説明

テーブルにおけるパネル装置

【課題】パネルを支持するための部品点数を減らすことで製造コストを低減でき、かつテーブルの使用者が容易にパネルを動かして任意の位置で固定することができるテーブルにおけるパネル装置を提供すること。
【解決手段】略垂直方向に延びるパネル体2が天板5の端部に設けられたテーブル4におけるパネル装置1であって、前記パネル体2を、前記天板5の端部における少なくとも1箇所に設けられた支持手段28に対して垂直方向に回動可能に軸支させ、該パネル体2を任意の回動位置で固定するための固定手段29を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、略垂直方向に延びるパネル体が天板の端部に設けられたテーブルにおけるパネル装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、多数のテーブル(机)を並べるオフィス等では、テーブルの使用者が仕事に集中できるように、テーブルの前面や側面を囲むパネルが用いられており、例えば、特許文献1に記載の昇降パネル付きテーブルのように、可動プレートによって上下昇降できるパネルを、天板を支持する脚柱に取り付けられた支持ブラケットを介して取り付けることで、天板に埋め込まれるナットの数を減らし、かつパネルの取付強度を充分に確保するようにしたものがある。
【0003】
【特許文献1】特開2000−4949号公報(第3頁、第5図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の昇降パネル付きテーブルにあっては、可動プレートや支持ブラケットなどのパネルを支持するための部品を、テーブルの脚柱などの少なくとも2箇所に配置する必要があり、部品点数が多くなるため、製造コストが嵩むようになるばかりか、パネルを上下昇降させるためには、テーブルの使用者が起立した状態でパネルの上端部を両手で掴み、上下昇降させなければならず、パネルを容易に動かすことができないという問題がある。
【0005】
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、パネルを支持するための部品点数を減らすことで製造コストを低減でき、かつテーブルの使用者が容易にパネルを動かして任意の位置で固定することができるテーブルにおけるパネル装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明の請求項1に記載のテーブルにおけるパネル装置は、
略垂直方向に延びるパネル体が天板の端部に設けられたテーブルにおけるパネル装置であって、
前記パネル体を、前記天板の端部における少なくとも1箇所に設けられた支持手段に対して垂直方向に回動可能に軸支させ、該パネル体を任意の回動位置で固定するための固定手段を設けたことを特徴としている。
この特徴によれば、パネル体を軸支する支持手段を天板の端部における少なくとも1箇所に設けるだけでよく、パネル体を支持する部品の部品点数を減らせることができるので、製造コストを低減でき、かつ回動動作によってパネル体を動かせるようになるので、使用者がパネル体を容易に動かすことができ、使用者が着席中の場合や片手であってもパネル体を動かす操作を行えるようになり、かつ固定手段によりパネル体を任意の回動位置で固定させることも容易に行える。
【0007】
本発明の請求項2に記載のテーブルにおけるパネル装置は、請求項1に記載のテーブルにおけるパネル装置であって、
前記パネル体が、円形以外の形状をなしていることを特徴としている。
この特徴によれば、円形以外の形状をなすパネル体を天板の端部に設けられた支持手段を中心として回動させると、使用者から視認できるパネル体の部位、すなわち天板よりも上方に位置するパネル体の部位が様々な形状に変化するようになり、パネル体の高さ位置や天板よりも上方の遮蔽面積を容易に変化させることができる。
【0008】
本発明の請求項3に記載のテーブルにおけるパネル装置は、請求項1または2に記載のテーブルにおけるパネル装置であって、
前記パネル体が、該パネル体の中心位置から偏心した位置にて前記支持手段に対して軸支されていることを特徴としている。
この特徴によれば、パネル体が、その中心位置から偏心した位置を中心として回動されるようになり、使用者から視認できるパネル体の部位、すなわち天板よりも上方に位置するパネル体の部位が様々な形状に変化するようになり、パネル体の高さ位置や天板よりも上方の遮蔽面積を容易に変化させることができる。
【0009】
本発明の請求項4に記載のテーブルにおけるパネル装置は、請求項1ないし3のいずれかに記載のテーブルにおけるパネル装置であって、
前記パネル体が、該パネル体の端縁を形成するフレーム材と、該フレーム材に張設されるクロス材とで構成されていることを特徴としている。
この特徴によれば、パネル体を軽量化することができ、パネル体を容易に動かせるようになるばかりか、フレーム材の形状を変化させることで、様々な端縁形状を有するパネル体を製造でき、かつクロス材を適宜選択することで、様々な色や模様のパネル体を製造できる。
【0010】
本発明の請求項5に記載のテーブルにおけるパネル装置は、請求項1ないし4のいずれかに記載のテーブルにおけるパネル装置であって、
前記天板の端部には、該天板の端部を上下方向から挟持する略コ字状のクランプ装置が着脱自在に取り付けられ、前記支持手段が、前記クランプ装置に設けられた軸部で構成されるとともに、前記固定手段が、前記軸部を介して前記パネル体に摩擦抵抗を加えるバネ部材で構成されることを特徴としている。
この特徴によれば、クランプ装置が天板の端部に着脱できることで、天板の端部における任意の位置にパネル体を着脱することができ、かつバネ部材による摩擦抵抗によってパネル体を任意の回動位置で固定できるため、パネル体の操作が簡便になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明に係るテーブルにおけるパネル装置を実施するための最良の形態を実施例に基づいて以下に説明する。
【実施例1】
【0012】
本発明の実施例を図面に基づいて説明すると、先ず図1は、実施例1におけるパネル装置が取り付けられたテーブルを示す斜視図であり、図2は、パネル装置が取り付けられたテーブルの使用例を示す側面図であり、図3は、パネル装置が取り付けられたテーブルを示す背面図であり、図4は、クランプ装置を示す縦断側面図であり、図5は、トルクヒンジを示す斜視図であり、図6は、パネル装置が取り付けられたテーブルの使用例を示す斜視図である。以下、図1及び図6の紙面右下方側をテーブルにおけるパネル装置の正面側(前方側)とし、図2の紙面右側をテーブルにおけるパネル装置の正面側(前方側)として説明する。
【0013】
図1の符号1は、本発明の適用されたパネル装置であり、このパネル装置1は、垂直方向に延びる平板状をなすパネル体2と、このパネル体2を支持するクランプ装置3で構成されている。1つのパネル装置1は、1つのクランプ装置3を介してテーブル4の天板5の端部に取り付けられている。本実施例では、オフィス等に設置される1台のテーブル4の天板5に3つのパネル装置1が用いられ、それぞれのパネル装置1が、天板5における後方側及び左右側方側の端縁部の3箇所に取り付けられている。尚、本発明で言うテーブルとは、オフィス等で使用される机等も含んでいる。
【0014】
図2に示すように、パネル体2は、その端縁を形成する端縁フレーム材6と、端縁フレーム材6の内側に配置される直線状の支持フレーム材7とを有している。両フレーム材6,7は、軽量な金属等の材質で形成され、端縁フレーム材6は、金属製の管体を屈曲させることで形成されるとともに、支持フレーム材7は、端縁フレーム材6に溶接によって接合されている。
【0015】
尚、これらフレーム材6,7を覆うように透過性を有する軽量な布地で構成されるクロス材8が張設されている。このように軽量な金属製のフレーム材6,7とクロス材8とで、パネル体2を構成することで、パネル体2を軽量化することができる。
【0016】
また、端縁フレーム材6は円形状や三角形状や四角形状などの様々な形状に変形加工することができ、この端縁フレーム材6の形状を変化させることで、様々な形状のパネル体2を製造できる。更に、クロス材8の色や模様を適宜選択することで、様々な色や模様のパネル体2を製造できる。尚、クロス材8は袋状に形成されており、その寸法が端縁フレーム材6の寸法よりも若干小さくなっている。そのためクロス材8にテンションをかけた状態で張設できるようになっている。
【0017】
本実施例におけるパネル体2は、略卵形状に形成されている。この略卵形状とは、例えば、図3(a)に示すように、パネル体2の端縁の略半分を形成する円弧に基づいて仮想的に形成される円Eに対してパネル体2の端縁の一部が外方に膨出された形状を示す。
【0018】
支持フレーム材7の中央部は、前述した円Eの中心Tに配置されるようになっており、この円Eの中心Tは、パネル体2の中心位置J、すなわちパネル体2の重心位置Jから偏心された位置に設けられている。パネル体2は、支持フレーム材7の中央部(円Eの中心T)でクランプ装置3によって支持されている。
【0019】
図3(a)〜(c)に示すように、パネル体2は、使用者Uがパネル体2の端縁を掴んで垂直方向に自在に回動(自転)させることができるとともに、パネル体2を任意の回動位置で固定することができる。パネル体2は、天板5の端部における任意の一点、すなわちクランプ装置3が設けられた支持点を中心T(軸)として垂直方向に自転される。尚、本発明で言うパネル体2の垂直方向の回動とは、中心Tを中心軸としての図3の紙面に対してパネル体2が平行に回動する方向を言う。
【0020】
図2に示すように、パネル体2の回動位置を変えることによって、使用者Uが仕事に集中したい場合には、パネル体2を回動させてその上端縁(表面領域の上端縁)を高くすることができ、使用者Uが周囲の人とのコミュニケーションが必要な場合には、パネル体2を回動させてその上端縁を低くすることができるようになっている。
【0021】
図3(a)は、略卵形状のパネル体2の端縁のうち、外方に膨出された端縁が上方側にある状態のパネル体2の回動位置を示している。このパネル体2を垂直方向に90°回動させると、図3(b)に示すように、パネル体2の外方に膨出された端縁が側方側に移動される。そのためパネル体2の上端縁の高さを低くすることができる。
【0022】
更に、パネル体2を垂直方向に90°回動させると、図3(c)に示すように、パネル体2の外方に膨出された端縁が下方側に移動される。そのためパネル体2によって遮蔽される面積、すなわち天板5よりも上方のパネル体2の部位(表面領域)を最小限にすることができる。
【0023】
次にクランプ装置3について詳述すると、図4に示すように、クランプ装置3は金属製の板体が側面視で略コ字形状をなすように屈曲された屈曲板体9を有し、この屈曲板体9の上片10及び下片11には、天板5の上面及び下面に当接され、かつ天板5を上下方向から挟持するための上部及び下部挟持部材12,13が設けられている。
【0024】
上部挟持部材12の内部には、ネジ座14が配置されており、このネジ座14は、雌ネジ部15が形成された円筒部16と、この円筒部16よりも大径のフランジ部17により構成されている。ネジ座14の円筒部16は、屈曲板体9の上片10に形成された円形状の孔部18に下方から挿設され、ネジ座14のフランジ部17が屈曲板体9の上片10に下方から当接されるようになっている。
【0025】
また、上部挟持部材12の内部には、ネジ座14の雌ネジ部15に螺合される雄ネジ部19が形成された回動ボルト20が配置されている。屈曲板体9の上片10とネジ座14と回動ボルト20とは、上方がカバー部材21によって覆われており、カバー部材21の上部には、回動ボルト20を回動させるための回動ノブ22が設けられている。更に、カバー部材21には、天板5の上面に当接されるカバー板体21’が固着されている。
【0026】
回動ノブ22を手で摘まんで回動させると、回動ボルト20の回動によってネジ座14が上下するようになっており、ネジ座14の上下動に応じて屈曲板体9が上下動するようになっている。クランプ装置3を天板5の端部に取り付ける際には、先ず回動ノブ22を回動させて、屈曲板体9を降下させた状態で、クランプ装置3を屈曲板体9が天板5の端部に遊嵌された状態で配置する。そして、回動ノブ22を逆に回転させると、屈曲板体9が上昇し、上部及び下部挟持部材12,13によって上下方向から天板5の端部が挟持されるようになり、クランプ装置3が天板5の端部に取り付けられるようになる。
【0027】
尚、クランプ装置3を天板5の端部から取り外す際は、回動ノブ22を回動させて屈曲板体9を降下させればよく、このようにクランプ装置3を天板5の端部に着脱することで、天板5の端部における任意の位置にパネル装置1を取り付けることができる。
【0028】
また、屈曲板体9の上片10及び下片11の間に配置される垂直方向に延びる垂直片23には、その外面側にパネル体2の支持フレーム材7に螺着された略円筒形状の回動部材24が設けられている。この回動部材24の内部には、本実施例における固定手段としてのトルクヒンジ25が配置され、回動部材24に所定の摩擦抵抗が加わるようになっている。
【0029】
図5に示すように、トルクヒンジ25は、屈曲板体9に螺着される固定片26と、回動部材24に螺着される回動片27とを有している。固定片26には、本実施例における支持手段として軸部28が設けられており、回動片27は軸部28に対して回動自在に軸支されている。
【0030】
また、軸部28には、本実施例における固定手段及びバネ部材としての皿バネ29が設けられている。回動片27は皿バネ29によって所定の付勢力で固定片26に向かって付勢されており、固定片26と回動片27との間に、所定の摩擦抵抗が加えられるようになっている。皿バネ29がトルクヒンジ25に加える摩擦抵抗によって、パネル体2は、その回動が任意の回動位置で固定できるようになっており、そのため使用者Uがパネル体2の回動操作を行い易くなっている。
【0031】
更に、回動部材24は屈曲板体9から所定の長さ水平方向に突出されており、パネル体2は天板5の端部から所定の長さ離間された状態で配置される。そのためパネル体2と天板5の端部との間には、間隙が形成されており、パネル体2を回動させた際に、パネル体2の端縁が天板5の端部に接触することを防止できる。
【0032】
図6に示すように、パネル装置1は、左右方向に並べられた2台のテーブル4,4の間に配置して使用することもでき、パネル装置1は、左右いずれか一方のテーブル4の天板5の端部に取り付けられるようになっている。このようにテーブル4に近接して他のテーブル4等の障害物が配置されるような場合でも、軽量なパネル体2を用いていることで、作業者がパネル装置1を一方のテーブル4に取り付けてテーブル4,4同士の間に配置できるとともに、クランプ装置3がその上部に設けられた回動ノブ22によって操作ができるため、作業者がテーブル4の天板5の下方に潜ってクランプ装置3を操作しなくてもよくなり、パネル装置1の取付作業が容易になっている。
【0033】
以上、本実施例におけるパネル装置1では、パネル体2を、天板5の端部における少なくとも1箇所に設けられたクランプ装置3に対して垂直方向に回動可能に軸支させていることで、パネル体2を支持するクランプ装置3等の部品の部品点数を減らせることができ、パネル装置1の製造コストが低減される。また、回動動作によってパネル体2を動かせるようになっているので、使用者Uがパネル体2を容易に動かすことができ、使用者Uが着席中の場合や片手であってもパネル体2を動かす操作を行えるようになる。更に、クランプ装置3の軸部28に設けられた皿バネ29によってパネル体2を任意の回動位置で固定できるため、使用者Uがパネル体2を回動操作したときに、別途、パネル体2を固定するための固定操作などを行う必要がなく、パネル体2を容易に固定できる。
【0034】
また、略卵形状のパネル体2が自転されると、パネル体2の上端縁の高さ位置や天板5よりも上方の遮蔽面積等のパネル体2の表面領域を様々な形態に変化させることができるばかりか、パネル体の表面領域を少ない自転量で大きく変化させることができる。
【実施例2】
【0035】
次に、実施例2に係るテーブル4におけるパネル装置1aにつき、図7を参照して説明する。尚、前記実施例に示される構成部分と同一構成部分に付いては同一符号を付して重複する説明を省略する。図7は、実施例2におけるパネル装置1aが取り付けられたテーブル4を示す背面図である。
【0036】
図7(a)に示すように、実施例2におけるパネル体2aは、楕円形状に形成されている。このパネル体2aは前記実施例1のパネル体2と同様に、端縁フレーム材6及び支持フレーム材7を覆うようにクロス材8が張設されている。また、支持フレーム材7の中央部は、パネル体2aの中心位置Jから偏心された位置に設けられ、パネル体2aは、支持フレーム材7の中央部でクランプ装置3によって支持されている。
【0037】
図7(b)に示すように、パネル体2aはクランプ装置3に支持された支持点を中心Tとして垂直方向に自在に回動(自転)させることができるとともに、パネル体2aを任意の回動位置で固定することができる。
【実施例3】
【0038】
次に、実施例3に係るテーブル4におけるパネル装置1bにつき、図8を参照して説明する。尚、前記実施例に示される構成部分と同一構成部分に付いては同一符号を付して重複する説明を省略する。図8は、実施例3におけるパネル装置1bが取り付けられたテーブル4を示す背面図である。
【0039】
図8(a)に示すように、実施例3におけるパネル体2bは、正方形状に形成されている。このパネル体2bは前記実施例1のパネル体2と同様に、端縁フレーム材6及び支持フレーム材7を覆うようにクロス材8が張設されている。また、支持フレーム材7の中央部は、パネル体2bの中心位置Jから偏心された位置に設けられ、パネル体2bは、支持フレーム材7の中央部でクランプ装置3によって支持されている。
【0040】
図8(b)に示すように、パネル体2bはクランプ装置3に支持された支持点を中心Tとして垂直方向に自在に回動(自転)させることができるとともに、パネル体2を任意の回動位置で固定することができる。
【0041】
以上、実施例2及び実施例3におけるパネル装置1a,1bでは、パネル体2a,2bが、円形以外の形状、すなわち楕円形状や正方形状をなしていることで、パネル体2a,2bを天板5の端部に設けられたクランプ装置3を中心Tとして回動させたときに、使用者Uから視認できるパネル体2a,2bの部位(表面領域)、すなわち天板5よりも上方に位置するパネル体2a,2bの部位が様々な形状に変化するようになる。
【0042】
また、パネル体2a,2bが、その中心位置Jから偏心した位置を中心Tとして自転されるため、使用者Uから視認できるパネル体2a,2bの部位(表面領域)、すなわち天板5よりも上方に位置するパネル体2a,2bの部位が様々な形状に変化するようになり、パネル体2a,2bの高さ位置や天板5よりも上方の遮蔽面積を容易に変化させることができる。
【実施例4】
【0043】
次に、実施例4に係るテーブル4におけるパネル装置1cにつき、図9を参照して説明する。尚、前記実施例に示される構成部分と同一構成部分に付いては同一符号を付して重複する説明を省略する。図9は、実施例4におけるパネル装置1cが取り付けられたテーブル4を示す背面図である。
【0044】
図9(a)に示すように、実施例4におけるパネル体2cは、円形状に形成されている。このパネル体2cは前記実施例1のパネル体2と異なり、パネル体2cの表面にメモ用紙30(ピンナップ)等をピンで貼り付けることができる平板状をなすピンナップボードとして構成されている。
【0045】
尚、パネル体2cを支持するクランプ装置3は、パネル体2cの中心位置T、すなわちパネル体2cの重心位置に設けられている。パネル体2cはクランプ装置3に支持された支持点を中心Tとして垂直方向に自在に回動(自転)させることができるとともに、パネル体2cを任意の回動位置で固定することができる。
【0046】
また、パネル体2cの表面(表面領域)の色が、使用者Uから視認できるパネル体2cの部位、すなわち天板5よりも上方に位置するパネル体2cの部位と、天板5の下方に位置するパネル体2cの部位とで異なるように形成されている。例えば、図9(a)中の網点部に示すように、パネル体2cの下半分の色は、パネル体2cの上半分の色と異なっている。尚、特に図示はしないが、パネル体2cの表面に描かれる模様等(表面領域)を、パネル体2cの上半分と下半分で異なるように描いてもよい。
【0047】
図9(b)に示すように、パネル体2cを垂直方向に180°回動させると、使用者Uから視認できるパネル体2cのパネル体2cの表面の色が切り替わるようになっている。また、パネル体2cの回動とともに、パネル体2cの表面に貼り付けてあるメモ用紙30も移動するため、パネル体2cの下半分に貼り付けてあるメモ用紙30が、使用者Uから視認できるように、パネル体2cの上半分に移動される。
【0048】
以上、実施例4におけるパネル装置1cでは、天板5より上方、つまり使用者Uから視認できるパネル体2cの表面部位(表面領域)以外にもメモ用紙30等を貼り付けられるため、パネル体2cの遮蔽面積を小さくした状態で、多くのメモ用紙30等を貼り付けておくことができる。更に、パネル体2cを回動させるだけで、使用者Uから視認できない位置に貼り付けてあるメモ用紙30を、容易に視認できる位置まで移動させることができる。尚、2人の使用者Uがテーブル4を使用する場合などに、テーブル4の使用者Uが変わる毎にパネル体2cを回動させて、各々の使用者Uが必要とするメモ用紙30を視認できるようにしてもよい。
【0049】
また、使用者Uは仕事中の気分や状況などに応じて、パネル体2cを回動させるだけで、パネル体2cの表面の色や模様、すなわち表面領域を容易に切り替えることができる。
【実施例5】
【0050】
次に、実施例5に係るテーブル4におけるパネル装置1dにつき、図10を参照して説明する。尚、前記実施例に示される構成部分と同一構成部分に付いては同一符号を付して重複する説明を省略する。図10は、実施例5におけるパネル装置1dが取り付けられたテーブル4を示す背面図である。
【0051】
図10(a)に示すように、実施例5におけるパネル体2dは、前記実施例1のパネル体2dと同様に略卵形状に形成され、端縁フレーム材6及び支持フレーム材7を覆うようにクロス材8が張設されている。また、支持フレーム材7の中央部は、パネル体2dの中心位置Jから偏心された位置に設けられている。
【0052】
また、実施例5におけるクランプ装置3dは、前記実施例1と異なり、クランプ装置3dに設けられた第1回動部材31に、天板5の端部に対して平行に延びるアーム33が設けられ、このアーム33の先端には、第2回動部材32が設けられている。更に、第1回動部材31及び第2回動部材32の内部には、それぞれに前記実施例1で用いたトルクヒンジ25と同様のトルクヒンジ(図示略)が配置され(図4及び図5参照)、第1回動部材31及び第2回動部材32に所定の摩擦抵抗が加わるようになっている。尚、第1回動部材31のトルクヒンジ(図示略)が本実施例における第1固定手段を構成し、第2回動部材32のトルクヒンジ(図示略)が本実施例における第2固定手段を構成している。
【0053】
更に、パネル体2dは、支持フレーム材7の中央部が第2回動部材32に連結されている。パネル体2dは、第2回動部材32に支持された位置を中心Tとして垂直方向に自在に回動(自転)させることができるとともに、パネル体2dを任意の回動位置で固定することができる。尚、アーム33は、第1回動部材31を中心Kとして垂直方向に自在に回動させることができるとともに、アーム33を任意の回動位置で固定することができる。
【0054】
図10(b)に示すように、アーム33が第1回動部材31を中心Kとして回動されると、パネル体2dは第1回動部材31を中心Kとして垂直方向に回動(公転)される。パネル体2dは、天板5の端部における任意の一点、すなわち第1回動部材31が設けられた支持点を中心K(軸)として垂直方向に公転される。
【0055】
以上、実施例5におけるパネル装置1dでは、使用者Uがパネル体2dを動かすと、使用者から視認できるパネル体2dの表面領域が変化するようになり、かつパネル体2dを天板5の端部における任意の一点Kに対して垂直方向に公転させるように動かせることで、パネル体2dを回動のみならず、略上下方向や略左右方向にも移動させることができるようになる。尚、第2回動部材32を固定した状態で、第1回動部材31のみを回動させてパネル体2dを移動させるようにしてもよい。
【0056】
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0057】
例えば、前記実施例1では、クランプ装置3に設けられたパネル体2を任意の回動位置で固定するための固定手段として皿バネ29が用いられていたが、皿バネ29以外でもコイルバネや板場バネ等のその他のバネ部材を用いて固定手段としてもよい。また、パネル体2を任意の回動位置で固定する固定手段はバネ部材に限らずに、その他の固定手段、例えば、部材同士の係合や電磁力等を用いたような固定手段であってもよい。
【0058】
また、前記実施例1では、クランプ装置3を用いてパネル体2を天板5の端部に取り付けるようにしていたが、天板5の端部に直接トルクヒンジ25を固定し、パネル体2を天板5から着脱不能に取り付けるようにしてもよい。
【0059】
また、前記実施例1では、パネル体2に金属製のフレーム材6,7を用いているが、フレーム材6,7は金属に限らず、パネル体2を軽量化することができれば、フレーム材6,7を合成樹脂等の材質で形成してもよい。
【0060】
また、前記実施例1では、パネル体2に金属製の端縁フレーム材6及び支持フレーム材7を用いているが、この両フレーム材6,7を、弾性を有する金属等の材質で構成してもよく、両フレーム材6,7が弾性を有するように構成することで、クロス材8にテンションをかけた状態で張設できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】実施例1におけるパネル装置が取り付けられたテーブルを示す斜視図である。
【図2】パネル装置が取り付けられたテーブルの使用例を示す側面図である。
【図3】パネル装置が取り付けられたテーブルを示す背面図である。
【図4】クランプ装置を示す縦断側面図である。
【図5】トルクヒンジを示す斜視図である。
【図6】パネル装置が取り付けられたテーブルの使用例を示す斜視図である。
【図7】実施例2におけるパネル装置が取り付けられたテーブルを示す背面図である。
【図8】実施例3におけるパネル装置が取り付けられたテーブルを示す背面図である。
【図9】実施例4におけるパネル装置が取り付けられたテーブルを示す背面図である。
【図10】実施例5におけるパネル装置が取り付けられたテーブルを示す背面図である。
【符号の説明】
【0062】
1,1a,1b パネル装置
1c,1d パネル装置
2,2a,2b パネル体
2c,2d パネル体
3,3d クランプ装置
4 テーブル
5 天板
6 端縁フレーム材
7 支持フレーム材
8 クロス材
24 回動部材
25 トルクヒンジ(固定手段)
28 軸部(支持手段)
29 皿バネ(固定手段,バネ部材)
31 第1回動部材
32 第2回動部材
33 アーム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
略垂直方向に延びるパネル体が天板の端部に設けられたテーブルにおけるパネル装置であって、
前記パネル体を、前記天板の端部における少なくとも1箇所に設けられた支持手段に対して垂直方向に回動可能に軸支させ、該パネル体を任意の回動位置で固定するための固定手段を設けたことを特徴とするテーブルにおけるパネル装置。
【請求項2】
前記パネル体が、円形以外の形状をなしていることを特徴とする請求項1に記載のテーブルにおけるパネル装置。
【請求項3】
前記パネル体が、該パネル体の中心位置から偏心した位置にて前記支持手段に対して軸支されていることを特徴とする請求項1または2に記載のテーブルにおけるパネル装置。
【請求項4】
前記パネル体が、該パネル体の端縁を形成するフレーム材と、該フレーム材に張設されるクロス材とで構成されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のテーブルにおけるパネル装置。
【請求項5】
前記天板の端部には、該天板の端部を上下方向から挟持する略コ字状のクランプ装置が着脱自在に取り付けられ、前記支持手段が、前記クランプ装置に設けられた軸部で構成されるとともに、前記固定手段が、前記軸部を介して前記パネル体に摩擦抵抗を加えるバネ部材で構成されることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載のテーブルにおけるパネル装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−113836(P2008−113836A)
【公開日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−299590(P2006−299590)
【出願日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【出願人】(000000561)株式会社岡村製作所 (1,415)
【Fターム(参考)】