説明

チューブ容器

【課題】内容物を一定量以上吐出した後にも内容物の吐出を効率良く行うこと。
【解決手段】容器軸O方向の一方側に位置する一端開口部が径方向に挟み込まれて閉塞されてなるシール部2が形成された胴部3と、該胴部3において容器軸O方向の他方側に位置する他端開口部に配設された口部とを備え、シール部2には弱化ラインが形成され、弱化ラインは、前後方向から見た正面視において容器軸O方向に交差する左右方向に延在しシール部2内に位置する第1弱化ラインを備え、第1弱化ラインを破断して得られる第1破断縁部11aの少なくとも一部により、係合開口部20の周縁部20aが形成され、該チューブ容器1において、胴部3の容器軸O方向の中間部分3aよりも前記他方側に位置する部分には、胴部3が中間部分3aで折り曲げられた状態で係合開口部20が係合し、該胴部3の折り曲げ姿勢を保持する被係合部23が形成されているチューブ容器1を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チューブ容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、この種のチューブ容器として、例えば下記特許文献1に示されるような、容器軸方向の一方側の一端開口部が径方向に挟み込まれて閉塞されてなるシール部が形成された胴部、および該胴部の容器軸方向の他方側の他端開口部に配設された口部を有するチューブ本体と、口部に装着されたキャップと、を備える構成が知られている。前記キャップの周壁部には、切り離し筒部が破断片を介して一体に設けられている。
このチューブ容器では、チューブ本体の内容物を吐出し尽くした後、胴部を前記一方側から前記他方側に巻き上げるとともに、破断片を破断して切り離し筒部をキャップから切り離す。その後、このチューブ容器を切り離し筒部内に挿入することによって、胴部の巻上げ端部を切り離し筒部の下部内面に、かつキャップの頂壁部を切り離し筒部の上部内面にそれぞれ係止させる。これにより、内容物を吐出し尽くしてチューブ容器を廃棄するときに、胴部を巻き上げた状態でチューブ容器を保持することが可能になり、このチューブ容器の廃棄時にチューブ容器の減容化を図ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】登録実用新案第2549299号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記従来のチューブ容器では、チューブ本体内の内容物を例えば約半分程度など一定量以上吐出した後、胴部を径方向の内側に押し込んだときに、胴部内の内容物が胴部内をシール部側にも移動し易くなることで口部側に向けて押し出され難くなるため、内容物の吐出に手間取るおそれがあった。
【0005】
本発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、内容物を一定量以上吐出した後にも内容物の吐出を効率良く行うことができるチューブ容器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明は以下の手段を提案している。
本発明に係るチューブ容器は、容器軸方向の一方側に位置する一端開口部が径方向に挟み込まれて閉塞されてなるシール部が形成された胴部と、該胴部において容器軸方向の他方側に位置する他端開口部に配設された口部と、を備えるチューブ容器であって、前記シール部には、破断容易な弱化ラインが形成され、前記弱化ラインは、前記シール部を形成するときに前記一端開口部を挟み込む前後方向から見た正面視において容器軸方向に交差する左右方向に延在し、前記シール部内に位置する第1弱化ラインを備え、前記第1弱化ラインを破断して得られる第1破断縁部の少なくとも一部により、係合開口部の周縁部が形成され、該チューブ容器において、前記胴部の容器軸方向の中間部分よりも前記他方側に位置する部分には、前記胴部が前記中間部分で折り曲げられた状態で前記係合開口部が係合し、該胴部の折り曲げ姿勢を保持する被係合部が形成されていることを特徴とする。
【0007】
この発明では、内容物を例えば約半分程度など一定量以上吐出したときには、弱化ラインを破断するとともに胴部を前記中間部分で折り曲げ、前記被係合部に前記係合開口部を係合させ、胴部の折り曲げ姿勢を保持させる。
その後、内容物を使用するときには、折り曲げ姿勢とされた胴部を径方向の内側に押し込む。すると、胴部が前記中間部分で折り曲げられていることから、胴部において前記中間部分よりも口部側に位置する口部側部分内の内容物が、胴部において前記中間部分よりもシール部側に位置するシール部側部分内に移動することが抑えられる。これにより、前記口部側部分内の内容物が口部側に向けて円滑に押し出されることとなる。
【0008】
以上により、内容物を一定量以上吐出した後にも、胴部を折り曲げ姿勢で保持することで、前記口部側部分内の内容物を口部側に向けて円滑に押し出すことが可能になり、内容物の吐出を効率良く行うことができる。
また、このように胴部を折り曲げ姿勢で保持することができるので、保管時のコンパクト化および廃棄時の減容化を図ることもできる。
【0009】
なお、前記シール部側部分を押し潰して前記シール部側部分内の内容物を前記口部側部分内に予め移動させた後、胴部を折り曲げ姿勢で保持した場合には、チューブ容器内の内容物を残らず吐出し易くすることが可能になるとともに、廃棄時の減容化をより一層図ることができる。
また、係合開口部の周縁部が、第1弱化ラインを破断して得られる第1破断縁部の少なくとも一部により形成されているので、第1弱化ラインを破断するといった簡便な作業によって係合開口部を形成することができる。
【0010】
また、前記弱化ラインは、前記第1弱化ラインにおける前記左右方向の中間部から前記一方側に向けて延在して前記シール部の外周縁に接続され、前記シール部のうち、前記第1弱化ラインよりも前記一方側に位置する部分を前記正面視において左右両部分に区画する第2弱化ラインと、前記左右両部分のうちの一方に配置され、該一方の内部から前記他方側に向けて延在する第3弱化ラインと、前記左右両部分のうちの一方に配置され、該一方の内部において前記第1弱化ラインの端縁および前記第3弱化ラインよりも前記左右方向の内側に位置する部分から、前記左右方向の外側に向けて延在し前記シール部の外周縁に接続されるとともに、前記第3弱化ラインの前記他方側の端縁が接続された第4弱化ラインと、前記左右両部分のうちの他方に配置され、該他方の内部から前記一方側に向けて延在し、前記シール部の外周縁に接続された第5弱化ラインと、前記左右両部分のうちの他方に配置され、該他方の内部において前記第1弱化ラインの端縁および前記第5弱化ラインよりも前記左右方向の内側に位置する部分から、前記第1弱化ラインと前記第5弱化ラインとの間を通るように前記左右方向の外側に向けて延在し前記シール部の外周縁に接続された第6弱化ラインと、を備えていても良い。
【0011】
この場合、係合開口部を形成するときに、まず第1弱化ラインおよび第2弱化ラインをそれぞれ破断し、前記左右両部分を左右方向に分断する。
また、第3弱化ライン、第4弱化ライン、第5弱化ラインおよび第6弱化ラインをそれぞれ破断する。すると、第3弱化ラインを破断することで得られる第3破断縁部、および第5弱化ラインを破断することで得られる第5破断縁部それぞれの間に、互いに容器軸方向の反対側に向けて開口する一対の切込み部が形成されることとなる。
そして、これらの一対の切込み部同士を互いに係止させることで、前記第1破断縁部と、第4弱化ラインを破断することで得られる第4破断縁部と、第6弱化ラインを破断することで得られる第6破断縁部と、によって周縁部が形成された係合開口部が形成されることとなる。これにより、第1破断縁部のみによって形成された係合開口部に比べて周縁部を長くして、係合開口部を大きくすることができる。
【0012】
またこのように、係合開口部を大きくすることができるので、例えば、胴部の一部分である前記口部側部分を被係合部としても、この被係合部に係合開口部を係合させる作業を円滑に行うことができる。この場合、被係合部として新たな構成をチューブ容器に備えさせなくても良く、このチューブ容器の構成の簡素化を図ることができる。
【0013】
また、前記弱化ラインの端縁のうち、該弱化ラインを破断する破断方向の終端縁には、前記シール部を貫通する貫通孔が形成されていても良い。
【0014】
この場合、弱化ラインの前記終端縁に前記貫通孔が形成されているので、弱化ラインが終端縁まで破断されたときに、弱化ラインを破断するためにシール部に加えられた力が、前記終端縁からシール部の他部分に加えられるのを抑制することが可能になり、シール部のうち、弱化ラインの非形成領域が破断されるのを抑制することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係るチューブ容器によれば、内容物を一定量以上吐出した後にも内容物の吐出を効率良く行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第1実施形態に係るチューブ容器の正面図である。
【図2】図1に示すチューブ容器の側面図である。
【図3】図1に示すチューブ容器の胴部を折り曲げた状態の側面図である。
【図4】本発明の第2実施形態に係るチューブ容器の正面図である。
【図5】図4に示すチューブ容器における弱化ラインの破断方法の説明図である。
【図6】図4に示すチューブ容器における弱化ラインの破断方法の説明図である。
【図7】図4に示すチューブ容器における弱化ラインの破断方法の説明図である。
【図8】図4に示すチューブ容器における弱化ラインの破断方法の説明図である。
【図9】図4に示すチューブ容器における弱化ラインの破断方法の説明図である。
【図10】図4に示すチューブ容器の胴部を折り曲げた状態の要部の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(第1実施形態)
以下、図面を参照し、本発明の第1実施形態に係るチューブ容器を説明する。
図1に示すように、チューブ容器1は、内容物が収容されるチューブ本体4と、チューブ本体4に装着されたキャップ5と、を備えている。
チューブ本体4は、上側(容器軸方向の一方側)に位置する上端開口部(一端開口部)が径方向(前後方向)に挟み込まれて閉塞されてなるシール部2が形成された胴部3と、該胴部3において下側(容器軸方向の他方側)に位置する下端開口部(他端開口部)に配設された図示しない口部と、胴部3と前記口部とを連結する肩部6と、を備えている。
【0018】
ここで、胴部3および前記口部はいずれも筒状に形成されており、これらの胴部3および前記口部はそれぞれの中心軸線が共通軸上に位置された状態で配設されている。以下、この共通軸を容器軸Oといい、容器軸Oに直交する方向を径方向といい、容器軸O回りに周回する方向を周方向という。また、容器軸O方向に沿ったシール部2側を上側、前記口部側を下側という。
【0019】
前記口部の外径は、胴部3の下端開口部の内径よりも小さくなっている。
肩部6は、容器軸Oと同軸に配設された環状に形成されるとともに、径方向の外側から内側に向かうに従って漸次、下方に向けて延びている。肩部6の外周縁は胴部3の下端開口部の周縁部に連結されるとともに、肩部6の内周縁は前記口部の上端開口部の周縁部に連結されている。
【0020】
図1および図2に示すように、キャップ5は、チューブ本体4の前記口部に着脱自在に装着されるとともに図示しない底壁部に図示しない吐出口が形成された有底筒状の本体部7と、該本体部7にヒンジ部8を介して連結され前記吐出口を開閉する蓋板部9と、を備えている。これらの本体部7および蓋板部9、並びに前記吐出口は、容器軸Oと同軸に配設されている。
【0021】
なお図示の例では、ヒンジ部8の回転軸は、チューブ本体4の前記シール部2を形成するときに胴部3の上端開口部を挟み込む前後方向に直交している。以下では、前後方向のうち、容器軸Oに対してヒンジ部8が位置する方向を後側、その反対側を前側という。
【0022】
前記吐出口は、チューブ本体4の前記口部内に連通しており、チューブ本体4の胴部3が径方向の内側に押し込まれたときに、この吐出口からチューブ本体4内の内容物が吐出される。
また、このチューブ容器1は、蓋板部9が前記吐出口を閉塞した状態で、蓋板部9を接地面として自立可能とされている。
【0023】
ここで図1に示すように、チューブ本体4の前記シール部2は、前後方向から見た正面視において容器軸O方向に直交(交差)する左右方向に長い長方形状となっている。そしてこのシール部2には、破断容易な弱化ライン10が形成されている。弱化ライン10は、例えば、シール部2にミシン目を入れたり、非貫通の切り目を直線状に入れたり、薄肉部を形成したりすることで形成され、シール部2の他部分に比べて破断容易となっている。
【0024】
この弱化ライン10は、左右方向に延在するとともにシール部2内に位置する第1弱化ライン11を備えている。
第1弱化ライン11は、左右方向に平行に延在し、第1弱化ライン11の両端縁は、シール部2の外周縁に非接続となっている。またこの第1弱化ライン11の左右方向の中央部は、前記正面視において容器軸O上に位置している。
【0025】
なお、この第1弱化ライン11は、例えば、シール部2において第1弱化ライン11を間に挟んで容器軸O方向の両側に位置する上側部分2aおよび下側部分2bを、これらの両部分における左右方向の中央部から互いに引き離すことで破断される。そして、このように第1弱化ライン11を破断すると、第1弱化ライン11を破断して得られる第1破断縁部11aによって周縁部20aが形成された開口部が形成される(図3参照)。以下では、この開口部を係合開口部20という。この係合開口部20の周縁部20aは、全周にわたって第1破断縁部11aによって形成される。
【0026】
ここで図1に示すように、弱化ライン10の端縁のうち、該弱化ライン10を破断する破断方向の終端縁には、シール部2を貫通する貫通孔21が形成されている。図示の例では、貫通孔21は、シール部2を前後方向に貫通するとともに第1弱化ライン11の両端縁にそれぞれ形成されており、貫通孔21の前記正面視形状は円形状となっている。
【0027】
また、胴部3の容器軸O方向の中間部分3aには、周方向の全長にわたって延びる折り曲げライン22が形成されている。この折り曲げライン22は、例えば、前記中間部分3aの肉厚を胴部3の他部分に比べて薄肉に形成したり、凹凸状に形成したり、前記中間部分3aを予め屈曲させた後、元に戻すことで前記中間部分3aにしわを形成したりすることで形成されている。
なお図示の例では、胴部3において前記中間部分3aよりも上側(シール部側)に位置するシール部側部分3bは、胴部3において前記中間部分3aよりも下側(口部側)に位置する口部側部分3cよりも、容器軸O方向に沿った大きさが大きくなっている。
【0028】
そして図2に示すように、本実施形態では、このチューブ容器1において、胴部3の前記中間部分3aよりも下側に位置する部分には、胴部3が前記中間部分3aで折り曲げられた状態で前記係合開口部20が係合し、該胴部3の折り曲げ姿勢を保持する被係合部23が設けられている。図示の例では、被係合部23は、チューブ本体4の前記肩部6の外周縁部において後側に位置する部分から下方に向けて延設されている。
【0029】
次に、以上のように構成されたチューブ容器1の作用について説明する。
チューブ本体4内の内容物を例えば約半分程度など一定量以上吐出したときには、まず、胴部3の前記シール部側部分3bを前後方向に押し潰し、前記シール部側部分3b内の内容物を前記口部側部分3c内に移動させる。
また、弱化ライン10を前述のように破断し、係合開口部20を形成する。
【0030】
さらに、チューブ本体4の胴部3を、折り曲げライン22に沿って前記中間部分3aで折り曲げる。このとき図3に示すように、胴部3の前記シール部側部分3bを後側に向けて折り曲げる。
なお、このように胴部3の前記シール部側部分3bを折り曲げることで、胴部3の前記シール部側部分3bでは、上下が反転する。
【0031】
そして、係合開口部20内に被係合部23を配置し、係合開口部20を被係合部23に係合させる。このとき、胴部3の前記口部側部分3cによってシール部2の前記下側部分2bの前側への移動を規制させつつ、シール部2の前記上側部分2aを、被係合部23の下側を通して被係合部23の後側から前側に移動させる。これにより、係合開口部20が被係合部23に前側から係合し、胴部3の折り曲げ姿勢が保持される。
【0032】
その後、内容物を使用するときには、折り曲げ姿勢とされた胴部3を、例えば前後方向に挟み込むようにして径方向の内側に押し込む。すると、胴部3が前記中間部分3aで折り曲げられていることから、胴部3の前記口部側部分3c内の内容物が、胴部3の前記シール部側部分3b内に移動するのが抑えられる。これにより、前記口部側部分3c内の内容物が口部側に向けて円滑に押し出されることとなる。
【0033】
以上説明したように、本実施形態に係るチューブ容器1によれば、内容物を一定量以上吐出した後にも、胴部3を折り曲げ姿勢で保持することで、前記口部側部分3c内の内容物を前記口部側に向けて円滑に押し出すことが可能になり、内容物の吐出を効率良く行うことができる。
また、このように胴部3を折り曲げ姿勢で保持することができるので、保管時のコンパクト化および廃棄時の減容化を図ることもできる。
【0034】
なお本実施形態のように、前記シール部側部分3bを前後方向に押し潰して前記シール部側部分3b内の内容物を前記口部側部分3c内に予め移動させた後、胴部3を折り曲げ姿勢で保持した場合には、チューブ本体4内の内容物を残らず吐出し易くすることが可能になるとともに、廃棄時の減容化をより一層図ることができる。また、内容物が前記口部側に移動し、かつ容器軸O方向の寸法が小さくなっているため、重心が下側に位置することなり、チューブ容器1の正立状態を安定して保つことができる。
【0035】
また係合開口部20の周縁部20aが、第1弱化ライン11を破断して得られる第1破断縁部11aの少なくとも一部により形成されているので、第1弱化ライン11を破断するといった簡便な作業によって係合開口部20を形成することができる。さらに本実施形態のように、第1破断縁部11aによって、係合開口部20の周縁部20aがその全周にわたって形成される場合には、第1弱化ライン11を破断するだけの一層簡便な作業で係合開口部20を形成することができる。
【0036】
さらに、弱化ライン10の前記終端縁に前記貫通孔21が形成されているので、弱化ライン10が終端縁まで破断されたときに、弱化ライン10を破断するためにシール部2に加えられた力が、前記終端縁からシール部2の他部分に加えられるのを抑制することが可能になり、シール部2のうち、弱化ライン10の非形成領域が破断されるのを抑制することができる。
【0037】
なお本実施形態では、被係合部23は、チューブ本体4の肩部6に設けられているものとしたが、これに限られるものではなく、例えば、キャップ5の本体部7における周壁部などに設けられていても良い。
【0038】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態に係るチューブ容器を説明する。
なお、この第2実施形態においては、第1実施形態における構成要素と同一の部分については同一の符号を付し、その説明を省略し、異なる点についてのみ説明する。
【0039】
図4に示すように、本実施形態のチューブ容器30は、前記弱化ライン10として、前記第1弱化ライン11に加え、第2〜第6弱化ライン12、13、14、15、16を備えている。
【0040】
第2弱化ライン12は、第1弱化ライン11における左右方向の中間部から上側に向けて延在してシール部2の上端縁(外周縁)に接続されている。図示の例では、第2弱化ライン12は容器軸Oに平行に延在し、前記正面視において容器軸O上に位置している。そして、この第2弱化ライン12によって、シール部2の前記上側部分2aは、前記正面視において左右両部分2d、2cに区画されている。
【0041】
なお図示の例では、第1弱化ライン11の端縁のうち、シール部2の前記左右両部分2d、2cのうちの一方である一の部分2cに位置する端縁は、前記一の部分2cの左右方向の中央部よりも左右方向の外側に位置している。また、第1弱化ライン11の端縁のうち、シール部2の前記左右両部分2d、2cのうちの他方である他の部分2dに位置する端縁は、前記他の部分2dの左右方向の中央部よりも左右方向の外側に位置している。
【0042】
第3弱化ライン13は、前記一の部分2cに配置され、該一の部分2cの内部から下側に向けて延在している。図示の例では、第3弱化ライン13は、前記一の部分2cにおいて第1弱化ライン11の端縁よりも左右方向の内側に位置する部分から下側に向けて延在するとともに、容器軸Oと平行に延在しており、前記一の部分2cの左右方向の中央部上に位置している。また、第3弱化ライン13の下側に位置する端縁は、第1弱化ライン11よりも上側に位置しているとともに、第3弱化ライン13の上側に位置する端縁は、シール部2の上端縁に非接続となっている。
【0043】
第4弱化ライン14は、前記一の部分2cに配置され、前記一の部分2cの内部において第1弱化ライン11の端縁および第3弱化ライン13よりも左右方向の内側に位置する部分から、左右方向の外側に向けて延在しシール部2の側端縁(外周縁)に接続されている。そして第4弱化ライン14には、第3弱化ライン13の下側に位置する端縁(他方側の端縁)が接続されている。図示の例では、第4弱化ライン14は左右方向に平行に延在しており、第4弱化ライン14の端縁のうち、左右方向の内側に位置する端縁は、前記一の部分2cの左右方向の中央部よりも内側に位置している。
【0044】
第5弱化ライン15は、前記他の部分2dに配置され、該他の部分2dの内部から上側に向けて延在しシール部2の上端縁に接続されている。図示の例では、第5弱化ライン15は、前記他の部分2dの内部において第1弱化ライン11の端縁よりも左右方向の内側に位置する部分から上側に向けて延在するとともに、容器軸Oと平行に延在しており、前記他の部分2dの左右方向の中央部上に位置している。
【0045】
第6弱化ライン16は、前記他の部分2dに配置され、該他の部分2dの内部において第1弱化ライン11の端縁および第5弱化ライン15よりも左右方向の内側に位置する部分から、第1弱化ライン11と第5弱化ライン15との間を通るように左右方向の外側に向けて延在しシール部2の側端縁に接続されている。第6弱化ライン16は、第1弱化ライン11および第5弱化ライン15に非接続とされている。また図示の例では、第6弱化ライン16は左右方向に平行に延在しており、第6弱化ライン16の端縁のうち、左右方向の内側に位置する端縁は、前記他の部分2dの左右方向の中央部よりも内側に位置している。
【0046】
ここで前記貫通孔21は、第1弱化ライン11の両端縁、第2弱化ライン12の端縁のうち、下側に位置する端縁、第3弱化ライン13の端縁のうち、上側に位置する端縁、第5弱化ライン15の端縁のうち、下側に位置する端縁、並びに第4弱化ライン14および第6弱化ライン16それぞれの端縁のうち、左右方向の内側に位置する端縁に形成されている。
【0047】
また、弱化ライン10の端縁のうち、シール部2の外周縁に接続された端縁には、前記破断方向の終端縁側に向けて切り込むノッチ部31が形成されている。図示の例では、ノッチ部31は、第2弱化ライン12、第4弱化ライン14および第6弱化ライン16それぞれの端縁のうち、シール部2の外周縁に接続された端縁に形成されており、ノッチ部31の正面視形状は、角部のうちの1つが各弱化ライン12、14、16上に位置する三角形状となっている。
【0048】
次に、以上のように構成されたチューブ容器30の作用について説明する。
はじめに、弱化ライン10を破断する。この過程で、まず図5に示すように、第2弱化ライン12を破断する。このとき、前記一の部分2cおよび前記他の部分2dを互いに引き離すことで、第2弱化ライン12をノッチ部31から下側に向けて破断する。
【0049】
次いで図5および図6に示すように、第1弱化ライン11において第2弱化ライン12の端縁が接続された部分から左右方向の外側に向けて延びる両部分をそれぞれ、左右方向の内側から外側に向けて破断する。このとき、前記一の部分2cおよび前記他の部分2dをそれぞれ、左右方向の外側に向けて折り返すようにして、前記一の部分2cおよび前記他の部分2dと、シール部2の前記下側部分2bと、をそれぞれ引き離すことで、第1弱化ライン11の前記両部分それぞれを破断する。すると図6に示すように、前記左右両部分2d、2cが左右方向に分断される。
【0050】
なお図示の例では、このように第1弱化ライン11を破断するときに、第4弱化ライン14および第6弱化ライン16をそれぞれ部分的に破断する。このとき、第4弱化ライン14および第6弱化ライン16をそれぞれ、ノッチ部31側から部分的に破断する。
その後、図7および図8に示すように、第4弱化ライン14および第6弱化ライン16をそれぞれの全長にわたって破断する。なお、これらの弱化ライン14、16は、第2弱化ライン12および第1弱化ライン11を破断する前に破断しても良い。
【0051】
そして、図8および図9に示すように、第3弱化ライン13および第5弱化ライン15を破断する。このとき、第3弱化ライン13は、下側から上側に向けて破断し、第5弱化ライン15は、上側から下側に向けて破断する。このように、第3弱化ライン13および第5弱化ライン15をそれぞれ破断すると、第3弱化ライン13を破断することで得られる第3破断縁部13a、および第5弱化ライン15を破断することで得られる第5破断縁部15aそれぞれの間に、互いに容器軸O方向の反対側に向けて開口する一対の切込み部32が形成されることとなる。
なお第5弱化ライン15は、第2弱化ライン12、第1弱化ライン11、第4弱化ライン14および第6弱化ライン16を破断する前に破断しても良い。
【0052】
以上で弱化ライン10の破断が終了する。なおその後、前記一の部分2cにおいて、第4弱化ライン14を破断することで得られる第4破断縁部14aのうちの上側の破断縁部14aが位置する部分を左右方向に折り返すとともに、前記他の部分2dにおいて、第6弱化ライン16を破断することで得られる第6破断縁部16aのうちの上側の破断縁部16aが位置する部分を左右方向に折り返す。
【0053】
さらに、このように弱化ライン10を破断するとともに、前述のように胴部3の前記シール部側部分3b内の内容物を胴部3の前記口部側部分3c内に移動させ、かつチューブ本体4の胴部3を前記中間部分3aで折り曲げる。
その後、図10に示すように、シール部2の前記一の部分2cおよび前記他の部分2dをそれぞれ、胴部3の前記口部側部分3cの左右方向の両外側を通して、該口部側部分3cに対する前記シール部側部分3bの前後方向の反対側に回りこませる。
【0054】
そして、第3破断縁部13aおよび第5破断縁部15aそれぞれの間に形成された一対の切込み部32同士を互いに係止させる。これにより、分断された前記左右両部分2d、2cが連結され、第1破断縁部11a、第4破断縁部14aおよび第6破断縁部16aによって周縁部20aが形成された係合開口部20が形成されるとともに、この係合開口部20内に、被係合部23としての胴部3の前記口部側部分3cが配置され、係合開口部20が被係合部23に係合されることとなる。
【0055】
以上説明したように、本実施形態に係るチューブ容器30によれば、第1破断縁部11a、第4破断縁部14aおよび第6破断縁部16aによって周縁部20aが形成された係合開口部20が形成されるので、周縁部が第1破断縁部11aのみによって形成された係合開口部に比べて周縁部20aを長くして、係合開口部20を大きくすることができる。
【0056】
またこのように、係合開口部20を大きくすることができるので、本実施形態のように例えば、胴部3の一部分である前記口部側部分3cを被係合部23としても、この被係合部23に係合開口部20内を係合させる作業を円滑に行うことができる。この場合、被係合部23として新たな構成をチューブ容器30に備えさせなくても良く、このチューブ容器30の構成の簡素化を図ることができる。
【0057】
なお本実施形態では、弱化ライン10の端縁のうち、シール部2の外周縁に接続された端縁に前記ノッチ部31が形成されているものとしたが、これに限られない。
また本実施形態では、第2弱化ライン12、第3弱化ライン13および第5弱化ライン15は容器軸O方向に平行とされているが、容器軸O方向に延在していればこれに限られるものではなく、例えば容器軸O方向に対して多少傾斜していても良い。
さらに本実施形態では、第4弱化ライン14および第6弱化ライン16は左右方向に平行とされているが、左右方向に延在していればこれに限られるものではなく、例えば左右方向に対して多少傾斜していても良い。
【0058】
また前記実施形態では、第2弱化ライン12は、前記正面視において容器軸O上に位置しているものとしたがこれに限られず、例えば、容器軸Oから左右方向にずらされていても良い。
さらに前記実施形態では、第3弱化ライン13は、前記一の部分2cの左右方向の中央部上に位置し、第5弱化ライン15は、前記他の部分2dの左右方向の中央部上に位置しているものとしたが、これに限られるものではない。例えば、第3弱化ライン13が、前記一の部分2cの前記中央部上から左右方向の内側や外側にずらされていても良く、第5弱化ライン15が、前記他の部分2dの前記中央部上から左右方向の内側や外側にずらされていても良い。
【0059】
また、第3弱化ライン13および第5弱化ライン15を設けない構成としても良く、この場合、分断された前記左右両部分2d、2cを連結する別の係合手段(例えば、両面テープによる接着など)を設けることが好ましい。
また、第4弱化ライン14および第6弱化ライン16を設けず、第3弱化ライン13の下側に位置する端縁を第1弱化ライン11に接続させる構成とすることも可能である。
【0060】
なお、本発明の技術的範囲は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、前記各実施形態では、弱化ライン10の端縁のうち、該弱化ライン10を破断する破断方向の終端縁に前記貫通孔21が形成されているものとしたが、これに限られない。
【0061】
また前記各実施形態では、第1弱化ライン11は、左右方向に平行であるものとしたが、左右方向に延在していればこれに限られるものではなく、例えば左右方向に対して多少傾斜していても良い。
さらに前記各実施形態では、左右方向は、前記正面視において容器軸O方向に直交するものとしたが、これに限られるものではなく、容器軸Oに直交する方向に対して傾斜する方向であっても良い。
【0062】
また前記実施形態では、折り曲げライン22が、胴部3の前記中間部分3aに周方向の全長にわたって延びているものとしたが、胴部3の復元力や折り曲げ易さなどを考慮して適宜変更することができる。例えば、胴部3において前後方向を向く前後面のうちの一方(半周)にのみ設けても良く、また、折り曲げライン22を設けなくても良い。
【0063】
また前記各実施形態では、胴部3を折り曲げる前に、胴部3の前記シール部側部分3bを前後方向に押し潰すものとしたが、押し潰さなくても良い。
またチューブ容器1、30は、前記各実施形態に示したものに限られず、上端開口部が径方向に挟み込まれて閉塞されてなるシール部が形成された胴部と、胴部の下端開口部に配設された口部と、を備える構成であれば適宜変更することが可能である。例えば、キャップ5として他の形態のキャップ(ねじキャップ等)を採用したり、キャップ5を備えない構成を採用したりしても良い。
【0064】
その他、本発明の趣旨に逸脱しない範囲で、前記実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、前記した変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0065】
1、30 チューブ容器
2 シール部
3 胴部
3a 中間部分
O 容器軸
10 弱化ライン
11 第1弱化ライン
11a 第1破断縁部
12 第2弱化ライン
13 第3弱化ライン
14 第4弱化ライン
15 第5弱化ライン
16 第6弱化ライン
20 係合開口部
20a 周縁部
21 貫通孔
23 被係合部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器軸方向の一方側に位置する一端開口部が径方向に挟み込まれて閉塞されてなるシール部が形成された胴部と、
該胴部において容器軸方向の他方側に位置する他端開口部に配設された口部と、を備えるチューブ容器であって、
前記シール部には、破断容易な弱化ラインが形成され、
前記弱化ラインは、前記シール部を形成するときに前記一端開口部を挟み込む前後方向から見た正面視において容器軸方向に交差する左右方向に延在し、前記シール部内に位置する第1弱化ラインを備え、
前記第1弱化ラインを破断して得られる第1破断縁部の少なくとも一部により、係合開口部の周縁部が形成され、
該チューブ容器において、前記胴部の容器軸方向の中間部分よりも前記他方側に位置する部分には、前記胴部が前記中間部分で折り曲げられた状態で前記係合開口部が係合し、該胴部の折り曲げ姿勢を保持する被係合部が形成されていることを特徴とするチューブ容器。
【請求項2】
請求項1記載のチューブ容器であって、
前記弱化ラインは、
前記第1弱化ラインにおける前記左右方向の中間部から前記一方側に向けて延在して前記シール部の外周縁に接続され、前記シール部のうち、前記第1弱化ラインよりも前記一方側に位置する部分を前記正面視において左右両部分に区画する第2弱化ラインと、
前記左右両部分のうちの一方に配置され、該一方の内部から前記他方側に向けて延在する第3弱化ラインと、
前記左右両部分のうちの一方に配置され、該一方の内部において前記第1弱化ラインの端縁および前記第3弱化ラインよりも前記左右方向の内側に位置する部分から、前記左右方向の外側に向けて延在し前記シール部の外周縁に接続されるとともに、前記第3弱化ラインの前記他方側の端縁が接続された第4弱化ラインと、
前記左右両部分のうちの他方に配置され、該他方の内部から前記一方側に向けて延在し、前記シール部の外周縁に接続された第5弱化ラインと、
前記左右両部分のうちの他方に配置され、該他方の内部において前記第1弱化ラインの端縁および前記第5弱化ラインよりも前記左右方向の内側に位置する部分から、前記第1弱化ラインと前記第5弱化ラインとの間を通るように前記左右方向の外側に向けて延在し前記シール部の外周縁に接続された第6弱化ラインと、を備えていることを特徴とするチューブ容器。
【請求項3】
請求項1または2に記載のチューブ容器であって、
前記弱化ラインの端縁のうち、該弱化ラインを破断する破断方向の終端縁には、前記シール部を貫通する貫通孔が形成されていることを特徴とするチューブ容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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