説明

チューブ容器絞り器

【課題】簡易な操作で2つのチューブ容器から同時に、かつ同一の比率で内容物を絞り出すことができるチューブ容器の絞り器の提供。
【解決手段】2本のチューブ容器50を平行に収納する収納容器4と、チューブ容器50の胴部を絞る絞り孔を備え、該絞り孔によりチューブ容器50に組み付けられる絞り部材6と、2つの絞り部材6間に設けられ、絞り部材6を移動させる操作棹8とを備え、収納容器4はチューブ容器50の口部52を突出させる孔を有し、側板内面の両側に、突起を連続させた係合凹凸部5を有し、操作棹8は、送り凹凸部9を有し、収納容器4の内部に縦方向に摺動自在に、かつ操作棹8の上部を収納容器4の頂板より突出させて取り付けられ、絞り部材6は、該絞り孔の両側に係合片を備え、該係合片の一方を係合凹凸部5に絞り部材6が収納容器4の下方方向にのみ移動可能に係合させ、該係合片の他方を操作棹8の送り凹凸部9に係合又は解除させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のチューブ容器から同時に内容物を絞り出すことができるチューブ絞り器に関する。
【背景技術】
【0002】
接着剤や毛染め剤などでは、予め主剤と反応剤とをそれぞれ個別にチューブ容器に収容しておき、使用直前に液剤をそれぞれのチューブ容器から絞り出して混合する二液混合タイプのものが知られている。このような混合タイプの液剤の場合、2つのチューブ容器から同時に液剤を絞り出し、チューブ容器を絞る手間を省き、また常に一定の比率で2つの液剤が絞り出されるようにしたチューブ容器の絞り器が考案されている。
【特許文献1】実開平5−46751号公報
【特許文献2】実用新案登録第3048285号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、実開平5−46751号公報に記載の絞り出し用ガンは、チューブ容器の後端をチューブ固定部8に止め、チューブ絞り出し部6をチューブ固定部8から前方に押し出してチューブ容器の胴部を絞ることとしているので、チューブ絞り出し部6より前方にはチューブ容器の胴部を保持する部材がなく、チューブ容器の先方が重みで垂れ下がりやすくなっていた。
【0004】
また実用新案登録第3048285号公報に記載のチューブ絞り器は、一方の手で保持板を持ち、他方の手で操作板を押してチューブ容器を絞るため、片手ではチューブ絞り器を操作して液剤をチューブ容器から絞り出すことができず、液剤の取り出しに手間がかかっていた。
【0005】
本発明は、簡易な操作で2つのチューブ容器から同時に、かつ同一の比率で内容物を絞り出すことができるチューブ容器の絞り器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は上記課題を解決するため、次のようにチューブ容器絞り器を構成した。
【0007】
1、 2本のチューブ容器を平行に収納し、一方の平行に対向する壁面にラチェット歯を有し、他方の対向する壁体中央のそれぞれに挿通孔を開口し、該壁体の一方に前記チューブ容器の口部を突出させて保持する切欠きを形成した収納容器と、ほぼ全長にわたり送り凹凸部を形成し、残りの両端部分を前記挿通孔に摺動自在で、かつ抜け出し不能に組み付け、前記収納容器との間にバネ部材を介在させた操作棹と、中央に前記チューブ容器の胴部を絞る絞り孔を有し、絞り孔の一方側に前記係合凹凸部に乗り越え係合する第一の係合片と、絞り孔の他方側に前記送り凹凸部に乗り越え係合する第二の係合片とを備えた一対の絞り部材と、からなることを特徴とするチューブ容器絞り器。
【0008】
2、 1に記載のチューブ容器絞り器において、操作棹を、前記バネ部材の弾力に反発して押圧する操作腕を収納容器に回動自在に設けて構成した。
【発明の効果】
【0009】
本発明のチューブ容器絞り器は、操作棹を押し込むと絞り部材を前進させてチューブ容器を絞るので、2つのチューブ容器から内容物を同時に、かつ常に同一の比率で容易に絞り出すことができる。
【0010】
また操作腕を設けた場合には、収納容器を手で支えて操作腕を回動させことができ、片手で容易に操作して2つのチューブ容器から内容物を絞り出すことができる。
【0011】
チューブ容器を収納容器内に収納しているので、チューブ容器がつぶされることなく安定して操作し、また保管することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
図1にチューブ容器絞り器の一例を示す。
【0013】
チューブ容器絞り機2は、ほぼ直方体の収納容器4と(図6参照)、チューブ容器50を絞る絞り部材6と、収納容器4の中央に設けられた操作棹8と、収納容器4の上部に設けられた操作腕10(図6参照)などからなり、2つのチューブ容器50が収納容器4の内部に収納される。
【0014】
チューブ容器50は図8に示すように、口部52にキャップ60を組み付け、口部52に胴部54が接続され、胴部54の端部を直線状にシールしている。胴部54は可撓性を備えた材質からなり、胴部54を押圧すると内容物が口部52から絞り出される。
【0015】
2つのチューブ容器50にはそれぞれ異なる液剤、例えば毛染め剤などの主剤と副剤が収納してあり、2つの液剤は混合して用いられる。尚2つのチューブ容器50の胴部54は、径が同一でも、あるいは異なっていてもよい。
【0016】
収納容器4は図1、図2に示すように、ほぼ同形の蓋体12と本体部14からなり、ヒンジ13を介して蓋体12と本体部14とが開閉自在に連結されている。またヒンジ13に対向した側には、蓋体12を閉じた際蓋体12と本体部14とを係合させる係合部材30が設けてある。
【0017】
蓋体12と本体部14の一面側には半円形の2つの切欠き17、および21が形成してあり、蓋体12を閉じると収納容器4にチューブ容器50の口部52を突出させる2つの円形の孔と、操作棹8の下端を突出させる孔が形成される。
【0018】
また切欠き17などが形成された面の反対面には半円形の切欠き23が形成してあり、蓋体12を閉じると操作棹8の上端を突出させる孔が形成される。また切欠き23が形成された面には操作腕10を支持軸27で回動自在に支持する2つの支持部25が設けてある。
【0019】
本体部14の平行に対向した壁の内面には一方向になだらかに傾斜した鋸歯状の係合凹凸部5が形成してある。
【0020】
操作棹8は収納容器4の切欠き23内に収納してあり、収納容器4の中央に縦方向に摺動自在に組み付けられている。操作棹8の側面には、一方向になだらかに傾斜した連続した突起からなる送り凹凸部9が設けてある。また操作棹8と収納容器4との間にはバネ29が組み付けてあり、バネ29により操作棹8は切欠き23側に付勢されている。
【0021】
絞り部材6は図5に示すように、中央に胴部54を絞る絞り孔7を備え、絞り部材6の両側に係合片11が設けられている。絞り孔7は一方向に向けて徐々に間隔が狭くなるよう形成してあり、チューブ容器50のシール部分を広い側から挿入してチューブ容器50の口部52側に前進させると、胴部54を押圧して内容物を絞り出す。
【0022】
係合片11は、それぞれ外側に開くように傾斜しており、弾性をもって係合凹凸部5と送り凹凸部9のそれぞれに係合する。係合凹凸部5に係合した係合片11は、チューブ容器50の口部52の方向には移動するが、逆の方向には係合が外れず移動することがない。
【0023】
また係合片11と送り凹凸部9とは、操作棹8をチューブ容器50の口部52の方向には移動させたときは係合し絞り部材6をチューブ容器50の口部52側に移動させ、操作棹8がチューブ容器50の口部52と逆の方向に移動するときは係合が解除される。
【0024】
操作腕10は図2、図6に示すように容器本体14に支持部材25を介して回動自在に取り付けられており、取り付け部分からほぼ直角に屈曲し、回動端側が収納容器4の表面に対し傾斜している。操作腕10の内側には操作棹8の上端に対応した突部15が形成してあり、操作腕10を蓋体12の表面と平行になるように回動させると、突部15が操作棹8をチューブ容器50の口部52側に移動させる。
【0025】
次に、チューブ容器絞り器2の作用について説明する。
【0026】
2つのチューブ容器50のシール部をそれぞれ絞り部材6の絞り孔7に幅の広い側から挿入する。次にチューブ容器50の胴部54とキャップ60との間を本体部14の切欠き17に嵌め、そして絞り部材6の係合片11を係合凹凸部5と操作棹8の送り凹凸部9にそれぞれ係合させる。2つのチューブ容器50をそれぞれ本体部14に配置したなら、蓋体12を閉じ、係合部材30で蓋体12を止める。
【0027】
チューブ容器絞り器2からチューブ容器50の内容物を取り出すには、口部51からキャップ60を外し、キャップ60の外方に設けられている突起61を用いて口部51を塞いでいる中栓(図示せず。)を開口させる。
【0028】
双方のチューブ容器50を開口させたら、例えば収納容器4を手の上に載せ、操作腕10を親指で押し下げ、回動させる。すると図3に示すように突部15が操作棹8の上端を収納容器4内に押し込み、絞り部材6がチューブ容器50の口部52の方向に移動される。絞り部材6の絞り孔7にチューブ容器50が挿入されていることから胴部54が絞られ、2つのチューブ容器50の口部52からそれぞれ内容物が絞り出される。
【0029】
操作腕10を離すとバネ29の反発力で操作棹8はチューブ容器50の口部52の逆の方向に移動する。絞り部材6に対して操作棹8はラチェット機構により口部52と逆の方向に移動するが、絞り部材6は係合凹凸部5に係合されて移動しないので位置が保持される。図4に絞り部材6が収納容器4の中ほどの位置にある状態を示す。かかる状態から操作腕10を回動させて操作棹8を押し込むと、その位置から絞り部材6が押し下げられ、チューブ容器50を絞り、更に内容物を絞り出す。
【0030】
操作棹8により2つの絞り部材6が同時に押し下げられるので、2つのチューブ容器50が同時に同距離分絞られることとなり、その結果2つのチューブ容器50から内容物が同時に、常に一定の比率で絞り出される。
【0031】
所定の内容物を絞り出した後はキャップ60を締めて保管でき、また内容物を最後まで絞り出したら、チューブ容器50を絞り部材6とともに収納容器4から取り外し、新たな2つのチューブ容器50に絞り部材6を組付け、収納容器4に装填する。
【0032】
図7にチューブ容器絞り器の他の例を示す。
【0033】
このチューブ容器絞り器42は、上記例の操作腕10に代えて操作棹8の上部に直接押圧部44が取り付けてある。他の構成は上記例と同一である。このように操作棹8に所定の大きさの押圧部44を設け、押圧部44を介して操作棹8を操作してもよい。この場合も押圧部44を押圧することにより、2つのチューブ容器50から内容物を一定の比率で同時に絞り出すことができる。
尚、一対の絞り部材は一体であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明にかかるチューブ容器絞り機を示す一部断面正面図である。
【図2】チューブ容器絞り機を示す側断面図である。
【図3】チューブ容器絞り機を示す側断面図である。
【図4】チューブ容器絞り機を示す側断面図である。
【図5】絞り部材を示す斜視図である。
【図6】チューブ容器絞り機を示す斜視図である。
【図7】チューブ容器絞り機の他の例を示す一部断面正面図である。
【図8】チューブ容器を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0035】
2、42 チューブ容器絞り機
4 収納容器
5 係合凹凸部
6 絞り部材
7 絞り孔
8 操作棹
9 送り凹凸部
10 操作腕
11 係合片
12 蓋体
13 ヒンジ
14 容器本体
15 突部
17 切欠き
23 切欠き
25 支持部
27 支持軸
30 係合部
44 押圧部
50 チューブ容器
52 口部
54 胴部
60 キャップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2本のチューブ容器を平行に収納し、一方の平行に対向する壁面にラチェット歯を有し、他方の対向する壁体中央のそれぞれに挿通孔を開口し、該壁体の一方に前記チューブ容器の口部を突出させて保持する切欠きを形成した収納容器と、
ほぼ全長にわたり送り凹凸部を形成し、残りの両端部分を前記挿通孔に摺動自在で、かつ抜け出し不能に組み付け、前記収納容器との間にバネ部材を介在させた操作棹と、
中央に前記チューブ容器の胴部を絞る絞り孔を有し、絞り孔の一方側に前記係合凹凸部に乗り越え係合する第一の係合片と、絞り孔の他方側に前記送り凹凸部に乗り越え係合する第二の係合片とを備えた一対の絞り部材と、からなることを特徴とするチューブ容器絞り器。
【請求項2】
操作棹を、前記バネ部材の弾力に反発して押圧する操作腕を収納容器に回動自在に設けた請求項1に記載のチューブ容器絞り器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−124011(P2006−124011A)
【公開日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−317407(P2004−317407)
【出願日】平成16年10月29日(2004.10.29)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】