デジタル周波数解析装置
【課題】画像の圧縮に伴う遅延を低減することができるデジタル周波数解析装置を提供する。
【解決手段】バッファメモリに記憶された輝度データ、色差データは、画像の上下の端部において所定のライン数分の画素を補間して画像を拡張する処理を施される。LOT部4A、5Aは、輝度データ、色差データに対して、隣接するブロックがオーバーラップするように画像を分割したブロックの単位で直交変換を行い周波数データに変換する。メモリ制御部3Aは、バッファメモリに記憶された輝度データ、色差データのライン数と、所定期間にLOT部4A、5Aで処理されるライン数とに応じて、バッファメモリから輝度データ、色差データを読み出すタイミングを制御する。
【解決手段】バッファメモリに記憶された輝度データ、色差データは、画像の上下の端部において所定のライン数分の画素を補間して画像を拡張する処理を施される。LOT部4A、5Aは、輝度データ、色差データに対して、隣接するブロックがオーバーラップするように画像を分割したブロックの単位で直交変換を行い周波数データに変換する。メモリ制御部3Aは、バッファメモリに記憶された輝度データ、色差データのライン数と、所定期間にLOT部4A、5Aで処理されるライン数とに応じて、バッファメモリから輝度データ、色差データを読み出すタイミングを制御する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタル画像データを周波数データに変換するデジタル周波数解析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
撮像した画像をリアルタイムに無線や有線で伝送し、表示するシステムでは、伝送路によって伝送可能な伝送レート(単位時間あたりに伝送可能なデータ量)が限られている。このため、画像以外の情報を同時に伝送する、画像を多画素化するなど、伝送量が増加する場合には所定の時間内に伝送が完了しないなどの問題があった。この課題を解決するために特許文献1で示すような画像の圧縮機能を搭載した画像圧縮送信装置が提案されている。
【0003】
図24は、画像圧縮送信装置30と、外部に設置する受信表示装置40との一例の概略構成を示している。図24において、画像圧縮送信装置30は、撮像部31と、圧縮部32と、送信部33とで構成され、受信表示装置40は、受信部41と、伸張部42と、表示部43とで構成される。
【0004】
画像圧縮送信装置30において、撮像部31は被写体からの光を受光し、その受光量に応じた電気信号を画像データとして生成するイメージセンサ等から構成される。撮像部31は、生成した画像データを後段の圧縮部32に供給する。圧縮部32に供給される画像データをデータ01とする。
【0005】
圧縮部32はデータ01を所定の画像圧縮方式によって符号化し、後段の送信部33に符号化データを供給する。送信部33に供給される符号化データをデータ05とする。
【0006】
送信部33は、データ05を、所定の伝送レートを持つ伝送路を介して、外部に設置した受信機を有する受信表示装置40に伝送する。受信表示装置40に伝送する符号化データをデータ06とする。
【0007】
受信表示装置40において、受信部41は、伝送されたデータ06を受信し、伸張部42に符号化データを供給する。伸張部42に供給される符号化データをデータ07とする。
【0008】
伸張部42は、データ07を画像データに復号化し、後段の表示部43に供給する。表示部43に供給される画像データをデータ08とする。
【0009】
表示部43は、データ08に基づく画像をモニタ等の表示装置に表示する。
【0010】
圧縮部32において、従来例では画像の圧縮方式として、所定のサイズの画像ブロックごとにDCT(Discrete Cosine Transform)を施して画像データを周波数データに変換するJPEGやMPEG等の方法が用いられている。しかし、内視鏡のような医療機器では診断用に高画質な画像を取得する要求があり、DCTを用いて周波数解析を行う場合、画像中の濃淡の少ない部分でブロック状のノイズが発生し、画質が劣化するという問題があった。
【0011】
この問題の解決方法として特許文献2で示すような方法が提案されている。この方法では、DCTの代わりに、画像ブロックを重複させて画像データを周波数データに変換するLOT(Lapped Orthogonal Transform)が実行される。以下、LOTを用いた圧縮部32について詳細に説明する。
【0012】
図25は、LOTにおける圧縮部32の構成を示している。圧縮部32は、図25に示すように、デジタル周波数解析装置321と、量子化部322と、エントロピー符号化部323とで構成される。デジタル周波数解析装置321には撮像部31から画像データであるデータ01が供給される。
【0013】
デジタル周波数解析装置321は、所定の画像ブロックごとにLOTを施して画像データを周波数データに変換し、後段の量子化部322に供給する。量子化部322に供給される周波数データをデータ03とする。
【0014】
量子化部322は、周波数データを量子化テーブル等で設定される量子化値で除算することで量子化し、量子化データを後段のエントロピー符号化部323に供給する。エントロピー符号化部323に供給される量子化データをデータ04とする。
【0015】
エントロピー符号化部323は、量子化データに対して、出現確率が高い値に短い符号を割り当てる可変長符号化を施すことで、データ量の削減された符号化データを生成し、出力する。エントロピー符号化部323から出力される符号化データはデータ05である。
【0016】
図26は、デジタル周波数解析装置321の構成を示している。デジタル周波数解析装置321は、図32に示すように、メモリ制御部3211と、フレームメモリ3212と、LOT部3213とで構成される。
【0017】
メモリ制御部3211は、フレームメモリ3212の読み出しのタイミングを制御する読み出し開始信号Cをフレームメモリ3212に供給する。フレームメモリ3212は1フレーム分の画像データ(データ01)を記憶し、記憶した画像データを、読み出し開始信号Cに応じて後段のLOT部3213に供給する。LOT部3213に供給される画像データをデータ02とする。
【0018】
LOT部3213は、画像データであるデータ02に対して前述のLOTを施して周波数データに変換する。LOT部3213から出力される周波数データはデータ03である。
【0019】
ここで、LOTに関して説明する。LOTは、隣接するブロックがそれぞれ重複した領域を持つように画像を複数のブロックに分割(ブロック化)しブロック単位で圧縮を行うものである。図27は、LOTを使用する場合のブロック化の例を示す。図27(a)が、水平方向に重複する例である。この場合、ブロック0では最初の16ラインの16画素(画素1〜画素16)のデータがブロック化される。続いて、隣接するブロック1では8画素分ずらした画素9から画素24のデータがブロック化される。すなわち、8画素分が重複している。同様にブロック1と隣接するブロック2についても8画素ずつ重複する。図27(b)が、垂直方向に重複する例である。この場合、ブロック0に隣接するブロックnでは8ライン分ずらしたライン9からライン24のデータがブロック化される。水平方向と同様に、8ライン分が重複する。
【0020】
図28は、水平および垂直の重複直交変換処理を示す。図28(a)は水平方向の重複直交変換処理を示す。前述したように、ブロック0とブロック1では重複して処理が行われる。これらのそれぞれのブロックに対し直交変換処理が行われる。この時、16×16画素に対して水平方向の直交変換を行った結果は16×8の周波数データとなる。図28(b)は垂直方向の重複直交変換処理を示す。水平方向と同様にブロック0とブロックnでは重複して処理が行われる。それぞれのブロックの16×8の画像データに対し直交変換処理を行い、8×8個の周波数データの結果が得られる。
【0021】
なお、伸張時にはそれぞれのブロックで8×8個の周波数データから16×16画素の画像データが生成される。8画素の重複部分を重畳することによりブロックノイズの無い画像が出力される。上述した水平および垂直の重複直交変換処理は、特許文献3で示されるLOT演算装置で開示されている。
【0022】
上記のように、LOTではブロックを重複させて直交変換するため、特許文献2に示すように、画像端の画素を折り返すことによって、画像の境界線に対して対称な画素を生成し、重複する画素数の半分の画素数分、画像を拡張する必要がある。例えば8画素を重複させて直交変換をする場合、図29に示すように、垂直方向に関して上下に4ラインずつ折り返した画像を直交変換する。したがって、LOTを用いたデジタル周波数解析装置は、画像データの折り返し処理を行うLOT部を有する。
【0023】
ここで、内視鏡で使用される撮像部の出力フォーマットについて説明する。内視鏡の撮像部の出力フォーマットとしてYUV422線順次方式が用いられることが多い。これは、暗い体内の撮影のために、撮像部には補色フィルタを用いた色差線順次型の撮像感度が高いイメージセンサを用いるからである。
【0024】
図30は撮像部からのYUV422出力を示す。輝度データ(Y)は、1ラインの周期を示す水平同期信号に同期して毎ライン出力され、色差データは赤色の色差(U)と青色の色差(V)の各データが1ライン毎に交互に出力される。図30では赤色の色差(U)のデータが先に入力される例であるが、撮像部によっては青色の色差(V)のデータが先に入力される場合もある。
【0025】
上記のようにYUV422線順次方式では輝度データのライン数は色差データの2倍となる。一般に、圧縮処理では輝度データ、色差データは独立の処理系によって処理されるが、色差データの処理量に対する輝度データの処理量も2倍になる。すなわち、それぞれのデータに対して同等の処理を行うと、各色差データの処理時間は輝度データの処理時間の半分となる。しかし、伸張後の画像を再構成するにあたり、輝度データと色差データを同期させる必要があるため、輝度データと色差データの圧縮処理は同期をとって行われる。
【0026】
図31は、LOTを用いた圧縮部32の処理を示す。一般に、撮像部31から入力される画像データは、1フレームの周期を示す垂直同期信号と1ラインの周期を示す水平同期信号とに同期して圧縮部32に供給される。図31に示すように、垂直同期信号の周期をTv時間、水平同期信号の周期をTh時間として以下の説明に用いる。
【0027】
フレームメモリ3212に記憶する画像データをデータ01、メモリ制御部3211からの読み出し開始信号Cを受けてフレームメモリ3212から読み出してLOT部3213に供給される画像データをデータ02、LOT部3213によって画像データから周波数データに変換された周波数データをデータ03、量子化部322によって量子化された量子化データをデータ04、エントロピー符号化部323によって符号化された符号化データをデータ05とする。
【0028】
データ01はフレーム単位でフレームメモリ3212に順次書き込まれる。フレームメモリ3212では1フレーム分のデータ01が書き込まれた後、メモリ制御部3211から読み出し信号Cを受けてデータの読み出しが行われるため、データ01に対してデータ02にはTv時間の遅延が生じる。データ03〜05は、各処理部の処理時間をかけて処理され、図31に示す処理遅延を伴い、出力される。よって、圧縮部32では、画像データが入力されてから符号化データが出力されるまでにTv+Δ(各処理に要する時間)分の処理時間を要する。
【0029】
図32は、圧縮部32へ画像データが入力されてから表示部43で画像を表示するまでの処理を示す。撮像部31から出力され、圧縮部32に入力される画像データはデータ01であり、圧縮部32から出力され、送信部33に入力される符号化データはデータ05である。送信部33から送信され、受信部41で受信されるデータはデータ06であり、伸張部42に入力される符号化データはデータ07であり、伸張部42から出力され、表示部43に入力される画像データはデータ08である。
【0030】
データ01は、圧縮部32によって、前述した処理時間をかけてデータ05に変換される。データ05は、データの送受信による遅延を伴って、データ06として受信部41で受信される。データ07は伸張部42によって伸張処理され、遅延を伴ってデータ08として表示部43に入力される。よって、フレームメモリ3212に1フレーム分のデータを記憶してから読み出すことと、各処理部の処理に伴う遅延とによって、撮像から表示までに少なくともTv時間以上の時間を要する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0031】
【特許文献1】特表2004−536644号公報
【特許文献2】特開平6−237449号公報
【特許文献3】特開平04−280189号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0032】
前述したように、従来技術ではLOTを用いて高画質な画像を得ている。内視鏡のように画像を閲覧しながらユーザが処置を行う用途では、撮像から表示までの遅延時間をなるべく短くしたいという要求がある。しかし、従来技術では画像圧縮処理の遅延時間を短くするという観点については考慮されていない。
【0033】
本発明は、上述した課題に鑑みてなされたものであって、画像の圧縮に伴う遅延を低減することができるデジタル周波数解析装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0034】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたもので、輝度データを処理する輝度データ処理部と色差データを処理する色差データ処理部とを備え、前記輝度データと前記色差データとで構成されるデジタル画像データを入力して輝度、色差成分毎の周波数データを出力するデジタル周波数解析装置であって、前記輝度データ処理部は、前記輝度データを記憶する第1のバッファメモリと、前記第1のバッファメモリに記憶された前記輝度データを読み出し、前記輝度データに対して、画像の上下の端部において所定のライン数分の画素を補間して画像を拡張する処理を行う第1の画像補間部と、前記第1の画像補間部によって処理された前記輝度データに対して、隣接するブロックがオーバーラップするように画像を分割した前記ブロックの単位で直交変換を行い周波数データに変換する第1の重複直交変換部とを有し、前記色差データ処理部は、前記色差データを記憶する第2のバッファメモリと、前記第2のバッファメモリに記憶された前記色差データを読み出し、前記色差データに対して、画像の上下の端部において所定のライン数分の画素を補間して画像を拡張する処理を行う第2の画像補間部と、前記第2の画像補間部によって処理された前記色差データに対して、隣接するブロックが重複するように画像を分割した前記ブロックの単位で前記色差データを直交変換して周波数データに変換する第2の重複直交変換部とを有し、前記第1、第2のバッファメモリに記憶された前記輝度データ、前記色差データのライン数と、所定期間に前記第1、第2の重複直交変換部で処理されるライン数とに応じて、前記第1、第2のバッファメモリから前記輝度データ、前記色差データを読み出すタイミングを制御する制御部を備えたことを特徴とするデジタル周波数解析装置である。
【0035】
また、本発明のデジタル周波数解析装置において、前記デジタル画像データは、輝度色差422形式であることを特徴とする。
【0036】
また、本発明のデジタル周波数解析装置において、前記第1、第2の画像補間部は、画像の最上端および最下端を境界として画像の内側および外側の所定のライン数分が対称となるように画像の内側の前記所定のライン数分の画素を画像の外側に折り返して画像を拡張することを特徴とする。
【0037】
また、本発明のデジタル周波数解析装置において、前記第1の重複直交変換部は、nライン(nは正の整数)からなる前記ブロックの単位で重複直交変換処理を行い、前記第2の重複直交変換部は、mライン(mは正の整数)からなる前記ブロックの単位で重複直交変換処理を行い、前記nとmとの比は入力される前記輝度データと前記色差データの入力ライン数の比と同一であることを特徴とする。
【0038】
また、本発明のデジタル周波数解析装置において、前記nは前記mより大きく、前記第2の重複直交変換部は、前記第2のバッファメモリに記憶された各ブロックの前記色差データに対して、画像の垂直方向に画素を補間して前記mラインを前記nラインに補間する処理を行う補間部を含み、前記nライン単位で重複直交変換処理を行うことを特徴とする。
【0039】
また、本発明のデジタル周波数解析装置において、前記第1、第2のバッファメモリの容量は1フレーム分の容量よりも小さいことを特徴とする。
【発明の効果】
【0040】
本発明によれば、直交変換に必要なライン数の輝度データ、色差データが第1、第2のバッファメモリに記憶された時点で輝度データ、色差データの読み出しが開始されるので、画像の圧縮に伴う遅延を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の第1の実施形態による内視鏡システムの構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の第1の実施形態による圧縮部の構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の第1の実施形態における2回のLOTに必要なライン数を示す参考図である。
【図4】本発明の第1の実施形態によるデジタル周波数解析装置の構成を示すブロック図である。
【図5】本発明の第1の実施形態によるメモリ制御部の構成を示すブロック図である。
【図6】本発明の第1の実施形態によるデジタル周波数解析装置の動作を示すタイミングチャートである。
【図7】本発明の第1の実施形態によるデジタル周波数解析装置の動作を示すタイミングチャートである。
【図8】本発明の第1の実施形態によるデジタル周波数解析装置の動作を示すタイミングチャートである。
【図9】本発明の第1の実施形態によるデジタル周波数解析装置の動作を示すタイミングチャートである。
【図10】本発明の第1の実施形態による圧縮部の動作を示すタイミングチャートである。
【図11】本発明の第1の実施形態による画像圧縮送信装置および受信表示装置の動作を示すタイミングチャートである。
【図12】本発明の第2の実施形態による圧縮部の構成を示すブロック図である。
【図13】本発明の第2の実施形態における2回のLOTに必要なライン数を示す参考図である。
【図14】本発明の第2の実施形態によるデジタル周波数解析装置の構成を示すブロック図である。
【図15】本発明の第2の実施形態によるメモリ制御部の構成を示すブロック図である。
【図16】本発明の第2の実施形態によるデジタル周波数解析装置の動作を示すタイミングチャートである。
【図17】本発明の第2の実施形態によるデジタル周波数解析装置の動作を示すタイミングチャートである。
【図18】本発明の第2の実施形態によるデジタル周波数解析装置の動作を示すタイミングチャートである。
【図19】本発明の第3の実施形態による圧縮部の構成を示すブロック図である。
【図20】本発明の第3の実施形態によるデジタル周波数解析装置の構成を示すブロック図である。
【図21】本発明の第3の実施形態におけるデータの読み出し方法を示す参考図である。
【図22】本発明の第3の実施形態における垂直方向の補間方法を示す参考図である。
【図23】本発明の第3の実施形態における時分割処理を説明するためのタイミングチャートである。
【図24】従来の画像圧縮送信装置および受信表示装置の構成を示すブロック図である。
【図25】従来の圧縮部の構成を示すブロック図である。
【図26】従来のデジタル周波数解析装置の構成を示すブロック図である。
【図27】LOTにおけるブロックを示す参考図である。
【図28】LOTの処理方法を示す参考図である。
【図29】画像の折り返し処理方法を示す参考図である。
【図30】YUV422線順次方式によるデータ出力を示すタイミングチャートである。
【図31】従来の圧縮部の動作を示すタイミングチャートである。
【図32】従来の画像圧縮送信装置および受信表示装置の動作を示すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0042】
以下、図面を参照し、本発明の実施形態を説明する。
【0043】
(第1の実施形態)
まず、本発明の第1の実施形態を説明する。第1の実施形態は、撮像した画像をリアルタイムに無線や有線で伝送し、表示する内視鏡システムに本発明を適用したものである。図1は、本実施形態による内視鏡システムの構成を示している。図1に示すように内視鏡システムは、画像圧縮送信装置10と、外部に設置する受信表示装置20とで構成される。
【0044】
画像圧縮送信装置10は、撮像部11と、圧縮部12と、送信部13とで構成され、受信表示装置20は、受信部21と、伸張部22と、表示部23とで構成される。
【0045】
画像圧縮送信装置10において、撮像部11は被写体からの光を受光し、その受光量に応じた電気信号を画像データとして生成するイメージセンサ等から構成される。撮像部11は、生成した画像データを後段の圧縮部12に供給する。圧縮部12に供給される画像データをデータA01とする。
【0046】
圧縮部12はデータA01を所定の画像圧縮方式によって符号化し、後段の送信部13に符号化データを供給する。送信部13に供給される符号化データをデータA05とする。
【0047】
送信部13は、データA05を、所定の伝送レートを持つ伝送路を介して、外部に設置した受信機を有する受信表示装置20に伝送する。受信表示装置20に伝送する符号化データをデータA06とする。
【0048】
受信表示装置20において、受信部21は、伝送されたデータA06を受信し、伸張部22に符号化データを供給する。伸張部22に供給される符号化データをデータA07とする。
【0049】
伸張部22は、データA07を画像データに復号化し、後段の表示部23に供給する。表示部23に供給される画像データをデータA08とする。
【0050】
表示部23は、データA08に基づく画像をモニタ等の表示装置に表示する。
【0051】
本発明のデジタル周波数解析装置は圧縮部12に搭載される。以下、圧縮部12の構成を説明する。図2は圧縮部12の構成を示している。圧縮部12は、図2に示すように、デジタル周波数解析装置121aと、量子化部122と、エントロピー符号化部123とで構成される。デジタル周波数解析装置121aには撮像部11から画像データであるデータA01が供給される。
【0052】
デジタル周波数解析装置121aは、所定の画像ブロックごとにLOTを施して画像データを周波数データに変換し、後段の量子化部122に供給する。量子化部122に供給される周波数データをデータA03とする。
【0053】
量子化部122は、周波数データを量子化テーブル等で設定される量子化値で除算することで量子化し、量子化データを後段のエントロピー符号化部123に供給する。エントロピー符号化部123に供給される量子化データをデータA04とする。
【0054】
エントロピー符号化部123は、量子化データに対して、出現確率が高い値に短い符号を割り当てる可変長符号化を施すことで、データ量の削減された符号化データを生成し、出力する。エントロピー符号化部123から出力される符号化データはデータA05である。
【0055】
次に、デジタル周波数解析装置121aについて詳しく説明する。デジタル周波数解析装置121aは、前述したように輝度データと色差データをLOTによって周波数データに変換するものである。本実施形態でもLOTは従来例と同様に16×16画素を1ブロックとし、8画素を重複させて直交変換を行う。すなわち、垂直方向のLOTを1回行うためには16ラインの入力が必要となる。
【0056】
ここで、本実施形態の画像圧縮送信装置10は入力フォーマットがYUV422線順次であり、Tv時間に入力される色差データのライン数に比べて輝度データのライン数は2倍となる。このため、輝度データの垂直方向のLOTの処理回数も色差データの処理回数に比べて2倍となる。
【0057】
また、本実施形態では、受信表示装置20において遅延時間を最小限に抑えた画像表示を行うため、輝度データと色差データの圧縮処理を同期させる必要がある。すなわち、輝度データと色差データの圧縮処理を同期して行うためには、色差の垂直方向のLOTを1回行う間に輝度の垂直方向のLOTを2回行う必要がある。
【0058】
また、LOTではブロックを重複させて直交変換するため、画像端の画素を折り返すことによって画像の境界線に対して対称な画素を生成し、重複する画素数の半分の画素数分、画像を拡張する必要がある。本実施形態の例では4画素の拡張が必要であり、拡張された画像データがLOTで周波数データに変換される。
【0059】
図29は垂直方向の画像の折り返し方法を示す。画像の上端部に位置するライン1〜4のデータが画像の折り返しに使用される。図29に示すように、画像の最上端を境界として画像の内側および外側の4ライン分が対称となるように、画像の内側のライン1〜4のデータが画像の外側に補間され、画像が拡張される。すなわち、境界から画像の外側に向かってライン1〜4のデータがこの順に並ぶようにデータが補間される。画像の下端部でも、画像の最下端を境界として画像の内側および外側の4ライン分が対称となるように、画像の内側の4ライン分のデータが画像の外側に補間され、画像が拡張される。水平方向も同様に4画素分の折り返しが行われる。
【0060】
図3に示すように、LOTを2回行うために必要なライン数は、2回のLOTで8ライン分が重複するため、24ラインである。図3に示す画像データは、上記の折り返しによる画像の拡張が行われた後のデータである。
【0061】
図4はデジタル周波数解析装置121aの構成を示している。デジタル周波数解析装置121aは、輝度データ処理部1Aと、色差データ処理部2Aと、メモリ制御部3Aとで構成される。
【0062】
輝度データ処理部1AはLOTによって輝度データを周波数データに変換する。色差データ処理部2AはLOTによって色差データを周波数データに変換する。メモリ制御部3Aは、輝度データの処理と色差データの処理とが同期して行われるように、輝度データ処理部1Aに含まれるバッファメモリY1a〜Y6aと、色差データ処理部2Aに含まれるバッファメモリU1a〜U3a、V1a〜V3aとのデータの書き込みおよび読み出しを制御する。
【0063】
輝度データ処理部1Aは、バッファメモリY1a〜Y6aと、LOT部4Aとで構成される。バッファメモリY1a〜Y6aは、デジタル周波数解析装置121aに入力された輝度データを記憶する。バッファメモリY1a〜Y6aのメモリアドレスをy1a〜y6aとする。LOT部4Aは、バッファメモリY1a〜Y6aから読み出された輝度データに対してブロック単位で直交変換を行い周波数データに変換する。
【0064】
色差データ処理部2Aは、バッファメモリU1a〜U3aと、バッファメモリV1a〜V3aと、LOT部5Aとで構成される。バッファメモリU1a〜U3a、V1a〜V3aは、デジタル周波数解析装置121aに入力された色差データを記憶する。バッファメモリU1a〜U3aのメモリアドレスをu1a〜u3a、バッファメモリV1a〜V3aのメモリアドレスをv1a〜v3aとする。LOT部5Aは、バッファメモリU1a〜U3a、V1a〜V3aから読み出された色差データに対してブロック単位で直交変換を行い周波数データに変換する。
【0065】
図5はメモリ制御部3Aの構成を示している。メモリ制御部3Aは、タイミング生成部31Aと、アドレス制御部32Aと、メモリ選択部33Aとで構成される。タイミング生成部31Aは、輝度データ処理部1Aと色差データ処理部2Aのそれぞれに、バッファメモリからのデータの読み出しの開始を指示する読み出し開始信号Aを出力する。アドレス制御部32Aは、バッファメモリY1a〜Y6a、U1a〜U3a、V1a〜V3aのメモリアドレスを出力する。メモリ選択部33Aは、データを読み出す対象となるバッファメモリを指示するメモリ選択信号Aを出力する。
【0066】
次に、輝度データ処理部1AにおけるバッファメモリY1a〜Y6aのデータの書き込みについて、図6〜図8を参照して詳しく説明する。バッファメモリY1a〜Y6aに入力されるデータの最初の4ライン分はバッファメモリY1aに書き込まれる。これは、後述するようにバッファメモリY1aの読み出しを制御することによって画像を折り返す処理を行うためである。次の8ライン分のデータはバッファメモリY2aに書き込まれ、その次の8ライン分のデータはバッファメモリY3aに書き込まれる。このようにメモリ制御部3Aのメモリ選択部33Aによって各バッファメモリY1a〜Y6aが選択され、バッファメモリY1a〜Y6aにデータが書き込まれる。
【0067】
次に、輝度データ処理部1AにおけるバッファメモリY1a〜Y6aのデータの読み出しについて、図6〜図8を参照して詳しく説明する。メモリ制御部3Aのタイミング生成部31Aによって、バッファメモリY1a〜Y6aに書き込まれたデータの読み出しが開始される。
【0068】
後段のLOT部4Aでは16×16画素を1ブロックとし、ブロック間で8画素を重複して直交変換を行うため、画像端の有効領域と無効領域の境界線に対して対称性を有するように4画素分を折り返して拡張したデータが必要である。また、前述したように輝度データについては、垂直方向のLOT2回分の処理に必要な24ライン分を読み出す必要がある。アドレス制御部32Aは、上記を満たすようにメモリアドレスを生成し、バッファメモリY1a〜Y6aのデータの読み出しを制御する。
【0069】
この読み出しの動作について、以下で詳しく説明する。色差データのLOTに同期するため、タイミング生成部31Aは、データが入力されてから24Th時間が経過した後に読み出し開始信号Aを各バッファメモリY1a〜Y6aに供給する。アドレス制御部32Aは、垂直方向に拡張したデータを得るために、まず、4ライン目を読み出すようにメモリアドレスy1aをバッファメモリY1aに供給する。続いて3、2、1ライン目をこの順に読み出すようにメモリアドレスy1aをバッファメモリY1aに供給する。そしてもう一度、1、2、3、4ライン目をこの順に読み出すようにメモリアドレスy1aをバッファメモリY1aに供給する。よって、バッファメモリY1aから合計8ライン分のデータが読み出される。
【0070】
また、バッファメモリY1aから上記の8ライン分のデータが読み出される期間において、バッファメモリY2aから5〜12ライン目までの8ライン分のデータが読み出される。さらに、バッファメモリY1aから上記の8ライン分のデータが読み出される期間において、バッファメモリY3aから13〜20ライン目までの8ライン分のデータが読み出される。このようにして、バッファメモリY1a、Y2a、Y3aから24ライン分のデータが読み出され、後段のLOT部4Aに供給される。
【0071】
LOT部4Aは、入力されたデータを、16×16の画素を1ブロックとして8画素を重複しながら8×8の周波数データに変換し、後段の量子化部122に供給する。上記では画像の折り返しを行って画像を拡張したが、例えば入力データの1ライン目をコピーして画像を拡張させてもよい。画像の下端部についても、上記と同様に垂直方向に4ライン分のデータが補間され、画像が拡張される。
【0072】
次に、色差データ処理部2AにおけるバッファメモリU1a〜U3aのデータの書き込みについて、図6〜図8を参照して詳しく説明する。色差データについては、UとVの各データが1ライン毎に交互に入力されるため、LOTに必要なライン数が揃うまでの時間は輝度データと比べて2倍となる。
【0073】
バッファメモリU1a〜U3aには奇数ラインが入力される。バッファメモリU1a〜U3aに入力されるデータの最初の4ライン分はバッファメモリU1aに書き込まれる。次の8ライン分のデータはバッファメモリU2aに書き込まれ、その次の8ライン分のデータはバッファメモリU3aに書き込まれる。このようにメモリ制御部3Aのメモリ選択部33Aによって各バッファメモリU1a〜U3aが選択され、バッファメモリU1a〜U3aにデータが書き込まれる。
【0074】
次に、色差データ処理部2AにおけるバッファメモリU1a〜U3aのデータの読み出しについて、図6〜図8を参照して詳しく説明する。メモリ制御部3Aのタイミング生成部31Aによって、バッファメモリU1a〜U3aに書き込まれたデータの読み出しが開始される。
【0075】
後段のLOT部5Aでは、輝度データと同様に16×16画素を1ブロックとし、ブロック間で8画素を重複して直交変換を行うため、画像端の有効領域と無効領域の境界線に対して対称性を有するように4画素分を折り返して拡張したデータが必要である。また、前述したように色差データについては、垂直方向のLOT1回分の処理に必要な16ライン分を読み出す必要がある。アドレス制御部32Aは、上記を満たすようにメモリアドレスを生成し、バッファメモリU1a〜U3aのデータの読み出しを制御する。
【0076】
この読み出しの動作について、以下で詳しく説明する。輝度データの読み出し開始と同時刻にタイミング生成部31Aは読み出し開始信号AをバッファメモリU1a、U2aに供給する。アドレス制御部32Aは、垂直方向に拡張したデータを得るために、まず、データの7ライン目を読み出すようにメモリアドレスu1aをバッファメモリU1aに供給する。続いて、5、3、1ライン目をこの順に読み出すようにメモリアドレスu1aをバッファメモリU1aに供給する。そしてもう一度、1、3、5、7ライン目をこの順に読み出すようにメモリアドレスu1aをバッファメモリU1aに供給する。よって、バッファメモリU1aから合計8ライン分のデータが読み出される。
【0077】
また、バッファメモリU1aから上記の8ライン分のデータが読み出される期間において、バッファメモリU2aから9、11、13、15、17、19、21、23ライン目の8ライン分のデータが読み出される。このようにして、バッファメモリU1a、U2aから16ライン分のデータが読み出され、後段のLOT部5Aに供給される。
【0078】
LOT部5Aは、入力されたデータを、16×16の画素を1ブロックとして8画素を重複しながら8×8の周波数データに変換し、後段の量子化部122に供給する。上記では画像の折り返しを行って画像を拡張したが、例えば入力データの1ライン目をコピーして画像を拡張させてもよい。画像の下端部についても、上記と同様に垂直方向に4ライン分のデータが補間され、画像が拡張される。
【0079】
バッファメモリV1a〜V3aには偶数ラインが入力される。バッファメモリV1a〜V3aのデータの書き込みおよび読み出しの動作はバッファメモリU1a〜U3aと同様である。
【0080】
次に、図9を参照してデジタル周波数解析装置121aの動作を説明する。輝度データ処理部1A、色差データ処理部2Aに含まれるバッファメモリに書き込まれる画像データはデータA01である。タイミング生成部31Aから読み出し開始信号Aを受けてバッファメモリから読み出されてLOT部4A、5Aに供給される画像データをデータA02とする。LOT部4A、5Aで画像データから周波数データに変換されたデータはデータA03である。
【0081】
データA01はバッファメモリに順次書き込まれる。データA02は、タイミング生成部31Aから読み出し開始信号Aを受けてバッファメモリから読み出される。データA02は、データA01の書き込み開始から24Th時間が経過した後に読み出される。これは、YUV422線順次フォーマットでは同期していない輝度と色差について、LOTの開始時刻を揃えるためである。
【0082】
データA03はLOT部4A、5Aの処理結果であるため、データA02と比べて図9に示すような遅延時間αを伴って出力される。よって、デジタル周波数解析装置121aに画像データが入力されてから周波数データが出力されるまでに要する時間は24Th+αである。
【0083】
次に、図10を参照して、デジタル周波数解析装置121aを含む圧縮部12の動作を説明する。デジタル周波数解析装置121aに入力される画像データはデータA01であり、デジタル周波数解析装置121aによって画像データから周波数データに変換されたデータはデータA03である。量子化部122によって量子化された量子化データはデータA04であり、エントロピー符号化部123によって符号化された符号化データはデータA05である。
【0084】
デジタル周波数解析装置121aにデータA01が入力されてからデータA03が出力されるまでに要する時間は、タイミングチャートで示すように24Th+αである。データA04、A05は、量子化部122、エントロピー符号化部123でそれぞれの処理時間をかけて処理され、処理遅延を伴って出力される。
【0085】
次に、図11を参照して、圧縮部12を含む画像圧縮送信装置10における撮像から、外部に設置する受信表示装置20における表示までの動作を説明する。撮像部11から出力され、圧縮部12に入力される画像データはデータA01であり、圧縮部12から出力され、送信部13に入力される符号化データはデータA05である。送信部13から送信され、受信部21で受信される符号化データはデータA06であり、受信部21から出力され、伸張部22に入力される符号化データはデータA07であり、伸張部22から出力され、表示部23に入力される画像データはデータA08である。
【0086】
データA01は、圧縮部12によって、前述した処理時間をかけてデータA05として画像圧縮される。データA05は、データの送受信による遅延を伴って送信され、受信部21はデータA06として受信する。受信部21から伸張部22に供給されるデータA07は伸張部22によって伸張処理され、遅延を伴ってデータA08として表示部23に入力される。伸張部22は、圧縮部12が行う処理の手順とは逆の手順の処理を行う。伸張部22は、8ライン分の画像データに相当する分以上の符号化データが入力された時点で処理を開始可能であり、圧縮部12の構成から容易に処理内容を推察できる。
【0087】
従来技術では、圧縮部32のフレームメモリに画像データを1フレーム分記憶してから読み出すことによって、撮像から表示までに少なくともTvの時間を要していた。一方、本実施形態によるデジタル周波数解析装置121aを用いた圧縮部12は、LOTを行うのに必要なライン数分の画像データをバッファメモリに記憶した時刻に読み出しを開始するため、撮像から表示までに要する遅延時間をTv時間から24Th時間に短縮することができる。以上の構成により、バッファメモリがLOTに必要なライン数分の画像データを記憶した時刻に読み出しを開始し、かつ折り返しによって画像を拡張してLOTを行うため、圧縮部12での処理遅延を最小限にすることができる。本実施形態は、YUV422線順次方式への適用が望ましい。
【0088】
また、画像の最上端および最下端を境界として画像の内側および外側の所定のライン数分が対称となるように画像の内側の所定のライン数分の画素を画像の外側に折り返して画像を拡張することによって、出力画角を入力画角と同一にすることができ、LOTによる画像周辺の画質劣化を防ぐことができる。
【0089】
また、LOTを行うのに必要なライン数分の画像データをバッファメモリに記憶するので、各バッファメモリの容量を1フレーム分の容量よりも小さくすることが可能となるため、回路規模を削減することができる。
【0090】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態を説明する。第2の実施形態も、第1の実施形態と同様の画像圧縮送信装置10に含まれる。図12は圧縮部12の構成を示している。第2の実施形態によるデジタル周波数解析装置121bは圧縮部12に含まれる。デジタル周波数解析装置121b以外の構成は第1の実施形態と同様である。デジタル周波数解析装置121bに供給される画像データをデータB01とし、量子化部122に供給される周波数データをデータB03とし、エントロピー符号化部123に供給される量子化データをデータB04とし、エントロピー符号化部123から出力される符号化データをデータB05とする。
【0091】
第2の実施形態では、輝度信号に対しての垂直方向のLOT処理はnライン単位(nは正の整数)で行われ、色差信号に対しての垂直方向のLOT処理はmライン単位(mは正の整数)で行われる。ただし、nとmとの比は、1Tv期間に入力される輝度信号と色差信号の入力ライン数の比と同一である。
【0092】
輝度データの垂直方向の8画素を重複させて16画素単位でLOTを行う場合の例を示す。図13に示すように、YUV422線順次フォーマットでは、輝度データのライン数に比べて色差データのライン数は半分である。本実施形態では、図13に示すように色差の垂直方向のLOTは、4画素を重複して8画素単位で行う。
【0093】
すなわち、輝度データに関して、垂直方向のLOTに必要なライン数は16ライン分であり、また、色差データに関して、垂直方向のLOTに必要なライン数は8ライン分となる。このように色差の垂直方向のLOTの単位を16画素から8画素にすると、色差のLOTの回数が2倍となり、輝度のLOT回数と一致する。以上により、色差の垂直方向のLOTを1回行う間に輝度の垂直方向のLOTを1回行うことで輝度と色差の圧縮処理が同期する。なお、LOTでは、重複する画素数の半分の画素数分を折り返して画像を拡張する必要があるが、このことを色差の垂直方向のLOTに当てはめると、2画素分、画像を拡張することになる。
【0094】
図14はデジタル周波数解析装置121bの構成を示している。デジタル周波数解析装置121bは、輝度データ処理部1Bと、色差データ処理部2Bと、メモリ制御部3Bとで構成される。
【0095】
輝度データ処理部1BはLOTによって輝度データを周波数データに変換する。色差データ処理部2BはLOTによって色差データを周波数データに変換するが、垂直方向のLOTの単位は輝度の半分のサイズで行う。メモリ制御部3Bは、輝度データの処理と色差データの処理とが同期して行われるように、輝度データ処理部1Bに含まれるバッファメモリY1b〜Y3bと、色差データ処理部2Bに含まれるバッファメモリU1b〜U3b、V1b〜V3bとのデータの書き込みおよび読み出しを制御する。
【0096】
輝度データ処理部1Bは、バッファメモリY1b〜Y3bと、LOT部4Bとで構成される。バッファメモリY1b〜Y3bは、デジタル周波数解析装置121bに入力された輝度データを記憶する。バッファメモリY1b〜Y3bは、それぞれ画像データを8ライン分記憶できるメモリである。バッファメモリY1b〜Y3bのメモリアドレスをy1b〜y6bとする。LOT部4Bは、バッファメモリY1b〜Y3bから読み出された輝度データに対してブロック単位で直交変換を行い周波数データに変換する。LOT部4Bは、第1の実施形態と同様に垂直方向のLOTを16画素単位で行う。
【0097】
色差データ処理部2Bは、バッファメモリU1b〜U3bと、バッファメモリV1b〜V3bと、LOT部5Bとで構成される。バッファメモリU1b〜U3b、V1a〜V3aは、デジタル周波数解析装置121bに入力された色差データを記憶する。バッファメモリU1b〜U3bのメモリアドレスをu1b〜u3b、バッファメモリV1b〜V3bのメモリアドレスをv1b〜v3bとする。バッファメモリU1b〜U3b、U1b〜V3bは、それぞれ画像データを4ライン分記憶できるメモリである。LOT部5Bは、バッファメモリU1b〜U3b、V1b〜V3bから読み出された色差データに対してブロック単位で直交変換を行い周波数データに変換する。LOT部5Bは垂直方向のLOTを8画素単位で行う。
【0098】
図15はメモリ制御部3Bの構成を示している。メモリ制御部3Bは、タイミング生成部31Bと、アドレス制御部32Bと、メモリ選択部33Bとで構成される。タイミング生成部31Bは、輝度データ処理部1Bと色差データ処理部2Bのそれぞれに、バッファメモリからのデータの読み出しの開始を指示する読み出し開始信号Bを出力する。アドレス制御部32Bは、バッファメモリY1b〜Y3b、U1b〜U3b、V1b〜V3bのメモリアドレスを出力する。メモリ選択部33Bは、データを読み出す対象となるバッファメモリを指示するメモリ選択信号Bを出力する。
【0099】
次に、輝度データ処理部1BにおけるバッファメモリY1b〜Y3bのデータの書き込みについて、図16、図17を参照して詳しく説明する。バッファメモリY1b〜Y3bに入力されるデータの最初の4ライン分はバッファメモリY1bに書き込まれる。次の8ライン分のデータはバッファメモリY2bに書き込まれ、その次の8ライン分のデータはバッファメモリY3bに書き込まれる。このようにメモリ制御部3Bのメモリ選択部33Bによって各バッファメモリY1b〜Y3bが選択され、バッファメモリY1b〜Y3bにデータが書き込まれる。
【0100】
次に、輝度データ処理部1BにおけるバッファメモリY1b〜Y3bのデータの読み出しについて、図16、図17を参照して詳しく説明する。メモリ制御部3Bのタイミング生成部31Bによって、各バッファメモリY1b〜Y3bに書き込まれたデータの読み出しが開始される。第1の実施形態と同様にアドレス制御部32Bがメモリアドレスy1b〜y3bを供給して読み出しを制御することで、4画素分折り返して拡張したデータがLOT部5Aに供給される。画像の折り返しによって画像を拡張しているが、例えば入力データの1ライン目をコピーして画像を拡張させてもよい。
【0101】
本実施形態では、輝度と色差で垂直方向のLOTの回数が同じであり、色差のLOTが1回行われる間に輝度のLOTも1回行われるため、16ライン分が各バッファメモリY1b〜Y3bから読み出される。この読み出しの動作について、以下で詳しく説明する。
【0102】
色差のLOTに同期するため、タイミング生成部31Bは、データが入力されてから12Th時間が経過した後に読み出し開始信号BをバッファメモリY1bに供給する。アドレス制御部32Bは、垂直方向に拡張したデータを得るために、まず、データの4ライン目を読み出すようにメモリアドレスy1bをバッファメモリY1bに供給する。続いて、3、2、1ライン目をこの順に読み出すようにメモリアドレスy1bをバッファメモリY1bに供給する。そしてもう一度、1、2、3、4ライン目をこの順に読み出すようにメモリアドレスy1bをバッファメモリY1bに供給する。よって、バッファメモリY1bから合計8ライン分のデータが読み出される。
【0103】
また、バッファメモリY1bから上記の8ライン分のデータが読み出される期間において、バッファメモリY2bから5〜12ライン目までの8ライン分のデータが読み出される。このようにしてバッファメモリY1b、Y2bから16ライン分のデータが読み出され、後段のLOT部4Aに供給される。
【0104】
次の垂直方向のLOTに用いられるデータと、前の垂直方向のLOTに用いられるデータとでは8ライン分が重複するため、もう一度バッファメモリY2bから5〜12ライン目までの8ライン分のデータが読み出される。また、バッファメモリY2bから上記の8ライン分のデータが読み出される期間において、バッファメモリY3bから13〜24ライン目までの8ライン分のデータが読み出される。このようにしてバッファメモリY2b、Y3bから16ライン分のデータが読み出され、後段のLOT部4Aに供給される。
【0105】
以降は同様にして8ライン分のデータを重複させてデータが読み出され、バッファメモリY1b〜Y3bのうちの2つから16ライン分のデータが後段のLOT部4Aに供給される。LOT部4Aは、入力されたデータを、16×16の画素を1ブロックとして8画素を重複しながら8×8の周波数データに変換し、後段の量子化部122に供給する。画像の下端部についても、上記と同様に垂直方向に4ライン分のデータが補間され、画像が拡張される。
【0106】
次に、色差データ処理部2BにおけるバッファメモリU1b〜U3bのデータの書き込みについて、図16、図17を参照して詳しく説明する。バッファメモリU1b〜U3bには奇数ラインが入力される。色差データについてはUとVの各データが1ライン毎に交互に入力されるため、LOTに必要なライン数が揃うまでの時間は輝度データと比べて2倍である。つまり、色差の垂直方向のLOTを行うためには8ライン分のデータが必要であるが、8ライン分のデータが揃うまでに16Thの時間を要する。ただし、画像の上端については2ライン分が拡張されるため、色差の垂直方向のLOTを行うためには6ライン分のデータが必要であり、6ライン分のデータが揃うまでに12Thの時間を要する。
【0107】
バッファメモリに入力されるデータの最初の2ライン分はバッファメモリU1bに書き込まれる。次の4ライン分のデータはバッファメモリU2bに書き込まれ、その次の4ライン分のデータはバッファメモリU3bに書き込まれる。このようにメモリ制御部3Bのメモリ選択部33Bによって各バッファメモリU1b〜U3bが選択され、バッファメモリU1b〜U3bにデータが書き込まれる。
【0108】
バッファメモリV1b〜V3bには偶数ラインが入力される。バッファメモリV1b〜V3bのデータの書き込みおよび読み出しの動作はバッファメモリU1b〜U3bと同様である。
【0109】
次に、色差データ処理部2BにおけるバッファメモリU1b〜U3bのデータの読み出しについて、図16、図17を参照して詳しく説明する。メモリ制御部3Bのタイミング生成部31Bによって、各バッファメモリU1b〜U3b、V1b〜V3bに書き込まれたデータの読み出しが開始される。
【0110】
後段のLOT部5Bでは、8×8画素を1ブロックとし、ブロック間で4画素を重複して直交変換を行うため、2画素分の折り返しによる画像の拡張が必要である。アドレス制御部32Bは、上記を満たすようにメモリアドレスを生成し、バッファメモリU1b〜U3bのデータの読み出しを制御する。
【0111】
この読み出しの動作について、以下で詳しく説明する。輝度データの読み出し開始と同時刻にタイミング生成部31Bは読み出し開始信号BをバッファメモリU1b、U2bに供給する。アドレス制御部32Bは、垂直方向に拡張したデータを得るために、まず、データの3ライン目を読み出すようにメモリアドレスu1bをバッファメモリU1bに供給する。続いて、1ライン目を読み出すようにメモリアドレスu1bをバッファメモリU1bに供給する。そしてもう一度、1、3ライン目を読み出すようにメモリアドレスu1bをバッファメモリU1bに供給する。よって、バッファメモリU1bから合計4ライン分のデータが読み出される。
【0112】
また、バッファメモリU1bから上記の4ライン分のデータが読み出される期間において、バッファメモリU2bから5、7、9、11ラインの4ライン分のデータが読み出される。このようにしてバッファメモリU1b、U2bから8ライン分のデータが読み出され、後段のLOT部5Bに供給される。
【0113】
LOT部5Bは、入力されたデータを、8×8の画素を1ブロックとして4画素を重複しながら4×4の周波数データに変換し、後段の量子化部122に供給する。上記では画像の折り返しを行って画像を拡張したが、例えば入力データの1ライン目をコピーして画像を拡張させてもよい。画像の下端部についても、上記と同様に垂直方向に2ライン分のデータが補間され、画像が拡張される。
【0114】
次に、図18を参照してデジタル周波数解析装置121bの動作を説明する。輝度データ処理部1B、色差データ処理部2Bに含まれるバッファメモリに書き込まれる画像データはデータB01である。タイミング生成部31Bから読み出し開始信号Bを受けてバッファメモリから読み出されてLOT部4B、5Bに供給される画像データをデータB02とする。LOT部4B、5Bで画像データから周波数データに変換されたデータはデータB03である。
【0115】
データB01はバッファメモリに順次書き込まれる。データB02は、タイミング生成部31Bから読み出し開始信号Bを受けてバッファメモリから読み出される。データB02は、輝度と色差の両方についてLOTに必要なライン数がバッファメモリに書き込まれてから読み出される。データB01の書き込み開始から、輝度と色差でLOTに必要なライン数が揃うまでに要する時間は同じ12Thの時間である。
【0116】
データB03はLOT部4B、5Bの処理結果であるため、データB02と比べて図18に示すような遅延時間βを伴って出力される。デジタル周波数解析装置121bに画像データが入力されてから周波数データが出力されるまでに要する時間は12Th+α(LOT処理時間)で済むため、第1の実施形態よりもさらに12Th分、撮像から表示までに要する遅延時間を短縮することができる。
【0117】
前述したようにYUV422線順次方式では輝度と色差のライン数が異なる。そこで、本実施形態のLOT部4B、5Bは、輝度と色差の入力ライン数の比と同一のライン数を単位として処理を行っている。具体的には、LOT部4Bは輝度の垂直方向のLOTを16ライン単位で行い、LOT部5Bは色差の垂直方向のLOTを8ライン単位で行う。このため、輝度の処理に必要な16ライン分(折り返しのために最初の4ライン分が2回読み出されることを考慮すると12ライン分)のデータが入力される時刻と、色差の処理に必要な8ライン分(折り返しのために最初の2ライン分が2回読み出されることを考慮すると6ライン分)のデータが入力される時刻とが同一となる。
【0118】
一方、第1の実施形態では、輝度の処理に必要な24ライン分(折り返しのために最初の4ライン分が2回読み出されることを考慮すると20ライン分)のデータが入力される時刻よりも、色差の処理に必要な16ライン分(折り返しのために最初の4ライン分が2回読み出されることを考慮すると12ライン分)のデータが入力される時刻が遅れる。このため、輝度データについては、必要なデータがバッファメモリに記憶されてからデータの読み出しが開始されるまでに遅延時間がある。これに対して、本実施形態では、輝度データ、色差データともに、必要なデータがバッファメモリに記憶されてからすぐにデータの読み出しが開始されるため、処理遅延を短縮することができる。
【0119】
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態を説明する。第3の実施形態も、第1の実施形態と同様の画像圧縮送信装置10に含まれる。図19は圧縮部12の構成を示している。第3の実施形態によるデジタル周波数解析装置121cは圧縮部12に含まれる。デジタル周波数解析装置121c以外の構成は第1、第2の実施形態と同様である。第3の実施形態は、輝度・色差の処理においてLOT処理部を時分割で使用することにより規模の削減を図るものである。
【0120】
図20はデジタル周波数解析装置121cの構成を示している。デジタル周波数解析装置121cは、輝度データのバッファメモリYBUFと、色差データのバッファメモリUBUF、VBUFと、メモリ制御部3Cと、選択部6Cと、補間部7Cと、LOT部8Cとで構成される。
【0121】
バッファメモリYBUFは、デジタル周波数解析装置121cに入力された輝度データを記憶する。バッファメモリUBUF、VBUFは、デジタル周波数解析装置121cに入力された色差データを記憶する。メモリ制御部3Cは、各バッファメモリに対するデータの書き込みおよび読み出しを制御し、特に読み出しに関しては、各バッファメモリからブロック単位で時分割にデータを読み出し、選択部6Cに供給する。ここで、輝度データYのブロック単位は16×16画素であり、色差データU、Vのブロック単位は16×8画素である。
【0122】
選択部6Cは、各バッファメモリから読み出されたデータを補間部7Cに出力すると共に、そのデータが輝度データであるのか、それとも色差データであるのかを識別する輝度色差識別信号を補間部7Cに出力する。補間部7Cは、選択部6Cから出力されたデータのうち色差データに対して垂直方向に画素補間を行う。LOT部8Cは、16×16画素のブロック単位でLOTを行い、画像データを周波数データに変換する。
【0123】
次に、メモリ制御部3C、選択部6C、補間部7Cの処理について詳しく説明する。図21に示すようにメモリ制御部3Cは、輝度データYのバッファメモリYBUFからYa、Yb、Yc・・・の順のMCU(Minimum Coded Unit)単位でデータを読み出す。一方、メモリ制御部3Cは、色差データU、VのバッファメモリUBUF、VBUFからUa、Ub、Uc・・・、Va、Vb、Vc・・・の順のMCU単位でデータを読み出す。
【0124】
補間部7Cは、選択部6Cからの輝度色差識別信号を受けて、輝度色差識別信号が色差データを示している場合、図22のように色差データU、Vに対して、垂直方向に8画素から16画素に補間する処理を行う。例えば16×8画素のデータUaを16×16画素のデータUa’に補間し、後段のLOT部8Cに供給する。なお、輝度データに対しては補間せずに後段のLOT部8Cに供給する。
【0125】
以下、輝度データYと色差データU、Vの時分割処理について、図23で示すタイミングチャートを使って説明する。メモリ制御部3Cは時刻t1でバッファメモリYBUFから輝度データYaを読み出す。続いて、時刻t2でバッファメモリUBUFから色差データUaを読み出し、時刻t3でバッファメモリVBUFから色差データVaを読み出す。
【0126】
また、選択部6Cは、色差データを読み出す時刻t2、t3ではタイミングチャートで示す輝度色差識別信号を補間部7Cに供給する。補間部7Cは、輝度色差識別信号を受けて、16×8画素の色差データUaを16×16画素の色差データUa’に補間する。同様に、補間部7Cは、輝度色差識別信号を受けて、16×8画素の色差データVaを16×16画素の色差データVa’に補間する。そして、輝度データYa、色差データUa’、色差データVa’の順で後段のLOT部8Cにデータを供給する。LOT部8Cは、Ya、Ua’、Va’、Yb、Ub’、Vb’・・・と入力されるデータを時分割で処理する。
【0127】
以上のように、補間部7Cは、色差データに対して、垂直方向にm個の画素をn個に補間する処理を行う。これによって、輝度データと色差データのブロックの大きさが同一となるため、輝度と色差とでLOT部8Cを共有化して時分割でLOTを行うことができる。したがって、単純な補間処理を行う補間部を追加することにより、大規模なLOT部を共有することができるため、回路規模を削減することができる。
【0128】
以上、図面を参照して本発明の実施形態について詳述してきたが、具体的な構成は上記の実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【符号の説明】
【0129】
10,30・・・画像圧縮送信装置、11,31・・・撮像部、12,32・・・圧縮部、13,33・・・送信部、20,40・・・受信表示装置、21,41・・・受信部、22,42・・・伸張部、23,43・・・表示部、121a,121b,121c,321・・・デジタル周波数解析装置、122,322・・・量子化部、123,323・・・エントロピー符号化部、3211・・・メモリ制御部、3212・・・フレームメモリ、3213・・・LOT部、1A,1B・・・輝度データ処理部、2A,2B・・・色差データ処理部、3A,3B,3C・・・メモリ制御部、4A,4B,5A,5B,8C・・・LOT部(重複直交変換部)、6C・・・選択部、7C・・・補間部、31A,31B・・・タイミング生成部(制御部)、32A,32B・・・アドレス制御部(画像補間部)、33A,33B・・・メモリ選択部
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタル画像データを周波数データに変換するデジタル周波数解析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
撮像した画像をリアルタイムに無線や有線で伝送し、表示するシステムでは、伝送路によって伝送可能な伝送レート(単位時間あたりに伝送可能なデータ量)が限られている。このため、画像以外の情報を同時に伝送する、画像を多画素化するなど、伝送量が増加する場合には所定の時間内に伝送が完了しないなどの問題があった。この課題を解決するために特許文献1で示すような画像の圧縮機能を搭載した画像圧縮送信装置が提案されている。
【0003】
図24は、画像圧縮送信装置30と、外部に設置する受信表示装置40との一例の概略構成を示している。図24において、画像圧縮送信装置30は、撮像部31と、圧縮部32と、送信部33とで構成され、受信表示装置40は、受信部41と、伸張部42と、表示部43とで構成される。
【0004】
画像圧縮送信装置30において、撮像部31は被写体からの光を受光し、その受光量に応じた電気信号を画像データとして生成するイメージセンサ等から構成される。撮像部31は、生成した画像データを後段の圧縮部32に供給する。圧縮部32に供給される画像データをデータ01とする。
【0005】
圧縮部32はデータ01を所定の画像圧縮方式によって符号化し、後段の送信部33に符号化データを供給する。送信部33に供給される符号化データをデータ05とする。
【0006】
送信部33は、データ05を、所定の伝送レートを持つ伝送路を介して、外部に設置した受信機を有する受信表示装置40に伝送する。受信表示装置40に伝送する符号化データをデータ06とする。
【0007】
受信表示装置40において、受信部41は、伝送されたデータ06を受信し、伸張部42に符号化データを供給する。伸張部42に供給される符号化データをデータ07とする。
【0008】
伸張部42は、データ07を画像データに復号化し、後段の表示部43に供給する。表示部43に供給される画像データをデータ08とする。
【0009】
表示部43は、データ08に基づく画像をモニタ等の表示装置に表示する。
【0010】
圧縮部32において、従来例では画像の圧縮方式として、所定のサイズの画像ブロックごとにDCT(Discrete Cosine Transform)を施して画像データを周波数データに変換するJPEGやMPEG等の方法が用いられている。しかし、内視鏡のような医療機器では診断用に高画質な画像を取得する要求があり、DCTを用いて周波数解析を行う場合、画像中の濃淡の少ない部分でブロック状のノイズが発生し、画質が劣化するという問題があった。
【0011】
この問題の解決方法として特許文献2で示すような方法が提案されている。この方法では、DCTの代わりに、画像ブロックを重複させて画像データを周波数データに変換するLOT(Lapped Orthogonal Transform)が実行される。以下、LOTを用いた圧縮部32について詳細に説明する。
【0012】
図25は、LOTにおける圧縮部32の構成を示している。圧縮部32は、図25に示すように、デジタル周波数解析装置321と、量子化部322と、エントロピー符号化部323とで構成される。デジタル周波数解析装置321には撮像部31から画像データであるデータ01が供給される。
【0013】
デジタル周波数解析装置321は、所定の画像ブロックごとにLOTを施して画像データを周波数データに変換し、後段の量子化部322に供給する。量子化部322に供給される周波数データをデータ03とする。
【0014】
量子化部322は、周波数データを量子化テーブル等で設定される量子化値で除算することで量子化し、量子化データを後段のエントロピー符号化部323に供給する。エントロピー符号化部323に供給される量子化データをデータ04とする。
【0015】
エントロピー符号化部323は、量子化データに対して、出現確率が高い値に短い符号を割り当てる可変長符号化を施すことで、データ量の削減された符号化データを生成し、出力する。エントロピー符号化部323から出力される符号化データはデータ05である。
【0016】
図26は、デジタル周波数解析装置321の構成を示している。デジタル周波数解析装置321は、図32に示すように、メモリ制御部3211と、フレームメモリ3212と、LOT部3213とで構成される。
【0017】
メモリ制御部3211は、フレームメモリ3212の読み出しのタイミングを制御する読み出し開始信号Cをフレームメモリ3212に供給する。フレームメモリ3212は1フレーム分の画像データ(データ01)を記憶し、記憶した画像データを、読み出し開始信号Cに応じて後段のLOT部3213に供給する。LOT部3213に供給される画像データをデータ02とする。
【0018】
LOT部3213は、画像データであるデータ02に対して前述のLOTを施して周波数データに変換する。LOT部3213から出力される周波数データはデータ03である。
【0019】
ここで、LOTに関して説明する。LOTは、隣接するブロックがそれぞれ重複した領域を持つように画像を複数のブロックに分割(ブロック化)しブロック単位で圧縮を行うものである。図27は、LOTを使用する場合のブロック化の例を示す。図27(a)が、水平方向に重複する例である。この場合、ブロック0では最初の16ラインの16画素(画素1〜画素16)のデータがブロック化される。続いて、隣接するブロック1では8画素分ずらした画素9から画素24のデータがブロック化される。すなわち、8画素分が重複している。同様にブロック1と隣接するブロック2についても8画素ずつ重複する。図27(b)が、垂直方向に重複する例である。この場合、ブロック0に隣接するブロックnでは8ライン分ずらしたライン9からライン24のデータがブロック化される。水平方向と同様に、8ライン分が重複する。
【0020】
図28は、水平および垂直の重複直交変換処理を示す。図28(a)は水平方向の重複直交変換処理を示す。前述したように、ブロック0とブロック1では重複して処理が行われる。これらのそれぞれのブロックに対し直交変換処理が行われる。この時、16×16画素に対して水平方向の直交変換を行った結果は16×8の周波数データとなる。図28(b)は垂直方向の重複直交変換処理を示す。水平方向と同様にブロック0とブロックnでは重複して処理が行われる。それぞれのブロックの16×8の画像データに対し直交変換処理を行い、8×8個の周波数データの結果が得られる。
【0021】
なお、伸張時にはそれぞれのブロックで8×8個の周波数データから16×16画素の画像データが生成される。8画素の重複部分を重畳することによりブロックノイズの無い画像が出力される。上述した水平および垂直の重複直交変換処理は、特許文献3で示されるLOT演算装置で開示されている。
【0022】
上記のように、LOTではブロックを重複させて直交変換するため、特許文献2に示すように、画像端の画素を折り返すことによって、画像の境界線に対して対称な画素を生成し、重複する画素数の半分の画素数分、画像を拡張する必要がある。例えば8画素を重複させて直交変換をする場合、図29に示すように、垂直方向に関して上下に4ラインずつ折り返した画像を直交変換する。したがって、LOTを用いたデジタル周波数解析装置は、画像データの折り返し処理を行うLOT部を有する。
【0023】
ここで、内視鏡で使用される撮像部の出力フォーマットについて説明する。内視鏡の撮像部の出力フォーマットとしてYUV422線順次方式が用いられることが多い。これは、暗い体内の撮影のために、撮像部には補色フィルタを用いた色差線順次型の撮像感度が高いイメージセンサを用いるからである。
【0024】
図30は撮像部からのYUV422出力を示す。輝度データ(Y)は、1ラインの周期を示す水平同期信号に同期して毎ライン出力され、色差データは赤色の色差(U)と青色の色差(V)の各データが1ライン毎に交互に出力される。図30では赤色の色差(U)のデータが先に入力される例であるが、撮像部によっては青色の色差(V)のデータが先に入力される場合もある。
【0025】
上記のようにYUV422線順次方式では輝度データのライン数は色差データの2倍となる。一般に、圧縮処理では輝度データ、色差データは独立の処理系によって処理されるが、色差データの処理量に対する輝度データの処理量も2倍になる。すなわち、それぞれのデータに対して同等の処理を行うと、各色差データの処理時間は輝度データの処理時間の半分となる。しかし、伸張後の画像を再構成するにあたり、輝度データと色差データを同期させる必要があるため、輝度データと色差データの圧縮処理は同期をとって行われる。
【0026】
図31は、LOTを用いた圧縮部32の処理を示す。一般に、撮像部31から入力される画像データは、1フレームの周期を示す垂直同期信号と1ラインの周期を示す水平同期信号とに同期して圧縮部32に供給される。図31に示すように、垂直同期信号の周期をTv時間、水平同期信号の周期をTh時間として以下の説明に用いる。
【0027】
フレームメモリ3212に記憶する画像データをデータ01、メモリ制御部3211からの読み出し開始信号Cを受けてフレームメモリ3212から読み出してLOT部3213に供給される画像データをデータ02、LOT部3213によって画像データから周波数データに変換された周波数データをデータ03、量子化部322によって量子化された量子化データをデータ04、エントロピー符号化部323によって符号化された符号化データをデータ05とする。
【0028】
データ01はフレーム単位でフレームメモリ3212に順次書き込まれる。フレームメモリ3212では1フレーム分のデータ01が書き込まれた後、メモリ制御部3211から読み出し信号Cを受けてデータの読み出しが行われるため、データ01に対してデータ02にはTv時間の遅延が生じる。データ03〜05は、各処理部の処理時間をかけて処理され、図31に示す処理遅延を伴い、出力される。よって、圧縮部32では、画像データが入力されてから符号化データが出力されるまでにTv+Δ(各処理に要する時間)分の処理時間を要する。
【0029】
図32は、圧縮部32へ画像データが入力されてから表示部43で画像を表示するまでの処理を示す。撮像部31から出力され、圧縮部32に入力される画像データはデータ01であり、圧縮部32から出力され、送信部33に入力される符号化データはデータ05である。送信部33から送信され、受信部41で受信されるデータはデータ06であり、伸張部42に入力される符号化データはデータ07であり、伸張部42から出力され、表示部43に入力される画像データはデータ08である。
【0030】
データ01は、圧縮部32によって、前述した処理時間をかけてデータ05に変換される。データ05は、データの送受信による遅延を伴って、データ06として受信部41で受信される。データ07は伸張部42によって伸張処理され、遅延を伴ってデータ08として表示部43に入力される。よって、フレームメモリ3212に1フレーム分のデータを記憶してから読み出すことと、各処理部の処理に伴う遅延とによって、撮像から表示までに少なくともTv時間以上の時間を要する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0031】
【特許文献1】特表2004−536644号公報
【特許文献2】特開平6−237449号公報
【特許文献3】特開平04−280189号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0032】
前述したように、従来技術ではLOTを用いて高画質な画像を得ている。内視鏡のように画像を閲覧しながらユーザが処置を行う用途では、撮像から表示までの遅延時間をなるべく短くしたいという要求がある。しかし、従来技術では画像圧縮処理の遅延時間を短くするという観点については考慮されていない。
【0033】
本発明は、上述した課題に鑑みてなされたものであって、画像の圧縮に伴う遅延を低減することができるデジタル周波数解析装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0034】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたもので、輝度データを処理する輝度データ処理部と色差データを処理する色差データ処理部とを備え、前記輝度データと前記色差データとで構成されるデジタル画像データを入力して輝度、色差成分毎の周波数データを出力するデジタル周波数解析装置であって、前記輝度データ処理部は、前記輝度データを記憶する第1のバッファメモリと、前記第1のバッファメモリに記憶された前記輝度データを読み出し、前記輝度データに対して、画像の上下の端部において所定のライン数分の画素を補間して画像を拡張する処理を行う第1の画像補間部と、前記第1の画像補間部によって処理された前記輝度データに対して、隣接するブロックがオーバーラップするように画像を分割した前記ブロックの単位で直交変換を行い周波数データに変換する第1の重複直交変換部とを有し、前記色差データ処理部は、前記色差データを記憶する第2のバッファメモリと、前記第2のバッファメモリに記憶された前記色差データを読み出し、前記色差データに対して、画像の上下の端部において所定のライン数分の画素を補間して画像を拡張する処理を行う第2の画像補間部と、前記第2の画像補間部によって処理された前記色差データに対して、隣接するブロックが重複するように画像を分割した前記ブロックの単位で前記色差データを直交変換して周波数データに変換する第2の重複直交変換部とを有し、前記第1、第2のバッファメモリに記憶された前記輝度データ、前記色差データのライン数と、所定期間に前記第1、第2の重複直交変換部で処理されるライン数とに応じて、前記第1、第2のバッファメモリから前記輝度データ、前記色差データを読み出すタイミングを制御する制御部を備えたことを特徴とするデジタル周波数解析装置である。
【0035】
また、本発明のデジタル周波数解析装置において、前記デジタル画像データは、輝度色差422形式であることを特徴とする。
【0036】
また、本発明のデジタル周波数解析装置において、前記第1、第2の画像補間部は、画像の最上端および最下端を境界として画像の内側および外側の所定のライン数分が対称となるように画像の内側の前記所定のライン数分の画素を画像の外側に折り返して画像を拡張することを特徴とする。
【0037】
また、本発明のデジタル周波数解析装置において、前記第1の重複直交変換部は、nライン(nは正の整数)からなる前記ブロックの単位で重複直交変換処理を行い、前記第2の重複直交変換部は、mライン(mは正の整数)からなる前記ブロックの単位で重複直交変換処理を行い、前記nとmとの比は入力される前記輝度データと前記色差データの入力ライン数の比と同一であることを特徴とする。
【0038】
また、本発明のデジタル周波数解析装置において、前記nは前記mより大きく、前記第2の重複直交変換部は、前記第2のバッファメモリに記憶された各ブロックの前記色差データに対して、画像の垂直方向に画素を補間して前記mラインを前記nラインに補間する処理を行う補間部を含み、前記nライン単位で重複直交変換処理を行うことを特徴とする。
【0039】
また、本発明のデジタル周波数解析装置において、前記第1、第2のバッファメモリの容量は1フレーム分の容量よりも小さいことを特徴とする。
【発明の効果】
【0040】
本発明によれば、直交変換に必要なライン数の輝度データ、色差データが第1、第2のバッファメモリに記憶された時点で輝度データ、色差データの読み出しが開始されるので、画像の圧縮に伴う遅延を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の第1の実施形態による内視鏡システムの構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の第1の実施形態による圧縮部の構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の第1の実施形態における2回のLOTに必要なライン数を示す参考図である。
【図4】本発明の第1の実施形態によるデジタル周波数解析装置の構成を示すブロック図である。
【図5】本発明の第1の実施形態によるメモリ制御部の構成を示すブロック図である。
【図6】本発明の第1の実施形態によるデジタル周波数解析装置の動作を示すタイミングチャートである。
【図7】本発明の第1の実施形態によるデジタル周波数解析装置の動作を示すタイミングチャートである。
【図8】本発明の第1の実施形態によるデジタル周波数解析装置の動作を示すタイミングチャートである。
【図9】本発明の第1の実施形態によるデジタル周波数解析装置の動作を示すタイミングチャートである。
【図10】本発明の第1の実施形態による圧縮部の動作を示すタイミングチャートである。
【図11】本発明の第1の実施形態による画像圧縮送信装置および受信表示装置の動作を示すタイミングチャートである。
【図12】本発明の第2の実施形態による圧縮部の構成を示すブロック図である。
【図13】本発明の第2の実施形態における2回のLOTに必要なライン数を示す参考図である。
【図14】本発明の第2の実施形態によるデジタル周波数解析装置の構成を示すブロック図である。
【図15】本発明の第2の実施形態によるメモリ制御部の構成を示すブロック図である。
【図16】本発明の第2の実施形態によるデジタル周波数解析装置の動作を示すタイミングチャートである。
【図17】本発明の第2の実施形態によるデジタル周波数解析装置の動作を示すタイミングチャートである。
【図18】本発明の第2の実施形態によるデジタル周波数解析装置の動作を示すタイミングチャートである。
【図19】本発明の第3の実施形態による圧縮部の構成を示すブロック図である。
【図20】本発明の第3の実施形態によるデジタル周波数解析装置の構成を示すブロック図である。
【図21】本発明の第3の実施形態におけるデータの読み出し方法を示す参考図である。
【図22】本発明の第3の実施形態における垂直方向の補間方法を示す参考図である。
【図23】本発明の第3の実施形態における時分割処理を説明するためのタイミングチャートである。
【図24】従来の画像圧縮送信装置および受信表示装置の構成を示すブロック図である。
【図25】従来の圧縮部の構成を示すブロック図である。
【図26】従来のデジタル周波数解析装置の構成を示すブロック図である。
【図27】LOTにおけるブロックを示す参考図である。
【図28】LOTの処理方法を示す参考図である。
【図29】画像の折り返し処理方法を示す参考図である。
【図30】YUV422線順次方式によるデータ出力を示すタイミングチャートである。
【図31】従来の圧縮部の動作を示すタイミングチャートである。
【図32】従来の画像圧縮送信装置および受信表示装置の動作を示すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0042】
以下、図面を参照し、本発明の実施形態を説明する。
【0043】
(第1の実施形態)
まず、本発明の第1の実施形態を説明する。第1の実施形態は、撮像した画像をリアルタイムに無線や有線で伝送し、表示する内視鏡システムに本発明を適用したものである。図1は、本実施形態による内視鏡システムの構成を示している。図1に示すように内視鏡システムは、画像圧縮送信装置10と、外部に設置する受信表示装置20とで構成される。
【0044】
画像圧縮送信装置10は、撮像部11と、圧縮部12と、送信部13とで構成され、受信表示装置20は、受信部21と、伸張部22と、表示部23とで構成される。
【0045】
画像圧縮送信装置10において、撮像部11は被写体からの光を受光し、その受光量に応じた電気信号を画像データとして生成するイメージセンサ等から構成される。撮像部11は、生成した画像データを後段の圧縮部12に供給する。圧縮部12に供給される画像データをデータA01とする。
【0046】
圧縮部12はデータA01を所定の画像圧縮方式によって符号化し、後段の送信部13に符号化データを供給する。送信部13に供給される符号化データをデータA05とする。
【0047】
送信部13は、データA05を、所定の伝送レートを持つ伝送路を介して、外部に設置した受信機を有する受信表示装置20に伝送する。受信表示装置20に伝送する符号化データをデータA06とする。
【0048】
受信表示装置20において、受信部21は、伝送されたデータA06を受信し、伸張部22に符号化データを供給する。伸張部22に供給される符号化データをデータA07とする。
【0049】
伸張部22は、データA07を画像データに復号化し、後段の表示部23に供給する。表示部23に供給される画像データをデータA08とする。
【0050】
表示部23は、データA08に基づく画像をモニタ等の表示装置に表示する。
【0051】
本発明のデジタル周波数解析装置は圧縮部12に搭載される。以下、圧縮部12の構成を説明する。図2は圧縮部12の構成を示している。圧縮部12は、図2に示すように、デジタル周波数解析装置121aと、量子化部122と、エントロピー符号化部123とで構成される。デジタル周波数解析装置121aには撮像部11から画像データであるデータA01が供給される。
【0052】
デジタル周波数解析装置121aは、所定の画像ブロックごとにLOTを施して画像データを周波数データに変換し、後段の量子化部122に供給する。量子化部122に供給される周波数データをデータA03とする。
【0053】
量子化部122は、周波数データを量子化テーブル等で設定される量子化値で除算することで量子化し、量子化データを後段のエントロピー符号化部123に供給する。エントロピー符号化部123に供給される量子化データをデータA04とする。
【0054】
エントロピー符号化部123は、量子化データに対して、出現確率が高い値に短い符号を割り当てる可変長符号化を施すことで、データ量の削減された符号化データを生成し、出力する。エントロピー符号化部123から出力される符号化データはデータA05である。
【0055】
次に、デジタル周波数解析装置121aについて詳しく説明する。デジタル周波数解析装置121aは、前述したように輝度データと色差データをLOTによって周波数データに変換するものである。本実施形態でもLOTは従来例と同様に16×16画素を1ブロックとし、8画素を重複させて直交変換を行う。すなわち、垂直方向のLOTを1回行うためには16ラインの入力が必要となる。
【0056】
ここで、本実施形態の画像圧縮送信装置10は入力フォーマットがYUV422線順次であり、Tv時間に入力される色差データのライン数に比べて輝度データのライン数は2倍となる。このため、輝度データの垂直方向のLOTの処理回数も色差データの処理回数に比べて2倍となる。
【0057】
また、本実施形態では、受信表示装置20において遅延時間を最小限に抑えた画像表示を行うため、輝度データと色差データの圧縮処理を同期させる必要がある。すなわち、輝度データと色差データの圧縮処理を同期して行うためには、色差の垂直方向のLOTを1回行う間に輝度の垂直方向のLOTを2回行う必要がある。
【0058】
また、LOTではブロックを重複させて直交変換するため、画像端の画素を折り返すことによって画像の境界線に対して対称な画素を生成し、重複する画素数の半分の画素数分、画像を拡張する必要がある。本実施形態の例では4画素の拡張が必要であり、拡張された画像データがLOTで周波数データに変換される。
【0059】
図29は垂直方向の画像の折り返し方法を示す。画像の上端部に位置するライン1〜4のデータが画像の折り返しに使用される。図29に示すように、画像の最上端を境界として画像の内側および外側の4ライン分が対称となるように、画像の内側のライン1〜4のデータが画像の外側に補間され、画像が拡張される。すなわち、境界から画像の外側に向かってライン1〜4のデータがこの順に並ぶようにデータが補間される。画像の下端部でも、画像の最下端を境界として画像の内側および外側の4ライン分が対称となるように、画像の内側の4ライン分のデータが画像の外側に補間され、画像が拡張される。水平方向も同様に4画素分の折り返しが行われる。
【0060】
図3に示すように、LOTを2回行うために必要なライン数は、2回のLOTで8ライン分が重複するため、24ラインである。図3に示す画像データは、上記の折り返しによる画像の拡張が行われた後のデータである。
【0061】
図4はデジタル周波数解析装置121aの構成を示している。デジタル周波数解析装置121aは、輝度データ処理部1Aと、色差データ処理部2Aと、メモリ制御部3Aとで構成される。
【0062】
輝度データ処理部1AはLOTによって輝度データを周波数データに変換する。色差データ処理部2AはLOTによって色差データを周波数データに変換する。メモリ制御部3Aは、輝度データの処理と色差データの処理とが同期して行われるように、輝度データ処理部1Aに含まれるバッファメモリY1a〜Y6aと、色差データ処理部2Aに含まれるバッファメモリU1a〜U3a、V1a〜V3aとのデータの書き込みおよび読み出しを制御する。
【0063】
輝度データ処理部1Aは、バッファメモリY1a〜Y6aと、LOT部4Aとで構成される。バッファメモリY1a〜Y6aは、デジタル周波数解析装置121aに入力された輝度データを記憶する。バッファメモリY1a〜Y6aのメモリアドレスをy1a〜y6aとする。LOT部4Aは、バッファメモリY1a〜Y6aから読み出された輝度データに対してブロック単位で直交変換を行い周波数データに変換する。
【0064】
色差データ処理部2Aは、バッファメモリU1a〜U3aと、バッファメモリV1a〜V3aと、LOT部5Aとで構成される。バッファメモリU1a〜U3a、V1a〜V3aは、デジタル周波数解析装置121aに入力された色差データを記憶する。バッファメモリU1a〜U3aのメモリアドレスをu1a〜u3a、バッファメモリV1a〜V3aのメモリアドレスをv1a〜v3aとする。LOT部5Aは、バッファメモリU1a〜U3a、V1a〜V3aから読み出された色差データに対してブロック単位で直交変換を行い周波数データに変換する。
【0065】
図5はメモリ制御部3Aの構成を示している。メモリ制御部3Aは、タイミング生成部31Aと、アドレス制御部32Aと、メモリ選択部33Aとで構成される。タイミング生成部31Aは、輝度データ処理部1Aと色差データ処理部2Aのそれぞれに、バッファメモリからのデータの読み出しの開始を指示する読み出し開始信号Aを出力する。アドレス制御部32Aは、バッファメモリY1a〜Y6a、U1a〜U3a、V1a〜V3aのメモリアドレスを出力する。メモリ選択部33Aは、データを読み出す対象となるバッファメモリを指示するメモリ選択信号Aを出力する。
【0066】
次に、輝度データ処理部1AにおけるバッファメモリY1a〜Y6aのデータの書き込みについて、図6〜図8を参照して詳しく説明する。バッファメモリY1a〜Y6aに入力されるデータの最初の4ライン分はバッファメモリY1aに書き込まれる。これは、後述するようにバッファメモリY1aの読み出しを制御することによって画像を折り返す処理を行うためである。次の8ライン分のデータはバッファメモリY2aに書き込まれ、その次の8ライン分のデータはバッファメモリY3aに書き込まれる。このようにメモリ制御部3Aのメモリ選択部33Aによって各バッファメモリY1a〜Y6aが選択され、バッファメモリY1a〜Y6aにデータが書き込まれる。
【0067】
次に、輝度データ処理部1AにおけるバッファメモリY1a〜Y6aのデータの読み出しについて、図6〜図8を参照して詳しく説明する。メモリ制御部3Aのタイミング生成部31Aによって、バッファメモリY1a〜Y6aに書き込まれたデータの読み出しが開始される。
【0068】
後段のLOT部4Aでは16×16画素を1ブロックとし、ブロック間で8画素を重複して直交変換を行うため、画像端の有効領域と無効領域の境界線に対して対称性を有するように4画素分を折り返して拡張したデータが必要である。また、前述したように輝度データについては、垂直方向のLOT2回分の処理に必要な24ライン分を読み出す必要がある。アドレス制御部32Aは、上記を満たすようにメモリアドレスを生成し、バッファメモリY1a〜Y6aのデータの読み出しを制御する。
【0069】
この読み出しの動作について、以下で詳しく説明する。色差データのLOTに同期するため、タイミング生成部31Aは、データが入力されてから24Th時間が経過した後に読み出し開始信号Aを各バッファメモリY1a〜Y6aに供給する。アドレス制御部32Aは、垂直方向に拡張したデータを得るために、まず、4ライン目を読み出すようにメモリアドレスy1aをバッファメモリY1aに供給する。続いて3、2、1ライン目をこの順に読み出すようにメモリアドレスy1aをバッファメモリY1aに供給する。そしてもう一度、1、2、3、4ライン目をこの順に読み出すようにメモリアドレスy1aをバッファメモリY1aに供給する。よって、バッファメモリY1aから合計8ライン分のデータが読み出される。
【0070】
また、バッファメモリY1aから上記の8ライン分のデータが読み出される期間において、バッファメモリY2aから5〜12ライン目までの8ライン分のデータが読み出される。さらに、バッファメモリY1aから上記の8ライン分のデータが読み出される期間において、バッファメモリY3aから13〜20ライン目までの8ライン分のデータが読み出される。このようにして、バッファメモリY1a、Y2a、Y3aから24ライン分のデータが読み出され、後段のLOT部4Aに供給される。
【0071】
LOT部4Aは、入力されたデータを、16×16の画素を1ブロックとして8画素を重複しながら8×8の周波数データに変換し、後段の量子化部122に供給する。上記では画像の折り返しを行って画像を拡張したが、例えば入力データの1ライン目をコピーして画像を拡張させてもよい。画像の下端部についても、上記と同様に垂直方向に4ライン分のデータが補間され、画像が拡張される。
【0072】
次に、色差データ処理部2AにおけるバッファメモリU1a〜U3aのデータの書き込みについて、図6〜図8を参照して詳しく説明する。色差データについては、UとVの各データが1ライン毎に交互に入力されるため、LOTに必要なライン数が揃うまでの時間は輝度データと比べて2倍となる。
【0073】
バッファメモリU1a〜U3aには奇数ラインが入力される。バッファメモリU1a〜U3aに入力されるデータの最初の4ライン分はバッファメモリU1aに書き込まれる。次の8ライン分のデータはバッファメモリU2aに書き込まれ、その次の8ライン分のデータはバッファメモリU3aに書き込まれる。このようにメモリ制御部3Aのメモリ選択部33Aによって各バッファメモリU1a〜U3aが選択され、バッファメモリU1a〜U3aにデータが書き込まれる。
【0074】
次に、色差データ処理部2AにおけるバッファメモリU1a〜U3aのデータの読み出しについて、図6〜図8を参照して詳しく説明する。メモリ制御部3Aのタイミング生成部31Aによって、バッファメモリU1a〜U3aに書き込まれたデータの読み出しが開始される。
【0075】
後段のLOT部5Aでは、輝度データと同様に16×16画素を1ブロックとし、ブロック間で8画素を重複して直交変換を行うため、画像端の有効領域と無効領域の境界線に対して対称性を有するように4画素分を折り返して拡張したデータが必要である。また、前述したように色差データについては、垂直方向のLOT1回分の処理に必要な16ライン分を読み出す必要がある。アドレス制御部32Aは、上記を満たすようにメモリアドレスを生成し、バッファメモリU1a〜U3aのデータの読み出しを制御する。
【0076】
この読み出しの動作について、以下で詳しく説明する。輝度データの読み出し開始と同時刻にタイミング生成部31Aは読み出し開始信号AをバッファメモリU1a、U2aに供給する。アドレス制御部32Aは、垂直方向に拡張したデータを得るために、まず、データの7ライン目を読み出すようにメモリアドレスu1aをバッファメモリU1aに供給する。続いて、5、3、1ライン目をこの順に読み出すようにメモリアドレスu1aをバッファメモリU1aに供給する。そしてもう一度、1、3、5、7ライン目をこの順に読み出すようにメモリアドレスu1aをバッファメモリU1aに供給する。よって、バッファメモリU1aから合計8ライン分のデータが読み出される。
【0077】
また、バッファメモリU1aから上記の8ライン分のデータが読み出される期間において、バッファメモリU2aから9、11、13、15、17、19、21、23ライン目の8ライン分のデータが読み出される。このようにして、バッファメモリU1a、U2aから16ライン分のデータが読み出され、後段のLOT部5Aに供給される。
【0078】
LOT部5Aは、入力されたデータを、16×16の画素を1ブロックとして8画素を重複しながら8×8の周波数データに変換し、後段の量子化部122に供給する。上記では画像の折り返しを行って画像を拡張したが、例えば入力データの1ライン目をコピーして画像を拡張させてもよい。画像の下端部についても、上記と同様に垂直方向に4ライン分のデータが補間され、画像が拡張される。
【0079】
バッファメモリV1a〜V3aには偶数ラインが入力される。バッファメモリV1a〜V3aのデータの書き込みおよび読み出しの動作はバッファメモリU1a〜U3aと同様である。
【0080】
次に、図9を参照してデジタル周波数解析装置121aの動作を説明する。輝度データ処理部1A、色差データ処理部2Aに含まれるバッファメモリに書き込まれる画像データはデータA01である。タイミング生成部31Aから読み出し開始信号Aを受けてバッファメモリから読み出されてLOT部4A、5Aに供給される画像データをデータA02とする。LOT部4A、5Aで画像データから周波数データに変換されたデータはデータA03である。
【0081】
データA01はバッファメモリに順次書き込まれる。データA02は、タイミング生成部31Aから読み出し開始信号Aを受けてバッファメモリから読み出される。データA02は、データA01の書き込み開始から24Th時間が経過した後に読み出される。これは、YUV422線順次フォーマットでは同期していない輝度と色差について、LOTの開始時刻を揃えるためである。
【0082】
データA03はLOT部4A、5Aの処理結果であるため、データA02と比べて図9に示すような遅延時間αを伴って出力される。よって、デジタル周波数解析装置121aに画像データが入力されてから周波数データが出力されるまでに要する時間は24Th+αである。
【0083】
次に、図10を参照して、デジタル周波数解析装置121aを含む圧縮部12の動作を説明する。デジタル周波数解析装置121aに入力される画像データはデータA01であり、デジタル周波数解析装置121aによって画像データから周波数データに変換されたデータはデータA03である。量子化部122によって量子化された量子化データはデータA04であり、エントロピー符号化部123によって符号化された符号化データはデータA05である。
【0084】
デジタル周波数解析装置121aにデータA01が入力されてからデータA03が出力されるまでに要する時間は、タイミングチャートで示すように24Th+αである。データA04、A05は、量子化部122、エントロピー符号化部123でそれぞれの処理時間をかけて処理され、処理遅延を伴って出力される。
【0085】
次に、図11を参照して、圧縮部12を含む画像圧縮送信装置10における撮像から、外部に設置する受信表示装置20における表示までの動作を説明する。撮像部11から出力され、圧縮部12に入力される画像データはデータA01であり、圧縮部12から出力され、送信部13に入力される符号化データはデータA05である。送信部13から送信され、受信部21で受信される符号化データはデータA06であり、受信部21から出力され、伸張部22に入力される符号化データはデータA07であり、伸張部22から出力され、表示部23に入力される画像データはデータA08である。
【0086】
データA01は、圧縮部12によって、前述した処理時間をかけてデータA05として画像圧縮される。データA05は、データの送受信による遅延を伴って送信され、受信部21はデータA06として受信する。受信部21から伸張部22に供給されるデータA07は伸張部22によって伸張処理され、遅延を伴ってデータA08として表示部23に入力される。伸張部22は、圧縮部12が行う処理の手順とは逆の手順の処理を行う。伸張部22は、8ライン分の画像データに相当する分以上の符号化データが入力された時点で処理を開始可能であり、圧縮部12の構成から容易に処理内容を推察できる。
【0087】
従来技術では、圧縮部32のフレームメモリに画像データを1フレーム分記憶してから読み出すことによって、撮像から表示までに少なくともTvの時間を要していた。一方、本実施形態によるデジタル周波数解析装置121aを用いた圧縮部12は、LOTを行うのに必要なライン数分の画像データをバッファメモリに記憶した時刻に読み出しを開始するため、撮像から表示までに要する遅延時間をTv時間から24Th時間に短縮することができる。以上の構成により、バッファメモリがLOTに必要なライン数分の画像データを記憶した時刻に読み出しを開始し、かつ折り返しによって画像を拡張してLOTを行うため、圧縮部12での処理遅延を最小限にすることができる。本実施形態は、YUV422線順次方式への適用が望ましい。
【0088】
また、画像の最上端および最下端を境界として画像の内側および外側の所定のライン数分が対称となるように画像の内側の所定のライン数分の画素を画像の外側に折り返して画像を拡張することによって、出力画角を入力画角と同一にすることができ、LOTによる画像周辺の画質劣化を防ぐことができる。
【0089】
また、LOTを行うのに必要なライン数分の画像データをバッファメモリに記憶するので、各バッファメモリの容量を1フレーム分の容量よりも小さくすることが可能となるため、回路規模を削減することができる。
【0090】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態を説明する。第2の実施形態も、第1の実施形態と同様の画像圧縮送信装置10に含まれる。図12は圧縮部12の構成を示している。第2の実施形態によるデジタル周波数解析装置121bは圧縮部12に含まれる。デジタル周波数解析装置121b以外の構成は第1の実施形態と同様である。デジタル周波数解析装置121bに供給される画像データをデータB01とし、量子化部122に供給される周波数データをデータB03とし、エントロピー符号化部123に供給される量子化データをデータB04とし、エントロピー符号化部123から出力される符号化データをデータB05とする。
【0091】
第2の実施形態では、輝度信号に対しての垂直方向のLOT処理はnライン単位(nは正の整数)で行われ、色差信号に対しての垂直方向のLOT処理はmライン単位(mは正の整数)で行われる。ただし、nとmとの比は、1Tv期間に入力される輝度信号と色差信号の入力ライン数の比と同一である。
【0092】
輝度データの垂直方向の8画素を重複させて16画素単位でLOTを行う場合の例を示す。図13に示すように、YUV422線順次フォーマットでは、輝度データのライン数に比べて色差データのライン数は半分である。本実施形態では、図13に示すように色差の垂直方向のLOTは、4画素を重複して8画素単位で行う。
【0093】
すなわち、輝度データに関して、垂直方向のLOTに必要なライン数は16ライン分であり、また、色差データに関して、垂直方向のLOTに必要なライン数は8ライン分となる。このように色差の垂直方向のLOTの単位を16画素から8画素にすると、色差のLOTの回数が2倍となり、輝度のLOT回数と一致する。以上により、色差の垂直方向のLOTを1回行う間に輝度の垂直方向のLOTを1回行うことで輝度と色差の圧縮処理が同期する。なお、LOTでは、重複する画素数の半分の画素数分を折り返して画像を拡張する必要があるが、このことを色差の垂直方向のLOTに当てはめると、2画素分、画像を拡張することになる。
【0094】
図14はデジタル周波数解析装置121bの構成を示している。デジタル周波数解析装置121bは、輝度データ処理部1Bと、色差データ処理部2Bと、メモリ制御部3Bとで構成される。
【0095】
輝度データ処理部1BはLOTによって輝度データを周波数データに変換する。色差データ処理部2BはLOTによって色差データを周波数データに変換するが、垂直方向のLOTの単位は輝度の半分のサイズで行う。メモリ制御部3Bは、輝度データの処理と色差データの処理とが同期して行われるように、輝度データ処理部1Bに含まれるバッファメモリY1b〜Y3bと、色差データ処理部2Bに含まれるバッファメモリU1b〜U3b、V1b〜V3bとのデータの書き込みおよび読み出しを制御する。
【0096】
輝度データ処理部1Bは、バッファメモリY1b〜Y3bと、LOT部4Bとで構成される。バッファメモリY1b〜Y3bは、デジタル周波数解析装置121bに入力された輝度データを記憶する。バッファメモリY1b〜Y3bは、それぞれ画像データを8ライン分記憶できるメモリである。バッファメモリY1b〜Y3bのメモリアドレスをy1b〜y6bとする。LOT部4Bは、バッファメモリY1b〜Y3bから読み出された輝度データに対してブロック単位で直交変換を行い周波数データに変換する。LOT部4Bは、第1の実施形態と同様に垂直方向のLOTを16画素単位で行う。
【0097】
色差データ処理部2Bは、バッファメモリU1b〜U3bと、バッファメモリV1b〜V3bと、LOT部5Bとで構成される。バッファメモリU1b〜U3b、V1a〜V3aは、デジタル周波数解析装置121bに入力された色差データを記憶する。バッファメモリU1b〜U3bのメモリアドレスをu1b〜u3b、バッファメモリV1b〜V3bのメモリアドレスをv1b〜v3bとする。バッファメモリU1b〜U3b、U1b〜V3bは、それぞれ画像データを4ライン分記憶できるメモリである。LOT部5Bは、バッファメモリU1b〜U3b、V1b〜V3bから読み出された色差データに対してブロック単位で直交変換を行い周波数データに変換する。LOT部5Bは垂直方向のLOTを8画素単位で行う。
【0098】
図15はメモリ制御部3Bの構成を示している。メモリ制御部3Bは、タイミング生成部31Bと、アドレス制御部32Bと、メモリ選択部33Bとで構成される。タイミング生成部31Bは、輝度データ処理部1Bと色差データ処理部2Bのそれぞれに、バッファメモリからのデータの読み出しの開始を指示する読み出し開始信号Bを出力する。アドレス制御部32Bは、バッファメモリY1b〜Y3b、U1b〜U3b、V1b〜V3bのメモリアドレスを出力する。メモリ選択部33Bは、データを読み出す対象となるバッファメモリを指示するメモリ選択信号Bを出力する。
【0099】
次に、輝度データ処理部1BにおけるバッファメモリY1b〜Y3bのデータの書き込みについて、図16、図17を参照して詳しく説明する。バッファメモリY1b〜Y3bに入力されるデータの最初の4ライン分はバッファメモリY1bに書き込まれる。次の8ライン分のデータはバッファメモリY2bに書き込まれ、その次の8ライン分のデータはバッファメモリY3bに書き込まれる。このようにメモリ制御部3Bのメモリ選択部33Bによって各バッファメモリY1b〜Y3bが選択され、バッファメモリY1b〜Y3bにデータが書き込まれる。
【0100】
次に、輝度データ処理部1BにおけるバッファメモリY1b〜Y3bのデータの読み出しについて、図16、図17を参照して詳しく説明する。メモリ制御部3Bのタイミング生成部31Bによって、各バッファメモリY1b〜Y3bに書き込まれたデータの読み出しが開始される。第1の実施形態と同様にアドレス制御部32Bがメモリアドレスy1b〜y3bを供給して読み出しを制御することで、4画素分折り返して拡張したデータがLOT部5Aに供給される。画像の折り返しによって画像を拡張しているが、例えば入力データの1ライン目をコピーして画像を拡張させてもよい。
【0101】
本実施形態では、輝度と色差で垂直方向のLOTの回数が同じであり、色差のLOTが1回行われる間に輝度のLOTも1回行われるため、16ライン分が各バッファメモリY1b〜Y3bから読み出される。この読み出しの動作について、以下で詳しく説明する。
【0102】
色差のLOTに同期するため、タイミング生成部31Bは、データが入力されてから12Th時間が経過した後に読み出し開始信号BをバッファメモリY1bに供給する。アドレス制御部32Bは、垂直方向に拡張したデータを得るために、まず、データの4ライン目を読み出すようにメモリアドレスy1bをバッファメモリY1bに供給する。続いて、3、2、1ライン目をこの順に読み出すようにメモリアドレスy1bをバッファメモリY1bに供給する。そしてもう一度、1、2、3、4ライン目をこの順に読み出すようにメモリアドレスy1bをバッファメモリY1bに供給する。よって、バッファメモリY1bから合計8ライン分のデータが読み出される。
【0103】
また、バッファメモリY1bから上記の8ライン分のデータが読み出される期間において、バッファメモリY2bから5〜12ライン目までの8ライン分のデータが読み出される。このようにしてバッファメモリY1b、Y2bから16ライン分のデータが読み出され、後段のLOT部4Aに供給される。
【0104】
次の垂直方向のLOTに用いられるデータと、前の垂直方向のLOTに用いられるデータとでは8ライン分が重複するため、もう一度バッファメモリY2bから5〜12ライン目までの8ライン分のデータが読み出される。また、バッファメモリY2bから上記の8ライン分のデータが読み出される期間において、バッファメモリY3bから13〜24ライン目までの8ライン分のデータが読み出される。このようにしてバッファメモリY2b、Y3bから16ライン分のデータが読み出され、後段のLOT部4Aに供給される。
【0105】
以降は同様にして8ライン分のデータを重複させてデータが読み出され、バッファメモリY1b〜Y3bのうちの2つから16ライン分のデータが後段のLOT部4Aに供給される。LOT部4Aは、入力されたデータを、16×16の画素を1ブロックとして8画素を重複しながら8×8の周波数データに変換し、後段の量子化部122に供給する。画像の下端部についても、上記と同様に垂直方向に4ライン分のデータが補間され、画像が拡張される。
【0106】
次に、色差データ処理部2BにおけるバッファメモリU1b〜U3bのデータの書き込みについて、図16、図17を参照して詳しく説明する。バッファメモリU1b〜U3bには奇数ラインが入力される。色差データについてはUとVの各データが1ライン毎に交互に入力されるため、LOTに必要なライン数が揃うまでの時間は輝度データと比べて2倍である。つまり、色差の垂直方向のLOTを行うためには8ライン分のデータが必要であるが、8ライン分のデータが揃うまでに16Thの時間を要する。ただし、画像の上端については2ライン分が拡張されるため、色差の垂直方向のLOTを行うためには6ライン分のデータが必要であり、6ライン分のデータが揃うまでに12Thの時間を要する。
【0107】
バッファメモリに入力されるデータの最初の2ライン分はバッファメモリU1bに書き込まれる。次の4ライン分のデータはバッファメモリU2bに書き込まれ、その次の4ライン分のデータはバッファメモリU3bに書き込まれる。このようにメモリ制御部3Bのメモリ選択部33Bによって各バッファメモリU1b〜U3bが選択され、バッファメモリU1b〜U3bにデータが書き込まれる。
【0108】
バッファメモリV1b〜V3bには偶数ラインが入力される。バッファメモリV1b〜V3bのデータの書き込みおよび読み出しの動作はバッファメモリU1b〜U3bと同様である。
【0109】
次に、色差データ処理部2BにおけるバッファメモリU1b〜U3bのデータの読み出しについて、図16、図17を参照して詳しく説明する。メモリ制御部3Bのタイミング生成部31Bによって、各バッファメモリU1b〜U3b、V1b〜V3bに書き込まれたデータの読み出しが開始される。
【0110】
後段のLOT部5Bでは、8×8画素を1ブロックとし、ブロック間で4画素を重複して直交変換を行うため、2画素分の折り返しによる画像の拡張が必要である。アドレス制御部32Bは、上記を満たすようにメモリアドレスを生成し、バッファメモリU1b〜U3bのデータの読み出しを制御する。
【0111】
この読み出しの動作について、以下で詳しく説明する。輝度データの読み出し開始と同時刻にタイミング生成部31Bは読み出し開始信号BをバッファメモリU1b、U2bに供給する。アドレス制御部32Bは、垂直方向に拡張したデータを得るために、まず、データの3ライン目を読み出すようにメモリアドレスu1bをバッファメモリU1bに供給する。続いて、1ライン目を読み出すようにメモリアドレスu1bをバッファメモリU1bに供給する。そしてもう一度、1、3ライン目を読み出すようにメモリアドレスu1bをバッファメモリU1bに供給する。よって、バッファメモリU1bから合計4ライン分のデータが読み出される。
【0112】
また、バッファメモリU1bから上記の4ライン分のデータが読み出される期間において、バッファメモリU2bから5、7、9、11ラインの4ライン分のデータが読み出される。このようにしてバッファメモリU1b、U2bから8ライン分のデータが読み出され、後段のLOT部5Bに供給される。
【0113】
LOT部5Bは、入力されたデータを、8×8の画素を1ブロックとして4画素を重複しながら4×4の周波数データに変換し、後段の量子化部122に供給する。上記では画像の折り返しを行って画像を拡張したが、例えば入力データの1ライン目をコピーして画像を拡張させてもよい。画像の下端部についても、上記と同様に垂直方向に2ライン分のデータが補間され、画像が拡張される。
【0114】
次に、図18を参照してデジタル周波数解析装置121bの動作を説明する。輝度データ処理部1B、色差データ処理部2Bに含まれるバッファメモリに書き込まれる画像データはデータB01である。タイミング生成部31Bから読み出し開始信号Bを受けてバッファメモリから読み出されてLOT部4B、5Bに供給される画像データをデータB02とする。LOT部4B、5Bで画像データから周波数データに変換されたデータはデータB03である。
【0115】
データB01はバッファメモリに順次書き込まれる。データB02は、タイミング生成部31Bから読み出し開始信号Bを受けてバッファメモリから読み出される。データB02は、輝度と色差の両方についてLOTに必要なライン数がバッファメモリに書き込まれてから読み出される。データB01の書き込み開始から、輝度と色差でLOTに必要なライン数が揃うまでに要する時間は同じ12Thの時間である。
【0116】
データB03はLOT部4B、5Bの処理結果であるため、データB02と比べて図18に示すような遅延時間βを伴って出力される。デジタル周波数解析装置121bに画像データが入力されてから周波数データが出力されるまでに要する時間は12Th+α(LOT処理時間)で済むため、第1の実施形態よりもさらに12Th分、撮像から表示までに要する遅延時間を短縮することができる。
【0117】
前述したようにYUV422線順次方式では輝度と色差のライン数が異なる。そこで、本実施形態のLOT部4B、5Bは、輝度と色差の入力ライン数の比と同一のライン数を単位として処理を行っている。具体的には、LOT部4Bは輝度の垂直方向のLOTを16ライン単位で行い、LOT部5Bは色差の垂直方向のLOTを8ライン単位で行う。このため、輝度の処理に必要な16ライン分(折り返しのために最初の4ライン分が2回読み出されることを考慮すると12ライン分)のデータが入力される時刻と、色差の処理に必要な8ライン分(折り返しのために最初の2ライン分が2回読み出されることを考慮すると6ライン分)のデータが入力される時刻とが同一となる。
【0118】
一方、第1の実施形態では、輝度の処理に必要な24ライン分(折り返しのために最初の4ライン分が2回読み出されることを考慮すると20ライン分)のデータが入力される時刻よりも、色差の処理に必要な16ライン分(折り返しのために最初の4ライン分が2回読み出されることを考慮すると12ライン分)のデータが入力される時刻が遅れる。このため、輝度データについては、必要なデータがバッファメモリに記憶されてからデータの読み出しが開始されるまでに遅延時間がある。これに対して、本実施形態では、輝度データ、色差データともに、必要なデータがバッファメモリに記憶されてからすぐにデータの読み出しが開始されるため、処理遅延を短縮することができる。
【0119】
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態を説明する。第3の実施形態も、第1の実施形態と同様の画像圧縮送信装置10に含まれる。図19は圧縮部12の構成を示している。第3の実施形態によるデジタル周波数解析装置121cは圧縮部12に含まれる。デジタル周波数解析装置121c以外の構成は第1、第2の実施形態と同様である。第3の実施形態は、輝度・色差の処理においてLOT処理部を時分割で使用することにより規模の削減を図るものである。
【0120】
図20はデジタル周波数解析装置121cの構成を示している。デジタル周波数解析装置121cは、輝度データのバッファメモリYBUFと、色差データのバッファメモリUBUF、VBUFと、メモリ制御部3Cと、選択部6Cと、補間部7Cと、LOT部8Cとで構成される。
【0121】
バッファメモリYBUFは、デジタル周波数解析装置121cに入力された輝度データを記憶する。バッファメモリUBUF、VBUFは、デジタル周波数解析装置121cに入力された色差データを記憶する。メモリ制御部3Cは、各バッファメモリに対するデータの書き込みおよび読み出しを制御し、特に読み出しに関しては、各バッファメモリからブロック単位で時分割にデータを読み出し、選択部6Cに供給する。ここで、輝度データYのブロック単位は16×16画素であり、色差データU、Vのブロック単位は16×8画素である。
【0122】
選択部6Cは、各バッファメモリから読み出されたデータを補間部7Cに出力すると共に、そのデータが輝度データであるのか、それとも色差データであるのかを識別する輝度色差識別信号を補間部7Cに出力する。補間部7Cは、選択部6Cから出力されたデータのうち色差データに対して垂直方向に画素補間を行う。LOT部8Cは、16×16画素のブロック単位でLOTを行い、画像データを周波数データに変換する。
【0123】
次に、メモリ制御部3C、選択部6C、補間部7Cの処理について詳しく説明する。図21に示すようにメモリ制御部3Cは、輝度データYのバッファメモリYBUFからYa、Yb、Yc・・・の順のMCU(Minimum Coded Unit)単位でデータを読み出す。一方、メモリ制御部3Cは、色差データU、VのバッファメモリUBUF、VBUFからUa、Ub、Uc・・・、Va、Vb、Vc・・・の順のMCU単位でデータを読み出す。
【0124】
補間部7Cは、選択部6Cからの輝度色差識別信号を受けて、輝度色差識別信号が色差データを示している場合、図22のように色差データU、Vに対して、垂直方向に8画素から16画素に補間する処理を行う。例えば16×8画素のデータUaを16×16画素のデータUa’に補間し、後段のLOT部8Cに供給する。なお、輝度データに対しては補間せずに後段のLOT部8Cに供給する。
【0125】
以下、輝度データYと色差データU、Vの時分割処理について、図23で示すタイミングチャートを使って説明する。メモリ制御部3Cは時刻t1でバッファメモリYBUFから輝度データYaを読み出す。続いて、時刻t2でバッファメモリUBUFから色差データUaを読み出し、時刻t3でバッファメモリVBUFから色差データVaを読み出す。
【0126】
また、選択部6Cは、色差データを読み出す時刻t2、t3ではタイミングチャートで示す輝度色差識別信号を補間部7Cに供給する。補間部7Cは、輝度色差識別信号を受けて、16×8画素の色差データUaを16×16画素の色差データUa’に補間する。同様に、補間部7Cは、輝度色差識別信号を受けて、16×8画素の色差データVaを16×16画素の色差データVa’に補間する。そして、輝度データYa、色差データUa’、色差データVa’の順で後段のLOT部8Cにデータを供給する。LOT部8Cは、Ya、Ua’、Va’、Yb、Ub’、Vb’・・・と入力されるデータを時分割で処理する。
【0127】
以上のように、補間部7Cは、色差データに対して、垂直方向にm個の画素をn個に補間する処理を行う。これによって、輝度データと色差データのブロックの大きさが同一となるため、輝度と色差とでLOT部8Cを共有化して時分割でLOTを行うことができる。したがって、単純な補間処理を行う補間部を追加することにより、大規模なLOT部を共有することができるため、回路規模を削減することができる。
【0128】
以上、図面を参照して本発明の実施形態について詳述してきたが、具体的な構成は上記の実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【符号の説明】
【0129】
10,30・・・画像圧縮送信装置、11,31・・・撮像部、12,32・・・圧縮部、13,33・・・送信部、20,40・・・受信表示装置、21,41・・・受信部、22,42・・・伸張部、23,43・・・表示部、121a,121b,121c,321・・・デジタル周波数解析装置、122,322・・・量子化部、123,323・・・エントロピー符号化部、3211・・・メモリ制御部、3212・・・フレームメモリ、3213・・・LOT部、1A,1B・・・輝度データ処理部、2A,2B・・・色差データ処理部、3A,3B,3C・・・メモリ制御部、4A,4B,5A,5B,8C・・・LOT部(重複直交変換部)、6C・・・選択部、7C・・・補間部、31A,31B・・・タイミング生成部(制御部)、32A,32B・・・アドレス制御部(画像補間部)、33A,33B・・・メモリ選択部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
輝度データを処理する輝度データ処理部と色差データを処理する色差データ処理部とを備え、前記輝度データと前記色差データとで構成されるデジタル画像データを入力して輝度、色差成分毎の周波数データを出力するデジタル周波数解析装置であって、
前記輝度データ処理部は、
前記輝度データを記憶する第1のバッファメモリと、
前記第1のバッファメモリに記憶された前記輝度データを読み出し、前記輝度データに対して、画像の上下の端部において所定のライン数分の画素を補間して画像を拡張する処理を行う第1の画像補間部と、
前記第1の画像補間部によって処理された前記輝度データに対して、隣接するブロックがオーバーラップするように画像を分割した前記ブロックの単位で直交変換を行い周波数データに変換する第1の重複直交変換部と
を有し、
前記色差データ処理部は、
前記色差データを記憶する第2のバッファメモリと、
前記第2のバッファメモリに記憶された前記色差データを読み出し、前記色差データに対して、画像の上下の端部において所定のライン数分の画素を補間して画像を拡張する処理を行う第2の画像補間部と、
前記第2の画像補間部によって処理された前記色差データに対して、隣接するブロックが重複するように画像を分割した前記ブロックの単位で前記色差データを直交変換して周波数データに変換する第2の重複直交変換部と
を有し、
前記第1、第2のバッファメモリに記憶された前記輝度データ、前記色差データのライン数と、所定期間に前記第1、第2の重複直交変換部で処理されるライン数とに応じて、前記第1、第2のバッファメモリから前記輝度データ、前記色差データを読み出すタイミングを制御する制御部を備えた
ことを特徴とするデジタル周波数解析装置。
【請求項2】
前記デジタル画像データは、輝度色差422形式であることを特徴とする請求項1に記載のデジタル周波数解析装置。
【請求項3】
前記第1、第2の画像補間部は、画像の最上端および最下端を境界として画像の内側および外側の所定のライン数分が対称となるように画像の内側の前記所定のライン数分の画素を画像の外側に折り返して画像を拡張することを特徴とする請求項1に記載のデジタル周波数解析装置。
【請求項4】
前記第1の重複直交変換部は、nライン(nは正の整数)からなる前記ブロックの単位で重複直交変換処理を行い、前記第2の重複直交変換部は、mライン(mは正の整数)からなる前記ブロックの単位で重複直交変換処理を行い、前記nとmとの比は入力される前記輝度データと前記色差データの入力ライン数の比と同一であることを特徴とする請求項1に記載のデジタル周波数解析装置。
【請求項5】
前記nは前記mより大きく、前記第2の重複直交変換部は、前記第2のバッファメモリに記憶された各ブロックの前記色差データに対して、画像の垂直方向に画素を補間して前記mラインを前記nラインに補間する処理を行う補間部を含み、前記nライン単位で重複直交変換処理を行うことを特徴とする請求項4に記載のデジタル周波数解析装置。
【請求項6】
前記第1、第2のバッファメモリの容量は1フレーム分の容量よりも小さいことを特徴とする請求項1に記載のデジタル周波数解析装置。
【請求項1】
輝度データを処理する輝度データ処理部と色差データを処理する色差データ処理部とを備え、前記輝度データと前記色差データとで構成されるデジタル画像データを入力して輝度、色差成分毎の周波数データを出力するデジタル周波数解析装置であって、
前記輝度データ処理部は、
前記輝度データを記憶する第1のバッファメモリと、
前記第1のバッファメモリに記憶された前記輝度データを読み出し、前記輝度データに対して、画像の上下の端部において所定のライン数分の画素を補間して画像を拡張する処理を行う第1の画像補間部と、
前記第1の画像補間部によって処理された前記輝度データに対して、隣接するブロックがオーバーラップするように画像を分割した前記ブロックの単位で直交変換を行い周波数データに変換する第1の重複直交変換部と
を有し、
前記色差データ処理部は、
前記色差データを記憶する第2のバッファメモリと、
前記第2のバッファメモリに記憶された前記色差データを読み出し、前記色差データに対して、画像の上下の端部において所定のライン数分の画素を補間して画像を拡張する処理を行う第2の画像補間部と、
前記第2の画像補間部によって処理された前記色差データに対して、隣接するブロックが重複するように画像を分割した前記ブロックの単位で前記色差データを直交変換して周波数データに変換する第2の重複直交変換部と
を有し、
前記第1、第2のバッファメモリに記憶された前記輝度データ、前記色差データのライン数と、所定期間に前記第1、第2の重複直交変換部で処理されるライン数とに応じて、前記第1、第2のバッファメモリから前記輝度データ、前記色差データを読み出すタイミングを制御する制御部を備えた
ことを特徴とするデジタル周波数解析装置。
【請求項2】
前記デジタル画像データは、輝度色差422形式であることを特徴とする請求項1に記載のデジタル周波数解析装置。
【請求項3】
前記第1、第2の画像補間部は、画像の最上端および最下端を境界として画像の内側および外側の所定のライン数分が対称となるように画像の内側の前記所定のライン数分の画素を画像の外側に折り返して画像を拡張することを特徴とする請求項1に記載のデジタル周波数解析装置。
【請求項4】
前記第1の重複直交変換部は、nライン(nは正の整数)からなる前記ブロックの単位で重複直交変換処理を行い、前記第2の重複直交変換部は、mライン(mは正の整数)からなる前記ブロックの単位で重複直交変換処理を行い、前記nとmとの比は入力される前記輝度データと前記色差データの入力ライン数の比と同一であることを特徴とする請求項1に記載のデジタル周波数解析装置。
【請求項5】
前記nは前記mより大きく、前記第2の重複直交変換部は、前記第2のバッファメモリに記憶された各ブロックの前記色差データに対して、画像の垂直方向に画素を補間して前記mラインを前記nラインに補間する処理を行う補間部を含み、前記nライン単位で重複直交変換処理を行うことを特徴とする請求項4に記載のデジタル周波数解析装置。
【請求項6】
前記第1、第2のバッファメモリの容量は1フレーム分の容量よりも小さいことを特徴とする請求項1に記載のデジタル周波数解析装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【公開番号】特開2011−188121(P2011−188121A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−49564(P2010−49564)
【出願日】平成22年3月5日(2010.3.5)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月5日(2010.3.5)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]