説明

テンション要素および引張り部材を有するゴルフクラブヘッドおよびゴルフクラブ

ゴルフクラブヘッドは、複数のコンポーネントおよび複数の保定部材を有し、各保定部材がコンポーネントの一つに配置されているクラブヘッドを含む。クラブヘッドのコンポーネントを合わせて、取り外し可能に固定するための引張りアセンブリは、保定部材を介してクラブヘッドコンポーネントに結合されたテンション要素、およびテンション要素に張力を導入するための引張り部材を含む。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明の局面は一般に、ゴルフクラブおよびゴルフクラブヘッドに関し、特に、ボディコンポーネントを合わせて、固定するためのテンション要素および引張り部材を有するゴルフクラブおよびゴルフクラブヘッドに関する。
【背景技術】
【0002】
背景
ゴルファーは、ゴルフクラブの「感触」に敏感である傾向がある。ゴルフクラブの「感触」は、ボールに対してスイングする、および/またはボールを打つときにプレーヤが体感する感覚を生じさせる、クラブの様々なコンポーネントパーツおよびクラブに関連する様々な特徴の組み合わせを含む。クラブウェイト、ウェイト配分、スイングウェイト、エアロダイナミクス、スイング速度などがすべて、スイングし、ボールを打つときのクラブの「感触」に影響することがある。「感触」はまた、ボールを動かすためにクラブヘッドがボールを打ったときに発生する音にも関連することがわかっている。クラブヘッドがインパクト時に不快な、望ましくない、またはびっくりさせる音を出すならば、ユーザはひるみ、自身のスイングをあきらめる、スイングを減速させる、自身のグリップを失う、および/またはスイングのフォロースルーを完全には行うことができず、それにより、距離、方向および/またはスイングの他の性能局面ならびに結果的なボールの動きが影響を受けるおそれがある。ボールを打つ前でさえ、この不快な、望ましくない、またはびっくりさせる音の予感がユーザのスイングに影響することもある。
【0003】
ゴルフクラブの性能は、ゴルフクラブヘッドの重心位置に影響する、ヘッド周りのウェイト配分をはじめとする様々な要因に基づいて異なることができる。重心が接触面上の係合点よりも後方に位置する場合、ゴルフボールはほぼまっすぐなルートをたどる。しかし、重心が係合点の片側に離れている場合、ゴルフボールは、意図しない方向に飛ぶ、および/または、多くの場合「プル」、「プッシュ」、「ドロー」、「フェード」、「フック」または「スライス」と呼ばれるボールの飛びを含め、左もしくは右にカーブするルートをたどることがある。同様に、重心が係合点の上方または下方に離れている場合、ゴルフボールの飛びは、それぞれ、より風を切り裂く(boring)ような軌道またはより浮き上がる軌道を示すことがある。同様に、インパクト点および打ち出し角のような他の要因もまた、ボールが、ひとたび打たれると、どのように移動するのかに影響することがある。
【0004】
したがって、クラブヘッドは、様々な性能特性および「感触」を提供するために、様々な構成で形成されることができる。たとえば、クラブヘッドは、クラブの性能特性および「感触」を変化させるために、それに固定された様々なウェイトを有するように構成されることができる。他のクラブヘッドにおいては、特定の値の特性、たとえばサイズまたはウェイトを有するコンポーネントを、その特性に関して異なる値を有する別のコンポーネントと取り換えることができる。クラブヘッドのボディコンポーネントを変更することにより、その性能および「感触」を変化させることができる。
【0005】
公知の従来装置に固有の難題のいくらかまたはすべてを軽減または解消するゴルフクラブおよびゴルフクラブヘッドを提供することが望ましいであろう。
【発明の概要】
【0006】
概要
本発明の原理を使用して、クラブヘッドコンポーネントを合わせて、固定するためのテンション要素および引張り部材を有するゴルフクラブおよびゴルフクラブヘッドを提供することができる。第一の局面にしたがって、ゴルフクラブヘッドは、複数のコンポーネントおよび複数の保定部材を有し、各保定部材がコンポーネントの一つに配置されているクラブヘッドを含む。クラブヘッドのコンポーネントを合わせて、取り外し可能に固定するための引張りアセンブリが、保定部材を介してクラブヘッドコンポーネントに結合されたテンション要素およびテンション要素に張力を導入するための引張り部材を含む。
【0007】
別の局面にしたがって、ゴルフクラブヘッドは、少なくとも一つのフェースプレート保定部材を含むフェースプレート、少なくとも一つのボディ部材保定部材を有するボディ部材、ならびにテンション要素およびテンション要素に接続された引張り部材を有する引張りアセンブリを含む。テンション要素はフェースプレートおよびボディ部材保定部材と係合して、フェースプレートをボディ部材に取り外し可能に固定する。
【0008】
さらなる局面にしたがって、ゴルフクラブアセンブリは、第一端および第二端を有するシャフトならびにシャフトの第一端に固定されたクラブヘッドを含む。クラブヘッドは、複数のコンポーネントおよび複数の保定部材を含み、各保定部材がコンポーネントの一つに配置されている。引張りアセンブリがクラブヘッドのコンポーネントを合わせて、取り外し可能に固定し、保定部材を介してクラブヘッドコンポーネントの少なくともいくつかに滑動可能に取り付けられたテンション要素、およびテンション要素に張力を導入するための引張り部材を含む。
【0009】
クラブヘッドコンポーネントを合わせて、固定するためのテンション要素および引張り部材を有するゴルフクラブおよびゴルフクラブヘッドを提供することにより、実質的な利点が達成される。特に、特定の態様は、ユーザまたは他の個人が速やかかつ確実にクラブヘッドのコンポーネントを合わせて、固定することを可能にするとともに、その後、クラブヘッドの一つまたは複数のコンポーネントを取り換える、または変更するためにクラブヘッドを分解する能力を提供する。
【0010】
ここに開示されるこれら、およびさらなる特徴および利点は、特定の態様の以下の詳細な開示からさらに理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】例示的な局面のテンション要素および引張り部材を有するゴルフクラブの斜視図である。
【図2】図1のゴルフクラブのクラブヘッドの断面図である。
【図3】図1のゴルフクラブのフェースプレートおよびテンション要素の断面図である。
【図4】図1のゴルフクラブのクラブヘッドのボディ部材の一部分の立面図である。
【図5】図1のゴルフクラブのクラブヘッドのボディ部材の一部分の断面図である。
【図6】係合状態にある図1のゴルフクラブの引張り部材の立面図である。
【図7】係合解除状態にある図1のゴルフクラブの引張り部材の立面図である。
【図8】クラブヘッドのボディ部材内かつカバーの下にある状態で示す、図1のゴルフクラブの引張り部材の立面図である。
【図9】テンション要素と係合した状態で示す、引張り部材の代替態様の立面図である。
【図10】ゴルフクラブヘッドの別の局面を、それに取り付けられたウェイトとともに示す平面図である。
【図11】ゴルフクラブヘッドの別の局面を、それに取り付けられた複数のウェイトとともに示す平面図である。
【図12】ゴルフクラブのシャフトの、クラブヘッドから遠い側の端部に位置するテンション要素および引張り部材を有するゴルフクラブの別の局面の斜視図である。
【図13】テンション要素および引張り部材を有するゴルフクラブの別の局面を、引張り部材とで使用される工具とともに示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
上記で言及した図面は、必ずしも原寸に比例して描かれておらず、本発明の特定の例示的態様の代表を提供するものと理解されるべきであり、単に概念的な性質であり、関連する原理を表すものである。図に示されるボディコンポーネントを合わせて、固定するためのテンション要素および引張り部材を有するゴルフクラブおよびゴルフクラブヘッドのいくつかの特徴は、説明および理解を容易にするために、他の特徴に対して拡大または変形されている。図中、様々な代替態様において示される類似または同一コンポーネントおよび特徴に対して同じ参照番号が使用されている。本明細書に開示される、ボディコンポーネントを合わせて、固定するためのテンション要素および引張り部材を有するゴルフクラブおよびゴルフクラブヘッドは、それらが使用される所期の用途および環境によって部分的に決まる構成およびコンポーネントを有するであろう。
【0013】
特定の態様の詳細な説明
ゴルフクラブ10の例示的態様が図1に示され、シャフト12およびシャフト12の第一端に取り付けられたゴルフクラブヘッド14を含む。ゴルフクラブヘッド14は、任意のドライバ、ウッドなどであることができる。ゴルフクラブ10のシャフト12は、当技術分野で従来から公知であり、使用されている材料を含む様々な材料、たとえば鋼、アルミニウム、チタン、グラファイトまたは複合材料ならびにそれらの合金および/または組み合わせでできていることができる。さらには、シャフト12は、当技術分野で公知であり、使用されている従来のやり方を含む任意の所望のやり方で(たとえば、ホーゼル要素における接着剤またはセメントによって、融着技術(たとえば溶接、ろう付け、はんだ付けなど)によって、ねじまたは他の機械的コネクタによって、摩擦嵌めによって、保定要素構造によって、など)クラブヘッド14に取り付けることができる。ゴルフクラブシャフト12を把持するための滑り止め面をゴルファーに提供するために、グリップまたは他のハンドル要素16がシャフト12上に配置されている。グリップ要素16は、当技術分野で公知であり、使用されている従来のやり方を含む任意の所望のやり方で(たとえば、接着剤またはセメントによって、ねじまたは他の機械的コネクタによって、融着技術によって、摩擦嵌めによって、保定要素構造によって、など)シャフト12に取り付けることができる。
【0014】
クラブヘッド14は複数のコンポーネントを含む。図示されるように、この例示的なゴルフクラブヘッド14は、フェースプレート18およびフェースプレート18の後方に配置されたボディ部材20を含む。図示される態様において、ボディ部材20は、クラウン部分22、ソール部分24ならびにクラウン部分22およびソール部分24から後方に配置された(たとえば延びる)スカート26を含む。クラブヘッド14は任意の数のコンポーネントを含むことができることが理解されよう。
【0015】
ゴルフクラブヘッド14のボディ部材20は、当技術分野で従来から公知であり、使用されている材料を含む多種多様な材料、たとえば鋼、チタン、アルミニウム、マグネシウム、ニッケル、タングステン、これらの金属の合金、グラファイト、ポリマー、繊維強化材料もしくは複合材またはそれらの組み合わせから構成されることができる。本開示の恩典を与えられると、他の適当な材料が当業者に容易に明らかになる。クラウン部分22およびソール部分24は、同じ材料で形成されてもよいし、異なる材料で形成されてもよいことが理解されよう。
【0016】
クラブヘッド14のコンポーネント要素は、テンション要素28および引張り部材30を含む引張りアセンブリ27によって互いに取り外し可能に固定される。引張りアセンブリ27の使用は、ユーザまたは他の個人が、ゴルフクラブヘッド14のコンポーネントパーツを速やかかつ容易に組み立てることを可能にする。したがって、たとえば、ユーザは、店舗内で、自らのスイングに最適化されているゴルフクラブヘッドにフィッティングされ、かつ店にいる間にそのクラブを組み立ててもらうこともできる。ひとたびユーザのスイングが評価され、クラブヘッドの所望のコンポーネントが選択されたならば、引張りアセンブリ27の使用が、クラブヘッド14のコンポーネントを合わせて、速やかに組み立てかつ取り外し可能に固定することを可能にする。
【0017】
有利には、引張りアセンブリ27の使用は、将来クラブヘッド14を分解することを可能にし、これがさらなるコンポーネント、たとえばウェイトをクラブヘッド14に追加したり、クラブヘッド14の選択されたコンポーネントを他のコンポーネントと取り換えたりすることを可能にする。したがって、クラブヘッド14に対して通常のメンテナンスを実施することが可能であり、クラブヘッド14のコンポーネントが疲労または他の性能低下をこうむると、それらを速やかかつ容易に他のコンポーネントと取り換えることができる。
【0018】
図2でより明確に見られるように、テンション要素28はフェースプレート18をボディ部材20に接続する。テンション要素28は、張力を提供する能力を有し、その張力が、クラブヘッド14のコンポーネントを取り外し可能かつ確実に互いに締結させることを可能にする。テンション要素28は、非限定的に、ケーブル、コード、ロープ、ワイヤ、ファイバ、リボン、チェーン、フィラメントなどをはじめとする多くの形態をとることができる。
【0019】
テンション要素28は、クラブヘッド14の様々なコンポーネント上に提供された保定部材と係合する(たとえばその中を通過して延びる、その中に通される)。図示される要素において、フェースプレート18上のフェースプレート保定部材は、図3でより明確に見られるように、フェースプレート18の後面に提供された一対のフック32である。ここで図示されるように、フック32は、フェースプレート18の後面から外方に延びるカーブしたまたは弓形の部材である。フック32は、フェースプレート18と一体化している、すなわち1ピース構成であることもできるし、または任意の適当な締結手段、たとえば溶接、接着剤などによってフェースプレート18に固定された別々の要素であることもできる。
【0020】
保定部材はフックである必要はなく、任意の所望の形状または形態をとることができることが理解されよう。たとえば、保定部材は、フェースプレート18またはクラブヘッド14の任意の他のコンポーネントから延びるL字突起もしくはJ字形の突起であることもできる。保定部材は、テンション要素28をクラブヘッド14に滑動可能に取り付けるように働く。すなわち、保定部材は、テンション要素28およびクラブヘッド14のコンポーネントが互いに対して滑動することを可能にする。同時に、テンション要素28は、クラブヘッド14のコンポーネントを互いに取り外し可能に固定するように働く。
【0021】
ボディ部材20はまた、テンション要素28を受けるためのボディ保定部材を含むことができる。ボディ保定部材は、フェースプレート18上で見られるものと同じ形状である必要はない。スカート26上に提供されるボディ保定部材は、別の形状、すなわち溝34の形状をとる。テンション要素28は、ボディ部材20のソール部分24を横切って延びたのち、スカート26の上面に形成された溝34の中を通過する。したがって、テンション要素28と接触し、クラブヘッド14の様々なコンポーネントに対して保定する保定部材は、テンション要素28がクラブヘッド14の様々なコンポーネントを互いに接続し、固定することを可能にする任意の所望の形状または形態をとることができる。
【0022】
この例示的な態様において、テンション要素は、ボディ部材20のクラウン部分22またはソール部分24に直接的には接続されておらず、クラウン部分22およびソール部分24はフェースプレート18とスカート26との間に挟まれている。他の態様において、張力部材は、クラウン部分22およびソール部分24と直接接触することもできることが理解されよう。たとえば、図4に見られるように、ボディ部材20のクラウン部分22およびソール部分24は、保定部材、たとえばフック36または任意の他の保定部材を含むことができる。したがって、テンション要素28は、クラブヘッド14のすべてのコンポーネントを合わせて、取り外し可能に固定するために、クラブヘッド14のありとあらゆる要素と直接接触する必要はないことが理解されよう。
【0023】
図2に例示される態様において、テンション要素は、上記のように、ソール部分24上の任意の要素によって直接的には保定されない。そのような態様においては、クラウン部分22およびソール部分24がユニットとして互いに接続されたのち、そのユニットがフェースプレート18とスカート26との間に挟まれる。ソール部分24およびクラウン部分22は、任意所望のやり方で互いに接続されることができる。たとえば、図5に例示されるように、ソール部分24の周縁の周囲に突起38が形成され、クラウン部分22の周縁に嵌合する凹み40が形成され、突起38がその凹み40に受けられてもよい。このように、ソール部分24およびクラウン部分22は、インターロック的に取り外し可能に互いに接続または固定される。他の態様において、クラウン部分22の周縁の周囲に突起が形成されて、ソール部分24の周縁の周囲に嵌合する凹みが形成されてもよいことが理解されよう。
【0024】
上記のように、引張り部材30は、テンション要素28中に張力を提供し、それにより、クラブヘッド14のコンポーネントを互いに確実かつしっかりと締結させるように働く。図示される態様において、引張り部材30は、図6の係合状態で見られるように、公知のやり方で作用してテンション要素28を締め付け、それにより、クラブヘッド14のコンポーネントを互いに固定させるラチェットアセンブリ42である。
【0025】
ラチェットアセンブリ42はベース部分44を含み、その内部に、スプール45およびラチェット機構(図示せず)が配置されている。図6に示されるラチェットアセンブリ42の係合状態においては、ノブ46がユーザによって回されると(図示される態様においては、右回りに矢印Aの方向)、テンション要素28の端部が公知のやり方でスプール45の周囲に巻き付けられる。ノブ46が回転すると、テンション要素28の端部は、矢印Bの方向に移動してラチェットアセンブリ42の中に入り、テンション要素28の反対側の端部がスプール45に巻き付けられて、それにより、ラチェットアセンブリ42の外側のテンション要素28の部分が短くなり、その結果、テンション要素28中の張力が増し、クラブヘッド14の要素を互いに固定させる。
【0026】
ラチェットアセンブリ42中の張力を取り外すためには、図7に示すように、ノブ46を矢印Cの方向に係合解除状態まで持ち上げると、それが、ラチェットアセンブリ42中のラチェット機構の係合を取り外して、テンション要素28の端部をスプール45の外にスピンさせ、ラチェットアセンブリ42から矢印Dの方向に外方に移動させ、それにより、テンション要素28中の張力を取り外し、クラブヘッド14を分解することを可能にする。例示的なラチェットアセンブリの内部動作のより詳細な説明は、参照により全体として本明細書に組み入れられる米国特許第5,934,599号、第6,202,953号および第6,289,558号に見られる。
【0027】
特定の態様において、引張り要素30がクリープひずみに耐性であり、それにより、ゴルフクラブ10の素早いスイングおよびクラブヘッド14とゴルフボールとの度重なる衝突にもかかわらず、クラブヘッド14のコンポーネントが互いに固着されたままであることが保証されることが理解されよう。
【0028】
図1に例示されるような特定の態様において、引張り部材30はクラブヘッド14の外部から見える。他の態様において、引張り部材30はクラブヘッド14内に隠れることもある。たとえば、図8に例示されるように、カバー48が、クラウン部分24の上面に形成された開口50中に提供され、それにより、引張り部材30中へのほこりおよびくずの侵入を減らす。カバー48は、公知のスナップ嵌めなどのやり方で開口50内に固定することができる。カバー48をその所望の位置に固定するために、カバー48または開口50のいずれかが、カバー48および開口50の他方における対応するスロットまたは他の適当なアパーチャの中に受けられる一つもしくは複数のタブまたは他の適当な突起を有することができる。本開示の恩典を与えられると、カバー48を固定する他の手段が当業者に容易に明らかになるであろう。
【0029】
引張り部材30は、上述のラチェットアセンブリに加えて、他の形態をとることもできることが理解されよう。たとえば、図9に見られるように、引張り部材30は、シャフト56を中心に枢動してテンション要素28をボディ部材20の表面に挟み付けるカムレバー54を含むカム機構52であることもできる。ボディ部材20は、テンション要素28と係合しやすくするための、その表面から外方に延びる歯58を含むことができる。
【0030】
テンション要素28に張力を提供して、それにより、クラブヘッド14のコンポーネントパーツを互いにしっかりと確実かつ取り外し可能に固定させる任意のタイプのカム機構または任意の他の引張り部材を使用することができることが理解されよう。本開示の恩典を与えられると、他の適当な引張り部材が当業者に容易に明らかになるであろう。
【0031】
特定の態様において、さらなるコンポーネントがクラブヘッド14に加えられることもできる。たとえば、図10に例示されるように、テンション要素28を介してさらなるウェイト60をクラブヘッド14の他のコンポーネントに取り外し可能に固定することができる。図示される態様において、クラブヘッド14は、スカート16を有さず、ボディ部材20の後面に沿って配置されたウェイト60を有し、ウェイト60上の保定部材62と係合したテンション要素28を有する状態で示されている。ウェイト60は、ボディ部材20の内部に配置することを含め、クラブヘッド14上の任意の場所に配置することができることが理解されよう。
【0032】
また、一つを超えるウェイト60をクラブヘッド14に固定することもできることが理解されよう。たとえば、図11に例示されるように、三つのウェイト60がクラブヘッド14の後面に沿って配置されている。任意の数のウェイト60をクラブヘッド14に含めることができ、各ウェイト60をクラブヘッド14内の任意の所望の場所に配置することができる。
【0033】
クラブヘッド14は、引張りアセンブリ27の使用によって速やか、かつ容易に組み立て、分解することができるため、クラブヘッド14のコンポーネントパーツは、速やかかつ容易に他のコンポーネントと交換する、または取り換えることができる。したがって、ユーザは、多様な理由のために互いに置換することができる多様なクラブヘッドコンポーネントを有することができる。たとえば、クラブコンポーネントは、遭遇することが予想されるプレー条件(たとえば様々なコース条件、様々な天候条件、様々な風条件など)、使用されるゴルフボールのタイプおよびゴルファーの熟練度または能力に基づいて選択することができる。ユーザは、向上するにつれ、異なるプレースタイルを適合させることもあり、クラブヘッドコンポーネントを取り換えることができることは、ユーザが、全く新たなクラブを購入することなく、自分のクラブを修正することを可能にする。交換可能なクラブヘッドコンポーネントの使用により、非限定的に、クラブヘッドの形状、ウェイト、ウェイト配分、バウンス角、重心、慣性モーメント、形成される材料および外観をはじめとして、クラブヘッド14の重心、慣性モーメントおよび/または他の「感触」特性を変化させることができるクラブヘッド14のジオメトリまたは質量性質のすべての局面を修正することができることが理解されよう。
【0034】
上記のように、引張り部材30は、ゴルフクラブ10内の任意の場所に配置することができる。特定の態様において、図12に例示されるように、引張り部材30は、シャフト12の、クラブヘッド14から遠い第二端に配置される。この態様において、テンション要素28は、クラブヘッド14のコンポーネントと係合したのち(たとえばそれに巻かれたのち、またはそれに通されたのち)、シャフト12の端部の引張り部材30までシャフト12の中を上方に延びる。
【0035】
工具64を使用して引張り部材30のノブ46の回転を容易にするさらに別の態様が図13に示されている。たとえば六角頭レンチであることができる工具64は、ノブ46を回転させるためのさらなるてこの作用を提供して、それにより、ユーザが、テンション要素28中に高レベルの張力を提供する能力を高める。これは、クラブヘッド14のコンポーネントを合わせて、固く締結することを保証することに役立つ。特定の態様において、工具64は、トルクレンチまたは引張り部材30が適量の張力をテンション要素28に付与する他のトルク制限工具であることができる。
【0036】
このように、様々な態様の新規な基本的特徴を示し、説明し、指摘したが、本発明の真意および範囲を逸脱することなく、当業者により、例示された装置の形態および詳細ならびにそれらの動作における様々な省略、置換および変更を加えることができることが理解されよう。たとえば、実質的に同じ機能を実質的に同じ方法で遂行して同じ結果を達成する、これらの要素および/またはステップのすべての組み合わせが本発明の範囲内であるということが明示的に意図される。また、ある記載された態様から別の態様への要素の置換が完全に意図され、想定されている。したがって、添付の請求の範囲よって示されるようにのみ限定されるものと解釈される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のコンポーネントおよび複数の保定部材を含み、各保定部材が該コンポーネントの一つに配置されているクラブヘッド、ならびに
該クラブヘッドの該コンポーネントを合わせて、取り外し可能に固定するための引張りアセンブリであって、かつ
該保定部材を介して該クラブヘッドコンポーネントに結合されたテンション要素、および
該テンション要素に張力を導入するための引張り部材
を含む引張りアセンブリ
を含む、ゴルフクラブヘッド。
【請求項2】
複数のコンポーネントが、
フェースプレート、および
該フェースプレートの後方に配置されたボディ部材
を含む、請求項1記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項3】
ボディ部材が、
クラウン部分、および
該クラウン部分の下方に配置されたソール部分
を含む、請求項2記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項4】
ボディ部材が、クラウン部分およびソール部分の後方に配置されたスカートをさらに含む、請求項3記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項5】
スカートが、その中をテンション要素が通過して延びる通路を含む、請求項4記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項6】
クラウン部分およびソール部分がスカートとフェースプレートとの間に挟まれている、請求項4記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項7】
フェースプレートがその後面に一対の保定部材を含む、請求項2記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項8】
引張り部材の少なくとも一部分がボディ部材中に配置されている、請求項2記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項9】
引張りアセンブリによってクラブヘッドに取り外し可能に固定された少なくとも一つのウェイトをさらに含む、請求項1記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項10】
引張り部材が、テンション要素をその周りに巻き付けられるスプールを含む、請求項1記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項11】
引張り部材がラチェットアセンブリを含む、請求項1記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項12】
引張り部材がカム機構を含む、請求項1記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項13】
テンション要素がケーブルである、請求項1記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項14】
テンション要素中の張力を増大させるための、引張り部材と共に使用するための工具をさらに含む、請求項1記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項15】
少なくとも一つのフェースプレート保定部材を含むフェースプレート、
該フェースプレートの後方に配置され、かつ少なくとも一つのボディ保定部材を有するボディ部材、および
テンション要素および該テンション要素に接続された引張り部材を含み、該テンション要素が該フェースプレートおよびボディ部材保定部材と係合して該フェースプレートを該ボディ部材に取り外し可能に固定する引張りアセンブリ
を含む、ゴルフクラブヘッド。
【請求項16】
ボディ部材が、
クラウン部分、
該クラウン部分の下方に配置されたソール部分、ならびに
該クラウン部分および該ソール部分から後方に延びるスカート
を含む、請求項15記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項17】
スカートが、その中をテンション要素が通過して延びる通路を含む、請求項16記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項18】
引張りアセンブリによってクラブヘッドに取り外し可能に固定された少なくとも一つのウェイトをさらに含む、請求項16記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項19】
第一端および第二端を有するシャフト、ならびに
該シャフトの該第一端に固定され、かつ複数のコンポーネントおよび複数の保定部材を含み、各保定部材が該コンポーネントの一つに配置されているクラブヘッド、ならびに
該クラブヘッドの該コンポーネントを合わせて、取り外し可能に固定するための引張りアセンブリであって、かつ
該保定部材を介して該クラブヘッドコンポーネントに結合されたテンション要素、および
該テンション要素に張力を導入するための引張り部材
を含む引張りアセンブリ
を含む、ゴルフクラブアセンブリ。
【請求項20】
複数のコンポーネントが、
フェースプレート、および
該フェースプレートの後方に配置されたボディ部材
を含む、請求項19記載のゴルフクラブアセンブリ。
【請求項21】
ボディ部材が、
クラウン部分、および
該クラウン部分の下方に配置されたソール部分
を含む、請求項20記載のゴルフクラブアセンブリ。
【請求項22】
ボディ部材が、クラウン部分およびソール部分から後方に延びるスカートをさらに含む、請求項21記載のゴルフクラブアセンブリ。
【請求項23】
スカートが、その中をテンション要素が通過して延びる通路を含む、請求項22記載のゴルフクラブアセンブリ。
【請求項24】
クラウン部分およびソール部分が、スカートとフェースプレートとの間に挟まれている、請求項22記載のゴルフクラブアセンブリ。
【請求項25】
フェースプレートがその後面に一対の保定部材を含む、請求項20記載のゴルフクラブアセンブリ。
【請求項26】
引張りアセンブリによってクラブヘッドに取り外し可能に固定された少なくとも一つのウェイトをさらに含む、請求項19記載のゴルフクラブアセンブリ。
【請求項27】
引張り部材が、テンション要素をその周りに巻き付けられるスプールを含む、請求項19記載のゴルフクラブアセンブリ。
【請求項28】
引張り部材がラチェットアセンブリを含む、請求項19記載のゴルフクラブアセンブリ。
【請求項29】
引張り部材がカム機構を含む、請求項19記載のゴルフクラブアセンブリ。
【請求項30】
テンション要素がケーブルである、請求項19記載のゴルフクラブアセンブリ。
【請求項31】
引張り部材の少なくとも一部分がクラブヘッド中に配置されている、請求項19記載のゴルフクラブアセンブリ。
【請求項32】
引張り部材がシャフトの第二端に配置されている、請求項19記載のゴルフクラブアセンブリ。
【請求項33】
テンション要素中の張力を増大させるための、引張り部材と共に使用するための工具をさらに含む、請求項19記載のゴルフクラブアセンブリ。
【請求項34】
第一端および第二端を有するシャフト、および
該シャフトの該第一端に固定され、かつ
少なくとも一つのフェースプレート保定部材を含むフェースプレート、
該フェースプレートの後方に配置され、かつ少なくとも一つのボディ保定部材を有するボディ部材
を含むクラブヘッド、ならびに
テンション要素、および該テンション要素に接続された引張り部材を含み、該テンション要素が該フェースプレートおよびボディ部材保定部材と係合して該フェースプレートを該ボディ部材に取り外し可能に固定する引張りアセンブリ
を含む、ゴルフクラブアセンブリ。
【請求項35】
ボディ部材が、
クラウン部分、
該クラウン部分の下方に配置されたソール部分、ならびに
該クラウン部分および該ソール部分から後方に延びるスカート
を含む、請求項34記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項36】
スカートが、その中をテンション要素が通過して延びる通路を含む、請求項35記載のゴルフクラブヘッド。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公表番号】特表2012−501746(P2012−501746A)
【公表日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−526186(P2011−526186)
【出願日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際出願番号】PCT/US2009/055845
【国際公開番号】WO2010/028118
【国際公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【出願人】(505087849)ナイキ インコーポレーティッド (123)
【出願人】(505424859)ナイキ インターナショナル リミテッド (249)
【Fターム(参考)】