説明

チアゾリジンジオン化合物

【課題】医薬、殊にインスリン分泌促進剤、糖尿病等のGPR40が関与する疾患の予防及び/又は治療剤として有用な化合物を提供する。
【解決手段】本発明者らは、GPR40受容体アゴニスト作用を有する化合物について検討し、チアゾリジンジオンが1つの炭素を介して6員単環芳香環と結合し、さらに該芳香環がリンカーを介して6員単環芳香環で置換されたベンゼンと結合していることを特徴とするチアゾリジンジオン化合物又はその塩が、優れたGPR40アゴニスト活性を有することを確認し、本発明を完成した。本発明のチアゾリジンジオン化合物は、インスリン分泌促進剤、糖尿病の予防及び/又は治療剤として使用しうる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は医薬、殊にインスリン分泌促進剤、糖尿病の予防及び/又は治療剤として有用なチアゾリジンジオン化合物に関する。
【背景技術】
【0002】
糖尿病は、慢性的な高血糖を主徴とする疾患であり、インスリン作用の絶対的または相対的な不足により発症する。臨床においてはその特徴からインスリン依存性糖尿病 (IDDM)とインスリン非依存性糖尿病 (NIDDM)に大別される。インスリン非依存性糖尿病 (NIDDM)において、膵β細胞からのインスリン分泌低下は、主要な発症原因の一つであり、特に初期のインスリン分泌障害による食後高血糖が認められる。
【0003】
最近、大規模臨床試験により、糖尿病性合併症の発症ならびに進展抑制には食後高血糖の是正が重要であることが確認された。また、食後高血糖のみの時期に動脈硬化が発症すること、食後軽度高血糖の持続が心血管疾患等の原因による死亡率を高めることが報告されている。食後高血糖はたとえ軽度であっても心血管死の独立した危険因子であることを示している。以上のような知見により、食後高血糖に対する薬物治療の必要性が認識されるようになっている。
【0004】
現在、インスリン分泌促進剤としてはスルフォニルウレア尿素(SU)剤が主流であるが、低血糖を起こしやすく、長期投与においては膵臓の疲弊により二次無効を引き起こすことが知られている。また、SU剤は食間の血糖コントロールには有効であるが、食後の過血糖を抑制することは困難である。
【0005】
GPR40は、脂肪酸の受容体として同定された膵臓のβ細胞に高発現しているG蛋白質共役型受容体であり、脂肪酸によるインスリン分泌作用に関与していることが報告されている(非特許文献1)。
従って、GPR40受容体アゴニストはインスリン分泌促進作用に基づき、食後高血糖の是正が期待されることから、インスリン依存性糖尿病 (IDDM)、インスリン非依存性糖尿病 (NIDDM)及びその境界型(耐糖能・空腹時血糖値異常)軽症糖尿病の予防及び/又は治療剤として有用である。
【0006】
特許文献1では、広範な化合物を含む式(A)で示される化合物がGPR40受容体調節作用を有し、インスリン分泌促進薬や糖尿病の予防及び/又は治療薬として有用であることが報告されている。しかしながら、チアゾリジンジオン構造を有する化合物の具体的開示はない。
【化3】

(式中、環Pは置換基を有していてもよい芳香環を、環Qは
【化4】

以外にさらに置換基を有していてもよい芳香環を、X及びYはスペーサーを、
【化5】

はカチオンを放出しうる基を示す。)
【0007】
特許文献2では、式(B)で示される化合物が血糖低下作用を有し、糖尿病の治療に有用であることが報告されている。具体的な化合物としてチアゾリジンジオン構造を有する化合物が開示されているが、本発明化合物の具体的開示はない。また、GPR40受容体への作用についての記載はない。
【化6】

(式中の記号は当該公報参照。)
【0008】
特許文献3では、式(C)で示される化合物が、高脂血症、高血糖症、肥満等に有用であることが報告されている。具体的な化合物としてチアゾリジンジオン構造を有する化合物が開示されているが、本発明化合物の具体的開示はない。また、GPR40受容体への作用についての記載はない。
【化7】

(式中のAは酸素原子又は硫黄原子を意味する。他の記号は当該公報参照。)
【0009】
特許文献4では、式(D)で示される化合物がGPR40受容体調節作用を有し、糖尿病の治療に有用であることが報告されている。具体的な化合物としてチアゾリジンジオン構造を有する化合物が開示されているが、本発明化合物の具体的開示はない。
【化8】

(式中の記号は当該文献参照。)
【0010】
特許文献5では、式(E)で示される化合物がGPR40受容体調節作用を有し、糖尿病の治療に有用であることが報告されている。具体的な化合物としてチアゾリジンジオン構造を有する化合物が開示されているが、チアゾリジンジオンが二環式環に直接結合する化合物に限定される。
【化9】

(式中の記号は当該文献参照。)
【0011】
特許文献6では、式(F)で示される化合物がGPR40受容体調節作用を有し、糖尿病の治療に有用であることが報告されている。具体的な化合物としてチアゾリジンジオン構造を有する化合物が開示されているが、チアゾリジンジオンが二環式環に直接結合する化合物に限定される。
【化10】

(式中の記号は当該文献参照。)
【0012】
【非特許文献1】「ネイチャー(Nature)」、(英国)、2003年、422巻、p.173-176
【特許文献1】国際公開第2004/041266号パンフレット
【特許文献2】国際公開第97/41097号パンフレット
【特許文献3】日本国特許出願特開平7-2848号公報
【特許文献4】国際公開第2007/049050号パンフレット
【特許文献5】国際公開第2006/083781号パンフレット
【特許文献6】国際公開第2006/083612号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
GPR40受容体アゴニスト作用を有する医薬、特にインスリン分泌促進剤、糖尿病の予防及び/又は治療剤として有用な化合物を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明者らは、GPR40受容体アゴニスト作用を有する化合物について検討した結果、チアゾリジンジオンが1つの炭素を介して6員単環芳香環と結合し、さらに該芳香環がリンカーを介して6員単環芳香環で置換されたベンゼンと結合していることを特徴とするチアゾリジンジオン化合物又はその塩が、優れたGPR40受容体アゴニスト作用を有することを知見し、本発明を完成した。
即ち、本発明は、式(I)の化合物又はその製薬学的に許容される塩、並びに、式(I)の化合物又はその製薬学的に許容される塩、及び製薬学的に許容される賦形剤を含有する医薬組成物に関する。
【化11】

(式中の記号は以下の意味を示す。
R1は、
【化12】

を示し、
R2は、-H又は-低級アルキルを示し、
R3は、同一又は互いに異なって、-OHで置換されていてもよい低級アルキル又は-ハロゲンを示し、
nは、1又は2を示し、
R4は、(保護されていてもよいOH)で置換されている低級アルキルを示し、
L1は、CH又はNを示し、
L2は、-O-又は-NH-を示し、
L3はCH又はNを示す。
以下同様)
【0015】
また、本発明は、式(I)の化合物又はその製薬学的に許容される塩を含有するインスリン分泌促進作用、糖尿病の予防及び/又は治療用医薬組成物、即ち、式(I)の化合物又はその製薬学的に許容される塩を含有するインスリン分泌促進剤、糖尿病の予防及び/又は治療剤に関する。
さらに、本発明は、インスリン分泌促進剤、糖尿病の予防及び/又は治療剤の製造のための式(I)の化合物又はその製薬学的に許容される塩の使用、並びに、式(I)の化合物又はその製薬学的に許容される塩の有効量を患者に投与することからなるインスリン分泌促進、糖尿病の予防及び/又は治療方法に関する。
【発明の効果】
【0016】
式(I)の化合物又はその製薬学的に許容される塩は、GPR40受容体アゴニスト作用を有し、インスリン分泌促進剤、糖尿病(インスリン依存性糖尿病 (IDDM)、インスリン非依存性糖尿病 (NIDDM)及びその境界型(耐糖能・空腹時血糖値異常)軽症糖尿病)等のGPR40が関与する疾患の予防及び/又は治療剤として使用しうる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明を詳細に説明する。
本明細書中において、「低級アルキル」とは、直鎖又は分枝状の炭素数が1から6(以後、C1-6と略す)のアルキル、例えばメチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、n-ヘキシル基等であり、別の態様としては、C1-5アルキルであり、さらに別の態様としては、メチル、エチル及びn-プロピルである。
【0018】
「ハロゲン」は、F、Cl、Br及びIを意味する。
【0019】
本明細書において、「置換されていてもよい」とは、無置換、若しくは置換基を1乃至5個有していることを意味し、別の態様としては、無置換、若しくは置換基を1乃至2個有していることを意味する。「置換されている」とは、置換基を1乃至5個有していることを意味し、別の態様としては、置換基を1乃至2個有していることを意味する。なお、複数個の置換基を有する場合、それらの置換基は同一であっても、互いに異なっていてもよい。
【0020】
「保護されていてもよいOH」における「保護されていてもよい」とは、当該OH基が無置換、若しくは水酸基の保護のために一般的に用いられる保護基で保護されていることを意味し、別の態様としては、無置換、あるいはアシル基、エーテル基、シリルエーテル基又はアセタール基で保護されていることを意味する。さらに別の態様としては、無置換、あるいはアセチル基、テトラヒドロピラニル基又は互いに隣接する炭素に結合する二つのOH基を有する場合はジメチルメチレンジオキシ基で保護されていることを意味する。
【0021】
本発明のある態様を以下に示す。
(1)R2が-H又は-低級アルキルであり、別の態様としては、-H又は-メチルである化合物。
(2)R3が同一または互いに異なって、-OHで置換されていてもよい低級アルキル又は-ハロゲンであり、別の態様としては、同一または互いに異なって-メチル、-CH2OH又は-Fである化合物。
(3)R4が(保護されていてもよいOH)で置換されている低級アルキルであり、別の態様としては、アセチル基、テトラヒドロピラニル基又は互いに隣接する炭素に結合する二つのOH基を有する場合はジメチルメチレンジオキシ基で保護されていてもよい
【化13】

である化合物。
(4)上記(1)乃至(3)のうち二以上の組み合わせである化合物。
【0022】
式(I)の化合物又はその製薬学的に許容される塩(以下、「式(I)の化合物」と記すことがある。)には、置換基の種類によって、互変異性体や幾何異性体が存在しうる。本明細書中、式(I)の化合物が異性体の一形態のみで記載されることがあるが、本発明は、それ以外の異性体も包含し、異性体の分離されたもの、あるいはそれらの混合物も包含する。
また、式(I)の化合物には、不斉炭素原子や軸不斉を有する場合があり、これに基づく光学異性体が存在しうる。本発明は、式(I)の化合物の光学異性体の分離されたもの、あるいはそれらの混合物も包含する。
【0023】
さらに、本発明は、式(I)で示される化合物の製薬学的に許容されるプロドラッグも包含する。製薬学的に許容されるプロドラッグとは、加溶媒分解により又は生理学的条件下で、本発明化合物に変換される化合物である。プロドラッグを形成する基としては、例えば、Prog. Med., 5, 2157-2161(1985)や、「医薬品の開発」(廣川書店、1990年)第7巻 分子設計163-198に記載の基が挙げられる。
【0024】
また、式(I)の化合物は、置換基の種類によって、酸付加塩又は塩基との塩を形成する場合があり、かかる塩が製薬学的に許容される塩である限りにおいて本発明に包含される。具体的には、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸等の無機酸や、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、乳酸、リンゴ酸、マンデル酸、酒石酸、ジベンゾイル酒石酸、ジトルオイル酒石酸、クエン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、アスパラギン酸、グルタミン酸等の有機酸との酸付加塩、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、アルミニウム等の無機塩基、メチルアミン、エチルアミン、エタノールアミン、リシン、オルニチン等の有機塩基との塩、アセチルロイシン等の各種アミノ酸及びアミノ酸誘導体との塩やアンモニウム塩等が挙げられる。
【0025】
さらに、本発明は、式(I)の化合物及びその製薬学的に許容される塩の各種の水和物や溶媒和物、及び結晶多形の物質も包含する。また、本発明は、種々の放射性又は非放射性同位体でラベルされた化合物も包含する。
【0026】
(製造法)
式(I)の化合物及びその製薬学的に許容される塩は、その基本骨格あるいは置換基の種類に基づく特徴を利用し、種々の公知の合成法を適用して製造することができる。その際、官能基の種類によっては、当該官能基を原料乃至中間体の段階で適当な保護基(容易に当該官能基に転化可能な基)に置き換えておくことが製造技術上効果的な場合がある。このような保護基としては、例えば、グリーン(Greene)及びウッツ(Wuts)著、「Protective Groups in Organic Synthesis(第3版、1999年)」に記載の保護基等を挙げることができ、これらの反応条件に応じて適宜選択して用いればよい。このような方法では、当該保護基を導入して反応を行なったあと、必要に応じて保護基を除去することにより、所望の化合物を得ることができる。
また、式(I)の化合物のプロドラッグは、上記保護基と同様、原料乃至中間体の段階で特定の基を導入、あるいは得られた式(I)の化合物を用いてさらに反応を行なうことで製造できる。反応は通常のエステル化、アミド化、脱水等、当業者に公知の方法を適用することにより行うことができる。
以下、式(I)の化合物の代表的な製造法を説明する。各製法は、当該説明に付した参考文献を参照して行うこともできる。なお、本発明の製造法は以下に示した例には限定されない。
【0027】
製法1:縮合反応
【化14】

本製法は、化合物(1)と化合物(2)の縮合反応により、本発明化合物(I−a)を製造する方法である。
反応は、化合物(1)と化合物(2)を等量若しくは一方を過剰量用いてピペリジン等の塩基の存在中にジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメトキシエタン等のエーテル類、メタノール、エタノール、2-プロパノール等のアルコール類、ジクロロメタン、1,2-ジクロロエタン若しくはクロロホルム等のハロゲン化炭化水素類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類または水等の溶媒中、あるいはこれらの混合溶媒中、冷却下、室温下乃至加熱下に行うことができる。
【0028】
製法2:水素添加または還元反応
【化15】

本製法は、化合物(I-a)を水素添加反応または還元反応に付し、本発明化合物(I-b)を得る方法である。
反応は、水素雰囲気下、エーテル類、アルコール類、ハロゲン化炭化水素類、芳香族炭化水素類または水等の反応に不活性な溶媒中、あるいはこれらの混合溶媒中、化合物(I-a)を金属触媒存在下で、通常、冷却下、室温下乃至加熱下で行われる。金属触媒としては、パラジウム炭素、パラジウム黒、水酸化パラジウム等のパラジウム触媒、白金板、酸化白金等の白金触媒、還元ニッケル、ラネーニッケル等のニッケル触媒、テトラキストリフェニルホスフィンクロロロジウム等のロジウム触媒、還元鉄等の鉄触媒等が好適に用いられる。水素ガスの代わりに、化合物(1)に対し等量〜過剰量のギ酸またはギ酸アンモニウムを水素源として用いることもできる。
もしくは、エーテル類、アルコール類、ハロゲン化炭化水素類、芳香族炭化水素類または水等の溶媒あるいはこれらの混合溶媒中、アルコール類等の水素源存在下、マグネシウム、2,6-ジメチル-1,4-ジヒドロピリジン-3,5-ジカルボン酸ジエチル、ハイドロサルファイト、水素化ホウ素リチウム等の還元剤を用いて、冷却下、室温下乃至加熱下に反応させることにより行うことができる。
【0029】
製法3:還元的アミノ化
【化16】

本製法は、化合物(3)と化合物(4)の縮合反応により、本発明化合物(I−c)を製造する方法である。
反応は、化合物(3)と化合物(4)を等量若しくは一方を過剰量用いて酢酸等のプロトン源またはチタニウム(IV)テトライソプロポキシド等のルイス酸の存在中にエーテル類、アルコール類、ハロゲン化炭化水素類又は芳香族炭化水素類等の溶媒中、あるいはこれらの混合溶媒中、冷却下、室温下乃至加熱下に行い、さらにトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素ナトリウム等の還元剤を用いて、冷却下、室温下乃至加熱下に反応させることにより行うことができる。反応によっては、化合物(3)と化合物(4)との縮合によりイミンが生成し、安定な中間体として単離できる場合がある。そのような場合には、このイミン中間体の還元反応により化合物(I−c)を得ることができる。
〔文献〕
A. R. Katritzky及びR. J. K. Taylor著、「Comprehensive Organic Functional Group Transformations II」、第2巻、Elsevier Pergamon、2005年
日本化学会編「実験化学講座(第5版)」14巻(2005年)(丸善)
【0030】
(原料化合物の製法)
本発明化合物の製造に使用する原料は、例えば、下記の方法、後述の製造例に記載の方法、公知の方法または当業者にとって自明な方法、あるいはそれらの変法を適用することによって製造することができる。
【0031】
原料合成
【化17】

(式中、Lv1、Lv2、Lv3は脱離基を示す。以下同様。)
【0032】
第一工程:O-アルキル化-1
本工程は、化合物(6)を化合物(5)でO-アルキル化して、化合物(7)を得る工程である。Lv1としてはハロゲン、メタンスルホニルオキシ、p−トルエンスルホニルオキシ、トリフルオロメタンスルホニルオキシ基などが挙げられる。
炭酸カリウム、炭酸セシウム、ナトリウムメトキシド、水素化ナトリウム等の塩基の存在下、化合物(5)と化合物(6)を等量若しくは一方を過剰量用いて、ハロゲン化炭化水素類、エーテル類、芳香族炭化水素類等、N,N-ジメチルホルムアミド等の溶媒中、あるいはこれらの混合溶媒中、冷却下、室温下乃至加熱下で行うことが出来る。
【0033】
第二工程:カップリング
本工程は、化合物(7)と化合物(8)をカップリングさせて、化合物(3)を得る工程である。当業者が通常用いる鈴木カップリング反応の常法を用いて行うことができる。Lv2としてはハロゲン、メタンスルホニルオキシ、p−トルエンスルホニルオキシ、トリフルオロメタンスルホニルオキシ基などが挙げられ、Lv3としては-B(OH)2又は-B(OZ)OW、ここでZ及びWは同一又は互いに異なって低級アルキル、又は、Z及びWが一体となって低級アルキレンを示す。
本製法は化合物(7)と(8)を等量、或いは一方を過剰に用い、反応に不活性な溶媒中、塩基及びパラジウム触媒の存在下、室温乃至加熱還流下で、通常0.1時間乃至5日間撹拌することによって行なわれる。本反応は不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましい。溶媒としては特に限定はされないが、芳香族炭化水素類、エーテル類、ハロゲン化炭化水素類、アルコール類、N,N-ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、或いはこれらの混合溶媒が挙げられる。塩基としては、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、水酸化ナトリウム等の無機塩基が好ましい。パラジウム触媒としては、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、塩化ビストリフェニルホスフィンパラジウム、塩化パラジウム-1,1'-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン等が好ましい。このようにして得られた化合物(3)は、前記“製法3:還元的アミノ化”の原料として用いることもできる。
【0034】
第三工程:還元
本工程は、化合物(3)を還元して、化合物(9)を得る工程である。
反応は、エーテル類、アルコール類、芳香族炭化水素類、N,N-ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、酢酸エチル等の反応に不活性な溶媒中、冷却下、室温下乃至加熱下で、化合物(1)を等量若しくは過剰量の還元剤で処理することにより行われる。還元剤としては、水素化ホウ素ナトリウム若しくはジイソブチルアルミニウムヒドリド等のヒドリド還元剤、その他、当業者が一般的に用いる還元剤が好適に用いられる。
【0035】
第四工程:O-アルキル化-2
本工程は、化合物(9)を化合物(10)でO-アルキル化して、化合物(1)を得る工程である。当業者が通常用いる光延反応の常法を用いて行うことができる。
化合物(9)と(10)を等量、或いは一方を過剰に用い、トリブチルホスフィン、トリフェニルホスフィン等のリン化合物とアゾジカルボン酸ジエチル、1,1'-(アゾジカルボニル)ジピペリジン等のアゾジカルボニル化合物より調整される活性化剤もしくはシアノメチレントリブチルホスホラン等の試薬を用いて、ハロゲン化炭化水素類、エーテル類、芳香族炭化水素類等の溶媒中、冷却下、室温下乃至加熱下で行うことが出来る。このようにして得られた化合物(1)は、前記“製法1:縮合反応”の原料として用いることができる。
【0036】
式(I)の化合物は、遊離化合物、その製薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、あるいは結晶多形の物質として単離され、精製される。式(I)の化合物の製薬学的に許容される塩は、常法の造塩反応に付すことにより製造することもできる。
単離、精製は、抽出、分別結晶化、各種分画クロマトグラフィー等、通常の化学操作を適用して行なわれる。
各種の異性体は、適当な原料化合物を選択することにより製造でき、あるいは異性体間の物理化学的性質の差を利用して分離することができる。例えば、光学異性体は、ラセミ体の一般的な光学分割法(例えば、光学活性な塩基又は酸とのジアステレオマー塩に導く分別結晶化や、キラルカラム等を用いたクロマトグラフィー等)により得られ、また、適当な光学活性な原料化合物から製造することもできる。
【0037】
式(I)の化合物の薬理活性は、以下の試験により確認した。
【0038】
試験方法1:GPR40アゴニスト活性測定
i)ヒトGPR40のクローニング
以下に示す手順に従って、ヒトgenomic DNA(Clontech社)をテンプレートとして、PCR法により、GPR40の全長配列を取得した。
配列番号1で表される塩基配列からなるオリゴヌクレオチドをフォワードプライマーとして、配列番号2で表される塩基配列からなるオリゴヌクレオチドをリバースプライマーとして用いた。なお、前記フォワードプライマー及びリバースプライマーの各々の5'末端には、XbaI認識部位を含む塩基配列が付加されている。PCRは、Taq DNAポリメラーゼ(Ex Taq DNA polymerase;タカラバイオ社)を用いて、5%ジメチルスルホキシド(DMSO)存在下で、94℃(15秒間)/55℃(30秒間)/72℃(1分間)からなるサイクルを30回繰り返した。その結果、約0.9kbpのDNA断片が増幅された。このDNA断片をXbaIで消化した後、プラスミドpEF-BOS-dhfr(Nucleic Acids Research, 18, 5322, 1990)のXbaI部位に挿入することにより、プラスミドpEF-BOS-dhfr-GPR40を得た。
プラスミドpEF-BOS-dhfr-GPR40におけるGPR40遺伝子の塩基配列は、DNAシークエンサー(ABI377 DNA Sequencer; Applied Biosystems社)を用いてジデオキシターミネーター法により決定した。GPR40遺伝子の塩基配列は、配列番号3で表される塩基配列のとおりであった。配列番号3で表される塩基配列は、903塩基のオープンリーディングフレーム(ORF)を有しており、このORFから予測されるアミノ酸配列(300アミノ酸)は、配列番号4で表されるアミノ酸配列のとおりであった。
ii)GPR40安定発現細胞の取得
GPR40タンパク質を発現させる細胞としてCHO dhfr-細胞(ジヒドロ葉酸レダクターゼ(dhfr)遺伝子欠失のCHO細胞)を使用した。また、GPR40タンパク質を発現させるための発現プラスミドとして、前記i)で得られたプラスミドpEF-BOS-dhfr-GPR40を用いた。6ウェルプレート(旭テクノグラス社)に、CHO dhfr-細胞を、80-90%コンフルエントとなるように、10%牛胎児血清(FCS)を含むαMEM培地中で播種して一晩培養後、1ウェル当たり2μgのプラスミドpEF-BOS-dhfr-GPR40を、トランスフェクション試薬(Lipofectamine2000; Invitrogen社)を用いて遺伝子導入した。遺伝子導入から24時間培養した後、細胞を希釈して播種し直した。その際、10% FCSを含むαMEM培地から、10% FCSを含むが、核酸を含まないαMEM培地に変更した。20日間培養したのち、形成された細胞のコロニーを個別に回収して培養してGPR40を安定に発現するCHO細胞を取得した。この中から内在性リガンドであるオレイン酸、リノール酸に反応性の高い細胞を選択した。
iii)GPR40アゴニスト活性測定
本試験は細胞内カルシウム濃度の変動を指標とし、FLIPR(登録商標、モレキュラーデバイス社)で測定した。以下、試験方法について示す。
ヒトGPR40を発現させたCHO細胞株を384穴ブラックプレート(ベクトン・デッキンソン社)に1穴あたり6×103個で撒き、CO2インキュベーターで一晩培養した。
発光色素はCalcium-3 アッセイキット(モレキュラーデバイス社)を使用し、1瓶に対してHBSS-HEPESバッファー(PH7.4、1×HBSS、20mM HEPES、インビトロジェン社)10mlに溶解した。プロベネシド(シグマ社)35.68mgを1M NaOH 250μlで溶解後、HBSS-HEPESバッファー250μlを加えて調整した。蛍光色素溶液はプレート1枚あたり、HBSS-HEPESバッファー16ml、蛍光色素640μl、32μlプロベネシドを混合し、調整した。プレートの培地を除き、蛍光色素溶液を1穴あたり40μl分注後、室温で2時間インキュベートした。被検化合物はDMSOで溶解後、HBSS-HEPESバッファーで希釈し、10μlをプレートに分注により、反応を開始し、細胞内カルシウム濃度の変動をFLIPRで測定した。測定1分後の蛍光強度変化の用量反応曲線により、被検化合物のEC50値を算出した。
試験結果を、表1に示す。Exは後記実施例化合物番号を示す。
【表1】

【0039】
試験方法2:MIN6細胞を用いたインスリン分泌促進作用
本試験では、マウス膵β細胞株であるMIN6細胞を用いて被検化合物のインスリン分泌促進作用を検討した。以下、試験方法を示す。
96穴プレートに5x104個/穴(200μl)になるようにMIN6細胞を撒いた。培地は10% FBS、55μM 2-メルカプトエタノール、100U/mlペニシリン、100μg/mlストレプトマイシンを含むDMEM(25mMグルコース)を用いた。2日後に培地をアスピレーターで除き、37℃に暖めた2.8 mMグルコースを含むKRB-HEPES(116 mM NaCl、4.7 mM KCl、1.2mM KH2PO4、1.2 mM MgSO4、0.25 mM CaCl2、25 mM NaHCO3、0.005% FFA Free BSA、24 mM HEPES(pH 7.4))200 μlで一度洗い、再度、同緩衝液200μlをいれて1時間、37℃でインキュベートした。上記緩衝液をアスピレーターで除き、再度、緩衝液で洗浄(200μl)後、2.8mM または22.4 mM グルコースを含むKRB-HEPESに所定の濃度の被検化合物を添加したものを、各穴に100 μlずつ加え、2時間37℃でインキュベートした。上記サンプルを分取し、100倍希釈して、インスリン濃度をインスリンRIAキット(アマシャムRI社)を用いて定量した。
【0040】
試験方法3:正常マウス単回経口糖負荷試験
本試験では正常マウスを用いて被検化合物の糖負荷後の血糖上昇抑制作用について検討した。以下、試験方法を示す。
1週間予備飼育した雄性ICRマウス(6週齢)を一晩絶食し、被検動物として用いた。被検化合物は0.5%メチルセルロース懸濁液とし、グルコース(2g/kg)負荷30分前に10mg/kg経口投与した。対照群は0.5%メチルセルロース投与とした。グルコース負荷30分時の対照群に対する血糖低下率(%)を算出した。
【0041】
上記試験の結果、式(I)の化合物はインスリン分泌促進剤、糖尿病(インスリン依存性糖尿病 (IDDM)、インスリン非依存性糖尿病 (NIDDM)及びその境界型(耐糖能・空腹時血糖値異常)軽症糖尿病)等のGPR40が関与する疾患の予防及び/又は治療剤として使用しうることが確認された。
【0042】
式(I)の化合物又はその製薬学的に許容される塩の1種又は2種以上を有効成分として含有する医薬組成物は、当分野において通常用いられている薬剤用賦形剤、薬剤溶担体等を用いて、通常使用されている方法によって調製することができる。
投与は錠剤、丸剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、液剤等による経口投与、又は、関節内、静脈内、筋肉内等の注射剤、坐剤、点眼剤、眼軟膏、経皮用液剤、軟膏剤、経皮用貼付剤、経粘膜液剤、経粘膜貼付剤、吸入剤等による非経口投与のいずれの形態であってもよい。
【0043】
経口投与のための固体組成物としては、錠剤、散剤、顆粒剤等が用いられる。このような固体組成物においては、1種又は2種以上の有効成分を、少なくとも1種の不活性な賦形剤、例えば乳糖、マンニトール、ブドウ糖、ヒドロキシプロピルセルロース、微結晶セルロース、デンプン、ポリビニルピロリドン、及び/又はメタケイ酸アルミン酸マグネシウム等と混合される。組成物は、常法に従って、不活性な添加剤、例えばステアリン酸マグネシウムのような滑沢剤やカルボキシメチルスターチナトリウム等のような崩壊剤、安定化剤、溶解補助剤を含有していてもよい。錠剤又は丸剤は必要により糖衣又は胃溶性若しくは腸溶性物質のフィルムで被膜してもよい。
経口投与のための液体組成物は、薬剤的に許容される乳濁剤、溶液剤、懸濁剤、シロップ剤又はエリキシル剤等を含み、一般的に用いられる不活性な希釈剤、例えば精製水又はエタノールを含む。当該液体組成物は不活性な希釈剤以外に可溶化剤、湿潤剤、懸濁剤のような補助剤、甘味剤、風味剤、芳香剤、防腐剤を含有していてもよい。
【0044】
非経口投与のための注射剤は、無菌の水性又は非水性の溶液剤、懸濁剤又は乳濁剤を含有する。水性の溶剤としては、例えば注射用蒸留水又は生理食塩液が含まれる。非水性の溶剤としては、例えばプロピレングリコール、ポリエチレングリコール又はオリーブ油のような植物油、エタノールのようなアルコール類、又はポリソルベート80(局方名)等がある。このような組成物は、さらに等張化剤、防腐剤、湿潤剤、乳化剤、分散剤、安定化剤、又は溶解補助剤を含んでもよい。これらは例えばバクテリア保留フィルターを通す濾過、殺菌剤の配合又は照射によって無菌化される。また、これらは無菌の固体組成物を製造し、使用前に無菌水又は無菌の注射用溶媒に溶解又は懸濁して使用することもできる。
【0045】
外用剤としては、軟膏剤、硬膏剤、クリーム剤、ゼリー剤、パップ剤、噴霧剤、ローション剤、点眼剤、眼軟膏等を包含する。一般に用いられる軟膏基剤、ローション基剤、水性又は非水性の液剤、懸濁剤、乳剤等を含有する。例えば、軟膏又はローション基剤としては、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、白色ワセリン、サラシミツロウ、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、モノステアリン酸グリセリン、ステアリルアルコール、セチルアルコール、ラウロマクロゴール、セスキオレイン酸ソルビタン等が挙げられる。
【0046】
吸入剤や経鼻剤等の経粘膜剤は固体、液体又は半固体状のものが用いられ、従来公知の方法に従って製造することができる。例えば公知の賦形剤や、更に、pH調整剤、防腐剤、界面活性剤、滑沢剤、安定剤や増粘剤等が適宜添加されていてもよい。投与は、適当な吸入又は吹送のためのデバイスを使用することができる。例えば、計量投与吸入デバイス等の公知のデバイスや噴霧器を使用して、化合物を単独で又は処方された混合物の粉末として、もしくは医薬的に許容し得る担体と組み合わせて溶液又は懸濁液として投与することができる。乾燥粉末吸入器等は、単回又は多数回の投与用のものであってもよく、乾燥粉末又は粉末含有カプセルを利用することができる。あるいは、適当な駆出剤、例えば、クロロフルオロアルカン、ヒドロフルオロアルカン又は二酸化炭素等の好適な気体を使用した加圧エアゾールスプレー等の形態であってもよい。
【0047】
通常経口投与の場合、1日の投与量は、体重あたり約0.0001〜50 mg/kg、別の態様としては、約0.001〜10 mg/kgであり、さらに別の態様としては、約0.01〜1 mg/kgであり、これを1回であるいは2乃至4回に分けて投与する。静脈投与される場合は、1日の投与量は体重あたり約0.0001〜1 mg/kg、別の態様としては、約0.0001〜0.1 mg/kgであり、1日1回乃至複数回に分けて投与する。投与量は症状、年令、性別等を考慮して個々の場合に応じて適宜決定される。
【0048】
式(I)の化合物は、前述の式(I)の化合物が有効性を示すと考えられる疾患の種々の治療剤又は予防剤と併用することができる。当該併用は、同時投与、或いは別個に連続して、若しくは所望の時間間隔をおいて投与してもよい。同時投与製剤は、配合剤であっても別個に製剤化されていてもよい。
【実施例】
【0049】
以下、実施例に基づき、式(I)の化合物の製造法をさらに詳細に説明する。なお、本発明は、下記実施例に記載の化合物に限定されるものではない。また、原料化合物の製法を製造例に示す。また、式(I)の化合物の製造法は、以下に示される具体的実施例の製造法のみに限定されるものではなく、式(I)の化合物はこれらの製造法の組み合わせ、あるいは当業者に自明である方法によっても製造されうる。
【0050】
また、実施例、製造例及び後記表中において、以下の略号を用いることがある。
PEx:製造例番号、Ex:実施例番号、Str:構造式(構造式中にHClがある場合は、その化合物が塩酸塩であることを意味する。)、Syn:製造法(数字のみの場合は同様に製造した実施例番号を、数字の前にPがある場合は同様に製造した製造例番号をそれぞれ示す。)、Dat:物理化学的データ(NMR1:DMSO-d6中の1H NMRにおけるδ(ppm)、FAB+:FAB-MS (陽イオン)、FAB-:FAB-MS (陰イオン)、ESI+:ESI-MS (陽イオン)、ESI-:ESI-MS (陰イオン)、EI:EI-MS (陽イオン)、CI:CI-MS (陽イオン))、Me:メチル、THP:テトラヒドロピラニル、THF:テトラヒドロフラン、DMF:N,N-ジメチルホルムアミド、Boc:tert-ブトキシカルボニル、TBS:tert-ブチル(ジメチル)シリル、Ac:アセチル。
【0051】
製造例1
氷冷下tert-ブチル [5-(ヒドロキシメチル)ピリジン-2-イル]カルバマート(2.13g)、トリエチルアミン(5.3ml)、DMSO(15ml)の混合物に、三酸化硫黄-ピリジン錯体(3.02g)のDMSO(15ml)溶液を滴下し、室温で4.5時間撹拌した。反応混合物に水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、乾燥剤を除去後、溶媒を減圧下留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン-酢酸エチル)で精製し、tert-ブチル (5-ホルミルピリジン-2-イル)カルバマートを2.00g得た。
【0052】
製造例2
tert-ブチル (5-ホルミルピリジン-2-イル)カルバマート(5.00g)のエタノール(50ml)及びTHF(50ml)懸濁液に1,3-チアゾリジン-2,4-ジオン(3.43g)、ピペリジン(1.0ml)を加え、反応混合物を70℃で3日間撹拌し、室温まで放冷した。反応混合物に水(250ml)を加え、10分間撹拌後、析出物を濾取し、水で洗浄後、減圧下60℃で乾燥することにより、tert-ブチル {5-[(Z)-(2,4-ジオキソ-1,3-チアゾリジン-5-イリデン)メチル]ピリジン-2-イル}カルバマートを6.23g得た。
【0053】
製造例3
tert-ブチル {5-[(Z)-(2,4-ジオキソ-1,3-チアゾリジン-5-イリデン)メチル]ピリジン-2-イル}カルバマート(5.00g)のDMF(100ml)懸濁液に10%パラジウム-活性炭(4.5g)を加え、4.0〜4.5kg/cm2の水素雰囲気下、室温で1時間撹拌した。反応混合物をセライト濾過し、DMF(200ml)にて洗浄後、濾液を減圧下濃縮した。得られた残渣をDMF(100ml)に溶解し、10%パラジウム-活性炭(4.5g)を加え、4.0〜4.5kg/cm2の水素雰囲気下、室温で1時間撹拌した。反応混合物をセライト濾過し、DMF(200ml)にて洗浄後、濾液を減圧下濃縮した。得られた残渣をDMF(100ml)に溶解し、10%パラジウム-活性炭(4.5g)を加え、4.0〜4.5kg/cm2の水素雰囲気下、室温で1時間撹拌した。反応混合物をセライト濾過し、DMF(200ml)にて洗浄後、濾液を減圧下濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン-酢酸エチル、次いでクロロホルム/THF)により精製し、tert-ブチル {5-[(2,4-ジオキソ-1,3-チアゾリジン-5-イル)メチル]ピリジン-2-イル}カルバマートを1.71g得た。
【0054】
製造例4
tert-ブチル {5-[(2,4-ジオキソ-1,3-チアゾリジン-5-イル)メチル]ピリジン-2-イル}カルバマート(1.71g)のTHF(15ml)溶液に氷冷下、4M塩化水素ジオキサン溶液(15ml)を加え、室温にて5日間撹拌した。反応混合物を減圧下濃縮し、残渣に酢酸エチルを加え、生じた固体を濾取後、減圧下加熱乾燥して、5-[(6-アミノピリジン-3-イル)メチル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオン 塩酸塩を1.18g得た。
【0055】
製造例5
窒素雰囲気下、3-ブロモ-2-メチル安息香酸メチル(53.00g)、4,4,4',4',5,5,5',5'-オクタメチル-2,2'-ビ-1,3,2-ジオキサボロラン(88.10g)、塩化ビストリフェニルホスフィンパラジウム(8.12g)、トリフェニルホスフィン(6.07g)、酢酸カリウム(68.10g)、ジオキサン(530ml)の混合物を100℃で29時間加熱撹拌後、室温まで放冷した。反応混合物をセライト濾過し、酢酸エチルで洗浄した。得られた濾液を減圧下濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン-酢酸エチル)にて精製し、2-メチル-3-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)安息香酸メチルを54.00g得た。
【0056】
製造例6
2-(4-ブロモ-3,5-ジメチルフェノキシ)テトラヒドロ-2H-ピラン(58.7g)のTHF(1000ml)溶液に、ドライアイス-メタノール浴冷却下で1.65M n-ブチルリチウム-ヘキサン溶液(137ml)を滴下し、40分間撹拌した。反応混合物に2-イソプロポキシ-4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン(45.5g)のTHF(100ml)溶液を滴下し、30分間撹拌した。水を加え、減圧下溶媒を留去後、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。乾燥剤を除き、減圧下溶媒を留去した。残渣にメタノールを加え、生じた固体を濾取後、減圧下加熱乾燥することにより、2-[3,5-ジメチル-4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)フェノキシ]テトラヒドロ-2H-ピランを53.2g得た。
【0057】
製造例7
3-(ヒドロキシメチル)-6-メチルピリジン-2(1H)-オン(5.77g)の酢酸(50ml)溶液に、10%パラジウム-活性炭(50%含水品、4.42g)を加え、4kg/cm2の水素雰囲気下、室温で1時間撹拌した。触媒をセライト濾過にて除去し、エタノールにて洗浄した。濾液を減圧下濃縮することにより、3,6-ジメチルピリジン-2(1H)-オンを6.26g得た。
【0058】
製造例8
3,6-ジメチルピリジン-2(1H)-オン(7.23g)の酢酸(60ml)溶液に、10℃付近で臭素(2.6ml)の酢酸(25ml)溶液を滴下にて加えた。反応混合物を室温まで昇温し、同温にて1時間撹拌した。反応混合物を減圧下濃縮し、得られた残渣に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(100ml)をゆっくりと加え、その後、水(100ml)を加え、酢酸にてpH6に調整した。析出物を濾取し、水で洗浄後、減圧下60℃にて乾燥することにより、5-ブロモ-3,6-ジメチルピリジン-2(1H)-オンを6.91g得た。
【0059】
製造例9
5-ブロモ-4,6-ジメチルピリジン-2(1H)-オン(5.00g)のDMF(100ml)溶液に、氷冷下で水素化ナトリウム(ミネラルオイル約40%添加、1.48g)を加え、室温まで昇温し2時間撹拌した。反応混合物に2-(2-ブロモメトキシ)テトラヒドロ-2H-ピラン(7.76g)を加え、4日間撹拌した。水を加え、酢酸エチルで抽出し、有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。乾燥剤を除き、減圧下溶媒を留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン-酢酸エチル)にて精製することにより、3-ブロモ-2,4-ジメチル-6-[2-(テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イルオキシ)エトキシ]ピリジンを3.27g得た。
【0060】
製造例10
4-ブロモ-2-フルオロ-5-メチルフェノール(4.00g)、酢酸 2-ブロモエチル(3.3ml)、炭酸セシウム(15g)、DMF(40ml)の混合物を60℃にて2時間撹拌した。反応混合物を室温まで放冷後、水(100ml)を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を水、飽和塩化ナトリウム水溶液で順次洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。乾燥剤を除去後、減圧下溶媒を留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン-酢酸エチル)により精製し、酢酸 2-(4-ブロモ-2-フルオロ-5-メチルフェノキシ)エチルを5.00g得た。
【0061】
製造例11
窒素雰囲気下、炭酸ナトリウム(5.67g)、水(28ml)、4-ブロモ-3-メチルフェノール(5.00g)、(3-ホルミルフェニル)ボロン酸(4.40g)、エタノール(20ml)及びトルエン(40ml)の混合物にテトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(1.54g)を加え、80℃にて13時間撹拌後、室温まで放冷した。反応混合物に活性炭(0.5g)を加え、5分間撹拌後、セライト濾過し、酢酸エチル、水で洗浄した。得られた濾液を分液し、水層を酢酸エチルで抽出した。有機層を合わせ、水及び飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄後、無水硫酸マグネシウムと活性炭(0.5g)を加えた。濾過にて乾燥剤と活性炭を除去し、濾液を減圧下濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン-酢酸エチル)にて精製することにより、4'-ヒドロキシ-2'-メチルビフェニル-3-カルバルデヒドを4.42g得た。
【0062】
製造例12
窒素雰囲気下、tert-ブチル[3,5-ジメチル-4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)フェノキシ]ジメチルシラン(9.49g)、3-ブロモ-2-メチル安息香酸メチル(5g)、酢酸パラジウム(II) (245mg)、ジシクロヘキシル(2',6'-ジメトキシビフェニル-2-イル)ホスフィン(896mg)、リン酸カリウム(9.27g)、トルエン(100ml)及び水(10ml)の混合物を60℃で17時間撹拌した。減圧下溶媒を留去し、残渣に飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。乾燥剤を除き、溶媒を減圧下留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン-酢酸エチル)で精製し、4'-{[tert-ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}-2,2',6'-トリメチルビフェニル-3-カルボン酸メチルを8.40g得た。
【0063】
製造例13
窒素気流下、THF(500ml)に氷冷下、水素化アルミニウムリチウム(10.36g)を少しずつ加えた。次いで、4'-{[tert-ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}-2,2',6'-トリメチルビフェニル-3-カルボン酸メチル(69.98g)のTHF(200ml)溶液を滴下にて1時間かけてゆっくりと加えた。滴下終了後、同温で2時間撹拌後、酢酸エチル(40ml)を滴下にて1時間かけてゆっくりと加え、同温で0.5時間撹拌した。反応混合物に氷冷下、水(20ml)を滴下にてゆっくりと加え、その後THF(300ml)を加えた。同温で0.5時間撹拌し、不溶物をセライト濾過にて除去した。濾液を減圧下濃縮し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン-酢酸エチル)にて精製することにより、(4'-{[tert-ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}-2,2',6'-トリメチルビフェニル-3-イル)メタノールを51.71g得た。
【0064】
製造例14
[2,2',6'-トリメチル-4'-(テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イルオキシ)ビフェニル-3-イル]メタノール(90.3g)のクロロホルム(800ml)溶液に二酸化マンガン(180g)を加え、55℃で26時間撹拌した。不溶物をセライト濾過後、減圧下溶媒を留去することにより、2,2',6'-トリメチル-4'-(テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イルオキシビフェニル-3-カルバルデヒドを95.9g得た。
【0065】
製造例15
2,2',6'-トリメチル-4'-(テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イルオキシビフェニル-3-カルバルデヒド(75.2g)のTHF(1000ml)溶液に1M塩酸(700ML)を加え、室温で4時間撹拌した。減圧下溶媒を留去し、酢酸エチルで抽出した。有機層を水及び飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。乾燥剤を除き、溶媒を減圧下留去した。残渣にエーテル及びヘキサンを加え、生じた固体を濾取後、減圧下加熱乾燥することにより、4'-ヒドロキシ-2,2',6'-トリメチルビフェニル-3-カルバルデヒドを42.1g得た。
【0066】
製造例16
4'-{[(4R)-2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン-4-イル]メトキシ}-2,2',6'-トリメチルビフェニル-3-カルバルデヒド(2.12g)のTHF(20ml)溶液に室温にて1M塩酸(20ml)を加え、室温で17時間撹拌した。反応混合物を酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。乾燥剤を除去後、減圧下溶媒を留去した。残渣を減圧下乾燥して、4'-{[(2S)-2,3-ジヒドロキシプロピル]オキシ}-2,2',6'-トリメチルビフェニル-3-カルバルデヒドを1.87g得た。
【0067】
製造例17
4'-{[(4S)-2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン-4-イル]メトキシ}-2,2',6'-トリメチルビフェニル-3-カルバルデヒド(2.07g)のTHF(20ml)溶液に室温にて1M塩酸(20ml)を加え、室温で16時間撹拌した。反応混合物を酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。乾燥剤を除去後、減圧下溶媒を留去した。残渣を減圧下乾燥して、得られた無色アモルファス固体(1.80g)、無水酢酸(1.2ml)、トリエチルアミン(2.0ml)、N,N-ジメチルピリジン-4-アミン(70mg)及びジクロロメタン(20ml)の混合物を室温で2時間撹拌した。反応混合物に酢酸エチル(60ml)を加え、分液した。有機層を1M塩酸、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和塩化ナトリウム水溶液で順次洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。乾燥剤を除去後、減圧下溶媒を留去した。残渣を減圧下乾燥して、(2S)-3-[(3'-ホルミル-2,2',6-トリメチルビフェニル-4-イル)オキシ]プロパン-1,2-ジイル ジアセタートを2.21g得た。
【0068】
製造例18
4'-{[(2S)-2,3-ジヒドロキシプロピル]オキシ}-2,2',6'-トリメチルビフェニル-3-カルバルデヒド(1.87g)、無水酢酸(1.25ml)、トリエチルアミン(2.10ml)、N,N-ジメチルピリジン-4-アミン(73mg)及びジクロロメタン(20ml)の混合物を室温で2時間撹拌した。反応混合物に酢酸エチル(60ml)を加え、分液した。有機層を1M塩酸、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和塩化ナトリウム水溶液で順次洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。乾燥剤を除去後、減圧下溶媒を留去した。残渣を減圧下乾燥して、(2R)-3-[(3'ホルミル-2,2',6-トリメチルビフェニル-4-イル)オキシ]プロパン-1,2-ジイル ジアセタートを2.29g得た。
【0069】
製造例19
2-[(3'-ホルミル-2-メチルビフェニル-4-イル)オキシ]酢酸エチル(12.20g)のエタノール(150ml)溶液に、氷-メタノール浴冷却下で水素化ホウ素ナトリウム(2.30g)を加え、同温で30分間、更に室温で1時間撹拌した。反応液を氷冷した後、飽和塩化アンモニウム水溶液(100ml)をゆっくり加え、水(200ml)を加え酢酸エチル(300ml)で抽出した。有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。乾燥剤を除き、溶媒を減圧下留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン-酢酸エチル)で精製して、2-{[3'-(ヒドロキシメチル)-2-メチルビフェニル-4-イル]オキシ}酢酸エチルを8.70g得た。
【0070】
製造例20
窒素雰囲気下、氷冷下にてTHF(50ml)に水素化アルミニウムリチウム(1.00g)を加え、次いで3-[6-(2-アセトキシエトキシ)-2,5-ジメチルピリジン-3-イル]-2-メチル安息香酸メチル(4.64g)のTHF(40ml)溶液を滴下にてゆっくり加えた。反応混合物を同温で2時間撹拌後、水(3.0ml)を滴下にてゆっくりと加え、その後THF(100ml)を加え15分間撹拌した。反応混合物に無水硫酸ナトリウムを加え乾燥後、セライト濾過しTHFで洗浄した。得られた濾液を減圧下濃縮することにより、2-({5-[3-(ヒドロキシメチル)-2-メチルフェニル]-3,6-ジメチルピリジン-2-イル}オキシ)エタノールの粗精製物を茶褐色シロップ状物質として3.84g得た。得られた2-({5-[3-(ヒドロキシメチル)-2-メチルフェニル]-3,6-ジメチルピリジン-2-イル}オキシ)エタノールの粗精製物(3.84g)のクロロホルム(75ml)溶液に二酸化マンガン(5.65g)を加え、反応混合物を60℃まで昇温し、同温で17時間撹拌後、室温まで放冷した。不溶物をセライト濾過により除去し、クロロホルムで洗浄した。濾液を減圧下濃縮し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン-酢酸エチル)にて精製することにより、3-[6-(2-ヒドロキシエトキシ)-2,5-ジメチルピリジン-3-イル]-2-メチルベンズアルデヒドを3.38g得た。
【0071】
製造例21
5'-フルオロ-4'-(2-ヒドロキシエトキシ)-2,2'-ジメチルビフェニル-3-カルボアルデヒド(3.00g)及びピリジン(15ml)の混合物に室温にて無水酢酸(2.0ml)を加え、室温で4日間撹拌した。反応混合物にトルエン(30ml)、1M塩酸(30ml)を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を1M塩酸、水、飽和塩化ナトリウム水溶液で順次洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。乾燥剤を除去後、減圧下溶媒を留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン-酢酸エチル)により精製し、酢酸 2-[(5-フルオロ-3'-ホルミル-2,2'ジメチルビフェニル-4-イル)オキシ]エチルを2.59g得た。
【0072】
製造例22
3-[6-(3-ヒドロキシ-3-メチルブトキシ)-2,5-ジメチルピリジン-3-イル]-2-メチルベンズアルデヒド(2.98g)、ピリジン(1.8ml)、N,N-ジメチルピリジン-4-アミン(1.12g)及びクロロホルム(25ml)の混合溶液に、無水酢酸(1.8ml)を滴下にて加えた。反応混合物を室温で11時間撹拌した。反応混合物にピリジン(1.8ml)、無水酢酸(1.8ml)を加え、室温で5時間撹拌した。反応混合物に飽和塩化アンモニウム水溶液(50ml)を加え、クロロホルムで抽出した。有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、乾燥剤を除き、溶媒を減圧下留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン-酢酸エチル)にて精製することにより、酢酸 3-{[5-(3-ホルミル-2-メチルフェニル)-3,6-ジメチルピリジン-2-イル]オキシ}-1,1-ジメチルプロピルを1.01g得た。
【0073】
製造例23
窒素雰囲気下、(4'-{[tert-ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}-2,2',6'-トリメチルビフェニル-3-イル)メタノール(51.50g)、4-ヒドロキシベンズアルデヒド(21.17g)のTHF(500ml)溶液に氷冷下、1,1'-(アゾジカルボニル)ジピペリジン(47.40g)を加え、次いでトリブチルホスフィン(47ml)を滴下にて加えた。反応混合物を室温まで昇温し、同温で2時間撹拌した。不溶物を濾過にて除去し、THFで洗浄後、濾液を減圧下濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン-酢酸エチル)にて精製することにより、4-[(4'-{[tert-ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}-2,2',6'-トリメチルビフェニル-3-イル)メトキシ]ベンズアルデヒドを59.68g得た。
【0074】
製造例24
窒素雰囲気下、4-[(4'-{[tert-ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}-2,2',6'-トリメチルビフェニル-3-イル)メトキシ]ベンズアルデヒド(59.63g)のTHF(600ml)溶液に氷冷下1.0M テトラブチルアンモニウムフルオリドTHF溶液(143ml)を滴下にて加え、反応混合物を氷冷下1時間撹拌した。反応混合物を酢酸エチル(500ml)で希釈し、飽和塩化アンモニウム水溶液(500ml)を加えた。混合物を酢酸エチルで抽出し、有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、乾燥剤を除き、溶媒を減圧下留去した。得られた残渣にジエチルエーテル(300ml)を加え、析出した固体を濾取し、ジエチルエーテルで洗浄した。得られた固体に再度ジエチルエーテル(300ml)を加え、析出した固体を濾取し、ジエチルエーテルで洗浄した。得られた固体をTHF(120ml)に加熱溶解後、放冷しながらジエチルエーテル(300ml)を加え、析出した固体を濾取し、ジエチルエーテルで洗浄し、減圧下加熱乾燥することにより得た固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン-酢酸エチル)にて精製することにより、4-[(4'-ヒドロキシ-2,2',6'-トリメチルビフェニル-3-イル)メトキシ]ベンズアルデヒドを25.25g得た。
【0075】
製造例25
酢酸 2-{[5-フルオロ-3'-(ヒドロキシメチル)-2,2'-ジメチルビフェニル-4-イル]オキシ}エチル(1.00g)、4-ヒドロキシベンズアルデヒド(0.45g)、トリブチルホスフィン(0.98ml)、THF(10ml)の混合物に氷冷下、1,1'-(アゾジカルボニル)ジピペリジン(1.00g)を加え、室温で2日間撹拌した。不溶物を濾別後、減圧下溶媒を留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン-酢酸エチル)により精製し、得られた固体(1.20g)、THF(10ml)、メタノール(10ml)の混合物に室温にて1M水酸化ナトリウム水溶液(10ml)を加え、室温にて1時間撹拌した。減圧下溶媒を留去後、得られた残渣をクロロホルムで抽出した。有機層を水で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。乾燥剤を除き、減圧下溶媒を留去後、得られた残渣を減圧下乾燥して、固体(0.99g)を得た。得られた固体(0.99g)、ピリジン(3ml)の混合物に室温にて、無水酢酸(0.48ml)を加え、室温で2時間撹拌した。反応混合物にエタノール(5ml)を加え、10分間撹拌後、減圧下溶媒を留去した。得られた残渣に水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。乾燥剤を除去後、減圧下溶媒を留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン-酢酸エチル)により精製し、酢酸 2-({5-フルオロ-3'-[(4-ホルミルフェノキシ)メチル]-2,2'-ジメチルビフェニル-4-イル}オキシ)エチルを1.00g得た。
【0076】
上記製造例1〜25の方法と同様にして、製造例化合物26〜81をそれぞれ対応する原料を使用して製造した。表2〜13に製造例化合物の製法、構造及び物理化学的データを示す。
【0077】
【表2】

【0078】
【表3】

【0079】
【表4】

【0080】
【表5】

【0081】
【表6】

【0082】
【表7】

【0083】
【表8】

【0084】
【表9】

【0085】
【表10】

【0086】
【表11】

【0087】
【表12】

【0088】
【表13】

【0089】
実施例1
酢酸 2-({3'-[(4-ホルミルメトキシ)メチル]-2-メチルビフェニル-4-イル}オキシ)エチル(1.00g)、1,3-チアゾリジン-2,4-ジオン(360mg)、ピペリジン(0.08ml)及びエタノール(20ml)の混合物を、70℃で24時間撹拌した。反応液を放冷し、不溶物がなくなるまで水(40ml)及び1M塩酸を加えた後、酢酸エチルで抽出した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、乾燥剤を除去後、溶媒を減圧下留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン-酢酸エチル)で精製し、酢酸 2-{[3'-({4-[(Z)-(2,4-ジオキソ-1,3-チアゾリジン-5-イリデン)メチル]フェノキシ}メチル)-2-メチルビフェニル-4-イル]オキシ}エチルを1.24g得た。
【0090】
実施例2および15
酢酸 2-{[3'-({4-[(Z)-(2,4-ジオキソ-1,3-チアゾリジン-5-イリデン)メチル]フェノキシ}メチル)-2-メチルビフェニル-4-イル]オキシ}エチル(1.23g)、20%水酸化パラジウム-活性炭(860mg)及びメタノール(20ml)の混合物を、3kg/cm2の水素雰囲気下、室温で12時間撹拌した。反応液に1M水酸化ナトリウム水溶液(20ml)を加えセライト濾過後、濾液に1M塩酸(20ml)を加え溶媒を減圧下留去した。残渣を酢酸エチルで抽出し、有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、乾燥剤を除き、溶媒を減圧下留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン-酢酸エチル)で精製して油状物を609mg得た。このものにエタノール及び1M水酸化カリウム水溶液(1.3ml)を加え溶媒を減圧留去した後、得られた残渣をODSカラムクロマトグラフィー(アセトニトリル-水)で精製し、得られた2成分に対しそれぞれ酢酸エチルで洗浄、固体を濾取して、実施例2としてカリウム 5-(4-{[4'-(2-ヒドロキシエトキシ)-2'-メチルビフェニル-3-イル]メトキシ}ベンジル)-2,4-ジオキソ-1,3-チアゾリジン-3-イドを97mg得、また実施例15としてカリウム (5Z)-5-(4-{[4'-(2-ヒドロキシエトキシ)-2'-メチルビフェニル-3-イル]メトキシ}ベンジリデン)-2,4-ジオキソ-1,3-チアゾリジン-3-イドを79mg得た。
【0091】
実施例3
酢酸 (1R)-3-{[3'-({4-[(Z)-(2,4-ジオキソ-1,3-チアゾリジン-5-イリデン)メチル]フェノキシ}メチル)-2,2',6-トリメチルビフェニル-4-イル]オキシ}-1-メチルプロピル(1.17g)のTHF(15ml)及びエタノール(15ml)溶液に、10%パラジウム-活性炭(50%含水品、1.11g)を加え、反応混合物を4kg/cm2の水素雰囲気下、室温で14時間撹拌した。セライト濾過にて触媒を除去し、濾液を減圧下濃縮した。得られた残渣をTHF(15ml) 及びエタノール(15ml)に溶解し、10%パラジウム-活性炭(50%含水品、1.11g)を加え、反応混合物を4kg/cm2の水素雰囲気下、室温で5時間撹拌した。セライト濾過にて触媒を除去し、濾液を減圧下濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム-メタノール)にて精製することにより、酢酸 (1R)-3-{[3'-({4-[(2,4-ジオキソ-1,3-チアゾリジン-5-イル)メチル]フェノキシ}メチル)-2,2',6-トリメチルビフェニル-4-イル]オキシ}-1-メチルプロピルを939mg得た。
【0092】
実施例4
酢酸 (1R)-3-{[3'-({4-[(2,4-ジオキソ-1,3-チアゾリジン-5-イル)メチル]フェノキシ}メチル)-2,2',6-トリメチルビフェニル-4-イル]オキシ}-1-メチルプロピル(927mg)のTHF(9ml)及びエタノール(9ml)溶液に1M水酸化ナトリウム水溶液(5ml)を加え、反応混合物を60℃で1時間撹拌し、室温まで放冷した。反応混合物に1M塩酸(5ml)及び水(30ml)を加え、クロロホルムで抽出した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、乾燥剤を除き、溶媒を減圧下留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム-メタノール)にて精製し、固体を761mg得た。得られた固体(761mg)をTHF(5ml)及びエタノール(5ml)に溶解し、1M水酸化ナトリウム水溶液(1.46ml)を加え、減圧下濃縮した。得られた残渣にジエチルエーテル(20ml)を加え粉末固体化し、室温にて1時間撹拌後、固体を濾取し、ジエチルエーテルにて洗浄した。得られた固体を減圧下60℃にて乾燥することにより、ナトリウム 5-{4-[(4'-{[(3R)-3-ヒドロキシブチル]オキシ}-2,2',6'-トリメチルビフェニル-3-イル)メトキシ]ベンジル}-2,4-ジオキソ-1,3-チアゾリジン-3-イドを690mg得た。
【0093】
実施例5
酢酸 2-{[5-(3-ホルミル-2-メチルフェニル)-3,6-ジメチルピリジン-2-イル]オキシ}エチル(600mg)、5-(4-アミノベンジル)-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオン(489mg)、酢酸(8ml)の混合物を室温で17時間撹拌した。反応混合物にトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(777mg)を加え、室温で3時間撹拌した。反応混合物に水(30ml)を加え、クロロホルムにて抽出した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、乾燥剤を除き、溶媒を減圧下留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム-メタノール)にて精製し、アメ状物を966mg得た。得られたアメ状物(966mg)をメタノール(12ml)に溶解し、ナトリウムメトキシド(400mg)を加え、反応混合物を50℃で2時間撹拌した。反応混合物を氷冷し、10%クエン酸水溶液(15ml)及び水(10ml)を加え、クロロホルム-2-プロパノール(5:1、v/v)で抽出した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、乾燥剤を除き、溶媒を減圧下留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム-メタノール)にて精製し、泡状物を793mg得た。得られた泡状物(793mg)をアセトニトリル(2ml)に溶解し、1M水酸化ナトリウム水溶液(1.61ml)を加えた。混合溶液をODSカラムクロマトグラフィー(アセトニトリル-水)にて精製し、固体を672mg得た。得られた固体(672mg)をジエチルエーテルにて粉末固体化後、固体を濾取し、ジエチルエーテルで洗浄した。得られた固体を減圧下60℃で乾燥することにより、ナトリウム 5-[4-({3-[6-(2-ヒドロキシエトキシ)-2,5-ジメチルピリジン-3-イル]-2-メチルベンジル}アミノ)ベンジル]-2,4-ジオキソ-1,3-チアゾリジン-3-イドを600mg得た。
【0094】
実施例6
酢酸 2-{[3'-({4-[(Z)-(2,4,-ジオキソ-1,3-チアゾリジン-5-イリデン)メチル]フェノキシ}メチル)-5-フルオロ-2,2'-ジメチルビフェニル-4-イル]オキシ}エチル(0.35g)、10%パラジウム-活性炭(50%含水品、0.73g)、THF(4.5ml)及びエタノール(4.5ml)の混合物を4kg/cm2の水素雰囲気下、室温で4時間撹拌した。触媒をセライト濾過により除去後、減圧下溶媒を留去した。得られた残渣、10%パラジウム-活性炭(50%含水品、0.70g)、THF(4.5ml)、エタノール(4.5ml)の混合物を4kg/cm2の水素雰囲気下、室温にて2時間撹拌した。触媒をセライト濾過により除去後、減圧下溶媒を留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン-酢酸エチル)により精製し、油状物を0.23g得た。得られた油状物(0.23g)、ナトリウムメトキシド(70mg)及びメタノール(5ml)の混合物を60℃にて2時間撹拌した。反応溶液に氷冷下、10%クエン酸水溶液(4ml)を加え、クロロホルムで抽出した。有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。乾燥剤を除去後、減圧下溶媒を留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン-酢酸エチル)により精製し、油状物を184mg得た。得られた油状物のTHF(5ml)溶液に1M水酸化ナトリウム水溶液(0.353ml)を加えた後、減圧下溶媒を留去した。得られた残渣にジエチルエーテルを加え、生じた固体を濾取後、減圧下加熱乾燥して、ナトリウム 5-(4-{[5'-フルオロ-4'-(2-ヒドロキシエトキシ)-2,2'-ジメチルビフェニル-3-イル]メトキシ}ベンジル)-2,4-ジオキソ-1,3-チアゾリジン-3-イドを0.16g得た。
【0095】
実施例7
(5Z)-5-{4-[(4'-{[(4R)-2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン-4-イル]メトキシ}-2,2',6'-トリメチルビフェニル-3-イル)メトキシ]ベンジリデン}-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオン、10%パラジウム-活性炭(50%含水品、2.0g)及びTHF(30ml)の混合物を4kg/cm2の水素雰囲気下、室温で16時間撹拌した。触媒をセライト濾過により除去後、減圧下溶媒を留去した。得られた残渣、10%パラジウム-活性炭(50%含水品、2.0g)及びTHF(30ml)の混合物を4kg/cm2の水素雰囲気下、室温で5時間撹拌した。触媒をセライト濾過により除去後、減圧下溶媒を留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム-酢酸エチル)により精製し、固体を768mg得た。得られた固体のTHF(10ml)溶液に1M塩酸(10ml)を加え、室温で1時間撹拌した。反応混合物に1M水酸化ナトリウム水溶液(12ml)を加え、減圧下濃縮した。得られた水溶液をODSカラムクロマトグラフィー(アセトニトリル-水)で精製し、残渣にジエチルエーテルを加え濾取し、ナトリウム 5-{4-[(4'-{[(2S)-2,3-ジヒドロキシプロピル]オキシ}-2,2',6'-トリメチルビフェニル-3-イル)メトキシ]ベンジル}-2,4-ジオキソ-1,3-チアゾリジン-3-イドを327mg得た。
【0096】
実施例8
4'-{[(4R)-2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン-4-イル]メトキシ}-2,2',6'-トリメチルビフェニル-3-カルバルデヒド(732mg)、5-(4-アミノベンジル)-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオン(505mg)及びTHF(7ml)の混合物に酢酸(1.1ml)を加え、室温で5時間撹拌した。反応混合物にトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(660mg)を加え、室温で2日間撹拌した。酢酸(1.1ml)及びトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(660mg)を加え、1日間撹拌した。反応混合物に水を加え、減圧下溶媒を留去後、クロロホルムで抽出し、有機層を無水硫酸マグネシウム乾燥した。乾燥剤を除き、減圧下溶媒を留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン-酢酸エチル)により精製し、油状物(580mg)を得た。得られた油状物のTHF(10ml)溶液に1M塩酸(10ml)を加え、室温で1時間撹拌した。1M水酸化ナトリウム水溶液(12ml)を加え、減圧下溶媒を留去した。残渣をODSカラムクロマトグラフィー(アセトニトリル-水)により精製し、残渣にジエチルエーテルを加え、生じた固体を濾取後、減圧下加熱乾燥することにより、ナトリウム 5-(4-{[(4'-{[(2S)-2,3-ジヒドロキシ]オキソ}-2,2',6'-トリメチルビフェニル-3-イル)メチル]アミノ}ベンジル)-2,4-ジオキソ-1,3-チアゾリジン-3-イドを347mg得た。
【0097】
実施例9
3-[6-(2-ヒドロキシエトキシ)-2,4-ジメチルピリジン-3-イル]-2-メチルベンズアルデヒド(768mg)及び5-(4-アミノベンジル)-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオン(900mg)の酢酸(5ml)溶液を、室温で11時間撹拌した。反応混合物に、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(860mg)を加え、室温で1時間撹拌した。水を加え、クロロホルムで抽出し、有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。乾燥剤を除き、減圧下溶媒を留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム-メタノール続いて、クロロホルム-酢酸エチル)により精製し、油状物(239mg)を得た。この油状物のメタノール(5ml)溶液に、氷冷下、1M水酸化ナトリウム水溶液(0.48ml)を滴下し、減圧下溶媒を留去した。残渣にジエチルエーテルを加え、生じた固体を濾取後、減圧下加熱乾燥することにより、ナトリウム 5-[4-({3-[6-(2-ヒドロキシエトキシ)-2,4-ジメチルピリジン-3-イル]-2-メチルベンジル}アミノ)ベンジル]-2,4-ジオキソ-1,3-チアゾリジン-3-イドを242mg得た。
【0098】
実施例10
(5Z)-5-{4-[(3-{2,4-ジメチル-6-[2-(テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イルオキシ)エトキシ]ピリジン-3-イル}-2-メチルベンジル)オキシ]ベンジリデン}-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオン(1.73g)、10%パラジウム-活性炭(50%含水品、3.0g)、THF(30ml)の混合物を、4kg/cm2の水素雰囲気下室温で5時間撹拌した。触媒をセライト濾過により除去後、減圧下溶媒を留去した。得られた残渣10%パラジウム-活性炭(50%含水品、3.0g)、THF(30ml)の混合物を3kg/cm2の水素雰囲気下、室温で3時間撹拌した。触媒をセライト濾過により除去後、減圧下溶媒を留去した。得られた残渣10%パラジウム-活性炭(50%含水品、3.0g)、THF(30ml)の混合物を3kg/cm2の水素雰囲気下、室温で2時間撹拌した。触媒をセライト濾過により除去後、減圧下溶媒を留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン-酢酸エチル)により精製し、油状物(420mg)を得た。この油状物のTHF(6ml)溶液に、1M塩酸(6ml)を加え、室温で1時間撹拌した。1M水酸化ナトリウム水溶液(7ml)を加え、減圧下溶媒を留去した。残渣をODSカラムクロマトグラフィー(アセトニトリル-水)により精製し、残渣にジエチルエーテルを加え、生じた固体を濾取後、減圧下加熱乾燥することにより、ナトリウム 5-[4-({3-[6-(2-ヒドロキシエトキシ)-2,4-ジメチルピリジン-3-イル]-2-メチルベンジル}オキシ)ベンジル]-2,4-ジオキソ-1,3-チアゾリジン-3-イドを150mg得た。
【0099】
実施例11
(2R)-3-[(3'-ホルミル-2,2',6-トリメチルビフェニル-4-イル)オキシ]プロパン-1,2-ジイル ジアセタート(757mg)、5-[(6-アミノピリジン-3-イル)メチル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオン(358mg)、酢酸(4.5ml)、THF(3ml)の混合物を室温で12時間撹拌した。反応混合物にTHF(3ml)を加えた後、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(725mg)を5時間掛けて加えた。反応混合物を室温にて1時間撹拌した後、水(40ml)を加え、クロロホルム-2-プロパノール(3:1、v/v)で抽出した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、乾燥剤を除き、減圧下溶媒を留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン-酢酸エチル)により精製し、(2R)-3-({3'-[({5-[(2,4-ジオキソ-1,3,-チアゾリジン-5-イル)メチル]ピリジン-2-イル}アミノ)メチル]-2,2',6-トリメチルビフェニル-4-イル}オキシ)プロパン-1,2-ジイル ジアセタートを410mg得た。
【0100】
実施例12
(2R)-3-({3'-[({5-[(2,4-ジオキソ-1,3,-チアゾリジン-5-イル)メチル]ピリジン-2-イル}アミノ)メチル]-2,2',6-トリメチルビフェニル-4-イル}オキシ)プロパン-1,2-ジイル ジアセタート(410mg)、ナトリウムメトキシド(183mg)、メタノール(6ml)の混合物を50℃にて2時間撹拌した。室温まで放冷後、反応混合物に10%クエン酸水溶液(5ml)を加え、クロロホルム-2-プロパノール(3:1、v/v)で抽出した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、乾燥剤を除去し、減圧下溶媒を留去した。得られた残渣のTHF(5ml)溶液に1M水酸化ナトリウム水溶液(2.0ml)を加え、減圧下溶媒を留去した。得られた残渣をODSカラムクロマトグラフィー(アセトニトリル-水)により精製し、ジエチルエーテルを加え、生じた固体を濾取後、減圧下加熱乾燥して、ナトリウム 5-[(6-{[(4'-{[(2S)-2,3-ジヒドロキシプロピル]オキシ}-2,2',6'-トリメチルビフェニル-3-イル)メチル]アミノ}ピリジン-3-イル)メチル]-2,4-ジオキソ-1,3-チアゾリジン-3-イドを151mg得た。
【0101】
実施例13
(5Z)-5-(4-{[4'-(2-ヒドロキシエトキシ)-2'-(ヒドロキシメチル)ビフェニル-3-イル]メトキシ}ベンジリデン)-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオン(663mg)、マグネシウム(削状、340mg)、メタノール(15ml)の混合物に、別途ヨウ素により活性化したマグネシウム及びメタノールの混合物(3滴)を加え、室温にて4時間撹拌した。反応混合物にマグネシウム(170mg)を加え、3.5時間撹拌した。反応混合物に水(30ml)、1M塩酸(45ml)を加え、クロロホルム-2-プロパノール(3:1、v/v)で抽出した。有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液により洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。乾燥剤を除去後、減圧下溶媒を留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン-酢酸エチル)により精製し、油状物(530mg)を得た。得られた油状物のTHF(5ml)溶液に1M水酸化ナトリウム水溶液(1.10ml)を加え、減圧下溶媒を留去した。得られた残渣をODSカラムクロマトグラフィー(アセトニトリル-水)により精製し、ジエチルエーテルを加え、生じた固体を濾取後、減圧下加熱乾燥して、ナトリウム 5-(4-{[4'-(2-ヒドロキシエトキシ)-2'-(ヒドロキシメチル)ビフェニル-3-イル]メトキシ}ベンジル)-2,4-ジオキソ-1,3-チアゾリジン-3-イドを259mg得た。
【0102】
実施例14
酢酸 (1R)-3-({5-[3-({4-[(Z)-(2,4-ジオキソ-1,3-チアゾリジン-5-イリデン)メチル]フェノキシ}メチル)-2-メチルフェニル]-4,6-ジメチルピリジン-2-イル}オキシ)-1-メチルプロピル、10%パラジウム-活性炭(50%含水品、400mg)及びメタノール(15ml)の混合物を3.1kg/cm2の水素雰囲気下80分間撹拌した。セライト濾過により不溶物を濾別し、減圧下溶媒を留去して得られた残渣に、メタノール(15ml)及び10%パラジウム-活性炭(50%含水品、500mg)を加え、4.2kg/cm2の水素雰囲気下55分間撹拌した。セライト濾過により不溶物を濾別し、減圧下溶媒を留去して得られた残渣にメタノール(15ml)、10%パラジウム-活性炭(50%含水品、400mg)を加え、3.6kg/cm2の水素雰囲気下45分間撹拌した。セライト濾過により不溶物を濾別し、減圧下溶媒を留去して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン-酢酸エチル)により精製して得られた油状物132mgに、メタノール(1ml)、THF(1ml)及び1M水酸化ナトリウム水溶液(1ml)を加えて室温で1時間撹拌した。反応混合物に1M塩酸(1.5ml)を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄後、無水硫酸マグネシウムにて乾燥した。乾燥剤を除き、溶媒を減圧下留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン-酢酸エチル)により精製して得られた油状物124mgに、メタノール(1ml)、THF(1ml)及び1M水酸化ナトリウム水溶液(0.238ml)を加えて室温で10分間撹拌した。減圧下溶媒を留去し、残渣をODSカラムクロマトグラフィー(アセトニトリル-水)により精製して得られた泡状物にヘキサンを加えて粉末化し、粉末を濾取し、減圧下加熱乾燥し、ナトリウム 5-(4-{[3-(6-{[(3R)-3-ヒドロキシブチル]オキシ}-2,4-ジメチルピリジン-3-イル)-2-メチルベンジル]オキシ}ベンジル)-2,4-ジオキソ-1,3-チアゾリジン-3-イドを74mg得た。
【0103】
上記実施例1〜14の方法と同様にして、実施例化合物15〜40をそれぞれ対応する原料を使用して製造した。実施例化合物の構造を表14〜20に、製法、物理化学的データを表21〜24に示す。
【0104】
【表14】

【0105】
【表15】

【0106】
【表16】

【0107】
【表17】

【0108】
【表18】

【0109】
【表19】

【0110】
【表20】

【0111】
【表21】

【0112】
【表22】

【0113】
【表23】

【0114】
【表24】

【産業上の利用可能性】
【0115】
式(I)の化合物は、優れたGPR40アゴニスト作用を有し、インスリン分泌促進剤、糖尿病(インスリン依存性糖尿病 (IDDM)、インスリン非依存性糖尿病 (NIDDM)及びその境界型(耐糖能・空腹時血糖値異常)軽症糖尿病)等のGPR40が関与する疾患の予防及び/又は治療剤として使用しうる。
【配列表フリーテキスト】
【0116】
以下の配列表の数字見出し<223>には、「Artificial Sequence」の説明を記載する。具体的には、配列表の配列番号1の配列で表される塩基配列は、人工的に合成したプライマーの塩基配列である。また、配列表の配列番号2の配列で表される塩基配列は、人工的に合成したプライマーの塩基配列である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物又はその製薬学的に許容される塩。
【化1】

(式中の記号は以下の意味を示す。
R1は、
【化2】

を示し、
R2は、-H又は-低級アルキルを示し、
R3は、同一又は互いに異なって、-OHで置換されていてもよい低級アルキル又は-ハロゲンを示し、
nは、1又は2を示し、
R4は、(保護されていてもよいOH)で置換されている低級アルキルを示し、
L1は、CH又はNを示し、
L2は、-O-又は-NH-を示し、
L3はCH又はNを示す。)

【公開番号】特開2011−16722(P2011−16722A)
【公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−274528(P2007−274528)
【出願日】平成19年10月23日(2007.10.23)
【出願人】(000006677)アステラス製薬株式会社 (274)
【Fターム(参考)】