説明

デスクシステム

【課題】排熱ファンから送風された空気を排出するための排気孔、およびディスプレイなどが取り付けられる支柱が設置されたデスクシステムを簡易な構造にする。
【解決手段】天板(天板部)2と、床面F上に立設し天板部2を支持する支持部3と、天板部2上に立設しディスプレイ(ディスプレイ装置)14が取り付けられる支柱4と、を備える。床面Fと天板部2との間の電子機器11が収容される内部空間Sには、天板部2に形成されて天板部2の幅方向に延び上下方向(厚さ方向)に貫通する長孔26aに向かって内部空間S1の空気を排出する排熱ファン12が設けられている。支柱4は、平面視において長孔26aよりも少なくとも一部において小さい形状に形成されるとともに長孔26aを貫通し天板部2を上下方向両側から挟持する固定手段(支持手段)30によって支持されている

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オフィスやトレーダールームなどの執務空間にて使用され、内部に電子機器を収容可能なデスクシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、オフィスやトレーダールームなどの執務空間では、天板下などの内部に電子機器を収容可能なデスクシステムが使用されている。このようなデスクシステムには、例えば特許文献1および2に開示されているように、収容された電子機器から生じた熱を外部へ排出する排熱ファンを備えているものがある。このように排熱ファンを備えたデスクシステムでは、排熱ファンから送風された空気を外部へ排出するための排気孔が例えば天板などに設けられている。
【0003】
また、特許文献3および4に開示されているような、天板を支持するフレーム(支持部)に電子機器と接続されたディスプレイを設置するための支柱を取り付たデスクシステムも使用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−105284号公報
【特許文献2】特開2001−251号公報
【特許文献3】特開2000−70051号公報
【特許文献4】特開2002−65367号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、デスクシステムは、様々な機能が付加されると、利便性は向上するが構造が複雑になるため、高価になるとともに製造や組み立てに時間がかかるという問題がある。特に、排熱ファンから送風された空気を排出するための排気孔および支柱の両方が設置されたデスクシステムでは、使用者から遠いデスクシステムの後側にこれらの排気孔や支柱が集中して設置されるため、後側の構造が複雑になっている。
【0006】
本発明は、上述する問題点に鑑みてなされたもので、排熱ファンから送風された空気を排出するための排気孔、およびディスプレイなどが取り付けられる支柱が設置されたデスクシステムを簡易な構造にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明に係るデスクシステムは、天板と、床面上に立設し前記天板を支持する支持部と、前記天板上に立設しディスプレイ装置や照明器具、棚板などが取り付けられる支柱と、を備え、前記床面と前記天板との間の電子機器が収容される内部空間には、前記天板に形成されて該天板の幅方向に延び厚さ方向に貫通する長孔に向かって前記内部空間の空気を排出する排熱ファンが設けられ、前記支柱は、平面視において前記長孔よりも少なくとも一部において小さい形状に形成されるとともに前記長孔を貫通し前記天板を厚さ方向両側から挟持することで前記天板に対して固定される支持手段によって支持されていることを特徴とする。
【0008】
本発明では、内部空間の空気を天板に形成された長孔から内部空間の外方へ排出する排熱ファンを備えていることにより、電子機器から生じた熱によって高温となった空気を効率よく内部空間の外方へ排出することができる。
また、天板上に立設する支柱を備えていることにより、ディスプレイ装置や照明器具、棚板などが取り付けられてデスクシステムの利便性を高めることができる。
【0009】
さらに、本発明では、長孔を貫通し天板を厚さ方向両側から挟持することで天板に対して固定される支持手段によって支柱が天板上に立設した状態に支持されている。そして、支持手段は平面視において長孔よりも少なくとも一部において小さい形状に形成されていることにより、支持手段が長孔を塞ぐことがなく、支持手段が天板に取り付けられた状態でも排熱ファンから排出された空気を長孔から排出することができる。
このように、長孔は、電子機器から生じた熱を排出するための孔部と、支柱を支持する支持手段を天板に固定するための孔部と、を兼ねているため、両方の孔部を形成する必要がなくデスクシステムの構造を簡易にすることができる。
【0010】
また、本発明に係るデスクシステムでは、前記内部空間には、前記電子機器が収容される電子機器収容部が形成されて、前記排熱ファンは前記電子機器収容部の上方に設けられているとともに、前記長孔は前記排熱ファンの上方に形成されていることが好ましい。
このように、内部空間には、電子機器が収容される電子機器収容部が形成されて、排熱ファンは電子機器収容部の上方に設けられているとともに、長孔は排熱ファンの上方に形成されていることにより、内部空間において安定した空気の流れが確保されるため、内部空間の排熱効果を高めることができる。
【0011】
また、本発明に係るデスクシステムでは、前記内部空間には、前記天板に形成された開口部を介して前記天板の上方の空間と連通可能に設けられ配線が収容される配線収容部が形成されていて、前記開口部は前記長孔よりも前方に位置していることが好ましい。
このように、内部空間には、天板に形成された開口部を介して天板の上方の空間と連通可能に設けられ配線が収容される配線収容部が形成されていて、開口部は長孔よりも前方に位置していることにより、使用者がデスクシステムの前方から開口部を介して配線収容部の配線作業を行う際に、配線収容部よりも後方に位置する長孔から排出された温風が使用者に当たることがないため、快適に作業を行うことができる。
【0012】
また、本発明に係るデスクシステムでは、前記天板には、前記開口部を閉塞可能な閉塞部材が設けられていることが好ましい。
このように、天板には、開口部を閉塞可能な閉塞部材が設けられていることにより、開口部を閉塞すれば、開口部から配線収容部に空気が流入することを防止できる。このため、排熱ファンは、開口部から配線収容部に流入した空気を吸引することがなく、電子機器収容部の空気を外部へ確実に排出することができるため、排熱効果を高めることができる。
【0013】
また、本発明に係るデスクシステムでは、前記閉塞部材の縁部および前記開口部の縁部の少なくとも一方には、他方と当接する弾性部材が設けられ、前記弾性部材を弾性変形させることで前記配線収容部と前記天板の上方の空間との間で配線可能であることが好ましい。
このように、閉塞部材の縁部および開口部の縁部の少なくとも一方には、他方と当接する弾性部材が設けられていることにより、開口部を確実に閉塞することができる。また、開口部を挿通するケーブルなどが設置されている場合に、ケーブルの側面に弾性部材が弾性変形して密着することによって、ケーブルが挿通されたことによってできる開口部と閉塞部材との隙間を少なくすることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、天板に形成された長孔は、電子機器から生じた熱を排出するための孔部と、支柱を支持する支持手段を天板に固定するための孔部と、を兼ねているため、両方の孔部を形成する必要がなくデスクシステムの構造を簡易にすることができ、デスクシステムにかかるコストを抑えることができるとともに製造や組み立てにかかる時間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施形態によるデスクシステムの一例を示す図である。
【図2】図1に示すデスクシステムの前面図である。
【図3】天板部を説明する図である。
【図4】電子機器収容部を説明する図である。
【図5】排熱ファン収容部および配線収容部を説明する図である
【図6】配線収容部と排熱ファンを説明する図である。
【図7】配線収容部と排熱ファンを説明する斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態によるデスクシステムについて、図1乃至図7に基づいて説明する。
図1および図2に示すように、本実施形態によるデスクシステム1は、平面視矩形状の天板部(天板)2と、床面Fに立設し天板部2の両側端部を支持する1対の支持部3,3と、を備えている。
図1に示すように、天板部2と床面Fとの間には内部空間Sが形成されている。そして、この内部空間Sは、電子機器11が収容される電子機器収容部S1と、電子機器収容部S1の空気を内部空間Sの外方に排出する排熱ファン12が収容される排熱ファン収容部S2と、電子機器11と接続される配線13が収容される配線収容部S3と、から構成されている。この配線13とは、電子機器11と電源や各種機器、照明装置と電源などを接続するために用いられるものであり、電源用や通信用の各種ケーブルのみならず、OAタップ、ローゼットなども含む。
【0017】
また、デスクシステム1は、天板部2において、使用者が位置する前部と反対側の後部で上側に突出するように立設する支柱4を備えており、この支柱4にはディスプレイ(ディスプレイ装置)14が取り付けられている。
そして、図1において、ディスプレイ14は、表示画面が、使用者(不図示)が図中の左側となる前側から図中右側となる後側を見ることで確認できるように支柱4に取り付けられている。
【0018】
図1および図3に示すように、天板部2は、電子機器11およびディスプレイ14と接続されたキーボード15(図1参照)などが載置される天板本体21と、天板本体21よりも後側に位置し支柱4が固定される支柱固定部22とを備えている。天板本体21および支柱固定部22は、ともに支持部3,3に支持されている。
天板本体21と支柱固定部22とは、同じ高さに前後方向へ互いに間隔をあけるように設置されている。この天板本体21と支柱固定部22との間には、配線用開口部(開口部)23が形成されている。
【0019】
配線用開口部23は、配線収容部S3の上部に位置している。そして、この配線用開口部23を介して配線収容部S3と天板部2の上方の空間とが連通可能で、使用者が天板部2の上方の空間から配線収容部S3へアクセス可能となるように構成されている。また、配線用開口部23は、天板部2の上方の空間から配線収容部S3へ配線13が挿入可能であるとともに、使用者が天板部2の上方の空間から手を挿入して配線収容部S3で作業ができる大きさに形成されている。配線用開口部23は、天板部2の略全幅にわたって形成されている。
また、天板部2は、配線用開口部23を閉塞可能なカバー部材(閉塞部材)24を備えている。なお、カバー部材24は、1つ部材で配線用開口部23を閉塞する形態としてもよく、複数の部材で配線用開口部23を閉塞する形態としてもよい。
【0020】
カバー部材24には、その前端部および後端部にゴムなどの弾性部材25が取り付けられている。カバー部材24が配線用開口部23に設置されると、弾性部材25が配線用開口部23の縁部と接触し、配線用開口部23を略密閉することができる。
また、図3に示すように、配線用開口部23に配線(ケーブル)13が挿通された状態でカバー部材24を設置すると、弾性部材25が配線13の側面に沿った形状に弾性変形し、配線13とカバー部材24との隙間を少なくすることができる。
更に、使用者がカバー部材24を配線用開口部23へ取り付けたり、配線用開口部23から取り外したりする際に、弾性部材25を弾性変形させることでカバー部材24を持ち易くすることができる。
本実施形態では、弾性部材25は、中空の管状に形成されている。なお、弾性部材25は、帯状など他の形状に形成されていてもよい。また、弾性部材25は、カバー部材24の前端部および後端部だけでなく側端部に取り付けられていてもよい。
【0021】
図1および図3に示すように、支柱固定部22は、横方向に延在するとともに前後方向に所定の間隔をあけて設置された一対の角型パイプ26,26を備えている。これら一対の角型パイプ26,26は、両側部がそれぞれ支持部3に支持されている。そして、一対の角型パイプ26,26の間には、一対の角型パイプ26,26と一対の支持部3とに囲まれた長孔26aが形成されている。図1に示すように、この長孔26aは、天板2を上下方向(厚さ方向)に貫通しているとともに、配線用開口部23よりも後方に位置している。
【0022】
一対の角型パイプ26,26は、横方向複数箇所に設けられた固定手段(支持手段)30によって一体とされている。固定手段30は、一対の角型パイプ26,26の上側に設置された上側板部材27(図1参照)一対の角型パイプ26,26の下側に設置された下側板部材28(図1参照)と、長孔26aに挿通されて上側板部材27および下側板部材28を連結する固定具29とを有する。
【0023】
そして、一対の角型パイプ26、26は、固定具29によって連結された上側板部材27および下側板部材28により上下側から挟持されることで一体となるように固定されている。なお、図3に示すように、隣り合う固定手段30は、所定の間隔をあけて一対の角型パイプ26,26に取り付けられており、長孔26aは、固定手段30が取り付けられている部分以外は、上下方向に貫通している。
【0024】
また、固定手段30の上側板部材27には支柱4が固定されており、固定手段30は支柱4を天板部2に立設した状態に支持する支持手段としても機能している。
なお、一対の角型パイプ26,26に対して、固定手段30を取り付ける位置や、固定手段30の数は適宜設定されてもよい。
【0025】
図4に示すように、天板部2と床面Fとの間の内部空間Sにおいて、後側には後面パネル31が、両側方には側面パネル32,32が、それぞれ配設されている。また、内部空間Sの前側には開口部33が形成されるとともに開口部33を開放・閉塞する扉34が設置されている。
なお、天板部2を複数配列して使用する場合は、配列された複数の天板部2の両側方に側面パネル32,32が配設されていてもよい。
内部空間Sは、扉34で開口部33を閉塞することで、外部と区画された状態となっている。
【0026】
本実施形態では、扉34は2枚の中折れ戸35,35からなる中折れ観音式扉となっている。具体的には、中折れ戸35の一方の端部35aが水平面内において回転可能に取り付けられて、他方の端部35bが開口部33に設けられたレール36に沿って水平方向に移動することで、開口部33を開放・閉鎖している。
そして、扉34を開放したときに、2枚の中折れ戸35,35の他方の端部35bをレール36から外すことによって、開口部33を更に拡張することができる。
【0027】
図1に示すように、電子機器収容部S1は、内部空間Sにおいて下部側に位置している。また、排熱ファン収容部S2および配線収容部S3は、内部空間Sにおいて上部側に位置している。そして、排熱ファン収容部S2および配線収容部S3は前後方向に隣接しており、後側に排熱ファン収容部S2、前側に配線収容部S3となるように配されている。
電子機器収容部S1は、開口部33に面していて、開口部33からのアクセスが可能となっている。また、排熱ファン収容部S2および配線収容部S3は、天板部2と面していて、配線収容部S3については上記のとおり天板部2に設けられた配線用開口部23からアクセスすることが可能となっている。
電子機器収容部S1、排熱ファン収容部S2および配線収容部S3は、それぞれ内部空間Sの全幅にわたって形成されている。
【0028】
電子機器収容部S1には、収容される電子機器11を載置するとともに床面F上を走行するキャスター37を備えた棚板38が設置されている。そして、扉34を開いて開口部33を開放した状態で棚板38を移動させることで、電子機器11を電子機器収容部S1に出し入れすることができる。
【0029】
図1および図5に示すように、電子機器収容部S1と配線収容部S3との間には、両者を区画するための第1区画板(区画板)41および第2区画板(区画板)42が横方向に複数配列されている。第1区画板41および第2区画板42は、前後方向に隣接しており、後側に第1区画板41、前側に第2区画板42が設置されている。第1区画板41および第2区画板42には、複数のスリット(通気孔)43(図5参照)が形成されている。
そして、第1区画板41および第2区画板42に複数のスリット43が形成されていることにより、電子機器収容部S1および配線収容部S3間における空気の流出入が可能となっている。
【0030】
電子機器収容部S1と配線収容部S3との間には、前後方向に延在する長尺の支持材44が横方向に互いに間隔をあけて複数設置されている。第1区画板41および第2区画板42は、複数の支持材44の上に設置されていて、支持材44に対して着脱可能に構成されている。第1区画板41および第2区画板42の上において、配線収容部S3となる範囲には配線13(図1参照)が載置されている。
【0031】
図5に示すように、第1区画板41は、面方向を水平面とする水平板部41aと、水平板部41aの後端部に接続されて面方向を鉛直方向とする鉛直板部41bと、水平板部41aの前端部に接続されて上方に立ち上がる立ち上がり部41cとを備えている。
鉛直板部41bは、排熱ファン収容部S2と配線収容部S3との間に位置し、その上端部は天板部2の下面近傍まで達している。
また、立ち上がり部41cは、鉛直板部41bよりも低く、配線収容部S3の空間を分割しない高さに形成されている。
スリット43は、水平板部41aおよび鉛直板部41bに形成されている。そして、鉛直板部41bにスリット43が形成されていることにより、電子機器収容部S1および排熱ファン収容部S2間における空気の流出入が可能となっている。
また、第1区画板41には、水平板部41aの横方向の端部に、配線13(図1参照)が挿通される切欠き部41dが形成されている。
【0032】
第2区画板42は、側面視略C字型状に形成され、面方向を水平方向とする水平板部42aと、水平板部42aの前端部および後端部に接続されている立ち上がり部42bとを備えている。スリット43は、水平板部41aに形成されている。
立ち上がり部42bは第1区画板41の立ち上がり部41cと同様に、配線収容部S3の空間を分割しない高さに形成されている。
また、第2区画板42には、水平板部42aの横方向の端部に、配線13(図1参照)が挿通される切欠き部42dが形成されている。
【0033】
図1および図5に示すように、排熱ファン収容部S2は、支持材44の上側に位置している。そして、排熱ファン12は、支持材44に固定具46で固定されている。なお、本実施形態では、排熱ファン12は、防振ゴム47(図5参照)を介して支持材44に固定されている。
また、本実施形態では、排熱ファン12に横方向に延設されたクロスファンが使用されており、下方および側方の空気を吸引するとともに、この空気を上方へ排出している。
排熱ファン12の下方には電子機器収容部S1が位置し、側方には配線収容部S3が位置しているため、排熱ファン12は電子機器収容部S1および配線収容部S3の空気を吸引している。
そして、排熱ファン12は、吸引した空気を上方に排出し、この排熱ファン12から排出された空気は、支柱固定部22の一対の角型パイプ26,26の間に形成された長孔26aから天板部2の上方へ排出されている。
【0034】
図1に示すデスクシステム1において、電子機器11を使用することによって電子機器11から熱が生じると、この熱によって電子機器収容部S1の電子機器11周辺の空気が高温となる。電子機器収容部S1の高温となった空気は上昇し、排熱ファン収容部S2および配線収容部S3へ移動する。このとき、電子機器収容部S1から配線収容部S3へ上昇する空気は、図5に示す第1区画板41の水平板部41aおよび第2区画板42の水平板部42aに形成されたスリット43を通過している。
また、排熱ファン12が駆動していることにより、電子機器収容部S1および配線収容部S3の空気が排熱ファン12に吸引される。このとき、配線収容部S3から排熱ファン12に吸引される空気は、図5に示す第1区画板41の鉛直板部41bに形成されたスリット43を通過している。
そして、排熱ファン12に吸引された空気は、上方に向かって強制的に送風され、長孔26aから天板部2の上方の空間へ排出される。
なお、図5に示すように、扉34には、通気用のスリット34aが形成されているため、電子機器収容部S1には外部から空気が流入している。
【0035】
図6および図7に示すように、配線収容部S3は、第1区画板41を取り外すと、前後方向に隣接する排熱ファン収容部S2と連通した状態となっている。そして、この状態において、使用者が天板部2の上方の空間から配線用開口部23および配線収容部S3を通して排熱ファン12に接触できるようになっている。
また、配線収容部S3および配線用開口部23は、排熱ファン12を出し入れ可能な大きさに形成されていて、排熱ファン12の取付・取り外し作業やメンテナンス作業を天板部2の上方の空間から行うことができるようになっている。
【0036】
次に、上述したデスクシステム1の効果について説明する。
本実施形態によるデスクシステム1によれば、天板部2に形成された長孔26aは、電子機器11から生じた熱を外部へ排出するため孔部と、支柱4を天板部2上に立設するために固定手段30を固定するための孔部とを兼ねていることにより、両方の孔部をそれぞれ形成する必要がなく、デスクシステム1の構造を簡易にすることができる。このため、デスクシステム1にかかるコストを抑えることができるとともに製造や組み立てにかかる時間を短縮することができる。
【0037】
また、排熱ファン12は電子機器収容部S1の上方に設けられているとともに、長孔26aは、排熱ファン12上方に形成されていることにより、内部空間Sにおいて安定した空気の流れが確保されるため、内部空間Sの排熱効果を高めることができる。
また、配線用開口部23は長孔26aよりも前方に位置していることにより、デスクシステム1の前方から配線用開口部23を介して配線収容部S3の配線作業を行う際に、作業を行う使用者に排熱ファン12によって長孔26aから排出された温風が当たることがないため、使用者が快適に作業を行うことができる。
【0038】
以上、本発明によるデスクシステム1の実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、上述した実施形態では、支柱4にディスプレイ14が取り付けられているが、ディスプレイ14に代わって、照明器具や収納棚などが取り付けられていてもよい。
また、上述した実施形態では、電子機器収容部S1と配線収容部S3とは第1区画板41および第2区画板42に形成されたスリット43によって空気の出入が可能であるが、電子機器収容部S1と配線収容部S3との空気の出入を遮断して、電子機器11から生じる熱が配線収容部S3を介さずに排熱ファン収容部S2へ流入する形態としてもよい。
【0039】
また、上述した実施形態では、カバー部材24の前端部および後端部に弾性部材25が取り付けられているが、カバー部材24に弾性部材25を設けずに、配線用開口部23の縁部に弾性部材25を取り付けてもよい。また、カバー部材24の前端部および後端部、配線用開口部23の縁部の両方に弾性部材25を取り付けてもよく、これら両方に弾性部材25を取り付けていなくてもよい。
また、上述した実施形態では、配線収容部S3は、電子機器収容部S1の上部に隣接していて、電子機器収容部S1と通気可能であるが、電子機器収容部S1と離間していてもよく、また、電子機器収容部S1と通気可能でなくてもよい。
【0040】
また、上述した実施形態では、一対の支持部3,3で天板部2を支持しているが、天板部2を支持する支持部3の数は2つ以外でもよい、
また、上述した実施形態では、天板部2と床面Fとの間の内部空間Sには、後側に後面パネル31が設置されているが、2台のデスクシステム1をその後面が互いに対向するように設置する場合は、後面パネル31を設置しなくてもよい。
【符号の説明】
【0041】
1 デスクシステム
2 天板部
3 支持部
11 電子機器
12 排熱ファン
13 配線
14 ディスプレイ(ディスプレイ装置)
23 配線用開口部(開口部)
24 カバー部材(閉塞部材)
25 弾性部材
26a 長孔
30 固定手段(支持手段)
S1 電子機器収容部
S3 配線収容部
F 床面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
天板と、
床面上に立設し前記天板を支持する支持部と、
前記天板上に立設しディスプレイ装置や照明器具、棚板などが取り付けられる支柱と、を備え、
前記床面と前記天板との間の電子機器が収容される内部空間には、前記天板に形成されて該天板の幅方向に延び厚さ方向に貫通する長孔に向かって前記内部空間の空気を排出する排熱ファンが設けられ、
前記支柱は、平面視において前記長孔よりも少なくとも一部において小さい形状に形成されるとともに前記長孔を貫通し前記天板を厚さ方向両側から挟持することで前記天板に対して固定される支持手段によって支持されていることを特徴とするデスクシステム。
【請求項2】
前記内部空間には、前記電子機器が収容される電子機器収容部が形成されて、前記排熱ファンは前記電子機器収容部の上方に設けられているとともに、前記長孔は前記排熱ファンの上方に形成されていることを特徴とする請求項1に記載のデスクシステム。
【請求項3】
前記内部空間には、前記天板に形成された開口部を介して前記天板の上方の空間と連通可能に設けられ配線が収容される配線収容部が形成されて、前記開口部は前記長孔よりも前方に位置していることを特徴とする請求項1または2に記載のデスクシステム。
【請求項4】
前記天板には、前記開口部を閉塞可能な閉塞部材が設けられていることを特徴とする請求項3に記載のデスクシステム。
【請求項5】
前記閉塞部材の縁部および前記開口部の縁部の少なくとも一方には、他方と当接する弾性部材が設けられ、前記弾性部材を弾性変形させることで前記配線収容部と前記天板の上方の空間との間で配線可能であることを特徴とする請求項4に記載のデスクシステム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−61173(P2012−61173A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−208456(P2010−208456)
【出願日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【出願人】(000000561)株式会社岡村製作所 (1,415)