説明

チップ抵抗器

【課題】半田接合部がヒートショックで損傷する可能性の低いチップ抵抗器を提供する。
【解決手段】チップ抵抗器1の裏面電極3は、セラミック基板2の裏面に固着された焼成銀からなる第1電極層3aと、第1電極層3aの中央部を横断する領域に積層された焼成銀からなる第2電極層3bとで構成されており、第2電極層3bの側面から第1電極層3aの表面へ至る段差12が形成され、メッキ層(ニッケルメッキ層9および半田メッキ層10)の裏面電極3を覆う部分には段差12と対応する段差13が形成されている。したがって、このチップ抵抗器1が回路基板30上に実装されると、裏面電極3とランド31との間に介設される半田接合部(半田32)の厚みが段差13部分で増大し、第1および第2電極層3a,3bの境界部分に熱応力が集中する虞もないため、半田接合部がヒートショックで損傷する可能性は低いものとなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はチップ抵抗器に係り、特に、実装時に半田接合される、セラミック基板の裏面に設けられた裏面電極の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
図6は従来の一般的なチップ抵抗器を模式的に示す断面図である。同図に示すチップ抵抗器21は、直方体形状のセラミック基板22と、焼成銀等からなりセラミック基板22の図示上面の長手方向両端部に設けられた一対の表面電極23と、酸化ルテニウム等からなり一対の表面電極23間に跨って設けられた抵抗体24と、この抵抗体24を被覆する絶縁性の保護層25と、焼成銀等からなりセラミック基板22の図示下面の長手方向両端部に設けられた一対の裏面電極26と、セラミック基板22の長手方向両端面に設けられて表面電極23と裏面電極26とを橋絡する一対の端面電極27とを備えており、下地電極層としてコ字状に連続する表面電極23と端面電極27および裏面電極26にメッキ層28が被着されている。
【0003】
かかるチップ抵抗器21において、セラミック基板22は大判基板を縦横の分割溝に沿って分割して多数個取りされたものであり、この大判基板に対して多数個分の表面電極23や抵抗体24、裏面電極26、保護層25等が一括して形成される。また、チップ抵抗器21の抵抗値の調整は、抵抗体24に図示せぬトリミング溝を形成することによって行われる。保護層25は一般的に2層構造になっており、抵抗体24をトリミングする抵抗値調整の前に形成されるアンダーコート層と、抵抗値調整の後に形成されるオーバーコート層とが積層されている。また、端面電極27は多数個分の保護層25が形成された大判基板を1次分割してなる短冊状基板の分割面に形成され、端面電極27を形成した後に短冊状基板を個片(チップ単体)に2次分割して各チップ単体にメッキ層28が被着されるようになっている。このメッキ層28は、下地電極層に密着する最内層のニッケル(Ni)メッキ層と、外表面に露出する最外層の半田(Sn/Pb)メッキ層または錫(Sn)メッキ層とを含む2層以上の積層構造になっている。
【0004】
ところで、この種のチップ抵抗器21は、回路基板に設けられたランド上に裏面電極26を搭載して半田接合することで面実装されるが、実装後にチップ抵抗器21への熱環境の変化が繰り返される(以後ヒートショックと呼ぶ)と、この半田接合部が熱応力で損傷してクラックを生じやすくなる。そして、半田接合部にヒートショックによるクラックが生じると、半田接合部はチップ抵抗器21の裏面電極26と回路基板のランドとを電気的かつ機械的に接続する箇所であるため、最悪の場合は導通不良に至ることもあった。
【0005】
そこで従来より、裏面電極を焼成銀からなる内層と導電性樹脂からなる外層との2層構造にし、半田接合部に作用する熱応力を緩和できるようにしたチップ抵抗器が提案されている(例えば、特許文献1参照)。かかる従来のチップ抵抗器では、回路基板のランド上で半田接合部と接触する裏面電極の外層が導電性樹脂からなるため、裏面電極が焼成銀のみからなる場合に比べると、半田接合部に作用する熱応力を緩和する効果が期待できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−84905号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、本発明者らが精査したところ、特許文献1に記載されたチップ抵抗器のように裏面電極の外層が導電性樹脂で形成されていても、この外層と焼成銀からなる内層との境界部分が半田接合部に接触していると、この境界部分で半田接合部に熱応力が集中してクラックを生じやすいことが判明した。さらに、裏面電極の外層を導電性樹脂で形成した場合、半田接合時の加熱により樹脂分からアウトガスが発生し、このアウトガスによって接合部にボイドが形成されてしまうため、半田爆ぜの発生や固着性の低下が余儀なくされる。また、導電性樹脂からなる外層で焼成銀からなる内層を完全に覆ってしまえば、両者の境界部分が半田接合部に接触しなくなるが、こうすると樹脂分からのアウトガスの発生量が増加し、半田爆ぜの発生や固着性が弱くなって好ましくない。したがって、裏面電極の外層を導電性樹脂で形成するという従来技術を採用しても、ヒートショックによる半田接合部の損傷を防止する効果は不十分であって、チップ抵抗器の耐用寿命を大幅に延ばすことは困難であり、半田爆ぜの発生や固着性が弱くなるというデメリットもある。
【0008】
本発明は、このような従来技術の実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、半田接合部がヒートショックで損傷する可能性の低いチップ抵抗器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、本発明は、セラミック基板の表面の長手方向両端部に設けられた一対の表面電極と、これら一対の表面電極に接続するように前記セラミック基板の表面に設けられた抵抗体と、前記セラミック基板の裏面の長手方向両端部に設けられた一対の裏面電極と、前記抵抗体を被覆する絶縁性の保護層と、前記セラミック基板の両端面に設けられて前記表面電極と前記裏面電極とを橋絡している一対の端面電極とを備え、回路基板に設けられたランド上に前記裏面電極を搭載して半田接合することによって面実装されるチップ抵抗器において、前記裏面電極が、前記セラミック基板の裏面に固着された第1電極層と、この第1電極層の少なくとも縁部から外れた一部領域に積層された第2電極層とからなり、これら第1および第2電極層がいずれも焼成銀で形成されたものであるという構成にした。
【0010】
このように第1電極層の一部領域に第2電極層を積層してなる裏面電極においては、第2電極層の側面から第1電極層の表面へ至る段差が形成されるため、この段差を利用して半田接合部の厚みを増大させることができる。また、第1電極層と第2電極層はいずれも焼成銀からなるため、両電極層の境界部分に熱応力が集中する虞はなく、裏面電極の製造工程が特に煩雑化することもない。したがって、このチップ抵抗器は、裏面電極と回路基板のランドとの間に介設された半田接合部がヒートショックで損傷する可能性は低く、コストアップも回避しやすいものとなっている。
【0011】
上記の構成において、第1電極層と第2電極層は焼成銀であれば組成の違う別材料を用いて形成しても良いが、これら第1電極層と第2電極層が組成を同じくする同一材料で形成されていると、第1電極層と第2電極層を同じAgペースト等を使用して形成することができるため、Agペーストの交換等を含めた作業性が良好となる。
【発明の効果】
【0012】
本発明のチップ抵抗器は、第1電極層の縁部から外れた一部領域に第2電極層を積層して裏面電極となし、これら第1および第2電極層をいずれも焼成銀で形成しているため、両電極層の境界部分に熱応力が集中する虞はなく、第2電極層の側面から第1電極層の表面へ至る段差を利用して半田接合部の厚みを増大させることができる。それゆえ、裏面電極と回路基板のランドとの間に介設された半田接合部がヒートショックで損傷する可能性が低くなる。また、このチップ抵抗器は、裏面電極の製造工程を特に煩雑化する必要がないため、コストアップも回避しやすい。それゆえ、ヒートショックに強くて耐用寿命の長いチップ抵抗器を安価に提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施形態例に係るチップ抵抗器の実装状態を模式的に示す要部断面図である。
【図2】該チップ抵抗器の製造工程を示す説明図である。
【図3】該チップ抵抗器の製造工程を示す説明図である。
【図4】該チップ抵抗器の製造工程を示す説明図である。
【図5】該チップ抵抗器の製造工程を示す説明図である。
【図6】従来の一般的なチップ抵抗器を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。本発明の実施形態例に係るチップ抵抗器1は、図2〜図4に順次示す各工程を経て製造され、図1に示すように回路基板30上に面実装して使用される。なお、図4の最下部にはチップ抵抗器1の完成品が図示されている。
【0015】
このチップ抵抗器1は、直方体形状のセラミック基板2と、このセラミック基板2の裏面(図1では下面)の長手方向両端部に設けられた一対の裏面電極3と、セラミック基板2の表面(図1では上面)の長手方向両端部に設けられた一対の表面電極4と、これら一対の表面電極4に両端部を重ね合わせてセラミック基板2の表面に設けられた抵抗体5と、セラミック基板2の長手方向両端面に設けられて裏面電極3と表面電極4とを橋絡している一対の端面電極6と、抵抗体5を被覆する2層構造の保護層(アンダーコート層7およびオーバーコート層8)と、下地電極層としてコ字状に連続する表面電極4と端面電極6および裏面電極3に被着せしめた2層構造のメッキ層(ニッケルメッキ層9および半田メッキ層10)とによって構成されている。
【0016】
セラミック基板2はアルミナを主成分とする絶縁基板であり、後述する大判基板40(図2,3参照)を縦横の分割溝41,42に沿って分割して多数個取りされたものである。裏面電極3と表面電極4の主成分は銀であり、端面電極6の主成分はニッケルおよびクロムである。また、抵抗体5は酸化ルテニウム等からなり、この抵抗体5にトリミング溝11(図3参照)を形成することによってチップ抵抗器1の抵抗値が調整されている。なお、チップ抵抗器1の製造時には、大判基板40に対して多数個分の表面電極4や抵抗体5や裏面電極3やアンダーコート層7やオーバーコート層8等が一括して形成される。
【0017】
また、このチップ抵抗器1の裏面電極3は、セラミック基板2の裏面に固着された第1電極層3aと、第1電極層3aの中央部を横断する領域に積層された第2電極層3bとからなり、第1および第2電極層3a,3bはいずれも焼成銀で形成されている。詳しい製造方法については後述するが、Agペーストを印刷して未焼成の第1電極層3aと第2電極層3bを順次形成した後、高温焼成することによって、Agの焼結体として第1および第2電極層3a,3bが形成されている。なお、第2電極層3bを第1電極層3aの中央部以外の領域に積層して裏面電極3となしても良く、要は、第2電極層3bの側面から第1電極層3aの表面へ至る段差12が形成されるように、第2電極層3bが第1電極層3aの縁部から外れた一部領域に積層されていれば良い。
【0018】
図1に示すように、このチップ抵抗器1は、回路基板30に設けられたランド31上に裏面電極3を搭載して半田32で接合することによって面実装される。チップ抵抗器1のメッキ層(ニッケルメッキ層9および半田メッキ層10)には、裏面電極3を覆う部分に前記段差12と対応する段差13が形成されているため、実装状態において、この段差13で半田32の厚みは増大している。したがって、裏面電極3とランド31との間に介設された半田接合部(半田32)は、熱応力が作用してもクラックを生じにくい。
【0019】
次に、このチップ抵抗器1の製造工程(第1工程〜第16工程)について、図2〜図4を参照しながら詳しく説明する。なお、第1工程から第5工程までは図2を参照して説明し、第6工程から第12工程までは図3を参照して説明し、第13工程から第16工程までは図4を参照して説明する。また、これらの図においては、左側に1個のチップ領域に対応する模式的な断面図を示し、右側に複数個のチップ領域に対応する模式的な平面図(ただし第1および第2工程では裏面側の平面図)を示している。
【0020】
まず、第1工程として、セラミック基板2が多数個取りされる大判基板40の裏面40aに、Agペーストをスクリーン印刷して乾燥させることによって未焼成の第1電極層3aを形成する。なお、大判基板40には予め1次分割溝41と2次分割溝42が格子状に設けられており、両分割溝41,42によって区切られたマス目の1つ1つが1個分のチップ領域となるが、第1電極層3aは1次分割溝41を介して隣接する一方のチップ領域の長手方向一端部と他方のチップ領域の長手方向他端部とに連続的に形成する。
【0021】
こうして第1電極層3aを印刷して乾燥させた後、第2工程として、各第1電極層3aの中央部を横断する領域にAgペーストをスクリーン印刷して乾燥させることにより、未焼成の第2電極層3bを形成する。その際、組成が全く同じAgペーストを用いて第1電極層3aと第2電極層3bを形成すると、Agペーストの交換等を含めた作業性が良好なものとなる。そして、これら第1および第2電極層3a,3bによって断面視逆凸状の積層体が各チップ領域の長手方向両端部に形成され、この積層体が後述する第4工程で裏面電極3になる。
【0022】
また、第3工程として、大判基板40の裏面40aと反対側の表面40bに、Ag/Pdペーストをスクリーン印刷して乾燥させることによって未焼成の表面電極4を形成する。なお、大判基板40の表面40bにおける表面電極4群の形成位置と、裏面40aにおける第1電極層3a群の形成位置はほぼ対応している。
【0023】
次に、第4工程として、第1および第2電極層3a,3bと表面電極4を850℃程度の高温で焼成する。なお、このように第1および第2電極層3a,3bと表面電極4とを同時に焼成すると、焼成工程を減らしてコストダウンを図ることが可能となる。これにより、大判基板40の裏面40aに密着して固定された焼成銀からなる第1電極層3aと、この第1電極層3aの一部領域に密着して固定された焼成銀からなる第2電極層3bとが得られるため、これら第1および第2電極層3a,3bによって焼成銀からなる断面視逆凸状の裏面電極3が形成される。また、大判基板40の表面40bには、パラジウムを含む焼成銀からなる表面電極4が形成される。この表面電極4については、パラジウムを含むことによって耐硫化特性に有効となる。
【0024】
しかる後、第5工程として、大判基板40の表面40bに酸化ルテニウム等の抵抗体ペーストをスクリーン印刷して乾燥させることにより、各チップ領域に未焼成の抵抗体5を形成する。その際、抵抗体5の長手方向両端部は、各チップ領域の長手方向両端部に設けられている表面電極4に重ね合わせておく。そして、次なる第6工程で、この抵抗体5を850℃程度の高温で焼成する。なお、前述した第4工程の焼成を省略し、この第6工程で第1および第2電極層3a,3bと表面電極4と抵抗体5とを同時に焼成しても良く、その場合は焼成工程をさらに減らして大幅なコストダウンを図ることが可能となる。
【0025】
次に、第7工程として、抵抗体5を覆う領域にガラスペーストをスクリーン印刷した後、第8工程でこのガラスペーストを600℃程度の高温で焼成することにより、抵抗体5を覆う1次保護コートに相当するアンダーコート層7を形成する。このアンダーコート層7は、次工程で照射されるレーザの熱で抵抗体5のトリミング溝11近傍が損傷しないようにするためのものである。
【0026】
次に、第9工程として、アンダーコート層7および抵抗体5にレーザを照射してトリミング溝11を形成することにより、所望の抵抗値に調整する。
【0027】
次に、第10工程として、アンダーコート層7やトリミング溝11を覆うようにガラスペーストあるいはエポキシ系等の樹脂ペーストをスクリーン印刷した後、これを第11工程で焼き付ける(例えばガラスペーストは600℃程度で焼成し、樹脂ペーストは200℃程度で加熱硬化させる)ことにより、抵抗体5および1次保護コートを覆う2次保護コートに相当するオーバーコート層8を形成する。このオーバーコート層8は抵抗体5を外部環境から保護するためのものである。こうしてアンダーコート層7およびオーバーコート層8を形成することによって、抵抗体5を被覆する2層構造の保護層が得られる。
【0028】
ここまでの工程は多数個取り用の大判基板40に対する一括処理であるが、次なる第12工程では、ブレークによって大判基板40を1次分割溝41に沿って短冊状に分割するという1次ブレーク加工を行う。これにより、複数個分のチップ領域が設けられた短冊状基板43を得る。
【0029】
そして、次なる第13工程で、短冊状基板43の分割面にNi/Crをスパッタリングすることにより、端面電極6を形成する。このとき、複数の短冊状基板43を重ね合わせた状態でスパッタリングを行うが、図5に示すように、上段側の短冊状基板43の第2電極層3bが下段側の短冊状基板43のオーバーコート層8を避けるように形成すると、各短冊状基板43の姿勢を安定させた状態でスパッタリングすることができる。これにより、左右のスパッターの回り込み量を均一にできるため、電極寸法の不良が発生しにくくなる。そして、この端面電極6によって裏面電極3と表面電極4とが橋絡され、両者3,4をコ字状に連続する下地電極層が得られる。
【0030】
しかる後、第14工程として、ブレークによって短冊状基板43を2次分割溝42に沿って分割するという2次ブレーク加工を行う。これにより、チップ抵抗器1と同等の大きさの個片(チップ単体)を得る。
【0031】
次に、第15工程として、個片化された各チップ単体の下地電極層にニッケルメッキ層9を被着させ、さらに第16工程として、このニッケルメッキ層9に半田メッキ層10を被着させる。これにより、下地電極層を被覆する2層構造のメッキ層が得られ、チップ抵抗器1が完成する。なお、ニッケルメッキ層9は銀喰われを防止するためのものであり、半田メッキ層10は半田濡れ性を高めるためのものである。これらのメッキ層9,10は電解メッキを施すことによって形成されるが、半田メッキ層10を錫メッキ層で代替しても良い。あるいは、ニッケルメッキ層9の代わりに銅(Cu)メッキ層としても良く、ニッケルメッキ層と銅メッキ層の両方を形成して3層構造のメッキ層としても良い。
【0032】
以上説明したように、本実施形態例に係るチップ抵抗器1の裏面電極3は、セラミック基板2の裏面に固着された第1電極層3aと、この第1電極層3aの中央部を横断する領域に積層された第2電極層3bとからなり、第2電極層3bの側面から第1電極層3aの表面へ至る段差12が形成されている。したがって、このチップ抵抗器1のメッキ層(ニッケルメッキ層9および半田メッキ層10)には、裏面電極3を覆う部分に段差12と対応する段差13が形成されている。そのため、このチップ抵抗器1が回路基板30上に実装されると、図1に示すように、裏面電極3とランド31との間に介設される半田接合部(半田32)の厚みが段差13部分で増大し、熱応力が作用してもクラックを生じにくくなっている。
【0033】
また、裏面電極3を構成する第1電極層3aと第2電極層3bはいずれも焼成銀からなるため、両電極層3a,3bの境界部分に熱応力が集中する虞はなく、裏面電極3の製造工程が特に煩雑化することもない。したがって、このチップ抵抗器1は、裏面電極3と回路基板30のランド31との間に介設された半田接合部(半田32)がヒートショックで損傷する可能性は低く、コストアップも回避しやすい。それゆえ、耐用寿命が長くて安価なチップ抵抗器1が量産できる。
【0034】
なお、上記の実施形態例では、第2電極層3bを第1電極層3aの中央部を横断する領域に積層しているが、第2電極層3bの形成位置は第1電極層3aの縁部から外れた一部領域であれば必ずしも中央部でなくても良く、また、複数の第2電極層を第1電極層に分散配置するようにしても良い。
【符号の説明】
【0035】
1 チップ抵抗器
2 セラミック基板
3 裏面電極
3a 第1電極層
3b 第2電極層
4 表面電極
5 抵抗体
6 端面電極
7 アンダーコート層(保護層)
8 オーバーコート層(保護層)
9 ニッケルメッキ層
10 半田メッキ層
11 トリミング溝
12,13 段差
30 回路基板
31 ランド
32 半田(半田接合部)
40 大判基板
41,42 分割溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
セラミック基板の表面の長手方向両端部に設けられた一対の表面電極と、これら一対の表面電極に接続するように前記セラミック基板の表面に設けられた抵抗体と、前記セラミック基板の裏面の長手方向両端部に設けられた一対の裏面電極と、前記抵抗体を被覆する絶縁性の保護層と、前記セラミック基板の両端面に設けられて前記表面電極と前記裏面電極とを橋絡している一対の端面電極とを備え、回路基板に設けられたランド上に前記裏面電極を搭載して半田接合することによって面実装されるチップ抵抗器において、
前記裏面電極が、前記セラミック基板の裏面に固着された第1電極層と、この第1電極層の少なくとも縁部から外れた一部領域に積層された第2電極層とからなり、これら第1および第2電極層がいずれも焼成銀で形成されたものであることを特徴とするチップ抵抗器。
【請求項2】
請求項1の記載において、前記第1電極層と前記第2電極層とが組成を同じくする同一材料で形成されていることを特徴とするチップ抵抗器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−74044(P2013−74044A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−211095(P2011−211095)
【出願日】平成23年9月27日(2011.9.27)
【出願人】(000105350)コーア株式会社 (201)
【Fターム(参考)】