説明

デジタルカメラ

【課題】 フラッシュ撮影時に、被写体に及ぼすフラッシュ光と定常光の両方の影響を考慮して、撮影画像データに適正なホワイトバランス補正処理を行う。
【解決手段】 本撮影前に、内蔵フラッシュ11を予備発光させて被写体に係る予備発光画像データを取得するとともに、内蔵フラッシュ11が予備発光していないときに被写体に係る比較画像データを取得し、測光演算部234で予備発光画像データによって規定される第1の輝度値と、比較画像データによって規定される第2の輝度値とを算出し、WB回路207で第1と第2の輝度値を比較して求まる輝度値の変化量、および第1と第2の輝度値とから求まる輝度値に及ぼす予備発光の影響度に基づいて、本撮影時に内蔵フラッシュ11を発光させて取得される撮影画像データにWB補正処理を行う。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、デジタルカメラにおいて取得される撮影画像データに対するホワイトバランス補正処理技術に関する。
【0002】
【従来の技術】デジタルカメラにおいては、被写体の色温度の変化に追従し、ホワイトバランス(WB)が適正となるように、CCDから出力される色信号各色ごとに可変ゲインアンプを設け、RGBの各色の出力が等価となるように補正するホワイトバランス補正(WB補正)が一般的に知られている。
【0003】また、一般に、フラッシュ光の色温度は、昼間の屋外光(昼光)の色温度に近いものとなっており、従来のWB補正においては、昼光の下でフラッシュを用いた撮影(フラッシュ撮影)を行う際には、R信号やB信号に対する可変ゲインアンプのゲイン設定を変更して、昼光の下でWBが適正となる昼光用のWB補正を行っている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、現実の撮影シーンにおいては、周囲の状況などが種々変化するため、フラッシュ光の色温度と、フラッシュ光以外の光(定常光)の色温度とが全く一致することは稀である。例えば、定常光が白熱灯を光源とするものである撮影シーンにおいては、フラッシュ撮影を行い、白熱灯の下でWBが適正となる白熱灯用のWB補正を行うと、被写体までの距離が短くフラッシュ光が十分届く場合は、取得される画像中における被写体は青味を帯びた状態となることが多い。一方、同様な撮影シーンにおいて、フラッシュ光のもとでWBが適正となるフラッシュ用のWB補正を行うと、被写体までの距離が遠くフラッシュ光が十分届かない場合は、取得される画像中のいずれの場所にも適正な色合いのない状態となる。
【0005】つまり、従来のWB補正において、フラッシュ光と定常光の色温度が異なる場合には、被写体の距離に応じて、被写体に及ぼすフラッシュ光と定常光の影響が変化するため、撮影シーンに応じた適正なWB補正を行うことができなかった。
【0006】本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、フラッシュ撮影を行う際に、被写体に及ぼすフラッシュ光と定常光の両方の影響を考慮して、撮影画像データに適正なホワイトバランス補正処理を行うことが可能なデジタルカメラを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するために、請求項1の発明は、本撮影前に発光部を予備発光させて被写体の明るさについての情報を取得することによって、前記本撮影時における前記発光部の発光量を決定するデジタルカメラであって、前記予備発光時において前記被写体に係る予備発光画像データを取得するとともに、前記予備発光時とは異なる照明条件において前記被写体に係る比較画像データを取得する取得手段と、前記予備発光画像データと、前記比較画像データとに基づいて、前記本撮影時において前記発光部を発光させて取得される撮影画像データにホワイトバランス補正処理を行うホワイトバランス補正手段とを備えることを特徴とする。
【0008】また、請求項2の発明は、請求項1に記載のデジタルカメラであって、前記ホワイトバランス補正手段が、前記予備発光画像データによって規定される第1の輝度値と、前記比較画像データによって規定される第2の輝度値とを比較することによって求まる輝度値の変化量に基づいて、前記撮影画像データにホワイトバランス補正処理を行うことを特徴とする。
【0009】また、請求項3の発明は、請求項1に記載のデジタルカメラであって、前記ホワイトバランス補正手段が、前記予備発光画像データによって規定される第1の輝度値と、前記比較画像データによって規定される第2の輝度値とから求まる、輝度値に及ぼす前記予備発光の影響度に基づいて、前記撮影画像データにホワイトバランス補正処理を行うことを特徴とする。
【0010】また、請求項4の発明は、請求項1から請求項3のいずれかに記載のデジタルカメラであって、前記発光部が、前記本撮影前に、複数回予備発光を行い、前記取得手段が、前記複数回の予備発光のそれぞれにおいて前記予備発光画像データを取得することによって、複数の前記予備発光画像データを取得し、前記ホワイトバランス補正手段が、前記複数の予備発光画像データのうち少なくとも1つの前記予備発光画像データと、前記比較画像データとに基づいて、前記本撮影時において前記発光部を発光させて取得される撮影画像データにホワイトバランス補正処理を行うことを特徴とする。
【0011】また、請求項5の発明は、請求項1から請求項4のいずれかに記載のデジタルカメラであって、前記取得手段が、前記本撮影前に、前記発光部を発光させることなく前記比較画像データを取得することを特徴とする。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0013】<デジタルカメラの要部構成>図1、図2および図3は、本発明の実施形態に係るデジタルカメラ1の要部構成を示す図であり、図1は正面図、図2は上面図、図3は背面図に相当する。これらの図は必ずしも三角図法に則っているものではなく、デジタルカメラ1の要部構成を概念的に例示することを主眼としている。
【0014】図2に示すように、デジタルカメラ1は、撮影レンズであるマクロ機能付きレンズ群(以下、単に「レンズ」とも称する)30を含む撮像部3を備えている。また、デジタルカメラ1は、ズーム機能を有しており、ズームリング33を回転させることなどにより、撮影倍率の変更を行うことができる。さらに、デジタルカメラ1は、マクロ切替えレバー34を備えており、マクロ撮影と通常撮影とを切り換えることができる。また、デジタルカメラ1の上面にはシャッターボタン9が設けられている。
【0015】また、デジタルカメラ1の上面には、「撮影モード」と「再生モード」と「通信モード」とを切替設定するモード切替えダイヤル14が設けられている。撮影モードは、写真撮影を行なうモードであり、再生モードは、メモリカード8に記録された撮影画像データを背面LCD10に再生表示するモードである。また、通信モードは、デジタルカメラ1の側面に設けられるUSB端子226を介して、外部のパーソナルコンピュータ225などにデータ転送するモードである。また、デジタルカメラ1の上面には、データパネル36がさらに設けられており、このデータパネル36において各種モードの設定状況等が表示される。
【0016】さらに、デジタルカメラ1の上面には、各種設定を変更するためのダイヤル17が設けられている。
【0017】また、図1に示すように、デジタルカメラ1の右方上部に内蔵フラッシュ11(発光部)が設けられている。デジタルカメラ1では、本撮影前に内蔵フラッシュ11を予備発光させて被写体の明るさについての情報を取得することによって、本撮影時における内蔵フラッシュ11の発光量を決定する予備発光方式が採用されている。また、内蔵フラッシュ11の発光によるフラッシュ光の色温度は、昼間の屋外光(昼光)の色温度とほぼ等価になるように設定されている。予備発光方式による内蔵フラッシュ11の発光量の決定についてはさらに後述する。
【0018】また、デジタルカメラ1の側面上方には、「画像サイズ」と「画質」と「露出モード」と「ドライブモード」と「WB」と「撮影感度」(6項目)の撮影条件および撮影方法を設定および変更するためのファンクションダイヤル15およびファンクションボタン16が設けられており、撮影モードにおいて、ファンクションダイヤル15を回転させて6項目のうちからいずれかの項目を選択し、ファンクションボタン16を押下することによって選択された項目の撮影条件または撮影方法が設定または変更可能な状態となる。そして、ファンクションボタン16の押下状態を維持したまま上述したダイヤル17を回転させることによって、選択された項目の撮影条件または撮影方法を設定または変更することができる。具体的には、「WB」が選択された場合には、「昼光」、「白熱灯」および「フラッシュ光」などといったWB設定の切換をすることができ、撮影によって取得した撮影画像データに対して、被写体を照射している光源に合わせたWB補正処理を実施することができる。
【0019】図3に示すように、デジタルカメラ1の背面左方には、撮影画像のライブビュー表示及び記録画像の再生表示等を行なうための液晶ディスプレイ(背面LCD)10と電子ビューファインダ(EVF)20とが設けられている。この背面LCD10およびEVF20では、カラーで画像表示が行われる。
【0020】デジタルカメラ1の背面右方には、カーソルボタン(十字キー)U、D、L、R、および実行ボタン32を含むコントロールボタン35が設けられており、このコントロールボタン35を用いて各種操作が行われる。また、デジタルカメラ1の背面には、メニューボタン37が設けられている。このメニューボタン37が押下されることにより、各種のメニューが背面LCD10に表示される。
【0021】また、内蔵フラッシュ11は、ポップアップ方式であり、ユーザーが内蔵フラッシュ11を手で上げて、内蔵フラッシュ11をデジタルカメラ1の外部に突出した状態とすると、本撮影時に内蔵フラッシュ11を発光させるフラッシュ撮影が行われる。一方、ユーザーが内蔵フラッシュ11を手で押し下げて、内臓フラッシュ11をデジタルカメラ1の内部に格納した状態とすると、本撮影時に内蔵フラッシュ11を発光させない撮影が行われる。
【0022】また、デジタルカメラ1の背面には、クイックビューボタン38が設けられている。撮影モード下で撮影後にこのクイックビューボタン38が押下されることにより、直近の撮影結果が背面LCD10またはEVF20に表示される(クイックビュー表示)。さらに、その状態からコントロールボタン35の操作とクイックビューボタン38の押下とによって選択した画像の削除を行うことができる。また、撮影後にアフタービューが背面LCD10またはEVF20に表示される場合も同様に、コントロールボタン35の操作とクイックビューボタン38の押下とによって選択した画像の削除を行うことができる。
【0023】また、デジタルカメラ1の背面には、ディスプレイ切替レバー31とビデオ出力端子222とが設けられている。ディスプレイ切替レバー31は、背面LCD10の表示とEVF20の表示との切換等を行うレバーである。ビデオ出力端子222は、外部モニタ223と通信線を介して接続するための端子である。
【0024】デジタルカメラ1の側面には、メモリカード8を挿入して装着できるメモリスロット81が設けられている。
【0025】また、デジタルカメラ1では、モード切替えダイヤル14で撮影モードが選択される場合、背面LCD10にライブビュー画像とともにAFカーソルAKを表示できる構成となっている。このAFカーソルAKは、十字キーU、D、L、Rを操作することによって、背面LCD10内を上下左右に移動できる。そして、AFカーソルAKを中心に設定されるAFエリアについてAF処理が可能となる。
【0026】<デジタルカメラ1の機能ブロック>図4は、デジタルカメラ1の機能ブロック図である。同図において、CCD303は、2560×1920画素を有し、レンズ群30により結像された被写体の光像を、R(赤),G(緑),B(青)の色成分の画像信号(各画素で受光された画素信号の信号列からなる信号)に光電変換して出力する。タイミングジェネレータ314は、CCD303の駆動を制御するための各種のタイミングパルスを生成するものである。
【0027】撮像部3における露出制御は、レンズ駆動部306によるレンズ群30の絞りと、CCD303の露光量、つまり、シャッタスピードに相当するCCD303の電荷蓄積時間を調節して行なわれる。ここで、被写体輝度が低輝度時に適切なシャッタスピードが設定できない場合は、CCD303から出力される画像信号のレベル調整を行なうことにより露光不足による不適正露出が補正される。すなわち、低輝度時は、絞りとシャッタスピードと信号処理回路313のゲイン調整とを組み合わせて露出制御が行なわれることとなる。
【0028】タイミングジェネレータ314は、全体制御部211から送信される基準クロックに基づきCCD303の駆動制御信号を生成するものである。このタイミングジェネレータ314は、例えば積分開始/終了(露出開始/終了)のタイミング信号、各画素の受光信号の読出制御信号(水平同期信号,垂直同期信号,転送信号等)等のクロック信号を生成し、CCD303に出力する。
【0029】信号処理回路313は、CCD303から出力される画像信号(アナログ信号)に所定のアナログ信号処理を施すものである。この信号処理回路313は、CDS(相関二重サンプリング)回路とAGC(オートゲインコントロール)回路とを有し、CDS回路により画像信号のノイズ低減処理を行ない、AGC回路でゲインを調整することにより画像信号のレベル調整を行なう。
【0030】A/D変換器205は、画像信号の各画素信号を8ビットのデジタル信号に変換するものである。A/D変換器205は、タイミング発生回路から入力されるA/D変換用のクロックに基づいて各画素信号(アナログ信号)を8ビットのデジタル信号に変換し、デジタルデータ化された画像データを取得する。
【0031】AF評価値演算部233と測光演算部234は、全体制御部211の一部として機能している。
【0032】AF評価値演算部233は、シャッターボタン9が半押し状態(S1)になった場合に、コントラスト方式のAFを行うための評価値演算動作が行われる。ここでは、A/D変換器205から画像データが入力され、画像データのうち上記のAFエリアに相当するデータに関して、隣接する各画素に関する差分の絶対値の和である評価値が演算される。そして、レンズ群30を駆動し、この評価値の最も高いレンズ位置が合焦位置とされる。これにより、AFエリアに対してレンズ群30を駆動し合焦を行うため、主被写体などを狙ってピントを合わせることができる。なお、デジタルカメラ1では、AFカーソルAKにより合焦位置を指定せず、背面LCD10の画面中央部にAFエリアを設定する撮影モードも備えている。
【0033】測光演算部234では、A/D変換器205から出力される画像データを例えば192(16×12)ブロックに分割し、各ブロックごとに測光データを算出する多分割測光を行うことができる。つまり、測光演算部234は、上述したシャッタースピードの設定、本撮影時の内蔵フラッシュ11の発光量の決定、および後述するWB補正のために、被写体輝度の検出を行う。ここで言う被写体輝度の検出は、撮影待機状態および内蔵フラッシュ11の予備発光時において、CCD303により1/30秒毎に取り込まれる画像データを利用して被写体の明るさを検出したりするものである。なお、被写体輝度検出の具体的処理としては、R,G,Bで与えられる画像データによって規定される各画素ごとの各色成分値(各色成分ごとの輝度値)を画像全体に対して平均して、0から255までの整数値に対応させて被写体輝度値として算出する。
【0034】ここで、予備発光方式による内蔵フラッシュ11の発光量の決定について簡単に説明する。まず、内蔵フラッシュ11の予備発光を行う。ここで発光量の決定のための予備発光とは、本撮影のための発光ではなくフラッシュ発光時における被写体輝度値を求めるための内蔵フラッシュ11の発光であり、本撮影時の発光量より少ない予め設定された所定の発光量(発光時間)だけ内蔵フラッシュ11を1度の本撮影前において1度だけ発光させるものである。
【0035】次に、予備発光のもとにCCD303によって得られた画像データ(予備発光画像データ)から前述のようにして被写体輝度値(第1の輝度値)を算出する。また、予備発光直前において定常光の下にCCD303によって得られた撮影待機状態のライブビューにおける画像データ(比較画像データ)から前述のようにして被写体輝度値(第2の輝度値)を算出し、全体制御部211において、第1と第2の輝度値、予備発光画像データを取得した際の予備発光の発光量、および露出制御値(感度、絞り、シャッタ速度)から本撮影時のフラッシュ発光量を決定する。すなわち、実際の撮影において要求される被写体輝度を得るために必要な本撮影時のフラッシュ発光量を決定するのである。なお、第1の輝度値を用いたWB補正については後述する。
【0036】フラッシュ制御回路214は、内蔵フラッシュ11の発光を制御する回路である。フラッシュ制御回路214は、全体制御部211の制御信号に基づき内蔵フラッシュ11の発光の有無、発光量および発光タイミング等を制御する。
【0037】WB(ホワイトバランス)回路207は、R,G,Bの各色成分の画素データのレベル変換(各色成分値の変換)を行うものである。このWB回路207は、全体制御部211で記憶されるレベル変換テーブルを用いてR,G,Bの各色成分の画素データのレベルを変換する。WB補正については、後で詳述する。また、γ補正回路208は、画素データの階調を補正するものである。
【0038】色変換・色補正回路231は、γ補正回路208から入力される画像データに対して、例えばYCrCb系に色空間を変換し、色再現性を向上させる色補正を行うものである。
【0039】解像度変換部232は、ライブビュー撮影時に、CCD303で取得される画像データを1/8に間引いた画像データ(320×240画素)を生成する。
【0040】画像メモリ209は、CCD303で取得され、上記の画像処理が施された画像データ(静止画像)を一時的に記憶するメモリである。画像メモリ209は、少なくとも数フレーム分の記憶容量を有している。すなわち、画像メモリ209は、CCD303画素数に対応する2560×1920画素分の画素データ数フレーム分の記憶容量を少なくとも有し、各画素データが対応する画素位置に記憶されるようになっている。
【0041】EVF/背面LCD切替部235は、ディスプレイ切替レバー31の設定に基づいて、背面LCD10とEVF20との表示切替えを行う。
【0042】デジタルカメラ1の撮影待機状態では、CCD303により1/30(秒)毎に撮像された画像の各画素信号がA/D変換器205〜解像度変換部232により所定の信号処理を施された後、全体制御部211を介してEVF/LCD切替部235に転送され、背面LCD10やEVF20に表示される(ライブビュー表示)。これにより、ユーザはCCD303で撮像される被写体像を視認することができることとなる。また、再生モードにおいては、メモリカード8から読み出された画像に対して全体制御部211で所定の信号処理が施された後、EVF/LCD切替部235に転送され、背面LCD10やEVF20に再生表示される。
【0043】カードI/F212は、メモリスロット81に装着されるコンピュータ読み取り可能な記録媒体であるメモリカード8への画像データ(本撮影によって取得される撮影画像データ)の読み書きを行なうためのインターフェースである。このメモリカード8への画像データの読み書きでは、圧縮・伸張部236において例えばJPEG方式で画像の圧縮・伸張が行われる。
【0044】また、USBI/F224は、外部のパーソナルコンピュータ225と通信可能にするための、USB規格に準拠した通信用インターフェースである。これらのカードI/F212、USBI/F224を介して、メモリカード8やパーソナルコンピュータ225にセットされるCD−ROMなどの記録媒体に記録されている制御プログラムを、全体制御部211のROM211b内に取り込むことができる。
【0045】操作部250は、上述したシャッターボタン9、ディスプレイ切替レバー31、ファンクションダイヤル15、ファンクションボタン16、ダイヤル17、コントロールボタン35、クイックビューボタン38などの各種ボタン、レバーなどで構成されている。
【0046】シャッターボタン9は、銀塩カメラで採用されているような半押し状態(S1)と押し込んだ状態(S2)とが検出可能な2段階スイッチになっている。撮影待機状態でシャッターボタン9をS1状態にすると、AFのためのレンズ駆動を開始し、AF評価値演算部233で画像のコントラストを評価しながら、コントラストがもっとも高くなるようにレンズを駆動し停止させる。また、フラッシュ撮影においては、撮影待機状態でシャッターボタン9をS1状態にすると、AFのためのレンズ駆動の後に、内蔵フラッシュ11の予備発光が開始される。
【0047】一方、シャッターボタン9をS2状態にすると本撮影が開始し、CCD303で取得され画像処理が施された画像データ(撮影画像データ)が圧縮・伸張部236でデータ圧縮されるとともに、そのサムネイル画像が全体制御部211で生成される。そして、生成された撮影画像データとサムネイル画像データとが、一般的に画像メモリ209に記憶された後に、カードI/F212を介してメモリカード8に画像ファイル化されて記録される。
【0048】また、撮影モード下において、撮影後に、アフタービュー表示またはクイックビュー表示を行う場合には、画像メモリ209に一時的に記憶されている静止画であるサムネイル画像が撮影結果としてEVF/LCD切替部235に転送され、背面LCD10やEVF20に表示される。
【0049】外部モニタI/F221は、EVF/LCD切替部235から転送される画像データを、例えばNTSC方式に信号変換を行うインターフェースであり、ビデオ出力端子222を介して外部モニタ223に画像信号を送信する。
【0050】全体制御部211は、マイクロコンピュータ(CPU)、RAM211aおよびROM211bを有しており、上述したカメラの各部材の駆動を有機的に制御してデジタルカメラ1の動作を統括制御する。また、ROM211bには、後述するWB補正用のゲインの設定値に関する情報などが格納されている。
【0051】<WB補正について>次に、WB補正について説明する。デジタルカメラ1においては、内蔵フラッシュ11を発光させない場合(フラッシュ撮影でない場合)のWB補正と、内蔵フラッシュ11を発光させる場合(フラッシュ撮影の場合)のWB補正とがある。ここでは、WB補正は、測光演算部234によって輝度値を算出した後に、WB回路207において各種演算を行い画像データに対してWB補正処理が行われる。なお、WB回路207における各種演算は、WB回路207内のみで演算するものに限られるものではなく、WB回路207における演算の一部若しくは全部を全体制御部211において行うようなものであっても良い。
【0052】図5に示すように、A/D変換器205から測光演算部234に入力された画像データを、160×160画素分の大きさのブロックで、16×12に分割する。
【0053】次に、これらブロック毎にRGB各色の輝度値を積算し、これをRbij、Gbij、Bbij(1≦i≦12、1≦j≦16)とする。そして、次の式(1)〜(3)に示すように、これらのブロックの合計を演算して、その値を測色評価値Rs、Gs、Bsとする。それから、式(4)に示すように、Rs/Gs、Bs/Gsを求めて、(gr,gb)とする。
【0054】
【数1】


【0055】なお、演算の効率化のため、画像データを所定面積の複数のブロックに分割し各ブロックの代表となる画素のみの合計値をRs,Gs,Bsとしてもよく、所定間隔で画素を間引いた後の画素の合計値をRs,Gs,Bsとしてもよい。
【0056】<フラッシュ撮影でない場合のWB補正>図6において、点510はx−y座標系において座標(gr,gb)に位置する。座標(gr,gb)のx座標の値が大きく、y座標の値が小さいほどBs/Gsに対してRs/Gsが大きくなるため、元の画像は赤みがかっていることとなる。逆に、x座標の値が小さく、y座標の値が大きいほどBs/Gsに対してRs/Gsが小さくなるため、元の画像は青みがかっていることとなる。したがって、原点から45°の角度にて伸びる直線Leに近い点は、ホワイトバランスが整っている画像(自然光にて照明された被写体を撮影した画像)に対応する点となる。
【0057】図6に示すように、予め撮影の際に設定されたWB設定に応じてx−y座標系には領域Ra,Rbが設定されており、領域RaはWB設定が昼光の場合に対応し、領域RbはWB設定が白熱灯の場合に対応する。そして、WB設定に応じて点510の位置が領域Raまたは領域Rbのうち最も近い位置へと変換される。これにより、照明環境や人間の視覚の色順応等を考慮した座標変換が行われる。
【0058】図6において、点511はWB設定が昼光の場合に点510の変換後の位置を示し、点512はWB設定が白熱灯の場合における点510の変換後の位置を示す。そして、変換後の位置の座標(grw,gbw)がWB制御値とされる。なお、点510が変換基準となる領域に含まれる場合には、点510の位置の変換は行われない。
【0059】WB制御値grw,gbwが求められると、R,G,Bのゲインの設定値GX(X=R,G,B)が求められ、本撮影の際のWB設定に応じたWB補正が行われる。なお、WB設定が「フラッシュ光」の場合は、フラッシュ光は一定のものとして設定しているため、WB設定が「フラッシュ光」の場合におけるフラッシュ光用のゲインの設定値は予め一定の値として設定されており、全体制御部211内のROM211b内に各色成分値に対するフラッシュ光用のゲインの設定値(フラッシュ用ゲイン設定値)fGX(X=R,G,B)が格納されている。
【0060】<フラッシュ撮影の場合のWB補正>次に、フラッシュ撮影の場合のWB補正について説明する。なお、ここでは、一例として、被写体を照射している光源が白熱灯である場合を説明する。上述したようにフラッシュ光の色温度が昼光の色温度とほぼ等価になるように設定されているため、ここでは、フラッシュ撮影時には、被写体を照射している光は、白熱灯を光源とする定常光と、フラッシュ光とのミックス光となる。このような場合には、デジタルカメラ1と被写体との距離などによって、被写体に到達するフラッシュ光の光量が変化し、実際に被写体に照射される光のうち定常光とフラッシュ光の占める割合が種々変化することとなる。したがって、ここでは、単にWB設定を「白熱灯」とした場合のWB補正、またはWB設定を「フラッシュ光」とした場合のWB補正を行ったのでは、撮影画像データに適正なWB補正処理を行うことができない。
【0061】そこで、デジタルカメラ1においては、定常光に合わせてWB設定を「白熱灯」としてフラッシュ撮影を行うと、以下に説明するフラッシュ撮影の場合のWB補正が行われることによって、被写体に及ぼすフラッシュ光と定常光の両方の影響を考慮して、撮影画像データに適正なWB補正処理を行うことができる。
【0062】図7および図8は、デジタルカメラ1のフラッシュ撮影動作を示すフローチャートである。
【0063】モード切替えダイヤル14を操作することによって、撮影モードとして撮影待機状態となった後に、ファンクションダイヤル15、ファンクションボタン16、およびダイヤル17を操作することによって、WB設定を「白熱灯」に設定し、内蔵フラッシュ11を手で上げて、内蔵フラッシュ11をデジタルカメラ1の外部に突出した状態とし、フラッシュ発光させることを設定するとステップS1に進む。
【0064】ステップS1では、ユーザーの操作によってシャッターボタン9が半押し状態(S1)になったか否かを全体制御部211において判別する。そして、S1状態となるまでステップS1の判別動作を繰り返し、S1状態となるとステップS2に進む。
【0065】ステップS2では、AF評価値演算部233においてコントラスト方式のAFを行い、AFエリアに対してレンズ群30を駆動して合焦を行い、ステップS3に進む。
【0066】ステップS3では、定常光の下において、CCD303によって、画像データを比較画像データとして取得し、ステップS3に進む。つまり、ここでは、本撮影前に、上記の予備発光時とは異なる照明条件として、内蔵フラッシュ11を発光させない状態で被写体に係る比較画像データを取得する。
【0067】ステップS4では、測光演算部234において、比較画像データの各色成分値に基づいて被写体輝度値(第2の輝度値)Y0を算出するとともに、WB回路207において、WB設定が「白熱灯」の場合に対応した各色成分値に対するWB補正用のゲインの設定値(定常光用ゲイン設定値)GX(X=R,G,B)を算出し、被写体輝度値Y0と定常光用ゲイン設定値GX(X=R,G,B)をRAM211aに一時記憶し、ステップS5に進む。なお、ここでは、比較画像データによって規定される第2の輝度値Y0を算出している。
【0068】ステップS5では、内蔵フラッシュ11を予備発光させて、フラッシュ光を被写体に照射してCCD303によって画像データを予備発光画像データとして取得し、ステップS6に進む。つまり、ここでは、予備発光時において被写体に係る予備発光画像データを取得している。
【0069】ステップS6では、測光演算部234において、予備発光画像データの各色成分値に基づいて被写体輝度値(第1の輝度値)Y1を算出し、被写体輝度値Y1をRAM211aに一時記憶し、ステップS7に進む。つまり、ここでは、撮影画像データによって規定される第1の輝度値Y1を算出する。
【0070】ステップS7では、ステップS4およびステップS6において算出された第1および第2の輝度値Y1,Y0などに基づいて、全体制御部211において、本撮影時における内蔵フラッシュ11の発光量を決定し、ステップS8に進む。
【0071】ステップS8では、ステップS4およびステップS6において算出した第1および第2の輝度値Y1,Y0に基づいて、予備発光による被写体輝度値の変化量Ypreを次の式(5)にしたがって算出するとともに、予備発光が被写体輝度値に及ぼす影響度Yfを次の式(6)にしたがって算出し、ステップS9に進む。
【0072】
Ypre=Y1−Y0 ・・・(5)
Yf=(Y1−Y0)/Y0 ・・・(6)
つまり、ここでは、第1の輝度値Y1と第2の輝度値Y0とを比較することによって被写体輝度値の変化量Ypreを求めるとともに、第1の輝度値Y1と第2の輝度値Y0とから被写体輝度値に及ぼす予備発光の影響度Yfを求めている。
【0073】ステップS9では、予備発光による被写体輝度値の変化量が10階調以上であるか否かについて判別する。そして、予備発光による被写体輝度値の変化量が10階調以上である場合は、ステップS13に進み、予備発光による被写体輝度値の変化量が10階調未満である場合は、ステップS10に進む。
【0074】ここでは、ステップS8において算出された被写体輝度値の変化量Ypreが10階調以上と十分大きなときには、ステップS8において算出した被写体輝度値に及ぼす影響度Yfも考慮して、各色成分値に対するWB補正用のゲインの設定値GwbX(X=R,G,B)を設定すべくステップS13に進む。
【0075】一方、予備発光による被写体輝度値の変化量Ypreが10階調未満と非常に小さなときには、■内蔵フラッシュ11の発光量に対して、デジタルカメラ1と主被写体までの距離が遠いため、フラッシュ光が主被写体まで届かず、フラッシュ光に基づく反射光がほとんど返ってこない。■撮影倍率が低いために撮影対象となる領域内を占める主被写体の面積が小さいため、フラッシュ光に基づく反射光が微小である。■主被写体が反射率の低い物体(反射率の低い衣服を身につけている場合など)であるため、フラッシュ光に基づく反射光が微小である。の3つの状況にあることが予想される。
【0076】そして、上述した■の状況では、主被写体に照射されるフラッシュ光の光量は、主被写体に照射される定常光の光量よりも極めて小さくなる。このような場合には、主被写体を照射している光は定常光とフラッシュ光とのミックス光というよりも定常光とほぼ等価であるとみなすことができるため、ステップS4において算出された定常光用ゲイン設定値GX(X=R,G,B)にしたがったWB補正を行うことが適当となる。また、上述した■、■の状況では、撮影対象となる領域全体に合わせたWB補正である、ステップS4において算出された定常光用ゲイン設定値GX(X=R,G,B)にしたがったWB補正を優先させた方が無難であるが、フラッシュ光が主被写体に届くときには、主被写体へのフラッシュ光の被りを考慮してWB補正を行うことが好ましい。
【0077】そこで、ここでは、被写体輝度値の変化量Ypreが10階調未満である場合は、上述した■から■のいずれの状況にあるのかを確かめるため、内蔵フラッシュ11の発光量をステップS5における予備発光よりも大きくして、再度予備発光させ、フラッシュ光が照射されている被写体に係る画像データを再度取得して、予備発光による被写体輝度値の変化量Ypreと、予備発光が被写体輝度値に及ぼす影響度Yfとを再度算出すべくステップS10に進む。
【0078】ステップS10では、内蔵フラッシュ11を再度予備発光させて、フラッシュ光を被写体に照射して画像データを予備発光画像データとして取得し、ステップS11に進む。つまり、ここでは、本撮影前に内蔵フラッシュ11が2回予備発光を行い、2回の予備発光のそれぞれにおいて予備発光画像データを取得することによって、複数の予備発光画像データを取得していることとなる。なお、内蔵フラッシュ11を発光させるためには電荷を蓄積させるために相当な充電時間を要する。したがって、シャッターチャンスを逃さないために、再度の予備発光における発光量は、本発光の発光量が低下しない範囲で、ステップS5における発光量よりも大きくするものとする。
【0079】ステップS11では、測光演算部234において、ステップS10において取得した予備発光画像データの各色成分値に基づいて被写体輝度値(第1の輝度値)Y1を再度算出し、第1の輝度値Y1をRAM211aに一時記憶し、ステップS12に進む。
【0080】ステップS12では、ステップS4およびステップS11において算出した第1および第2の輝度値Y1,Y0に基づいて、予備発光による被写体輝度値の変化量Ypreを式(5)にしたがって算出するとともに、予備発光が被写体輝度値に及ぼす影響度Yfを式(6)にしたがって算出し、ステップS13に進む。つまり、ここでは、ステップS5およびステップS10において取得された2つの予備発光画像データのうち、ステップS10において取得された予備発光画像データによって規定される第1の輝度値Y1と、ステップS4において取得された比較画像データによって規定される第2の輝度値Y0とを比較することによって被写体輝度値の変化量Ypreを求めるとともに、第1の輝度値Y1と第2の輝度値Y0とから予備発光画像データの被写体輝度値に及ぼす予備発光の影響度Yfを求めている。
【0081】なお、ここでは、ステップS8において算出された被写体輝度値の変化量Ypreよりも、ステップS12において算出された被写体輝度値の変化量Ypreの方が大きくなっている場合は、上述した■または■の状況にあるものの、フラッシュ光が主被写体に届いているものと推測され、ステップS12において算出した被写体輝度値の変化量Ypre、および被写体輝度値に及ぼす影響度Yfを考慮して、WB補正用のゲインの設定値GwbX(X=R,G,B)を設定すべくステップS13に進む。
【0082】したがって、ここでは、ステップS5およびステップS10における予備発光をそれぞれ第1および第2の予備発光と定義すると、時間的に連続する第1と第2の予備発光について、第1の予備発光時の発光量よりも、第2の予備発光時の発光量を大きくすることによって、撮影画像データのWB補正処理の適正化に対する信頼性を向上させることができる。
【0083】ステップS13では、ステップS9から進んできた場合は、ステップS9において算出した被写体輝度値の変化量Ypreと被写体輝度値に及ぼす影響度Yfとに基づいてWB補正用のゲインの設定値GwbX(X=R,G,B)を設定し、図8のステップS21に進む。また、ステップS12から進んできた場合は、ステップS12において算出した被写体輝度値の変化量Ypreと被写体輝度値に及ぼす影響度Yfとに基づいてWB補正用のゲインの設定値GwbX(X=R,G,B)を設定し、図8のステップS21に進む。
【0084】ステップS13におけるWB補正用のゲインの設定値GwbX(X=R,G,B)の設定については、具体的には、カメラ制御部211のROM211bに格納された情報によって規定される図9に示す表にしたがって、被写体輝度値の変化量Ypreと被写体輝度値に及ぼす予備発光の影響度Yfとによりm,nの値の組合せを求め、求めたm,nの値と、ROM211b内に格納されたフラッシュ用ゲイン設定値fGX(X=R,G,B)と、ステップS4において算出された定常光用ゲイン設定値GX(X=R,G,B)とを次の式(7)に代入する演算を行うことによって、最終的なWB補正用のゲインの設定値GwbX(X=R,G,B)を算出して設定する。
【0085】
GwbX=m・GX+n・fGX (X=R,G,B) ・・・(7)
ここでは、被写体輝度値の変化量Ypre、および被写体輝度値に及ぼす予備発光の影響度Yfに基づいて、被写体に照射されているミックス光を占める定常光およびフラッシュ光の割合を推定することができ、この割合に基づいて最終的な各色成分値に対するWB補正用のゲインの設定値GwbX(X=R,G,B)を算出すべく、図9に示す被写体輝度値の変化量Ypreと、被写体輝度値に及ぼす予備発光の影響度Yfと、m,nの値の組合せとの関係が設定されている。つまり、被写体輝度値の変化量Ypre、および被写体輝度値に及ぼす予備発光の影響度Yfに基づいて、最終的な各色成分値に対するWB補正用のゲインの設定値GwbX(X=R,G,B)を算出している。
【0086】そして、例えば、被写体輝度値に及ぼす影響度Yfが0.3以上と大きい場合は、周囲が極めて暗い場合や、主被写体までの距離が短い場合であり、主被写体に照射されているミックス光におけるフラッシュ光の占める割合が大きいため、式(7)において、定常光用ゲイン設定値GX(X=R,G,B)の係数であるmの値を0とし、フラッシュ用ゲイン設定値fGX(X=R,G,B)の係数であるnの値を1とすることによって、最終的な各色成分値に対するWB補正用のゲインの設定値GwbX(X=R,G,B)は、フラッシュ用ゲイン設定値fGX(X=R,G,B)と等価となる。
【0087】一方、被写体輝度値の変化量Ypreが20階調未満であり、被写体輝度値に及ぼす予備発光の影響度Yfが0.1未満である場合には、被写体輝度値の変化量Ypreが微小もしくは検出されない状態であり、上述した■から■の状況のいずれかに該当し、被写体に照射されているミックス光における定常光の占める割合が大きいため、式(7)において、定常光用ゲイン設定値GX(X=R,G,B)の係数であるmの値を1とし、フラッシュ用ゲイン設定値fGX(X=R,G,B)の係数であるnの値を0とすることによって、最終的な各色成分値に対するWB補正用のゲインの設定値GwbX(X=R,G,B)は、定常光用ゲイン設定値GX(X=R,G,B)と等価となる。
【0088】図8に戻って説明を続ける。
【0089】ステップS21では、ユーザーの操作によってシャッターボタン9が全押し状態(S2)になったか否かを全体制御部211において判別する。そして、S2状態となるまでステップS21の判別動作を繰り返し、S2状態となるとステップS22に進む。
【0090】ステップS22では、全体制御部211の制御の下で、内蔵フラッシュ11を発光させて本撮影を行い、撮影画像データを取得し、ステップS23に進む。
【0091】ステップS23では、ステップS13で設定された各色成分値に対するWB補正用のゲインの設定値GwbX(X=R,G,B)に基づいて、撮影画像データにWB補正処理を行うとともに、撮影画像データに対するγ補正などの各種処理を行い、ステップS24に進む。したがって、ここでは、予備発光画像データと、比較画像データとに基づいて、本撮影時において内蔵フラッシュ11を発光させて取得される撮影画像データにWB補正処理を行っている。具体的には、被写体輝度値の変化量Ypreと、被写体輝度値に及ぼす予備発光の影響度Yfとに基づいて、本撮影時において内蔵フラッシュ11を発光させて取得される撮影画像データにWB補正処理を行っている。
【0092】ステップS24では、圧縮・伸張部236において撮影画像データを圧縮処理し、圧縮処理された撮影画像データをメモリカード8に記録し、フラッシュ撮影動作を終了する。
【0093】以上のように、本撮影前の予備発光時において取得される被写体に係る予備発光画像データによって規定される第1の輝度値と、予備発光時とは異なる照明条件において取得される被写体に係る比較画像データによって規定される第2の輝度値とから求まる、輝度値の変化量と輝度値に及ぼす予備発光の影響度とに基づいて、本撮影時に内蔵フラッシュ11を発光させて取得される撮影画像データにWB補正処理を行うことによって、フラッシュ撮影を行う際に、被写体に対するフラッシュ光と定常光の両方の影響を考慮して、撮影画像データに適正なWB補正処理を行うことができる。
【0094】また、本撮影前に、複数回予備発光させて予備発光画像データを複数取得し、複数の予備発光画像データのうち少なくとも1つの予備発光画像データによって規定される第1の輝度値と、比較画像データによって規定される第2の輝度値とに基づいて撮影画像データにWB補正処理を行うことによって、撮影画像データのWB補正処理の適正化に対する信頼性を向上させることができる。
【0095】また、本撮影前に、比較画像データを定常光のもとで取得することによって、定常光に照射された被写体の被写体輝度値Y0を直接的かつ容易に求めることができるため、撮影画像データのWB補正処理を効率良く実施できる。
【0096】<変形例>以上、この発明の実施形態について説明したが、この発明は上記説明した内容のものに限定されるものではない。
【0097】◎例えば、上述した実施形態では、第1および第2の輝度値Y1,Y0を、R,G,Bで与えられる画像データによって規定される各画素ごとの各色成分値に基づいて算出していたが、これに限られるものではなく、Gのみで与えられる画像データによって規定される各画素ごとのG色成分値に基づいて算出するようなものであっても良い。このような構成とすることで撮影画像データのWB補正処理を効率良く実施できる。
【0098】◎また、上述した実施形態では、本撮影前に、比較画像データを取得した後に、予備発光画像データを取得したが、これに限られるものではなく、本撮影前に、予備発光画像データを取得した後に、比較画像データを取得するようなものであっても良いし、複数の予備発光画像データを取得する際には、複数の予備発光画像データの取得タイミングの合間に比較画像データを取得するようなものであっても良い。
【0099】◎また、上述した実施形態では、WB設定には、「昼光」、「白熱灯」、「フラッシュ光」の3種類しかなかったが、これに限られるものではなく、曇り空の際の撮影に合わせたWB設定である「曇り空」や、自然光下での撮影全般に合わせたWB設定である「オートWB」などを設けたものであっても良い。
【0100】◎また、上述した実施形態では、フラッシュ撮影時の定常光が白熱灯を光源とするものであったが、これに限られるものではなく、フラッシュ撮影時の定常光が昼光や曇り空などを光源とするものであっても良い。
【0101】◎また、上述した実施形態では、フラッシュ撮影時において、2つの予備発光画像データを取得した場合に、被写体輝度値の変化量Ypre、および被写体輝度値に及ぼす予備発光の影響度Yfを求めるために、2つの予備発光画像データのうち1つの予備発光画像データしか用いていなかったが、これに限られるものではなく、被写体輝度値の変化量Ypre、および被写体輝度値に及ぼす予備発光の影響度Yfを求めるために、2つの予備発光画像データを用いるようなものであっても良い。このような構成とすることによって、撮影画像データのWB補正処理の適正化に対する信頼性をさらに向上させることができる。
【0102】◎また、上述した実施形態では、フラッシュ撮影時において、2つの予備発光画像データしか取得していなかったが、これに限られるものではなく、3つ以上の複数の予備発光画像データを取得するようなものであっても良い。このような構成とすることによって、撮影画像データのWB補正処理の適正化に対する信頼性をさらに向上させることができるが、ユーザーによるシャッターボタン9の押下から本撮影までのタイムラグを考慮すると、予備発光画像データの取得数はなるべく少なくする方が有利である。
【0103】◎また、上述した実施形態においては、比較画像データは定常光下で取得されたものであったが、これに限られるものではなく、一般に、予備発光を行って予備発光画像データを取得した際とは異なる照明条件において取得すれば良い。例えば、予備発光画像データの取得時の内蔵フラッシュ11の発光量とは異なる発光量で内蔵フラッシュ11を発光させた際に比較画像データを取得し、比較画像データによって規定される被写体輝度値と、予備発光画像データによって規定される被写体輝度値とから、定常光に照射された被写体の被写体輝度値を推定しても良い。
【0104】◎また、上述した実施形態においては、図9に示したように被写体輝度値の変化量Ypre、および被写体輝度値に及ぼす予備発光の影響度Yfをそれぞれ4段階に分けて、被写体輝度値の変化量Ypreと、被写体輝度値に及ぼす予備発光の影響度Yfと、m,nの値の組合せとの関係を設定していたが、これに限られるものではなく、被写体輝度値の変化量Ypre、および被写体輝度値に及ぼす予備発光の影響度Yfをそれぞれ5段階以上に分けて、被写体輝度値の変化量Ypreと、被写体輝度値に及ぼす予備発光の影響度Yfと、m,nの値の組合せとの関係を設定しても良い。
【0105】◎上述した具体的実施形態には以下の構成を有する発明が含まれている。
【0106】(1)請求項4または請求項5に記載の画像処理装置であって、前記発光部が、前記本撮影前に、時間的に連続する第1と第2の予備発光を含む前記複数回の予備発光を行い、前記第1の予備発光時の発光量よりも、前記第2の予備発光時の発光量を大きくすることを特徴とするデジタルカメラ。
【0107】(1)の発明によれば、時間的に連続する第1と第2の予備発光について、第1の予備発光時の発光量よりも、第2の予備発光時の発光量を大きくすることによって、撮影画像データのホワイトバランス補正処理の適正化に対する信頼性を向上させることができる。
【0108】
【発明の効果】以上のように、請求項1の発明によれば、本撮影前の本発光量を決定するための予備発光時において取得される被写体に係る予備発光画像データと、その予備発光時とは異なる照明条件で取得される被写体に係る比較画像データとに基づいて、本撮影時に発光部を発光させて取得される撮影画像データにWB補正処理を行うことによって、フラッシュ撮影を行う際に、被写体に及ぼすフラッシュ光と定常光の両方の影響を考慮して、撮影画像データに適正なWB補正処理を行うことができる。
【0109】また、請求項2の発明によれば、予備発光時において取得した予備発光画像データによって規定される第1の輝度値と、その予備発光時とは異なる照明条件で取得した比較画像データによって規定される第2の輝度値とを比較することによって求まる輝度値の変化量に基づいて、撮影画像データに対するWB補正処理を行うことによって、フラッシュ撮影を行う際に、被写体に及ぼすフラッシュ光と定常光の両方の影響を考慮して、撮影画像データに適正なWB補正処理を行うことができる。
【0110】また、請求項3の発明によれば、予備発光時において取得した予備発光画像データによって規定される第1の輝度値と、その予備発光時とは異なる照明条件で取得した比較画像データによって規定される第2の輝度値とから求まる、輝度値に及ぼす予備発光の影響度に基づいて、被写体に及ぼすフラッシュ光と定常光の両方の影響を考慮して、撮影画像データに適正なWB処理を行うことができる。
【0111】また、請求項4の発明によれば、本撮影前に、複数回予備発光させて予備発光画像データを複数取得し、複数の予備発光画像データのうち少なくとも1つの予備発光画像データと、比較画像データとに基づいて撮影画像データにWB補正処理を行うことによって、撮影画像データのWB補正処理の適正化に対する信頼性を向上させることができる。
【0112】また、請求項5の発明によれば、本撮影前に、比較画像データを定常光のもとで取得することによって、撮影画像データのWB補正処理を効率良く実施できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係るデジタルカメラ1の要部構成を示す正面図である。
【図2】デジタルカメラ1の要部構成を示す上面図である。
【図3】デジタルカメラ1の要部構成を示す背面図である。
【図4】デジタルカメラ1の機能ブロック図である。
【図5】デジタルカメラ1のホワイトバランス補正を説明する図である。
【図6】デジタルカメラ1のホワイトバランス補正を説明する図である。
【図7】デジタルカメラ1のフラッシュ撮影動作を示すフローチャートである。
【図8】デジタルカメラ1のフラッシュ撮影動作を示すフローチャートである。
【図9】被写体輝度値の変化量Ypreと被写体輝度値に及ぼす予備発光の影響度Yfとm,nの値の組合せとの関係を示す図である。
【符号の説明】
1 デジタルカメラ
3 撮像部
11 内蔵フラッシュ(発光部)
207 WB回路(ホワイトバランス補正手段)
211 全体制御部
214 フラッシュ制御回路
234 測光演算部
303 CCD(取得手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】 本撮影前に発光部を予備発光させて被写体の明るさについての情報を取得することによって、前記本撮影時における前記発光部の発光量を決定するデジタルカメラであって、前記予備発光時において前記被写体に係る予備発光画像データを取得するとともに、前記予備発光時とは異なる照明条件において前記被写体に係る比較画像データを取得する取得手段と、前記予備発光画像データと、前記比較画像データとに基づいて、前記本撮影時において前記発光部を発光させて取得される撮影画像データにホワイトバランス補正処理を行うホワイトバランス補正手段と、を備えることを特徴とするデジタルカメラ。
【請求項2】 請求項1に記載のデジタルカメラであって、前記ホワイトバランス補正手段が、前記予備発光画像データによって規定される第1の輝度値と、前記比較画像データによって規定される第2の輝度値とを比較することによって求まる輝度値の変化量に基づいて、前記撮影画像データにホワイトバランス補正処理を行うことを特徴とするデジタルカメラ。
【請求項3】 請求項1に記載のデジタルカメラであって、前記ホワイトバランス補正手段が、前記予備発光画像データによって規定される第1の輝度値と、前記比較画像データによって規定される第2の輝度値とから求まる、輝度値に及ぼす前記予備発光の影響度に基づいて、前記撮影画像データにホワイトバランス補正処理を行うことを特徴とするデジタルカメラ。
【請求項4】 請求項1から請求項3のいずれかに記載のデジタルカメラであって、前記発光部が、前記本撮影前に、複数回予備発光を行い、前記取得手段が、前記複数回の予備発光のそれぞれにおいて前記予備発光画像データを取得することによって、複数の前記予備発光画像データを取得し、前記ホワイトバランス補正手段が、前記複数の予備発光画像データのうち少なくとも1つの前記予備発光画像データと、前記比較画像データとに基づいて、前記本撮影時において前記発光部を発光させて取得される撮影画像データにホワイトバランス補正処理を行うことを特徴とするデジタルカメラ。
【請求項5】 請求項1から請求項4のいずれかに記載のデジタルカメラであって、前記取得手段が、前記本撮影前に、前記発光部を発光させることなく前記比較画像データを取得することを特徴とするデジタルカメラ。

【図1】
image rotate


【図2】
image rotate


【図3】
image rotate


【図4】
image rotate


【図5】
image rotate


【図6】
image rotate


【図7】
image rotate


【図8】
image rotate


【図9】
image rotate


【公開番号】特開2003−309854(P2003−309854A)
【公開日】平成15年10月31日(2003.10.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2002−114352(P2002−114352)
【出願日】平成14年4月17日(2002.4.17)
【出願人】(000006079)ミノルタ株式会社 (155)
【Fターム(参考)】