説明

ディスク装置及びディスクトレイの移動方法

【課題】ディスクトレイを移動するときの操作性を向上する。
【解決手段】トレイユニット5を引出し位置から第1所定位置まで移動して、トレイ移動検出スイッチ43がオンすると、モータ駆動制御回路は、スピンドルモータ25をC方向に低速回転して、ディスク4を低速回転する。回転するディスク4とディスク接触パッド41との摩擦により、トレイユニット5の格納位置に向けた移動がアシストされる。トレイユニット5は、格納位置でのロックが解除されると、イジェクトシャフト48及びコイルバネにより、引出し位置に向けて移動する。この移動により格納位置検出スイッチ45がオフすると、モータ駆動制御回路は、スピンドルモータ25をD方向に低速回転して、ディスク4を低速回転する。トレイユニット5が第2所定位置まで移動すると、回転するディスク4とディスク接触パッド41との摩擦により、トレイユニット5が引出し位置に向けて自走する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスクが装填されるディスクトレイを有するディスク装置及びディスクトレイの移動方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ディスク装置は、ターンテーブルに装着されたディスクをスピンドルモータで回転させながら、ピックアップヘッドを移動して、ディスクにデータを高密度で記録したり、あるいはディスクのデータを読み出して再生する。このディスク装置は、電子機器、例えばパソコン本体等に内蔵されたり、あるいは外付けされて用いられる。ディスク装置は、ディスクが載せられるディスクトレイを有し、このディスクトレイはケース内部に格納される格納位置と、ケースから引き出された引出し位置との間で移動する。
【0003】
従来のディスク装置としては、特許文献1に示すように、ディスクトレイに、スピンドルモータやピックアップヘッドを設けたものが一般的である。このディスク装置では、イジェクトボタンを押圧すると、ディスクトレイは、格納位置でのロックが解除されて、バネによって引出し位置に向けて所定量(例えば10mm程度)イジェクトされる。そして、所定量イジェクトされたディスクトレイを、手動で引出し位置まで移動する。また、ディスクトレイを引出し位置から格納位置まで移動するときには、手動でディスクトレイを格納位置へ押し込む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−281048号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
イジェクトボタンが押圧されると、スピンドルモータの駆動停止制御が行われるが、ディスクにデータを記録/再生しているときには、スピンドルモータは、高速(例えば3000rpm)で回転しているため、直ぐには回転が停止せずに、ディスクトレイが引出し位置に向けてイジェクトされたときにも、スピンドルモータ及びディスクは惰性で回転した状態となっている。ユーザが回転中のディスクに触れると、怪我をする恐れがあるため、特許文献1では、ディスクトレイが引出し位置に向けてイジェクトされたときに、回転中のディスクに接触してその回転を停止するブレーキパッドをケース内部に設けている。しかし、ディスクトレイを、格納位置まで押し込んだり、引出し位置まで引き出すときに、ディスクがブレーキパッドに接触する。この接触が抵抗となるため、ディスクトレイを移動するときに大きな力が必要となり、操作性が悪いという問題があった。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、ディスクトレイを移動するときの操作性を向上することができるディスク装置及びディスクトレイの移動方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明のディスク装置は、ケースから引き出された引出し位置と、前記ケース内部に格納された格納位置との間で移動するディスクトレイを備えたディスク装置において、前記ディスクトレイに設けられ、ディスクを保持して回転するディスク駆動部と、前記ケースに設けられ、前記ディスクトレイが前記引出し位置と前記格納位置との間の所定区間内を移動中に、前記ディスクの周縁に接触するディスク接触パッドと、前記ディスクが前記ディスク接触パッドに接触して回転することにより、前記ディスクトレイが前記引出し位置または前記格納位置に向けて移動するように前記ディスク駆動部を駆動して前記ディスクを回転する駆動制御手段と、を備えることを特徴とする。
【0008】
また、前記ディスクが前記ディスク接触パッドに接触していることを検出する検出手段を備え、前記駆動制御手段は、前記ディスクトレイが前記格納位置に向けて移動するときには、前記検出手段からの検出信号に応じて、前記ディスク駆動部を介して前記ディスクを第1方向に回転させて、前記ディスクトレイを前記格納位置に向けて移動させ、前記ディスクトレイが前記格納位置から前記引出し位置に向けて移動するときには、移動開始時から前記ディスクを第2方向に回転させ、前記ディスクトレイを前記引出し位置に向けて移動させることが好ましい。なお、前記検出手段としては、スイッチやフォトセンサ等が挙げられる。
【0009】
さらに、前記ディスク駆動部は、前記ディスクが前記ディスク接触パッドに接触している間は、記録/再生時よりも低速で前記ディスクを回転させるとともに、前記ディスクが前記ディスク接触パッドから離れた後は、前記ディスクトレイが前記格納位置に向けて移動中の場合には、前記ディスクを高速回転させ、また前記ディスクトレイが前記引出し位置に向けて移動中の場合には、前記ディスクを回転停止させることが好ましい。
【0010】
また、本発明のディスクトレイの移動方法は、ディスクトレイがケースから引き出された引出し位置から、前記ケース内に格納された格納位置に向けて移動する間に、前記ディスクトレイに保持されたディスクが前記ケース内のディスク接触パッドに接触したときに、前記ディスクを第1の方向に回転させて前記ディスクトレイを移動させ、または前記格納位置から前記引出し位置に向けて移動する間に、前記ディスクトレイに保持されたディスクが前記ケース内のディスク接触パッドに接触したときに、前記ディスクを第2の方向に回転させて前記ディスクトレイを移動させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、ディスクトレイの移動区間内に、ディスクの周縁に接触するディスク接触パッドを設け、ディスクがディスク接触パッドに接触する間にディスクを回転するから、ディスクトレイを移動またはアシストすることができる。これにより、ディスクトレイを移動するときの操作性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明のディスク装置を備えたノート型パソコンの外観図である。
【図2】上カバーを取り外した状態でトレイユニットが引出し位置にあるときのディスク装置を示す斜視図である。
【図3】トレイユニットが格納位置にあるときのディスク装置を示す斜視図である。
【図4】上カバーを取り外した状態でトレイユニットが引出し位置にあるときのディスク装置を示す平面図である。
【図5】上カバーを取り外した状態でトレイユニットが第1所定位置にあるときのディスク装置を示す平面図である。
【図6】上カバーを取り外した状態でトレイユニットが第2所定位置にあるときのディスク装置を示す平面図である。
【図7】上カバーを取り外した状態でトレイユニットが格納位置にあるときのディスク装置を示す平面図である。
【図8】ディスク装置の電気的構成を示すブロック図である
【図9】トレイユニットが引出し位置から格納位置まで移動するときのタイミングチャートである。
【図10】トレイユニットが格納位置から引出し位置まで移動するときのタイミングチャートである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
図1において、ノート型パソコン3は、ディスク装置2がパソコン本体3aに組み込まれている。ディスク装置2は、ディスク4が装着されるトレイユニット5と、トレイユニット5を出し入れ可能にするケース9(図3参照)とを備える。トレイユニット5の前面には、イジェクトボタン6aを有するフロントベゼル6が取り付けられている。ケース9は、ケース本体7及び上カバー8(図3参照)から構成されている。
【0014】
図2に示すように、ケース本体7の両側には、左スライドレール11と右スライドレール12とが、スライド自在に取り付けられている。トレイユニット5は、各スライドレール11,12に対して移動自在に支持されており、ケース9内部に格納される格納位置(図3参照)と、ケース9から引き出された引出し位置(図2参照)との間で移動する。
【0015】
図2及び図3に示すように、トレイユニット5は、ディスク4が載せられるディスクトレイ17と、ピックアップヘッド18と、ディスク4を保持して回転するディスク駆動部19とを備える。ピックアップヘッド18は、ディスク4の半径方向に移動自在に設けられ、スレッドモータ20(図8参照)により移動する。ディスクトレイ17には、ディスク4の半径方向に延びた開口21が形成されたカバープレート22がネジ23a,23bにより固定されている。ピックアップヘッド18は、この開口21を通してディスク4にアクセスし、回転中のディスク4にデータを記録/再生する。
【0016】
ディスク駆動部19は、ディスク4を回転させるスピンドルモータ25を備え、ディスクトレイ17に取り付けられている。このスピンドルモータ25は、ディスク4にデータを記録/再生するときの回転速度(例えば3000rpm)に比べて低速(例えば200rpm)で回転するときにも高トルクを発生するものから構成されている。スピンドルモータ25の駆動軸には、ターンテーブル26が固定されている。このターンテーブル26には、チャッキングヘッド27が一体に形成されている。ディスク4をディスクトレイ17に載せてから押し込むと、ディスク4のディスク孔4a(図1参照)がチャッキングヘッド27に嵌合され、ディスク4がターンテーブル26上に保持される。チャッキングヘッド27には、バネで付勢された複数のチャッキング爪27aが設けられている。このチャッキング爪27aにより、ディスク4は着脱可能に係止される。
【0017】
ディスクトレイ17には、ピックアップヘッド18、スレッドモータ20及びスピンドルモータ25の駆動を制御する駆動制御基板28(図8参照)が設けられており、この駆動制御基板28は、フレキシブル基板29により制御基板30に接続されている。
【0018】
ケース本体7は、トレイユニット収納部31と、このトレイユニット収納部31の横に位置するディスク収納部32とを備えている。このディスク収納部32は、不要なスペースをなくすために、トレイユニット収納部31よりも底が上がっている。
【0019】
トレイユニット収納部31は、四角形をした底部31dを囲むように、左側壁31aと、後端壁31bと、右側壁31cとが形成されている。トレイユニット収納部31の前側は開口しており、トレイユニット5の出し入れを可能にしている。左側壁31aは、上カバー8を支持するために上部が直角に折り曲げられて、断面がL字形をしている。右側壁31cは、後端部だけが高く、残り部分は高さが低く、そのままディスク収納部32の底部32aに連なっている。右側壁31cの後端部の一部であって、後端壁31bとの角に位置する部分は、上カバー8を支持するために上部が直角に折り曲げられている。
【0020】
ディスク収納部32は、底部32aと、この底部32aから垂直に起立した側壁32bとから構成されている。側壁32bは、ディスク収納部32の前側の全部と、後側の一部とが切り欠かれている。また、側壁32bの一部は、上カバー8を支持するために上部が折り曲げられている。
【0021】
トレイユニット収納部31の折り曲げ部と、ディスク収納部32の折り曲げ部には、4本のビス34a〜34dがそれぞれ螺合するネジ孔33a〜33dが形成されている。上カバー8は、これらの折り曲げ部に重ねられ、ビス34a〜34dでケース本体7に固定される。
【0022】
上カバー8は、ケース本体7のトレイユニット収納部31とディスク収納部32とを覆う形状をしている。上カバー8は、前側を除いた周囲が下方に折り曲げられており、上カバー8をケース本体7に取り付けたときに、ケース本体7の左側壁31a、後端壁31b、及び右側壁31cの外側に重なる。なお、符号36a〜36dは、ビス34a〜34dを通すためのビス孔である。
【0023】
図4〜図6に示すように、ディスク収納部32の側壁32bの内面には、ディスク4の周縁に接触するシリコンゴム製のディスク接触パッド41が貼り付けられている。このディスク接触パッド41は、トレイユニット5が引出し位置と格納位置との間の所定区間A(図5に実線で示す第1所定位置から、図5に二点鎖線で示し図6に実線で示す第2所定位置までの区間)を移動するときに、ディスク4の周縁に接触する。
【0024】
左側壁31aの内面には、レイユニット5が所定区間Aに移動したことを検出するトレイ移動検出スイッチ43が設けられている。このトレイ移動検出スイッチ43は、本体部43aと、この本体部43aから突出する方向にバネ付勢されたスイッチ片43bとを備えている。
【0025】
ディスクトレイ17の左側面には、スイッチ片43bを押圧する第1凸部17aと第2凸部17bとが形成されている。トレイユニット5が第1所定位置に移動したときに、第1凸部17aはスイッチ片43bを押圧してトレイ移動検出スイッチ43をオンし、トレイ検出信号を出力する。また、トレイユニット5が第2所定位置に移動したときに、第2凸部17bはスイッチ片43bを押圧してトレイ移動検出スイッチ43をオンする。
【0026】
後端壁31bの内面には、トレイユニット5が格納位置に位置することを検出する格納位置検出スイッチ45が設けられている。この格納位置検出スイッチ45は、本体部45aと、この本体部45aから突出する方向にバネ付勢されたスイッチ片45bとを備えている。格納位置検出スイッチ45は、図7に示すように、ディスクトレイ17の後面によりスイッチ片45bが押圧されてオンすると、格納位置検出信号を出力する。また、格納位置検出スイッチ45は、ディスクトレイ17が格納位置から引出し位置に向けて移動を開始し、ディスクトレイ17による押圧が解除されてオフすると、格納位置検出信号の出力を停止する。
【0027】
ディスクトレイ17には、トレイユニット5をイジェクトするためのイジェクトシャフト48が、前後方向に移動自在に設けられている。このイジェクトシャフト48は、コイルバネ(図示せず)に挿通されている。トレイユニット5が格納位置に向けて移動して所定区間A内を移動中に、イジェクトシャフト48の後端がケース本体7の後側内壁に当接する。このイジェクトシャフト48は、コイルバネを圧縮しながら前方に移動する。これにより、トレイユニット5が格納位置でロックされると、コイルバネが蓄勢された状態となる。イジェクトシャフト48及びコイルバネは、所定区間A内から格納位置までのバネ付勢区間B(図9及び図10参照)において、トレイユニット5を引出し位置に向けて付勢する。
【0028】
図8に示すように、駆動制御基板28には、スレッドモータ20及びスピンドルモータ25の駆動を制御するモータ駆動制御回路51が設けられている。このモータ駆動制御回路51は、ディスク4にデータを記録/再生するときには、スピンドルモータ25を高速回転(例えば3000rpm)させ、トレイユニット5を移動させるときには、スピンドルモータ25を低速回転(例えば200rpm)させる。
【0029】
制御基板30には、制御回路52が設けられている。この制御回路52は、トレイ移動検出スイッチ43と格納位置検出スイッチ45とのスイッチ動作に基づいて、トレイユニット5の移動方向を判断する。この判断結果に基づいて、制御回路52は、モータ駆動制御回路51に、駆動信号を出力する。
【0030】
制御回路52は、最初にトレイ移動検出スイッチ43がオンしてトレイ検出信号が入力されると、トレイユニット5が引出し位置から格納位置に向けた押込み方向に移動していると判断し、最初に格納位置検出スイッチ45がオフして格納位置検出信号の入力が停止されると、トレイユニット5が格納位置から引出し位置に向けた引出し方向に移動していると判断する。
【0031】
次に、ディスク装置2の作用について説明する。ディスク4を装填するときには、トレイユニット5を引出し位置まで引き出す。チャッキングヘッド27にディスク4を装着してから、フロントベゼル6を手で押すと、トレイユニット5は格納位置に向けて押込み方向に移動する。
【0032】
トレイユニット5の押込みでは、図9に示すように、トレイユニット5が所定区間Aの第1所定位置(図5参照)まで移動すると、トレイ移動検出スイッチ43は、ディスクトレイ17の第1凸部17aにより押圧されてオンとなり、制御回路52にトレイ検出信号を出力する。制御回路52は、最初にトレイ検出信号が入力されたことに応じて、トレイユニット5が格納位置に向かって押込み方向に移動していると判断する。この場合は、制御回路52は、モータ駆動制御回路51に第1駆動信号を出力する。モータ駆動制御回路51は、第1駆動信号の入力に応じて、スピンドルモータ25を、C方向(図5参照)に低速回転する。このスピンドルモータ25の回転によりターンテーブル26が回転し、ターンテーブル26にセットされたディスク4が回転する。なお、C方向は、ディスク4にデータを記録/再生するときの回転方向と同一である。
【0033】
ディスク4がC方向に回転すると、回転するディスク4とディスク接触パッド41との摩擦により、トレイユニット5を格納位置に向けて移動する移動力F1(図5参照)が発生し、この移動力F1によりトレイユニット5の格納位置に向けた移動がアシストされる。
【0034】
トレイユニット5が所定区間Aの第2所定位置まで移動すると、トレイ移動検出スイッチ43は、ディスクトレイ17の第2凸部17bにより押圧されてオンとなり、制御回路52にトレイ検出信号を出力する。制御回路52は、スピンドルモータ25をC方向に低速回転させている状態でトレイ検出信号が入力されたことに応じて、モータ駆動制御回路51に第2駆動信号を出力する。モータ駆動制御回路51は、第2駆動信号の入力に応じて、スピンドルモータ25を、C方向に高速回転する。このように、格納位置の手前からディスク4を高速回転させるから、格納位置でディスク4の高速回転を開始させるものよりも、ディスク4にデータの記録/再生を開始するまでの時間(起動時間)を短くすることができる。
【0035】
トレイユニット5が格納位置に移動してロックされると、格納位置検出スイッチ45は、ディスクトレイ17の後面により押圧されてオンとなり、制御回路52に格納位置検出信号を出力する。制御回路52は、格納位置検出信号の入力に応じて、モータ駆動制御回路51に記録/再生信号を出力する。駆動制御基板28は、記録/再生信号の入力に応じて、スレッドモータ20を駆動してピックアップヘッド18をディスク4の半径方向に移動し、高速回転中のディスク4にデータを記録/再生する。
【0036】
また、トレイユニット5が所定区間A内を移動中に、イジェクトシャフト48の後端がケース本体7の後側内壁に当接する。これによって、イジェクトシャフト48は、コイルバネを圧縮しながら前方に移動して、コイルバネは蓄積された状態となる。
【0037】
トレイユニット5を引出し位置に引き出すときは、フロントベゼル6に設けられたイジェクトボタン6aを押圧する。イジェクトボタン6aを押圧すると、トレイユニット5の格納位置でのロックが解除される。トレイユニット5のロックが解除されると、イジェクトシャフト48は、蓄勢されたコイルバネの付勢により後方に移動し、ケース本体7の後側内壁を押すから、トレイユニット5はバネ付勢区間Bにおいて引出し位置に向けて移動する。
【0038】
図10に示すように、トレイユニット5が引出し位置に向けて移動すると、格納位置検出スイッチ45はオフとなり、制御回路52への格納位置検出信号の出力を停止する。制御回路52は、格納位置検出信号の入力が停止したことに応じて、トレイユニット5が引出し位置に向かって引出し方向に移動していると判断する。この場合は、制御回路52は、モータ駆動制御回路51に第3駆動信号を出力する。モータ駆動制御回路51は、第3駆動信号の入力に応じて、スピンドルモータ25をC方向とは逆向きのD方向(図6参照)に低速回転する。このスピンドルモータ25の回転によりディスク4が回転する。
【0039】
ディスク4がD方向に回転された状態で、トレイユニット5が格納位置から第2所定位置(図6参照)まで移動すると、回転するディスク4とディスク接触パッド41との摩擦により、トレイユニット5を引出し位置に向けて移動する移動力F2(図6参照)が発生し、この移動力F2によりトレイユニット5が引出し位置に向けて自走する。また、トレイユニット5が第2所定位置まで移動すると、トレイ移動検出スイッチ43は、ディスクトレイ17の第1凸部17aにより押圧されてオンとなり、制御回路52に1回目のトレイ検出信号を出力する。
【0040】
トレイユニット5が第1所定位置(図5参照)まで自走すると、トレイ移動検出スイッチ43は、ディスクトレイ17の第1凸部17aにより押圧されてオンとなり、制御回路52に2回目のトレイ検出信号を出力する。制御回路52は、この2回目のトレイ検出信号の入力に応じて、モータ駆動制御回路51に停止信号を出力する。モータ駆動制御回路51は、停止信号の入力に応じて、スピンドルモータ25の回転を停止する。このスピンドルモータ25の回転停止によりディスク4の回転が停止する。スピンドルモータ25は、ディスク4の記録/再生時に比べて低速回転しているから、トレイユニット5が引出し位置まで自走する間に、回転が停止する。
【0041】
なお、上記実施形態では、ディスク4がディスク接触パッド41に接触する所定区間Aと、イジェクトシャフト48及びコイルバネによりトレイユニット5を付勢するバネ付勢区間Bとを連続させているが、これらの間に空きを形成してもよい。この場合は、トレイユニット5を手で引き出すときに、回転するディスク4とディスク接触パッド41との摩擦により、トレイユニット5の移動がアシストされる。
【0042】
また、上記実施形態では、トレイユニット5が格納位置から引出し位置に向けて移動を開始したときに、スピンドルモータ25をD方向に低速で回転しているが、トレイユニット5が格納位置から引出し位置に向けて移動を開始したときには、スピンドルモータ25の回転を停止し、トレイユニット5が格納位置から所定区間Aに移動してから、スピンドルモータ25を低速回転させてもよい。
【0043】
さらに、上記実施形態では、トレイユニット5を格納位置に向けた押込み方向と引出し位置に向けた引出し方向との両方に移動しているが、少なくとも一方向に移動すればよい。
【0044】
また、上記実施形態では、トレイユニット5が第1所定位置と第2所定位置との間で移動するときに同じ回転速度でスピンドルモータ25を回転しているが、回転速度を増大または減速させてもよい。
【0045】
さらに、ディスク接触パッド41を、所定区間A内で複数個に分断してもよい。
【0046】
また、上記実施形態では、ディスク接触パッド41を側壁32bの内側に設けているが、反対側の側壁、すなわちケース本体7の左側壁31aの内側に設けることもできる。ディスク接触パッド41を左側壁31aの内側に設ける場合、トレイユニット5が格納位置に向けて移動しているときの所定区間AではD方向、トレイユニット5が引出し位置に向けて移動しているときの所定区間AではC方向にスピンドルモータ25を低速回転させることになる。ただし、起動時間短縮化のためには、記録/再生時の回転方向との関係から、上記実施形態の如く、ディスク接触パッド41を側壁32bの内側に設けることが好ましい。
【0047】
さらに、上記実施形態では、ノートパソコンに内蔵するディスク装置について説明したが、外付けタイプのディスク装置にも、本発明を利用することができる。
【符号の説明】
【0048】
2 ディスク装置
5 トレイユニット
17 ディスクトレイ
17a 第1凸部
17b 第2凸部
19 ディスク駆動部
28 駆動制御基板
30 制御基板
41 ディスク接触パッド
43 トレイ移動検出スイッチ
45 格納位置検出スイッチ
51 モータ駆動制御回路
52 制御回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケースから引き出された引出し位置と、前記ケース内部に格納された格納位置との間で移動するディスクトレイを備えたディスク装置において、
前記ディスクトレイに設けられ、ディスクを保持して回転するディスク駆動部と、
前記ケースに設けられ、前記ディスクトレイが前記引出し位置と前記格納位置との間の所定区間内を移動中に、前記ディスクの周縁に接触するディスク接触パッドと、
前記ディスクが前記ディスク接触パッドに接触して回転することにより、前記ディスクトレイが前記引出し位置または前記格納位置に向けて移動するように前記ディスク駆動部を駆動して前記ディスクを回転する駆動制御手段と、
を備えることを特徴とするディスク装置。
【請求項2】
前記ディスクが前記ディスク接触パッドに接触していることを検出する検出手段を備え、
前記駆動制御手段は、前記ディスクトレイが前記格納位置に向けて移動するときには、前記検出手段からの検出信号に応じて、前記ディスク駆動部を介して前記ディスクを第1方向に回転させて、前記ディスクトレイを前記格納位置に向けて移動させ、前記ディスクトレイが前記格納位置から前記引出し位置に向けて移動するときには、移動開始時から前記ディスクを第2方向に回転させ、前記ディスクトレイを前記引出し位置に向けて移動させることを特徴とする請求項1記載のディスク装置。
【請求項3】
前記ディスク駆動部は、前記ディスクが前記ディスク接触パッドに接触している間は、記録/再生時よりも低速で前記ディスクを回転させるとともに、
前記ディスクが前記ディスク接触パッドから離れた後は、前記ディスクトレイが前記格納位置に向けて移動中の場合には、前記ディスクを高速回転させ、また前記ディスクトレイが前記引出し位置に向けて移動中の場合には、前記ディスクを回転停止させることを特徴とする請求項1または2記載のディスク装置。
【請求項4】
ディスクトレイがケースから引き出された引出し位置から、前記ケース内に格納された格納位置に向けて移動する間に、前記ディスクトレイに保持されたディスクが前記ケース内のディスク接触パッドに接触したときに、前記ディスクを第1の方向に回転させて前記ディスクトレイを移動させ、または前記格納位置から前記引出し位置に向けて移動する間に、前記ディスクトレイに保持されたディスクが前記ケース内のディスク接触パッドに接触したときに、前記ディスクを第2の方向に回転させて前記ディスクトレイを移動させることを特徴とするディスクトレイの移動方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−176737(P2010−176737A)
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−16564(P2009−16564)
【出願日】平成21年1月28日(2009.1.28)
【出願人】(000003676)ティアック株式会社 (339)
【Fターム(参考)】