説明

チューブポンプおよびチューブポンプ用チューブ

【課題】2本のチューブを用いて液体を連続的に吐出できるとともに、フィンガー式でありながらコンパクトに製造できるチューブポンプを提供すること。
【解決手段】チューブポンプ1は、チューブ40と、フック部材35と、チューブ受け部材31、32と、3個以上のフィンガー部材60と、駆動機構とを備える。チューブ40は、中間チューブ42A,42Bと、コネクタ41と、端部チューブ43A,43Bとを備えている。チューブ40は、上下の各フック部材35にコネクタ41を係止して取り付けられる。中間チューブ42A,42Bは、チューブ受け部材31、32に沿って配置され、フィンガー部材60のチューブ押圧部632は、各中間チューブ42A,42B間に配置される。フィンガー部材60は駆動機構で駆動され、チューブ押圧部632は、中間チューブ42Aを押し潰す位置と、中間チューブ42Bを押し潰す位置との間で往復移動する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チューブ内の空間を開閉して液を吐出する蠕動型のチューブポンプおよびそのチューブポンプに用いられるチューブに係り、特に、一定量の液を連続して吐出するチューブポンプおよびチューブポンプ用チューブに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のチューブポンプは、可撓性チューブをローラーやフィンガー等で変形させ、チューブ内を開閉する位置を順次変えていくことでチューブ内に液体を吸入しかつ順次送りだして吐出している。このようなチューブポンプは、シールが不要であり、滞流がない点で優れている。
このため、チューブポンプは、プリンター、輸液ポンプ、洗剤供給ポンプなどに広く利用されている。すなわち、チューブポンプは、薬液、電解液、添加剤、接着剤、その他の各種液体を吐出、移送する作業を行うポンプとして、量産工場、研究所などで広く利用されている。
【0003】
このようなチューブポンプでは、一般に、ローラーでチューブをしごいて液体を送り出すローラー式のチューブポンプが大半であった。
しかしながら、ローラー式のチューブポンプでは、チューブをしごいているために、チューブのへたりや移動が大きくなり、吐出精度を向上させることが難しいという問題があった。
【0004】
このため、ローラー式に比べて、精度が良く、チューブのへたりや移動が少ないという利点を備えるフィンガー式のチューブポンプも開発されている(例えば特許文献1参照)。
このフィンガー式のチューブポンプは、フィンガーを順次往復運動させてチューブを潰して液を送り出すものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9−256957号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、チューブポンプでは、ローラー式やフィンガー式を問わず、チューブをローラーやフィンガーで順次押し潰して液を送り出しているため、このチューブを押し潰す部分がチューブの出口位置に達した際には、液の吐出が一旦中断するという問題点があった。このため、チューブポンプでは、通常、構造的に液体を連続的に吐出することができなかった。
【0007】
このため、一部のローラー式のチューブポンプでは、2本のチューブおよび各チューブを押し潰すための2組のローラーを用意し、各ローラーの位置をずらして一方のチューブから液体が吐出されない時に、他方のチューブから液体を吐出できるようにして、液体が途切れることなく連続的に吐出されるように構成したものもあった。
【0008】
一方、フィンガー式では、チューブを押圧するためのフィンガーを複数設けなければならないため、2組のチューブを配置すると、フィンガーも2組必要となり、部品点数も増大し、ポンプのサイズも大きくなるという問題があった。
さらに、ローラー式のチューブポンプに比べてチューブの劣化が少ないというフィンガー式のチューブポンプにおいて、吐出量を増やすために2本のチューブを用いて吐出することも考えられる。この場合も、チューブ毎にフィンガーを複数本ずつ設置しなければならず、部品点数が増大し、ポンプのサイズも大きくなるという問題が生じる。
従って、吐出精度や、チューブの劣化を抑えることができるというフィンガー方式の利点を生かしつつ、2本のチューブを用いて液体を吐出でき、かつ、コンパクトなチューブポンプが求められていた。
【0009】
本発明の目的は、2本のチューブを用いて液体を吐出できるとともに、フィンガー式でありながらコンパクトに製造できるチューブポンプおよびこのチューブポンプ用チューブを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のチューブポンプは、チューブと、第1および第2のチューブ係止部材と、第1および第2のチューブ受け部材と、少なくとも3個以上設けられたフィンガー部材と、前記各フィンガー部材を駆動する駆動機構とを備えたチューブポンプであって、前記第1および第2のチューブ係止部材は、所定間隔離されて設けられ、前記各チューブ係止部材間には、2本のチューブが着脱自在に係止されて互いに平行に張設され、前記第1および第2のチューブ受け部材は、前記2本のチューブを挟んで配置され、かつ、前記2本のチューブに沿って配置され、前記各フィンガー部材は、前記2本のチューブ間に配置されたチューブ押圧部を備え、かつ、前記2本のチューブに沿って配置され、前記駆動機構は、前記チューブ押圧部が前記2本のチューブのうちの一方を押圧して、前記第1のチューブ受け部材との間で前記一方のチューブを押し潰す位置と、前記チューブ押圧部が前記2本のチューブのうちの他方を押圧して、前記第2のチューブ受け部材との間で前記他方のチューブを押し潰す位置との間で、往復移動するように前記各フィンガー部材を駆動し、かつ、各フィンガー部材を、一方のチューブ係止部材に係止された部分から他方のチューブ係止部材に係止された部分に向かって各チューブ押圧部が前記チューブを押し潰す位置に順次移動するように駆動することを特徴とするチューブポンプ。
【0011】
ここで、前記チューブとしては、チューブ押圧部で押圧される部分が2本のチューブとされていればよいため、2本のチューブが液供給側から液吐出側まで独立して設けられているものでもよいし、中間部が2本のチューブに分岐され、この2本のチューブの各端部同士がコネクタなどで連結されて1本のチューブに接続されているものでもよい。
本発明においては、フィンガー部材が配置された部分に2本のチューブを配置し、この2本のチューブ間にチューブ押圧部が配置されたフィンガー部材を複数個設けている。そして、駆動機構により、フィンガー部材のチューブ押圧部が各チューブを押圧する位置間で往復移動しているため、2本のチューブを交互に押圧して、一方のチューブ内の流路を塞ぎ、かつ、他方のチューブ内の流路を開放する状態と、一方のチューブ内の流路を開放し、かつ、他方のチューブ内の流路を塞ぐ状態とを、1つのフィンガー部材の移動で実現できる。
【0012】
このため、2本のチューブの開閉動作は、180度異なる位相となるが、各チューブ毎に液体を順次送って吐出することができる。
また、2本のチューブの吐出側を1本のチューブに連結しておけば、2本のチューブから1本のチューブに合流された液体の流量をほぼ一定に維持できる。従って、吐出液の脈動を抑制でき、かつ、液を連続して吐出することができる。
そして、1個のフィンガー部材によって、2本のチューブを押圧させることができるので、フィンガー式のチューブポンプでありながら、部品点数の増加を防止でき、コンパクトでかつ安価なチューブポンプとすることができる。
【0013】
本発明のチューブポンプにおいて、前記駆動機構は、モーターと、このモーターによって回転される駆動軸とを備え、前記フィンガー部材は、薄板状に形成されたフィンガー板と、前記駆動軸と一体で回転するカムとを備え、前記フィンガー板は、チューブポンプの筐体側に固定された固定部と、この固定部に対して第1ヒンジ部を介して連結された移動部と、この移動部に対して第2ヒンジ部を介して連結された駆動軸部とを備えて一体に形成され、前記カムは、前記駆動軸がカムの中心から偏心した位置に固定された偏心カムであり、前記駆動軸部に設けられた孔に対して回転自在に支持され、前記移動部には、前記チューブ押圧部が形成され、前記第1ヒンジ部は、前記固定部に対して前記移動部のチューブ押圧部が、前記2本のチューブ間を往復移動可能に形成され、前記第2ヒンジ部は、前記移動部に対して駆動軸部が、駆動軸の軸直交面内において、前記第1ヒンジ部による移動部の移動方向に対して直交する方向に移動可能に形成されていることが好ましい。
【0014】
本発明においては、フィンガー板は、一部品で構成されていて安価に製造できるので、例えば10〜20枚程度のフィンガー板を設置する場合でも、部品コストの増加を抑制できる。
さらに、フィンガー部材は、第1ヒンジ部および第2ヒンジ部を含めて一体に成形されたフィンガー板を用いているので、チューブ押圧部の移動動作の際にがたつきが無く、吐出精度を向上できる。
【0015】
本発明は、前記チューブポンプに用いられるチューブポンプ用チューブであって、両端部はそれぞれ1本のチューブで構成され、中間部は前記1本のチューブから分岐された2本のチューブで構成され、中間部の2本のチューブは、前記チューブの各分岐部を前記チューブポンプの各チューブ係止部材に係止された際に、前記チューブ係止部材間に互いに平行に張設可能な長さに設定されていることを特徴とする。
【0016】
本発明によれば、中間部の2本のチューブは、分岐部をチューブ係止部材に係止させた際にある程度のテンションが加わって張設される長さに設定されているので、2本のチューブをチューブ押圧部で押圧した場合などに、チューブが移動してしまうことがなく、確実にチューブ押圧部で押圧して流路を開閉できる。このため、チューブポンプの吐出量の精度を向上することができる。
【0017】
また、チューブは、1本から2本に分岐される分岐部をチューブ係止部材に係止するだけでセットできるため、チューブを容易に着脱することができる。このため、吐出液の種類を変更するためにチューブを交換したり、洗浄などのメンテナンスのためにチューブを交換する作業も容易に行うことができる。
【0018】
本発明のチューブポンプ用チューブにおいて、前記両端部の各チューブおよび中間部の2本のチューブはそれぞれ別体で構成され、前記両端部の各チューブおよび中間部の2本のチューブはY字状のコネクタで連結されていることが好ましい。
【0019】
本発明によれば、Y字状のコネクタにチューブを連結するだけで、中間部が2本に分岐されたチューブを簡単に製造できる。このため、チューブのコストも低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一実施形態のチューブポンプを示す正面図である。
【図2】前記チューブポンプを示す側面図である。
【図3】前記チューブポンプを示す斜視図である。
【図4】前記チューブポンプのポンプ部を示す正面図である。
【図5】前記チューブポンプのポンプ部を示す側面図である。
【図6】前記チューブポンプを示す上面図である。
【図7】前記チューブポンプの要部を示す平断面図である。
【図8】前記チューブポンプ用チューブを示す正面図である。
【図9】前記チューブポンプのフィンガー板を示す平面図である。
【図10】前記チューブポンプの要部を示す平断面図である。
【図11】前記チューブポンプの要部を示す平断面図である。
【図12】前記チューブポンプの要部を示す平断面図である。
【図13】本発明の変形例のフィンガー板を用いたチューブポンプの要部を示す平断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に、本発明の一実施形態に係るチューブポンプの構成を説明する。
図1には、本実施形態のフィンガー式のチューブポンプ1を示す正面図が示され、図2には、チューブポンプ1の側面図が示され、図3には斜視図が示されている。
チューブポンプ1は、台2と、平断面がコ字形の一対のカバー3とを備えている。これらの台2およびカバー3により、チューブポンプ1の筐体が構成されている。
筐体内には、図4,5に示すように、モーター4とポンプ部10とが設けられている。
【0022】
ポンプ部10は、上下方向に離れて配置された平面略矩形状の一対の端板11A,11Bを備えている。端板11A,11B間には、各端板11A,11Bの四隅部に配置された4本の支持軸12が配置され、各端板11A,11Bは支持軸12の端部に当接されてネジで固定されている。
【0023】
下側の端板11Bには、モーターフランジ13が取り付けられている。モーターフランジ13には、前記モーター4が取り付けられている。モーター4は、ステッピングモーターやサーボモーターなどの制御モーターが用いられている。
モーター4の出力軸には、モーターフランジ13内に配置されたカップリングを介して駆動軸5が連結されている。
駆動軸5は、後述するようにスプライン軸であり、端板11A,11Bに対してボールベアリングを介して回転自在に支持されている。
従って、モーター4および駆動軸5により、本発明の駆動機構が構成されている。
【0024】
モーターフランジ13および上側の端板11Aには、取付ブロック15が固定されている。
各取付ブロック15にはネジ穴が形成されており、このネジ穴にカバー3を介して外側からネジをねじこむことでカバー3に各取付ブロック15つまりポンプ部10が取り付けられている。
カバー3には、モーター4を制御する信号線をコントローラーに接続するためのコネクタ16も取り付けられている。
【0025】
端板11Aの下面および端板11Bの上面には、それぞれ軸アーム21、受アーム22が各1つずつ取り付けられている。
軸アーム21および受アーム22は、図6に示すように、基端側がアーム軸23を介して端板11A,11Bにそれぞれ回動自在に取り付けられている。
従って、チューブポンプ1を正面から見た際に、図3にも示すように、軸アーム21はチューブポンプ1の右側に上下に所定間隔離れて一対設けられ、受アーム22は左側に上下に所定間隔離れて一対設けられている。
【0026】
各軸アーム21、受アーム22間には、図6に示すように、付勢手段としてのコイルばね24が介在されている。このため、軸アーム21、受アーム22は、フリー状態では、前記コイルばね24によって、支持軸12に当接する位置まで移動し、先端側が互いに離れた状態とされている。
各軸アーム21の先端には、図3にも示すように、トグル板軸25を介してトグル板26の上下のフランジ部261が取り付けられている。このため、トグル板26は、軸アーム21に対して回動自在に取り付けられている。
【0027】
トグル板26の各フランジ部261間には、図3,6に示すように、トグル外軸27が回動自在に取り付けられている。トグル外軸27には、3本の連結ロッド28を介してトグル受軸29が取り付けられている。トグル受軸29の上下両端には、細軸の係止部291が突出されている。
一方、受アーム22の先端には、前記係止部291が係止可能な係止溝221が形成されている。
従って、一般的なトグル機構と同様に、トグル受軸29の係止部291を受アーム22の係止溝221に係止した状態で、トグル板26を受アーム22側に移動すると、図7に示すように、トグル外軸27がトグル板軸25よりも外側に移動し、トグル板軸25が取り付けられた軸アーム21と、トグル外軸27に連結ロッド28を介して連結されたトグル受軸29が係止された受アーム22との距離が短くなる。このため、各軸アーム21、受アーム22は、図6の先端側が開いた状態から、図7のコイルばね24を圧縮して各軸アーム21、受アーム22がほぼ平行に配置された状態となり、この状態で維持される。
【0028】
軸アーム21間には、第1のチューブ受け部材31が取り付けられている。受アーム22間には、第2のチューブ受け部材32が取り付けられている。
各チューブ受け部材31,32は、上下方向に延長された直方体状のブロックで構成され、互いに対向する面がチューブ受け面とされている。
【0029】
図1〜5に示すように、端板11A,11Bには、チューブ係止部材であるフック部材35がそれぞれ取り付けられている。各フック部材35は、同一部材であり、端板11Aの下面に取り付けられたフック部材35と、端板11Bの上面に取り付けられたフック部材35とは、上下逆向きに取り付けられている。
フック部材35には、2本の溝351が形成されている。この溝351は、図4に示すように、頂点から2方向に分かれて斜めに形成されている。この溝351には、図3,4に示すように、チューブ40が装着されている。
【0030】
チューブ40は、図8にも示すように、Y字状に形成された2つのコネクタ41と、各コネクタ41の2つの分岐連結部411間に取り付けられた2本の中間チューブ42A,42Bと、コネクタ41の連結部412に端部が取り付けられた端部チューブ43A,43Bとを備えて構成されている。
従って、中間チューブ42A,42Bにより、チューブ40において分岐された中間部の2本のチューブが構成されている。また、一方の端部チューブ43Aにより、チューブ40における液供給側端部のチューブが構成され、他方の端部チューブ43Bにより、チューブ40における液吐出側端部のチューブが構成されている。
【0031】
端板11A,11B間には、複数のフィンガー部材60が配置されている。本実施形態では、15枚のフィンガー部材60が配置されている。
各フィンガー部材60は、図5,7に示すように、プラスチック製で薄板状に形成されたフィンガー板61と、リング状のボールベアリング67と、円板状のカム68とを備えている。
【0032】
フィンガー板61は、図9に示すように、固定部62と、移動部63と、駆動軸部64と、第1ヒンジ部65と、第2ヒンジ部66とを備えて、一体に成型されている。
固定部62は、支持軸12が挿通される孔621が形成された一対の固定軸部622と、各固定軸部622間を連結する連結板部623とを備えている。連結板部623は、固定軸部622に比べて厚さ寸法が小さくされ、軽量化が図られている。
【0033】
移動部63は、図9において、平面略J字状に形成された本体部631と、この本体部631から突出されたチューブ押圧部632とを備えている。この移動部63の輪郭部分はリブ状に肉厚に形成され、中間部分は薄板状に形成されている。
そして、固定部62の各固定軸部622部分と、移動部63とは、一対の第1ヒンジ部65で連結されている。各第1ヒンジ部65は、固定軸部622に連続する第1変形部651と、第1変形部651に連続する補強部652と、補強部652および移動部63間に設けられた第2変形部653とを備えている。補強部652も周囲がリブ状に形成され、中間部分は薄板状に形成されている。
各変形部651,653は、補強部652に比べて幅寸法が薄く形成され、変形部651,653が撓む(変形する)ことで、固定部62に対して移動部63は、図9において左右方向に移動可能とされている。このため、チューブ押圧部632も左右方向に移動可能とされている。
【0034】
駆動軸部64は、前記ボールベアリング67が配置される貫通孔641Aが形成されたリング部641と、リング部641に連続して形成された連結部642とを備えている。連結部642も周囲がリブ状に形成され、中間部分は薄板状に形成されている。
そして、駆動軸部64と、移動部63の本体部631とは、一対の第2ヒンジ部66で連結されている。
各第2ヒンジ部66は、本体部631に連続する第1変形部661と、第1変形部661に連続する平面三日月形の補強部662と、補強部662および連結部642間に設けられた第2変形部663とを備えている。補強部662も周囲がリブ状に形成され、中間部分は薄板状に形成されている。
【0035】
各変形部661,663は、補強部662に比べて幅寸法が薄く形成され、変形部661,663が撓む(変形する)ことで、移動部63に対して駆動軸部64は、図9において上下方向に移動可能とされている。
【0036】
駆動軸部64の貫通孔641Aには、図7に示すように、ボールベアリング67を介してカム68が配置されている。
カム68は、平面円形に形成され、外周部はリブ状に肉厚に形成され、中間部分は薄板状に形成されている。そして、この薄板部分に駆動軸5が嵌合する嵌合孔681が形成されている。嵌合孔681は、カム68の平面中心から偏心した位置に形成されている。そして、カム68には、この嵌合孔681の中心からカム68の外周までが最も長い部分を容易に識別できるように、段部682が形成されている。
【0037】
ここで、前記駆動軸5はスプライン軸とされ、軸方向に沿って14個のキー(突条部)が形成されている。一方、カム68には、前記スプライン軸のキーが嵌合する14個の溝が形成されている。
フィンガー部材60は、孔621に支持軸12が挿通された状態で、上下方向に15個積み重ねられている。そして、各フィンガー部材60のカム68は、駆動軸5に対する嵌合位置が、最上段の1段目のフィンガー部材60から最下段の15段目のフィンガー部材60に向かうにしたがって、駆動軸5のキー1つずつ分だけ順次ずれるようにされている。従って、各カム68の位相は、1段目から15段目に向かうにしたがって、順次360/14度毎ずれており、1段目および15段目のフィンガー部材60のカム68の位相は同位相とされている。
【0038】
次に、本実施形態の作用について、図7、図10〜12の動作説明図をも参照して説明する。
モーター4により駆動軸5を回転させると、カム68が回転する。カム68は駆動軸5の回転中心に対して偏心されており、かつ、フィンガー部材60の固定部62は、孔621に支持軸12が挿通されて固定されている。このため、カム68が回転すると、後述するように、フィンガー板61のチューブ押圧部632が左右に往復移動する。
また、カム68は、駆動軸5の14条のキーに順次ずれて嵌合されているため、各フィンガー板61のチューブ押圧部632は、位相がずれながら左右に往復駆動される。
【0039】
ここで、図7に示すように、カム68の段部682が図面において右側に配置されている場合、つまり駆動軸5の回転中心からカム68の外周までが最も長い位置が右側に配置されている場合は、駆動軸部64も駆動軸5に対して右側に移動する。
第2ヒンジ部66は、変形部661,663が図7において左右方向に延長されているため、駆動軸部64の左右方向の変位はそのまま移動部63に伝達し、移動部63も駆動軸5に対して右側に移動する。この際、第1ヒンジ部65の各変形部651,653が変形して固定部62に対する移動部63の移動を許容している。
【0040】
移動部63が右側に移動すると、チューブ押圧部632がチューブ受け部材31側に移動し、中間チューブ42Aがチューブ受け部材31およびチューブ押圧部632で押圧されて潰される。このため、中間チューブ42A内の空間(流路)が閉じられる。
一方、チューブ押圧部632および第2のチューブ受け部材32間の隙間寸法は広がるため、中間チューブ42Bは潰されず、内部の空間(流路)も開かれている。
【0041】
この図7の状態から、駆動軸5が図中時計回り方向に90度回転し、図10の状態になると、カム68の段部682は図10の下側つまりチューブポンプ1の正面側に移動する。
この状態では、駆動軸部64は、駆動軸5に対して図中下側に移動する。この駆動軸部64の移動は、第2ヒンジ部66の変形部661,663が変形することで吸収される。そして、カム68は、駆動軸5に対して左右方向には移動していないので、チューブ押圧部632は、カム68が図7から図10の状態に回転する際に、各チューブ受け部材31、32間の隙間の中心位置に徐々に移動する。
【0042】
このため、チューブ押圧部632が押圧されて潰されていた中間チューブ42Aの流路は徐々に開かれる。一方、チューブ押圧部632は、中間チューブ42Bを徐々に押圧する。ただし、チューブ押圧部632の流路は断面積が徐々に小さくなるが、完全に閉じられていない。
【0043】
この図10の状態から、駆動軸5が図中時計回り方向に90度回転し、図11の状態になると、カム68の段部682は図11の左側に移動する。
この状態では、駆動軸部64は、駆動軸5に対して図中左側に移動し、第1ヒンジ部65の変形部651,653が変形して移動部63も左側に移動する。
チューブ押圧部632は、カム68が図10から図11の状態に回転する際に、各チューブ受け部材31、32間の隙間の中心位置から第2のチューブ受け部材32側に徐々に移動する。
【0044】
移動部63が左側に移動すると、チューブ押圧部632がチューブ受け部材32側に移動し、中間チューブ42Bがチューブ受け部材32およびチューブ押圧部632で押圧されて潰される。このため、中間チューブ42B内の空間(流路)が閉じられる。
一方、チューブ押圧部632およびチューブ受け部材31間の隙間寸法は広がるため、中間チューブ42Aの流路はさらに開かれる。
【0045】
この図11の状態から、駆動軸5が図中時計回り方向に90度回転し、図12の状態になると、カム68の段部682は図10の上側つまりチューブポンプ1の背面側に移動する。
この状態では、駆動軸部64は、駆動軸5に対して図中上側に移動する。この駆動軸部64の移動は、第2ヒンジ部66の変形部661,663が変形することで吸収される。そして、カム68は、駆動軸5に対して左右方向には移動していないので、チューブ押圧部632は、カム68が図11から図12の状態に回転する際に、各チューブ受け部材31、32間の隙間の中心位置に徐々に移動する。
【0046】
このため、チューブ押圧部632が押圧されて潰されていた中間チューブ42Bの流路は徐々に開かれる。一方、チューブ押圧部632は、中間チューブ42Aを徐々に押圧し、チューブ押圧部632の流路は断面積が徐々に小さくなるが、完全に閉じられていない。
【0047】
この図12の状態から、駆動軸5が図中時計回り方向に90度回転すると、図7の状態に戻る。従って、駆動軸5およびカム68が一回転すると、フィンガー部材60のチューブ押圧部632は、チューブ受け部材31,32間を一往復する。この動作を繰り返すことで、各中間チューブ42A,42Bが交互に押圧される。
また、図4に示すように、上下に積層された15個のフィンガー部材60は、前述したように、カム68の位相が順次ずらされているため、チューブ押圧部632の左右方向の位置も順次ずれている。このため、各チューブ押圧部632は、上下方向に沿って略サインカーブとなるように配置されている。
【0048】
以上の構成のチューブポンプ1を用いて所定の液体を吐出するには、まず、図3に示すように、トグル板26を開いて、軸アーム21および受アーム22の先端部間を開いた状態とし、チューブ40をフック部材35に引っ掛けて取り付ける。この際、チューブ40の中間チューブ42A,42Bは、若干テンションが加わってチューブ押圧部632の左右位置で上下方向に直線状に配置されるようにしている。各中間チューブ42A,42Bはテンションが加わるため、中間チューブ42A,42Bは前後左右に動かないようにセットされる。
【0049】
次に、トグル板26を受アーム22側に移動して閉じる。すると、先端側が開いていた軸アーム21、受アーム22も互いに平行に配置され、チューブ受け部材31、32も中間チューブ42A,42Bに接触した状態になる。
そして、チューブ40の端部チューブ43Aを液供給側、例えば、液体が貯蔵されている容器に接続し、端部チューブ43Bを液吐出側、例えば吐出ノズルなどに接続する。
以上により、チューブポンプ1の準備作業が終了する。
【0050】
次に、外部のコントローラーによりモーター4を駆動する。モーター4の駆動により、駆動軸5が回転すると、各フィンガー部材60のチューブ押圧部632が左右に移動し、各中間チューブ42A,42Bの流路を閉じたり、開いたりすることで、端部チューブ43A側から液が吸引され、端部チューブ43Bに移送される。
すなわち、最下段のフィンガー部材60のチューブ押圧部632で一方の中間チューブ42A,42Bが閉じられていた状態から、順次一段上のフィンガー部材60で中間チューブ42A,42Bが閉じられていくため、各中間チューブ42A,42Bにおいて流路閉鎖位置は、順次上方に移動する。
【0051】
そして、閉じられていた流路が開くと、負圧が発生して端部チューブ43A側から液体を吸引する。吸引された液体は、端部チューブ43Aからコネクタ41で分離され、各中間チューブ42A,42Bに移動する。
各中間チューブ42A,42B内では、チューブ押圧部632により各流路が順次開閉されることにより、液体は徐々に中間チューブ42A,42B内を上方に移動し、コネクタ41から端部チューブ43B内を移動して吐出される。
この際、各中間チューブ42A,42Bの開閉タイミングは、位相が180度異なるため、端部チューブ43Aから各中間チューブ42A,42Bに分離され、再度、端部チューブ43Bに合流した液体の吐出量は常に一定に維持される。
【0052】
液体の吐出作業が終了した場合など、チューブ40を交換する場合には、モーター4を停止し、トグル板26を開き、フック部材35に係止されていたチューブ40を取り外す。そして、洗浄・乾燥されたチューブ40や、別途用意されている他のチューブ40を、フック部材35に係止し、トグル板26を閉じることで、再度、液体の吐出動作を行うことができる。
【0053】
このような本実施形態によれば、次のような効果がある。
複数のフィンガー部材60を用いたフィンガー式のチューブポンプ1において、2本の中間チューブ42A,42Bの押圧を、1つのフィンガー部材60を移動させることで実現することができる。このため、1本のチューブ毎に、それぞれ異なるフィンガーを設ける場合に比べて、フィンガー部材60の数を半減できる。
このため、2本のチューブ42A,42Bを用いたフィンガー式のチューブポンプ1であっても、部品点数の増加を抑えることができるので、チューブポンプ1をコンパクトに構成でき、かつ、安価に製造できる。
【0054】
また、チューブ40は、液供給側の端部チューブ43Aから、コネクタ41を介して中間チューブ42A,42Bに分岐され、再度、コネクタ41を介して端部チューブ43Bに液体が流れるように二股のチューブとし、さらに、前記フィンガー部材60のチューブ押圧部632は、各中間チューブ42A,42Bを180度の位相で開閉するため、2系統の180度位相がずれた液の送りを実現することができ、吐出液の脈動を押さえることができる。
【0055】
さらに、吐出液の種類を変更するためにチューブ40を交換する場合や、メンテナンスのためにチューブ40を洗浄する場合など、チューブポンプ1に対してチューブ40を着脱する際に、トグル板26を開閉して軸アーム21、受アーム22の先端間を開くことができ、かつ、チューブ40は、フック部材35の溝351に、コネクタ41部分を引っ掛けるだけでよいので、チューブ40の交換作業を簡単に行うことができる。このため、1日にチューブ40を複数回交換する必要がある場合でも、交換作業を簡単にかつ短時間に行うことができる。
その上、トグル板26等を用いたトグル機構により、軸アーム21、受アーム22を移動させているので、この点でも交換作業を簡単にかつ短時間で行うことができる。
【0056】
チューブ40の中間チューブ42A,42Bは、フック部材35に係止させた際にテンションが加わる長さに設定したので、各中間チューブ42A,42Bをチューブ押圧部632で押圧した場合などに、中間チューブ42A,42Bが移動してしまうことがなく、確実にチューブ押圧部632で押圧して流路を開閉できる。このため、チューブポンプ1の吐出量の精度を向上することができる。
【0057】
その上、チューブ40の特に中間チューブ42A,42Bを、上下方向に直線状にセットしているので、吐出量の誤差の原因となるチューブ内の空気を抜けやすくでき、この点でも吐出精度を向上できる。このため、チューブ40を交換した場合でも、吐出量の変動を抑制でき、チューブ40を交換しても吐出量の変動が少ない、安定した吐出動作を行うことができる。
【0058】
さらに、フィンガー部材60は、固定部62、移動部63、駆動軸部64、第1ヒンジ部65、第2ヒンジ部66が一体に形成されたフィンガー板61を用いているので、駆動軸5およびカム68の回転動作により、フィンガー板61のチューブ押圧部632を往復駆動させることができる。一方、通常のチューブポンプのフィンガー部材は、カムによって軸方向に進退し、突出時にチューブを押し、戻った際にチューブを開放している。この際、フィンガー部材をカムに連動させるため、フィンガー部材は常時カムに当接するようにバネなどでカム側に付勢されている。このため、フィンガー部材が戻った際にもチューブを押圧させることは、前記バネ力の調整なども必要となり、実現が困難である。このため、従来のフィンガー部材をカムに付勢して駆動する場合には、2本のチューブを1つのフィンガー部材で押圧することは困難である。これに対し、本実施形態のフィンガー部材60の構成を採用すれば、ヒンジ機構を用いてチューブ押圧部632を左右に往復駆動できるので、チューブ押圧部632の両側にチューブを配置することで、各チューブを交互に押圧することができる。
【0059】
また、フィンガー部材60は、第1ヒンジ部65および第2ヒンジ部66を含めて一体に成形されたフィンガー板61を用いているので、チューブ押圧部632の移動動作の際にがたつきが無く、この点でも吐出精度を向上できる。
さらに、チューブ押圧部632は、固定部62側を基準に左右に移動するが、ストローク(移動量)が小さいので、ほぼ平行な運動(移動)にできる。このため、チューブ押圧部632は、中間チューブ42A,42Bを、チューブ受け部材31、32に対して平行に押圧するため、中間チューブ42A,42Bを均等に押圧して流路を確実に閉塞することができる。
その上、フィンガー板61は、他の部品と擦れる部分がなく、1つの部品で構成できるので、安価に製造できる。特にフィンガー板61は数多く用いるため、部品コストの低減効果も増大できる。
【0060】
また、駆動軸5を一回転した際の吐出量は一定であるため、時間あたりの吐出量は、駆動軸5の回転スピードを調整することで容易に設定できる。この点でも、使いやすいチューブポンプ1とすることができる。
【0061】
なお、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の改良ならびに設計の変更が可能である。
例えば、チューブ40の構成は、コネクタ41を用いたものに限らず、例えば、端部チューブ43A,43Bと、中間チューブ42A,42Bとを接着等で接続して構成してもよく、チューブポンプ1に設置される部分が二股に分岐されたチューブであればよい。
【0062】
フィンガー板61の構成も前記実施形態に限定されない。例えば、図13に示すように、移動部63に左右方向の突出するガイドピン91を取り付け、このガイドピン91を案内するガイド92を筐体側に設けて、移動部63つまりチューブ押圧部632が左右方向のみに移動するように案内されたフィンガー板61Aを用いてもよい。
このフィンガー板61Aは、前記ガイドピン91、ガイド92で筐体側に支持されており、かつ、駆動軸5およびカム68の回転により、駆動軸部64が左右に移動すると、移動部63およびチューブ押圧部632も左右に移動する。このため、前記第1実施形態のフィンガー板61に対して、フィンガー板61Aは、固定部62および第1ヒンジ部65が設けられてない。
なお、フィンガー板61Aも、駆動軸部64が前後に移動した場合は、第2ヒンジ部66の変形でその移動を吸収する点はフィンガー板61と同じである。
【0063】
このようなフィンガー板61Aを用いた場合も、前記実施形態と同じ動作で作動され、同じ作用効果を奏することができる。
一方、フィンガー板61Aは、ガイドピン91、ガイド92等の別部品が必要となるため、部品点数が増える。この点で、部品数が少ない前記実施形態のフィンガー板61のほうがコストを低減できる利点がある。
【0064】
さらに、カム68と駆動軸部64との間にボールベアリング67を介在させていたが、ボールベアリング67を設けずに、直接カム68を駆動軸部64の貫通孔641Aに配置してもよい。
また、貫通孔641Aの内周面に溝を形成してアウターレースとし、カム68の外周面に溝を形成してインナーレースとし、これらの間にボール(必要に応じて保持器)を配置して直接ボールベアリングを構成してもよい。
また、前記実施形態では、フィンガー部材60を15個設けていたが、フィンガー部材60の数は、より少なくてもよいし、多くてもよい。ただし、フィンガー部材60の数が少ないと、吐出液の変動が大きくなるため、吐出量をほぼ一定にすることが難しくなる。
一方、フィンガー部材60の数を多くすると、チューブポンプ1が大型化し、コストも増大する。従って、これらの点を考慮してフィンガー部材60の数を設定すればよい。
【0065】
また、前記実施形態では、中間チューブ42A,42Bを上下方向に配置していたが、水平方向に配置してもよい。
さらに、チューブ受け部材31、32は、軸アーム21、受アーム22に取り付けられ、コイルばね24およびトグル板26等のトグル機構によって、チューブ40を着脱しやすいように移動していたが、この移動機構は前記実施形態のものに限定されない。
【0066】
前記実施形態では、チューブ受け部材31、32間に2本の中間チューブ42A,42Bを配置していたが、本発明のチューブポンプは、1本のチューブのみをセットしても用いることができる。すなわち、チューブ受け部材31、32のいずれか一方と、チューブ押圧部632との間のみにチューブを配置すれば、このチューブを用いて液を送り出して吐出することができる。
この場合、チューブ押圧部632は、固定部62側を基準に左右に移動するが、ストローク(移動量)が小さいので、ほぼ平行な運動(移動)にできる。このため、チューブ押圧部632は、1本のチューブしか配置されていない場合も、チューブ受け部材に対して平行に押圧するため、チューブを均等に押圧して流路を確実に閉塞することができ、チューブの劣化も抑えることができる。すなわち、本発明のフィンガー部材60は、一体成形されたフィンガー板61を備えることで、チューブが1本の場合でも、チューブを均等に押圧できるという利点がある。
【0067】
また、チューブとしては、前記実施形態のものに限らない。例えば、液供給側から前記中間部までは2本の独立したチューブとし、これらのチューブの液吐出側をコネクタ41で連結して液吐出側の端部チューブ43Bに接続してもよい。
さらに、チューブとしては、液供給側から中間部、液吐出側まで完全に独立した2本のチューブを用いてもよい。
また、前記実施形態では、チューブ押圧部632とチューブ受け部材31、32間にそれぞれ1本ずつチューブ42A,42Bを配置していたが、それぞれ2本以上のチューブを配置してもよい。すなわち、チューブ押圧部632とチューブ受け部材31、32との間において、チューブ押圧部632の突出方向に複数本のチューブを並べ、複数本のチューブをチューブ押圧部632およびチューブ受け部材31、32で挟んで押圧することで、各チューブの流路を開閉してもよい。このように構成すれば、チューブの本数に応じて吐出量を増大できる。
【0068】
本発明を実施するための最良の構成、方法などは、以上の記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。すなわち、本発明は、主に特定の実施形態に関して特に図示され、かつ、説明されているが、本発明の技術的思想および目的の範囲から逸脱することなく、以上述べた実施形態に対し、形状、材質、数量、その他の詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができるものである。
したがって、上記に開示した形状、材質などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状、材質などの限定の一部もしくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。
【符号の説明】
【0069】
1…チューブポンプ、4…モーター、10…ポンプ部、11A,11B…端板、12…支持軸、21…軸アーム、22…受アーム、24…コイルばね、26…トグル板、31、32…チューブ受け部材、35…フック部材、40…チューブ、41…コネクタ、42A,42B…中間チューブ、43A,43B…端部チューブ、60…フィンガー部材、61,61A…フィンガー板、62…固定部、63…移動部、64…駆動軸部、65…第1ヒンジ部、66…第2ヒンジ部、67…ボールベアリング、68…直接カム、351…溝、632…チューブ押圧部、651,661…第1変形部、653,663…第2変形部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
チューブと、第1および第2のチューブ係止部材と、第1および第2のチューブ受け部材と、少なくとも3個以上設けられたフィンガー部材と、前記各フィンガー部材を駆動する駆動機構とを備えたチューブポンプであって、
前記第1および第2のチューブ係止部材は、所定間隔離されて設けられ、前記各チューブ係止部材間には、2本のチューブが着脱自在に係止されて互いに平行に張設され、
前記第1および第2のチューブ受け部材は、前記2本のチューブを挟んで配置され、かつ、前記2本のチューブに沿って配置され、
前記各フィンガー部材は、前記2本のチューブ間に配置されたチューブ押圧部を備え、かつ、前記2本のチューブに沿って配置され、
前記駆動機構は、前記チューブ押圧部が前記2本のチューブのうちの一方を押圧して、前記第1のチューブ受け部材との間で前記一方のチューブを押し潰す位置と、前記チューブ押圧部が前記2本のチューブのうちの他方を押圧して、前記第2のチューブ受け部材との間で前記他方のチューブを押し潰す位置との間で、往復移動するように前記各フィンガー部材を駆動し、かつ、各フィンガー部材を、一方のチューブ係止部材に係止された部分から他方のチューブ係止部材に係止された部分に向かって各チューブ押圧部が前記チューブを押し潰す位置に順次移動するように駆動する
ことを特徴とするチューブポンプ。
【請求項2】
請求項1に記載のチューブポンプにおいて、
前記駆動機構は、モーターと、このモーターによって回転される駆動軸とを備え、
前記フィンガー部材は、薄板状に形成されたフィンガー板と、前記駆動軸と一体で回転するカムとを備え、
前記フィンガー板は、チューブポンプの筐体側に固定された固定部と、この固定部に対して第1ヒンジ部を介して連結された移動部と、この移動部に対して第2ヒンジ部を介して連結された駆動軸部とを備えて一体に形成され、
前記カムは、前記駆動軸がカムの中心から偏心した位置に固定された偏心カムであり、前記駆動軸部に設けられた孔に対して回転自在に支持され、
前記移動部には、前記チューブ押圧部が形成され、
前記第1ヒンジ部は、前記固定部に対して前記移動部のチューブ押圧部が、前記2本のチューブ間を往復移動可能に形成され、
前記第2ヒンジ部は、前記移動部に対して駆動軸部が、駆動軸の軸直交面内において、前記第1ヒンジ部による移動部の移動方向に対して直交する方向に移動可能に形成されている
ことを特徴とするチューブポンプ。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のチューブポンプに用いられるチューブポンプ用チューブであって、
両端部はそれぞれ1本のチューブで構成され、中間部は前記1本のチューブから分岐された2本のチューブで構成され、
中間部の2本のチューブは、前記チューブの各分岐部を前記チューブポンプの各チューブ係止部材に係止された際に、前記チューブ係止部材間に互いに平行に張設可能な長さに設定されている
ことを特徴とするチューブポンプ用チューブ。
【請求項4】
請求項3に記載のチューブポンプ用チューブにおいて、
前記両端部の各チューブおよび中間部の2本のチューブはそれぞれ別体で構成され、
前記両端部の各チューブおよび中間部の2本のチューブはY字状のコネクタで連結されている
ことを特徴とするチューブポンプ用チューブ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2010−248975(P2010−248975A)
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−98189(P2009−98189)
【出願日】平成21年4月14日(2009.4.14)
【出願人】(000111373)ノイベルク有限会社 (10)
【Fターム(参考)】