説明

トイレの殺菌設備

【課題】トイレの便器内部を衛生的に保つことのできるトイレの殺菌設備を提供する。
【解決手段】便器10の排水トラップ42内の封水44に埋没する位置に殺菌灯32を設置し、溜水部に対して殺菌灯32から紫外線照射して殺菌を行うようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明はトイレの殺菌設備に関し、詳しくは紫外線照射によって殺菌を行うトイレの殺菌設備に関する。
【背景技術】
【0002】
トイレの内部はこれを常に衛生的に保ち、快適にトイレを使用できることが望ましい。
ところでトイレの内部には様々な機器が設置されていて、トイレで用を足す際に使用者が次々とこれらに手を触れることとなる。従ってこれら機器には雑菌が発生、繁殖し易く、他の使用者が手を清潔に保っていたとしてもこれに触れることによって手を汚してしまったりする。
特に便器の排水トラップ内における封水中では、雑菌が発生、繁殖し易く、衛生的に問題がある。
尚本発明に関連する先行技術として下記特許文献1,特許文献2,特許文献3に開示されたものがある。
【0003】
【特許文献1】実開昭64−46047号公報
【特許文献2】特開平9−140633号公報
【特許文献3】特開平11−87770号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は以上のような事情を背景とし、トイレ内、特に便器内部を衛生的に保つことのできるトイレの殺菌設備を提供することを目的としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のトイレの殺菌設備はこのような課題を解決するために案出されたものである。
而して請求項1のものは、便器の排水トラップ内の封水に埋没する位置に殺菌灯を設置し、溜水部に対して該殺菌灯から紫外線照射して殺菌を行うようになしたことを特徴とする。
【0006】
請求項2のものは、請求項1に記載の殺菌設備において、前記殺菌灯として紫外線を発光するLEDを用いたことを特徴とする。
【発明の作用・効果】
【0007】
以上のように請求項1のものは、便器の排水トラップ内の封水に埋没する位置に殺菌灯を設置し、溜水部に殺菌灯から紫外線照射して殺菌を行うようになしたもので、このようにすれば溜水部において雑菌が発生及び繁殖するのを抑制することができる。
【0008】
例えば溜水部に対して上方から下向きに殺菌灯から紫外線照射することで、溜水部を殺菌するようになした場合、紫外線が溜水部の水面で反射することにより溜水部をその内部に到るまで十分に殺菌することができない。
しかるに本発明によれば、溜水部の内部を効果的に殺菌することができる。
また溜水部に埋没している部分の便鉢の内面も、紫外線照射により効果的に殺菌することができる。
【0009】
上記請求項1において、上記殺菌灯として紫外線を発光するLEDを用いることができる(請求項2)。
この場合において殺菌灯は2個以上の複数のLEDを用いることができる。
【0010】
LEDは寿命が長く、従来の殺菌灯のように電球切れによる電球交換を比較的頻繁に行うといった必要がなく、加えて消費電力が少ない利点を有している。
また素子自体が小さいものであるために、これを多数用いて1つのユニットを構成でき、また各LEDを面状に配置しておくことができ、目的とする箇所に紫外線を面状にスポット照射することができる。
【0011】
またLEDを用いることによって、従来では設置できなかったような狭い場所にも容易に殺菌灯を設置でき、上記請求項1の殺菌灯として好適に使用することができる。
またLEDは指向性が高いため、必要な部分に対して良好に紫外線をスポット的に照射することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
次に本発明の実施例を図面に基づいて詳しく説明する。
図1(図1は参考例を示す)において、10は洋風便器(以下単に便器とする)で、12は便鉢、14は便座、16は便蓋である。
18は便器洗浄水を貯える洗浄タンクで、その側面に、内部の便器洗浄水を便鉢12に排出して便器洗浄を行うための操作部としての操作ハンドル20が設けられている。
【0013】
この例において、便器10にはノズル22から洗浄水を人体局部に噴射して局部洗浄を行う局部洗浄装置24が備えられている。
そしてその局部洗浄装置24の各種動作を行うための機構部が洗浄タンク18内部に組み込まれている。
洗浄タンク18の上部には手洗鉢26と、手洗鉢26に向けて手洗水を吐水する吐水口28が設けられている。
一方便器10の側方の壁Wには、局部洗浄装置24の操作部としての壁付リモコン30が取り付けられている。
【0014】
本例において、壁付リモコン30には紫外線を発光するLEDから成る殺菌灯32が取り付けられており、図2(A)に示しているようにその殺菌灯32からの紫外線が、壁付リモコン30の操作部34全体に局所的に照射され、その操作部34が紫外線により殺菌されるようになっている。
尚この例においては壁付リモコン30に傘部36が設けられ、その傘部36の下面に、上記紫外線を発光するLEDから成る殺菌灯32が取り付けられている。
【0015】
この例では、図2(B)に示しているように上記吐水口28にも紫外線を発光するLEDから成る殺菌灯32が下向きに取り付けられており、手洗いのために差し出された手に対して紫外線が照射されるようになっている。
【0016】
本例の殺菌設備によれば、使用者によって頻繁に手の触れられる壁付リモコン30を常に清潔に保つことができ、トイレを快適に使用できるようになる。
また本例では手洗水によって手を洗う際に同時に手を殺菌することができる。
【0017】
尚、図3に示しているように局部洗浄装置24が装置本体側に操作部38を有するようなものである場合において、その操作部38に対し、紫外線を発光するLEDから成る殺菌灯32から紫外線を照射し、同部分を殺菌するようになしても良い。
尚この場合において、殺菌灯32は例えば洗浄タンク18の前面等に取り付けておくことができる。
【0018】
図4は他の参考例を示したもので、この例では洗浄タンク18の側面且つ操作ハンドル20の上下に取付部40を設けて、そこに紫外線を発光するLEDから成る殺菌灯32を取り付け、それらから操作ハンドル20に対し紫外線を照射するようにしている。
【0019】
本例の場合、操作ハンドル20を常に清潔に保つことができる。
尚、操作ハンドル20は便器洗浄用の操作部の一例としてのものであって、他の形態の便器洗浄用の操作部に対して適用することも勿論可能である。
【0020】
図5は本発明の実施例を示したもので、この例では便器10における排水トラップ42の内部、即ち排水トラップ42内の封水44に埋没する位置において、紫外線を発光するLEDから成る殺菌灯32を設置し、これにより封水44を殺菌するようになしたものである。
本例によれば、排水トラップ42内の封水44中において雑菌が発生及び繁殖するのを抑制することができる。
【0021】
図6は他の参考例を示している。
この例では、局部洗浄装置24におけるノズル22の噴射孔45に対し、そのノズル22の引込状態の下で紫外線を発光するLEDから成る殺菌灯32を局部洗浄装置24のカバー部48に取り付けたものである。
【0022】
局部洗浄装置24におけるノズル22の噴射孔45は、そこから人体局部を洗浄する洗浄水を噴射する部分であり、従って同部分が汚れていると、洗浄水が汚れた状態で人体局部に当る恐れがある。この場合局部洗浄装置24を安心して使用できなくなる。
しかるに本例の殺菌設備によれば、噴射孔45から常に清浄な状態の洗浄水を噴射でき、局部洗浄装置24を安心して使用することができる。
【0023】
尚、ノズル22は不使用時に噴射孔45が外筒50内部に入り込む位置まで引き込むようにでき、その状態において噴射孔45に対し紫外線を照射するように殺菌灯32を設けておくこともできる。
【0024】
上記各例において、LEDから成る殺菌灯32は様々な形態で構成することができる。
例えば単一のLEDを適当に分散して配置しておくこともできるし、或いは図7に示しているように複数のLEDから成る殺菌灯32を基板52上に縦横に密に配置して、それらから紫外線を対象物に向けて面状に照射するようになすことも可能である。
【0025】
以上本発明の実施例を参考例とともに詳述したがこれはあくまで一例示である。
例えば上記各例において人体検知若しくはその他の手段により、トイレ不使用時に各部に紫外線を照射するようになし、或いは夜間のみ紫外線照射するようになすことも可能であるなど、本発明はその主旨を逸脱しない範囲において種々変更を加えた形態で構成可能である。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】一参考例の図である。
【図2】図1の要部を拡大して示す図である。
【図3】他の参考例の図である。
【図4】更に他の参考例の図である。
【図5】本発明の実施例の図である。
【図6】更に他の参考例の図である。
【図7】図1ないし図6において用いる殺菌灯の一形態例を示す図である。
【符号の説明】
【0027】
10 洋風便器
32 殺菌灯
44 封水

【特許請求の範囲】
【請求項1】
便器の排水トラップ内の封水に埋没する位置に殺菌灯を設置し、溜水部に対して該殺菌灯から紫外線照射して殺菌を行うようになしたことを特徴とするトイレの殺菌設備。
【請求項2】
請求項1に記載の殺菌設備において、前記殺菌灯として紫外線を発光するLEDを用いたことを特徴とするトイレの殺菌設備。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2008−231911(P2008−231911A)
【公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−109650(P2008−109650)
【出願日】平成20年4月18日(2008.4.18)
【分割の表示】特願平11−238829の分割
【原出願日】平成11年8月25日(1999.8.25)
【出願人】(000000479)株式会社INAX (1,429)
【Fターム(参考)】