説明

チルト調整機構を備えたレンズ鏡筒

【課題】 レンズ鏡筒内のレンズのチルト調整を容易にしかも微細に調整することが可能なチルト調整機構を備えたレンズ鏡筒を提供する。
【解決手段】 鏡筒光軸Oxの回りに回動されるカム環3を備える鏡筒と、鏡筒内に内装されるレンズL2と、レンズを支持するとともにカム環3に設けたカム溝31に係合するローラ7を円周方向の複数箇所に備えるレンズ枠F2とを備えるレンズ鏡筒において、ローラ7に円周面が軸に対して偏心した偏心部74を設け、かつローラ7を軸回り方向の回動位置を調整可能に構成する。ローラ7の回動位置を調整すると、偏心部74とカム溝31との当接により、ローラ7は回動量に対応した偏心量だけ鏡筒光軸方向に移動され、鏡筒光軸に対するレンズL2の光軸の角度、すなわちチルト角が調整される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はカメラのレンズ鏡筒に関し、特に鏡筒内に配設したレンズの光軸(以下、レンズ光軸と称する)をレンズ鏡筒の光軸(以下、鏡筒光軸と称する)に対して調整するためのチルト調整機構を備えたレンズ鏡筒に関するものである。
【背景技術】
【0002】
カメラのレンズ鏡筒は、基本的には大略円筒状をした鏡筒の内部に1枚以上のレンズを内装した構成である。レンズを鏡筒内に内装する際には、レンズの収差を低減するためにも鏡筒の光軸、すなわちレンズ鏡筒の光軸となる鏡筒光軸とレンズ自体の光軸であるレンズ光軸とを一致させることが好ましい。通常、鏡筒、レンズ、及びレンズを支持するレンズ枠体等の部品は高精度に製造できるため、レンズを鏡筒内に組み込んだときにレンズ光軸と鏡筒光軸の両位置を一致させることは理論的には可能であるが、実際にはレンズを鏡筒内に組み付ける際の組み付け誤差等によって一致させることは難しく、特に鏡筒光軸に対するレンズ光軸の傾きを一致させることが困難である。そのため、レンズ光軸が鏡筒光軸に対して傾斜した状態となるレンズ光軸の傾き(チルト角)の調整、いわゆるチルト調整を行うためのチルト調整機構を備えることが必要となる。
【0003】
従来のチルト調整機構としては、例えば特許文献1ではレンズを支持したレンズ枠を保持するための保持枠をレンズ枠とは別体に設けておき、レンズ枠を保持枠に支持させた上で保持枠を鏡筒内に組み付ける構成をとっている。そして、このレンズ枠と保持枠との円周一部に両者の光軸方向の間隔を調整するためのチルト調整ワッシャを介挿し、保持枠に対するレンズ枠の傾きを変化調整することでチルト調整を行っている。
【特許文献1】特開2006−3837号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のように、チルト調整ワッシャを用いたチルト調整は、鏡筒の外部から鏡筒の外部に向けて開口した開口部を通して鏡筒内に内装した保持枠とレンズ枠との間にチルト調整ワッシャを介挿しなければならず、熟練した作業が必要であり、調整作業が困難である。また、チルト角の調整量はチルト調整ワッシャを異なる厚さのワッシャに交換しているため、チルト調整角は段階的な調整であり、微細なチルト調整を行うことは困難である。また、チルト調整ワッシャを介挿する前後に保持枠とレンズ枠との結合状態を締緩するための作業も必要である。このように、特許文献1のチルト調整機構では、チルト調整を容易にかつ微細に行うことが難しいという問題を抱えている。
【0005】
本発明の目的は、チルト調整を容易にしかも微細に調整することが可能なチルト調整機構を備えたレンズ鏡筒を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、少なくとも一部に鏡筒光軸回りに回動されるカム環を備える鏡筒と、鏡筒内に内装されるレンズと、レンズを支持するとともにカム環に設けたカム溝に係合するローラを円周方向の複数箇所に備えるレンズ枠とを備えるレンズ鏡筒において、少なくとも一つのローラは前記カム溝に当接する円周面の一部に軸線に対して偏心した偏心部を備え、かつ当該ローラの軸回り方向の回動位置を調整可能に構成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、鏡筒内にレンズを組み付けた後に、ローラの回動位置を調整すると偏心部として構成されているローラの円周面の一部とカム溝の内面との当接位置が変化され、ローラはカム溝内において回動角に対応した偏心量だけ鏡筒光軸方向に移動される。これにより、レンズのローラを配設した部分が光軸方向に移動してレンズが傾斜され、鏡筒光軸に対するレンズ光軸の角度、すなわちチルト角が変化でき、レンズ光軸を鏡筒光軸と平行にさせるためのチルト調整を行うことが可能になる。ローラを回動するだけであるのでチルト調整を容易に行うことができ、チルト角はローラの回動量で調整できるので連続したチルト角の調整が可能となる。レンズ枠の他に保持枠を設ける必要がなく部品点数を削減し、小型化を図るとともに、組み付けを容易にして低コスト化が可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明のレンズ鏡筒の好ましい形態としては、ローラは円周一部が偏心した円筒状に形成され、その中心軸穴に挿通されるビスによりレンズ枠の外周面に径方向に向けて固定する。既存のローラを偏心部を備えるローラに置き替えるだけで本発明が構成できるので、既存のレンズ鏡筒への適用も可能である。
【0009】
ローラはレンズ枠の少なくとも円周方向の3箇所に配設する。好ましくは、3つのローラはレンズ枠の中心角で120度の角度位置に配設する。3つのローラについてそれぞれ調整を行うことで、レンズ光軸を三次元方向に調整でき、レンズ光軸を鏡筒光軸と平行にさせることができる。
【0010】
ローラの上端部にはローラを回動させるための治具が嵌合可能な径方向の凹溝を形成する。また、少なくともレンズを鏡筒内に組み付けた工程の後において、ローラはカム溝を通して鏡筒の外部に露呈可能であるので、ローラの回動調整を極めて容易に行うことができる。
【実施例1】
【0011】
次に、本発明の実施例1について図面を参照して説明する。図1は一眼レフカメラの交換レンズとして構成した実施例1のレンズ鏡筒OSの光軸Oxより上側領域の断面図である。実施例1では鏡筒内に第1ないし第5のレンズ又はレンズ群を内装したレンズ鏡筒OSを示している。レンズ鏡筒OSは光軸方向に沿って前環11と後環12とに分割され、これらがネジ13により一体化された内側固定環1を備えており、この内側固定環1の前端部に第1レンズ枠F1により第1レンズL1が固定されている。また、前記内側固定環1の後端部に第5のレンズ枠F5により第5レンズL5が固定されている。なお、この内側固定環1の後端部は図には表れないカメラ本体のレンズマウントに着脱可能なバヨネット部14として構成されている。前記内側固定環1の前環11内には第2レンズ枠F2により第2レンズL2が支持されており、当該前環11に設けられた直進溝111に沿って光軸方向に移動可能とされている。また、後環12内には第3レンズ枠F3と第4レンズ枠F4によってそれぞれ第3レンズL3と第4レンズL4が支持されており、当該後環12に設けられた直進溝121に沿ってそれぞれ光軸方向に移動可能とされている。また、前記前環11と後環12を覆うように内側固定環1と一体的に前外環21,後外環22からなる外側固定環2が設けられている。この実施例1のレンズ鏡筒OSは、いわゆるインナーフォーカスレンズ鏡筒として構成されており、後述するように前記第2レンズL2がフォーカスレンズとして構成され、第2レンズL2の光軸方向の位置調整により撮影する被写体像の合焦を行うようになっている。
【0012】
前記内側固定環1の前環11の外周にはフォーカスカム環3が嵌合配置されている。このフォーカスカム環3はフォーカス操作環4にビス42で連結されており、フォーカス操作環4の回動に伴って鏡筒光軸回りに一体的に回動可能とされている。前記フォーカス操作環4は円周一部にストップレバー41が設けられ、このストップレバー41は後外環22の前端部に設けられた円周方向の溝22aに係合され、所要の角度範囲で鏡筒光軸回りに回動操作可能に構成されている。図2に前記前環11とフォーカスカム環3の概略構成を示すように、このフォーカスカム環3には所要形状のフォーカスカム溝31が形成されており、前記第2レンズ枠F2の外周に外径方向に立設したローラ7が前記前環11の直進溝111とフォーカスカム環3のカム溝31を貫通した状態で係合している。また、前記内側固定環1の後環12の外周にはズームカム環5が嵌合配置されており、前記後外環22の外周面に沿って回動操作可能に構成されたズーム操作環6から内径方向に突出したレバー61に係合され、ズーム操作環6の回動に伴って鏡筒光軸回りに一体的に回動可能とされている。このズームカム環5には所要形状のズームカム溝51,52が形成されており、前記第3レンズ枠F3と第4レンズ枠F4のそれぞれの外周に外径方向に立設したローラ8,9が前記後環12の直進溝121とズームカム環5のカム溝51,52を貫通した状態で係合している。なお、前記直進溝111,121、カム溝31,51,52、及び各レンズ枠F2,F3,F4のローラ7,8,9はそれぞれレンズ鏡筒を正面方向から見たときに円周方向の3箇所、通常では鏡筒光軸の回りに120度の中心角の位置にそれぞれ同じ形状の溝、ローラとして設けられている。
【0013】
このレンズ鏡筒OSの概略動作を説明すると、ズーム操作環6を回動操作するとズームカム環5が一体に回動されるため、ズームカム溝51,52と後環12の直進溝121との交差位置が光軸方向に変化され、これら溝の交差位置にある第3レンズ枠F3と第4レンズ枠F4の各ローラ8,9の位置も光軸方向に変化され、これらに支持された第3レンズL3と第4レンズL4の光軸方向の位置が変化され、所望のズーム値、すなわち焦点距離に設定される。同様にフォーカス操作環4を回動操作するとフォーカスカム環3が一体に回動されるため、フォーカスカム溝31と前環11の直進溝111との交差位置が光軸方向に変化され、当該溝の交差位置にある第2レンズ枠F2のローラ7の位置も光軸方向に変化され、これらに支持された第2レンズL2の光軸方向の位置が変化され、合焦状態に設定される。このとき、各ローラ7,8,9はその外周面が各カム溝31,51,52や直進溝111,121の内面に接触した状態を保ったままこれらの溝内で移動される。
【0014】
また、この実施例1のレンズ鏡筒OSでは前述したようにフォーカスレンズとしての第2レンズL2のレンズ光軸が鏡筒光軸Oxに対して傾斜していると、撮影される被写体像の収差の影響が大きくなり、特に撮影画像の一部領域のピントが合わない、いわゆる片ボケの写真になる。そこで、第2レンズL2に対するチルト調整機構を設けている。図3は第2レンズL2の要部の拡大断面図、図4は第2レンズL2に設けたローラ7の拡大分解図である。図2に示したように第2レンズ枠F2の円周3箇所にそれぞれローラ7が外径方向に立設されている。各ローラ7はそれぞれ同じ構成であり、樹脂成形により形成された円筒状をしたローラ体71と、このローラ体71の中心軸穴72に挿通されるビス73とで構成されている。ローラ体71は筒軸方向の上端部、すなわち前記フォーカスカム環3のカム溝31に係合する部分が前記中心軸穴72の軸線に対して所要寸法だけ偏心した偏心部74として形成されている。この偏心部74はローラ体71の下端部71aと同じ径寸法であり、当該下端部に対する偏心寸法を偏心量γとする。また、ローラ体71の上端面には径方向の凹溝75が形成されており、この凹溝75には専用治具、あるいはマイナスドライバが嵌合でき、ローラ体71を中心軸穴72の回りに回動位置調整可能に構成されている。その上で、第2レンズ枠F2の円周3箇所には前記ローラ体71の外径にほぼ等しい円形の凹部76が設けられ、この凹部76内にローラ体71の下端部が挿入され、中心軸穴72に挿通されたビス73を第2レンズ枠F2に螺合し、当該ビス73の頭部73aを中心軸穴72の径寸法が異なる境界部に生じている段部72aに当接させることによってローラ体71をその軸方向に圧着し、ローラ体71を第2レンズ枠F2に対して一体的に固定している。
【0015】
この構成のレンズ鏡筒OSでは、内部に第1ないし第5のレンズL1〜L5を組み込んでレンズ鏡筒OSを構成する際に、第2レンズL2のチルト調整を行って第2レンズL2のレンズ光軸を鏡筒光軸Oxと平行にさせるための調整を行う。この調整を行う時点では、レンズ鏡筒の少なくとも前外環21は未だに取り付けられておらず、したがって少なくともフォーカスカム環3は露呈された状態にあり、フォーカスカム環3のカム溝31と、このカム溝31内に内挿されている第2レンズL2のローラ7もカム溝31を通して露呈した状態にある。そこで、第2レンズ枠F2に設けられた3つのローラ7のうち、仮に今図5(a)に示した状態にある1つのローラ7に対し、凹溝75に専用治具あるいはマイナスドライバを嵌合し、ローラ体71を中心軸穴72回りに回動させる。このときローラ体71はビス73によって第2レンズ枠F2に固定されているが、ビス73の頭部73aとローラ体71の中心軸穴72の段部72aとの当接面における滑りによりローラ体71の回動位置を変化させることは可能である。この回動操作によりローラ体71の下端部71aは直進溝111内で回動し、偏心部74はカム溝31内において回動するが、下端部71aは直進溝111の内面との当接によって直進溝111の幅方向(鏡筒光軸Oxと直交する方向)には移動されることなく回動するため、偏心部74はカム溝31内で偏心回動され、カム溝31の内面との当接により生じる反力によって直進溝111の長さ方向、すなわち鏡筒光軸Ox方向へ移動され、結果としてローラ7は鏡筒光軸Ox方向に移動される。
【0016】
ここで、図5(a)では偏心部74をローラ体71の下端部71aに対してカム溝31の溝方向に沿って偏心させておき、この状態から図5(b)に示すようにローラ体71を角度θoだけ回動した状態を示している。ローラ7はフォーカスカム環3に対して寸法β(β・γ・ sinθo)だけ鏡筒光軸Oxに沿った方向に移動される。したがって、ローラ7を所要の角度範囲内で回動位置を調整するとローラ7は鏡筒光軸Oxの方向に移動されることになり、ローラ7を支持している第2レンズL2は図2に示したように、左右下側に配置した他の2つのローラ7,7を結ぶ線Lxを支点にして調整した1つのローラ7を立設している第2レンズ枠F2の円周部分が鏡筒光軸Oxに沿った方向に傾動され、結果として鏡筒光軸Oxに対する第2レンズL2のレンズ光軸の傾斜角度、すなわちチルト角αが変化されることになり、当該方向におけるチルト調整が実現できる。なお、ローラ7の所要の角度範囲は、ローラ7を回動するときに直進溝111内でローラ7が直進溝111の内面と干渉して無理な応力を受けることなく回動可能な角度である。また、前記説明ではローラ7を鏡筒光軸Oxの前方に傾ける例を示したが、後方に傾ける場合にはローラ7を図5(b)と反対方向に回動させればよい。このときには、例えば初期の状態では偏心部74とローラ体71を図5(b)の回動位置に設定しておき、この状態からローラ7を反時計方向に回動して図5(a)の回動位置に設定するようにすればよい。
【0017】
なお、通常ではレンズ光軸の上下方向の傾き調整をチルト調整と称しているため、本発明にかかるローラは図2に示した3つのローラのうち、鉛直上側に配設された1つのローラについてのみ実施例1のように偏心した構成とすればよい。また、レンズ光軸を三次元的に調整することを含めてチルト調整とする場合もあり、その場合には図2に示した左右下側の2つのローラについても同様に偏心構造にして光軸調整を行うことが可能な構成とすることにより、第2レンズL2のレンズ光軸を鏡筒光軸Oxに対して平行にさせることが可能である。
【0018】
このように、実施例1ではレンズ鏡筒OSに露呈されている状態のローラ7の回動位置を調整するだけで当該ローラ7の鏡筒光軸方向の位置を変化調整し、当該ローラ7を立設している第2レンズL2のチルト調整が可能であり、チルト調整を容易に行うことができる。また、ローラの回動位置を調整することによるローラの鏡筒光軸方向の移動量はローラの回動量(回動角)と相関するので、回動量を微細に調整することで移動量を微細にかつ連続的に変化でき、チルト調整量についても微細にかつ連続的に調整することができる。さらに、チルト調整を行うために第2レンズ枠L2を特許文献1のようにレンズ枠と保持枠とに分割した構成にする必要もないため、部品点数を削減し、組付工数を低減して低コスト化を図ることも可能である。
【0019】
実施例1ではローラ7をマイナスドライバ等を用いて回動調整するためにローラ体71の上端部に凹溝75を形成しているが、ローラ体71の上端部を角筒状、例えば六角ナット状に形成し、六角レンチや小型スパナ等によって回動調整するように構成してもよい。あるいは、その他の特殊な異形状にしてローラ体71を回動調整するように構成してもよい。
【0020】
実施例1では本発明をインナーフォーカスレンズにおけるチルト調整に適用した例を示したが、他のレンズについてもカム環に設けたカム溝に係合するローラを備えて当該レンズを鏡筒光軸方向に移動させる構成のレンズであれば本発明を同様に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施例1のレンズ鏡筒の一部の断面図である。
【図2】実施例1の要部の概略構成を示す分解斜視図である。
【図3】第2レンズのローラの拡大断面図である。
【図4】ローラの部分分解斜視図である。
【図5】チルト調整を説明するためのローラの平面図である。
【符号の説明】
【0022】
OS レンズ鏡筒
1 内側固定環
2 外側固定環
3 フォーカスカム環
4 フォーカス操作環
5 ズームカム環
6 ズーム操作環
7,8,9 ローラ
10 固定環
31,51,52 カム溝
71 ローラ体
72 中心軸穴
73 ビス
74 偏心部
75 凹溝
111,121 直進溝
L1〜L5 第1〜第5レンズ
F1〜F5 第1〜第5レンズ枠
Ox 鏡筒光軸
α チルト角
γ 偏心量
β 偏心移動量



【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一部に鏡筒光軸回りに回動されるカム環を備える鏡筒と、前記鏡筒内に内装されるレンズと、前記レンズを支持するとともに前記カム環に設けたカム溝に係合するローラを円周方向の複数箇所に備えるレンズ枠とを備えるレンズ鏡筒において、前記ローラの少なくとも一つは前記カム溝に当接する円周面の一部に軸線に対して偏心した偏心部を備え、かつ当該ローラの軸回り方向の回動位置を調整して前記レンズのチルト角を調整可能に構成したことを特徴とするチルト調整機構を備えたレンズ鏡筒。
【請求項2】
前記ローラは円周一部が偏心した円筒状に形成され、その中心軸穴に挿通されるビスにより前記レンズ枠の外周面に径方向に向けて固定されていることを特徴とする請求項1に記載のチルト調整機構を備えたレンズ鏡筒。
【請求項3】
前記ローラは前記レンズ枠の少なくとも円周方向の3箇所に配設されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のチルト調整機構を備えたレンズ鏡筒。
【請求項4】
前記3つのローラはレンズ枠の中心角で120度の角度位置に配設されていることを特徴とする請求項3に記載のチルト調整機構を備えたレンズ鏡筒。
【請求項5】
前記ローラの上端部にはローラを回動させるための治具が嵌合可能な径方向の凹溝が形成されていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載のチルト調整機構を備えたレンズ鏡筒。
【請求項6】
少なくともレンズを鏡筒内に組み付けた工程の後において、前記ローラは前記カム溝を通して前記鏡筒の外部に露呈可能であることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載のチルト調整機構を備えたレンズ鏡筒。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−46439(P2008−46439A)
【公開日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−222973(P2006−222973)
【出願日】平成18年8月18日(2006.8.18)
【出願人】(000000527)ペンタックス株式会社 (1,878)
【Fターム(参考)】