デジタルカメラ
【課題】記録する画像の解像度に従い、無駄なく効果的に圧縮画像データを記録する。
【解決手段】ハイパスフィルタ37を有する高周波成分検出器36と、第1サンプリング処理回路38A、第2サンプリング処理回路38Bを設ける。色差データU、Vの高周波成分が多い場合、輝度、色差データY、U、Vを、第2サンプリング処理回路38Bにおいて、4:2:2のサンプリング周波数比に従ってサンプリングする。一方、色差データU,Vの高周波成分が少ない場合、輝度、色差データY、U、Vを、第1サンプリング処理回路38Aにおいて、4:2:0のサンプリング周波数比に従ってサンプリングする。
【解決手段】ハイパスフィルタ37を有する高周波成分検出器36と、第1サンプリング処理回路38A、第2サンプリング処理回路38Bを設ける。色差データU、Vの高周波成分が多い場合、輝度、色差データY、U、Vを、第2サンプリング処理回路38Bにおいて、4:2:2のサンプリング周波数比に従ってサンプリングする。一方、色差データU,Vの高周波成分が少ない場合、輝度、色差データY、U、Vを、第1サンプリング処理回路38Aにおいて、4:2:0のサンプリング周波数比に従ってサンプリングする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像データを記録するデジタルカメラに関し、特に、画像データの圧縮処理に関する。
【背景技術】
【0002】
画像データを記録する場合、JPEGに準拠した圧縮処理が行われる。具体的には、輝度、色差データをあらかじめ定められたサンプリング周波数によってサンプリング処理し、その後、DCT変換処理、ハフマン符号化処理を実行して圧縮画像データを生成する。圧縮率を高める方法として、例えば、低解像度の画像に対してサンプリング周波数を高くする一方、高解像度の画像に対してサンプリング周波数を低くする(特許文献1)。プリントシステムにおける解像度を調整するため、画素補間された画像データに関し、ラプラシアンフィルタを用いて元画像データの解像度を予測し、輝度、色差データのサンプリング周波数の比率を設定する。
【特許文献1】特開2003−274190号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
カメラにおける記録処理では、カメラに適した効果的な高圧縮処理を行う必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明のデジタルカメラは、画像の解像度に応じて圧縮処理を行うデジタルカメラであり、撮像素子から読み出される画像信号に基づいて、輝度、色差データを生成する信号処理手段と、所定のサンプリング周波数の比によって輝度、色差データをサンプリング処理するサンプリング処理手段と、サンプリング処理された輝度、色差データを圧縮処理する圧縮処理手段とを備える。画像データのフォーマットは任意であり、圧縮処理の方式も任意である。例えば、JPEGに準拠した圧縮処理を行えばよく、サンプリング周波数は、ビデオ規格などで定められた周波数を選択的に設定すればよい。
【0005】
本発明のデジタルカメラは、色差データの高周波成分を検出する高周波成分検出手段を備える。そして、サンプリング処理手段が、色差データの高周波成分が少ない場合、色差データのサンプリング周波数を高周波成分が多い場合に比べて低くすることを特徴とする。ここで高周波成分が少ないとは、画像データの中での高周波成分が相対的に少ないことを意味し、例えば高周波成分の割合が所定の割合より低い場合、あるいはラプラシアンなどの演算によって検出される高周波成分の総和が所定値を超えない場合などを高周波成分の少ない状態と定めればよい。サンプリング処理手段は、例えば、標準的なデジタルビデオ規格として定められたサンプリング周波数の比4:2:2もしくは4:2:0のいずれかを選択的に設定するように構成すればよく、色差データの高周波成分が少ない場合、輝度、色差データのサンプリング周波数比を4:2:0に定め、色差データの高周波成分が多い場合、輝度、色差データのサンプリング周波数比を4:2:2に定めればよい。
【0006】
画像の解像度が低い場合、隣接する画素間で同一、またはそれに近い画素データで構成される。特に、色相よりも輝度に対して人間の視覚が反応性を持っていることから、色差データを抽出する程度を落としても、解像度に影響しない。したがって、必要な画像データに対してのみ圧縮処理が行われ、効果的に画像データが圧縮される。また、色差データのみに注目して高周波成分を検出し、サンプリング周波数の値を調整するだけの簡素な構成であるため、画像データの記録処理時間にほとんど影響を与えない。
【0007】
高周波成分の検出方法は任意であるが、例えば、ハイパスフィルタなどを用い、色差データをラプラシアン演算することによって色差データの高周波成分を検出してもよい。あるいは、DCT方式による圧縮処理を行う場合、輝度、色差データをDCT変換した画像データでは、低周波成分と高周波成分が分かれている。したがって、圧縮処理機能を利用し、DCT変換されたデータに基づいて高周波成分を検出してもよい。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、記録する画像の解像度に従い、無駄なく効果的に圧縮画像データを記録することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下では、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
【0010】
図1は、デジタルスチルカメラのブロック図である。
【0011】
デジタルカメラ10は、デジタル画像を記録可能なカメラであり、電源用メインボタン(図示せず)の操作によってカメラに電源が供給されると、撮影可能状態となる。CPU、RAM、ROM(図示せず)を含むシステムコントロール回路28は、デジタルカメラ10の動作を制御し、レリーズボタン(図示せず)の操作によって、レリーズ半押しスイッチ、レリーズ全押しスイッチ(図示せず)などのスイッチが切り替わり、システムコントロール回路50によって検出される。ROMには、カメラ動作を制御処理するプログラムがあらかじめ格納されている。
【0012】
デジタルカメラ10にはLCD26がカメラ背面に設けられており、被写体を動画像として表示するための動画処理が実行可能である。被写体からの反射光が撮影光学系12を通って被写体像がCCD14の受光面に結像されると、被写体像に応じたアナログ画像信号が発生する。CCD14には、赤(R)、緑(G)、青(B)の三原色の色要素をベイヤー配列した色フィルタ(図示せず)が受光面と向き合うように配設されており、各色要素に応じた画素信号から構成される画像信号が発生する。
【0013】
CCD14から読み出された一連の画像信号は、CDS、ADC回路16を介して信号処理回路18へ送られる。信号処理回路18では、画像信号がデジタル化され、ホワイトバランス、ガンマ補正処理などの様々な信号処理がデジタル画像信号に対して施される。処理されたデジタル画像信号がLCDドライバ24へ送られると、LCDドライバ24は、デジタル画像信号に基づいてLCD26を制御する。これにより、被写体像がLCD26に動画像として表示される。
【0014】
被写体を撮影する、すなわち画像データを記録するためにレリーズボタンが半押しされると、AF動作が実行されるとともに露出値が演算される。さらにレリーズボタンが全押しされると、シャッタ(図示せず)が所定期間開き、露出動作が実行される。
【0015】
被写体像に応じた1フレーム分の画像信号がCCD14から読み出され、信号処理回路18において画像信号が処理されるとともに、圧縮処理が施される。圧縮された画像データは、メモリカード20に記録される。
【0016】
図2は、信号処理回路18のブロック図である。
【0017】
信号処理回路18は、画像処理回路32、マトリクス回路34、高周波成分検出器36、サンプリング回路38、圧縮回路40とを備える。画像処理回路32では、ホワイトバランス調整、ガンマ補正処理などが施され、赤(R)、緑(G)、青(B)の色信号から成るデジタル画像信号が、画像データとしてマトリクス回路34へ送られる。
【0018】
マトリクス回路34では、以下の式に基づき、R、G、Bの画像信号(画像データ)が輝度信号Y、色差信号U、Vに変換される。
Y=0.299R+0.5870G+0.1140B
U=―0.1684R−0.3316G+0.5000B
V=0.5000R−0.4187G−0.0813B
【0019】
輝度、色差信号Y、U、Vは、サンプリング回路38へ送られ、また、色差信号U,Vが高周波成分検出器36へ送られる。高周波成分検出器36は、ハイパスフィルタ37、スイッチ39、判別器41とを備え、ハイパスフィルタ37では、色差信号U、Vの高周波成分が抽出され、1フレーム分の画像信号における高周波成分が検出される。ハイパスフィルタ37は、ここではラプラシアンフィルタであり、ラプラシアン演算の絶対値の総和が求められる。
【0020】
判別器41では、ラプラシアン演算により求められた絶対値の総和が所定値を超えているか否か判断する。所定値は、高周波成分であるか否かを規定する値であり、ラプラシアン演算方式に従って定められる。スイッチ39は、輝度、色差信号Y、U、Vを、選択的にサンプリング回路38の第1サンプリング処理回路38A、第2サンプリング処理回路38Bどちらか一方へ出力させる。
【0021】
ラプラシアン演算により求められた絶対値の総和が所定値を超えていない、すなわち高周波成分が少ない低い場合、スイッチ39は、輝度、色差信号Y、U、Vを第2サンプリング処理回路38Bへ出力させるように切り替わる。一方、絶対値の総和が所定値を超えている、すなわち高周波成分が多い場合、スイッチ39は、輝度、色差信号Y、U、Vを第1サンプリング処理回路38Aへ出力させるように切り替わる。
【0022】
第1サンプリング処理回路38Aもしくは第2サンプリング処理回路38Bにおいてサンプリング処理された輝度、色差データY、U、Vは、圧縮回路40において圧縮処理される。すなわち、輝度、色差データY、U、Vに対してDCT変換、量子化、ハフマン符号化などの処理が施される。圧縮画像データは、デジタルカメラ10に着脱自在なメモリカード20に記録される。
【0023】
図3は、輝度、色差信号Y、U、Vのサンプリング周波数の比を示した図である。
【0024】
図3に示すように、第2サンプリング処理回路38Bでは、4:2:0のサンプリング周波数比によって輝度、色差信号Y、U、Vがサンプリングされ、第1サンプリング処理回路38Aでは、4:2:2のサンプリング周波数比によって輝度、色差信号Y、U、Vがサンプリングされる。第2サンプリング処理回路38Bにおける色差データのサンプリング周波数は、第1サンプリング処理回路38Aに比べて低い。すなわち、圧縮すべき色差データU、Vのデータ量が少なくなる。したがって、第2サンプリング処理回路38Bによってサンプリングされた輝度、色差データY、U、Vの圧縮率は、第1サンプリング処理回路38Aによってサンプリングされた輝度、色差データY、U、Vの圧縮率よりも高くなる。
【0025】
以上のように本実施形態によれば、ハイパスフィルタ37を有する高周波成分検出器36と第1サンプリング処理回路38A、第2サンプリング処理回路38Bが設けられており、色差データU、Vの高周波成分が高い場合、輝度、色差データY、U、Vは、第1サンプリング処理回路38Aにおいて、4:2:2のサンプリング周波数比に従ってサンプリングされる。一方、色差データU、Vの高周波成分が低い場合、輝度、色差データY、U、Vは、第2サンプリング処理回路38Bにおいて、4:2:0のサンプリング周波数比に従ってサンプリングされる。
【0026】
次に、図4、5を用いて、第2の実施形態であるデジタルカメラについて説明する。第2の実施形態では、DCT変換された画像データに基づいて高周波成分が検出される。それ以外の構成については、第1の実施形態と実質的に同じである。
【0027】
図4は、第2の実施形態における信号処理回路のブロック図である。
【0028】
図4に示すように、信号処理回路18’では、マトリクス回路34から出力される輝度、色差信号Y、U、Vが、圧縮回路40のDCT変換部42へ送られる。輝度、色差信号Y、U、VがDCT変換されることにより、低周波成分と高周波成分とに分かれたDCT変換画像データが生成される。
【0029】
システムコントロール回路28は、DCT変換された画像データに対し、高周波成分の値の総和が所定値より大きいか否かを判断する。そして、システムコントロール回路28は、高周波成分が少ない場合には第2サンプリング処理回路38Bへ、高周波成分が多い場合には第1サンプリング処理回路38Aへ輝度、色差信号Y、U、Vへ送るように、スイッチ39’の切り替えを制御する。サンプリング処理された輝度、色差信号Y、U、Vは、圧縮回路40において、DCT変換、ハフマン符号化され、圧縮画像データが図示しないメモリカードへ記録される。
【0030】
図5は、サンプリング周波数比の選択処理を示したフローチャートである。
【0031】
ステップS101では、DCT変換された輝度、色差データY、U、Vに対して高周波成分が検出される。ステップS102では、色差データU、Vの高周波成分が少ないか否かが判断される。高周波成分が多いと判断されると、ステップS103へ進み、4:2:2でサンプリング処理がおこなわれるようにスイッチ39’が切り替えられる。一方、高周波成分が少ないと判断されると、ステップS104へ進み、4:2:0でサンプリング処理がおこなわれるようにスイッチ39が切り替えられる。
【0032】
サンプリング周波数比、圧縮処理方式は実施形態以外のものでも適用可能であり、色差データのみのサンプリング周波数を調整すればよい。また、高周波成分の検出方法も限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】デジタルスチルカメラのブロック図である。
【図2】信号処理回路のブロック図である。
【図3】輝度、色差信号Y、U、Vのサンプリング周波数の比を示した図である。
【図4】第2の実施形態における信号処理回路のブロック図である。
【図5】サンプリング周波数比の選択処理を示したフローチャートである。
【符号の説明】
【0034】
10 デジタルカメラ
18、18’ 信号処理回路
20 メモリカード
28 システムコントロール回路
34 マトリクス回路
36 高周波成分検出器
37 ハイパスフィルタ
38 サンプリング回路
38A 第1サンプリング処理回路
38B 第2サンプリング処理回路
39、39’ スイッチ
40 圧縮回路
41 判別器
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像データを記録するデジタルカメラに関し、特に、画像データの圧縮処理に関する。
【背景技術】
【0002】
画像データを記録する場合、JPEGに準拠した圧縮処理が行われる。具体的には、輝度、色差データをあらかじめ定められたサンプリング周波数によってサンプリング処理し、その後、DCT変換処理、ハフマン符号化処理を実行して圧縮画像データを生成する。圧縮率を高める方法として、例えば、低解像度の画像に対してサンプリング周波数を高くする一方、高解像度の画像に対してサンプリング周波数を低くする(特許文献1)。プリントシステムにおける解像度を調整するため、画素補間された画像データに関し、ラプラシアンフィルタを用いて元画像データの解像度を予測し、輝度、色差データのサンプリング周波数の比率を設定する。
【特許文献1】特開2003−274190号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
カメラにおける記録処理では、カメラに適した効果的な高圧縮処理を行う必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明のデジタルカメラは、画像の解像度に応じて圧縮処理を行うデジタルカメラであり、撮像素子から読み出される画像信号に基づいて、輝度、色差データを生成する信号処理手段と、所定のサンプリング周波数の比によって輝度、色差データをサンプリング処理するサンプリング処理手段と、サンプリング処理された輝度、色差データを圧縮処理する圧縮処理手段とを備える。画像データのフォーマットは任意であり、圧縮処理の方式も任意である。例えば、JPEGに準拠した圧縮処理を行えばよく、サンプリング周波数は、ビデオ規格などで定められた周波数を選択的に設定すればよい。
【0005】
本発明のデジタルカメラは、色差データの高周波成分を検出する高周波成分検出手段を備える。そして、サンプリング処理手段が、色差データの高周波成分が少ない場合、色差データのサンプリング周波数を高周波成分が多い場合に比べて低くすることを特徴とする。ここで高周波成分が少ないとは、画像データの中での高周波成分が相対的に少ないことを意味し、例えば高周波成分の割合が所定の割合より低い場合、あるいはラプラシアンなどの演算によって検出される高周波成分の総和が所定値を超えない場合などを高周波成分の少ない状態と定めればよい。サンプリング処理手段は、例えば、標準的なデジタルビデオ規格として定められたサンプリング周波数の比4:2:2もしくは4:2:0のいずれかを選択的に設定するように構成すればよく、色差データの高周波成分が少ない場合、輝度、色差データのサンプリング周波数比を4:2:0に定め、色差データの高周波成分が多い場合、輝度、色差データのサンプリング周波数比を4:2:2に定めればよい。
【0006】
画像の解像度が低い場合、隣接する画素間で同一、またはそれに近い画素データで構成される。特に、色相よりも輝度に対して人間の視覚が反応性を持っていることから、色差データを抽出する程度を落としても、解像度に影響しない。したがって、必要な画像データに対してのみ圧縮処理が行われ、効果的に画像データが圧縮される。また、色差データのみに注目して高周波成分を検出し、サンプリング周波数の値を調整するだけの簡素な構成であるため、画像データの記録処理時間にほとんど影響を与えない。
【0007】
高周波成分の検出方法は任意であるが、例えば、ハイパスフィルタなどを用い、色差データをラプラシアン演算することによって色差データの高周波成分を検出してもよい。あるいは、DCT方式による圧縮処理を行う場合、輝度、色差データをDCT変換した画像データでは、低周波成分と高周波成分が分かれている。したがって、圧縮処理機能を利用し、DCT変換されたデータに基づいて高周波成分を検出してもよい。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、記録する画像の解像度に従い、無駄なく効果的に圧縮画像データを記録することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下では、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
【0010】
図1は、デジタルスチルカメラのブロック図である。
【0011】
デジタルカメラ10は、デジタル画像を記録可能なカメラであり、電源用メインボタン(図示せず)の操作によってカメラに電源が供給されると、撮影可能状態となる。CPU、RAM、ROM(図示せず)を含むシステムコントロール回路28は、デジタルカメラ10の動作を制御し、レリーズボタン(図示せず)の操作によって、レリーズ半押しスイッチ、レリーズ全押しスイッチ(図示せず)などのスイッチが切り替わり、システムコントロール回路50によって検出される。ROMには、カメラ動作を制御処理するプログラムがあらかじめ格納されている。
【0012】
デジタルカメラ10にはLCD26がカメラ背面に設けられており、被写体を動画像として表示するための動画処理が実行可能である。被写体からの反射光が撮影光学系12を通って被写体像がCCD14の受光面に結像されると、被写体像に応じたアナログ画像信号が発生する。CCD14には、赤(R)、緑(G)、青(B)の三原色の色要素をベイヤー配列した色フィルタ(図示せず)が受光面と向き合うように配設されており、各色要素に応じた画素信号から構成される画像信号が発生する。
【0013】
CCD14から読み出された一連の画像信号は、CDS、ADC回路16を介して信号処理回路18へ送られる。信号処理回路18では、画像信号がデジタル化され、ホワイトバランス、ガンマ補正処理などの様々な信号処理がデジタル画像信号に対して施される。処理されたデジタル画像信号がLCDドライバ24へ送られると、LCDドライバ24は、デジタル画像信号に基づいてLCD26を制御する。これにより、被写体像がLCD26に動画像として表示される。
【0014】
被写体を撮影する、すなわち画像データを記録するためにレリーズボタンが半押しされると、AF動作が実行されるとともに露出値が演算される。さらにレリーズボタンが全押しされると、シャッタ(図示せず)が所定期間開き、露出動作が実行される。
【0015】
被写体像に応じた1フレーム分の画像信号がCCD14から読み出され、信号処理回路18において画像信号が処理されるとともに、圧縮処理が施される。圧縮された画像データは、メモリカード20に記録される。
【0016】
図2は、信号処理回路18のブロック図である。
【0017】
信号処理回路18は、画像処理回路32、マトリクス回路34、高周波成分検出器36、サンプリング回路38、圧縮回路40とを備える。画像処理回路32では、ホワイトバランス調整、ガンマ補正処理などが施され、赤(R)、緑(G)、青(B)の色信号から成るデジタル画像信号が、画像データとしてマトリクス回路34へ送られる。
【0018】
マトリクス回路34では、以下の式に基づき、R、G、Bの画像信号(画像データ)が輝度信号Y、色差信号U、Vに変換される。
Y=0.299R+0.5870G+0.1140B
U=―0.1684R−0.3316G+0.5000B
V=0.5000R−0.4187G−0.0813B
【0019】
輝度、色差信号Y、U、Vは、サンプリング回路38へ送られ、また、色差信号U,Vが高周波成分検出器36へ送られる。高周波成分検出器36は、ハイパスフィルタ37、スイッチ39、判別器41とを備え、ハイパスフィルタ37では、色差信号U、Vの高周波成分が抽出され、1フレーム分の画像信号における高周波成分が検出される。ハイパスフィルタ37は、ここではラプラシアンフィルタであり、ラプラシアン演算の絶対値の総和が求められる。
【0020】
判別器41では、ラプラシアン演算により求められた絶対値の総和が所定値を超えているか否か判断する。所定値は、高周波成分であるか否かを規定する値であり、ラプラシアン演算方式に従って定められる。スイッチ39は、輝度、色差信号Y、U、Vを、選択的にサンプリング回路38の第1サンプリング処理回路38A、第2サンプリング処理回路38Bどちらか一方へ出力させる。
【0021】
ラプラシアン演算により求められた絶対値の総和が所定値を超えていない、すなわち高周波成分が少ない低い場合、スイッチ39は、輝度、色差信号Y、U、Vを第2サンプリング処理回路38Bへ出力させるように切り替わる。一方、絶対値の総和が所定値を超えている、すなわち高周波成分が多い場合、スイッチ39は、輝度、色差信号Y、U、Vを第1サンプリング処理回路38Aへ出力させるように切り替わる。
【0022】
第1サンプリング処理回路38Aもしくは第2サンプリング処理回路38Bにおいてサンプリング処理された輝度、色差データY、U、Vは、圧縮回路40において圧縮処理される。すなわち、輝度、色差データY、U、Vに対してDCT変換、量子化、ハフマン符号化などの処理が施される。圧縮画像データは、デジタルカメラ10に着脱自在なメモリカード20に記録される。
【0023】
図3は、輝度、色差信号Y、U、Vのサンプリング周波数の比を示した図である。
【0024】
図3に示すように、第2サンプリング処理回路38Bでは、4:2:0のサンプリング周波数比によって輝度、色差信号Y、U、Vがサンプリングされ、第1サンプリング処理回路38Aでは、4:2:2のサンプリング周波数比によって輝度、色差信号Y、U、Vがサンプリングされる。第2サンプリング処理回路38Bにおける色差データのサンプリング周波数は、第1サンプリング処理回路38Aに比べて低い。すなわち、圧縮すべき色差データU、Vのデータ量が少なくなる。したがって、第2サンプリング処理回路38Bによってサンプリングされた輝度、色差データY、U、Vの圧縮率は、第1サンプリング処理回路38Aによってサンプリングされた輝度、色差データY、U、Vの圧縮率よりも高くなる。
【0025】
以上のように本実施形態によれば、ハイパスフィルタ37を有する高周波成分検出器36と第1サンプリング処理回路38A、第2サンプリング処理回路38Bが設けられており、色差データU、Vの高周波成分が高い場合、輝度、色差データY、U、Vは、第1サンプリング処理回路38Aにおいて、4:2:2のサンプリング周波数比に従ってサンプリングされる。一方、色差データU、Vの高周波成分が低い場合、輝度、色差データY、U、Vは、第2サンプリング処理回路38Bにおいて、4:2:0のサンプリング周波数比に従ってサンプリングされる。
【0026】
次に、図4、5を用いて、第2の実施形態であるデジタルカメラについて説明する。第2の実施形態では、DCT変換された画像データに基づいて高周波成分が検出される。それ以外の構成については、第1の実施形態と実質的に同じである。
【0027】
図4は、第2の実施形態における信号処理回路のブロック図である。
【0028】
図4に示すように、信号処理回路18’では、マトリクス回路34から出力される輝度、色差信号Y、U、Vが、圧縮回路40のDCT変換部42へ送られる。輝度、色差信号Y、U、VがDCT変換されることにより、低周波成分と高周波成分とに分かれたDCT変換画像データが生成される。
【0029】
システムコントロール回路28は、DCT変換された画像データに対し、高周波成分の値の総和が所定値より大きいか否かを判断する。そして、システムコントロール回路28は、高周波成分が少ない場合には第2サンプリング処理回路38Bへ、高周波成分が多い場合には第1サンプリング処理回路38Aへ輝度、色差信号Y、U、Vへ送るように、スイッチ39’の切り替えを制御する。サンプリング処理された輝度、色差信号Y、U、Vは、圧縮回路40において、DCT変換、ハフマン符号化され、圧縮画像データが図示しないメモリカードへ記録される。
【0030】
図5は、サンプリング周波数比の選択処理を示したフローチャートである。
【0031】
ステップS101では、DCT変換された輝度、色差データY、U、Vに対して高周波成分が検出される。ステップS102では、色差データU、Vの高周波成分が少ないか否かが判断される。高周波成分が多いと判断されると、ステップS103へ進み、4:2:2でサンプリング処理がおこなわれるようにスイッチ39’が切り替えられる。一方、高周波成分が少ないと判断されると、ステップS104へ進み、4:2:0でサンプリング処理がおこなわれるようにスイッチ39が切り替えられる。
【0032】
サンプリング周波数比、圧縮処理方式は実施形態以外のものでも適用可能であり、色差データのみのサンプリング周波数を調整すればよい。また、高周波成分の検出方法も限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】デジタルスチルカメラのブロック図である。
【図2】信号処理回路のブロック図である。
【図3】輝度、色差信号Y、U、Vのサンプリング周波数の比を示した図である。
【図4】第2の実施形態における信号処理回路のブロック図である。
【図5】サンプリング周波数比の選択処理を示したフローチャートである。
【符号の説明】
【0034】
10 デジタルカメラ
18、18’ 信号処理回路
20 メモリカード
28 システムコントロール回路
34 マトリクス回路
36 高周波成分検出器
37 ハイパスフィルタ
38 サンプリング回路
38A 第1サンプリング処理回路
38B 第2サンプリング処理回路
39、39’ スイッチ
40 圧縮回路
41 判別器
【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像素子から読み出される画像信号に基づいて、輝度、色差データを生成する信号処理手段と、
色差データの高周波成分を検出する高周波成分検出手段と、
所定のサンプリング周波数の比によって前記輝度、色差データをサンプリング処理するサンプリング処理手段と、
サンプリング処理された輝度、色差データを圧縮処理する圧縮処理手段とを備え、
前記サンプリング処理手段が、前記色差データの高周波成分が少ない場合、前記色差データのサンプリング周波数を高周波成分が多い場合に比べて低くすることを特徴とするデジタルカメラ。
【請求項2】
前記サンプリング処理手段が、前記色差データの高周波成分が少ない場合、前記輝度、色差データのサンプリング周波数比を4:2:0に定めることを特徴とする請求項1に記載のデジタルカメラ。
【請求項3】
前記サンプリング処理手段が、前記色差データの高周波成分が多い場合、前記輝度、色差データのサンプリング周波数比を4:2:2に定めることを特徴とする請求項1に記載のデジタルカメラ。
【請求項4】
前記高周波成分検出手段が、前記色差データをラプラシアン演算することによって前記色差データの高周波成分を検出することを特徴とする請求項1に記載のデジタルカメラ。
【請求項5】
前記高周波成分検出手段が、前記輝度、色差データをDCT変換したデータに基づいて高周波成分を検出することを特徴とする請求項1に記載のデジタルカメラ。
【請求項6】
前記圧縮処理手段が、DCT変換処理、ハフマン符号化処理を前記輝度、色差データに対して実行することを特徴とする請求項1に記載のデジタルカメラ。
【請求項1】
撮像素子から読み出される画像信号に基づいて、輝度、色差データを生成する信号処理手段と、
色差データの高周波成分を検出する高周波成分検出手段と、
所定のサンプリング周波数の比によって前記輝度、色差データをサンプリング処理するサンプリング処理手段と、
サンプリング処理された輝度、色差データを圧縮処理する圧縮処理手段とを備え、
前記サンプリング処理手段が、前記色差データの高周波成分が少ない場合、前記色差データのサンプリング周波数を高周波成分が多い場合に比べて低くすることを特徴とするデジタルカメラ。
【請求項2】
前記サンプリング処理手段が、前記色差データの高周波成分が少ない場合、前記輝度、色差データのサンプリング周波数比を4:2:0に定めることを特徴とする請求項1に記載のデジタルカメラ。
【請求項3】
前記サンプリング処理手段が、前記色差データの高周波成分が多い場合、前記輝度、色差データのサンプリング周波数比を4:2:2に定めることを特徴とする請求項1に記載のデジタルカメラ。
【請求項4】
前記高周波成分検出手段が、前記色差データをラプラシアン演算することによって前記色差データの高周波成分を検出することを特徴とする請求項1に記載のデジタルカメラ。
【請求項5】
前記高周波成分検出手段が、前記輝度、色差データをDCT変換したデータに基づいて高周波成分を検出することを特徴とする請求項1に記載のデジタルカメラ。
【請求項6】
前記圧縮処理手段が、DCT変換処理、ハフマン符号化処理を前記輝度、色差データに対して実行することを特徴とする請求項1に記載のデジタルカメラ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【公開番号】特開2008−53800(P2008−53800A)
【公開日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−225228(P2006−225228)
【出願日】平成18年8月22日(2006.8.22)
【出願人】(000000527)ペンタックス株式会社 (1,878)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年8月22日(2006.8.22)
【出願人】(000000527)ペンタックス株式会社 (1,878)
【Fターム(参考)】
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