説明

ディジタル・メディア・サーバからディジタル・メディア・レンダラにビデオ・コンテンツを出力する方法、及び関連したメディア共有システム

【課題】ディジタル・メディア・サーバからディジタル・メディア・レンダラにビデオ・コンテンツを出力する方法を提供する。
【解決手段】ディジタル・メディア・レンダラを選択するためのディジタル・メディア・コントローラを提供する工程と、ディジタル・メディア・コントローラから選択されたディジタル・メディア・レンダラへの再生要求を送出する工程とを含み、選択されたディジタル・メディア・レンダラは、再生要求の受信に応じて上記ディジタル・メディア・サーバからデータを要求し、ディジタル・メディア・サーバはビデオをキャプチャし、オーディオをキャプチャする。キャプチャされたビデオ及びキャプチャされたオーディオを符号化する工程と、ディジタル・メディア・サーバから、選択されたディジタル・メディア・レンダラに出力する工程と、選択されたディジタル・メディア・レンダラ上で、ビデオ及びオーディオを再生する工程とを更に含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メディア共有システムに関し、特に、ディジタル・メディア・サーバからの画面コンテンツをキャプチャし、ディジタル・メディア・レンダラ上で再生するためにディジタル・メディア・レンダラにビデオ・コンテンツを出力する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
消費者向エレクトロニクスが一層普及するにつれ、種々の装置間の通信又は共有を可能にするために電子装置を連結する傾向が存在している。しかし、2つ以上の装置を連結することは常に単純な作業である訳でない。
【0003】
例えば、テレビジョン(TV)にコンピュータを接続するために、直接ケーブル接続又は無線ディスプレイ(WiDi)接続が必要である。直接ケーブル接続は不都合でもあり、一装置から別の装置にケーブルを走らせることが必要であり、これは高価かつ目障りであり得る。更に、コンピュータとTVとの間の通信のためのWiDi要件をサポートするために、コンピュータ及びTVについて特殊なハードウェア要件が関係する。これは、新たなハードウェアを買うか、又は、既存の装置に対する改良を必要とし得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、本願に係る発明の主な目的の1つは、ディジタル・メディア・サーバからの画面コンテンツをキャプチャし、ディジタル・メディア・レンダラ上で再生するためにディジタル・メディア・レンダラにビデオ・コンテンツを出力する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本願に係る発明の例示的な実施例によれば、ディジタル・メディア・サーバ(DMS)からディジタル・メディア・レンダラ(DMR)にビデオ・コンテンツを出力する方法が開示される。上記方法は、ビデオ再生のためのDMRを選択するためのディジタル・メディア・コントローラ(DMC)を提供する工程と、DMCから、選択されたDMRに再生要求を送出する工程とを含み、選択されたDMRは、DMCからの再生要求の受信に応じてDMSにデータを要求し、DMSはビデオをキャプチャし、オーディオをキャプチャする。方法は、DMSが、キャプチャされたビデオ及びキャプチャされたオーディオを符号化して、符号化されたビデオ及び符号化されたオーディオを生成する工程と、DMSから、選択されたDMRに、符号化されたビデオ及び符号化されたオーディオを出力する工程と、選択されたDMR上で、符号化されたビデオ及び符号化されたオーディオを再生する工程とを更に含む。
【0006】
本願に係る発明の別の例示的な実施例によれば、ビデオ・コンテンツを共有するためのメディア共有システムは、ビデオ再生のためにディジタル・メディア・レンダラ(DMR)を選択し、DMCからの再生要求を、選択されたDMRに送出するディジタル・メディア・コントローラ(DMC)と、選択されたDMRからデータ要求を受信することに応じてビデオをキャプチャし、オーディオをキャプチャするディジタル・メディア・サーバ(DMS)とを含み、上記DMSは、キャプチャされたビデオ及びキャプチャされたオーディオを符号化して、符号化されたビデオ及び符号化されたオーディオを生成し、DMSは、符号化されたビデオ及び符号化されたオーディオを、選択されたDMRに出力する。メディア共有システムは更に、DMSからの、符号化されたビデオ及び符号化されたオーディオの受信に応じて、選択されたDMRが、符号化されたビデオ及び符号化されたオーディオを再生する構成も含む。
【0007】
本発明が、ハードウェアを交換又は改良する必要なく、DMSがDMRと通信し、ビデオ・コンテンツをDMRに出力するやり方を提供するという利点がある。DMRへの送信のために符号化される前に、ビデオ及びオーディオ・コンテンツがDMSによってキャプチャされる。このようにして、ビデオ及びオーディオ・コンテンツは好都合に、ユーザが望む何れの場所からでも再生を制御するためにDMCを使用することにより、DMR上で共有することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の例によるメディア共有システムを示すブロック図である。
【図2】本発明による、DMSからDMRにビデオ・コンテンツを出力する方法を表すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の前述及び他の目的は、疑いなく、種々の図及び図面に示される、好ましい実施例の以下の詳細な説明を読んだ後、当業者に明らかになるであろう。
【実施例】
【0010】
図1を参照されたい。図1は、本発明によるメディア共有システム5のブロック図である。メディア共有システム5は、コンピュータを使用して実現することが可能なディジタル・メディア・サーバ(DMS)10と、テレビジョン(TV)を使用して実現することが可能なディジタル・メディア・レンダラ(DMR)20と、携帯情報端末(PDA)、スマート・フォン、タブレット・コンピュータ等などの広い範囲の制御装置を使用して実現することが可能なディジタル・メディア・コントローラ(DMC)30とを含む。DMS10、DMR20、及びDMC30それぞれは好ましくは、ディジタル・リビング・ネットワーク・アライアンス(DLNA)プロトコルにより、互いに通信する。
【0011】
本発明は、使用しやすいと同時に、何れの装置のハードウェアの改良の必要も、新たな機器の購入の必要もなく、TVなどのDMR20と、コンピュータなどのDMS10との間の通信を可能にするための新たな手法を使用する。DLNAプロトコルのサポートは現在、消費者向電子装置の間で非常に一般的であるため、通常のTVがDMR20としての役目を担い得る。よって、IEEE802.11プロトコルに準拠した「WiFi」接続などの通常の無線ローカル・エリア・ネットワーク(WLAN)を介してDMS10としての役目を担うコンピュータ及びDMR20間の通信を提供するために使用することが可能である。
【0012】
本発明では、DMS10としての役目を担うコンピュータは、ビデオ及びオーディオをリアルタイムでキャプチャし、ビデオ及びオーディオをビデオ・ストリームに符号化し、DMC30を使用してDMR20上でビデオ及びオーディオを出力して再生を制御するために使用される。ビデオ・コンテンツをキャプチャするために、DMS10としての役目を担うコンピュータは、コンピュータ画面のコンテンツをキャプチャするために画面キャプチャを行うことが可能である。DMS10から出力された後、ビデオ及びオーディオ・データをDMR20上で直接再生することが可能であり、更なる機器を使用する必要はない。更に、再生は、DMS10、DMR20、及びDMC30が通信する有線又は無線のローカル・エリア・ネットワーク(LAN)内でどこでも制御することが可能である。
【0013】
図2を参照されたい。図2は、本発明による、DMS10からDMR20にビデオ・コンテンツを出力する方法を表すフローチャートである。フローチャートにおける工程は以下に説明する。
【0014】
工程100: 開始
工程102: 自動的に、LAN内の利用可能なDMR20をサーチする。
【0015】
工程104: 少なくとも1つのDMR20が見つかったかを判定する。肯定の場合、工程106に進む。さもなければ、工程102に戻る。
【0016】
工程106: DMC30を使用して、再生のためのDMR20を選択し、DLNAプロトコルを使用して、再生要求を、選択されたDMR20に送出する。
工程108: 選択されたDMR20は、再生要求応答を受信し、ハイパーテキスト転送プロトコル(HTTP)又はリアルタイム・ストリミング・プロトコル(RTSP)を使用して、DMS10にデータを要求する。
【0017】
工程110: DMS10は、選択されたDMR20からのデータ要求を受信した後、ビデオ・データ及びオーディオ・データをキャプチャし始める。
【0018】
工程112: キャプチャされたビデオ・データは、H.264、動画像専門家グループ−2(MPEG−2)、DLNA装置によってサポートされる他のビデオ符号化形式を使用してDMS10によって符号化され、キャプチャされたオーディオ・データは、高度オーディオ符号化(AAC)、MPEG、パルス符号変調(PCM)、及びDLNA装置によってサポートされる他のオーディオ符号化形式を使用して、DMS10によって符号化される。
【0019】
工程114: 符号化されたビデオ・データ及び符号化されたオーディオ・データは、MPEG伝送ストリーム(TS)、プログラム・ストリーム(PS)、MPEG−4、又はDLNA装置によってサポートされる他の適切なストリーミング・データ・コンテナ・タイプを使用してデータ・コンテナを形成するよう合成される。ストリーミング・データは次いで、DMR20に送出される。
【0020】
工程116: DMR20は、DMS10からストリーミング・データを受信した後、再生を開始する。
【0021】
工程118: DMR20が、DMC30から停止コマンドを受け取ったかを判定する。肯定の場合、工程120に進む。否定の場合、工程108に進む。
【0022】
工程120: DMR20は再生を停止し、HTTP/RTSP接続は、DMR20とDMS10との間で停止される。
工程122: DMS10は、ビデオ及びオーディオのキャプチャ及び符号化を停止する。
【0023】
工程124: 終了
効果的には、DLNAプロトコルは、DMS10と、DMR20と、DMC30との間の通信を容易にするために使用される。更に、DMS10が、キャプチャされたビデオ・データ及びキャプチャされたオーディオ・データを符号化すると、符号化処理は、DMS10の中央処理装置(CPU)上の負荷を削減するためにハードウェア・アクセラレーションを利用することが可能である。キャプチャされたビデオは、区別なしで鮮明なピクチャを確実にするために高品位(HD)でキャプチャすることが可能である。ビデオ・データ及びオーディオ・データは、DMS10により、リアルタイムでキャプチャされるので、データをキャプチャしている間に受ける遅延はわずかであるか、又はほとんどない。更に、オーディオ・データ及びビデオ・データは、オーディオ・データがビデオ・データと同期がとれてないという問題を避けるために、DMS10からDMR20に同時に送信される。何れの数の装置もメディア共有システム5においてサポートすることが可能であり、装置は、有線LAN又は無線LANを介して接続することが可能である。
要約すれば、DMS10、DMR20、及びDMC30は全て、DLNAプロトコルを使用して通信するので、ハードウェアを交換又は改良する必要なしで、DMS10が、DMR20と通信し、ビデオ・コンテンツをDMR20に出力するやり方を提供する。ビデオ及びオーディオ・コンテンツは、DMR20に送信されるために符号化される前にDMS10によってキャプチャされる。したがって、ビデオは、何れの機器を改良する必要もなしでDMS10からDMR20に容易に共有することが可能である。
本発明の教示を維持しながら装置及び方法の数多くの修正及び改変を行うことができるということを当業者は容易に分かるであろう。よって、上記開示は、特許請求の範囲記載の範囲によってのみ限定されると解すべきである。



【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディジタル・メディア・サーバ(DMS)からディジタル・メディア・レンダラ(DMR)にビデオ・コンテンツを出力する方法であって、前記方法は、
ビデオ再生のためのDMRを選択するためのディジタル・メディア・コントローラ(DMC)を提供する工程と、
前記DMCから、前記選択されたDMRに再生要求を送出する工程と、
前記選択されたDMRが、前記DMCからの前記再生要求の受信に応じて前記DMSからのデータを要求する工程と、
前記DMSがビデオをキャプチャし、オーディオをキャプチャする工程と、
前記DMSが、前記キャプチャされたビデオ及び前記キャプチャされたオーディオを符号化して、符号化されたビデオ及び符号化されたオーディオを生成する工程と、
前記符号化されたビデオ及び前記符号化されたオーディオを前記DMSから前記選択されたDMRに出力する工程と、
前記選択されたDMR上で前記符号化されたビデオ及び前記符号化されたオーディオを再生する工程と
を含む方法。
【請求項2】
請求項1記載の方法であって、前記DMSはコンピュータである方法。
【請求項3】
請求項2記載の方法であって、前記DMSがビデオをキャプチャする工程は、前記コンピュータが、前記コンピュータのディスプレイ上に示されたビデオ・コンテンツをキャプチャする工程を含む方法。
【請求項4】
請求項1記載の方法であって、前記ディジタル・リビング・ネットワーク・アライアンス(DLNA)プロトコルは、前記DMCと、前記DMSと、前記選択されたDMRとの間の通信のために使用される方法。
【請求項5】
請求項1記載の方法であって、前記DMSは、H.264又は動画像専門家グループ−2(MPEG−2)ビデオ形式で前記キャプチャされたビデオを符号化する方法。
【請求項6】
請求項1記載の方法であって、前記DMSは、前記キャプチャされたオーディオを前記高度オーディオ符号化(AAC)、動画像専門家グループ(MPEG)、又はパルス符号変調(PCM)オーディオ形式で符号化する方法。
【請求項7】
請求項1記載の方法であって、前記DMSは、前記符号化されたビデオ及び前記符号化されたオーディオを前記選択されたDMRに出力する前に前記符号化されたビデオ及び前記符号化されたオーディオをデータ・コンテナに合成する方法。
【請求項8】
請求項7記載の方法であって、前記データ・コンテナは、動画像専門家グループ(MPEG)伝送ストリーム(TS)、プログラム・ストリーム(PS)、又は動画像専門家グループ−4(MPEG−4)ストリーミング・データ・コンテナである方法。
【請求項9】
請求項1記載の方法であって、前記選択されたDMSはテレビジョンである方法。
【請求項10】
請求項1記載の方法であって、前記選択されたDMRが前記符号化されたビデオ及び前記符号化されたオーディオを再生している間に再生を停止するよう、DMCが、前記選択されたDMRを制御する場合、前記DMSは、前記符号化されたビデオ及び前記符号化されたオーディオの生成を停止する方法。
【請求項11】
ビデオ・コンテンツを共有するためのメディア共有システムであって、
ビデオ再生のためのディジタル・メディア・レンダラ(DMR)を選択し、前記DMCから、前記選択されたDMRに再生要求を送出するディジタル・メディア・コントローラ(DMC)と、
前記選択されたDMRからのデータ要求の受信に応じてビデオをキャプチャし、オーディオをキャプチャするディジタル・メディア・サーバ(DMS)であって、前記DMSは前記キャプチャされたビデオ及び前記キャプチャされたオーディオを符号化して、符号化されたビデオ及び符号化されたオーディオそれぞれを生成し、前記DMSは前記符号化されたビデオ及び前記符号化されたオーディオを前記選択されたDMRに出力するディジタル・メディア・サーバと
を備え、前記選択されたDMRは、前記DMSから前記符号化されたビデオ及び前記符号化されたオーディオの受信に応じて前記符号化されたビデオ及び前記符号化されたオーディオを再生するメディア共有システム。
【請求項12】
請求項1記載のメディア共有システムであって、前記DMSはコンピュータであるメディア共有システム。
【請求項13】
請求項12記載のメディア共有システムであって、前記DMSがビデオをキャプチャする構成は、前記コンピュータが、前記コンピュータのディスプレイ上に示されたビデオ・コンテンツをキャプチャする構成を含むメディア共有システム。
【請求項14】
請求項1記載のメディア共有システムであって、ディジタル・リビング・ネットワーク・アライアンス(DLNA)プロトコルは、前記DMCと、前記DMSと、前記選択されたDMRとの間の通信のために使用されるメディア共有システム。
【請求項15】
請求項1記載のメディア共有システムであって、前記DMSは、H.264又は動画像専門家グループ−2(MPEG−2)ビデオ形式で前記キャプチャされたビデオを符号化するメディア共有システム。
【請求項16】
請求項1記載のメディア共有システムであって、前記DMSは、前記キャプチャされたオーディオを高度オーディオ符号化(AAC)、動画像専門家グループ(MPEG)、又はパルス符号変調(PCM)オーディオ形式で符号化するメディア共有システム。
【請求項17】
請求項1記載のメディア共有システムであって、前記DMSは、前記符号化されたビデオ及び前記符号化されたオーディオを前記選択されたDMRに出力する前に前記符号化されたビデオ及び前記符号化されたオーディオをデータ・コンテナに合成するメディア共有システム。
【請求項18】
請求項17記載のメディア共有システムであって、前記データ・コンテナは、動画像専門家グループ(MPEG)伝送ストリーム(TS)、プログラム・ストリーム(PS)、又は動画像専門家グループ−4(MPEG−4)ストリーミング・データ・コンテナであるメディア共有システム。
【請求項19】
請求項1記載のメディア共有システムであって、前記選択されたDMRはテレビジョンであるメディア共有システム。
【請求項20】
請求項1記載のメディア共有システムであって、前記選択されたDMRが前記符号化されたビデオ及び前記符号化されたオーディオを再生している間に再生を停止するよう、DMCが、前記選択されたDMRを制御する場合、前記DMSは、前記符号化されたビデオ及び前記符号化されたオーディオの生成を停止する方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−106344(P2013−106344A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−109164(P2012−109164)
【出願日】平成24年5月11日(2012.5.11)
【出願人】(512124762)虹軟(杭州)多媒體信息技術有限公司 (1)
【氏名又は名称原語表記】ArcSoft (Hangzhou) Multimedia Technology Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】21st Floor, Building A, Tiantang Software Park, 3 Xidoumen Road, Hangzhou City, Zhejiang Province 310012, P.R.C.
【Fターム(参考)】