説明

ディスク把持装置及びディスク処理装置

【課題】ディスクの解放を確実にして、ディスクが斜めになった状態で落下するのを防止する。
【解決手段】ディスク把持アーム40には、第1〜第3把持レバー61〜63が取り付けられている。各把持レバー61,62には、ディスクDのディスク孔Dhに挿入される挿通部75が形成されている。挿通部75の先端には、ディスク孔Dhの縁の下面に当接してディスクDを把持するフック部76が形成されている。第3把持レバー63は、挿通部79が形成されているが、フック部76が形成されていない。各把持レバー61〜63は、ディスクDを把持する把持位置と、把持を解放する解放位置との間で回転する。フック部76との間にディスクDを挟持するディスク押え90には、各把持レバー61〜63を把持位置から解放位置に向けて回転したときに、ディスク孔Dhの壁面Dfに当接し、フック部76からディスクDを引き離すストッパ93が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスク把持装置及びディスク処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ディスクにデータを書き込むデータ書込部と、ディスクのレーベル面に記録データを表す文字や画像をプリントするレーベルプリンタとを備えた自動データ書込及びレーベル印刷処理装置(以下、ディスク処理装置と称する)が知られている。このディスク処理装置には、未処理のディスクを集積した未処理ディスク用スタッカが設けられており、ディスク把持アームによって1枚ずつ取り出されて、データ書込部への搬送、データ書込部からレーベルプリンタへの搬送、レーベルプリンタから処理済みディスク用スタッカへの搬送が行われる。
【0003】
ディスク把持アームには、ディスクを把持するディスク把持レバーが取り付けられており、ディスクの中央にあるディスク孔に係合してディスクを把持する。このディスク把持レバーは、ディスクを1枚ずつ正確に把持するために、従来から色々な工夫が施されている。
【0004】
特許文献1では、ディスクのディスク孔に挿入され、ディスク孔の壁面に当接する3本のディスク把持レバーを設け、これら3本のディスク把持レバーのうち、2本のディスク把持レバーは、ディスク孔の壁面に当接する当接面がディスクの厚さよりも長く、残りの1本のディスク把持レバーは、当接面がディスクの厚さよりも短くしてある。これによって、2枚のディスクを同時に把持しないようにしている。
【0005】
また、特許文献2では、ディスク孔に挿入されてその壁面に当接する固定部材と、ディスク孔の壁面に当接する直線状の第1ディスク把持レバーとで、最上部にあるディスクのみを把持して持ち上げた後、先端がハ字状をした第2の把持レバーをディスク孔に挿通し、第2ディス把持レバーを移動してディスク孔の壁面に押し付けることにより、ディスクを安定して把持している。
【特許文献1】特開2007−310920号公報
【特許文献2】特開2002−052488号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ディスクを把持している場合は、ディスク把持レバーがディスク孔の壁面を押圧しており、一部のディスク把持レバー(ディスクの厚さよりも長いディスク把持レバー)ではディスク下面部に接触した状態となっている。この状態でディスク把持レバーをディスク孔の内側へ移動してディスクの把持を解放した場合は、ディスク下面部に接触していないディスク把持レバーからはディスクが自重で離れるが、ディスク下面部に接触したディスク把持レバーではディスクが引っ掛かったままとなるから、ディスクが傾きはじめる。この傾きが生じると、ディスクの引っ掛かりも外れるため、ディスクが斜めに傾いた状態で落下する。この結果、ディスクが処理済みディスク用スタッカ内に収納することができなくなる。
【0007】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、ディスクの解放を確実にして、ディスクが斜めになった状態で落下するのを防止することができるディスク把持装置及びディスク処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のディスク把持装置は、ディスク孔の複数の位置に係合してディスクを把持する把持位置と、前記ディスク孔内で内側へ移動して前記ディスク孔から離れた解放位置とに移動可能なディスク把持手段と、前記ディスク把持手段の前記ディスク孔への出し入れ時に、前記ディスク把持手段を前記解放位置へ移動させ、前記ディスクの把持時に、前記ディスク把持手段を前記把持位置へ移動させる駆動手段と、前記ディスク把持手段と一緒に前記ディスク孔に出し入れされ、前記ディスク把持手段が前記把持位置から前記解放位置へ移動する途中で、前記ディスク孔の縁を受け止めて、前記ディスク把持手段から前記ディスクを引き離すためのストッパと、を備えることを特徴とする。
【0009】
また、前記ディスク把持手段は、前記ディスク孔に挿入される挿通部と、前記ディスク孔の縁に係合するフック部とを備えた第1及び第2のディスク把持レバーと、前記ディスク孔に挿入され、前記ディスク孔を押圧する挿通部を有する第3のディスク把持レバーとを備え、前記第1ないし第3のディスク把持レバーは、適当な間隔で配置されていることが好ましい。
【0010】
さらに、前記ディスク把持手段、前記駆動手段、及び前記ストッパを取り付けたディスク把持アームを設け、前記ディスク把持アームを昇降及び回転させて、前記ディスクが集積されたディスク収納部から、前記ディスクを1枚ずつ取り出すことが好ましい。
【0011】
また、前記第1ないし第3のディスク把持レバーは、前記ディスク把持アームに回転可能に取り付けられたレバー部を備え、前記レバー部の一端に前記挿通部が一体に形成されていることが好ましい。
【0012】
さらに、前記駆動手段は、前記第1ないし第3のディスク把持レバーの前記レバー部の他端が連結された回転板と、前記回転板に連結され、オフ時に前記回転板を介して前記第1ないし第3のディスク把持レバーを前記把持位置へ移動し、オン時に前記第1ないし第3のディスク把持レバーを前記解放位置へ移動するソレノイドとからなることが好ましい。
【0013】
また、本発明のディスク処理装置は、ディスク孔の複数の位置に係合してディスクを把持する把持位置と、前記ディスク孔内で内側へ移動して前記ディスク孔から離れた解放位置とに移動可能なディスク把持手段と、前記ディスク把持手段の前記ディスク孔への出し入れ時に、前記ディスク把持手段を前記解放位置へ移動させ、前記ディスクの把持時に、前記ディスク把持手段を前記把持位置に移動させる駆動手段と、前記ディスク把持手段と一緒に前記ディスク孔に出し入れされ、前記ディスク把持手段が前記把持位置から前記解放位置へ移動する途中で、前記ディスク孔の縁を受け止めて、前記ディスク把持手段から前記ディスクを引き離すためのストッパと、前記ディスク把持手段、前記駆動手段、及び前記ストッパを取り付けたディスク把持アームと、未処理のディスクが集積された未処理ディスク収納部と、前記未処理のディスクに対してデータ書込処理とレーベル印刷処理との少なくとも一方を実行するディスク処理部と、処理済みのディスクを収納する処理済みディスク収納部と、前記ディスク把持アームを昇降及び回転して、前記未処理ディスク収納部から取り出した前記未処理のディスクを前記ディスク処理部に搬送し、前記ディスク処理部から排出された前記処理済みのディスクを前記処理済みディスク収納部へ搬送するディスク把持アーム移動手段と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、ディスク把持手段がディスク孔の内側へ移動するときに、ディスク把持手段にディスクが引っ掛かっている場合は、ディスクも移動するが、この移動中にストッパがディスク孔の縁を受け止めるから、ディスクをディスク把持手段から引き離すことができる。これにより、ディスク把持の解放中に、ディスクはディスク把持手段から引き離されるから、斜めに傾いた状態で落下することはなく、したがって、スタッカ等に確実に収納することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
図1に示すように、ディスク処理装置10は、側面から見てL字形状の箱型の装置本体11と、この装置本体11の後部の凹んだ部分の上面に載置されて取り付けられるレーベルプリンタ12とから構成されている。レーベルプリンタ12は、装置本体11から取り外すことができ、この場合には、レーベル印刷機能を省略したデータ書込用の処理装置となる。
【0016】
装置本体11は、フレーム15(図2参照)と、フレーム15を覆うケース16と、フレーム15に取り付けられ、ケース16の前面を覆う上パネル17及び下パネル18とを備える。図2に示すように、上パネル17はヒンジ19を介しフレーム15に開閉自在に取り付けられ、ケース16の前面の略上半分を覆う。下パネル18は、係止爪による係止手段によって、フレーム15に着脱自在に取り付けられ、ケース16の前面の略下半分を覆う。
【0017】
図2及び図3に示すように、装置本体11内には、データ書込部20、ディスク搬送部23、ソータユニット25、及びこれら各部を制御するコントローラ27(図4参照)が設けられている。また、ケース16の背面には、レーベルプリンタ12のディスクトレイ12aが出入りするトレイ開口部24が形成されている。
【0018】
レーベルプリンタ12は、周知の熱転写方式プリンタなどから構成され、前面に設けられたディスクトレイ12aが水平方向に移動する。開放位置(イジェクト位置)のディスクトレイ12aにディスクDを載置すると、ディスクトレイ12aが格納位置へ自動的に移動する。この格納位置では、ディスクDのレーベル面に文字、イラストやロゴマークなどのレーベル印刷が行われる。レーベル印刷が終了すると、コントローラ27の制御により、ディスクトレイ12aが開放位置に移動する。
【0019】
データ書込部20は、ディスクDの記録面にレーザー光を照射してデータを書き込む周知の第1〜第3ディスク装置21a〜21cから構成されている。各ディスク装置21a〜21cは、ディスクトレイ22a〜22cが格納位置と開放位置との間で水平方向に移動する。開放位置のディスクトレイ22a〜22cに、未処理のディスクDが載置されると、ディスクトレイ22a〜22cが格納位置へ自動的に移動する。この格納位置において、ディスクDにデータが書き込まれる。データ書込が終了すると、コントローラ27の制御により、ディスクトレイ22a〜22cが開放位置に移動する。
【0020】
1枚のディスクに対するレーベルプリンタ12の印刷処理時間に対し、各ディスク装置21a〜21cのデータ書込処理時間は一般的に長くなる。そこで、本実施形態では、1台のレーベルプリンタ12に対して3台のディスク装置21a〜21cを配置している。
【0021】
レーベルプリンタ12及び各ディスク装置21a〜21cの各ディスクトレイ12a,22a〜22cが開放位置にセットされているときに、ディスクトレイ12a,22a〜22cにセットされたディスクDの中心は、同一垂線上となる。
【0022】
図1に示すように、上パネル17には、操作パネル部30(図2参照)が露呈する開口17aと、透明窓17b,17cとが設けられている。図2に示すように、フレーム15には、前板14が取り付けられている。前板14には、第1開口14a〜第4開口14dが形成されている。第1開口14aは、上パネル17の開口17aに対応する位置に形成されており、この第1開口14aには操作パネル部30が取り付けられている。なお、装置本体11の後部には図示しない接続コネクタ部が配置されており、この接続コネクタ部は、例えばパーソナルコンピュータ(PC)から書き込み用データや、レーベル印刷用データをコントローラ27に転送するためのものであり、LANケーブルやその他の各種ケーブルが接続可能になっている。また、操作パネル部30には、電源スイッチ、電源ランプやその他のスイッチ類などが配置されており、各種操作が可能になっている。さらに、操作パネル部30には、ディスク処理装置10の処理状態を表示するためのディスプレイが配置されている。
【0023】
前板14の第2及び第3開口14b,14cは、透明窓17b,17cに対応する位置に形成されている。これら第2及び第3開口14b,14cには、未処理のディスクDを収納する第1及び第2ディスク収納部33,34が鉛直方向に並べて二段に配置されている。前板14の第4開口14dはメンテナンスに用いられる。
【0024】
第1ディスク収納部33は、フレーム15と一体に設けられた収納室36と、この収納室36に挿脱される第1スタッカ37とから構成されている。第1スタッカ37は、上面が開放された円筒状の容器であり、収納室36への出し入れの際に使用する把手37aが一体に設けられている。この第1スタッカ37には、未処理のディスクDが例えば50枚積み重ねて収納される。第2ディスク収納部34も第1ディスク収納部33と同様に、収納室38と第2スタッカ39とから構成されている。第1及び第2スタッカ37,39の後部にはディスク把持用開口が形成されている。
【0025】
図1に示すように、下パネル18には、第1〜第3開口18a〜18cが形成されている。第1開口18aは、下パネル18の右側部分に形成されている。図2に示すように、この第1開口18aに対応する位置でフレーム15内には、第3ディスク収納部45が配置されている。第3ディスク収納部45は、収納室46とこの収納室46内に入れられる第3スタッカ47とから構成されている。
【0026】
図5に示すように、第3スタッカ47には、処理済みのディスクDが集積して収納される。第3スタッカ47は、底板47a、前板47b及び集積ガイド棒47cから構成されている。集積ガイド棒47cは底板47aの略中央部で、底板47aに対し垂直に取り付けられている。この集積ガイド棒47cにディスクDを挿入した状態で重ねて、例えば100枚ほど収納可能になっている。底板47a及び前板47bは透明なプラスチックで構成されており、集積されたディスクDを外から見ることができる。前板47bは、収納室46内に第3スタッカ47が入れられたときに、第1開口18aを覆うように構成されている。前板47bには、把手47dが設けられている。
【0027】
図1に示すように、第2開口18bは、第1開口18aの左側に形成されている。図2に示すように、この第2開口18bに対応する位置でフレーム15には、処理済みのディスクDが収納されるソータユニット25が取り付けられており、第2開口18bから各ソータトレイ28が露呈する。図3に示すように、ソータユニット25は、ソータ本体51と、このソータ本体51に処理済みのディスクDを排出する可動シュータ52とから構成されている。第2開口18bには、観音開きの開閉蓋18dが取り付けられており、使用時に開放してソータトレイ28からディスクDを取り出すことができる。
【0028】
図2に示すように、第3開口18cに対応する位置でフレーム15には、ディスク処理装置10のコントローラ用の記録/再生装置26が取り付けられており、第3開口18cからトレイ26aを出し入れすることができる。
【0029】
図5〜図7に示すように、ディスク搬送部23は、ディスクDを把持するディスク把持アーム(以下、単に把持アームという)40と、この把持アーム40を昇降させる把持アーム昇降部56と、把持アーム昇降部56を図5に示す状態と図6に示す状態との間で回転させる回転部57とから構成されている。
【0030】
図7に示すように、把持アーム40は、断面U字形状のアーム本体58と、このアーム本体58の上面を覆うカバー59と、アーム本体58の先端部に設けられるディスク把持機構60とを備える。
【0031】
図8〜図10に示すように、ディスク把持機構60は、ディスクDを把持する第1〜第3ディスク把持レバー(以下、単に把持レバーという)61〜63と、これら各把持レバー61〜63を回転可能に支持する支持板64と、各把持レバー61〜63を回転させる回転板65と、この回転板65を押さえる押え板66とを備える。第1,第2把持レバー61,62は、同一の形状をしている。
【0032】
各把持レバー61〜63には、レバー部61a〜63aの上面及び下面から突出した軸部61b〜63bが設けられている。軸部61b〜63bは、アーム本体58に形成された取付孔71a〜71cと、支持板64に形成された取付孔72a〜72cに挿入され、各把持レバー61〜63は、軸部61b〜63bを中心にして回転する。
【0033】
第1,第2把持レバー61,62は、レバー部61a,62aの一端に回転板65と連結するための切欠き74が、他端にディスクDのディスク孔Dhに挿入される挿通部75が形成されている。挿通部75の先端には、ディスク孔Dhの縁の下面に当接してディスクDを把持するフック部76が形成されている。第1,第2把持レバー61,62は、フック部76をディスク孔Dhの縁の下面に引っ掛けてディスクDを把持する把持位置(図11(A)及び図13参照)と、フック部76をディスク孔Dhの内側へ退避してディスクDの把持を解放する解放位置(図11(B)及び図14参照)との間で回転する。
【0034】
第3把持レバー63は、レバー部63aの一端に回転板65と連結するための切欠き78が、他端にディスクDのディスク孔Dhに挿通されてディスク孔Dhの壁面Dfを押圧する挿通部79が形成されている。第3把持レバー63は、フック部が設けられておらず、挿通部79が壁面Dfを押圧する把持位置(図13参照)と、把持を解放する解放位置(図14参照)との間で回転する。なお、符号58aは、挿通部75及び挿通部79が挿通される挿通孔である。
【0035】
回転板65には、軸部61b〜63bが挿入される長孔状の挿入孔81a〜81cと、支持板64に設けられた軸ピン80が挿入される軸孔82と、切欠き74,78に挿入されるリンクピン83a〜83cとが設けられている。回転板65は、軸ピン80を中心にして回転する。
【0036】
アーム本体58には、支持板64が取り付けられる取付ボス85a〜85cが形成されている。これら取付ボス85a〜85cは、支持板64に形成された取付孔73a〜73cに挿通される。
【0037】
取付ボス85a〜85cには、3本のネジ89a〜89cがそれぞれ螺合するネジ孔86a〜86cが形成されている。押え板66には、ネジ89a〜89cを通すためのネジ挿通孔87a〜87cと、支持板64の軸ピン80が挿入される取付孔88とが設けられている。
【0038】
アーム本体58の下面には、ディスクDの上面に当接し、フック部76との間にディスクDを挟み込むディスク押え90が取り付けられている。このディスク押え90には、アーム本体58に形成された取付孔91a〜91cに挿通される係止爪92a〜92cと、ディスク解放時に壁面Dfに当接し、第1,第2把持レバー61,62のフック部76からディスクDを引き離すストッパ93とが設けられている。なお、ストッパ93を複数設けてもよい。
【0039】
アーム本体58には、回転板65を回転するためのソレノイド95が取り付けられている。このソレノイド95は、ソレノイド本体96と、ソレノイド本体96に移動可能に挿入された可動鉄芯97とから構成されている。可動鉄芯97の先端に形成された孔には、回転板65に設けられた連結ピン65aが挿通されている。
【0040】
可動鉄芯97は、コイルバネ98に挿通され、バネ受け片99でコイルバネ98の先端が受け止められている。可動鉄芯97は、コイルバネ98によりソレノイド本体96から突出する方向に付勢されており、ソレノイド95が通電(オン)されたときに、コイルバネ98に抗してソレノイド本体96内に入り込む。
【0041】
アーム本体58には、ディスク把持センサ101が設けられている。このディスク把持センサ101は、ディスク検出レバー102と、この変位でオンオフするフォトセンサ(フォトインタラプタ)103とコイルバネ104とから構成されている。
【0042】
ディスク検出レバー102は、アーム本体58に形成された挿通孔58bに挿通されて、アーム本体58の下面から突出する検出端部102aが設けられており、この検出端部102aがディスクDの上面を検知する。また、ディスク検出レバー102は、アーム本体58にブラケット106及び取付ピン107を介して揺動自在に取り付けられている。コイルバネ104は、一端がディスク検出レバー102に掛けられ、他端がブラケット106に掛けられている。このコイルバネ104は、検出端部102aが下方に向かって突出するように、ディスク検出レバー102を付勢する。フォトセンサ103は、ブラケット106に取り付けられている。
【0043】
アーム本体58の下面には、ディスクDの外周端に当接し、第1〜第3把持レバー61〜63でディスクDを把持したときに、ディスクDの傾きを防止する傾き防止部材110が取り付けられている。この傾き防止部材110は、第1把持レバー61の後方に配置されている。傾き防止部材110のディスクDに当接する押え片110aは、先端に向かって上側に傾斜している。傾き防止部材110には、ネジ111が挿通されるネジ挿通孔110bと、位置決め突起110cとが設けられている。アーム本体58には、ネジ挿通孔110bを通ったネジ111が螺合するネジ孔112と、位置決め突起110cが挿入される位置決め孔113とが設けられている。
【0044】
図7に示すように、把持アーム昇降部56は、フレーム121、ガイド棒122、エンドレスベルト123、ベルト駆動用のパルスモータ(昇降モータ)124を備える。フレーム121及びガイド棒122は鉛直方向に配置されている。フレーム121及びガイド棒122の上端は、上板129に取り付けられている。この上板129には、軸部129aが設けられ、軸部129aは、フレーム15に回転自在に支持されている。
【0045】
フレーム121の下端部には、第1プーリ125aが回転自在に取り付けられている。昇降モータ124は、フレーム121の上端部に取り付けられ、その駆動軸には、第2プーリ125bが回転自在に取り付けられている。エンドレスベルト123は、各プーリ125a,125bに掛け渡されている。把持アーム40は、ガイドスリーブ126及び2個のガイドローラ127により、ガイド棒122及びフレーム121に昇降自在に取り付けられている。エンドレスベルト123は、昇降モータ124により正逆に回転する。把持アーム40はエンドレスベルト123に固定されており、昇降モータ124が例えば正転することで把持アーム40は上昇し、昇降モータ124が逆転することにより把持アーム40は下降する。
【0046】
把持アーム昇降部56には、把持アーム40の昇降位置を検出するための昇降初期位置センサ56a(図4参照)が設けられている。この昇降初期位置センサ56aからの初期位置を基準にして昇降モータ124のパルス数が制御され、把持アーム40は任意の昇降位置に停止される。
【0047】
回転部57は、把持アーム40及び把持アーム昇降部56を上板129の軸部129aを中心にして例えば90度の範囲で回転させるものであり、フレーム15の下部に回転可能に取り付けられる回転ベース131と、この回転ベース131を回転するパルスモータ(回転モータ)132とを備える。回転ベース131には、フレーム121及びガイド棒122の下端が取り付けられている。
【0048】
回転部57には、回転ベース131の初期位置を検出する回転初期位置センサ57a(図4参照)が設けられている。この回転初期位置センサ57aからの初期位置を基準にして回転モータ132のパルス数が制御され、把持アーム40の第1〜第3把持レバー61〜63の中心が、各スタッカ37,39,47の中心を通るスタッカ位置(図5参照)と、開放位置にセットされた各ディスクトレイ12a,22a〜22cの中心と、可動シュータ52の上面とを通るトレイ・シュータ位置(図6参照)とに選択的にセットされる。
【0049】
図2、図3及び図5に示すように、ソータ本体51は、コ字形に折曲形成されたソータフレーム135と、5枚の板状のソータトレイ28とから構成されている。各ソータトレイ28は、前面側に向けて下側方向に傾斜された状態で鉛直方向に重なるように並べて配置されている。各ソータトレイ28は、後端部に形成された取付軸136を中心にして揺動自在にソータフレーム135に取り付けられている。ソータトレイ28には、ディスクDの滑落を防止するガイドリブ28aが形成されている。
【0050】
最下層のソータトレイ28の下方であって、ソータ本体51の下部には、固定ソータトレイ138が設けられている。この固定ソータトレイ138には、印刷や書き込みを失敗した不良のディスクDが排出される。
【0051】
可動シュータ52は、ソータ本体51の後部に配置されており、一対のガイド棒141に沿って昇降自在に取り付けられている。可動シュータ52の両側には、ディスクDの滑落を防止するガイドリブ52aが形成されている。
【0052】
図4に示すように、可動シュータ52は、シュータ昇降部53により昇降される。このシュータ昇降部53は、パルスモータ(シュータ用モータ)54と、このシュータ用モータ54の駆動を可動シュータ52に伝達するベルトやプーリ等を有する伝達機構55と、可動シュータ52が固定ソータトレイ138上にディスクDを落下させる初期位置(図3の実線位置)に位置することを検出するシュータ用センサ53aとを備える。シュータ用センサ53aからの初期位置を基準にしてシュータ用モータ54のパルス数が制御され、可動シュータ52は任意の昇降位置に停止される。
【0053】
次に、上記構成の作用について説明する。本実施形態のディスク処理装置10は、PCに接続され、PCにインストールされたソフトウェアに基づいて、データ書込及びレーベル印刷を指示する。コントローラ27は、PCの指示に基づき、各部をシーケンシャルに制御する。なお、このような外部PCを用いることなく、コントローラ27内に上記同様のソフトウェアをインストールしておいてもよい。
【0054】
先ず、第1ディスク収納部33に未処理のディスクDをセットし、ディスク処理装置10の電源をオン状態にする。把持アーム40は第1スタッカ37からディスクDを取り出すことができるスタッカ位置(図5参照)に位置している。PCからデータ書込及びレーベル印刷を指示すると、ソレノイド95がオンされた後、把持アーム40が下降する。ソレノイド95がオンされると、可動鉄芯97がコイルバネ98に抗して、図11(A)に示す状態から図11(B)に示す状態まで、ソレノイド本体96に引き込まれる方向に移動する。この可動鉄芯97の移動により、回転板65がA方向に回転される。この回転板65の回転により、第1〜第3把持レバー61〜63は把持位置から解放位置まで回転する。
【0055】
図12(A)に示すように、把持アーム40が下降すると、第1〜第3把持レバー61〜63がディスクDのディスク孔Dhに挿通されるとともに、ディスク検出レバー102の検出端部102aがディスクDの上面に当接し、ディスク検出レバー102が上方に持ち上げられるように回転する。この回転がフォトセンサ103で検出されると、ディスク把持信号がコントローラ27に送られる。コントローラ27は、ディスク把持信号の入力に応じて、ソレノイド95をオフする。
【0056】
図12(B)及び図13に示すように、ソレノイド95がオフされると、第1〜第3把持レバー61〜63は、解放位置から把持位置まで回転し、第1,第2把持レバー61,62は、フック部76がディスク孔Dhの縁の下面に引っ掛かるとともに、挿通部75が壁面Dfに当接する。また、第3把持レバー63は、挿通部79が壁面Dfを押圧する。ディスクDは、第1〜第3把持レバー61〜63により把持されるとともに、ディスク押え90とフック部76との間に挟持される。フック部76が、第1番目のディスクDの下面を引っ掛ける際に、第3把持レバー63は、第2番目のディスクDのディスク孔Dhに入っておらず、また、フック部76が第2番目のディスクDの壁面Dfを押すから、2枚のディスクDがフック部76に係合されることがない。
【0057】
ディスクDを把持した状態の把持アーム40は、上方に移動した後、トレイ・シュータ位置(図6参照)まで回転する。把持アーム40が上方に移動する際に、把持された第1番目のディスクDが、その下側にある第2番目のディスクDから引き離される。
【0058】
第3把持レバー63とは逆側の外周部は、傾き防止部材110の押え片110aに当接しているから、上記したディスクDを引き離すときや、ディスク搬送中にディスク処理装置10に衝撃が加わったときにも、ディスクDが傾いて第3把持レバー63から外れることがない。また、押え片110aは、ディスクDの外周部にのみ当接するから、ディスクDの上面(レーベル面)に傷を付けることがない。
【0059】
把持アーム40は、トレイ・シュータ位置まで回転した後、第1ディスク装置21aのディスクトレイ22aの少し上方のディスクリリース位置まで下降する。把持アーム40がディスクリリース位置まで下降すると、ソレノイド95が所定時間オンされる。ソレノイド95がオンされると、第1〜第3把持レバー61〜63は把持位置から解放位置に向けて回転する。これにより、ディスクDの把持が解放され、把持アーム40からディスクDが外れて、ディスクトレイ22a上に落下する。
【0060】
図14に示すように、第1,第2把持レバー61,62が把持位置から解放位置に向けて回転するときに、フック部76に引っ掛かったままディスクDが一緒に移動することがあるが、この場合、ディスク孔Dhの壁面Dfがディスク押え90のストッパ93に当接することにより、ディスクDの移動が停止され、フック部76がディスクDの下面から確実に離れるから、ディスクDが斜めに傾いた状態で解放及び落下することがない。
【0061】
把持アーム40から落下した未処理のディスクDがディスクトレイ22aに載せられると、ディスクトレイ22aが格納位置に移動し、第1ディスク装置21a内でディスクDにデータが書き込まれる。同様の処理が繰り返されることにより、各ディスク装置21b,21cに未処理のディスクDがそれぞれセットされて、データが書き込まれる。
【0062】
データ書込が終了すると、コントローラ27の指示に基づいて、ディスクトレイ22aが開放位置に移動する。また、コントローラ27は、把持アーム40を第1ディスク装置21aの位置へ移動させ、ディスクトレイ22aに載せられたデータ書込済みのディスクDを把持するように指示をする。データ書込済みのディスクDを把持した把持アーム40は、レーベルプリンタ12の位置へ移動し、開放位置にあるディスクトレイ12aに載るようにディスクDを落下させる。ディスクDが載せられたディスクトレイ12aがレーベルプリンタ12内に格納されると、レーベル印刷が行われる。レーベル印刷が終了すると、コントローラ27は、ディスクトレイ12aを開放位置へ移動させるとともに、把持アーム40がプリント済みのディスクDを把持するように指示をする。
【0063】
処理済みのディスクDを、第3スタッカ47に集積する場合には、把持アーム40が、第3スタッカ47の少し上方の位置まで上昇及び回転する。そして、前述したように処理済みのディスクDの把持が解放されると、把持アーム40から処理済みのディスクDが落下し、第3スタッカ47に集積される。
【0064】
処理済みのディスクDを、ソータトレイ28に収納する場合には、可動シュータ52が、例えば最上層のソータトレイ28の少し上方の位置まで上昇するとともに、把持アーム40が、可動シュータ52の少し上方まで下降する。そして、処理済みのディスクDの把持が解放される。これにより、処理済みのディスクDは、把持アーム40から落下し、可動シュータ52を介して、最上層のソータトレイ28に案内される。処理済みのディスクDの把持が解放されると、把持アーム40は昇降初期位置まで上昇され、可動シュータ52は初期位置まで下降される。以下、同様の処理が繰り返されることにより、処理済みのディスクDが順次各ソータトレイ28に排出される。
【0065】
なお、データ書込不良や印刷不良が発生したときには、この不良のディスクDは最下層の固定ソータトレイ138に排出されて、処理済みのディスクDと仕分けられる。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】ディスク処理装置の外観斜視図である。
【図2】ディスク処理装置の上パネル及び下パネルを開放した状態を示す正面図である。
【図3】ディスク処理装置の断面図である。
【図4】ディスク処理装置の電気的構成を示すブロック図である。
【図5】ディスク把持アームがスタッカ位置に位置する状態のディスク搬送部とソータユニットと第3スタッカとを示す斜視図である。
【図6】ディスク把持アームがトレイ・シュータ位置に位置する状態のディスク搬送部とディスクトレイと第3スタッカとを示す斜視図である。
【図7】ディスク搬送部の分解斜視図である。
【図8】ディスク把持アームの内部を示す斜視図である。
【図9】ディスク把持機構の分解斜視図である。
【図10】ディスク解放状態のディスク把持アームを示す正面図である。
【図11】(A)はディスク把持状態、(B)はディスク解放状態の第1〜第3ディスク把持レバーと回転板とソレノイドとを示す上面図である。
【図12】(A)はディスク把持前、(B)はディスク把持後のディスク把持アームを示す正面図である。
【図13】ディスク把持状態の第1〜第3ディスク把持レバーとクランパとを下側から見た斜視図である。
【図14】ディスク解放状態の第1〜第3把持ディスクレバーとクランパとを下側から見た斜視図である。
【符号の説明】
【0067】
10 ディスク処理装置
11 装置本体
12 レーベルプリンタ
20 データ書込部
21 第1〜第3ディスク装置
23 ディスク搬送部
27 コントローラ
40 ディスク把持アーム
60 ディスク把持機構
61 第1〜第3ディスク把持レバー
65 回転板
75,79 挿通部
76 フック部
93 ストッパ
95 ソレノイド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスク孔の複数の位置に係合してディスクを把持する把持位置と、前記ディスク孔内で内側へ移動して前記ディスク孔から離れた解放位置とに移動可能なディスク把持手段と、
前記ディスク把持手段の前記ディスク孔への出し入れ時に、前記ディスク把持手段を前記解放位置へ移動させ、前記ディスクの把持時に、前記ディスク把持手段を前記把持位置へ移動させる駆動手段と、
前記ディスク把持手段と一緒に前記ディスク孔に出し入れされ、前記ディスク把持手段が前記把持位置から前記解放位置へ移動する途中で、前記ディスク孔の縁を受け止めて、前記ディスク把持手段から前記ディスクを引き離すためのストッパと、
を備えることを特徴とするディスク把持装置。
【請求項2】
前記ディスク把持手段は、前記ディスク孔に挿入される挿通部と、前記ディスク孔の縁に係合するフック部とを備えた第1及び第2のディスク把持レバーと、前記ディスク孔に挿入され、前記ディスク孔を押圧する挿通部を有する第3のディスク把持レバーとを備え、前記第1ないし第3のディスク把持レバーは、適当な間隔で配置されていることを特徴とする請求項1記載のディスク把持装置。
【請求項3】
前記ディスク把持手段、前記駆動手段、及び前記ストッパを取り付けたディスク把持アームを設け、前記ディスク把持アームを昇降及び回転させて、前記ディスクが集積されたディスク収納部から、前記ディスクを1枚ずつ取り出すことを特徴とする請求項2記載のディスク把持装置。
【請求項4】
前記第1ないし第3のディスク把持レバーは、前記ディスク把持アームに回転可能に取り付けられたレバー部を備え、前記レバー部の一端に前記挿通部が一体に形成されていることを特徴とする請求項3記載のディスク把持装置。
【請求項5】
前記駆動手段は、前記第1ないし第3のディスク把持レバーの前記レバー部の他端が連結された回転板と、前記回転板に連結され、オフ時に前記回転板を介して前記第1ないし第3のディスク把持レバーを前記把持位置へ移動し、オン時に前記第1ないし第3のディスク把持レバーを前記解放位置へ移動するソレノイドとからなることを特徴とする請求項4記載のディスク把持装置。
【請求項6】
ディスク孔の複数の位置に係合してディスクを把持する把持位置と、前記ディスク孔内で内側へ移動して前記ディスク孔から離れた解放位置とに移動可能なディスク把持手段と、
前記ディスク把持手段の前記ディスク孔への出し入れ時に、前記ディスク把持手段を前記解放位置へ移動させ、前記ディスクの把持時に、前記ディスク把持手段を前記把持位置に移動させる駆動手段と、
前記ディスク把持手段と一緒に前記ディスク孔に出し入れされ、前記ディスク把持手段が前記把持位置から前記解放位置へ移動する途中で、前記ディスク孔の縁を受け止めて、前記ディスク把持手段から前記ディスクを引き離すためのストッパと、
前記ディスク把持手段、前記駆動手段、及び前記ストッパを取り付けたディスク把持アームと、
未処理のディスクが集積された未処理ディスク収納部と、
前記未処理のディスクに対してデータ書込処理とレーベル印刷処理との少なくとも一方を実行するディスク処理部と、
処理済みのディスクを収納する処理済みディスク収納部と、
前記ディスク把持アームを昇降及び回転して、前記未処理ディスク収納部から取り出した前記未処理のディスクを前記ディスク処理部に搬送し、前記ディスク処理部から排出された前記処理済みのディスクを前記処理済みディスク収納部へ搬送するディスク把持アーム移動手段と、
を備えることを特徴とするディスク処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2010−123184(P2010−123184A)
【公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−295706(P2008−295706)
【出願日】平成20年11月19日(2008.11.19)
【出願人】(000003676)ティアック株式会社 (339)