説明

データ記録装置

【課題】コピー先の記録媒体の種類を容易に変更可能とするデュプリケータを提供する。
【解決手段】信号処理基板を、メインボード10と、サブユニットボード12と、スロットボード14とに3分割し、各ボード間をコネクタで接続することで脱着自在とする。スロット14cに異常が生じた場合、スロットボード14のみを交換することで対応する。コピー先の記録媒体の種類を変更する場合、サブユニットボード12とスロットボード14を交換し、メインボード10をそのまま維持することで対応する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はデータ記録装置、特に複数の記録媒体にデータを記録(コピー)する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
コピー元の記録媒体に記録されたデータを複数の記録媒体に記録(コピー)する、デュプリケータとも呼ばれるデータ記録装置が開発されている。デュプリケータは、同一コンテンツのデータを記録する多数の記録媒体を簡易に作成できるため、販売促進用記録媒体の作成などに用いられている。
【0003】
通常、デュプリケータでは、複数の記録媒体を装着するための複数のインタフェースあるいはスロットを備え、コピー元の記録媒体からコピーすべきデータを入力して適宜、コピー先の記録媒体のフォーマットに適合したフォーマットに変換してコピー先の記録媒体に記録する。記録媒体としては、CDやDVD等の光ディスク、USBメモリ、SDメモリ等が用いられる。
【0004】
下記の特許文献1には、原本HDD(ハードディスクドライブ)及び複写先HDDを備えるハードディスク装置が開示されている。メインボードに接続して使用する複数のHDD制御ボードと、制御ボードに対して1対1に接続して使用する原本HDD、及び複数の複写先HDDが開示されている。また、メインボードにHDD拡張ボードを接続し、拡張ボードに原本HDD及び複数の複写先HDDを接続する構成も開示されている。
【0005】
また、特許文献2には、デュプリケータに関するものではないが、回路基板を筐体の中に並列に複数搭載可能な回路基板収容体として、電磁シールド板を導電性を有する電磁遮蔽部材とその端部に設けた導電性を有するフロントパネルで構成し、フロントパネルを接地された筐体に電気的導通を確保して固定することにより確実に電磁シールド板を接地するとともに、筐体の基板挿入用開口部を密閉して、回路基板間の電磁遮蔽及び回路基板と筐体外部の電磁遮蔽を行う構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平10−198524号公報
【特許文献2】特開2004−363581号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
メインボードに複数のHDD等の記録媒体を接続してコピーする構成では、記録媒体を接続するための一部のスロット部分に不具合が生じた場合でも、メインボード全体を交換する必要があり、煩雑であるとともにコスト増加となる問題がある。また、コピー先の記録媒体の種類を変更する、例えばHDDからUSBメモリに変更する等の必要が生じた場合においても、メインボード自体を交換する必要があることから迅速に対応することができない問題もある。
【0008】
メインボードに拡張ボードを接続し、この拡張ボードに複数のHDDを接続する構成においても同様であり、スロット部のみに不具合があっても拡張ボードを交換する必要が生じてしまう。
【0009】
本発明は、複数の記録媒体に同一データを記録する(コピーする)場合において、記録媒体を装着するスロット部に不具合が生じても迅速に対応できる装置を提供する。また、本発明は、複数の記録媒体に同一データを記録する(コピーする)場合において、記録媒体の種類の変更にも迅速に対応できる装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、記録すべきデータを出力するとともに装置全体を制御するメインボード部と、前記メインボード部から供給された前記記録すべきデータをバッファリングし、記録先の媒体の種類に応じた信号処理を実行するサブユニットボード部と、記録先の媒体がそれぞれ装着される、記録先の媒体の種類に応じた複数のスロットを有し、前記サブユニットボード部から供給された前記記録すべきデータを前記複数のスロットに供給するスロットボード部とを備え、前記メインボード部は第1コネクタを有し、前記サブユニットボード部は、前記第1コネクタに対向する第2コネクタと、第3コネクタを有し、前記スロットボード部は、前記第3コネクタに対向する第4コネクタを有し、前記メインボード部と前記サブユニットボード部は、前記第1コネクタ及び前記第2コネクタを介して脱着自在に接続され、前記サブユニットボード部と前記スロットボード部は、前記第3コネクタ及び前記第4コネクタを介して脱着自在に接続されることを特徴とする。
【0011】
本発明において、前記装置の筐体内に前記スロットボード部を収容するための独立空間が形成され、前記独立空間の奥壁に前記サブユニットボード部を挿入するための開口部が形成され、前記サブユニットボード部は、前記第3コネクタが挿入される開口を有するブラケットで筐体に固定され、前記ブラケットで前記奥壁の前記開口部を閉塞することで、前記筐体内部に吸い込まれる冷却空気に対する障壁を形成することが好適である。
【0012】
また、本発明は、記録すべきデータを出力するとともに装置全体を制御するメインボード部と、記録先の媒体がそれぞれ装着される、記録先の媒体の種類に応じた複数のスロットを有し、前記メインボード部から供給された前記記録すべきデータを前記複数のスロットに供給するスロットボード部とを備え、前記メインボード部は、記録先の媒体の種類に応じたコネクタを互いに異なる位置に複数種類有し、前記スロットボード部は、前記コネクタに対向するコネクタを有し、前記メインボード部と前記スロットボード部は、前記コネクタを介して脱着自在に接続されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、複数の記録媒体に同一データを記録する(コピーする)場合において、記録媒体を装着するスロット部に不具合が生じても迅速に対応できる。また、本発明は、複数の記録媒体に同一データを記録する(コピーする)場合において、記録媒体の種類の変更にも迅速に対応できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】実施形態の構成ブロック図である。
【図2】デュプリケータの外観斜視図である。
【図3】スロットボードを取り外した状態の外観斜視図である。
【図4】上蓋を取り外した状態の外観斜視図である。
【図5】上蓋を取り外した状態の外観斜視図である。
【図6】メインボード、サブユニットボード、スロットボードの斜視図である。
【図7】メインボード、サブユニットボード、スロットボードの平面図である。
【図8】メインボード、サブユニットボード、スロットボードの他の斜視図である。
【図9】メインボード、サブユニットボード、スロットボードの他の平面図である。
【図10】一体化ボード、スロットボードの斜視図である。
【図11】一体化ボード、スロットボードの他の斜視図である。
【図12】メインボード、サブユニットボード、スロットボードの他の斜視図である。
【図13】メインボード、サブユニットボード、スロットボードの他の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面に基づき本発明の実施形態について説明する。
【0016】
図1に、本実施形態におけるデータ記録装置(デュプリケータ)1の構成ブロック図を示す。従来においては、メインボードに複数の記録媒体を装着する、あるいはメインボードに拡張ボードを接続し、この拡張ボードに複数の記録媒体を装着する構成であるが、本実施形態のデュプリケータ1は、メインボード10と、サブユニットボード12と、スロットボード14とを備える。
【0017】
メインボード10は、装置全体を制御する回路基板であり、コピー元の記録媒体やコピー先の記録媒体の種類、あるいはコピーすべきデータの種類によらず、コピー元の記録媒体に記録されたデータを入力し、コピー先の記録媒体に記録すべきデータを生成する信号処理回路を含む。信号処理回路は、データを処理するためのプログラム(ファームウェア)が格納されるROM10c、ワーキングメモリとしてのRAM10b、及びCPU10aを含む。CPU10a、RAM10b、ROM10cはそれぞれCPUバスに接続される。また、信号処理回路は、コネクタ10dを含む。コネクタ10dは、後述するサブユニットボード12と接続するためのコネクタであり、CPUバスに接続される。
【0018】
コピー元のデータは、メインボード10のCPU10aに供給される。CPU10aは、ROM10cに格納されたファームウェアに従って適宜信号処理を行い、コネクタ10dを介して後述するサブユニットボード12に出力する。コピー元のデータは、デュプリケータ1に設けられたコピー元記録媒体用のスロットに装着された記録媒体から読み出される。コピー元のデータは、外部から供給してもよい。例えば、デュプリケータ1にパーソナルコンピュータを接続し、パーソナルコンピュータの記憶装置、例えばHDDに記録されたデータをコピー元のデータとしてメインボード10に供給してもよい。
【0019】
コピー元のデータの種類は任意であり、テキストデータ、音声データ、画像データ、動画データ、プログラムデータ等のいずれでもよい。但し、メインボード10は、処理を高速化するために、コピー元のデータをイメージファイルとして処理する。
【0020】
また、コピー元の記録媒体の種類も任意であるが、基本的にはコピー元の記録媒体とコピー先の記録媒体の種類は同一とすることが好適である。コピー元の記録媒体及びコピー先の記録媒体をともにUSBメモリとする等である。但し、本実施形態はこれに限定されるものではなく、コピー元の記録媒体とコピー先の記録媒体の種類が異なっていてもよい。例えば、コピー元の記録媒体はUSBメモリ、コピー先の記録媒体はSDメモリ等である。
【0021】
サブユニットボード12は、メインボード10に対して脱着自在に接続され、コピー先の記録媒体の種類に応じた信号処理を行うための信号処理回路を含む。信号処理回路は、FPGA(Field Programmable Gate Array)12a、RAM12b、ROM12cの他に、FIFOメモリ12d、シリアル/パラレル変換回路(S/P回路)12e、12f、コネクタ12g、12h、12iを含む。
【0022】
FPGA12aは、メインボード10のCPU10aによって定義される動作内容に基づいて、コピー先の記録媒体の種類に応じた信号処理を行う。例えば、コピー先の記録媒体がUSBメモリである場合には、メインボード10のCPU10aから送信された、USBメモリの規格に従ったコマンドを解釈して実行する。なお、FPGA12aをCPUに置き換え、ROM12cに格納されたファームウェアに従ってサブユニットボード12上の信号処理回路を制御するようにしてもよい。
【0023】
FIFOメモリ12dは、メインボード10から送信された、コピー元のデータを格納し、先読み先出しの原理でバッファリングする。
【0024】
シリアル/パラレル変換回路(S/P回路)12e、12fは、パラレルデータのコピー元データをシリアルデータに変換して出力する。
【0025】
コネクタ12gは、メインボード10のコネクタ10dと接続される。また、コネクタ12f、12iは、それぞれ後述するスロットボード14のコネクタと接続される。
【0026】
本実施形態では、シリアル/パラレル変換回路(S/P回路)12eから出力されたシリアルデータはコネクタ12hを介してサブユニットボード12からスロットボード14に供給され、シリアル/パラレル変換回路(S/P回路)12fから出力されたシリアルデータはコネクタ12iを介してサブユニットボード12からスロットボード14に供給されるが、これはスロットボード14に搭載されるスロットの数を考慮して2分割したものであって、シリアル/パラレル変換回路(S/P回路)及びコネクタの組は1個だけでもよく、あるいは3個以上あってもよい。
【0027】
スロットボード14は、サブユニットボード12に対して脱着自在に接続され、コピー先の記録媒体を装着するための複数のスロット14c及びコネクタ14a、14b並びに各スロット14cとコネクタ14a、14bを接続するための信号線を有する。
【0028】
コネクタ14aは、サブユニットボード12のコネクタ12hと接続され、コネクタ14bは、サブユニットボード12のコネクタ12iと接続される。メインボード10からのコピー元のデータはサブユニットボード12のシリアルパラレル変換回路(S/P)12e、12fでシリアルデータに変換され、コネクタ12hとコネクタ14a、及びコネクタ12iとコネクタ14bを介してスロットボード14の各スロット14cに供給される。コピー元のデータは、コネクタ12h、12i、14a、14bを介して各スロット14cに対して並行して供給される。
【0029】
スロット14cは、記録媒体の種類に応じた形状のスロットであり、例えばUSBメモリやSDメモリ等の記録媒体が装着される。スロット14cの数は任意であるが、例えば10個とすることができる。
【0030】
このように、本実施形態のデュプリケータ1は、従来の単一のメインボードの代わりに、その機能を3つに分割し、メインボード10とサブユニットボード12とスロットボード14とに3分割し、それぞれの間を脱着自在に接続したものということができる。スロットボード14は基本的に記録媒体に応じたスロット14cのみを搭載するものであり、仮にスロット14cに異常や故障が生じた場合でも、メインボード10については交換する必要がなく、スロットボード14をサブユニットボード12からコネクタ部分で切り離してスロットボード14のみを交換すればよい。
【0031】
また、コピー元の記録媒体の種類を変更する場合、例えばUSBメモリからSDメモリに変更する場合には、サブユニットボード12とスロットボード14をメインボード10からコネクタ部分で切り離し、それぞれ記録媒体の種類に応じたサブユニットボード12とスロットボード14に交換すればよい。例えば、コピー先の記録媒体をUSBメモリからSDメモリに変更する場合、サブユニットボード12をUSB用からSDメモリ用に変更するとともに、スロットボード14をUSBメモリ用からSDメモリ用に変更する等である。本実施形態では、コピー先の記録媒体の種類を変更する場合でも、メインボード10を変更する必要はなく、そのまま使用し続けることができる。
【0032】
サブユニットボード12の交換は、デュプリケータ1の電源をOFFとして行われるが、 サブユニットボード12を交換した後、メインボード10のCPU10aは、サブユニットボード12の種類に関する情報を取得し、サブユニットボード12の種類に応じた処理を実行する。すなわち、メインボード10のCPU10aは、サブユニットボード12がUSB用であればUSBメモリの規格で定められたデータ処理及びコマンドを実行し、サブユニットボード12がSDメモリ用であればSDメモリの規格で定められたデータ処理及びコマンドを実行する。メインボード10のCPU10aは、デュプリケータの電源ON後の起動処理においてサブユニットボード12の種類についての情報をその都度取得する。デュプリケータ1にコピー先の記録媒体の種類を手動設定するディップスイッチを設けてもよい。また、サブユニットボード12が複数種類の記録媒体に対応する複合基板である場合には、交換したスロットボード14の種類を、電気的あるいは機械的に検出して、実行するデータ処理およびコマンドを切り替える。複合基板の場合は、サブユニットボード12に記録媒体の種類に応じた複数のコネクタが搭載されるため、複数種類のコネクタの内、スロットボード14と接続されているコネクタを検出(例えば、コネクタの導通/非導通を検出)することによって、電気的にスロットボード14の種類を検出することができる。勿論、スロットボード14に識別子を設け、それをセンサ等で読み取ったり、ディップスイッチや検出スイッチを設けて機械的に切り替えることによって、スロットボード14の種類を検出するようにしてもよく、その手法を限定するものではない。
【0033】
図2に、デュプリケータ1の外観斜視図を示す。デュプリケータ1の正面には各種操作パネル15や電源スイッチが配置されるともに、コピー元の記録媒体を装着するためのスロット16、及びコピー先の記録媒体を装着するためのスロットボード14及びスロット14cが配置される。スロットボード14は、図中縦方向に複数個、図では5個が並列して設置される。なお、設置されるスロットボード14が4個以下の場合には、空き空間の前面部(デュプリケータ1の正面)にダミーパネルが設置され、空き空間が閉塞される。設置される各スロットボード14にはそれぞれ横方向に複数個、図では10個のスロット14cが配置される。したがって、本実施形態におけるデュプリケータ1では、スロット14cを最大で50個まで配置することができ、この50個のスロット14cのそれぞれに記録媒体が装着可能である。スロット14cに装着された記録媒体には、既述したように並行してコピー元のデータが供給され、並行してコピーが実行される。そして、記録媒体毎にコピーの検証が実行され、各記録媒体毎に検証結果が表示される。スロット16には、コピー元の記録媒体として例えばUSBメモリが装着され、各スロット14cには、コピー先の記録媒体として例えばUSBメモリが装着される。
【0034】
スロット16にコピー元の記録媒体としてUSBメモリが装着されると、メインボード10のCPU10aはコピー元のUSBメモリに格納されているデータを読み出し、RAM10bに格納する。そして、コネクタ10d、12gを介して当該データをコピー元のデータ(コピーデータ)としてサブユニットボード12に供給する。コピーデータはサブユニットボード12のFIFOメモリ12dに格納され、順次読み出されてシリアル/パラレル変換回路12e、12fでシリアルデータに変換されてコネクタ12h、12i、14a、14bを介してスロットボード14の各スロット14cに供給され、各スロット14cに装着されたUSBメモリに記録される。コピーは、各スロット14cに対して並行して実行される。コピーデータのコピーが完了すると、次に、メインボード10のCPU10aは、各スロット14cに装着されたUSBメモリに対して検証処理を実行する。この検証処理も各スロット14cのUSBメモリ毎に並行して実行する。検証の結果、正常であればコピーは正常に完了したと判定し、異常であればコピーは正常に完了していないと判定する。正常に完了した場合、当該スロットに対して近傍に設けられたLED17を緑色に点灯する。一方、正常に完了しなかった場合、LED17を赤色に点灯する。したがって、ユーザは、LED17の色を視認することで、正常にコピーが完了したスロットと、正常に完了しなかったスロットを容易に確認することができる。
【0035】
デュプリケータ1は、必要に応じて複数個をカスケード接続することができる。したがって、例えば100個のUSBメモリに対してコピーしたい場合、デュプリケータ1にもう一つのデュプリケータを接続し、コピーデータを各スロット14c(合計100個のスロット)に並行して供給する。
【0036】
図3に、スロットボード14をデュプリケータ1のサブユニットボード12から取り外した状態の外観斜視図を示す。また、図4(a)、(b)及び図5に、デュプリケータ1の上蓋を外した状態の外観斜視図を示す。メインボード10は、ブラケット11を介して筐体内部における奥行き方向の所定位置(略中間位置)に、長手方向が横方向となるように立設固定される。メインボード10は、ブラケット11の背面側に固定される。ブラケット11は、筐体内部の空間を奥行き方向に二分するように筐体の両側壁間に固定される。ブラケット11には、メインボード10のコネクタ10dが挿入される開口が形成されており、メインボード10のコネクタ10dは、メインボード10がブラケット11に固定された際に開口から正面方向に向けて突出する。筐体背面には冷却ファン60が設けられ、筐体内部の空気を筐体外部に排気することでメインボード10を冷却する。メインボード10に対して正面側に奥壁50が筐体内部に固定され、サブユニットボード12はメインボード10と奥壁50との間に配設される。すなわち、サブユニットボード12のコネクタ12gはメインボード10のコネクタ10dに接続され、サブユニットボード12の反対側の面は、奥壁50に形成された開口部51に挿入される。図4(b)に、奥壁50の斜視図を示す。図示のように、奥壁50には複数のサブユニットボード12のそれぞれに対応し、サブユニットボード12が挿入される開口部51が形成される。奥壁50の開口部51に挿入されたサブユニットボード12の当該面は、さらに図3に示されるブラケット18により筐体に締結固定される。ブラケット18の中央部には1対の開口が設けられ、この開口にサブユニットボード12の2つのコネクタ12h、12iがそれぞれ挿入され、開口から正面方向に向けて突出する。サブユニットボード12をデュプリケータ1の筐体に固定するブラケット18により、奥壁50の開口部51が閉塞される。なお、サブユニットボード12が4個以下の場合には、サブユニットボード12が未装着の奥壁50の開口部51はダミーのブラケット18(開口なし)により閉塞される。スロットボード14は、筐体内部に設けられた独立空間としての収容室52内に装着される。収容室52の奥側(背面側)は奥壁50で形成される。ブラケット18の開口からはサブユニットボード12の2つのコネクタ12h、12iが正面側に向けて突出しているため、スロットボード14のコネクタ14a、14bをそれぞれサブユニット12のコネクタ12h、12iに接続することでスロットボード14を装着する。本実施形態では、既述したように冷却ファン60により筐体内部の空気を筐体外部に排気することでメインボード10を冷却するが、この際に、ブラケット18が一種の障壁となって粉塵が外部から筐体に吸い込まれてスロットボード14のスロット14cに付着する事態を防止できる。サブユニットボード12を筐体に固定するためのブラケット18は、スロットボード14の空間を筐体内部から完全に隔離し、密閉状態とすることが好適である。ブラケット18はサブユニットボード12を筐体に固定するための器具であるため、サブユニットボード12を脱着自在に構成し、このサブユニットボード12にスロットボード14を脱着自在に構成することで、サブユニットボード12とスロットボード14間に障壁を設けることが可能となり、これによりスロットボード14に対して冷却ファンの吸込空気による粉塵の付着に起因するスロットの異常や故障を防止できるといえる。
【0037】
図6に、デュプリケータ1の筐体内部でのメインボード10、サブユニットボード12、及びスロットボード14の装着状態における斜視図を示す。また、図7に、メインボード10、サブユニットボード12、及びスロットボード14の装着状態における平面図を示す。
【0038】
メインボード10は、既述したように筐体内において長手方向が横方向となるように立設配置される。コネクタ10dは、メインボード10の基板面から正面方向に向けて突出する。サブユニットボード12は、立設したメインボード10に対し、メインボード10の基板面に対してほぼ垂直となるようにコネクタ10d、12gを介して装着される。また、スロットボード14は、サブユニットボード12に対してほぼ同一平面となるようにコネクタ12h、12i、14a、14bを介して装着される。コネクタ12hとコネクタ14a、コネクタ12iとコネクタ14bが互いに接続されるため、コネクタ12hとコネクタ12iとの間隔は、コネクタ14aとコネクタ14bとの間隔に等しくなるように設定される。
【0039】
もちろん、これは装着の一例にすぎず、例えば図8及び図9に示すように、メインボード10、サブユニットボード12,スロットボード14がほぼ同一平面内にあるようにこれらをコネクタで相互に装着してもよい。図8は斜視図、図9は平面図である。但し、複数のサブユニットボード12をメインボード10に接続するためには、図6に示すようにメインボード10を立設し、このメインボード10に対して複数のサブユニットボード12を互いに平行に、かつ、メインボード10の基板面に対してほぼ垂直に接続していくことが望ましい。
【0040】
このように、本実施形態では、メインボード10とサブユニットボード12とスロットボード14を備え、スロットボード14のみの交換、あるいはスロットボード14とサブユニットボード12のみの交換だけを行い、メインボード10をそのまま使用することを可能としたので、スロット14cの異常や故障時、あるいはコピー先の記録媒体の種類の交換を迅速、かつ低コストで実現できる。
【0041】
本実施形態では、コピー先の記録媒体の種類を交換する際には、スロットボード14とサブユニットボード12を交換するが、スロットの異常や故障時と同様に、記録媒体の種類の交換時においてもスロットボード14の交換のみで済ませる構成とすることも可能である。
【0042】
図10及び図11に、この場合の構成を示す。メインボード10とサブユニットボード12は一体化しているが、この一体化したボード13にUSB用の信号処理回路及びコネクタ12h、12iとSDメモリ用の信号処理回路及びコネクタ20を備える。左右両端のコネクタをUSBメモリ用のコネクタ12h、12iとし、中央のコネクタをSDメモリ用のコネクタ20とすると、コピー先の記録媒体がUSBメモリである場合には、図10の斜視図に示すようにUSBメモリ用のスロット14cを有するスロットボード14のコネクタ14a、14bを一体化ボード13の左右のコネクタ12h、12iに装着する。
【0043】
一方、コピー先の記録媒体がSDメモリである場合には、図11の斜視図に示すように、SDメモリ用のスロット14cを有するスロットボード14のコネクタ22を一体化ボード13の中央のコネクタ20に装着する。これにより、一体化ボード13はそのまま使用しつつ、スロットボード14のみを交換することでスロット14cの異常や故障のみならず記録媒体の種類の変更にも対応できる。
【0044】
また、メインボード10とサブユニットボード12とが一体化してボード13を形成するのではなく、図1に示すようにメインボード10とサブユニットボード12とが機能的に分離している構成を維持しつつ、サブユニットボード12にUSB用の信号処理回路及びコネクタ12h、12iとSDメモリ用の信号処理回路及びコネクタ20を備えることもできる。コンバート回路とコネクタ12h、12i、20を備えてもよい。図12及び図13に、この場合の構成を示す。サブユニットボード12にUSB用の信号処理回路及びコネクタ12h、12iとSDメモリ用の信号処理回路及びコネクタ20を備える。左右両端のコネクタをUSBメモリ用のコネクタ12h、12iとし、中央のコネクタをSDメモリ用のコネクタ20とすると、コピー先の記録媒体がUSBメモリである場合には、図12の斜視図に示すようにUSBメモリ用のスロット14cを有するスロットボード14のコネクタ14a、14bをサブユニットボード12の左右のコネクタ12h、12iに装着する。
【0045】
一方、コピー先の記録媒体がSDメモリである場合には、図13の斜視図に示すように、SDメモリ用のスロット14cを有するスロットボード14のコネクタ22をサブユニットボード12の中央のコネクタ20に装着する。サブユニットボード12にコンバート回路を構成した場合、USBメモリやSDメモリ以外の記録媒体にも容易に対応することができる。
【0046】
また、本実施形態では、コピー元の記録媒体を装着するためのスロット16(図2参照)については特に言及していないが、このスロット16に関しても、スロット14cと同様に一体化ボードに対してコネクタを介して脱着自在なスロットボードに搭載する構成としてもよい。既述したように、コピー元の記録媒体とコピー先の記録媒体は同一種類であることが好ましいが、コピー元及びコピー先をともにUSBメモリからSDメモリに変更する場合、スロット16を搭載するスロットボードをUSBメモリ用からSDメモリ用に変更し、かつ、スロットボード14をUSBメモリ用からSDメモリ用に変更するだけで対応することができる。
【0047】
なお、記録媒体の異常あるいは故障と、その記録媒体が装着されるスロット14cの異常あるいは故障との識別は、以下のように行えばよい。すなわち、複数の記録媒体に対してデータをコピーした後、特定のスロット14cにおいてLEDが赤色に点灯し、コピーが正常に完了しなかったものとする。この場合、次に、当該記録媒体を別のスロット14cに装着して再びコピーを行う。そして、再びその記録媒体が装着されたスロット14cが赤色に点灯してコピーが正常に完了しなかった場合、スロット14cではなくその記録媒体に異常あるいは故障がある可能性が高いと判断できる。一方、スロット14cを代えてコピーが正常に完了した場合、元のスロット14cに異常あるいは故障がある可能性が高いと判断し、スロットボード14cを交換すればよい。
【0048】
上記の実施形態では、記録媒体としてUSBメモリとSDメモリを例示したが、他の任意の記録媒体にも適用できることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0049】
10 メインボード、12 サブユニットボード、14 スロットボード。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録すべきデータを出力するとともに装置全体を制御するメインボード部と、
前記メインボード部から供給された前記記録すべきデータをバッファリングし、記録先の媒体の種類に応じた信号処理を実行するサブユニットボード部と、
記録先の媒体がそれぞれ装着される、記録先の媒体の種類に応じた複数のスロットを有し、前記サブユニットボード部から供給された前記記録すべきデータを前記複数のスロットに供給するスロットボード部と、
を備え、
前記メインボード部は第1コネクタを有し、
前記サブユニットボード部は、前記第1コネクタに対向する第2コネクタと、第3コネクタを有し、
前記スロットボード部は、前記第3コネクタに対向する第4コネクタを有し、
前記メインボード部と前記サブユニットボード部は、前記第1コネクタ及び前記第2コネクタを介して脱着自在に接続され、
前記サブユニットボード部と前記スロットボード部は、前記第3コネクタ及び前記第4コネクタを介して脱着自在に接続される
ことを特徴とするデータ記録装置。
【請求項2】
記録すべきデータを出力するとともに装置全体を制御するメインボード部と、
記録先の媒体がそれぞれ装着される、記録先の媒体の種類に応じた複数のスロットを有し、前記メインボード部から供給された前記記録すべきデータを前記複数のスロットに供給するスロットボード部と、
を備え、
前記メインボード部は、記録先の媒体の種類に応じたコネクタを互いに異なる位置に複数種類有し、
前記スロットボード部は、前記コネクタに対向するコネクタを有し、
前記メインボード部と前記スロットボード部は、前記コネクタを介して脱着自在に接続される
ことを特徴とするデータ記録装置。
【請求項3】
請求項1記載の装置において、
前記装置の筐体内に前記スロットボード部を収容するための独立空間が形成され、
前記独立空間の奥壁に前記サブユニットボード部を挿入するための開口部が形成され、
前記サブユニットボード部は、前記第3コネクタが挿入される開口を有するブラケットで筐体に固定され、
前記ブラケットで前記奥壁の前記開口部を閉塞することで、前記筐体内部に吸い込まれる冷却空気に対する障壁を形成することを特徴とするデータ記録装置。
【請求項4】
請求項1記載の装置において、
前記サブユニットボード部は、記録先の媒体の種類に応じたコネクタを互いに異なる位置に複数種類有し、
前記スロットボード部は、前記コネクタに対向するコネクタを有し、
前記サブユニット部と前記スロットボード部は、前記コネクタを介して脱着自在に接続される
ことを特徴とするデータ記録装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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