説明

チューリップ形開閉式バケット

【課題】本発明は、チューリップ形開閉式バケットに関し、藁などの軽量の集草対象物を、逃がすことなく効率的にバケットに集めることができるようにすることが課題である。
【解決手段】バケット中央部の壁であるバックプレート2と、前記バックプレートの背面に固着される取付ブラケット3と、底板と該底板の一端部から起立するサイド板とでL字形に形成されるとともに、当該サイド板における上下方向の側端部が前記バックプレートの左右の側端部に水平方向へ回転自在にして軸支され対向配置にされたL字形バケット4とからなり、前記バックプレートの正面側において左右のL字形バケット4を駆動手段で水平に回転させて閉じ、その底板の先端部同士を突き合わせるようにするとともに当該底板の片側端部をそれぞれバックプレート2の正面に当接若しくは近接させることでバケットの底板となるようにしたチューリップ形開閉式バケット1とするものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、木材チップ,稲藁(ワラ),牧草などの体積の割には軽量な集草対象物(以下、本願で同じ)を集めるチューリップ形開閉式バケットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、馬・牛等の家畜を飼うのに必要な敷き藁は、厩舎において定期的に取り替える必要がある。その交換用の藁を大量に必要とするので、フォークやバケット等の作業機で掬っているのが知られている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2003−33107号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、従来のバケット等では、集草対象物が軽量であるので、圃場でモーアにより刈り取られて集められたウインドロウや保管場所に集められた藁などを、バケットで掬おうとすると前方へと藁等が逃げてしまい、うまくバケット内に納めることができず作業効率が悪くなる。一方、フォークでは大きく束ねた藁等であれば掬うことができるが、チップ等や小さいものはフォークの隙間からこぼれ落ちるので、効率的でない。結局、人手によりバケット内に集草対象物を納めて、それを運搬するほうが作業的に無駄がないと言うことになり、効率的な機械化が困難である。かかる機械化を阻む要因に着目し、本発明に係るチューリップ形開閉式バケットによって、このような課題を解決するものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明に係るチューリップ形開閉式バケットの上記課題を解決して目的を達成するための要旨は、バケット中央部の壁であるバックプレートと、前記バックプレートの背面に固着される取付ブラケットと、底板と該底板の一端部から起立するサイド板とでL字形に形成されるとともに、当該サイド板における上下方向の側端部が前記バックプレートの左右の側端部に水平方向へ回転自在にしてそれぞれ軸支されるL字形バケットとからなり、前記バックプレートの正面側において左右の前記L字形バケットを駆動手段で水平に回転させて閉じ、その底板の先端部同士を突き合わせるようにするとともに当該底板の片側端部をそれぞれバックプレートの正面に当接若しくは近接させることでバケットの底板となることである。
また、前記左右のL字形バケットは、互いに独立した駆動手段により別々に回転自在にされていることが好ましい。
【発明の効果】
【0005】
本発明のチューリップ形開閉式バケットによれば、軽量の集草対象物を左右のL字形バケットで中央に寄せるようにして集める。藁や牧草などは、互いに絡まって纏まり、その一部が前方にはじき出されることなく、全体がバケット内に納まる。よって、集草対象物をバケット前方に逃がすことなく、開閉するL字形バケットの範囲内の集草対象物を極めて効率的に掬い集めることができる。
また、前記左右のL字形バケットを別々に開閉操作できるようにすることで、集草対象物の散逸状態や絡まり状態により、中央のバックプレートへ適宜に操作することができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明に係るチューリップ形開閉式バケット1は、図1(A)〜(C)に示すように、バケット中央部の平板状の壁であるバックプレート2と、前記バックプレート2の背面に固着されトラクター等の農機具のアーム若しくはリンク等に取り付けられる取付ブラケット3とがある。前記バックプレート2の上部は、内側に傾斜している押えプレート2aとなっている。この押えプレート2aの傾斜角度は任意である。
【0007】
また、底板4aとその一端部から起立するサイド板4bとでL字形に形成されるとともに、当該サイド板4bにおける上下方向の側端部4cが前記バックプレート2の左右の側端部2b,2cに水平方向へ回転自在にして軸受け部材5で軸支され対向配置にされたL字形バケット4とからなる。
【0008】
前記L字形バケット4の底板4aは、四角形状の板体であり、その中央部から周囲に下り傾斜のテーパが設けられていて、藁などを掬いやすいようにしている。前記サイド板4bは、前記底板4aに一体的に溶接手段やボルト等で接合して組み立てられる。また、その上部は、斜め内側に任意の角度で傾斜している傾斜プレート4dとなっている。前記押えプレート2a及び傾斜プレート4dは、集草した藁などを適宜にバケット内側に押さえつけるものである。
【0009】
そして、図2に示すように、前記バックプレート2の正面側において左右のL字形バケット4,4を、油圧シリンダー等の駆動手段で水平に回転させて閉じ、その底板4a,4aの先端部4e,4e同士を突き合わせるようにするとともに当該底板4aの片側端部4f,4fをそれぞれバックプレート2の正面に当接若しくは近接させることでバケット1の底板となるものである。
【0010】
前記左右のL字形バケット4,4は、開いた状態ではバックプレート2を挟んで対称になり、閉じた状態では対向配置になるが、必ずしも同期して回転する必要はなく、例えば、互いに独立した駆動手段、例えば、フォークリフトのシリンダー等で、別々に回転自在にされているのが好ましい。それにより、障害物を避けたり藁などの集まり具合を見たりしながら、L字形バケット4を別個に回転操作することができる。
【0011】
このチューリップ形開閉式バケット1を使用することで、L字形バケット4,4を広げた状態で集草対象物に向かって前進し、そして、このL字形バケット4,4を油圧シリンダー等の駆動手段で閉じることで、軽量で嵩張る集草対象物を前に逃がすことなく、大量の藁等をバケット内に圧縮して集草することができる。なお、前記駆動手段は、チューリップ形開閉式バケット1の背面側に、駆動手段の一部として、シリンダー等を予め装備していても良い。
【0012】
図3に示すように、前記チューリップ形開閉式バケット1をアタッチメントとして作業機械の6リンクに取り付けて、運搬用のダンプカー7等に前記バケット1を荷台の上に持ち上げた後に下げて、バケット1内の集草対象物8を前方にそのまま落として荷台に積み込むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係るチューリップ形開閉式バケット1が開いた状態の、平面図(A)、背面図(B),側面図(C)である。
【図2】同本発明のチューリップ形開閉式バケット1が閉じた状態の、平面図(A)、背面図(B),側面図(C)である。
【図3】チューリップ形開閉式バケット1の使用状態を示す説明図である。
【符号の説明】
【0014】
1 チューリップ形開閉式バケット、
2 バックプレート、 2a 押えプレート、
3 取付ブラケット、
4 L字形バケット、 4a 底板、
4b サイド板、 4c 側端部、
4d 傾斜プレート、 4e 先端部、
4f 片側端部、
5 軸受け部材、
6 作業機械、
7 ダンプカー、
8 集草対象物。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バケット中央部の壁であるバックプレートと、
前記バックプレートの背面に固着される取付ブラケットと、
底板と該底板の一端部から起立するサイド板とでL字形に形成されるとともに、当該サイド板における上下方向の側端部が前記バックプレートの左右の側端部に水平方向へ回転自在にしてそれぞれ軸支されるL字形バケットとからなり、
前記バックプレートの正面側において左右の前記L字形バケットを駆動手段で水平に回転させて閉じ、その底板の先端部同士を突き合わせるようにするとともに当該底板の片側端部をそれぞれバックプレートの正面に当接若しくは近接させることでバケットの底板となること、
を特徴とするチューリップ形開閉式バケット。
【請求項2】
左右のL字形バケットは、互いに独立した駆動手段により別々に回転自在にされていること、
を特徴とする請求項1に記載のチューリップ形開閉式バケット。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate