流体)が拡径部81を介して外部に排出され、ピストンロッド5は、排出に応じて流体室17内への没入が許容される。
【0052】
従って、本実施例のダンパ1では、外部流体が流体室17内に侵入してもピストンロッド5のロック(オイルロック)を防止して、緩衝対象となる装置等の損傷を抑制することができる。
【0053】
なお、流体室17から排出された作動流体は、侵入防止方向に指向したダストシール95を介して適宜シリンダ3外に排出される。また、作動流体の排出後は、可動シール59がコイルスプリング73の付勢力によって再度開口部65を閉止する。
[実施例1の効果]
本実施例のダンパ1は、シリンダ3内に作動流体を封入しピストンロッド5を介してピストン7が移動可能に配置された流体室17と、該流体室17の内外を連通する開口部65と、該開口部65に対して開閉移動自在に支持された封入用の可動シール59と、可動シール59を付勢して開口部65の閉止を行わせるコイルスプリング73とを備え、可動シール59が、流体室17の内圧上昇によりコイルスプリング73の付勢力に抗して移動し開口部65を開放する。
【0054】
従って、ダンパ1では、流体室17の内圧上昇時に開口部65を開放して作動流体を排出することができ、外部流体が流体室17内に侵入してもオイルロックを防止することができる。結果として、ダンパ1では、緩衝対象となる装置等の損傷を抑制することができる。
【0055】
開口部65は、ピストンロッド5の外周面67と該ピストンロッド5の外周面67に対向するシリンダ3側の内周面69との間に区画され、シリンダ3側の内周面69は、少なくとも周方向一部に可動シール59の開放移動によって開口部65に連通する拡径部81を備えている。
【0056】
従って、ダンパ1では、可動シール59を内圧上昇によって開放移動させるだけで、拡径部81を介して容易且つ確実に開口部65を開放することができる。
【0057】
本実施例のダンパ1は、流体室17がシリンダ3の一端側に設けられ、ピストンロッド5がシリンダ3の他端側から外部に引き出され、シリンダ3の他端側がピストンロッド5との間に介設されたダストシール95を備え、コイルスプリング73が可動シール59とダストシール95との間に設けられている。
【0058】
このため、本実施例では、コイルスプリング73を無理なく配置することができ、可動シール59の開閉移動を確実に行わせることができる。
【0059】
しかも、本実施例では、ロッドガイド21と他端閉部材25との間に介設されたスペーサ23内周にスプリング凹部75を設け、このスプリング凹部75内にコイルスプリング73を収容したので、スペーサ23内周側を利用することでコイルスプリング73を配置しながら全体としての大型化を抑制できる。
【0060】
また、本実施例では、拡径部81もスプリング凹部75内に設けたので、シリンダ3の内周を直接加工する必要がなく、既存のシリンダ3を利用することが可能となる。
【0061】
本実施例のダンパ1は、流体室17に連通して流体室17内の容積変化及び作動流体の体積変化を吸収する第1及び第2のアキュムレータ27,47を備え、可動シール59が第1及び第2のアキュムレータ27,47の吸収量を超えた作動流体の体積変化時に流体室17の内圧上昇による開口部65の開放を行う。
【0062】
従って、ダンパ1では、第1及び第2のアキュムレータ27,47による性能の安定化を図りながら、外部流体が流体室17内に侵入した際のオイルロックを確実に防止することができる。
【実施例2】
【0063】
図5は、本発明の実施例2に係るダンパの断面図、図6は、図5のダンパの側面図である。なお、本実施例では、上記実施例1と基本構成が共通するため、対応する部分に同符号又は同符号にAを付加した符号を用いて重複した説明を省略する。
【0064】
本実施例のダンパ1Aは、図5及び図6のように、可動シール59の開放移動を視認可能とするインジケータ97を備えたものである。
【0065】
すなわち、インジケータ97は、シリンダ3Aに設けられて内部を視認可能とする窓部99を備えている。窓部99は、例えばシリンダ3の内外周を貫通する貫通穴内にガラス板を填め込むことで構成されている。この窓部99は、軸方向に沿って長穴状に形成されている。窓部99の内周側には、スペーサ23Aのスプリング凹部75Aに内外周を貫通する貫通穴101が対応して形成されている。
【0066】
かかるダンパ1Aでは、可動シール59がコイルスプリング73の付勢力に抗して開放移動すると、インジケータ97の窓部99内に臨むようになっている。
【0067】
このため、本実施例のダンパ1Aでは、その外部から可動シール59の開放移動を通じて外部流体の流体室17内への侵入を視認することができる。この結果、本実施例では、メンテナンスや交換等を促すことができ、より確実に緩衝対象となる装置等の損傷を抑制することができる。
【0068】
その他、本実施例においても、上記実施例1と同様の作用効果を奏することができる。
[その他]
以上、本発明の実施例について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各種の設計変更が可能である。
【0069】
例えば、上記実施例1では、可動シールとしてUパッキンを用いたが、XリングやOリング等の他のシールを用いることも可能である。この点、ダストシールも同様である。
【0070】
また、付勢部材としては、コイルスプリング以外の弾性体を用いることも可能である。
【0071】
また、アキュムレータとしては、フリーピストンによるものとすることも可能である。この場合は、フリーピストンの最大移動量を規制することで、可動シール59に対して流体室の内圧上昇による開放移動を行わせることができる。
【符号の説明】
【0072】
1 ダンパ
3 シリンダ
5 ピストンロッド
7 ピストン
27 第1のアキュムレータ
47 第2のアキュムレータ
59 可動シール
65 開口部
67 外周面(ピストンロッド)
69 内周面(シリンダ側)
73 コイルスプリング(付勢部材)
81 拡径部
95 ダストシール
97 インジケータ
99 窓部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリンダ内に流体を封入しピストンロッドを介してピストンが移動可能に配置された流体室と、
該流体室の内外を連通する開口部と、
該開口部に対して開閉移動自在に支持された前記封入用の可動シールと、
前記可動シールを付勢して前記開口部の閉止を行わせる付勢部材とを備え、
前記可動シールは、前記流体室の内圧上昇により前記付勢部材の付勢力に抗して移動し前記開口部を開放する、
ことを特徴とするダンパ。
【請求項2】
請求項1記載のダンパであって、
前記開口部は、前記ピストンロッドの外周面と該ピストンロッドの外周面に対向する前記シリンダ側の内周面との間に区画され、
前記シリンダ側の内周面は、少なくとも周方向一部に前記可動シールの開放移動によって前記開口部に連通する拡径部を備えた、
ことを特徴とするダンパ。
【請求項3】
請求項1又は2記載のダンパであって、
前記流体室は、前記シリンダの一端側に設けられ、
前記ピストンロッドは、前記シリンダの他端側から外部に引き出され、
前記シリンダの他端側は、前記ピストンロッドとの間に介設されたダストシールを備え、
前記付勢部材は、前記ダストシールと前記可動シールとの間に設けられた、
ことを特徴とするダンパ。
【請求項4】
請求項1〜3の何れかに記載のダンパであって、
前記シリンダが内部を視認可能とする窓部を備え、
前記可動シールは、前記付勢部材の付勢力に抗した移動により前記窓部内に臨む、
ことを特徴とするダンパ。
【請求項5】
請求項1〜4の何れかに記載のダンパであって、
前記流体室に連通して前記流体室内の容積変化及び前記流体の体積変化を吸収するアキュムレータを備え、
前記可動シールは、前記アキュムレータの吸収量を超えた前記流体の体積変化時に前記流体室の内圧上昇による前記開放を行う、
ことを特徴とするダンパ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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