説明

チューブ容器

【課題】アルミ箔をラミネートした積層体を用いて形成した場合と同等の隠蔽性や水蒸気バリヤー性及び酸素バリアー性を、アルミ箔をラミネートすることなく備えると共に、変形に対する復元性に優れ、また外周面に高い金属光沢性を有することのできるチューブ容器を提供する。
【解決手段】内容物を収容する胴部12が、複数の樹脂層を有する積層体13によって形成されたチューブ容器10等のチューブ容器であって、積層体13は、白色系顔料を含んだポリオレフィン樹脂層14と、この白色ポリオレフィン樹脂層14よりも外側の層として配置された外側金属蒸着樹脂層15と、白色ポリオレフィン樹脂層14よりも内側の層として配置された内側無機蒸着樹脂層16と、最内層として配置されたシーラント層17とを含んで構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チューブ容器に関し、特に内容物を収容する胴部が複数の樹脂層を有する積層体によって形成された、チューブ容器に関する。
【背景技術】
【0002】
光に対する高い隠蔽性(遮光性)や高い水蒸気バリヤー性を備えるチューブ容器として、例えばアルミ箔をラミネートした積層体からなる樹脂製のチューブ容器が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6−179462号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、アルミ箔をラミネートした積層体からなる樹脂製のチューブ容器では、内容物を押し出すために胴部をスクイズした後の変形に対する復元性が低いため、外観が劣ることになり易い。またスクイズ時に胴部が屈曲されることでアルミ箔にしわやピンホールが発生し易く、アルミ箔が損傷して高い隠蔽性や水蒸気バリヤー性を発揮できなくなる場合がある。さらに、積層体に金属であるアルミ箔が含まれていることにより、廃棄時に不都合を生じる場合がある。
【0005】
本発明は、アルミ箔をラミネートした積層体を用いて形成した場合と同等の隠蔽性や水蒸気バリヤー性及び酸素バリアー性を、アルミ箔をラミネートすることなく備えると共に、変形に対する復元性に優れ、また外周面に高い金属光沢性を有することのできるチューブ容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、内容物を収容する胴部が、複数の樹脂層を有する積層体によって形成されたチューブ容器であって、前記複数の樹脂層は、白色系顔料を含んだポリオレフィン樹脂層と、該白色系顔料を含んだポリオレフィン樹脂層よりも外側の層として配置された金属蒸着樹脂層と、前記白色系顔料を含んだポリオレフィン樹脂層よりも内側の層として配置された無機蒸着樹脂層又は金属蒸着樹脂層と、最内層として配置されたシーラント層とを含むチューブ容器を提供することにより、上記目的を達成したものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明のチューブ容器によれば、アルミ箔をラミネートした積層体を用いて形成した場合と同等の隠蔽性や水蒸気バリヤー性及び酸素バリアー性を、アルミ箔をラミネートすることなく備えると共に、変形に対する復元性に優れ、また外周面に高い金属光沢性を有することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の好ましい実施形態に係るチューブ容器を説明する倒立状態の略示正面図である。
【図2】本発明の好ましい実施形態に係るチューブ容器を形成する積層体の層構成を説明する拡大断面図である。
【図3】(a)〜(c)は、比較例1〜3に係るチューブ容器を形成する積層体の層構成を説明する拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1に示す本発明の好ましい実施形態に係るチューブ容器10は、内容物として例えばペースト状の歯磨剤を収容するチューブ容器であって、例えば手に把持してキャップ11を取り外した後に、内容物が収容された胴部12を押圧(スクイズ)することにより、内容物を注出口から押し出しながら使用するものである。また、本実施形態のチューブ容器10は、非使用時にキャップ11が装着され、キャップ11の平坦な天面11aを載置面として倒立状態で載置されるようになっており、載置した状態での外観が損われないように、胴部12が押圧された後に押圧を解除した際に、速やかに元の形状に復元する優れた復元性を備えると共に、胴部12に収容された内容物を長期間変質させない優れた隠蔽性(遮光性)や水蒸気バリヤー性及び酸素バリアー性を備えている。
【0010】
そして、本実施形態のチューブ容器10は、内容物を収容する胴部12が、複数の樹脂層を有する積層体13によって形成されたチューブ容器であって、積層体13は、図2に示すように、白色系顔料を含んだポリオレフィン樹脂層14と、この白色系顔料を含んだポリオレフィン樹脂層14よりも外側の層として配置された外側金属蒸着樹脂層15と、白色系顔料を含んだポリオレフィン樹脂層14よりも内側の層として配置された内側無機蒸着樹脂層16と、最内層として配置されたシーラント層(シール層)17とを含んで構成されている。
【0011】
すなわち、本実施形態では、積層体13は、最内層にシーラント層17を配置し、このシーラント層17の外層側にドライラミネート接着層18を介在させて内側無機蒸着樹脂層16を配置し、この内側無機蒸着樹脂層16の外層側に接着層19を介在させて白色系顔料を含んだポリオレフィン樹脂層14を配置し、この白色系顔料を含んだポリオレフィン樹脂層14の外層側にドライラミネート接着層18を介在させて外側金属蒸着樹脂層15を配置し、さらにこの外側金属蒸着樹脂層15の外層側に、外側シーラント層20を最外層として配置することによって構成されている。
【0012】
積層体13を構成する白色系顔料を含んだポリオレフィン樹脂層14は、白色系顔料を含んだポリオレフィン樹脂からなる。このようなポリオレフィン樹脂としては、乳白低密度ポリエチレン(乳白直鎖状低密度ポリエチレンを含む)、乳白中密度ポリエチレン、乳白高密度ポリエチレンおよびこれらの樹脂をブレンドした樹脂等を用いることができる。本実施形態では、白色系顔料を含んだポリオレフィン樹脂層14として、好ましくは乳白低密度ポリエチレンが用いられる。白色系顔料としては、酸化チタン、酸化亜鉛、硫酸バリウム等を用いることができる。本実施形態では、白色系顔料として酸化チタンを選択している。
【0013】
白色系顔料を含んだポリオレフィン樹脂層14の層厚みは、チューブ容器胴部の総厚みを厚くすることなく、隠蔽性、変形に対する復元性に優れ、また外周面に高い金属光沢性を付与できる観点から、40〜250μmとすることが好ましく、60〜200μmとすることがさらに好ましく、100〜180μmとすることが特に好ましい。本実施形態では、白色系顔料を含んだポリオレフィン樹脂層14の層厚みは160μmとなっている。
【0014】
なお、本願明細書の「厚み」は平均厚みを意味する。
【0015】
また、白色系顔料を含んだポリオレフィン樹脂層14の層厚みは、積層体13を構成する樹脂層のうちで最も厚くすることが好ましい。白色系顔料を含んだポリオレフィン樹脂層14の層厚みを最も厚くすることにより、変形に対する優れた復元性をさらに効果的に発揮させることが可能になる。
【0016】
白色系顔料を含んだポリオレフィン樹脂層14の外側に配置される外側金属蒸着樹脂層15は、蒸着基材の表面に金属蒸着物を蒸着することによって形成されている。蒸着基材としては、例えばフィルム状のポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ナイロン(NY)、ポリビニルアルコール(PVA)等を用いることができる。また、金属蒸着物としては、例えばアルミニウム、スズ、インジウム、金、銀、銅、ニッケル、チタン、クロム等を用いることができる。本実施形態では、好ましくは蒸着基材としてPETが、金属蒸着物としてアルミニウムが用いられ、外側金属蒸着樹脂層15は、アルミ蒸着PET層となっている。
【0017】
なお本実施形態では、チューブ容器製造時の蒸着面の保護の観点から、蒸着基材の片面(内層側)に金属蒸着物が蒸着されている。
【0018】
金属蒸着部分の蒸着厚みは、優れた隠蔽性、水蒸気バリヤー性及び酸素バリアー性を付与でき且つ、変形に対する復元性の低下を抑制し、しわやピンホールの発生を抑えることができ、さらに積層体の可撓性を維持できる観点から5〜400nm(50〜4000Å)が好ましく、10〜200nm(100〜2000Å)がさらに好ましい。
【0019】
外側金属蒸着樹脂層15の層厚み(蒸着基材厚みと蒸着厚みとを加えた厚み)は、変形に対する復元性や耐突き刺し強度を付与でき、さらに優れた隠蔽性や水蒸気バリヤー性及び酸素バリアー性を付与できる観点から、6〜40μmとすることが好ましく、8〜25μmとすることがさらに好ましく、10〜16μmとすることが特に好ましい。本実施形態では、外側金属蒸着樹脂層15の層厚みは12μmとなっている。
【0020】
白色系顔料を含んだポリオレフィン樹脂層14の内側に配置される内側無機蒸着樹脂層16は、蒸着基材の表面に無機蒸着物を蒸着することによって形成されている。蒸着基材としては、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等を用いることができる。また、無機蒸着物としては、例えば酸化ケイ素(SiOX)、アルミナ(AlOX )、酸化スズ、酸化マグネシウム等を用いることができる。本実施形態では、好ましくは蒸着基材としてPETが、無機蒸着物として酸化ケイ素であるシリカが用いられ、内側無機蒸着樹脂層16は、シリカ蒸着PET層となっている。
【0021】
なお本実施形態では、チューブ容器製造時の蒸着面の保護の観点から、蒸着基材の片面(内層側)に無機蒸着物が蒸着されている。
【0022】
無機蒸着部分の蒸着厚みは、優れた水蒸気バリヤー性及び酸素バリアー性を付与でき且つ、変形に対する復元性の低下を抑制し、ピンホールの発生を抑えることができ、さらに積層体の可撓性を維持できる観点から10〜300nm(100〜3000Å)が好ましく、20〜150nm(200〜1500Å)がさらに好ましい。
【0023】
内側無機蒸着樹脂層16の層厚み(蒸着基材厚みと蒸着厚みとを加えた厚み)は、変形に対する復元性や耐突き刺し強度を付与でき、さらに優れた水蒸気バリヤー性及び酸素バリアー性を付与できる観点から、6〜40μmとすることが好ましく、8〜25μmとすることがさらに好ましく、10〜16μmとすることが特に好ましい。本実施形態では、内側無機蒸着樹脂層16の層厚みは12μmとなっている。
【0024】
なお、本実施形態では、内側無機蒸着樹脂層16に代えて、白色系顔料を含んだポリオレフィン樹脂層14の内側に、外側金属蒸着樹脂層15と同様の構成を有する内側金属蒸着樹脂層を配置することもできる。
【0025】
また、内側無機蒸着樹脂層16と白色系顔料を含んだポリオレフィン樹脂層14との間に介在する接着層19は、内側無機蒸着樹脂層16と白色系顔料を含んだポリオレフィン樹脂層14とを接着させるものであり、本実施形態では、例えば押出しによって積層された低密度ポリエチレンが用いられる。接着層19の層厚みは、10〜80μmとすることが好ましく、20〜70μmとすることがさらに好ましく、30〜50μmとすることが特に好ましい。本実施形態では、接着層19の層厚みは40μmとなっている。
【0026】
さらに、シーラント層17と内側無機蒸着樹脂層16とを接着するドライラミネート接着層18、及び白色系顔料を含んだポリオレフィン樹脂層14と外側金属蒸着樹脂層15とを接着するドライラミネート接着層18としては、ドライラミネート用の接着層として知られる公知の各種の接着剤を用いることができる。
【0027】
積層体13の最内層を構成するシーラント層17は、積層体13を用いてチューブ容器10の胴部12を形成する際のシール層として機能する。シーラント層17は、例えばポリオレフィン系樹脂を用いて形成することができる。シーラント層17を形成するポリオレフィン系樹脂としては、例えば低密度ポリエチレン(直鎖状低密度ポリエチレンを含む)、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、ポリプロピレン等を用いることができる。本実施形態では、好ましくは低密度ポリエチレンが用いられる。
【0028】
シーラント層17の層厚みは、40〜200μmとすることが好ましく、60〜150μmとすることがさらに好ましく、70〜120μmとすることが特に好ましい。本実施形態では、シーラント層17の層厚みは100μmとなっている。
【0029】
積層体13の最外層を構成する外側シーラント層20は、外側金属蒸着樹脂層15の保護層として機能すると共に、印刷面やチューブ容器とする場合に前記最内層を構成するシーラント層17との接合層として機能する。外側シーラント層20は、例えばポリオレフィン系樹脂を用いて形成することができる。外側シーラント層20を形成するポリオレフィン系樹脂としては、例えば低密度ポリエチレン(直鎖状低密度ポリエチレンを含む)、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、ポリプロピレン等を用いることができる。本実施形態では、好ましくは押出しによって積層された低密度ポリエチレンが用いられる。
【0030】
外側シーラント層20の層厚みは、20〜150μmとすることが好ましく、30〜120μmとすることがさらに好ましく、40〜100μmとすることが特に好ましい。本実施形態では、シーラント層17の層厚みは60μmとなっている。
【0031】
そして、上述の構成を有する本実施形態のチューブ容器10によれば、アルミ箔をラミネートした積層体を用いて形成した場合と同等の隠蔽性や水蒸気バリヤー性及び酸素バリアー性を、アルミ箔をラミネートすることなく備えることができると共に、変形に対する復元性に優れ、また外周面に高い金属光沢性を有することができる。
【0032】
すなわち、本実施形態のチューブ容器10によれば、内容物を収容する胴部12が、白色系顔料を含んだポリオレフィン樹脂層14と、白色系顔料を含んだポリオレフィン樹脂層14の外側に配置された外側金属蒸着樹脂層15と、白色系顔料を含んだポリオレフィン樹脂層14の内側に配置された内側無機蒸着樹脂層16とを含んでいるので、白色系顔料を含んだポリオレフィン樹脂層14を挟んで2層に設けられた、いずれも水蒸気バリヤー性及び酸素バリアー性に優れる外側金属蒸着樹脂層15及び内側無機蒸着樹脂層16の相乗作用によって、アルミ箔をラミネートした場合と同等の水蒸気バリヤー性及び酸素バリアー性を容易に備えることが可能になる。特に、内側無機蒸着樹脂層16は、層厚みの大きい白色系顔料を含んだポリオレフィン樹脂層14の内側において、内容物に近接する当該内容物の影響を受け易い部分に配置されるので、内容物の品質が水蒸気等によって劣化するのをさらに効果的に抑制することが可能になる。また、外側金属蒸着樹脂層15は、層厚みの大きい、白色系顔料を含んだポリオレフィン樹脂層14の外側に配置されるので、可視光に対する隠蔽性(遮光性)がより優れたものとなる。
【0033】
また、本実施形態によれば、紫外線に対する隠蔽性(遮光性)に優れた、白色系顔料を含んだポリオレフィン樹脂層14と、可視光に対する隠蔽性(遮光性)に優れた外側金属蒸着樹脂層15とによって、隠蔽性に弱い領域を互いに補いつつ、可視光から紫外線領域に亘る光に対してアルミ箔と同等の優れた光に対する隠蔽性を発揮することが可能になる。
【0034】
さらに、本実施形態によれば、アルミ箔層を含んでいないこと、及び特に相当の厚さを有する白色系顔料を含んだポリオレフィン樹脂層14による形状保持作用によって、優れた変形に対する復元性を備えることが可能になる。また、弾性率の高いポリエチレンテレフタレート層が複数配置されているので、チューブ容器胴部の総厚みを抑えながらより強い復元力を付与することが出来る。
【0035】
さらにまた、本実施形態によれば、白色系顔料を含んだポリオレフィン樹脂層14の外側において、外周面に近接して外側金属蒸着樹脂層15が設けられているので、外側金属蒸着樹脂層15による金属光沢性を胴部12の外周面に効果的に付与することが可能になると共に、外側金属蒸着樹脂層15の内側が白色系顔料を含んだポリオレフィン樹脂層14によって覆われているので、明るい白色系顔料を含んだポリオレフィン樹脂層14を背景として、意匠性に優れた趣のある金属光沢性を胴部12の外周面に効果的に付与することが可能になる。これによって、胴部12の外周面に印刷を施す際に、当該外周面を透視できるように印刷することにより、例えば金属光沢性を伴う質感に富んだ優れた美観を備えるチューブ容器10を形成することが可能になる。
【0036】
以上のように、本実施形態のチューブ容器10は、各層の組合せを選択したことによる相乗作用で、アルミ箔をラミネートした積層体を用いて形成した場合と同等の隠蔽性や水蒸気バリヤー性及び酸素バリアー性を、アルミ箔をラミネートすることなく備えると共に、変形に対する復元性に優れ、また外周面に高い金属光沢性を有することができる。
【0037】
なお、本発明は上記各実施形態に限定されることなく種々の変更が可能である。例えば、積層体13の最外層を構成する外側シーラント層20は、押出しにより積層された複数の層で構成しても良く、フィルム層と押出層を組み合わせても良く、複数種類の樹脂による複数の層で構成しても良い。接着層19は、接着性樹脂の押出層で構成しても良く、ドライラミネート接着層としても良い。従って、外側シーラント層20は、外観および所望のバリアー性等を考慮して適宜変更可能である。また胴部に収容される内容物は、例えば歯磨剤等のペースト状の内容物の他、液状、固体、粉体等の内容物であっても良い。
【0038】
白色系顔料を含んだポリオレフィン樹脂層は、紫外線に対する隠蔽性及び外周面に高い金属光沢性を有することができる範囲で白色顔料に加えて、別色の顔料を含んでいてもよい。
【0039】
上記実施形態では、蒸着基材の片面(内層側)に金属蒸着物、無機蒸着物が蒸着されているが、これに代えて蒸着基材の他方の片面(外層側)に金属蒸着物、無機蒸着物が蒸着されていても良い。
【実施例】
【0040】
以下、実施例及び比較例により、本発明のチューブ容器をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0041】
〔実施例1〕
上記実施形態のチューブ容器10を実施例1のチューブ容器として、下記の試験方法によって、復元性、金属光沢性、隠蔽性(遮光性)、水蒸気バリアー性及び酸素バリアー性について評価した。
層構成を以下に示す。なおLDPEは低密度ポリエチレエンを意味し、PETはポリエチレンテレフタレートを意味する。また、数値は層の厚み(μm)を示している。金属蒸着物、無機蒸着物は蒸着基材の内側に蒸着されている。
(外側)LDPE(押出し)60/金属蒸着(アルミ蒸着)PET(フィルム)12/ドライラミネート接着層/白色LDPE(フィルム)160/LDPE(押出し)40/無機蒸着(シリカ蒸着)PET(フィルム)12/ドライラミネート接着層/LDPE(フィルム)100(内側)
総厚み384μm
評価結果を表1に示す。
【0042】
〔比較例1〜3〕
図3(a)〜(c)に示す層構成を備える積層体を用いて形成した、図1と同様の構成を備えるチューブ容器を比較例1〜3のチューブ容器として、下記の試験方法によって、復元性、金属光沢性、隠蔽性(遮光性)、水蒸気バリアー性及び酸素バリアー性について評価した。
層構成を以下に示す。なお実施例と同様、LDPEは低密度ポリエチレエンを意味し、PETはポリエチレンテレフタレートを意味する。また、数値は層の厚み(μm)を示している。金属蒸着部及び無機蒸着部は蒸着基材の内側に蒸着されている。
比較例1(図3(a))
(外側)LDPE(押出し)80/LDPE(フィルム)130/LDPE(押出し)50/アルミ箔12/ドライラミネート接着層/PET(フイルム)12/ドライラミネート接着層/LDPE(フィルム)100(内側)
総厚み384μm
比較例2(図3(b))
(外側)LDPE(押出し)70/白色LDPE(フィルム)160/LDPE(押出し)50/無機蒸着(アルミナ蒸着)PET(フィルム)12/ドライラミネート接着層/LDPE(フィルム)100(内側)
総厚み392μm
比較例3(図3(c))
(外側)LDPE(押出し)70/LDPE(フィルム)150/LDPE(押出し)40/PET(フィルム)12/ドライラミネート接着層/金属蒸着(アルミ蒸着)PET(フィルム)12/ドライラミネート接着層/LDPE(フィルム)100(内側)
総厚み384μm
評価結果を表1に示す。
【0043】
〔復元性〕
チューブ形状に成形したものの胴部を押して、復元性を×〜◎までの4段階で評価した。
× 指を離しても復元しない。
△ 指を離しても復元し難い。
○ 指を離すと復元する。
◎ 指を離すと強い力で復元する。
【0044】
〔金属光沢性〕
目視により×から◎までの3段階の評価を行った。
× 金属光沢なし、 ○ 金属光沢 小、 ◎ 金属光沢 大
【0045】
〔遮光性〕
JIS K7105に基づくプラスチック光学的特性試験方法により、可視光領域及び紫外線領域の全光線透過率を測定した。
【0046】
〔水蒸気バリアー性〕
JIS K7129Bに基づく水蒸気透過試験により水蒸気透過度を測定した。
測定条件 40℃、90%RH
【0047】
〔酸素バリアー性〕
JIS K7126Bに基づくガス透過試験法により酸素ガス透過度を測定した。
測定条件1 20℃、65%RH
測定条件2 30℃、70%RH
【0048】
【表1】

【0049】
表1に示す評価結果によれば、本発明に係る実施例1のチューブ容器は、アルミ箔をラミネートした積層体からなるチューブ容器(比較例1)と同様の隠蔽性(遮光性)、水蒸気バリヤー性、及び酸素バリアー性を有していることが判る。また、どの比較例に対してでも復元性、金属光沢性に優れていることが判る。
【符号の説明】
【0050】
10,10’,10” チューブ容器
11 キャップ
12 胴部
13,13’,13” 積層体
14 白色系顔料を含んだポリオレフィン樹脂層
15 外側金属蒸着樹脂層(金属蒸着樹脂層)
16 内側無機蒸着樹脂層(無機蒸着樹脂層又は金属蒸着樹脂層)
17 シーラント層
18 ドライラミネート接着層
19 接着層
20 外側シーラント層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物を収容する胴部が、複数の樹脂層を有する積層体によって形成されたチューブ容器であって、
前記複数の樹脂層は、白色系顔料を含んだポリオレフィン樹脂層と、該白色系顔料を含んだポリオレフィン樹脂層よりも外側の層として配置された金属蒸着樹脂層と、前記白色系顔料を含んだポリオレフィン樹脂層よりも内側の層として配置された無機蒸着樹脂層又は金属蒸着樹脂層と、最内層として配置されたシーラント層とを含むチューブ容器。
【請求項2】
前記金属蒸着樹脂層又は前記無機蒸着樹脂層が、金属蒸着ポリエチレンテレフタレート層又は無機蒸着ポリエチレンテレフタレート層である請求項1記載のチューブ容器。
【請求項3】
前記積層体を構成する樹脂層のうち、前記白色系顔料を含んだポリオレフィン樹脂層の層厚みが最も厚くなっている請求項1又は2記載のチューブ容器

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−222043(P2010−222043A)
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−73026(P2009−73026)
【出願日】平成21年3月25日(2009.3.25)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】