説明

テレスコカバー

【課題】伸縮動作の安定性が向上されたテレスコカバーを提供する。
【解決手段】互いに重なり合う領域を有することで一つの保護領域を形成する複数のカバー部材2と、互いに重なり合う領域が減少又は増加するように複数のカバー部材2を変位可能に複数のカバー部材2を連結する連結機構3と、を備え、複数のカバー部材2の互いに重なり合う領域を減少又は増加させることにより保護領域を伸縮可能に構成されたテレスコカバー1において、連結機構3は、ピン結合により連結された複数のリンクが保護領域の伸縮方向に平行な第1の平面上で回転運動することにより全体が伸縮する第1のパンタグラフ機構31と、ピン結合により連結された複数のリンクが保護領域の伸縮方向に平行かつ第1の平面と交わる第2の平面上で回転運動することにより全体が伸縮する第2のパンタグラフ機構32と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テレスコカバーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、産業機械において直線的な運動をする部位、例えば、主軸頭、ピストン、シリンダー等を保護するために、かかる部位の運動に合わせて保護領域を伸縮可能に構成されたカバーが知られている(特許文献1〜9参照)。この伸縮自在なカバーは、テレスコピック構造(例えば、望遠鏡のように、重なり合った複数の筒を互いにずらすことにより全体が伸び縮みするような構造)を、ちょうど半分に割ったような構造となっており、テレスコカバーあるいはテレスコピックカバーなどと呼ばれている。
【0003】
テレスコカバーは、例えば、軌道レールと移動ブロックとの間の摺動部を覆うように取り付けられた場合には、摺動部の潤滑油等が周辺へ飛散したり、摺動部の隙間に外部から異物等が混入することなどを抑制し、潤滑油等による周囲への汚染や摺動部の摩耗や故障の防止をする。また、テレスコカバーは、摺動部への不用意なアクセスを抑制し、作業者の怪我等の危険性を低減して安全性を高めることができる。
【0004】
図6を参照して、従来技術に係るテレスコカバーについて説明する。図6は、従来技術に係るテレスコカバーの構成を示す模式図である。テレスコカバー100は、保護領域を形成する複数のカバー部材101と、各カバー部材101を互いに連結する連結機構102と、を備える。
【0005】
各カバー部材101は、それぞれ保護対象の上方と両側方を覆う略相似した形状を有しており、大きさがそれぞれ少しずつ異なっている。各カバー部材101は、小さいものから順次重ね合わされるとともに、小さいもの又は大きいものから順次互いの位置をずらしたときに、隣接するカバー部材101同士が部分的に互いに重なり合う領域を形成することにより、1つの連続的な保護領域を形成する。
【0006】
連結機構102は、パンタグラフ機構と呼ばれる伸縮機構であり、テレスコカバー100の保護領域を伸縮させる方向に沿って伸縮自在に構成されている。連結機構102は、複数のリンク102aと、複数のリンク102aをピン結合により回転自在に連結するピン結合部102b、102cと、で構成される。複数のリンク102aは、端部同士がピン結合されて波形状に連結された2つのリンク郡を、それぞれのリンク郡におけるリンク102aの中央部で互いに重なり合うように(位相が相反する2つの波を合成するように)重ね合わせ、その重なり合ったリンク102aの中央部同士がピン結合されている。
【0007】
連結機構102は、各リンク102aの角度(傾き)がよりテレスコカバー100の伸縮方向に沿った角度に近づくように(波の振幅が小さくなるように)各リンク102aが回転し、全体が伸びた状態となる。また、連結機構102は、各リンク102aの角度がよりテレスコカバー100の伸縮方向に垂直な方向に近づくように(波の振幅が大きくなるように)、各リンク102aが回転することにより全体が縮んだ状態となる。
【0008】
連結機構102は、リンク102aの中央部を連結するピン結合部102cにおいてカバー部材101に対して固定されている。したがって、ピン結合部102cは、テレスコカバー100の伸縮によって、連結機構102の伸縮方向に延びる線上に沿って変位する。一方、リンク102aの端部を連結するピン結合部102bは、テレスコカバー100の伸縮によって、横方向(伸縮方向に垂直な方向)にも変位しながら伸縮方向に変位する

【0009】
テレスコカバー100は、大きさの一番大きなカバー部材101が保護対象における固定部に固定され、大きさの一番小さなカバー部材101が保護対象における移動部に固定される。そして、保護対象において移動部が固定部に対して移動すると、これに連動して各カバー部材101が連結機構102にガイドされながら互いの位置をずらし、テレスコカバー100の保護領域を伸縮する。
【0010】
上記テレスコカバー100では、各カバー部材101を互いに摺動させることにより各カバー部材101の直進性を担保する構成となっている。各カバー部材101の移動速度については、連結機構102の動作により一定の制御が可能であるが、それぞれの直進性を保ちながら各カバー部材101を移動させることについては、上記連結機構102のみによるガイド(支え)で実現するのは困難となるからである。上記連結機構102は、1つの仮想平面上で複数のリンク102aがそれぞれ回転することにより当該平面に沿って全体が伸縮する構成となっている。かかる構成の連結機構102は、伸縮方向に対して当該平面に沿った横方向に負荷がかかったときの安定性に乏しく、また、伸びたときの機構全体の撓みや歪みも問題となる。したがって、各カバー部材101の直線性は、連結機構102以外の構成で担保する必要がある。
【0011】
しかしながら、カバー部材101を互いに摺動させて直進性を担保する構成では、カバー部材の数を増やした場合やカバー部材の摺動部の摩耗が進行した場合に、部材間のガタつき等の影響が大きくなり、スムーズな動作が困難となる。そのため、高速な伸縮動作においては安定性・耐久性が低下し、振動や異音の発生などの問題も生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開平6−182650号公報
【特許文献2】特開平7−214455号公報
【特許文献3】特開平8−155780号公報
【特許文献4】特開平10−180587号公報
【特許文献5】特開平11−114768号公報
【特許文献6】特開平11−221735号公報
【特許文献7】特開平11−320321号公報
【特許文献8】特開平11−320322号公報
【特許文献9】特開2000−24869号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は上記の従来技術の課題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、伸縮動作の安定性が向上されたテレスコカバーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するために本発明に係るテレスコカバーにおいては、
互いに重なり合う領域を有することで一つの保護領域を形成する複数のカバー部材と、
前記互いに重なり合う領域が減少又は増加するように前記複数のカバー部材を変位可能に前記複数のカバー部材を連結する連結機構と、
を備え、
前記複数のカバー部材の前記互いに重なり合う領域を減少又は増加させることにより前記保護領域を伸縮可能に構成されたテレスコカバーにおいて、
前記連結機構は、
ピン結合により連結された複数のリンクが前記保護領域の伸縮方向に平行な第1の平面上で回転運動することにより全体が伸縮する第1のパンタグラフ機構と、
ピン結合により連結された複数のリンクが前記保護領域の伸縮方向に平行かつ前記第1の平面と交わる第2の平面上で回転運動することにより全体が伸縮する第2のパンタグラフ機構と、
を備えることを特徴とする。
【0015】
本発明によれば、第1のパンタグラフ機構と第2のパンタグラフ機構とが、互いに支え合うことによって、それぞれの伸縮方向に対して横方向の負荷に対する不安定さを低減し、伸びたときの撓みや歪みを抑制する構成となる。これにより、連結機構の強度や伸縮動作の安定性が高められ、各カバー部材の移動の直進性を連結機構によって担保することが可能となる。したがって、カバー部材を互いに摺動させることで直進性を担保する従来の構成のように、部材間のガタつき等によってカバー部材のスムーズな動作が妨げられることがなくなる。また、高速な伸縮動作における安定性・耐久性が高められ、振動や異音の発生を抑制することができる。
【0016】
前記第1及び第2の平面は、互いに略直交すると好適である。
【0017】
各パンタグラフ機構において各リンクが回転運動をする平面が互いに交わる角度は、テレスコカバーの仕様等に基づいて適宜設定されるものであるが、略直交するようにすることで、連結機構の伸縮動作の安定性を種々の方向に対してバランスの良く高めることができる。
【0018】
前記第1及び第2のパンタグラフ機構は、それぞれのリンクが互いに連動して回転運動するように連結されていると好適である。
【0019】
各パンタグラフ機構のリンクを互いに連動させることで、連結機構全体の伸縮動作をより安定させることができる。
【0020】
前記第1及び第2のパンタグラフ機構は、
パンタグラフ機構の伸縮時において前記保護領域の伸縮方向にのみ変位する第1のピン結合部と、
パンタグラフ機構の伸縮時において前記保護領域の伸縮方向に垂直な方向に変位しながら前記保護領域の伸縮方向に変位する第2のピン結合部と、
をそれぞれ有しており、
それぞれの前記第1のピン結合部同士が連結されていると好適である。
【0021】
これにより、各パンタグラフ機構の互いに連動した伸縮動作が可能となる。
【0022】
前記複数のカバー部材は、前記第1のピン結合部において前記連結機構に固定されていると好適である。
【0023】
これにより、各カバー部材の直線的な移動を実現することができる。
【0024】
前記複数のリンクは、細長い板状部材であり、
前記第1及び第2のパンタグラフ機構は、リンクの端部同士をピン結合することにより波形状に連結された2つのリンク群が、それぞれのリンクの中央部で互いに重なり合うように重ね合わされ、かつ重なり合ったリンクの中央部同士がピン結合された構成となっており、
前記第1のピン結合部は、リンクの端部同士を連結するピン結合部であって、リンクの
中央部を連結するピン結合部に対して前記保護領域の伸縮方向に垂直な方向における一方側のピン結合部であると好適である。
【0025】
これにより、リンクが回転運動する平面の角度が互いに異なる各パンタグラフ機構を、それぞれの第1のピン結合部同士で連結することができる。
【0026】
前記連結機構を対で備えており、
一方の前記連結機構と他方の前記連結機構とは、連結部材により互いに連結され、互いに連動して全体が伸縮すると好適である。
【0027】
これにより、一対の連結機構が一体化され、種々の方向の負荷に対して安定した直進動作が可能な伸縮自在ユニットを形成することができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、テレスコカバーにおける伸縮動作の安定性が向上される。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の実施例に係るテレスコカバーの正面図である。
【図2】本発明の実施例に係るテレスコカバーの収縮時の様子を示す模式図である。
【図3】本発明の実施例に係るテレスコカバーの伸長時の様子を示す模式図である。
【図4】連結機構の斜視図である。
【図5】連結機構の断面図である。
【図6】従来例に係るテレスコカバーの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下に図面を参照して、この発明を実施するための形態を、実施例に基づいて例示的に詳しく説明する。ただし、この実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは、特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0031】
(実施例)
図1〜図5を参照して、本発明の実施例に係るテレスコカバーについて説明する。図1は、本実施例に係るテレスコカバーの正面図(テレスコカバーを伸縮方向に見た図)である。図2は、本実施例に係るテレスコカバーの収縮時の様子を示す模式図であり、(a)は平面図(図1のA矢視図)、(b)は側面図(図1のB矢視図)である。図3は、本実施例に係るテレスコカバーの伸長時の様子を示す模式図であり、(a)は平面図(図1のA矢視図)、(b)は側面図(図1のB矢視図)である。図4は、連結機構の斜視図である。図5は、連結機構の断面図である。
【0032】
<テレスコカバー>
テレスコカバー1は、保護対象の外側を覆う複数のカバー部材2と、各カバー部材101を互いに連結する連結機構3と、を備える。テレスコカバー1は、産業機械において直線的な運動をする部位、例えば、主軸頭、ピストン、シリンダー等を保護するために、かかる部位の運動に合わせて保護領域を伸縮する伸縮カバーである。
【0033】
<カバー部材>
本実施例に係るテレスコカバー1は、4つのカバー部材2a、2b、2c、2dを有している。各カバー部材2a、2b、2c、2dは、それぞれ、略長方形の薄板の長手両端を同じ向きに直角に折り曲げたような形状となっており、保護対象の上方を保護対象の設置面に平行に延びる天井部20と、該天井部の両端からそれぞれ保護対象の側方外側を保
護対象の設置面に垂直に延びる、互いに対向する一対の側壁部21と、を有している。
【0034】
各カバー部材2は、カバー部材2aからカバー部材2dにかけて順次大きさが少しずつ大きくなっており、一番小さいカバー部材2aから順次重ね合わされている。各カバー部材2は、各天井部20及び側壁部21の延びる向きが保護対象における運動部の運動方向と平行となるように配置されるとともに、一番小さなカバー部材2aが保護対象における運動部に固定され、一番大きなカバー部材2dがフランジ部2eにおいて保護対象における固定部に固定される。
【0035】
例えば、軌道レールと移動ブロックとの間の摺動部を覆うように取り付けられる場合には、カバー部材2aが移動ブロックに固定され、カバー部材2dのフランジ部2eが軌道レールの端部等に固定される。
【0036】
各カバー部材2は、保護対象の移動方向に沿って小さいもの又は大きいものから順次互いの位置をずらすとともに、隣接するカバー部材2同士が部分的に互いに重なり合う領域を形成することにより、1つの連続的な保護領域を形成する。
【0037】
<連結機構>
本実施例に係るテレスコカバー1は、第1の連結機構3aと第2の連結機構3bとを備える。第1の連結機構3aは、第1のパンタグラフ機構としてのパンタグラフ機構31aと、第2のパンタグラフ機構としてのパンタグラフ機構32aと、から構成される。また、第2の連結機構3bは、第1のパンタグラフ機構としてのパンタグラフ機構31bと、第2のパンタグラフ機構としてのパンタグラフ機構32bと、から構成される。
【0038】
第1の連結機構3aは、カバー部材2内側の一方の角部に、第2の連結機構3bは、カバー部材2内側の他方の角部に、それぞれ取り付けられている。第1のパンタグラフ機構31は、カバー部材2の天井部20に沿った配置となり、第2のパンタグラフ機構32は、カバー部材2の側壁部21に沿った配置となっている。したがって、図1に示すように、各連結機構3を伸縮方向に見たときの全体形状は、略L字状となる。
【0039】
各パンタグラフ機構31、32は、中央部と両端部にピン孔を有した細長い板状部材である複数のリンク33と、複数のリンク33をピン結合により回転自在に連結するピン結合部と、で構成される。ピン結合部には、リンク33の端部同士を連結するピン結合部34a、34bと、リンク33の中央部同士を連結するピン結合部35と、がある。
【0040】
リンク33は、個々のパンタグラフ機構31、32において、略同一の仮想平面上で回転運動をする(正確には、リンク33は重ねられているので、それぞれの機構において互いに平行な仮想平面上で回転運動する)構成となっている。第1のパンタグラフ機構としてのパンタグラフ機構31a、31bでは、リンク33が回転運動するそれぞれの平面が保護対象の設置面に平行となっている。一方、第2のパンタグラフ機構としてのパンタグラフ機構32a、32bでは、リンク33が回転運動するそれぞれの平面が保護対象の設置面に垂直となっている。すなわち、第1のパンタグラフ機構31と第2のパンタグラフ機構32との間では、リンク33が回転運動するそれぞれの平面が互いに交わるように構成されている。
【0041】
複数のリンク33は、端部同士がピン結合されて波形状に連結された2つのリンク郡を、それぞれのリンク郡におけるリンク33の中央部で互いに重なり合うように(位相が相反する2つの波を合成するように)重ね合わせ、その重なり合ったリンク33の中央部同士がピン結合されている。もしくは、略十字に重ねられて中央部でピン結合されたリンク対を、一直線上に並べてそれぞれの端部同士をピン結合することによって、テレスコカバ
ー1の伸縮方向に沿って複数のリンク33が連ねられた構成ということもできる。
【0042】
各パンタグラフ機構31、32は、仮想平面上における各リンク33の角度(傾き)がよりテレスコカバー1の伸縮方向に沿った角度に近づくように(波の振幅が小さくなるように)各リンク33が回転し、全体が伸びた状態となる。また、連結機構3は、各リンク33の角度がよりテレスコカバー1の伸縮方向に垂直な方向に近づくように(波の振幅が大きくなるように)、各リンク33が回転することにより全体が縮んだ状態となる。
【0043】
各連結機構3において、第1のパンタグラフ機構31と第2のパンタグラフ機構32は、それぞれのリンクが互いに連動して回転運動するように連結されている。具体的には、パンタグラフ機構31、32は、リンク33の端部同士を連結するピン結合部34a、34bのうち、ピン結合部35に対して保護領域の伸縮方向に垂直な方向における一方側のピン結合部34aにおいて、連結部材36を介して互いに連結されている。これにより、各連結機構3において、第1のパンタグラフ機構31と第2のパンタグラフ機構32とが、互いに同期して伸縮することになる。このとき、ピン結合部34aは、テレスコカバー1の伸縮によって、連結機構3の伸縮方向に延びる線上に沿って変位する。一方、ピン結合部34b、35は、テレスコカバー1の伸縮によって、横方向(伸縮方向に垂直な方向)にも変位しながら伸縮方向に変位する。
【0044】
また、各連結機構3において、ピン結合部34aの一部が連結部材37を介して各カバー部材2に連結されている。これにより、カバー部材2が連結機構3に固定され、各連結機構3の伸縮に連動して各カバー部材2が変位することになる。
【0045】
また、各連結機構3は、連結軸38によって互いに連結されており、それぞれの伸縮を互いに同期させるとともに、伸縮時における伸縮方向に対して横方向の位置ズレ等を抑制するように構成されている。
【0046】
<本実施例の優れた点>
本実施例によれば、各連結機構3において、第1のパンタグラフ機構31と第2のパンタグラフ機構32とが互いを支え合う構成となる。すなわち、一方に作用する伸縮方向に対して横方向の負荷を他方が受けとめて、互いの姿勢を維持し合う構成となる。これにより、それぞれの伸縮方向に対して横方向における不安定さが解消され、また、それぞれが伸びたときの撓みや歪みが抑制される。したがって、パンタグラフ機構31、32における偏荷重の発生が防止されて連結機構3の強度や安定性が高められ、また、連結機構の伸縮動作が伸縮方向に沿って安定したものとなる。
【0047】
したがって、本実施例によれば、各カバー部材2の移動の直進性を連結機構3によって担保することが可能となり、従来のカバー部材2を互いに摺動させることで直進性を担保する構成のように、カバー部材2間のガタつき等によってカバー部材2のスムーズな動作が妨げられることがない。また、伸縮動作時におけるカバー部材2への負荷、カバー部材2の摩耗等が軽減され、テレスコカバー1の耐久性の向上が図られる。したがって、高速な伸縮動作における安定性・耐久性が高められるとともに振動や異音の発生も抑制され、高速な伸縮動作に対しても十分に対応させることが可能となる。
【0048】
なお、各パンタグラフ機構31、32において各リンク33が回転運動する平面が互いに交わる角度は、テレスコカバー1の仕様、例えば、カバー部材2の形状等に基づいて適宜設定されるものであるが、略直交するようにすることで、連結機構3の伸縮動作の安定性を種々の方向に対してバランスの良く高めることができる。
【0049】
また、各連結機構3は、各カバー部材2において歪みの少ない角部内側において各カバ
ー部材2にそれぞれ連結されており、また、連結軸38によってお互いが連結されている。これにより、各連結機構3が一体化され、種々の方向の負荷に対して安定した直進動作が可能な伸縮自在ユニットを形成することができる。したがって、テレスコカバー1の安定した精密な伸縮動作が可能となる。
【符号の説明】
【0050】
1 テレスコカバー
2(2a、2b、2c、2d) カバー部材
20 天井部
21 側壁部
3(3a、3b) 連結機構
31(31a、31b) 第1のパンタグラフ機構
32(32a、32b) 第2のパンタグラフ機構
33 リンク
34(34a、34b) ピン結合部
35 ピン結合部
36 連結部材
37 連結部材
38 連結軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに重なり合う領域を有することで一つの保護領域を形成する複数のカバー部材と、
前記互いに重なり合う領域が減少又は増加するように前記複数のカバー部材を変位可能に前記複数のカバー部材を連結する連結機構と、
を備え、
前記複数のカバー部材の前記互いに重なり合う領域を減少又は増加させることにより前記保護領域を伸縮可能に構成されたテレスコカバーにおいて、
前記連結機構は、
ピン結合により連結された複数のリンクが前記保護領域の伸縮方向に平行な第1の平面上で回転運動することにより全体が伸縮する第1のパンタグラフ機構と、
ピン結合により連結された複数のリンクが前記保護領域の伸縮方向に平行かつ前記第1の平面と交わる第2の平面上で回転運動することにより全体が伸縮する第2のパンタグラフ機構と、
を備えることを特徴とするテレスコカバー。
【請求項2】
前記第1及び第2の平面は、互いに略直交することを特徴とする請求項1に記載のテレスコカバー。
【請求項3】
前記第1及び第2のパンタグラフ機構は、それぞれのリンクが互いに連動して回転運動するように連結されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のテレスコカバー。
【請求項4】
前記第1及び第2のパンタグラフ機構は、
パンタグラフ機構の伸縮時において前記保護領域の伸縮方向にのみ変位する第1のピン結合部と、
パンタグラフ機構の伸縮時において前記保護領域の伸縮方向に垂直な方向に変位しながら前記保護領域の伸縮方向に変位する第2のピン結合部と、
をそれぞれ有しており、
それぞれの前記第1のピン結合部同士が連結されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のテレスコカバー。
【請求項5】
前記複数のカバー部材は、前記第1のピン結合部において前記連結機構に固定されていることを特徴とする請求項4に記載のテレスコカバー。
【請求項6】
前記複数のリンクは、細長い板状部材であり、
前記第1及び第2のパンタグラフ機構は、リンクの端部同士をピン結合することにより波形状に連結された2つのリンク群が、それぞれのリンクの中央部で互いに重なり合うように重ね合わされ、かつ重なり合ったリンクの中央部同士がピン結合された構成となっており、
前記第1のピン結合部は、リンクの端部同士を連結するピン結合部であって、リンクの中央部を連結するピン結合部に対して前記保護領域の伸縮方向に垂直な方向における一方側のピン結合部であることを特徴とする請求項4又は5に記載のテレスコカバー。
【請求項7】
前記連結機構を対で備えており、
一方の前記連結機構と他方の前記連結機構とは、連結部材により互いに連結され、互いに連動して全体が伸縮することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のテレスコカバー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−36987(P2011−36987A)
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−189422(P2009−189422)
【出願日】平成21年8月18日(2009.8.18)
【出願人】(597137682)トークシステム株式会社 (12)
【出願人】(501481229)株式会社根本 (2)