説明

テレビジョン受像機

【課題】 薄型液晶テレビジョン受像機において、電源オフ時にインテリア的に違和感を生じさせないようにすること。
【解決手段】 透明液晶表示パネル2と面状光源方式バックライト3との間に、絵画や写真などが描画または印刷されたフィルムシート3を配置する。電源がオフされている間は、表示パネル2が透明状態となり、当該表示パネル2を通して、フィルムシート3の絵画や写真が視認される。したがって、電源オフ時には、薄型液晶テレビジョン受像機1は、いわば額縁に入れられた絵画や写真などのインテリア製品と化す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スタンド式または壁掛け式の薄型テレビジョン受像機に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、薄型液晶テレビジョン受像機は、液晶表示パネル、この液晶表示パネルの周辺に取り付けられたドライバー、および液晶表示パネルの裏側に配置され、光源となるバックライトなどから構成される表示ユニットを備えている。
【0003】
例えば、特許文献1には、DVDレコーダーを一体化した、スタンド式薄型液晶テレビジョン受像機が開示されている。他方、例えば、特許文献2には、壁面に対して容易に据え付けることができ、かつ表示ユニットを使用者の見易い向きに設定できるようにした、壁掛け式薄型液晶テレビジョン受像機が開示されている。
【0004】
【特許文献1】特開2001−332074号公報
【特許文献2】特開2004−12773号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記のスタンド式または壁掛け式の薄型液晶テレビジョンでは、電源オフ時には液晶表示パネルにテレビジョン映像が表示される一方、電源オフ時には液晶表示パネルはノーマリーブラックモードに移行して黒くなる。そのため、電源オン時には、液晶表示パネルにはテレビジョン映像が表示されるので、インテリア的にも問題がないが、電源オフ時には、液晶表示パネルは黒くなるので、インテリア的に違和感が生じる。
【0006】
このような問題は、従来、民生用テレビのディスプレーの大きさが20インチサイズ程度が主流であったものの、テレビのディスプレーがブラウン管から液晶やプラズマディスプレーに移行することに応じて、軽量化や大型化がはかられるようになってきている現在では、大きなディスプレーに何も表示されていないことが室内の美観を損ねる大きな問題となりつつある。
【0007】
一方、パーソナルコンピュータにおいては、古くからスクリーンセーバという機能が存在し、この機能は、パソコンへの所定時間内の入力がなかった場合に、所定の動画がディスプレーに表示されるものである。このスクリーンセーバは、画面に何らかの画像を映し出して美観を奏させるということも目的としたものでなく、画面の焼きつき、つまり、余り長い時間同じ映像を表示しつづけるとその残像が後々も残ってしまうといった現象を防止する目的で付加されているものである。しかしながら、このようなパーソナルコンピュータに存在するスクリーンセーバ機能は、ディスプレーへの電源をON状態にしている状態を保持しなければならないので、家庭の主婦を満足させる民生品としては適したものとは言えない。
【0008】
本発明は、上記技術的課題に鑑みなされたもので、電源オフ時にインテリア的に違和感を生じさせないで済む薄型テレビジョン受像機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明に係る薄型テレビジョン受像機は、当該薄型テレビジョン受像機の電源オン時にテレビジョン映像が表示される一方、電源オフ時に透明状態となる表示パネルと、この表示パネルの裏側に配置され、絵画や写真などが描画または印刷されたフィルムシートと、を備えており、電源オフ時には、上記表示パネルを通して、上記フィルムシートの絵画や写真などが視認されるようにしたものである。
【0010】
前記電源オフ時にテレビジョン映像が表示される一方、電源オフ時に透明状態となる表示パネルとは、例えば、パチスロなどに導入されている透明有機ELパネルや透明液晶といった表示パネルを採用することができる。そして、電源ON時には、図示しないチューナやケーブルテレビのデコーダを介して外部からの映像信号を受信し、前記表示パネルに当該映像信号に応じた映像を表示させるが、電源オフ時には、所謂透明なパネル状態となり背景側に位置する静止画像を描いた前記フィルムシートの静止画像を、当該パネル越しに正面側から視認可能に表示する。この時、背景側に位置する静止画像を更に明瞭に表示するために、前記表示パネルとフィルムシートとの間に、透明な偏光板であって、平面視矩形状の前記フィルムシートに描かれる静止画像を覆い隠せる面積を有するものを、前記静止画を覆い隠すように配置することもできる。そして、この偏光板の側面に省電力で発行状態を保持することが可能なLED発光源を1つ以上配置し、このLED発光源の光を前記偏光板が、その側面から取り込んで前記フィルムシートの静止画像に照射するように機能するべく構成することもできる。
【0011】
この構成によれば、前記薄型テレビジョン受像機の電源OFF時に、前記LED発光源を発光させることによって、略電力を消費することなくテレビジョン受像機の表示画面に前記静止画像を表示させて、テレビジョン受像機自体が所謂額縁のように機能することになる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によると、電源がオンされている間、表示パネルにはテビジョン映像が表示される。他方、電源がオフされている間は、表示パネルは透明状態となり、当該表示パネルを通して、フィルムシートの絵画や写真などが視認される。このように、電源オフ時には、薄型テビジョン受像機をインテリア製品(額縁的製品)として利用することができる。その結果、薄型テレビジョン受像機は、電源オフ時であってもインテリア的に違和感を生じさせない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を添付図面に基づき詳細に説明する。
【0014】
図1は本発明の実施の形態に係る薄型液晶テビジョン受像機の表示ユニットの分解斜視図である。
図1を参照して、本実施の形態の薄型液晶テレビジョン受像機1は、スタンド式または壁掛け式のテレビジョン受像機であって、その表示ユニットは、透明液晶表示パネル2、フィルムシート3およびバックライト4をこの順で前フレーム5と後カバー6とで挟むようにして一体に組み立てられている。
【0015】
透明液晶表示パネル2は、電源オン時にテレビジョン映像を表示する一方、電源オフ時に透明状態となる。この表示パネル2は、TFTアレー7とカラーフィルター8の2枚のガラス基板が貼り合わされ、その間に液晶材が封じ込められて成る。
【0016】
TFTアレー7の基板には、透明液晶表示パネル2の画面に画像を表示するための最小単位である画素の配列が作り込まれており、その画素を駆動するためのゲート線、およびデータを供給するためのデータ信号線が設けられている。
【0017】
TFTアレー7とカラーフィルター8との間には、それぞれの偏向板(図示せず)が貼り付けられている。
【0018】
また、透明液晶表示パネル2には、その上辺に沿ってソースドライバー9が取り付けられている一方、その左辺に沿ってゲートドライバー10が取り付けられている。これらドライバー9,10は、TFTアレー7の各画素に電圧を供給して液晶分子の向きを制御する。
【0019】
フィルムシート3は、透明液晶表示パネル2とその光源としてのバックライト4との間に配置されている。このフィルムシート3上には、絵画や写真などが描画または印刷されている。なお、フィルムシート3は、使用者の好みに応じて交換可能とされていることが好ましい。
【0020】
なお、図示しないが、当該フィルムシート3の前面側に、透明な偏光板であって、平面視矩形状の前記フィルムシートに描かれる静止画像を覆い隠せる面積を有するものを、前記静止画を覆い隠すように配置することもできる。そして、この偏光板の側面に省電力で発行状態を保持することが可能なLED発光源を1つ以上配置し、このLED発光源の光を前記偏光板が、その側面から取り込んで前記フィルムシートの静止画像に照射するように機能するべく構成することもできる。勿論、このようなLED発光源が側面に設けられた偏光板をフィルムシートの背面側に配置して、フィルムートに印刷などにより形成される静止画像を透かせて表示パネルの正面側から視認容易になるように構成することもできるが、透かせて表示するような正視画像は、ステンドガラス的な美観を奏するものに限定されてしまうため、写真や絵画などの幅広い静止画像に適用できるようにするために、偏光板を背面側に設けることが好ましい。
【0021】
バックライト4は、透明液晶表示パネル2の画面が明るく、かつ画像が均一に見えるように、光を効率よく当該画面の前面に向かって照射させるように構成されている。本実施の形態では、バックライト4として、平面型蛍光ランプ、反射フィルムおよび給電用リード線を備えた面状光源方式バックライトが採用されている。代替的に、ランプ、ランプホルダー、導光板および拡散板を備えたサイドライト方式バックライトを適用しても構わない。
【0022】
前フレーム5は、その主要部に四角形の開口が形成されており、この開口から透明液晶表示パネル2の画面を臨むことができる。他方、後カバー6は、前面が開放した箱形形状を有している。
【0023】
図2は薄型液晶テレビジョン受像機の電気的構成を示すブロック図である。
図2を参照して、本薄型液晶テレビジョン受像機1には、上記の透明液晶表示パネル2、ソースドライバー9、ゲートドライバー10およびバックライト4に加え、LCDコントローラー11、画像メモリー12、比較回路13、比較結果記憶回路14、BL波形制御回路15およびインバーター回路16が備えられている。
【0024】
透明液晶表示パネル2は、その画面の縦方向に配された複数のソース信号線と横方向に配された複数のゲート信号線とが互いに交差するように設けられており、これらの交差部にアクティブ素子としてのTFTを有するアクティブマトリクスタイプの表示パネルである。
【0025】
ソースドライバー9は、上記各ソース信号線に表示信号を与える。他方、ゲートドライバー10は、上記ゲート信号線を順次選択して上記TFTを順次オンにし、各画素への表示信号が書き込まれるように動作する。これらソースドライバー9およびゲートドライバー10の動作は、LCDコントローラー11により制御される。
【0026】
画像メモリー12は、1垂直同期前の映像信号の1画面分を記憶する。ここに、「1画面分」とは、インターレース方式では1フィールド分がこれに相当し、他方プログレッシブ方式では1フレーム分がこれに相当する。
【0027】
比較回路13は、画素毎に現映像信号と画像メモリー12に記憶されている1垂直同期の映像信号(以下、単に「前映像信号」という)とを比較し、現映像信号が動画および静止画のいずれであるかを判定する。具体的には、第1の閾値TH1としての信号の差をMとし、現映像信号と前映像信号との差がMを超えているか否かを画素単位で判定する。このとき、現映像信号と前映像信号との差がMを超えている場合には、その画素を動画画素と判定し、他方M未満である場合には、その画素を静止画画素と判定する。加えて、この比較回路13では、RGBの各信号について別々に比較し、これら3信号のうち少なくとも1つの信号において上記閾値TH1を超えている場合には、その画素を動画画素と判定される。
【0028】
比較結果記憶回路14は、透明液晶表示パネル2の画面をゲート信号線の配列方向に沿って複数のブロックに分割し、これらブロック毎に上記の閾値TH1を超えた画素数をカウントする。
【0029】
BL波形制御回路15は、比較結果記憶回路14が記憶するブロック毎の第1の閾値TH1を超えた画素数のカウント値Cを調べ、そのカウント値Cが第2の閾値TH2を超えているブロックを検出することによって、そのブロックには大きな動画物体が含まれていると判定する。加えて、このBL波形制御回路15では、上記カウント値Cが上記閾値TH2を超えるブロックの有無およびそのブロックの検出状態に応じて、インバーター回路16への入力電圧の位相が制御される。
【0030】
インバーター回路16は、バックライト4に駆動電圧を印加し、それによって当該バックライト4を点灯および消灯させる。
【0031】
上記構成において、電源がオンされている間は、画像メモリー12からバックライト4に至る各手段13〜16によって当該バックライト4が点灯する。これと並行して、上記の薄型液晶テレビジョン受像機1に入力されたテレビジョン映像信号は、LDCコントローラー11および比較回路13に与えられる。LCDコントローラーでは、上記入力テレビジョン映像信号に基づいてソースドライバー9とゲートドライバー10との両者を制御する。これにより、ソースドライバー9から透明液晶表示パネル2のソース信号線に表示信号が与えられ、ゲートドライバー10により透明液晶表示パネル2の各ゲート信号線が走査されることにより、表示信号が各画素に書き込まれ、図3に示すように、当該表示パネル2において上記のテレビジョン映像信号の映像が表示される。
【0032】
他方、電源がオフされている間は、透明液晶表示パネル2の画面が透明となる。このとき、図4に示すように、透明状態となった表示パネル2の画面を通して、フィルムシート3の絵画や写真が視認される。このようなテレビジョン受像機1の電源のON(オン)/OFF(オフ)は、図に示す符号20のボタンスイッチを用いて使用者が操作可能に構成されている。このようなスイッチは、無線で操作可能なリモコンスイッチなど、現在のテレビジョン受像機で使用可能なあらゆるスイッチを採用することが可能である。
【0033】
上記のように、電源オフ時には、本薄型液晶テレビジョン受像機1は、いわば額縁に入った絵画や写真などのインテリア製品と化す。その結果、電源オフ時であっても、インテリア感覚を損なうことはない。
【0034】
なお、本発明は上記実施の形態に限定されるものではない。例えば、上記実施の形態においては、バックライトを採用した例について記載したが、LEDなどを用いたフロントライトを採用しても本発明の目的は十分に達成し得る。また、上記実施の形態では、本発明を薄型液晶テレビジョン受像機に適用した例について記載したが、本発明を薄型プラズマテレビジョン受像機または薄型ELテレビジョン受像機に適用しても同様の作用・効果を奏する。その他、本明細書に添付した特許請求の範囲内での種々の設計変更および修正を加え得ることは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明は、電源オフ時にインテリア的に違和感を生じさせないで済むゆえ、スタンド式または壁掛け式の薄型テレビジョン受像機として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の実施の形態に係る薄型液晶テレビジョン受像機の表示ユニットの分解斜視図
【図2】同薄型液晶テレビジョン受像機の電気的構成を示すブロック図
【図3】電源オン時の薄型液晶テレビジョン受像機の表示ユニットの状態を示す図
【図4】電源オフ時の薄型液晶テレビジョン受像機の表示ユニットの状態を示す図
【符号の説明】
【0037】
1 薄型液晶テレビジョン受像機
2 透明液晶表示パネル
3 フィルムシート
4 バックライト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源オン時にテビジョン映像が表示される一方、電源オフ時に透明状態となる表示パネルと、
この表示パネルの裏側に配置され、絵画や写真などが描画または印刷されたフィルムシートと、を備えており、
電源オフ時には、上記表示パネルを通して、上記フィルムシートの絵画や写真などが視認されるようにしたことを特徴とするテレビジョン受像機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−211450(P2006−211450A)
【公開日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−22579(P2005−22579)
【出願日】平成17年1月31日(2005.1.31)
【出願人】(302010910)株式会社パテントセクション (9)
【Fターム(参考)】