説明

ディスポーザ

【課題】ディスポーザの排出効果を向上させ、破砕室内に落下する繊維質を切断させて絡まりを防ぐ。
【構成】破砕室3を形成する上部ケーシング1と、破砕室の底部に配置した回転板4と、回転板を囲んで縦溝8と刃部9を形成したリング状の固定刃7と、回転板4の下面にインペラ11を設けたディスポーザにおいて、回転板下方の排出室10の周方向の縦断面を同じ形状にして排出口14を切線方向に設け、インペラ11の外側縁を排出室内壁近くまで延長させて、インペラ11を排出室の縦断面のほぼ全面を占める大きさにする。また、インペラの延長部12の上端を固定刃の下端に接近させ、固定刃7下端と延長部11の上面部で縦溝から落下する厨芥を切断させる。停止状態で前記インペラの延長部12に対応する位置の縦溝を延長部の上面形状に合わせて拡大させた拡大縦溝13にしている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、厨房などで発生する厨芥(生ごみ)を破砕処理するディスポーザに係り、特に繊維質の厨芥を有効に処理し円滑に排出させるディスポーザに関する。
【背景技術】
【0002】
シンクの排水口に連結されるディスポーザは、水とともに投入される厨芥を破砕室の底部に設けられた回転板上に受け、この回転板を電動機で回転させて上面に取り付けた破砕ハンマーで破砕するとともに、回転板を囲んで破砕室の底部内壁に設けた固定刃と回転板外周との間で細かく剪断処理し、回転板外周と固定刃との間隙を通して回転板下方の排出室に落下させ、回転板の下面に設けた案内羽根で水の流れを加速させて排出室に連結した排出管から下水管に流出させるようにしている。(たとえば特許文献1参照)
【0003】
また、回転板外周と固定刃との間隙を通過する単位時間当りの厨芥量をたとえば給水量や厨芥の供給量によって制御する手段と、回転板の回転数などの調整と、排出部より下流の厨芥排出量をたとえば回転板下面に設けたインペラや送水手段で制御する手段を設けて厨芥の排出性能を向上させるものがある。(特許文献2参照)
【0004】
なお、破砕された厨芥を搬送する洗浄水を必要としない破砕機として、回転板上に角度をつけた偏向ブレードを設けて材料に下向きの力を与えて破砕し、回転板から下の排出部に送り、回転板下面に設けたパドル要素(インペラ・ブレード)で大量の空気を排出部から追い出し、この空気流で粉砕された厨芥を排出開口から排出させるようにした乾燥廃棄物用の粉砕機が提案されている。(特許文献3参照)
【0005】
また、繊維質の厨芥を有効に細断させるため、回転板の下面にカッタ板を移動するように取り付け、破砕処理時は固定刃の縦溝の下を塞ぐように突出させて縦溝から落下する厨芥を切断させ、このカッタ板をそなえた回転板を固定刃内側に組み立てたり分解する時はカッタ板を回転板から突出しない位置に移動させるようにしたディスポーザが提案されている。(特許文献4参照)
【0006】
【特許文献1】特開平10−323576号公報
【特許文献2】特開2005−254220号公報
【特許文献3】特開平6−327995号公報
【特許文献4】特開2001−224976号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、前記特許文献1や特許文献2に示されている案内羽根やインペラは、水の流れを破砕物とともに排出口へと加速させるもので厨芥の細断には関与しておらず、組み立てや分解のためいずれも回転板の下面から外側には突出しないように取り付けられ、排出室の底面も排出口へ向けて流下するように傾斜させている。このため、排出室の周方向位置では縦断面の形状が異なっており、案内羽根やインペラは小さく、固定刃と回転板の間隙から落ちる厨芥は固定刃下方のスペースにそのまま落下し、枝豆などの長い繊維が排出されると絡まりあって円滑な排出が妨げられている。
【0008】
また、特許文献3のインペラ・ブレードでは、下方ハウジングのかなりの部分を占めているが空気を排出するブロアとして作用させるもので、前記のものと同様に回転板の下面から外側には突出させておらず、排出室に落ちる厨芥は長い繊維質でも切断されずにそのまま排出されている。
【0009】
また、特許文献4の厨芥処理装置は、回転板に固定刃の縦溝の下面を塞ぐようにカッタ板を取り付けており、繊維質の厨芥を切断できるが、組立分解時はカッタ板を移動させる必要があるため、カッタの取付構造が面倒になるなどの問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
このため本発明は、回転板下方の排出室は周方向位置の縦断面を同じ形状にして、排出口を切線方向に設け、回転板の下面に取り付けたインペラの外側縁を固定刃の下から排出室の内壁付近まで延長させており、インペラを排出室の縦断面の形状に合わせてほぼ全面を占める大きさにするとともに、前記延長部の上端部と固定刃下端で排出室に落下する厨芥を切断させる。また、固定刃の回転板が停止状態のときに前記インペラの延長部に対応する位置にある縦溝を、延長部の上面形状に合わせて拡大させた拡大縦溝にしている。
【発明の効果】
【0011】
このように、回転板の下面に取り付けたインペラを固定刃下方から排出室内壁付近まで延長させ、排出室の縦断面とほぼ同じ大きさにして、排出室からの厨芥を含む水を強力に排出させるとともに、インペラの延長部の上端部と固定はの下端とが協働して、回転板と固定刃との間隙から落下する長い繊維質を排出室に落ちる直前で切断させるので、排出室内での繊維の絡まりをなくし、円滑な排出を行わせることができる。
【0012】
また、回転板の停止状態で前記インペラの延長部に当たる位置にある固定刃の縦溝を、延長部の上面形状に合わせて拡大させているので、インペラの外側縁を延長しているにもかかわらず特定の停止位置において回転板を、上部ケーシングを取り外すだけで固定刃を下部ケーシングに取り付けたままの状態で挿入や取り出しを行なうことができ、回転板とインペラの構造を簡単にし、組立および分解作業を容易にし得る効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
厨芥の投入口に続く破砕室を形成する上部ケーシングと、破砕室の底部に配置し水とともに投入された厨芥を破砕する破砕ハンマーをそなえた回転板と、回転板を囲んで下部ケーシングに取り付けたリング状の固定刃とをそなえ、前記回転板の下面にインペラを設けたディスポーザにおいて、排出室の底面をほぼ水平にして周方向位置の縦断面を同じ形状にして排出口を切線方向に設け、回転板の下面に取り付けたインペラの外側縁を固定刃の下方の空間から排出室内壁近くまで延長させ、この延長部の上端部と固定刃の下端部とで落下する厨芥を切断させるようにしており、停止状態で前記延長部に対応する位置にある固定刃の縦溝を、延長部の形状に合わせて拡大させ、回転板を固定刃の内側に組み立て、または分解するときに、延長部が拡大した縦溝内を通るようにしている。
【実施例】
【0014】
これを図に示す実施例について説明する。
図1は本発明を実施したディスポーザの例を示す断面図で、1は上部ケーシング、2は下部ケーシング、3は破砕室、4は破砕室の底部に配置された回転板で、モータ5の回転軸に連結させている。6は回転板4の上面に取り付けられた破砕ハンマー、7は回転板4を囲んで下部ケーシング2に取り付けられたリング状の固定刃で、図2に示すように多数の縦溝8と刃部9を形成している。10は回転板下方の排出室、11は回転板4の下面に固定させたインペラで、図3に例示するように外側縁を固定刃7の下方から排出室の内壁付近まで延長する延長部12を設けて、排出室のほぼ全面を占める大きさにするとともに、延長部12の上端部を固定刃7の刃部9の下端に接近させている。13は回転板4が停止した状態でそれぞれのインペラ11の延長部12に対応する位置に設けた拡大縦溝で、延長部12が軸方向に通るように深溝に形成しており、図ではインペラを6枚設けた場合を示している。14は排出口、15は排出管である。
【0015】
破砕室3に厨芥を投入し、水を加えながら回転板4をモータ5で回転させると、厨芥は破砕ハンマー6で破砕され、遠心力で外周の固定刃7に導かれて刃部9で細断され縦溝8に沿って排出室10に落下する。なお、破砕ハンマー6はスイングハンマーでも固定ハンマーでもよい。
縦溝8から排出室10に落下する厨芥は、固定刃7の下端で回転するインペラ11の延長部12の上端部に当たって切断され、とくに回転板4の外周と固定刃7との間では細断されなかった枝豆の鞘などの長い繊維質の厨芥を切断して落下させ、排出室10内での絡まりをなくし、延長部12によりインペラ11が排出室10のほぼ全面を占めて回転するため排出室10内の厨芥を円滑に排出口14から排出させる。排出口14は排出室10に直角方向に設けてもよいが、切線方向に設けることが望ましい。
【0016】
なお、インペラ11の数は実施例に示す6個に限られず、その数に応じて拡大縦溝13を設ければよい。また、図3ではインペラ11の延長部12が平板になっており、図2のように拡大縦溝13を深溝にしているが、図4のように補強のため上縁を折り曲げた形状にした場合は、固定刃7の拡大縦溝13の幅も大きくすればよく、このため、刃部9を削って数を減らしても厨芥の処理に影響はない。また、インペラ11を湾曲させた場合は延長部12が斜めに突出するが、延長部を径方向に整形すれば拡大縦溝の幅を大きくしたり傾斜させる必要がなくなる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施例を示すディスポーザの側断面図である。
【図2】固定刃の例を示す上面図である。
【図3】要部の実施例を示す側断面図である。
【図4】インペラ延長部の別の態様を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0018】
1 上部ケーシング
2 下部ケーシング
3 破砕室
4 回転板
5 モータ
6 破砕ハンマー
7 固定刃
8 縦溝
9 刃部
10 排出室
11 インペラ
12 延長部
13 拡大縦溝
14 排出口
15 排出管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
厨芥の投入口に続く破砕室を形成する上部ケーシングと、破砕室の底部に配置し水とともに投入された厨芥を破砕する破砕ハンマーをそなえた回転板と、回転板を囲んで下部ケーシングに取り付けたリング状の固定刃とをそなえ、前記回転板の下面にインペラを設けたディスポーザにおいて、回転板下方の排出室の縦断面を周方向に同じ形状にして排出口を切線方向に設け、回転板の下面に取り付けたインペラを、その外側縁を固定刃の下方から排出室内壁近くまで延長させて、排出室の縦断面のほぼ全面を占める大きさにし、この延長部の上端部を固定刃の下端に接近させて、固定刃の下端と延長部の上面で縦溝から落下する厨芥を切断させるとともに、停止状態で前記インペラの延長部に対応する位置にある固定刃の縦溝を、延長部の上面形状に合わせて拡大縦溝にしたことを特徴とするディスポーザ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−39631(P2009−39631A)
【公開日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−206355(P2007−206355)
【出願日】平成19年8月8日(2007.8.8)
【出願人】(593047552)株式会社フロム工業 (27)
【Fターム(参考)】