説明

データ通信チャンネルの容量を増加させる方法および装置

送信端でB/NのビットレートとN/Bのビット時間を有するN個の変調データストリームを生成し、送信端からチャンネルの受信端へ同時に送信することにより、所与のデータ転送速度Bで動作することのできる光チャンネルの容量を効率的に増加させる方法。1番目の変調データストリームとそのN−1個の後続の変調データストリームそれぞれとの間の1/B×Nのシフトが、時間遅延または位相シフトによって生成され、1番目のデータストリームは最大Nレベルを有する複合多レベル信号に結合され、複合多レベル信号はチャンネルの受信端に送信される。受信端では、各時間においてN個の要素を有するベクトルを取得するために、複合多レベル信号は各ビット時間の間にN回サンプリングされ、各要素がN+1個のサンプル順に対応した可能値を持つようにする。N個の変調データストリームそれぞれは、同時条件付きPDFを計算することにより各要素についてあらかじめ決定される、ベクトルMLSEによって再構築される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データ通信の分野に関する。より詳しくは、本発明は、時分割多重と多レベル信号多重化を組み合わせることにより、光データチャンネルの容量を効率的に増加させる方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
多くの最新の電気通信データチャンネルは、高い帯域幅と低い減衰から、データ通信に光ファイバーを用いる。今日では、光ファイバインフラは、集合住宅や個人宅にさえも届き始めており、これにより、トリプルプレイ(トリプルプレイサービスは、高速インターネットアクセス、テレビ放送やビデオオンデマンドのようなテレビ、および電話サービスを、単一のブロードバンド接続を介して束ねたものである)や高品位テレビ(HDTV)のような広帯域サービスを提供することができる。このような広帯域サービスへの要求は高まりつつあるので、光インフラでさえも過負荷となり得る。
【0003】
光データチャンネル内のデータは、所望の速度にしたがって強度変調されたレーザー光源により送信される。コストを削減するため、このような変調は一般に、所望の速度でレーザー光源への電力供給をオンオフ切り替えすることによって、直接的に実装される。これにより、送信側で比較的安価な変調方式を用いることができる。しかし、そうすることにより、変調光信号の品質は、過渡チャープ(例えば、不安定周波数)と呼ばれる過渡効果によって劣化する。この過渡チャープは、一般にレーザー信号振幅の上昇および下降時間の間に現れ、周波数は断熱チャープと呼ばれるレーザー強度の変化によって変化する。これらの周波数を広くする効果により、受信端でビットが不鮮明になる。
【0004】
さらに、変調光信号の品質は、色分散によって劣化する。色分散は、波の速度の波長への依存性と通過する材質の分散によって、導波管に閉じ込められた光波が異なる波長のスペクトル成分に分割されることを引き起こす現象である。このような分散は、異なる信号成分間の到着時間の様々な遅延が信号を時間軸で歪ませるため、信号劣化につながる。この課題は、レーザー光源周波数が時間とともに増加するのにともなって(チャープ信号が生成され)、より深刻になる。この課題の影響を低減する従来の方法の1つは、レーザー光源の帯域幅を低減することである。しかし、そのような低減は送信信号のデータ転送速度を低下させる。
【0005】
同じファイバーを共有する異なるチャンネルの数を増加させる従来の方法の1つは、時分割多重(TDM)を用いることである。TDMは、信号をそれぞれ非常に短い期間を有する多数のセグメントに分割することによって、複数のデータストリームを単一の信号に入れ込む方法である。各個別のデータストリームは、タイミングに基づき受信端で再び組み立てられる。しかしこの解決法は、単一のチャンネルのみが個々の時間スロットで送信するので、依然としてデータチャンネルの容量を制限する。さらにこれは、ビット時間を短縮することを要する(すなわち、送信速度を増加させる)。これは、コストのかかる解決法である。
【0006】
同じファイバーを共有する異なるチャンネルの数を増加させる他の方法は、異なる波長が同時に送信される波長分割多重(WDM)を用いることである。各レーザーは、信号の独立したセットによって変調される。波長検出フィルタが受信端で用いられる。しかし、この解決法は異なる周波数を有する高品質のレーザー光源を複数必要とし、したがってコストが高い。
【0007】
データ転送速度を高め直接変調に関する過渡効果を除去する他の方法は、外部変調方式を用いることである。この方式によれば、単一のCWレーザー光源は、外部の変調器によって変調される。外部の変調器は、過渡チャープおよび断熱チャープに関連するスペクトル広がりを除去し、これによりチャンネル容量を改善する。しかし、外部の変調器はコストが高く、信号を減衰させる挿入損失を有するので、この解決法も課題がある。
【0008】
チャンネル容量を増加させるさらなる方法は、信号の多レベル多重化を用いることである。この方法によれば、同時に送信し得るチャンネルの数は、送信信号に2個の異なるレベルを割り当てる(例えば、増倍率4で16個の異なるレベル)ことによって、N倍にすることができる。これは、送信信号のエネルギーを2で除算することを要する。結果として、信号対ノイズ比(SNR)は2倍劣化する。
【0009】
上述した全ての方法は、従来技術の解決法の欠点を除去する一方で、光データチャンネルの容量を効率的に増加させる課題への解決法を、パッシブ光ネットワーク(PON)アプリケーションに対して低コストな方法で十分に提供していない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
したがって、本発明の目的は、ファイバーチャンネルの特性を変えることなく、光データチャンネルの容量を効率的に増加させる方法および装置を提供することである。
【0011】
本発明の別の目的は、ファイバーに沿って光学分散効果を低減する一方で、光データチャンネルの容量を効率的に増加させる方法および装置を提供することである。
【0012】
本発明のさらなる目的は、レーザー光源のより安価な変調方式を用いることができ、光データチャンネルの容量を効率的に増加させる方法および装置を提供することである。
【0013】
本発明のさらに別の目的は、受信側で送信信号を正確に再構築する一方で、光データチャンネルの容量を効率的に増加させる方法および装置を提供することである。
【0014】
本発明のさらに別の目的は、送信信号の高いSNRを維持する一方で、光データチャンネルの容量を効率的に増加させる方法および装置を提供することである。
【0015】
本発明のさらに別の目的は、光データチャンネルの容量を増加させる低コストのプラットフォームを提供することである。
【0016】
本発明のさらに別の目的は、改善されたパワー量とより低いPSDをともなって、光データチャンネルの容量を増加させる低コストのプラットフォームを提供することである。
【0017】
本発明のさらに別の目的は、受信側で光検出器の応答性を改善させるとともに、光データチャンネルの容量を増加させる低コストのプラットフォームを提供することである。
【0018】
本発明の他の目的および利点は、後続の記載から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明は、データチャンネルの容量を効率的に増加させる方法を対象とする。このデータチャンネルは、例えば100km以上の長さを有する光チャンネルであり、所与のデータ転送速度Bで動作する、例えば10Gb/sのPONである。したがって、B/NのビットレートとN/Bのビット時間を有するN個の変調データストリームは、(例えば、直接変調を用いた安価なレーザー光源を用いることにより)送信端で生成され、送信端からチャンネルの受信端へ同時に送信される。1番目の変調データストリームとN−1個の後続の変調データストリームそれぞれの間の1/B×Nのシフトは、例えば時間遅延または位相シフトを用いることによって生成される。1番目の変調データストリームとそのシフトされた後続の変調データストリームは、最大Nレベルの複合多レベル信号に結合され、その複合多レベル信号はチャンネルの受信端に送信される。受信端では、複合多レベル信号は、各ビット時間においてN個の要素を持つベクトルを得るために、各ビットタイムの間にN回サンプリングされる。これにより各要素は、N+1個の可能値を持ち、サンプルの順番に対応する。N個の変調データストリームそれぞれは、同時条件付き確率密度関数を計算することによって各要素について前もって生成されたベクトルMLSEによって(例えば、ビタビアルゴリズムを用いて)再構築される。
【0020】
好ましくは、複合多レベル信号は、決定論的な特性を有するMAIを持つものとして受信側で処理され、ISIとして訂正される。データチャンネルは、異なる周波数を有する複数の光信号がWDMを用いて集められるチャンネルであってもよい。
【0021】
N個の変調データストリームは、N倍高いビットレートを有するデータストリームから生成されてもよい。Nチャンネルからのデータを含む複合多レベル信号は、データ転送速度Bで直接変調することのできる単一のレーザー光源によって、送信側で直接生成してもよい。受信側の受信器の帯域幅は、Bより小さく、最大B/Nであってもよい。データチャンネルが、ポート密度に影響を受けるアプリケーションに用いられる場合は必ず、送受信器の数はN倍減少する。
【0022】
本発明はまた、送信端と受信端の間で所与のデータ転送速度Bで動作することのできるデータチャンネルの容量を効率的に増加させるシステムであって、
a)それぞれビットレートB/Nとビット時間N/Bを有するN個の変調データストリームを、前記チャンネルの受信端に同時に送信する、送信端の送信器であって、
a.1)前記N個の変調データストリームを生成する複数の信号源(例えば、直接変調を行う安価なレーザー光源)と、
a.2)1番目の前記変調データストリームとそのN−1個の後続の前記変調データストリームそれぞれとの間の1/B×Nのシフトを生成する手段と、
a.3)1番目の前記変調データストリームとそのシフトされた後続の前記変調データストリームを、最大Nレベルを有する複合多レベル信号に結合する結合器と、
を有する送信器と、
b)前記複合多レベル信号を受信する、受信端の受信器であって、
b.1)各ビット時間の間に前記複合多レベル信号をN回サンプリングし、各時間においてN個の要素を持つベクトルを取得して、各要素がN+1個の可能値を持つようにする回路と、
b.2)同時条件付き確率密度関数を計算することによって各要素についてベクトルMLSEを行い、N個の前記変調データストリームそれぞれを再構築するプロセッサと、
を有する受信器と、
を備えるシステムを対象とする。
【0023】
前記チャンネルは、100km以上の長さで10Gb/sのデータ転送速度を有する光データチャンネル、例えばGb/sのPONであってもよい。
【0024】
提案するシステムは、前記チャンネルが、異なる周波数を有する1以上の光信号がWDMを用いて集められるチャンネルである場合でも、動作することができる。データ転送速度Bで直接変調することのできる単一のレーザー光源を、送信側で前記複合多レベル信号を生成するために用いてもよい。
【0025】
本発明の上述のおよび他の特徴と利点は、添付の図面を参照するとともに、下記の実例的で非制限的な好ましい実施形態の詳細説明を通じて、より理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1A】(従来技術)単一のCWレーザー送信器を用いて単一チャンネルで10Gb/sの変調を行う従来のシリアル伝送を示す概略図である。
【図1B】本発明の好ましい実施形態に基づいて、TDMMを用いて計10Gb/sのデータストリームを搬送するよう設計された、個別の4つの2.5Gb/sのチャンネルを示す概略図である。
【図1C】本発明の好ましい実施形態に基づいて、TDMMを用いて計10Gb/sのデータストリームを搬送するよう設計された、2.5Gb/sで変調された単一のレーザーを用いる送信器を使用した実装例を示す概略図である。
【図1D】本発明の好ましい実施形態に基づいて、TDMMを用いて計10Gb/sのデータストリームを搬送するよう設計された、2.5Gb/sで変調された単一のレーザーを用いる送信器を使用した他の実装例を示す概略図である。
【図2A】本発明の好ましい実施形態に基づいて、高周波数のシリアルビットストリームを4つの低周波数の個別データストリームに変換する様子を示す概略図である。
【図2B】本発明の好ましい実施形態に基づいて、生成されたTDMM信号を示す図である。
【図2C】図2に示されている、4つの個別の2.5Gb/sデータストリームの実際の(理想ではない)波形を示す概略図である。
【図2D】類似するTDMM信号を示す概略図である(図2Bに示される、TDMM信号の実際の理想形ではない波形である)。
【図3】従来のシリアル高周波システムと、本発明の好ましい実施形態に基づくTDMM技術を用いた連続する100kmリンク長の低周波システムとの間の、BERとSNRの比較を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明は、チャンネル容量を効率的に増加させるために、時分割多重の特性と信号の多レベル多重化を組み合わせる方法を提案する。この独自の組み合わせを、以後、時分割多レベル多重化(TDMM)と呼ぶ。これにより、チャンネルを通じて送信され得るデータの帯域幅をN倍(Nは多レベル信号のレベル数を表す)増加させ、もしくはこれに代えて、ファイバーを通じてN個の個別のチャンネルを送信し、またはこれらの任意の組み合わせを行うことができる。提案する方法は、帯域幅コストの有効性を増加させ、ファイバーの色分散の影響を低減する。
【0028】
本発明が提案するシステムと方法により、高価な直接変調を要する高周波レーザーを用いるのではなく、高速光ファイバー送信のための非直接変調を用いる低コストの低周波数レーザーを用いることができる。さらに、提案する方法は、より低い周波数を用いることにより、ファイバー分散の影響を効率的に緩和する。
【0029】
図1A(従来技術)は、単一のCWレーザー送信器を用いて単一チャンネルで10Gb/sの変調を行う従来のシリアル伝送を示す概略図である。このシステムは、外部の変調器を用いて10Gb/sのビットレートで伝送を行う単一のレーザー光源を用いる。10GHzの光検出器10は、10Gb/sのデータストリームを再構築するために、受信側で用いられる。この従来の手法は、高いビットレートへの要求に起因して、送信信号内の高レベルの分散の課題がある。これにより、送信信号が歪み、受信端で符号間干渉(ISI)の課題を引き起こす(ISIは、信号の歪みの一形態であり、先に送信された符号が現在受信された符号に影響を与えることを引き起こし、チャンネルの非線形周波数応答に起因するノイズと同様の影響を有する)。
【0030】
図1Bは、本発明の好ましい実施形態に基づいて、TDMMを用いて計10Gb/sのデータストリームを搬送するよう設計された、個別の4つの2.5Gb/sのチャンネルを示す概略図である。この提案手法は、コスト効率がよく、従来手法よりも効果的である。
【0031】
この例では、各光チャンネルのビットレートは2.5Gb/sであり、同時に送信されるチャンネルの数N=4である。4つの光チャンネルは、光結合器11を用いて結合され、一方で各チャンネルはその隣接するチャンネルに対してシフトされる(例えば、時間遅延、位相シフト、またはその他任意のシフト技術を導入することにより)。チャンネル間のシフトは、電気から光へ変換される前に、光学的にまたは電気的に実装することができる。シフトされたチャンネルの結合出力は、光ファイバーを通じて受信器12に送信される複合多レベル信号を生成する。受信器12では、フォトダイオード検出器が光信号を電気信号に変換し、次に、電気信号は推定技術を用いて適切なプロセッサ13によってさらにデジタル処理される。結果、最小のビットエラー率を有する10Gb/s(4×2.5Gb/s)の出力10が、再構築される。
【0032】
この技術により、コストの高いWDMを必要とせずに、伝送速度をN倍低減し(これによりTDMデータ転送速度を増加させる必要を回避し)、または反対にN個の個別チャンネルを多重化することができる。したがって、提案するTDMMは、コスト効率がよく、例えば分散その他の光非線形性などの光歪み効果の影響をより受けにくいロバストな手法を提供する。
【0033】
図2Aは、本発明の好ましい実施形態に基づいて、10Gb/sの“1011”シリアルビットストリーム(符号)を4つの個別データストリームに変換する様子を示す概略図である。元の符号では、1番目のビット(論理レベル“1”)はゾーン1に表れ、2番目のビット(論理レベル“0”)はゾーン2に表れ、3遍目のビット(論理レベル“1”)はゾーン3に表れ、4番目のビット(論理レベル“1”)はゾーン4に表れる。元の符号内の各ビットは、10Gb/sビットストリーム内の元の時間スロットから、4つの2.5Gb/sストリームのうち1つの対応する時間スロットにマップされる。1番目のビット(“1”)はビット期間1にマップされ(レーザー光源1によって生成される、400pS継続する論理“1”)、2遍目のビット(“0”)はビット期間2にマップされ(レーザー光源2によって生成される、400pS継続する論理“0”)、3番目のビット(“1”)はビット期間2にマップされ(レーザー光源3によって生成される、400pS継続する論理“0”)、4番目のビット(“1”)はビット期間2にマップされる(レーザー光源4によって生成される、400pS継続する論理“0”)。4つのレーザー光源それぞれは2.5GHzで動作し、したがってそのビット時間は400pSである。次に、4つの2.5Gb/sのストリームは結合され、固有の多レベル複合信号(“TDMM信号”)を生成する。レーザー光源1によって生成されたビットストリームは、光結合器に入力される。レーザー光源2によって生成されたビットストリームも、レーザー光源1のビットストリームに対して100pSの時間シフトをもって、光結合器に入力される。レーザー光源3によって生成されたビットストリームも、レーザー光源2のビットストリームに対して100pSの時間シフトをもって、光結合器に入力される。レーザー光源4によって生成されたビットストリームも、レーザー光源3のビットストリームに対して100pSの時間シフトをもって、光結合器に入力される。レベル数は、同時に送信されるチャンネルの数によって決定されるが、いかなる場合でもNレベルを超えない。図2Cは、図2Aに示されている、4つの個別の2.5Gb/sデータストリームの実際の(理想ではない)波形を示す概略図である。
【0034】
図2B(上記“受信器入力”)は、この例に対応する、生成されたTDMM信号を示す図である。1番目の100pSの時間スロットでは、1番目にマップされたビットのレベル“1”のみが存在する。2番目の100pSの時間スロットでは、2番目の時間スロットの2番目にマップされたビットのレベルは“0”であるので、結合レベルは“1”のままである。3番目の100pSの時間スロットでは、その時間スロットの1番目、2番目および3番目にマップされたビットはそれぞれ“1”、“0”および“1”であるので、結合レベルは“2”である。4番目の100pSの時間スロットでは、その時間スロットの1番目、2番目、3番目および4番目にマップされたビットはそれぞれ“1”、“0”、 “1” および“1”であるので、結合レベルは“3”である。5番目の100pSの時間スロットでは、その時間スロットの1番目、2番目、3番目および4番目にマップされたビットはそれぞれ“0”、“0”、 “1” および“1”であるので、結合レベルは“2”に下がる。6番目の100pSの時間スロットでは、その時間スロットの1番目、2番目、3番目および4番目にマップされたビットはそれぞれ“0”、“1”、 “1” および“1”であるので、結合レベルは“3”に戻る。この応答は、先行するいずれの時間スロットについても、さらに決定することができる。図2Dは、類似するTDMM信号を示す概略図である(図2Bに示される、TDMM信号の実際の理想形ではない波形である)。
【0035】
提案手法は、チャンネル間の部分的な時間シフトのみを用いて(完全なビット時間による全シフトを要する従来のTDMと比較して)、異なる周波数を用いることなく同時にNチャンネルを送信するので(チャンネル間の全周波数分割を要する従来のWDMと比較して)、有利であることは明らかである。さらに、提案手法は、各チャンネルのデータを再構築できるようにするためにN個のみの異なる大きさレベルを要する(2個の異なる大きさレベルを要する従来の多レベル多重化と比較して)。この事実により、TDMM信号の生来的なSNRが大幅によくなるという結果が得られる。
【0036】
本発明によれば、受信した入力信号に対する最も可能性の高い判定を行うために、ベクトル型または標準的な最尤系列推定(MLSE)プロセッサ13が受信側で用いられる。さらに、このMLSEプロセッサ13は分散補償を実行し、したがって、色分散と光非線形性によって引き起こされる歪みを訂正するための電気的分散補償(EDC)ハードウェアを必要としないようにすることができる。最小のビットエラー率(BER)で情報を復元するためには、フォトダイオードの電気的帯域幅が2.5Gb/sであるとしても、入力信号を10ギガサンプル/秒のサンプリングレートでサンプリングする必要がある。したがって、400psの各時間スロットは、4サンプルを内包する。図2Bでは、最初の400ps時間スロット内の最初の4サンプルは、主にチャンネル−1(主チャンネル)に関連付けられる。一方で他のチャンネルからの追加的な寄与は、従前より多重アクセス干渉(MAI)であるとみなされている。これは、隣接するチャンネルに由来するノイズであると考えられている。
【0037】
本発明によれば、他チャンネルからの追加的な寄与が多重アクセス干渉(MAI)であったとしても、デコード目的で、それは従来の符号間干渉(ISI)であるとみなされる。4つのサンプルの1番目のグループは、元の10Gb/sビットストリームにおける1番目のビットに属する。4つのサンプルの2番目のグループ(1番目のグループから100psシフトされている)は、チャンネル−2に関連付けられ、したがって元の10Gb/sビットストリームにおける2番目のビットに属する。3番目のグループと4番目のグループは、それぞれ3番目のビットと4番目のビットに属する。グループ間の重複は、ISIとみなされる。この場合、MAIは決定論的であるので、(隣接するチャンネルによってではなく)隣接するビットによって引き起こされたISIとみなすことができる。したがって、歪みを適切に解析して訂正することにより、各チャンネルについて可能性のある組み合わせを計算し、各送信信号をデコードすることが可能である。
【0038】
ISIを有するチャンネルの実現し得る最高の符号検出器は、最尤系列推定器(MLSE)であることがよく知られている。10Gb/s通信システムにおけるMLSEの実行能力は、“最尤系列推定を用いたデジタルイコライザーを有する10.7Gb/s受信器の性能”,A. Farbert et al.,Proc. European Conference on Optical Communication(ECOC 2004,Th.4.1.5 2004)において立証された。受信したTDMM信号は、ベクトルMLSEを用いたTDMMデコーダによってデコードされる。
【0039】
従来のMLSEでは、Nが送信符号の総数であれば、MLSE検出器は2NT個の考えられるシーケンスのなかから、メトリックを最小化するものを1つ選択する。
【数1】

【0040】
ビタビアルゴリズムを用いることにより、同アルゴリズムの手法と、組み合わせ数が決定論的であるという事実を適切に利用して、効率的に最小化を実現することができる(ビタビアルゴリズムは光チャンネルによる引き起こされた歪みの課題を解決することを意図しており、複数のレーザー光源からチャンネルへの同時送信によるものを意図しているのではないとしても)。K個の干渉があるチャンネルについては、N=2K+1個の状態が存在し、したがってcはN個の候補に減少し、1≦j≦Nである。
【0041】
TDMMの場合には、信号y(k)は、主チャンネル(検出すべきチャンネル)と他の隣接する3つのチャンネル(またはMAI)の寄与に関連付けられた、1ビットあたり4個のサンプルから生じる。したがって、4つのサンプルグループそれぞれは、下記ベクトルとみなされる。
【数2】

【数3】

【0042】
128個の可能性は、図2Bにおける受信入力の全ての可能値を検証することにより得られる。各隣接チャンネルは、主ビット(図2B参照)と重なる2つの個別ビットに関連付けられ、各ビットはバイナリ‘1’または‘0’を内包するので、主チャンネルには2つの可能値があり(バイナリ‘1’または‘0’)、隣接するそれぞれの干渉チャンネルについて4つの可能値がある。したがって、可能性の総数(N=4チャンネルの場合)は2×4×4×4=128である。
【0043】
4つの要素は独立しており、したがって下記がなりたつ。
【数4】

【0044】
TDMM MLSEは、同時条件付きPDFの計算を要するので、ベクトル版に修正された従来のMLSEに似ている。例えばガウス分布の場合、格子検索の各ステップにおいて、従来のMLSEは1次元のユークリッド距離の計算を要する一方、TDMMベクトルMLSEは4次元のユークリッド距離の計算を要する。
【0045】
モンテ−カルロシミュレーション(不確定な変数について値を何度もランダム生成してモデルをシミュレートするスプレッドシートシミュレーション)は、隣接する通信リンクと100kmリンクについて実行される。変調フォーマットはOn/Offキー(OOK)であり、214の擬似乱数ビット系列が用いられる。TDMMシステム(図1Bに示す)は、従来のシリアル送信システム(図1Aに示す)と比較される。従来の通信システムの場合では、レーザーは10Gb/sの変調レートで外部変調され、その半値全幅(FWHM)は0.1nmである。TDMM通信システムの場合では、4つのレーザーの中心周波数は0.1nm超の距離が空けられており、各レーザーは2.5Gb/sで直接変調され、レーザーチャープによりそのFWHMは0.1nmとなる。いずれの場合でも、レーザー送信器は0dBmの光出力パワーを有すると仮定され、受信器は、フォトダイオード、後続の10GHzの結合帯域幅を有するローパスフィルター(LPF)、および熱雑音から生じる加法性ホワイトガウスノイズ(AWGN)を備える。
【0046】
図3は、従来のシリアル10Gb/sシステムと、TDMM技術を用いた4×2.5Gb/sシステムとの間の、BER比較を示す図である。10Gb/s、0kmおよび100kmのファイバー長におけるBERとSNRの対比は、従来システム(3aと3b)およびTDMMシステム(3cと3d)に示されている。低い方のBER曲線と最も高いBER曲線は、従来の10Gb/sシステムの、0km(連続する)および100km伝播後におけるパフォーマンスをそれぞれ表す。他の2つのBER曲線は、TDMMシステムのパフォーマンスを表す。TDMM信号は上述のMAIに起因する深刻な干渉の課題があるにも係らず、隣接ケースでは、従来システムはTDMM技術より2dB(またはそれ未満)のみパフォーマンスが優れるに過ぎないことが、見てとれる。このMAI緩和(ISIとみなすことができる)は、上述のTDMMベクトルMLSEを用いることによって達成することができる。100kmのファイバー長では、TDMMは従来の通信リンクよりもパフォーマンスが優れていることが見てとれる。これは、提案するTDMM方式のより高いスペクトル利用に関連付けられる。
【0047】
10Gb/sのシリアルシステムでは、ファイバー長は、色分散により、直接変調の場合で10km未満に限定され、外部変調の場合で数10kmに限定される。一方、提案するTDMM技術では、外部変調を用いる場合で数100kmまで、またはこれに代えて直接変調を用いる場合で数10kmまで、分散の影響を受けない。分散の影響を低減する同様の方法は、“高速光送信のためのサブキャリア多重化”,R. Hui et al.(Journal of Lightwave Technology,vol. 20,No. 3,pp. 417-426,March 2002)に記載されている。これは、サブキャリア多重化(SCM)技術を用いて、4×2.5Gb/sデータストリームにより、10Gb/sデータストリームをセットアップするものである。従来のTDMシステムのパフォーマンスが急速に劣化する一方で、SCMシステムのパフォーマンスは150kmまで基本的に変化しないことが示されている。
【0048】
10kmを超えるシリアル10Gb/s送信で必要となる外部変調(電界吸収型またはマッハツェンダー変調器のいずれか)と比較して、TDMMは、2.5Gb/sシステムと同様に、低コストの直接変調で得ることができる。
【0049】
提案手法は、受動光ネットワーク(PON)のようなデータシステムにおいて実装することができる。PONは、光ファイバーケーブルおよび信号を、例えばファイバー・トゥ・ザ・カーブ(FTTC)、ファイバー・トゥ・ザ・ビルディング(FTTB)、またはファイバー・トゥ・ザ・ホーム(FTTH)のようにエンドユーザーの全てまたはほとんどに届けるシステムである。
【0050】
他の実施形態によれば、提案するTDMM技術は、単一のチャンネルではなく、Nチャンネルが各波長において多重化された、WDMを用いたデータチャンネル上で実装することができる。また、WDMの場合ではチャンネル容量はN倍増加する。
【0051】
さらなる実施形態によれば、提案するTDMM技術は、図2に示されるように、複数のチャンネルからのデータを含むTDMM信号を直接合成する単一のレーザー光源に直接実装することができる(例えばN個のチャンネルを所望のシフトとともに結合するハードウェアを用いて生成する、または効率のよくない従来のTDMモードで動作する単一の10Gb/sを用いるのではなく)。この場合、上述のベクトルMLSEを用いた受信側のデコード処理は、変更されない。例えば、提案するTDMM手法が10GHzPONに用いられると、2.5GB/sの4つのチャンネルそれぞれからのデータは、単一の低コストの(直接変調を用いる)10GHz送信器を用いて送信することができる。
【0052】
受信側では、受信器の帯域幅は10GHzよりも大幅に低下し、2.5GHz程度になる(要求されるパフォーマンスに依存する)。低い帯域幅は長いビット時間を要するので、本発明が提案する手法は、システムの総合的なパワー量を改善する(より低いビットレートはより長いビット時間を意味し、したがってビットエネルギーを一定に保つために必要となるパワーはより低くなる)。この例において、受信器の帯域幅は4倍低く、したがってノイズパワーも4倍低い。さらに、ノイズのパワースペクトル密度(PSD)も、狭帯域受信器においてより低くなる。
【0053】
狭帯域を用いることにより、検出器の応答性を改善することもできる。例えば、40GHzのデータ転送速度では、10GHzと比較して応答性が2倍低減される。したがって、本発明はそのような低減を除去する。さらに、狭帯域に起因して、エラーは相関性になる。これにより、パフォーマンス劣化をともなうことなく、FEC(前方誤り訂正、データ送信においてエラー訂正を得る方法)ハードウェアによって処理されるビットストリームはより多くのエラーを含むことができる。
【0054】
さらなる実施形態によれば、本発明の提案によって、帯域幅を非対称な方法、例えば受信器または送信器のみにおいて、狭帯域化することができる。この場合、総合的なパワー量は、より小さい歪み(歪みは片側のみにおいて生じる)に起因して、さらに改善される。
【0055】
TDMM信号は、各チャンネルについてB/Nの帯域幅を有するN個の個別データチャンネルからなるにもかかわらず、集合したTDMM信号の合計帯域幅は依然としてB/Nである。使用可能な受信器は低コスト受信器(帯域幅Bを必要とし、したがって高コストな従来のTDM受信器と比較して)なので、これもまた追加的な利点である。
【0056】
これは、アプリケーションがポート密度の影響を受ける場合に、重要な利点である。送信器の数は、従来のWDM手法と比較してN倍低減され得るからである。例えば、4つの10Gb/sのWDMポート(4つの波長を用いる)は、10GHzの帯域幅(単一の波長)でTDMMを用いて送信される単一の40Gb/sポートで置き換えることができる。
【0057】
図1Cは、本発明の好ましい実施形態に基づいて、TDMMを用いて計10Gb/sのデータストリームを搬送するよう設計された、2.5Gb/sで変調された単一のレーザーを用いる送信器を使用した実装例を示す概略図である。この提案手法は、コスト効率がよく、従来手法よりも効果的である。
【0058】
この例では、10Gb/sのビットレートを有するデータストリームは、4つの電子チャンネルに変換するシリアル−パラレル変換器に入力され、各チャンネルは隣接チャンネルに対して遅延している。各光チャンネルのビットレートは2.5Gb/sであり、同時に送信されるチャンネル数N=4である。4つの電子チャンネルは、電子結合器111を用いて結合され、一方で各チャンネルは隣接チャンネルに対してシフトされる(例えば、時間遅延、位相シフトまたは他のシフト技術を導入することにより)。シフトされたチャンネルの結合出力は、単一のレーザー変調器を制御するために用いられる複合多レベル電子信号を生成する。このレーザー変調器は、光ファイバーを通じて受信器12に送信されるTDMM光信号を生成する2.5GHzの単一のレーザー光源を変調する。受信器12では、フォトダイオード検出器が光信号を電気信号に変換し、次に、電気信号は推定技術を用いて適切なプロセッサ13によってさらにデジタル処理される。結果、最小のビットエラー率を有する10Gb/s(4×2.5Gb/s)の出力が、再構築される。
【0059】
その上、この実装例により、送信速度をN倍下げるか(したがってTDMデータ転送速度を増加させる必要性を回避する)、または反対に高コストのWDMを必要とせずにN個の個別チャンネルを多重化することができる。したがって、このTDMMの実装例は、2.5GHzの単一の低コストレーザー光源のみを必要とする(4つの2.5GHzのレーザー光源ではなく)。これにより、コスト効率がよく、例えば分散または他の光非線形性のような光歪み効果の影響を受けにくいロバストな手法を提供することができる。
【0060】
図1Dは、本発明の他の好ましい実施形態に基づいて、TDMMを用いて計10Gb/sのデータストリームを搬送するよう設計された、2.5Gb/sで変調された単一のレーザーを用いる送信器を使用した他の実装例を示す概略図である。この提案手法は、従来手法よりもさらにコスト効率がよく、効果的である。
【0061】
この例では、10Gb/sのビットレートを有するデータストリームは、LPF(ここでも、光チャンネルのビットレートは2.5Gb/sである)としても機能する、帯域幅が2.5GHZに制限された単一のドライバに入力され、次に、光ファイバーを通じて受信器12に送信されるTDMM光信号を生成する2.5GHzの単一のレーザー光源を変調するために用いられる複合多レベル電子信号を生成する。受信器12では、2.5GHzのフォトダイオード検出器は光信号を電気信号に変換し、次に、電気信号は推定技術を用いて適切なプロセッサ13によってさらにデジタル処理される。結果、最小のビットエラー率を有する10GB/sの出力が再構築される。
【0062】
その上、この実装例により、高コストのWDMを必要とせずに、送信速度をN倍下げるか(したがってTDMデータ転送速度を増加させる必要性を回避する)、または反対にN個の個別チャンネルを多重化することができる。したがって、このTDMMの実装例は、単一のドライバ(4つの2.5GHzのドライバではなく)と2.5GHzの単一の低コストレーザー光源のみを必要とする。
【0063】
本発明が提案する方法は、AM、FM、PMおよびこれらの任意の組み合わせのような、任意の変調手法について実装することができる(ほとんどの場合において、変調は受信側でAMに変換されるため)。
【0064】
上述の例と記載は、当然ながら説明目的で提供され、本発明を限定するものでは決してない。当業者は、上述の1以上の技術を採用し、本発明の範囲を逸脱することなく、本発明を種々の方法で実行することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所与のデータ転送速度Bで動作することのできるデータチャンネルの容量を効率的に増加させる方法であって、
a)帯域幅B/N(N>1)を有する送信端または帯域幅B/Nを有する受信端を前記チャンネルについて提供するステップと、
b)前記送信端において、
b.1)前記所与のデータ転送速度Bで前記データチャンネルに入力された入力データストリームから、前記入力データを表す帯域幅B/Nの複合時分割多レベル信号を生成するステップと、
b.2)レーザーまたは帯域幅B/Nの変調器を用いて前記複合多レベル信号を前記チャンネルの受信端に送信するステップと、
c)前記受信端において、
c.1)帯域幅B/Nの光検出器を用いて前記複合多レベル信号を検出するステップと、
c.2)前記複合多レベル信号を帯域幅B/Nでサンプリングするステップと、
c.3)データ転送速度Bの前記入力データストリームを後処理し、再構築するステップと、
を有する方法。
【請求項2】
請求項1記載の方法であって、
a)前記チャンネルの送信端から受信端まで同時に送信されるN個の変調データストリームの数を判定するステップと、
b)それぞれB/NのビットレートとN/Bのビット時間を有する前記N個の変調データストリームを生成するステップと。
c)前記送信端において、
c.1)1番目の前記変調データストリームとその後に続くN−1個の変調データストリームそれぞれとの間で1/B×Nのシフトを生成するステップと、
c.2)1番目の前記変調データストリームとそのシフトされた後続の変調データストリームを、最大Nレベルを有する複合多レベル信号に結合するステップと、
c.3)前記複合多レベル信号を前記チャンネルの受信端に送信するステップと、
d)前記受信端において、
d.1)前記複合多レベル信号を各ビット時間の間にN回サンプリングし、これにより各時間においてN個の要素を有するベクトルストリームを取得し、各要素がN+1個の可能値を持つようにするステップと、
d.2)受信した前記ベクトルストリームを均一にして各前記N個の変調データストリームを再構築するステップと、
を有する方法。
【請求項3】
受信した前記ベクトルストリームは、同時条件付きPDFを計算することによって均一化される、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
再構築は、同時条件付きPDFを計算することによって受信した前記ベクトルストリームについてMLSEを実行することを含む、請求項1または2記載の方法。
【請求項5】
前記MLSEはベクトルMLSEである、請求項2記載の方法。
【請求項6】
前記チャンネルは光データチャンネルである、請求項1記載の方法。
【請求項7】
前記チャンネル間のシフトは、1/B×Nの時間遅延を用いることによって得られる、請求項2記載の方法。
【請求項8】
前記チャンネル間のシフトは位相シフトである、請求項2記載の方法。
【請求項9】
前記複合多レベル信号は、決定論的な特性を持つMAI(多重アクセス干渉)を有するものとして受信側で処理される、請求項1記載の方法。
【請求項10】
前記複合多レベル信号に関連付けられた前記MAIは、ISIとして訂正される、請求項9記載の方法。
【請求項11】
前記光データチャンネルの長さは100km超である、請求項1記載の方法。
【請求項12】
前記チャンネルを通じて送信される前記データ転送速度は10Gb/sである、請求項1記載の方法。
【請求項13】
前記チャンネルは10Gb/sのPONである、請求項1記載の方法。
【請求項14】
前記チャンネルのビットレートは40GHzである、請求項1記載の方法。
【請求項15】
前記チャンネルはWDMの実装のために用いられる、請求項1記載の方法。
【請求項16】
前記チャンネルはストレージエリアネットワーク(SAN)のために用いられる、請求項1記載の方法。
【請求項17】
前記データチャンネルは、異なる周波数を有する2以上の光信号がWDMを用いて集められるチャンネルである、請求項1記載の方法。
【請求項18】
前記ベクトルMLSEは、ビタビアルゴリズムを用いて実行される、請求項5記載の方法。
【請求項19】
各要素はサンプルの順番に対応する、請求項2記載の方法。
【請求項20】
前記変調データストリームは、直接変調を用いる安価なレーザー光源を用いて生成される、請求項1記載の方法。
【請求項21】
前記N個の変調データストリームは、直接変調を用いる安価なレーザー光源を用いて生成される、請求項2記載の方法。
【請求項22】
前記N個の変調データストリームは、直接変調を用いる、低コスト、狭帯域、単一のレーザー光源を用いて生成される、請求項2記載の方法。
【請求項23】
前記帯域幅は、送信側のみにおいて非対称に狭帯域化される、請求項1記載の方法。
【請求項24】
前記帯域幅は、受信側のみにおいて非対称に狭帯域化される、請求項1記載の方法。
【請求項25】
前記N個の変調データストリームは、N倍高速なビットレートを有するデータストリームから生成される、請求項2記載の方法。
【請求項26】
Nチャンネルからのデータを含む前記複合多レベル信号は、単一のレーザー光源によって送信側で直接生成される、請求項1記載の方法。
【請求項27】
前記単一のレーザー光源は、データ転送速度Bで直接変調される、請求項19記載の方法。
【請求項28】
受信側の受信器の帯域幅はBよりも小さい、請求項1または15記載の方法。
【請求項29】
受信側の受信器の帯域幅はB/Nである、請求項26記載の方法。
【請求項30】
アプリケーションがポート密度の影響を受ける場合は必ず、送受信器の数がN倍低減される、請求項20記載の方法。
【請求項31】
送信端と受信端の間で所与のデータ転送速度Bで動作することのできるデータチャンネルの容量を効率的に増加させるシステムであって、
a)それぞれビットレートB/Nとビット時間N/Bを有するN個の変調データストリームを、前記チャンネルの受信端に同時に送信する、前記送信端における送信器であって、
a.1)前記N個の変調データストリームを生成する複数の信号源と、
a.2)1番目の前記変調データストリームとそのN−1個の後続の前記変調データストリームそれぞれとの間の1/B×Nのシフトを生成する手段と、
a.3)1番目の前記変調データストリームとそのシフトされた後続の前記変調データストリームを、最大Nレベルを有する複合多レベル信号に結合する結合器と、
を有する送信器と、
b)前記複合多レベル信号を受信する、前記受信端における受信器であって、
b.1)各ビット時間の間に前記複合多レベル信号をN回サンプリングし、各時間においてN個の要素を持つベクトルを取得して、各要素がN+1個の可能値を持つようにする回路と、
b.2)同時条件付き確率密度関数を計算することによって各要素についてベクトルMLSEを行い、N個の前記変調データストリームそれぞれを再構築するプロセッサと、
を有する受信器と、
を備えるシステム。
【請求項32】
前記チャンネルは光データチャンネルである、請求項31記載のシステム。
【請求項33】
前記シフト手段は時間遅延を生成する、請求項31記載のシステム。
【請求項34】
前記シフト手段は位相シフトを生成する、請求項31記載のシステム。
【請求項35】
前記プロセッサは、前記複合多レベル信号を、決定論的な特性を有するMAIを有するものとして処理する、請求項31記載のシステム。
【請求項36】
前記プロセッサは、前記複合多レベル信号に関連付けられた前記MAIをISIとして処理する、請求項36記載のシステム。
【請求項37】
前記光データチャンネルの長さは100km超である、請求項31記載のシステム。
【請求項38】
前記チャンネルを通じて送信される前記データ転送速度は10Gb/sである、請求項31記載のシステム。
【請求項39】
前記チャンネルは10Gb/sのPONである、請求項31記載のシステム。
【請求項40】
前記データチャンネルは、異なる周波数を有する2以上の光信号がWDMを用いて集められるチャンネルである、請求項31記載のシステム。
【請求項41】
前記ベクトルMLSEはビタビアルゴリズムを用いて実行される、請求項32記載のシステム。
【請求項42】
各要素はサンプルの順番に対応する、請求項31記載のシステム。
【請求項43】
前記信号源は直接変調を用いる安価なレーザー光源である、請求項31記載のシステム。
【請求項44】
前記N個の変調データストリームは、N倍高速なビットレートを有するデータストリームから生成される、請求項31記載のシステム。
【請求項45】
Nチャンネルからのデータを含む前記複合多レベル信号は、単一のレーザー光源を用いて送信側で直接生成される、請求項31記載のシステム。
【請求項46】
前記単一のレーザー光源は、データ転送速度Bで直接変調される、請求項46記載のシステム。
【請求項47】
受信側の受信器の帯域幅はBより小さい、請求項31または41記載のシステム。
【請求項48】
受信側の受信器の帯域幅はB/Nである、請求項48記載のシステム。
【請求項49】
アプリケーションがポート密度の影響を受ける場合は必ず、送受信器の数がN倍低減される、請求項41記載のシステム。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図1D】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図2D】
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【図3】
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【公表番号】特表2010−528549(P2010−528549A)
【公表日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−509944(P2010−509944)
【出願日】平成20年5月26日(2008.5.26)
【国際出願番号】PCT/IL2008/000708
【国際公開番号】WO2008/146275
【国際公開日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【出願人】(509329534)マルチポン ネットワークス リミテッド (1)
【Fターム(参考)】