説明

トランクドシステム及び無線端末

【課題】本願発明は、基地局装置から遠隔で無線端末装置をテストモードに切り替えてテストをすることのできるトランクドシステムの提供を目的とする。
【解決手段】本願発明のトランクドシステムは、テスト指示の記載されたテスト制御データをテスト機能解除用暗号キーで暗号化して暗号化制御データを生成し、前記テスト機能解除用暗号キーに対応するキーID及び前記暗号化制御データを伝送フレームに配置して前記無線端末装置に送信する基地局装置と、前記キーIDを検出すると前記キーIDに対応する前記テスト機能解除用暗号キーで暗号化制御データを復号化してテスト制御データを再生し、テスト制御データに記載されたテスト指示に従ってテストを開始する無線端末装置と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基地局装置と複数の無線端末装置を同時に接続するトランクドシステム及びそのシステムに適用する無線端末装置に関する(例えば、非特許文献1参照)。
【背景技術】
【0002】
無線端末装置の試験方法としては、無線端末装置を検査する時に、シールドケース内に配置した無線端末装置に対して擬似的空間を作り上げてテストする方法がある(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
この方法は、無線端末装置を予め手動でテストモードに切り替え、制御用ケーブルを接続し、コンピュータから遠隔制御でテストするものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−83464
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】TIA-102.BAAA-A “Project 25 FDMA - Common AirInterface”
【非特許文献2】TIA/EIA-102.AACA “Project 25 Digital RadioOver-the-Air Rekeying (OTAR) Protocol”
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の方法では、出荷時等のように、被テスト対象の無線端末装置を手動でテストモードに切り替える必要があった。また、出荷後にテストする際には被テスト対象の無線端末装置を回収する必要があった。
【0007】
そこで、本願発明は、基地局装置から遠隔で無線端末装置をパケットデータを使ったテストモードに切り替えてテストをすることのできるトランクドシステム及びそのシステムに適用する無線端末装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本願発明では、基地局装置から無線端末装置に対してパケットデータを使ってテスト指示を行い、遠隔でテストを行う。テスト開始時には、予め定めたキーIDを基地局装置から無線端末装置に送信し、キーIDを受信した無線端末装置はテストモードに移行する。基地局装置から無線端末装置に送信するテストの指示内容は、キーIDに対応する暗号キーで暗号化が施されている。
【0009】
具体的には、本願発明のトランクドシステムは、基地局装置と複数の無線端末装置とを同時に無線接続するトランクドシステムであって、テスト指示の記載されたテスト制御データをテスト機能解除用暗号キーで暗号化して暗号化制御データを生成し、前記テスト機能解除用暗号キーに対応するキーID及び前記暗号化制御データを伝送フレームに配置して前記無線端末装置に送信する基地局装置と、前記キーIDを検出すると前記キーIDに対応する前記テスト機能解除用暗号キーで暗号化制御データを復号化してテスト制御データを再生し、テスト制御データに記載されたテスト指示に従ってテストを開始する無線端末装置と、を備える。
【0010】
本願発明のトランクドシステムでは、基地局装置から遠隔で無線端末装置をパケットデータを使ってテストモードに切り替えてテストをすることができる。また、キーIDを知らないとテストモードに移行することができないため、第三者にテストモードを悪用される危険性が減少する。さらに、たとえキーIDが知られたとしても、制御データはテスト機能解除用暗号キーで暗号化されているため、第三者はテスト指示の内容を知ることができない。
【0011】
本願発明のトランクドシステムでは、前記テスト制御データにはテストに使用するテスト用無線周波数の指定が含まれ、前記無線端末装置は、指定された前記テスト用無線周波数を使用してテストを行うことを特徴とする。
【0012】
本願発明のトランクドシステムでは、基地局装置からテスト用無線周波数が指定されるため、第三者はテスト内容の傍受が困難になり、また、テスト用無線周波数の重複を回避することができる。
【0013】
本願発明のトランクドシステムでは、前記基地局装置は、前記キーID及び前記暗号化制御データを伝送フレームのヘッダー部の次のデータに配置してから、ヘッダー部を含めて誤り検出及び誤り訂正ができるよう前記伝送フレームに誤り検出訂正符号を付加して送信し、前記無線端末装置は、前記キーIDを検出すると、前記誤り検出訂正符号を利用して前記ヘッダー部のみ誤り検出及び誤り訂正することを特徴とする。
【0014】
本願発明のトランクドシステムでは、テストモードでは、キーID及び暗号化制御データを受信できれば、他のデータの誤り検出及び誤り訂正を省略することで、テスト中は無線端末装置の省電力化を図ることができる。
【0015】
上記目的を達成するために、具体的には、本願発明の無線端末装置は、基地局装置と複数の無線端末装置とを同時に無線接続するトランクドシステムに適用する無線端末装置であって、テスト指示の記載されたテスト制御データがテスト機能解除用暗号キーで暗号化された暗号化制御データ及び前記テスト機能解除用暗号キーに対応するキーIDを受信し、前記キーIDを検出すると前記キーIDに対応する前記テスト機能解除用暗号キーで暗号化制御データを復号化してテスト制御データを再生し、テスト制御データに記載されたテスト指示に従ってテストを開始する無線端末装置である。
【0016】
本願発明の無線端末装置では、基地局装置から遠隔で無線端末装置をテストモードに切り替えてテストをすることができる。また、キーIDを知らないとテストモードに移行することができないため、第三者にテストモードを悪用される危険性が減少する。さらに、たとえキーIDが知られたとしても、制御データはテスト機能解除用暗号キーで暗号化されているため、第三者はテスト指示の内容を知ることができない。
【0017】
本願発明の無線端末装置では、前記テスト制御データにはテストに使用するテスト用無線周波数の指定が含まれ、指定された前記テスト用無線周波数を使用してテストを行うことを特徴とする。
【0018】
本願発明の無線端末装置では、基地局からテスト用無線周波数が指定されるため、第三者はテスト内容の傍受が困難になり、また、テスト用無線周波数の重複を回避することができる。
【0019】
本願発明の無線端末装置では、前記キーID及び前記暗号化制御データの配置された伝送フレームのヘッダー部を含めて誤り検出及び誤り訂正ができる誤り検出訂正符号を受信し、前記キーIDを検出すると、前記誤り検出訂正符号を利用して前記ヘッダー部のみ誤り検出及び誤り訂正することを特徴とする。
【0020】
本願発明の無線端末装置では、テストモードでは、キーID及び暗号化制御データを受信できれば、他のデータの誤り検出及び誤り訂正を省略することで、テスト中は無線端末装置の省電力化を図ることができる。
【発明の効果】
【0021】
本願発明によれば、基地局装置から遠隔で無線端末装置をテストモードに切り替えてテストをすることのできるトランクドシステム及びそのシステムに適用する無線端末装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】トランクドシステムの動作を示す図である。
【図2】トランクドシステムの動作を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
添付の図面を参照して本発明の実施形態を説明する。以下に説明する実施形態は本発明の実施の例であり、本発明は、以下の実施形態に制限されるものではない。なお、本明細書及び図面において符号が同じ構成要素は、相互に同一のものを示すものとする。
【0024】
(実施形態1)
本実施形態に係るトランクドシステムの動作を図1に示す。トランクドシステムとは、基地局装置無線システムをいう。
【0025】
図1において、まず、基地局装置は、テスト指示の記載されたテスト制御データをテスト機能解除用暗号キーで暗号化して暗号化制御データを生成する。暗号方法は暗号キーを利用するものであれば何でもよい。例えば、DES(Data Encryption Standard)、AES(Advanced Encryption Standard)、RC4(Rivest Cipher 4)などである。
【0026】
テスト制御データには、テスト動作のタイミングやテスト動作の内容が含まれている。テスト制御データには、テスト用無線周波数の指定が含まれていてもよい。基地局装置からテスト用無線周波数が指定されると、第三者はテスト内容の傍受が困難になる。また、基地局装置がテスト用無線周波数を指定すると、周波数の重複を回避することが容易である。テスト用無線周波数は基地局装置から無線端末装置への通信と無線端末装置から基地局装置への通信の両方に適用してもよいし、いずれか一方に適用してもよい。
【0027】
基地局装置は、テスト機能解除用暗号キーを暗号化制御データと同時に無線端末装置に送信はしない。テスト機能解除用暗号キーに替えて、テスト機能解除用暗号キーに対応するキーIDを送信する。テスト制御データを暗号化することによって、テスト指示の内容が傍受されることを防止することができる。また、テスト機能解除用暗号キーに替えて、テスト機能解除用暗号キーに対応するキーIDを送信することによって、暗号化制御データが解読されることを回避することができる。テスト機能解除用暗号キーとキーIDの対応は、予め定めておいて、基地局装置及び無線端末装置がその対応を実装しておいてもよい。または、テスト開始に先立って、基地局装置から無線端末装置に送信しておいてもよい。
【0028】
次に、基地局装置は、キーID及び暗号化制御データを伝送フレームに配置する。APCO Project25の規格では、伝送フレームのデータフォーマットは、制御信号等を配置するヘッダー部とデータ信号を配置するデータ部に分けられる。ここでは、キーIDはヘッダー部の次のデータに配置され、暗号化制御データをキーIDの次のデータに配置することが好ましい。
【0029】
基地局装置はキーID及び前記暗号化制御データを伝送フレームに配置して無線端末装置に送信する。
【0030】
無線端末装置は、伝送フレームからキーIDを検出すると、キーIDに対応するテスト機能解除用暗号キーで暗号化制御データを復号化してテスト制御データを再生する。無線端末装置は、テスト制御データを再生したあと、テスト制御データに記載されたテスト指示に従ってテストを開始する。
【0031】
テストに使用するテスト用無線周波数の指定がテスト制御データに含まれていれば、無線端末装置は、指定に従ったテスト用無線周波数を使用することになる。
【0032】
(実施形態2)
本実施形態に係るトランクドシステムの動作を図2に示す。実施形態1との相違は、誤り検出訂正符号の利用である。
【0033】
基地局装置は、伝送フレームのデータ部にキーID及び暗号化制御データを伝送フレームのデータ部に配置してから、ヘッダー部を含んで、誤り検出及び誤り訂正ができるよう伝送フレームに誤り検出訂正符号を付加する。無線端末装置が誤り検出及び誤り訂正をすると、基地局装置から無線端末装置へのテスト指示が確実になる。
【0034】
無線端末装置は、伝送フレームに配置された誤り検出訂正符号を利用して、伝送フレーム全体の誤り検出及び誤り訂正をしてもよい。基地局装置から無線端末装置へのテスト指示が確実になる。また、図2に示すように、無線端末装置が、キーIDを検出すると、ヘッダー部のみ誤り検出及び誤り訂正をしてもよい。テストモードでは、データ部には無為なデータが配置されている。そのため、無線端末装置が、データ部での動作を中断しても問題は生じない。その一方で、動作の中断によって、無線端末装置の省電力化を図ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明は情報通信産業に適用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基地局装置と複数の無線端末装置とを同時に無線接続するトランクドシステムであって、
テスト指示の記載されたテスト制御データをテスト機能解除用暗号キーで暗号化して暗号化制御データを生成し、前記テスト機能解除用暗号キーに対応するキーID及び前記暗号化制御データを伝送フレームに配置して前記無線端末装置に送信する基地局装置と、
前記キーIDを検出すると前記キーIDに対応する前記テスト機能解除用暗号キーで暗号化制御データを復号化してテスト制御データを再生し、テスト制御データに記載されたテスト指示に従ってテストを開始する無線端末装置と、
を備えるトランクドシステム。
【請求項2】
前記テスト制御データにはテストに使用するテスト用無線周波数の指定が含まれ、前記無線端末装置は、指定された前記テスト用無線周波数を使用してテストを行うことを特徴とする請求項1に記載のトランクドシステム。
【請求項3】
前記基地局装置は、前記キーID及び前記暗号化制御データを伝送フレームのデータ部に配置してから、前記ヘッダー部を含めて誤り検出及び誤り訂正ができるよう前記伝送フレームに誤り検出訂正符号を付加して送信し、
前記無線端末装置は、前記キーIDを検出すると、前記誤り検出訂正符号を利用して前記ヘッダー部のみ誤り検出及び誤り訂正することを特徴とする請求項1又は2に記載のトランクドシステム。
【請求項4】
基地局装置と複数の無線端末装置とを同時に無線接続するトランクドシステムに適用する無線端末装置であって、
テスト指示の記載されたテスト制御データがテスト機能解除用暗号キーで暗号化された暗号化制御データ及び前記テスト機能解除用暗号キーに対応するキーIDを受信し、前記キーIDを検出すると前記キーIDに対応する前記テスト機能解除用暗号キーで暗号化制御データを復号化してテスト制御データを再生し、テスト制御データに記載されたテスト指示に従ってテストを開始する無線端末装置。
【請求項5】
前記テスト制御データにはテストに使用するテスト用無線周波数の指定が含まれ、指定された前記テスト用無線周波数を使用してテストを行うことを特徴とする請求項4に記載の無線端末装置。
【請求項6】
前記キーID及び前記暗号化制御データの配置された伝送フレームのヘッダー部を含めて誤り検出及び誤り訂正ができる誤り検出訂正符号を受信し、
前記キーIDを検出すると、前記誤り検出訂正符号を利用して前記ヘッダー部のみ誤り検出及び誤り訂正することを特徴とする請求項4又は5に記載の無線端末装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−205118(P2012−205118A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−68422(P2011−68422)
【出願日】平成23年3月25日(2011.3.25)
【出願人】(000004330)日本無線株式会社 (1,186)
【Fターム(参考)】