説明

テープ印刷装置、テープ印刷装置における取込画像の修正方法、該修正方法を実行するためのプログラムが記憶された記憶媒体

【課題】 画像取込側と印刷側の搬送率を用いて画像を取込んだデータを補正することにより、取込対象と同一サイズの印刷物を容易に作成できるテープ印刷装置を提供する。
【解決手段】 本発明のテープ印刷装置は、所定の基準印刷パターンを備えた基準媒体としての基準テープ61を印刷する基準媒体印刷手段と、基準テープ61を用いて印刷側搬送手段の搬送率を算出する印刷側搬送率算出手段と、基準テープ61に印刷された基準印刷パターンを取込むことにより画像取込側搬送手段の搬送率を算出する画像取込側搬送率算出手段と、1/(印刷側搬送率×画像取込側搬送率)の計算を行なうことにより画像取込装置が取込んだ画像データの補正倍率を算出する補正倍率算出手段と、補正倍率算出手段が算出した補正倍率を画像取込装置が取込んだ画像データの搬送方向の長さに乗算して該画像データを補正する画像補正手段と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像取込装置を備えたテープ印刷装置と、該テープ印刷装置の画像取込装置により取込んだ画像の原稿送り方向における画像の修正方法と、該画像修正方法を実行するためのプログラムが記憶された記憶媒体、に関する。
【背景技術】
【0002】
テープカセット内に印刷層と剥離層とを積層してなる印刷テープを収納し、このテープカセットを印刷装置にセットして、キーボード等の入力手段から入力された或いは他の機器から出力された文字、記号、ロゴ、キャラクタ、マーク等を任意に印刷することで、固有のラベルを作成できる装置としてテープ印刷装置がある。
【0003】
このようなテープ印刷装置において使用される印刷テープとしては、従来、文書や文具の管理に利用されるテープ幅の狭いものが一般的であったが、近年、表示や標識として使用可能な程テープ幅が広いものも提供され、テープ印刷装置の用途も多種多様に渡っている。
【0004】
テープ印刷装置の用途として、例えば、特開平6−79927号公報(特許文献1)におけるテープ印刷装置では、指定されたスケール(cmやinch等)の目盛線を印刷するスケール印刷装置として使用する提案がなされている。又、特開平5−57985号公報(特許文献2)では、インデックスラベルを印刷するラベル印刷装置(印字制御装置)として使用する提案がなされている。更に、非常に幅が広い印刷テープを使用して、「会議室」や「社長室」といった表札を作成する場合もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平6−79927号公報
【特許文献2】特開平5−57985号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したようにテープ印刷装置の用途が多種多様となるにつれて、複写機やFAXのように、スキャナ機能を備えたテープ印刷装置が期待されていたが、スキャナ機能を備えたテープ印刷装置は無かった。又、スキャナ機能とプリンタ機能の両方の機能を持つ機器において、スキャナで取込んだ画像をそのまま印刷した場合、スキャナ側とプリンタ側の搬送精度が相違していると、取込対象と印刷物とのサイズが異なり期待通りの印刷物を得られないことがあった。このような問題を解決するためには、スキャナ側とプリンタ側の搬送精度を一致させる必要があるが、このような両機能を備えた機器を使用しているうちに搬送率に誤差が生じてしまい、搬送誤差を修正するためには手数と時間や修正用の用具が必要となるという新たな問題点が発生してしまう。
【0007】
本発明は、上述したような従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、画像取込機能と印刷機能の両機能を備えたテープ印刷装置であって、画像取込側と印刷側の搬送率を用いて取込んだ画像を補正することにより、取込対象と同一サイズの印刷物を容易に作成可能なテープ印刷装置と、該テープ印刷装置を用いた取込画像の原稿送り方向における画像修正方法と、該画像修正方法をコンピュータに実行させるためのプログラムが記憶された記憶媒体と、を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のテープ印刷装置は、印刷手段と印刷側搬送手段とから構成されたテープ印刷機構と、画像取込手段と画像取込側搬送手段とから構成された画像取込装置と、を備え、所定の基準印刷パターンを記憶手段から読み出して該基準印刷パターンを備えた基準媒体を印刷する基準媒体印刷手段と、該基準媒体を用いて前記印刷側搬送手段の搬送率を算出する印刷側搬送率算出手段と、前記基準媒体に印刷された基準印刷パターンを取込むことにより前記画像取込側搬送手段の搬送率を算出する画像取込側搬送率算出手段と、1/(印刷側搬送率×画像取込側搬送率)の計算を行なうことにより前記画像取込装置が取込んだ画像データの補正倍率を算出する補正倍率算出手段と、該補正倍率算出手段が算出した補正倍率を前記画像取込装置が取込んだ画像データの搬送方向の長さに乗算して該画像データを補正する画像補正手段と、を備えたことを特徴とする。
【0009】
又、前記印刷側搬送手段には、前記基本ライン数と、該基本ライン数によって移動する理論上の距離である基準距離が予め設定されており、前記基準印刷パターンは、搬送方向に対して垂直に印刷される基準マークと、前記基準マークから前記基本ライン数を搬送した位置に印刷される理論マークと、該理論マークの前後に等間隔で印刷される複数の調整マークと、から形成され、前記テープ印刷装置は、前記基準マークから前記基準距離に位置する、前記理論マーク又は前記調整マークにおける特定マークを特定した情報である特定マーク情報を取得する特定マーク情報取得手段を備えたことを特徴とする。
【0010】
更に、前記印刷側搬送率算出手段は、前記基準マークから前記特定マーク情報取得手段が取得した特定マークまでの理論ライン数を算出し、前記基本ライン数を前記特定マークまでの理論ライン数で除算することにより印刷側搬送率を算出することを特徴とする。
【0011】
又、前記画像取込側搬送率算出手段は、前記基準媒体を取込む際、前記基準マークから前記特定マークまでのライン数をカウントし、前記基本ライン数を該カウントした結果のライン数で除算することにより画像取込側搬送率を算出することを特徴とする。
【0012】
又、本発明の取込画像の画像修正方法は、所定の基準印刷パターンを備えた基準媒体を印刷する基準媒体印刷処理と、該基準媒体を用いて印刷側搬送手段の搬送率を算出する印刷側搬送率算出処理と、前記基準媒体に印刷された基準印刷パターンを読み取ることにより画像取込側搬送手段の搬送率を算出する画像取込側搬送率算出処理と、1/(印刷側搬送率×画像取込側搬送率)の計算を行なうことにより前記画像取込装置が取込んだ画像データの補正倍率を算出する補正倍率算出処理と、該補正倍率算出手段が算出した補正倍率を前記画像取込装置が取込んだ画像データの搬送方向の長さに乗算して該画像データを補正する画像補正処理と、行なうことを特徴とする。
【0013】
更に、本発明のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体は、所定の基準印刷パターンを備えた基準媒体を印刷する基準媒体印刷処理と、該基準媒体を用いて印刷側搬送手段の搬送率を算出する印刷側搬送率算出処理と、前記基準媒体に印刷された基準印刷パターンを読み取ることにより画像取込側搬送手段の搬送率を算出する画像取込側搬送率算出処理と、1/(印刷側搬送率×画像取込側搬送率)の計算を行なうことにより前記画像取込装置が取込んだ画像データの補正倍率を算出する補正倍率算出処理と、該補正倍率算出手段が算出した補正倍率を前記画像取込装置が取込んだ画像データの搬送方向の長さに乗算して該画像データを補正する画像補正処理と、を実現させるプログラムが記憶されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、画像取込機能と印刷機能の両機能を備えたテープ印刷装置であって、画像取込側と印刷側の搬送率を用いて取込んだ画像を補正することにより、取込対象と同一サイズの印刷物を容易に作成可能なテープ印刷装置と、該テープ印刷装置を用いた取込画像の原稿送り方向における画像修正方法と、該画像修正方法をコンピュータに実行させるためのプログラムが記憶された記憶媒体と、を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施例に係るテープ印刷装置の斜視図である。
【図2】本発明の実施例に係るテープ印刷装置の内部拡大図及びテープカセットの斜視図である。
【図3】本発明の実施例に係るテープ印刷装置の機能ブロック図である。
【図4】本発明の実施例に係るテープ印刷装置で印刷側搬送手段の搬送率を算出するためのフローチャートである。
【図5】本発明の実施例に係るテープ印刷装置で印刷した基準テープの正面図である。
【図6】本発明の実施例に係るテープ印刷装置で印刷側搬送手段の搬送率を算出する場合における特定マークとライン数と搬送率の関係を示す表である。
【図7】本発明の実施例に係るテープ印刷装置で画像取込側搬送手段の搬送率を算出するためのフローチャートである。
【図8】本発明の実施例に係るテープ印刷装置で取込んだ画像データの倍率補正を行なうためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を実施するための形態について述べる。本発明のテープ印刷装置1は、テープ印刷機構45と、画像取込装置9と、を備える。このテープ印刷機構45は、印刷手段としてのサーマルヘッド11と、印刷側搬送手段としてのステッピングモータ46及びプラテンローラ12と、を備える。又、画像取込装置9は、画像取込手段としてのイメージセンサ47と、画像取込側搬送手段としてのステッピングモータ48及びスキャナローラ50と、を備える。
【0017】
そして、テープ印刷装置1は、所定の基準印刷パターンを備えた基準媒体としての基準テープ61を印刷する基準媒体印刷手段と、この基準媒体印刷手段が印刷した基準テープ61を用いて印刷側搬送手段の搬送率を算出する印刷側搬送率算出手段と、基準テープ61に印刷された基準印刷パターンを取込むことにより画像取込側搬送手段の搬送率を算出する画像取込側搬送率算出手段と、1/(印刷側搬送率Pr×画像取込側搬送率Sr)の計算を行なうことにより画像取込装置9が取込んだ画像データの補正倍率Hrを算出する補正倍率算出手段と、補正倍率算出手段が算出した補正倍率Hrを画像取込装置9が取込んだ画像データの搬送方向の長さに乗算して該画像データを補正する画像補正手段と、を備えている。
【0018】
又、基準媒体としての基準テープ61に印刷された基準印刷パターンは、搬送方向に対して垂直に印刷される基準マーク66と、基準マーク66から印刷側搬送手段の基本ライン数Lcによって到達した位置に印刷される理論マーク67と、理論マーク67の前後に等間隔で印刷される複数の調整マーク68と、から形成されている。
【0019】
更に、テープ印刷装置1は、印刷側搬送手段が基本ライン数Lcによって移動する理論上の距離である基準距離Xを基準マーク66の位置から測定し、理論マーク67又は調整マーク68の中で基準距離Xの直近に位置するマークを特定した結果である特定マーク69の情報を取得する特定マーク情報取得手段を備えている。
【0020】
そして、印刷側搬送率算出手段は、基準マーク66から特定マーク情報取得手段が取得した特定マーク69までの理論ライン数Lxを算出し、基本ライン数Lcを特定マーク69までの理論ライン数Lxで除算することにより印刷側搬送率Prを算出する。
【0021】
又、画像取込側搬送率算出手段は、基準媒体としての基準テープ61を取込む際、基準マーク66から特定マーク69までのライン数をカウントし、基本ライン数Lcを該カウントした結果のライン数Lsで除算することにより画像取込側搬送率Srを算出する。
【実施例】
【0022】
以下、本発明の実施例を図に基づいて詳説する。図1は、本発明の実施例に係るテープ印刷装置1の外観を示す斜視図であり、図2は、このテープ印刷装置1に使用するテープカセット21の外観及びテープ印刷装置1の内部構造の一部を示す斜視図である。テープ印刷装置1は、表面に印刷面を備え裏面が粘着面とされた印刷層と、粘着面に貼着される剥離層と、が積層されて形成された印刷テープ31に文字や模様等を印刷する装置である。
【0023】
このテープ印刷装置1は、図1に示すように、方形状の上面と、この上面から前方に傾斜する傾斜面と、両側面及び下面並びに背面とから形成された中空の筐体2を有している。又、テープ印刷装置1において、筐体2の傾斜面には入力部3が配置され、上面における入力部3近傍には表示部4が配置され、この表示部4の後方には画像取込装置9が配置され、画像取込装置9の側方に開閉蓋5が形成され、所定の一側面には印刷テープ31が繰り出されるテープ繰出部7が形成されている。尚、図示しないが、筐体2には、パーソナルコンピュータ等の外部機器と接続するための入力端子、電源コードが接続される電源端子、メモリーカード等の記憶媒体が挿入される挿入口等も形成されている。
【0024】
入力部3は、文字データを入力する文字入力キー、印刷開始を指示する印刷キー、表示部4の表示画面上のカーソルを移動操作するカーソルキー、印刷モードの設定や各種設定処理を行なう種々の制御キーによって構成されている。又、表示部4は、液晶表示装置等とされるものであって、入力されたデータに関する画像、各種の設定のための選択メニュー、各種の処理に関するメッセージ、画像取込装置9で取込んだ画像等が表示される。
【0025】
又、画像取込装置9は、表示部4側に挿入口9aを備え、図示しない後方に排出口を備えており、挿入口9aから画像を取込む原稿等を挿入することにより、原稿等に記載又は印刷された内容が画像データとして取得され、画像が取込まれた後の原稿等が排出口より排出される。
【0026】
そして、このテープ印刷装置1の開閉蓋5の内側には、図2に示すように、印刷テープ31及びインクリボン35を収容したテープカセット21を装填するためのカセット装填部8が形成されている。又、カセット装填部8内には、テープ印刷機構45と、テープカセット21を所定の位置に支持するためのカセット受部15と、が形成されている。このテープ印刷機構45は、縦方向に配列された印刷素子と、印刷ヘッドとされるサーマルヘッド11と、サーマルヘッド11との間で印刷テープ31及びインクリボン35を挟み込んでこれを搬送するプラテンローラ12と、印刷に使用したインクリボン35をテープカセット21内に巻取るリボン巻取軸13と、を備える。
【0027】
又、カセット装填部8の一端部に筐体2の外に通じる上述したテープ繰出部7が形成されており、このテープ繰出部7には、印刷テープ31の印刷層及び剥離層を幅方向にカットするフルカット手段としてのフルカット装置17と、印刷テープ31の印刷層のみをカットするハーフカット手段としてのハーフカット装置18が組み込まれている。
【0028】
更に、テープカセット21は、カセットケース22を備え、このカセットケース22の内部には、印刷テープ31が巻装されたテープコア23、未使用のインクリボン35が巻装されたリボン供給コア24、使用済みのインクリボン35を巻取るリボン巻取コア25が夫々収納されている。又、テープカセット21のカセットケース22には、カセット装填部8内にテープカセット21を装填した場合にサーマルヘッド11が位置するヘッド配置部27が形成されている。
【0029】
又、カセットケース22の隅部には、カセット装填部8のカセット受部15と係合し、このカセット受部15によって支持される被係合部29が形成されている。又、このカセットケース22の被係合部29には、図示しないがテープカセット21の種類に応じた所定の凹凸が形成されており、カセット装填部8のカセット受部15には、テープカセット21が装填された場合にカセットケース22の被係合部29に形成された凹凸を判別する所定の可動突起16が形成されている。そして、カセットケース22がカセット装填部8に装填されると、カセットケース22の被係合部29に形成された凹凸とカセット装填部8のカセット受部15に形成された可動突起16が係合し、テープカセット21の種類が判別される。
【0030】
このテープ印刷装置1は、印刷の指示がされると、印刷テープ31とインクリボン35とがテープカセット21から繰り出され、プラテンローラ12とサーマルヘッド11の間に重ね合わされた状態で挟み込まれて搬送される。そして、サーマルヘッド11が印刷データに基づいて発熱駆動され、インクリボン35のインクが印刷テープ31に熱転写されて印刷テープ31に印刷が行なわれ、印刷が終了するとフルカット装置17が作動して印刷テープ31が幅方向に切断され、1枚の貼付テープが作成される。
【0031】
図3はこのテープ印刷装置1の回路構成を示すブロック図である。このテープ印刷装置1は、図3に示すように、制御手段としてのCPU41と、各種のシステムプログラムやフォント等が記憶されたROM42と、ワークメモリとしてのRAM43と、CPU41に接続される上述した入力部3及び表示部4と、外部機器と接続される入出力インターフェース44と、テープ印刷機構45と、画像取込装置9と、フルカット装置17と、ハーフカット装置18と、を備える。
【0032】
そして、CPU41は、入力部3からのキー操作信号に応じて、又は、自動でROM42に予め記憶されているシステムプログラム、メモリカードに記憶された制御プログラム、入出力インターフェース44に接続された外部機器から読み込まれた制御プログラム等を起動させ、RAM43をワークメモリとして回路各部の動作を制御する。
【0033】
ROM42は、入力部3から入力された文字を印刷するためのプログラム、印刷フォント、目印となる記号、或いは、塗り潰しに使用される斜線や網目、ドット模様等が記憶され、CPU41で読取り可能なプログラムが記憶された記憶媒体としても機能する。
【0034】
RAM43は、キー入力された文字や選択された模様、サイズや文字間隔等の印刷情報を記憶する入力データメモリ、入力された印刷情報が展開された基準印刷パターンデータが記憶される印刷データメモリ、表示部4に表示されるパターンデータが記憶される表示データメモリ等の各領域が確保され、印刷処理等に必要なデータを一時的に記憶するレジスタやカウンタ等が設けられている。
【0035】
テープ印刷機構45は、上述したように、印刷手段とされるサーマルヘッド11と、印刷側搬送手段とされるプラテンローラ12及びプラテンローラ12を回転駆動させるステッピングモータ46と、を備える。そして、テープ印刷機構45は、ステッピングモータ46が制御手段としてのCPU41に制御されてプラテンローラ12を回転駆動させ、プラテンローラ12とサーマルヘッド11の間で上述した印刷テープ31を搬送し、CPU41から出力された印刷データに基づいてサーマルヘッド11が印刷テープ31に文字や模様等を熱転写することによって印刷テープ31に随時文字や模様等を印刷する。
【0036】
又、テープ印刷機構45のステッピングモータ46は、サーマルヘッド11の解像度に合わせてプラテンローラ12の回転速度を調整するように構成されている。つまり、本実施例において、サーマルヘッド11の解像度は200dpi(25mm(1インチ)当たりのピクセル数が200)とされており、ステッピングモータ46の送り解像度も約200dpiとされている。よって、ステッピングモータ46は、印刷テープ31を25mmで200ラインの送りを行なっており、ステッピングモータ46の1ライン動作で印刷テープ31が進む量は1/8mmとされている。
【0037】
画像取込装置9は、取込対象である原稿の画像をデータ化して取込む画像取込手段としてのイメージセンサ47と、原稿を搬送する画像取込側搬送手段としてのスキャナローラ50及びスキャナローラ50を回転駆動させるステッピングモータ48と、原稿等が挿入されたときに挿入された原稿等の先端を感知する感知センサ49と、図示しないラインカウンタと、を備える。そして、画像取込装置9は、感知センサ49が原稿等が挿入されたことを感知すると制御手段としてのCPU41に感知信号を出力し、CPU41は感知信号を受信するとステッピングモータ48を制御してスキャナローラ50を回転駆動させ、イメージセンサ47は、スキャナローラ50によって搬送されている原稿等を取込んでビットマップ等の画像データをCPU41に出力し、CPU41がRAM43等に画像データを記憶させる。
【0038】
そして、画像取込装置9のステッピングモータ48も、テープ印刷機構45のステッピングモータ46と同様に、イメージセンサ47の解像度に合わせてスキャナローラ50の回転速度を調整するように構成されている。つまり、イメージセンサ47の解像度は200dpiとされており、ステッピングモータ48の送り解像度に関してもテープ印刷機構45のステッピングモータ46と同様に200dpiとされている。尚、印刷側搬送手段と画像取込側搬送手段は夫々独立した搬送手段として形成されている。
【0039】
フルカット装置17は、固定刃と可動刃を備えており、固定刃に対して可動刃を可動させることにより鋏の要領で印刷テープ31を幅方向に切断する。又、ハーフカット装置18も同様に固定刃と可動刃を備えており、固定刃に対して可動刃を押し付けることにより印刷テープ31の印刷層のみをカットする。
【0040】
そして、本実施例のテープ印刷装置1は、テープ印刷機構45で搬送精度等を確認するために使用する基準媒体として1枚の基準テープを印刷し、この基準テープを用いて印刷側搬送手段の搬送率である印刷側搬送率Prと、画像取込側搬送手段の搬送率である画像取込側搬送率Srと、を算出し、この算出結果を用いて画像取込装置で取込んだ画像の搬送方向の倍率を補正することにより、画像取込対象である原稿等と、取込んだ画像が印刷された印刷物とを略同一サイズとすることができる画像データ補正機能を備えている。
【0041】
この搬送率について述べる。テープ印刷機構45や画像取込装置9等の搬送手段では、送り解像度を決定するために、基準距離Xと、基準距離Xまでの理論上の送り数である基本ライン数Lcとを予め設定しておき、基準距離Xと基本ライン数Lcを一致させることにより搬送距離が所望のものとなるように調整している。しかし、搬送手段では、この基準距離Xと基本ライン数Lcにズレが生じてしまうことがあり、基本ライン数Lcを搬送することによって到達する位置と、実際に基準距離Xを測定した場合の位置とが異なることがある。搬送率とは、基本ライン数Lcを、実際に基準距離Xを測定した場合の所定位置まで原稿等を送るのに必要な理論上のライン数(Lx)で除算した数値を指す。尚、本実施例において、基準距離Xは100mmとされ、基本ライン数Lcは800に設定されており、上述したように1ラインの動作によって印刷テープ31を1/8mm送ることとしている。
【0042】
以下、画像データ補正機能について述べる。図4は、印刷側搬送率Prを算出するためのフローチャートであり、図5は、基準テープ61の正面図であり、図6は、搬送率と特定マークの関係を示す表であり、図7は、画像取込側搬送率Srを算出するためのフローチャートである。
【0043】
まず、印刷側搬送率Prの算出方法について述べる。制御手段は、図4に示すように、基準媒体印刷手段として、所定の基準印刷パターンが印刷された基準媒体としての基準テープ61を印刷させる基準テープ印刷処理(ステップS101)を実行する。この基準テープ61の基準印刷パターンは、図5に示すように、印刷の開始側端部近傍に印刷された搬送方向を示す矢印65と、搬送方向に対して垂直に印刷される基準マーク66と、基準マーク66から印刷側搬送手段の基本ライン数Lcである800回のライン動作によって到達した位置に印刷される理論マーク67と、理論マーク67の前後に等間隔で印刷される複数の調整マーク68と、から形成されており、理論マーク67には「F」という符号が付され、調整マーク68には基準マーク66側から順にA乃至Eの符号が付され、更に、理論マーク67のFを挟んでG,Hの符号が夫々付されている。
【0044】
基準テープ印刷処理(ステップS101)において、基準テープ61が印刷されると、使用者は、基準テープ61の基準マーク66から基準距離Xである100mmの地点を定規等で測定し、基準マーク66から基準距離Xに位置する線である特定マーク69を、調整マーク68、或いは、理論マーク67の中から特定する。つまり、印刷側搬送手段にズレが生じていなければ、特定マークは理論マーク67となり、1ライン毎の距離が長めにズレているならばA乃至Eの調整マーク68が特定マーク69となり、1ライン毎の距離が短くズレていればG,Hの調整マーク68が特定マーク69となる。図5では、例としてCを特定マーク69としている。
【0045】
制御手段は、特定マーク情報取得手段として、使用者が特定した特定マーク69の符号を入力させる画面を表示手段に表示させ、使用者に特定マーク69の符号を入力させることにより特定マーク情報を取得する特定マーク情報取得処理(ステップS105)を実行する。次に、制御手段は、特定マーク69までの理論ライン数Lxを算出する特定マークライン数算出処理(ステップS110)を実行し、印刷側搬送率算出手段として、基本ライン数Lcを特定マーク69までの理論ライン数Lxで除算することにより印刷側搬送手段の搬送率を算出する印刷側搬送率算出処理(ステップS115)を実行する。尚、印刷側搬送手段における特定マーク69の符号A乃至Hと搬送率は、図6の表に示すような関係となる。
【0046】
次に、画像取込側搬送率Srの算出方法について述べる。基準テープ61を矢印65に従って画像取込装置9に挿入し、画像取込を開始すると、制御手段は、図7に示すように、画像取込装置9のイメージセンサ47を制御して、基準テープ61の基準マーク66を検出する基準マーク検出処理(ステップS151)を実行し、使用者に印刷側搬送率Prを算出する時に特定した特定マーク69の符号Cを入力させる画面を表示手段に表示させ、使用者に特定マーク69の符号Cを入力させることにより特定マーク69の情報を取得する特定マーク情報取得処理(ステップS155)を実行する。
【0047】
そして、制御手段は、特定マーク情報取得処理で取得した特定マーク69までのライン数Lsをラインカウンタでカウントするライン数カウント処理(ステップS160)を実行する。このライン数カウント処理(ステップS160)では、基準マーク66を通過後いくつ目のマークが特定マーク69であるかの情報を基に特定マーク69を特定する。つまり、基準テープ61の画像取込を開始すると、黒から白に変化する地点を基準マーク66として認識し、その後、黒、白と変化する度にマークを通過したとして認識し、特定マーク69の順番に来た時、基準マーク66から特定マーク69までのライン数Lsをカウントする。そして、制御手段は、ライン数カウント処理(ステップS160)の後、画像取込側搬送率算出手段として、基本ライン数Lcを特定マーク69までのライン数Lsで除算することにより画像取込側搬送手段の搬送率を算出する画像取込側搬送率算出処理(ステップS165)を実行する。
【0048】
次に、画像取込装置9で取込んだ画像をテープ印刷機構45で印刷する場合の補正について述べる。制御手段は、画像取込手段が取込んだ画像データを記憶手段に記憶させる画像データ保存処理(ステップS201)を実行し、補正倍率算出手段として、1/(印刷側搬送率Pr×画像取込側搬送率Sr)で計算される取込んだ画像データの補正倍率Hrを算出する補正倍率算出処理(ステップS205)を実行する。又、制御手段は、画像補正手段として、この補正倍率算出処理(ステップS205)で算出した補正倍率Hrに従ってRAM43に記憶された画像データを搬送方向に補正する画像補正処理(ステップS210)を実行する。そして、制御手段は、印刷手段を制御して、画像補正処理(ステップS210)で補正された画像データに従って印刷処理(ステップS215)を実行する。
【0049】
このように、取込んだ画像データの送り方向の長さを補正して印刷することにより、例えば、画像取込側搬送率Srを80%、印刷側搬送率Prを90%とし、長手方向の長さが100mmの原稿を取込んで印刷する場合、画像データを補正せずにそのまま印刷したときには、印刷物の長手方向の長さが100mm×0.8×0.9=72mmの印刷結果となるが、補正倍率Hr=1/(0.8×0.9)を算出して画像取込側搬送率により80mmとなったビットマップ等の画像データの搬送方向にこの補正倍率Hrを乗算すると、111.1mmの画像データとなり、この画像データを用いて印刷すると111.1×0.9=99.9mmと極めて原稿の実寸大である100mmに近い値で印刷が可能となる。
【0050】
本発明によれば、所定の基準印刷パターンを備えた基準媒体としての基準テープ61を印刷し、同じ基準テープ61を用いて印刷側搬送率Prと画像取込側搬送率Srを算出し、算出結果から画像取込装置9で取込んだ画像の補正倍率Hrを算出して画像データの長手方向の長さを補正することにより、画像取込装置9で取込む原稿の長手方向の長さと、テープ印刷機構45で印刷した印刷物の長手方向の長さを略等しくすることができる。
【0051】
又、基準テープ61の基準印刷パターンを、基準マーク66と、理論マーク67と、調整マーク68と、から形成することにより、基準マーク66からの基準距離Xを測るだけで、容易に搬送率を算出することができる。
【0052】
更に、印刷側搬送率算出手段が、特定マーク69までの理論ライン数Lxを算出し、基本ライン数Lcを特定マーク69までの理論ライン数Lxで除算することで印刷側搬送率Prを算出することとしたため、搬送率の計算が容易となり、高価なCPU41等を内蔵せずとも簡単に画像補正が可能となる。
【0053】
又、画像取込側搬送率算出手段が、基準マーク66から特定マーク69までのライン数Lsをカウントし、基本ライン数Lcを該カウントした結果のライン数Lsで除算することにより画像取込側搬送率Srを算出することとしたため、印刷側搬送率算出手段と同様の計算で容易に搬送率が計算でき、高価なCPU41等を内蔵せずとも簡単に画像補正が可能となる。
【0054】
尚、本実施例で述べたテープ印刷装置1においては、基準媒体として基準テープ61を用いて印刷側搬送率Prと画像取込側搬送率Srを算出し、補正倍率Hrを算出して取込んだ画像データを補正する構成としているが、画像取込装置とテープ印刷機構の両方を備えた装置であって、印刷側搬送手段と画像取込側搬送手段が独立している装置であれば、あらゆる機器において、基準テープ61と同様の印刷方法を用いることができ、基準印刷パターンが印刷された用紙等を基準媒体として利用することで同様の作用効果を得ることができる。
【0055】
つまり、本実施例において述べた各処理は、コンピュータに実行させることのできるプログラムとして、例えば磁気ディスク、光ディスク、半導体メモリ等の記憶媒体に書き込んだ状態で各種装置に適用したり、通信媒体により伝送して各種装置に適用することも可能である。このように所望の記憶媒体に本実施例で述べた各処理を記憶させ、他のコンピュータ等でプログラムを実行させることにより、本実施利のテープ印刷装置1を用いた場合と同様に長さ調整を容易に行なうことができる。
【0056】
又、基準媒体を印刷し、特定マーク69を定規で測定した後、特定マーク69までの送りピッチ数を手入力で修正し、修正率を記憶させることにより各搬送手段の搬送精度を調整することもできる。このように各搬送手段の搬送精度を調整することでも正しい長さの印刷及び読取りを行なうことができるようになる。
【0057】
又、本発明は、以上の実施例に限定されるものでなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で自由に変更、改良が可能である。
【符号の説明】
【0058】
1 テープ印刷装置 2 筐体
3 入力部 4 表示部
5 開閉蓋 7 テープ繰出部
8 カセット装填部 9 画像取込装置
9a 挿入口 11 サーマルヘッド
12 プラテンローラ 13 リボン巻取軸
15 カセット受部 16 可動突起
17 フルカット装置 18 ハーフカット装置
21 テープカセット 22 カセットケース
23 テープコア 24 リボン供給コア
25 リボン巻取コア 27 ヘッド配置部
29 被係合部 31 印刷テープ
35 インクリボン 41 CPU
42 ROM 43 RAM
44 入出力インターフェース 45 テープ印刷機構
46,48 ステッピングモータ 47 イメージセンサ
49 感知センサ 50 スキャナローラ
61 基準テープ 65 矢印
66 基準マーク 67 理論マーク
68 調整マーク 69 特定マーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷手段と印刷側搬送手段とから構成されたテープ印刷機構と、画像取込手段と画像取込側搬送手段とから構成された画像取込装置と、を備え、
所定の基準印刷パターンを記憶手段から読み出して該基準印刷パターンを備えた基準媒体を印刷する基準媒体印刷手段と、
該基準媒体を用いて前記印刷側搬送手段の搬送率を算出する印刷側搬送率算出手段と、
前記基準媒体に印刷された基準印刷パターンを取込むことにより前記画像取込側搬送手段の搬送率を算出する画像取込側搬送率算出手段と、
1/(印刷側搬送率×画像取込側搬送率)の計算を行なうことにより前記画像取込装置が取込んだ画像データの補正倍率を算出する補正倍率算出手段と、
該補正倍率算出手段が算出した補正倍率を前記画像取込装置が取込んだ画像データの搬送方向の長さに乗算して該画像データを補正する画像補正手段と、を備えたことを特徴とするテープ印刷装置。
【請求項2】
前記印刷側搬送手段には、前記基本ライン数と、該基本ライン数によって移動する理論上の距離である基準距離が予め設定されており、
前記基準印刷パターンは、搬送方向に対して垂直に印刷される基準マークと、前記基準マークから前記基本ライン数を搬送した位置に印刷される理論マークと、該理論マークの前後に等間隔で印刷される複数の調整マークと、から形成され、
前記基準マークから前記基準距離に位置する、前記理論マーク又は前記調整マークにおける特定マークを特定した情報である特定マーク情報を取得する特定マーク情報取得手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載のテープ印刷装置。
【請求項3】
前記印刷側搬送率算出手段は、前記基準マークから前記特定マーク情報取得手段が取得した特定マークまでの理論ライン数を算出し、前記基本ライン数を前記特定マークまでの理論ライン数で除算することにより印刷側搬送率を算出することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のテープ印刷装置。
【請求項4】
前記画像取込側搬送率算出手段は、前記基準媒体を取込む際、前記基準マークから前記特定マークまでのライン数をカウントし、前記基本ライン数を該カウントした結果のライン数で除算することにより画像取込側搬送率を算出することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のテープ印刷装置。
【請求項5】
所定の基準印刷パターンを備えた基準媒体を印刷する基準媒体印刷処理と、
該基準媒体を用いて印刷側搬送手段の搬送率を算出する印刷側搬送率算出処理と、
前記基準媒体に印刷された基準印刷パターンを読み取ることにより画像取込側搬送手段の搬送率を算出する画像取込側搬送率算出処理と、
1/(印刷側搬送率×画像取込側搬送率)の計算を行なうことにより前記画像取込装置が取込んだ画像データの補正倍率を算出する補正倍率算出処理と、
該補正倍率算出手段が算出した補正倍率を前記画像取込装置が取込んだ画像データの搬送方向の長さに乗算して該画像データを補正する画像補正処理と、を行なうことを特徴とする取込画像の画像修正方法。
【請求項6】
所定の基準印刷パターンを備えた基準媒体を印刷する基準媒体印刷処理と、
該基準媒体を用いて印刷側搬送手段の搬送率を算出する印刷側搬送率算出処理と、
前記基準媒体に印刷された基準印刷パターンを読み取ることにより画像取込側搬送手段の搬送率を算出する画像取込側搬送率算出処理と、
1/(印刷側搬送率×画像取込側搬送率)の計算を行なうことにより前記画像取込装置が取込んだ画像データの補正倍率を算出する補正倍率算出処理と、
該補正倍率算出手段が算出した補正倍率を前記画像取込装置が取込んだ画像データの搬送方向の長さに乗算して該画像データを補正する画像補正処理と、を実現させるプログラムが記憶されたことを特徴とするコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−188679(P2010−188679A)
【公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−37543(P2009−37543)
【出願日】平成21年2月20日(2009.2.20)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】