説明

データ変換方法およびデータ変換装置

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、画像データや音声データ、または、プロセスデータや圧力,電圧などの計測データをデータ圧縮・伸張するデータ変換装置に関する。
【0002】
【従来の技術】非可逆なデータ圧縮技術は、主に冗長なデータを直接削除する直接圧縮法と、直交変換などによって特徴の抽出などを行う変換圧縮法に大別される。この中で、許容誤差の設定が可能なデータ圧縮法は、直接圧縮法に類別されるものがほとんどである。直接圧縮法に類別されるものの中で、許容誤差の設定が可能なデータ圧縮方法としては、零次予測型圧縮方法,一次予測型圧縮方法,零次補間型圧縮方法,一次補間型圧縮方法などがある。これらの手法は、いずれもデータ全体を直線近似することに基づいている。
【0003】上述した手法の中では、一次補間型圧縮法が、最も圧縮率が高い。以下、この一次補間型圧縮法について、概略を説明する。まず、ある時刻tnでのデータをXnとし、出発点X0を必要な点として保存する。ついで、出発点X0から、その次の点X1より許容範囲eだけ上下の点へ2本の直線を引き、これらをU1,L1とする。同様に、出発点X0から、その2つ次の点X2より許容範囲eだけ上下の点へ2本の直線U2,L2を引く。
【0004】ここで、直線U2,L2で挟まれる領域と、直線U1,L1で挟まれる領域とで重なる部分が無い場合、点X1は必要なデータとして保存し、このX1を新たな出発点とし、上述と同様のことを行う。一方、その重なる部分がある場合、点X1は余分なデータとみなして削除し、今度は、出発点X0から、点X3より許容範囲eだけ上下の点へ2本の直線を引き、これらをU3,L3とする。
【0005】そして、直線U3,L3で挟まれる領域と、直線U2,L2および直線U1,L1で挟まれる領域とで重なる部分が有る場合、点X2は余分なデータとみなして削除し、無い場合は、点X2は必要なデータとして保存する。以上示したことと同様に、出発点Xmから、点Xnより許容範囲eだけ上下の点へ2本の直線Un,Lnを引き、この2つの直線で挟まれる領域と、k=m+1〜n−1の全てにおいて、2本の直線Uk,Lkで挟まれる領域とで重なる部分がある場合、点Xn−1を余分なデータとみなして削除する。
【0006】また、上述の手法のほかに、ウエーブレット変換を用いたデータ圧縮技術がある。ウエーブレット変換は、その性質により、連続ウエーブレット変換、離散ウエーブレット変換に分類される。その、離散ウエーブレット変換は、逆変換が一意に決まるかどうかにより、直交ウエーブレット変換と非直交ウエーブレット変換に分類される。
【0007】データ圧縮に用いられるウエーブレット変換は、直交ウエーブレット変換なので、以下に、直交ウエーブレット変換について説明する。時間領域上にある信号を、V0:V0(n){n=1,2,・・・,N}とする。直交ウエーブレット順変換は以下の数1で表される。
【0008】
【数1】


【0009】この変換式により、信号V0 から信号V1:V1(n){n=1,2,〜N/2}とW1:W1(n){n=1,2,〜N/2}が得られ、同様に、Vj:Vj(n){n=1,2,〜N/2j }から、Vj+1:Vj+1(n){n=1,2,〜N/2j+1 }とWj+1:Wj+1(n){n=1,2,〜N/2j+1 }が得られる。また、直交ウエーブレット逆変換は、以下の数2で表される。
【0010】
【数2】


【0011】したがって、逆変換によってもとの時間領域の信号V0 を得るには、ウエーブレット順変換によって得られた信号Vj とW1〜Wj{jは自然数}が必要となる。時間領域の信号V0 のデータ数Nが2j で割り切れる場合、Vj とW1〜Wjのデータ数の和はNとなり、V0 と等しくなる。
【0012】以上のことにより、直交ウエーブレット変換とは、時間領域上の信号V0 を、複数の時間周波数領域上の信号Vj とW1〜Wjに分解する変換といえる。また、Vj はもとの信号にローパスフィルタを通したような信号となるので、平滑化信号と呼ばれ、W1〜Wjはバンドパスフィルターを通したような信号となるので、詳細信号と呼ばれる。ウエーブレット変換を利用したデータ圧縮は、以下の手順で行われる。
【0013】■もとのデータを信号V0:V0(n){n=1,2,・・・,N}とおき、V0に直交ウエーブレット順変換をj回繰り返し行い、平滑化信号Vj と複数の詳細信号W1〜Wjを得る。
■平滑化信号Vj と詳細信号W1〜Wjのそれぞれにおいて量子化を行い、それぞれの信号における振幅の小さなデータを削除していく。
■量子化された平滑化信号Vj と量子化された詳細信号W1〜Wjの組み合わせを圧縮データとする。
■データの伸張は圧縮データに対し、直交ウエーブレット逆変換を施すことによりなされる。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】上述した従来の手法による、許容誤差の設定が行えるデータ圧縮・伸張技術では、対象となる信号を直線で近似するため、圧縮したデータから伸張したデータにはもとの信号にはなかった不連続点が生じる。この不具合は、対象となる信号が滑らかな場合に顕著に現れる。したがって、この手法で伸張された信号は、連続性や周波数特性が原信号のものとは異なってしまい、信号の連続性を見る異常診断や、信号の周波数解析などには用いることができなかった。
【0015】これに対して、従来のウエーブレット変換を用いたデータ圧縮では、圧縮・伸張されたデータは、原信号にないような不連続点が生じることがない。しかし、このウエーブレット変換はある決まった関数を用いることで展開するだけで、データそのものに手を加えられないため、このデータ圧縮では原信号に対する許容誤差の設定ができない。このため、伸張データ点毎の信頼性がなく、しきい値を用いた信号処理を行うことが困難であるという問題があった。
【0016】この発明は、以上のような問題点を解消するためになされたものであり、ウエーブレット変換によるデータ圧縮で、圧縮したデータを伸張したときに、もとのデータとあまり変わらず、より高い信頼性が得られるようにすることを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】この発明のデータ変換方法は、原信号を所望の展開回数でウエーブレット変換して変換データを生成し、変換データの中の平滑化信号をウエーブレット逆変換した値と原信号との差が所望の許容誤差を越えていた場合、平滑化信号の代わりに原信号に戻した修正信号を生成し、展開回数と平滑化信号と修正信号とからなるデータを原信号を圧縮した圧縮データとして生成するようにした。この場合、得られた圧縮データは、平滑化信号と修正信号および展開回数からなり、これらを用いて伸張した伸張データは、原信号より設定した許容誤差以内となっている。一方、変換データの中の平滑化信号と詳細信号より逆変換した値と原信号との差が所望の許容誤差を超えない範囲で、平滑化信号と詳細信号それぞれよりデータを間引いた抽出平滑化信号と抽出詳細信号とを生成し、展開回数と抽出平滑化信号と抽出詳細信号とからなるデータを原信号を圧縮した圧縮データとして生成するようにした。このため、得られた圧縮データは、データを間引いた抽出平滑化信号と抽出詳細信号および展開回数からなり、これらを用いて伸張した伸張データは、原信号より設定した許容誤差以内となっている。
【0018】また、この発明のデータ変換装置は、原信号を所望の展開回数でウエーブレット変換して変換データを生成するウエーブレット変換部と、変換データをウエーブレット逆変換した値と原信号との差が所望の許容誤差範囲となるように変換データを修正して原信号を圧縮した圧縮データとして生成するデータ修正部とを備えるようにし、データ修正部は、変換データの中の平滑化信号をウエーブレット逆変換した値と原信号との差が所望の許容誤差を越えていた場合、平滑化信号の代わりに原信号に戻した修正信号を生成し、この修正信号と平滑化信号および展開回数とからなるデータを圧縮データとして生成するようにした。この場合、得られた圧縮データは、平滑化信号と修正信号および展開回数からなり、これらを用いて伸張した伸張データは、原信号より設定した許容誤差以内となっている。また、そのデータ修正部は、変換データの中の平滑化信号と詳細信号より逆変換した値と原信号との差が所望の許容誤差を超えない範囲で、平滑化信号と詳細信号それぞれよりデータを間引いた抽出平滑化信号と抽出詳細信号とを生成し、この抽出平滑化信号および抽出詳細信号と展開回数とからなるデータを圧縮データとして生成するようにした。この場合、得られた圧縮データは、データを間引いた抽出平滑化信号と抽出詳細信号および展開回数からなり、これらを用いて伸張した伸張データは、原信号より設定した許容誤差以内となっている。
【0019】
【発明の実施の形態】以下この発明の1実施の形態を図を参照して説明する。
実施の形態1.図1は、この発明の1実施の形態におけるデータ変換装置をデータ圧縮装置として用いた場合の構成を示す構成図である。同図において、1は原信号入力部であり、圧縮対象をN個のデータからなる原信号V0:V0(n){n=1,2,・・・,N}として入力する。2は許容誤差入力部であり、原信号と圧縮・伸張した信号との誤差の許容範囲を許容誤差eとして入力する。3は展開回数決定部であり、ウエーブレット変換の展開回数Jを入力する。そして、4はウエーブレット変換部であり、原信号V0 ,展開回数Jを用い、以下の数3により平滑化信号VJ を求める。なお、式中kはフィルタの項数である。
【0020】
【数3】


【0021】そして、5はデータ修正部であり、平滑化信号VJ ,原信号V0 ,許容誤差e,展開回数Jより、N個のデータからなる修正信号VX0:VX0(n){n=1,2,〜,N}および平滑化信号VJ と展開回数Jを出力する。このデータ修正部5は、ウエーブレット逆変換部5aと修正信号生成部5bとから構成されている。ここで、ウエーブレット逆変換部5aは、平滑化信号VJ と展開回数Jにより、以下に示す数4によりN個のデータからなる逆変換信号VI0:VI0(n){n=1,2,〜,N}を出力する。
【0022】
【数4】


【0023】また、修正信号生成部5bは、以下に示す処理をn=1からn=Nまで行い、修正信号VX0 を作成して出力する。まず、原信号V0 ,逆変換信号VI0 ,許容誤差eを用いて、原信号と逆変換信号それぞれのn番目のデータ同士を比較する。そして、その誤差の絶対値が許容誤差eを越えない場合、修正信号のn番目のデータを0とおく(|VI0(n)−V0(n)|≦e→VX0 (n)=0)。また、その誤差の絶対値が許容誤差eを越えた場合、修正信号のn番目のデータを原信号n番目のデータにする(|VI0(n)−V0(n)|>e→VX0 (n)=V0 (n))。上述の処理の結果、修正信号生成部5bは、N個のデータからなる修正信号VX0:VX0(n){n=1,2,〜,N}を作成して出力する。
【0024】以上示したように、この実施の形態1によれば、以下に示すことによって許容誤差の設定を可能とした。まず、逆変換信号VI0 と原信号V0 との差が所望とする許容誤差eに入っていない部分は、修正信号VX0 に原信号を設定する。そして、得られたN個の修正信号VX0 と平滑化信号VJ および展開回数Jを圧縮データとするようにした。したがって、この実施の形態1の場合、詳細信号は必要としない。
【0025】このため、データ修正部5より結果として得られる圧縮信号である修正信号VX0:VX0(n){n=1,2,〜,N}と平滑化信号は、それらを合わせて元に戻したときに、原信号V0 より許容誤差e以上異なることがない。すなわち、この実施の形態1によれば、データを圧縮・伸張するときに、許容誤差を設定できることになる。なお、この実施の形態1では、上述したように詳細信号を考慮しないようにしている。圧縮対象が低周波成分の割合が多い信号では、結果として圧縮するのに詳細信号があまり必要でない場合が多い。このような信号に対しては、上述したように詳細信号を用いないようにすれば、計算時間も短くなり、あまり圧縮率を下げることがない。
【0026】実施の形態2.図2は、この発明の第2の実施の形態におけるデータ圧縮装置の構成を示す構成図である。同図において、24はウエーブレット変換部であり、原信号V0 ,展開回数Jを用いて、以下の数5により平滑化信号VJ と複数の詳細信号W1〜WJを生成する。なお、式中kはフィルタの項数である。
【0027】
【数5】


【0028】また、25はデータ修正部であり、平滑化信号VJ ,複数の詳細信号W1〜WJ,原信号V0 ,許容誤差e,展開回数Jを用い、平滑化信号と複数の詳細信号のうち許容誤差を満たした圧縮をするために有効なデータを抽出して残したものを、抽出平滑化信号VXJ と、複数の抽出詳細信号WX1〜WXJとして出力する。他は図1と同様である。そして、このデータ修正部25は、図2(b)に示すように、有効データ更新部25aと、有効データ記憶部25bと、ウエーブレット逆変換部25cと、許容誤差判断部25dと、出力部25eとから構成されている。
【0029】まず、有効データ更新部25aは、許容誤差判断部25dからの制御信号を受けると、抽出平滑化信号VXJ および複数の抽出詳細信号WX1〜WXJをウエーブレット逆変換部25cに入力した場合に得られる逆変換信号VI0 と、原信号V0 との誤差が全て許容誤差範囲内におさまるようなVXJ とWX1〜WXJとを作成していく。ここでは、有効データ更新部25aは、初期値をVXJ→VJ,WX1〜WXJ→0とし、W1〜WJの全てのデータに対して、逆変換信号が許容誤差範囲内になるために重要と考えられる順に優先順位を付ける。そして、一回動作する毎に、W1〜WJ中のデータを1つずつ順番にWX1〜WXJへ移行していく。優先順位の付け方は、以下の通りである。
【0030】まず、V0 (m)に対するWj (n)の重みをwjn(m)とする。例えば、j=2のとき、後述する数8を利用して以下の数6に示すように重みを導き出す。
【0031】
【数6】


【0032】次いで、Wj (n)の優先順位を付ける評価量として、以下の数7に示すxjnを定義する。
【0033】
【数7】


【0034】そして、xjmをj=1〜J,l=1〜Nにわたって算出し、この値の大きい係数から優先度を与える。なお、xjn=|Wj (n)|を定義し、xjnをj=1〜J,n=1〜Nにわたって算出し、この値の大きい係数から優先度を与えるようにしても良い。
【0035】次に、有効データ記憶部25bは、有効データ更新部25aから得られたVXJ とWX1〜WXJを記憶しておき、次に有効データ更新部25aが動作する際に、これらを有効データ更新部25aに受け渡す。次に、ウエーブレット逆変換部25cは、抽出平滑化信号VXJ ,複数の抽出詳細信号WX1〜WXJ,および,展開回数Jにより、以下の数8を用いて、N個のデータからなる逆変換信号VI0:VI0(n)を作成する。
【0036】
【数8】


【0037】そして、許容誤差判断部25dは、原信号V0 ,許容誤差e,変換信号VI0を用いて、原信号と逆変換信号との誤差が全て許容範囲内におさまっている場合、出力部25eを動作させるような制御信号を出力する。一方、許容誤差範囲におさまっていない場合、有効データ更新部25aが動作するような制御信号を出力する。そして、出力部25eは、許容誤差判断部25dから指令があると、抽出平滑化信号VXJ ,複数の抽出詳細信号WX1〜WXJを出力する。
【0038】以上示したように、この実施の形態2では、ウエーブレット変換により得られる詳細信号(抽出詳細信号WX1〜WXJ)も圧縮データとして用いるようにした。すなわち、この実施の形態2では、許容誤差判断部25dにより、抽出平滑化信号VXJ と複数の抽出詳細信号WX1〜WXJを用いて逆変換して得る逆変換信号VI0 が、全て許容誤差e内に入るように抽出平滑化信号VXJ と複数の抽出詳細信号WX1〜WXJを選び、これらを圧縮データとして用いるようにした。この結果、設定した許容誤差範囲となるようにデータ圧縮ができるようになり、加えてより圧縮率を高くできる。また、この実施の形態2では、係数に優先順位を付けるようにしているが、これは圧縮に必要な係数をより高速で抽出するために必要となるものである。
【0039】実施の形態3.図3(a),(b)は、この発明の第3の実施の形態におけるデータ変換装置の構成を示す構成図である。同図において、31a,31bは圧縮データ入力部、32はウエーブレット逆変換部、33aは伸張信号生成部、33bはウエーブレット逆変換・伸張信号生成部である。図3(a)は上記実施の形態1に対応し、実施の形態1により得られた圧縮データを伸張するものである。また、図3(b)は、上記実施の形態2に対応し、実施の形態3により得られた圧縮データを伸張するものである。
【0040】まず、図3(a)に示すデータ変換装置の動作について説明する。圧縮データ入力部31aは、修正信号VX0 、平滑化信号VJ 、展開回数Jを入力する。また、ウエーブレット逆変換部32は、平滑化信号VJ ,展開回数Jを用いて、上記数8を用いて、N個のデータからなる逆変換信号VI0:VI0(n)を作成する。なお、この場合、平滑化信号VJ は、全ての要素が抽出された抽出平滑化信号VXJ と見なしている。
【0041】そして、伸張信号生成部33aは、修正信号VX0 と逆変換信号VI0 を用いて、修正信号VX0 のn番目のデータが0の場合、出力する伸張信号VR0 のn番目のデータを逆変換信号のn番目のデータとする(VX0 (n)=0→VR0(n)=VI0(n))。また、伸張信号生成部33aは、修正信号VX0 のn番目のデータが0でない場合、出力する伸張信号VR0 のn番目のデータを修正信号VX0 のn番目のデータとする(VX0 (n)≠0→VR0(n)=VX0(n))。そして、伸張信号生成部33aは、これらをn=1からn=Nについて行い、N個のデータからなる伸張信号VR0:VR0(n){n=1,2,〜,N}を作成する。
【0042】次に、図3(b)に示すデータ変換装置の動作について説明する。圧縮データ入力部31bは、抽出平滑化信号VXJ ,複数の詳細信号WX1〜WXJ,展開回数Jを入力する。また、ウエーブレット逆変換・伸張信号生成部33bは、その入力された抽出平滑化信号VXJ ,複数の詳細信号WX1〜WXJ,展開回数Jを、上記数8を用いて逆ウエーブレット変換することで、N個のデータからなる伸張信号VR0(n):VR0(n){n=1,2,〜,N}を作成する。以上示したように、この実施の形態3によれば、上記実施の形態1,2において圧縮された信号を伸張することができる。
【0043】なお、上記数式におけるフィルタの数値(k=8)としては、以下の表1に示すものが例として上げられる。


【0044】実施の形態4.図4は、この発明の第4の実施の形態におけるデータ圧縮装置の構成を示す構成図である。同図において、41は原信号入力部であり、N個のデータからなる原信号V0:V0(n){n=1,2,〜,N}とした圧縮信号を入力する。42は許容誤差入力部であり、原信号V0 と圧縮・伸張した信号との誤差許容範囲を許容誤差eとして入力する。43は展開回数分配部であり、ウエーブレット変換の展開回数の組み合わせを決定して出力する。そして、44はウエーブレット変換部であり、原信号入力部41が入力した原信号V0 と展開回数分配部43が決定した展開回数Jを用いて、以下の数9により平滑化信号VJ を作成する。
【0045】
【数9】


【0046】また、45はデータ修正部であり、平滑化信号VJ ,原信号V0 ,許容誤差e,および,展開回数Jを用いて、N個のデータからなる修正信号VX0:VX0(n){n=1,2,〜,N}を出力する。これら、ウエーブレット変換部44とデータ修正部45でデータ変換部40を構成しており、このデータ変換部40は複数配置されている。そして、46は圧縮データ数比較部である。この圧縮データ数比較部46は、それぞれのデータ変換部40から出力された平滑化信号VJ と修正信号VX0 のデータ数の和をそれぞれの展開回数Jについて算出,比較し、最もデータ数の少ないときの展開回数J、および、そのときの平滑化信号VJ と修正信号VX0 を出力する。
【0047】また、図4(b)に示すように、データ修正部45は、ウエーブレット逆変換部45aと修正信号生成部45bとから構成されている。ウエーブレット逆変換部45aは、平滑化信号VJ と展開回数Jを用い、以下の数10により、N個のデータからなる逆変換信号VI0:VI0(n){n=1,2,〜,N}を出力する。
【0048】
【数10】


【0049】一方、修正信号生成部45bでは、まず、原信号V0 と逆変換信号VI0 とのそれぞれのn番目のデータ同士の誤差の絶対値が、許容誤差eに納まっているかどうかを判定する。この判定で、その誤差の絶対値が許容誤差eを超えない場合、出力する修正信号VX0 のn番目のデータを0とおく(|VI0(n)−V0(n)|≦e→VX0 (n)=0)。一方、その誤差の絶対値が許容誤差eを超えた場合、修正信号VX0 のn番目のデータを原信号V0 のn番目のデータとする(|VI0(n)−V0(n)|<e→VX0 (n)=V0 (n))。そして、以上の処理をn=1からn=Nまで行い、N個のデータからなる修正信号VX0:VX0(n){n=1,2,〜,N}を出力する。
【0050】すなわち、上述したように、この実施の形態4においては、図1に示したウエーブレット変換部4とデータ修正部5を、複数備えるようにしたものである。そして、それぞれのウエーブレット変換部に所定の展開回数を設定し、得られた圧縮データ数を比較することで、最も圧縮データ数の少ない展開回数と、そのときの圧縮データを得るようにしたものである。
【0051】前記実施の形態1〜2においては、ウエーブレット展開の回数を適切に決定しておく必要がある。しかし、展開回数が多ければ良い圧縮結果が得られるとは限らない。最も圧縮率が高くなる展開回数は、予めわかっているわけではないので、展開回数が最適でない場合は、圧縮率が十分に高くならない可能性が出てくる。この実施の形態4においては、適当な展開回数の範囲もしくは組み合わせを決めておくことにより、最も圧縮率が高くなる展開回数を自動的に決定し、データを圧縮する。このため、ウエーブレット展開の展開回数を厳密に決定する作業を省き、作業の効率化を図ることができる。また、計算時間を短くできる。
【0052】実施の形態5.ところで、上記実施の形態4においては、図1におけるウエーブレット変換部4とデータ修正部5を、複数備えるようにしたが、図2におけるウエーブレット変換部24とデータ修正部25を、複数備えるようにしてもよい。このようにすることで、上記実施の形態4に比較してより圧縮率を高くすることができる。
【0053】実施の形態6.図5は、この発明の第6の実施の形態におけるデータ圧縮装置の構成を示す構成図である。同図において、原信号入力部1,許容誤差入力部2,ウエーブレット変換部4,データ修正部5は、図1R>1と同様であり説明を省略する。図5において、53は最大展開回数設定部であり、データ圧縮をする際の、所望とするウエーブレット変換の展開回数の最大値Jを入力する。
【0054】また、55は圧縮データ記憶部であり、展開回数d,平滑化信号Vd ,修正信号VX0(d)を展開回数dでの圧縮データとし、様々な展開回数dでの圧縮データを記憶しておく。また、56は展開回数カウンタであり、初期値をd=1として逐次処理が一回実行される毎にdを1つ増やして出力する。
【0055】そして、57は展開回数判断部であり、展開回数カウンタ56から展開回数d,最大展開回数設定部53から指定した最大値Jを用い、まず、dがJより小さい場合は、この展開回数dをウエーブレット変換部4に送る。一方、dがJと等しくなったときは、圧縮データ数比較部59へ動作開始指令の制御信号sを出す。動作開始の指令を受けた圧縮データ数比較部59は、圧縮データ記憶部55に格納されている平滑化信号Vd 、修正信号VX0(d),展開回数dを用いて、VdとVX0(d)のデータ数の和をそれぞれのdについて算出して比較する。そして、圧縮データ数比較部59は、最もデータ数の少ないときの展開回数d,およびそのときの平滑化信号Vdと修正信号VX0(d)を出力する。
【0056】そして、この実施の形態6においても、前記実施の形態4と同様に、適当な展開回数の範囲もしくは組み合わせを決めておくことにより、最も圧縮率が高くなる展開回数を自動的に決定し、データを圧縮する。このため、ウエーブレット展開の展開回数を厳密に決定する作業を省き、作業の効率化を図ることができる。また、この実施の形態6によれば、上記実施の形態4,5に比較して装置構成を小さくできる。
【0057】実施の形態7.ところで、上記実施の形態6においては、ウエーブレット変換して有効データ(修正信号)を得るにあたって、図1で示した実施の形態1と同様にしたが、これを図2に示した実施の形態2と同様にしても良いことはいうまでもない。このようにすることで、この実施の形態7によれば、最適な展開次数による詳細信号を考慮できるので、上記実施の形態6に比較してより圧縮率を高くできる。
【0058】実施の形態8.また、有効データを得るにあたって、上記実施の形態2,5,7においては、変換結果全体と原信号により、変換結果全体のうち有効なデータを抽出したものを用いるようにしたが、変換結果の一部より有効なデータを抽出するようにしても良い。図6R>6は、この実施の形態8におけるデータ圧縮装置の構成を示す構成図である。同図において、ウエーブレット変換部4は図2と同様であり、また、原信号入力部1,許容誤差入力部2,最大展開回数設定部53,展開回数カウンタ56,展開回数判断部57,および,圧縮データ数比較部59は、図5と同様であり説明を省略する。
【0059】図6において、61はデータ修正部である。このデータ修正部61では、まず、平滑化信号Vd ,詳細信号Wd ,原信号V0 ,許容誤差e,展開回数d,および,すでに圧縮データ記憶部62に格納されている抽出詳細信号WX1〜WXd-1を入力とする。そして、データ修正部61は、平滑化信号Vd と詳細信号Wd のうち、許容誤差eを満たした圧縮をするために有効なデータを抽出し、残したものをそれぞれ抽出平滑化信号VXd ,抽出詳細信号WXd として出力する。一方、圧縮データ記憶部62は、この残された抽出平滑化信号VXd ,抽出詳細信号WXd と、展開回数dとを1つのセットとして格納していく。
【0060】以下、データ修正部61のより詳細な説明をする。このデータ修正部61は、図6(b)に示すように、有効データ更新部61a,有効データ記憶部61b,ウエーブレット逆変換部61c,許容誤差判断部61d,および,出力部61eから構成されている。まず、有効データ更新部61aは、逆変換信号VI0 と原信号V0 との誤差が全て許容範囲内におさまるように、VXd とWXd を生成していく。この、逆変換信号VI0 は、有効データ更新部61aが出力する抽出平滑化信号VXd と複数の抽出詳細信号WX1〜WXdを、ウエーブレット逆変換部61cに入力した場合に得られる。
【0061】有効データ更新部61aにおいては、まず、初期値をVXd→Vd,WXd →0とし、Wd 中の全てのデータに対して逆変換信号VI0 が許容範囲内におさまるように、重要と考えられる順に優先順位を付ける。そして、1回動作する毎に、Wd 中のデータを1つずつ順番にWXd に移していく。ここで、その優先順位は、前述したように、図2に示した有効データ更新部25aと同様に付けていく。
【0062】また、有効データ記憶部61bでは、有効データ更新部61aからの出力を記憶しておき、次に有効データ更新部61aが動作するときに、この記憶してあるデータを有効データ更新部61aに与える。次に、ウエーブレット逆変換部61cは、平滑化信号VXd ,複数の詳細信号WX1〜WXd,および,展開回数により、以下の数11を用いて、N個のデータからなる逆変換信号VI0:VI0(n){n=1,2,〜,N}を作成する。
【0063】
【数11】


【0064】許容誤差判断部61dは、原信号V0 と逆変換信号VI0 との誤差を判定し、これが許容誤差eの範囲におさまっていない場合、有効データ更新部61aを動作させる制御信号を出力する。以上のことにより、原信号V0 と逆変換信号VI0 との誤差が全て許容誤差eに納まるまで、有効データ更新部61aが、Wd 中のデータを1つずつ順番にWXd に移していくことになる。そして、許容誤差判断部61dは、原信号V0 と逆変換信号VI0 との誤差が全て許容誤差eにおさまっている場合、出力部61eを動作させるような制御信号を出力する。この結果、出力部61eは、抽出平滑化信号VXd と複数の抽出詳細信号WX1〜WXdを出力する。
【0065】この出力された信号を用い、上記実施の形態7と同様に、圧縮データ数比較部59は、圧縮データ記憶部62に格納されている抽出平滑化信号VXd と複数の抽出詳細信号WX1〜WXdを用いて、VXd とWX1〜WXdのデータ数の和をそれぞれのdについて算出して比較する。そして、圧縮データ数比較部59は、最もデータ数の少ないときの展開回数,およびそのときの平滑化信号と修正信号を出力する。すなわち、この実施の形態8によれば、展開回数Jのとき、平滑化信号と詳細信号から抽出平滑化信号と抽出詳細信号を求め、これに展開回数J−1までに求めた抽出詳細信号を加えたものを展開回数Jの時の圧縮データとするようにした。このため、この実施の形態8では、各展開回数において逐次有効なデータを選んでいくので、上記実施の形態7に比較して計算速度が速くなる。
【0066】実施の形態9.図7は、この発明の第9の実施の形態におけるデータ圧縮装置の構成を示す構成図である。同図において、原信号入力部1,許容誤差入力部2,ウエーブレット変換部4,データ修正部5は、図1R>1と同様であり説明を省略する。
【0067】図7において、71は圧縮データ更新部であり、展開回数dのときにデータ修正部5が出力した修正信号VX0(d)と、ウエーブレット変換部4が出力した平滑化信号Vd とを最新の圧縮データとして格納し、前回の圧縮データであるVd-1とVX0(d-1)を出力する。また、72は展開回数カウンタであり、初期値をd=1としてこれを出力し、以下に説明するデータ数判断部75が1回動作する毎に、dの値を1つ増やして出力する。
【0068】また、73はデータ数カウンタであり、展開回数dにおいて、平滑化信号Vdと修正信号VX0(d)のデータ数の和を計算し、これを圧縮データ数DLd として出力する。また、74はデータ数記憶部であり、展開回数dにおいて、データ数カウンタ74より今回の圧縮データ数DLd を得て、これを記憶しておき、代わりに前回の圧縮データDLd-1 を出力する。
【0069】そして、データ数判断部75は、展開回数dにおける今回の圧縮データ数DLd と前回の圧縮データDLd-1 を比較して、DLd がDLd-1 より多い場合、更新された展開回数d+1をウエーブレット変換部4に送り、それ以外の場合、圧縮データ出力部76に制御信号sを出力して動作させる。そして、圧縮データ出力部76が、データ判断部75から動作指令を受けることにより、圧縮データ更新部71から出力された前回の圧縮データと、展開回数カウンタ72が出力した前回の展開回数が出力される。
【0070】そして、この実施の形態9においは、展開回数を決めておくことなしに、最も圧縮率が高くなる展開回数を自動的に決定し、データを圧縮する。すなわち、上述したように、圧縮率が悪くなるまで展開回数を増やしながら、圧縮を続けていくようにしたものである。したがって、最大展開回数を設定することなく、原信号と許容誤差を入力するだけで最適な展開次数による圧縮データを得ることができる。このため、ウエーブレット展開の展開回数を厳密に決定する作業を省き、作業の効率化を図ることができる。
【0071】実施の形態10ところで、上記実施の形態9において、ウエーブレット変換部とデータ修正部の構成を、図2に示した実施の形態2と同様にしても良く、また、図6に示した実施の形態8と同様にしても良い。このようにすることで、最終的に得られる圧縮データは最適な展開回数(次数)による詳細信号を考慮したものとなるので、上記実施の形態9に比較して、より圧縮率を高くすることができる。
【0072】
【実施例】以下、この発明の実施例について説明する。圧縮・伸張したデータは、データ解析,制御,異常診断・検出など、様々な用途に用いられるが、以下では異常検出の場合を例に挙げて説明する。ここでは、溶鉱炉を用いるある製造プロセスにおける異常検出を例に取る。この製造プロセスでは、溶鉱炉内の温度が急激に変化する現象が現れ出すと、欠陥品を生産し始めるという問題がある。この欠陥品を生産する割合をより少なくするために、溶鉱炉内の温度変化の異常を迅速に検知する必要がある。
【0073】図8は、この溶鉱炉内の温度を1995年某月1日0時0分から同月5日23時59分まで、1分間隔で計測した7200個のデータを示す特性図である。溶鉱炉内の温度変化の異常をより早く検知するためには、実際に過去の履歴データから特徴を解析する。過去の履歴データとは、溶鉱炉内の温度と計測時のプロセスの状態(異常もしくは正常)から構成されるものである。
【0074】すなわち、図8に示したようなデータを大量に保持し、以下に示すようにこの特徴を解析する。「1分間の温度変化」を温度速度と定義すると、ある時刻tから、この時刻より10分前までの温度速度の平均と、時刻tからこの時刻より10分後までの温度速度の平均の差が、0.1(℃/分)以上であると、プロセスは異常な状態に陥っている。」そして、図8のデータは1分間隔で計測したものであり、これを一階微分することにより、図9(a)に示すように、温度速度を表すデータが得られる。なお、この計測期間中は、プロセスに異常が現れなかった。
【0075】この一階微分したデータにおいて、前後10個の平均の差をとると、図9(b)に示すデータが得られ、これが温度速度の前後10分間の平均の差を表すことになる。図9(b)から明らかなように、上述した解析結果と、このデータを照らし合わせても、結論には矛盾していないことがわかる。
【0076】しかし、通常では、上述した図8に示したようなデータを大量に保持しておくことは、装置を構成する上であまり好ましくない。データを大量に保持するためには、記憶部をそれだけ多く用意しておかなければならず、装置にコストがかかるなど、問題点が多い。このため、上述した図8に示したデータは、圧縮して保持しておき、解析するときにこれを伸張して用いるようにするのが通常である。
【0077】ここで、図8のデータを従来の手法により許容誤差を3%としてデータ圧縮し、これを伸張すると、図10(a)に示すようになる。そして、この図10R>0(a)の伸張データをもとに、上述と同様に、温度速度の前後10分の平均の差に対応するデータを得ると、図10(b)に示すようになる。これでは、上述した、図8のデータからの解析結果とは矛盾が生じている。これは、従来の圧縮・伸張では、もとの信号にない性質を含んでしまい、ここではもとの信号にない急激な変化が現れているからである。
【0078】これに対して、この発明におけるデータ圧縮装置により許容誤差を3%として圧縮・伸張したデータは、図11(a)に示すように、図8のもとのデータとほとんど変わりなく伸張される。これは、平均誤差1.62%、圧縮率154倍である。そして、この図11R>1(a)に示すデータの一階微分の前後10個ずつの平均の差をとると図11(b)に示す通りとなり、上述した図8のデータによる結論とは矛盾が生じていない。すなわち、この発明は、信号の不連続性を見る異常診断における、もとのデータの圧縮・伸張に有効である。
【0079】図12は、この発明によるデータ圧縮装置によりデータを圧縮・伸張した結果を示すデータであり、図12(a)は展開回数が2であり、平均誤差は0.003%で圧縮率が1.99倍であった。なお、どちらも許容誤差は3%とした。また、図12(b)は展開回数が9であり、平均誤差は0.343%であり、圧縮率は147倍であった。
【0080】
【発明の効果】以上説明したように、この発明によれば、ウエーブレット変換したデータを一度逆ウエーブレット変換して、もとのデータより許容誤差以内におさまっていることを判断するようにした。このため、データを変換する上で、許容誤差を設定できることになり、例えば、圧縮・伸張したデータが、もとのデータとの誤差が許容範囲内にあることが保証され、より高い信頼性が得られるという効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の1実施の形態におけるデータ変換装置をデータ圧縮装置として用いた場合の構成を示す構成図である。
【図2】 この発明の第2の実施の形態におけるデータ圧縮装置の構成を示す構成図である。
【図3】 この発明の第3の実施の形態におけるデータ圧縮装置の構成を示す構成図である。
【図4】 この発明の第4の実施の形態におけるデータ圧縮装置の構成を示す構成図である。
【図5】 この発明の第6の実施の形態におけるデータ圧縮装置の構成を示す構成図である。
【図6】 この発明の第8の実施の形態におけるデータ圧縮装置の構成を示す構成図である。
【図7】 この発明の第9の実施の形態におけるデータ圧縮装置の構成を示す構成図である。
【図8】 溶鉱炉内の温度を、1分間隔で計測したデータを示す特性図である。
【図9】 図8のデータを一階微分したことで得られる特性図である。
【図10】 図8のデータを従来の手法によりデータ圧縮し、これを伸張した結果を示す特性図である。
【図11】 この発明により圧縮・伸張したデータを示す特性図である。
【図12】 この発明により圧縮・伸張したデータを示す特性図である。
【符号の説明】
1…原信号入力部、2…許容誤差入力部、3…展開回数決定部、4…ウエーブレット変換部、5…データ修正部、5a…ウエーブレット逆変換部、5b…修正信号生成部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】 原信号を所望の展開回数でウエーブレット変換して変換データを生成し、前記変換データの中の平滑化信号をウエーブレット逆変換した値と前記原信号との差が所望の許容誤差を越えていた場合、前記平滑化信号の代わりに原信号に戻した修正信号を生成し、前記展開回数と平滑化信号と修正信号とからなるデータ前記原信号を圧縮した圧縮データとして生成することを特徴とするデータ変換方法。
【請求項2】 原信号を所望の展開回数でウエーブレット変換して変換データを生成し、前記変換データの中の平滑化信号と詳細信号より逆変換した値と前記原信号との差が所望の許容誤差を超えない範囲で、前記平滑化信号と詳細信号それぞれよりデータを間引いた抽出平滑化信号と抽出詳細信号とを生成し、前記展開回数と抽出平滑化信号と抽出詳細信号とからなるデータを前記原信号を圧縮した圧縮データとして生成することを特徴とするデータ変換方法。
【請求項3】 請求項1または2記載のデータ変換方法において、複数の展開回数で前記圧縮データを生成し、得られた複数の圧縮データの中で圧縮データ数の少ない展開回数のときの圧縮データを選択することを特徴とするデータ変換方法。
【請求項4】 請求項または記載のデータ変換方法において、複数の展開回数で同時に前記圧縮データを生成し、得られた複数の圧縮データの中で圧縮データ数の少ない展開回数のときの圧縮データを選択することを特徴とするデータ変換方法。
【請求項5】 請求項または記載のデータ変換方法において、所定数ずつ展開回数を増加させて圧縮データを生成し、前回設定された展開回数により得られた圧縮データより、今回設定された展開回数により得られた圧縮データの圧縮データ数が多い場合、前回設定された展開回数のときの圧縮データを選択することを特徴とするデータ変換方法。
【請求項6】 請求項記載のデータ変換方法において、前記平滑化信号と前記展開回数とを用いてウエーブレット逆変換して逆変換信号を生成し、前記逆変換信号と修正信号とにより伸張信号を生成することを特徴とするデータ変換方法。
【請求項7】 請求項記載のデータ変換方法において、前記抽出平滑化信号と抽出詳細信号とを用いてウエーブレット逆変換することで伸張信号を生成することを特徴とするデータ変換方法。
【請求項8】 原信号を所望の展開回数でウエーブレット変換して変換データを生成するウエーブレット変換部と、前記変換データをウエーブレット逆変換した値と前記原信号との差が所望の許容誤差範囲となるように変換データを修正して原信号を圧縮した圧縮データとして生成するデータ修正部とを備え、前記データ修正部は、前記変換データの中の平滑化信号をウエーブレット逆変換した値と前記原信号との差が所望の許容誤差を越えていた場合、前記平滑化信号の代わりに原信号に戻した修正信号を生成し、この修正信号と前記平滑化信号および展開回数とからなるデータを圧縮データとして生成することを特徴とするデータ変換
【請求項9】 原信号を所望の展開回数でウエーブレット変換して変換データを生成するウエーブレット変換部と、前記変換データをウエーブレット逆変換した値と前記原信号との差が所望の許容誤差範囲となるように変換データを修正して原信号を圧縮した圧縮データとして生成するデータ修正部とを備え、前記データ修正部は、前記変換データの中の平滑化信号と詳細信号より逆変換した値と前記原信号との差が所望の許容誤差を超えない範囲で、前記平滑化信号と詳細信号それぞれよりデータを間引いた抽出平滑化信号と抽出詳細信号とを生成し、この抽出平滑化信号および抽出詳細信号と前記展開回数とからなるデータを圧縮データとして生成することを特徴とするデータ変換装置。
【請求項10】 請求項8または9記載のデータ変換装置において、前記ウエーブレット変換部とデータ修正部とを複数組備え、前記ウエーブレット変換部それぞれで用いるウエーブレット変換の展開回数の組み合わせを決定する展開回数分配部と、前記データ修正部より得られた圧縮データの中で最も圧縮データ数の少ないものを選択して出力する圧縮データ数比較部とを備えたことを特徴とするデータ変換装置。
【請求項11】 請求項8または9記載のデータ変換装置において、所定の最大展開回数の範囲内で前記ウエーブレット変換部へ複数の展開回数を設定する最大展開回数設定部と、前記複数の展開回数においてそれぞれ得られた圧縮データの中で、最も圧縮データ数の少ないものを選択して出力する判断部とを備えたことを特徴とするデータ変換装置。
【請求項12】 請求項または記載のデータ変換装置において、所定数ずつ増加させていく複数の展開回数を前記ウエーブレット変換部へ設定する展開回数カウンタと、今回設定された展開回数により得られた圧縮データが、前回設定された展開回数により得られた圧縮データよりその圧縮データ数が多い場合、前回設定された展開回数による圧縮データを選択して出力する判断部とを備えたことを特徴とするデータ変換装置。
【請求項13】 請求項記載のデータ変換装置において、前記平滑化信号と前記展開回数とを用いてウエーブレット逆変換して逆変換信号を生成するウエーブレット逆変換部と、前記逆変換信号と修正信号とにより伸張信号を生成して出力する伸張信号生成部とを備えたことを特徴とするデータ変換装置。
【請求項14】 請求項記載のデータ変換装置において、前記抽出平滑化信号と抽出詳細信号とを用いてウエーブレット逆変換することで伸張信号を生成して出力する伸張信号生成部を備えたことを特徴とするデータ変換装置。

【図1】
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【図3】
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【図2】
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【図5】
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【図8】
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【図7】
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【図4】
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【図6】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【特許番号】特許第3340323号(P3340323)
【登録日】平成14年8月16日(2002.8.16)
【発行日】平成14年11月5日(2002.11.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平8−230247
【出願日】平成8年8月30日(1996.8.30)
【公開番号】特開平9−139676
【公開日】平成9年5月27日(1997.5.27)
【審査請求日】平成11年9月28日(1999.9.28)
【出願人】(000006666)株式会社山武 (1,808)
【参考文献】
【文献】特開 平8−213915(JP,A)
【文献】特開 平7−200540(JP,A)
【文献】特開 平6−245077(JP,A)
【文献】特開 平7−107477(JP,A)
【文献】特開 平8−186815(JP,A)