説明

トルク変動吸収装置

【課題】ダンパ部を外周に配置することで、トルクリミット機能を備えたトルク変動吸収装置の高捩れ性能、ダンピング性能を向上させること。
【解決手段】入力側回転部材53から出力側回転部材11への動力伝達経路にダンパ部2及びリミッタ部3を有するトルク変動吸収装置1において、ダンパ部2は、リミッタ部3の外周に配置され、ヒステリシス部(スラスト部材42−44の摺動部分)を有し、外周側からダンパ部2、ヒステリシス部4、リミッタ部3の順に配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トルク変動吸収装置に関する。
【背景技術】
【0002】
トルク変動吸収装置は、例えば、エンジンと電動モータを動力源として備えているハイブリッド駆動装置においては、エンジンまたは/および電動モータの出力軸に設けられており、エンジンと電動モータによる変動トルクを吸収(抑制)する。トルク変動吸収装置の基本的な構成として、エンジンのクランクシャフトに連結されるフライホイールと、フライホイールと摩擦係合される摩擦材を備えるリミッタ部と、リミッタ部と接続されるとともに変速機の入力軸に連結されるダンパ部とを備える。そのようなトルク変動吸収装置の従来技術として、以下のものがある。
【0003】
従来例1として、エンジン及び電動モータよる変動トルクが所定値に達すると動力の伝達を遮断するリミッタ機構と、エンジンにより回転駆動する第1回転部材と、電動モータに連結される第2回転部材と、第1回転部材と第2回転部材との間の変動トルクを抑制するトーション部材と、を備え、リミッタ機構は、第1回転部材と第2回転部材との間の変動トルクが所定値に達すると、第1回転部材から第2回転部材への動力の伝達を遮断し、第1回転部材あるいは第2回転部材に慣性体が形成されたトルク変動吸収装置がある(特許文献1参照)。
【0004】
従来例2として、エンジンのクランクシャフトに連結されるフライホイールと、フライホイールと従動側入力軸との間のトルク伝達経路に配置され一対のドライブプレートとドリブンプレートとスプリングダンパーとを有するダンパーアッセンブリーと、前記フライホイールと前記ダンパーアッセンブリーとの間のトルク伝達経路に配置され一対のライニング部を有し一定値以上のトルクがかかると滑りを生じるトルクリミッターと、を備え、ドリブンプレートはハブを有し該ハブとドライブプレートとの間にはブッシュが配置されており、ブッシュとハブとの間およびブッシュとドライブプレートの間には回転を許容するための隙間があるトルク変動吸収装置が開示されている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−13547号公報
【特許文献2】特許第3683165号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来例1では、リミッタ機構がダンパよりも外周側に配置されているため、トーション部材(コイルスプリング)の配置スペースが狭く、ダンパの偏芯を抑えることが困難であった。つまり、ダンパの偏芯はリミッタ機構における摩擦材やその摩擦相手材の剛性に影響を受けるところ、リミッタ機構がダンパよりも外周側に配置されていたのでは摩擦相手材の剛性を低減するのに適さないため、ダンパの偏芯を抑えることが困難であった。また、従来例1では、リミッタ機構がダンパよりも外周側に配置されているため、ダンパの出力側(トーション部材以降の部分)の慣性が小さく、ノイズや振動を抑えるためにダンパの出力側に別途慣性体を設ける必要があった。また、従来例1では、リミッタ機構がダンパよりも外周側に配置されているため、ダンパの捩り量が小さくならざるをえなかった。
【0007】
従来例2では、ダンパの偏芯を低減するために、ドリブンプレートのハブとドライブプレートとの間にブッシュを有し、ドライブプレートとフライホイールの間にもブッシュを有する。ドライブプレートとフライホイールの間のブッシュは、ダンパより外周側に配置されているため、径が大きく、摺動量が大きくなって摩耗しやすいという課題がある。また、ドライブプレートとフライホイールの間にブッシュを配置すると、装置のサイズやコストが不利になる。また、従来例2では、ダンパの内周側であってダンパとフライホイールの間にベアリングを設ける場合があるが、ダンパとフライホイールのセンタリングはフライホイールとクランクシャフトのあわせ部を基準に実施しているため、ダンパをフライホイールに組み付けにくかったり、トルク変動吸収装置を車両に取り付けた後の性能管理が困難であったり、スペース上ベアリングを設けることが困難であった。
【0008】
本発明の主な課題は、ダンパ部を外周に配置することで、トルクリミット機能を備えたトルク変動吸収装置の高捩れ性能、ダンピング性能を向上させることである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一視点においては、入力側回転部材から出力側回転部材への動力伝達経路にダンパ部及びリミッタ部を有するトルク変動吸収装置において、前記ダンパ部は、前記リミッタ部の外周に配置され、ヒステリシス部を有し、外周側から前記ダンパ部、前記ヒステリシス部、前記リミッタ部の順に配置されていることを特徴とする。
【0010】
本発明の前記トルク変動吸収装置において、前記ダンパ部は、構成部品として、2枚のディスクプレートと、ハブ部材と、前記ディスクプレートと前記ハブ部材の相対回転による振動を減衰させるスプリングと、を有し、前記ディスクプレートは、それぞれボルトによって前記入力側回転部材の外周端部近傍の部位に一体固定されていることが好ましい。
【0011】
本発明の前記トルク変動吸収装置において、前記リミッタ部は、複数のプレートと摩擦材が軸方向に交互に配された多板構造体が挟持された構成となっており、前記入力側回転部材と前記出力側回転部材の間の変動トルクが所定値に達するとスリップにより動力伝達を遮断するように構成されることが好ましい。
【0012】
本発明の前記トルク変動吸収装置において、前記多板構造体は、2枚のサイドプレート間に配され、バネによって加圧されていることが好ましい。
【0013】
本発明の前記トルク変動吸収装置において、前記多板構造体における奇数列のプレートは、前記サイドプレートを固定する保持部材と相対回転不能かつ軸方向移動可能に係合し、前記多板構造体における偶数列のプレートは、前記ハブ部材と相対回転不能かつ軸方向移動可能に係合し、前記保持部材は、前記出力側回転部材と相対回転不能かつ軸方向移動可能に係合するように構成されることが好ましい。
【0014】
本発明の前記トルク変動吸収装置において、前記サイドプレートは、相互に一体固定され、前記多板構造体における奇数列のプレートは、前記サイドプレートの少なくとも一方と相対回転不能かつ軸方向移動可能に係合し、前記多板構造体における偶数列のプレートは、前記ハブ部材と相対回転不能かつ軸方向移動可能に係合し、前記サイドプレートの少なくとも一方は、前記出力側回転部材と相対回転不能かつ軸方向移動可能に係合するように構成されることが好ましい。
【0015】
本発明の前記トルク変動吸収装置において、前記多板構造体における奇数列又は偶数列のプレートは、軸方向に変形可能な弾性材料よりなることが好ましい。
【0016】
本発明の前記トルク変動吸収装置において、前記リミッタ部は、前記出力側回転部材と摩擦材とが摺動可能に接するように構成されていることが好ましい。
【0017】
本発明の前記トルク変動吸収装置において、前記ヒステリシス部は、前記入力側回転部材のトルク変動の作動状況に応じて変動するヒステリシス構造を有することが好ましい。
【0018】
本発明の前記トルク変動吸収装置において、前記ヒステリシス部は、前記入力側回転部材と前記出力側回転部材の捩れ振幅が所定値以上になると変化するヒステリシス構造を有することが好ましい。
【0019】
本発明の前記トルク変動吸収装置において、前記ヒステリシス部では、前記ディスクプレートと前記出力側回転部材の間にコントロールプレートとスラスト部材が配置され、前記出力側回転部材は、前記コントロールプレート間で挟持され、前記コントロールプレートは、リベットにカシメ固定され、前記リベットは、前記出力側回転部材に形成された穴部に挿通され、前記穴部と前記リベットの間のクリアランス領域以上の捩れ振動が発生した時に、前記出力側回転部材と前記コントロールプレートの間のヒステリシスが増加するように構成されることが好ましい。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、ダンパ部がトルク変動吸収装置の最外周部に配置されるため、コイルスプリングの搭載スペースおよびストロークが増大され、リミッタ部を備えるトルク変動吸収装置においてその捩れ角を増やすことができ、捩れ性能およびダンピング性能を向上させることができる。また、リミッタ部を多板構造とすることで、リミッタ部の配置が相対的に内周側になった場合でも外周配置に比べ十分なトルクリミット値を設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施形態1に係るトルク変動吸収装置の構成を模式的に示した切欠き平面図である。
【図2】本発明の実施形態1に係るトルク変動吸収装置の構成を模式的に示した図1のX−X´間の断面図である。
【図3】本発明の実施形態1に係るトルク変動吸収装置におけるリベットと内周ハブ部材の関係を模式的に示した図である。
【図4】本発明の実施形態2に係るトルク変動吸収装置におけるリミッタ部及びその周辺の構成を模式的に示した(A)部分断面図、(B)Y−Y´間の部分断面図である。
【図5】本発明の実施形態3に係るトルク変動吸収装置におけるリミッタ部及びその周辺の構成を模式的に示した(A)第1の部分断面図、(B)第2の部分断面図である。
【図6】本発明の実施形態4に係るトルク変動吸収装置におけるリミッタ部及びその周辺の構成を模式的に示した部分断面図である。
【図7】本発明の実施形態5に係るトルク変動吸収装置におけるダンパ部のコイルスプリング周辺の構成を模式的に示した部分断面図である。
【図8】本発明の実施形態6に係るトルク変動吸収装置におけるダンパ部のコイルスプリング周辺の構成を模式的に示した部分断面図である。
【図9】本発明の実施形態7に係るトルク変動吸収装置におけるダンパ部のコイルスプリング周辺の構成を模式的に示した(A)部分断面図、(B)コイルスプリングと摺動プレートの組合せの部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
(実施形態1)
本発明の実施形態1に係るトルク変動吸収装置について図面を用いて説明する。図1は、本発明の実施形態1に係るトルク変動吸収装置の構成を模式的に示した切欠き平面図である。図2は、本発明の実施形態1に係るトルク変動吸収装置の構成を模式的に示した図1のX−X´間の断面図である。図3は、本発明の実施形態1に係るトルク変動吸収装置におけるリベットと内周ハブ部材の関係を模式的に示した図である。なお、図1ではディスクプレート51、ボルト54、リベット55、スラスト部材42、及びスラスト部材28を省略している。
【0023】
実施形態1に係るトルク変動吸収装置1は、例えば、ハイブリッド駆動装置においては、エンジン(図示せず)の出力軸(図示せず)に設けられており、エンジン(図示せず)と電動モータ(図示せず)による変動トルクを吸収(抑制)する装置である。トルク変動吸収装置1は、捩れ緩衝機能としてダンパ部2、リミッタ部3、及びヒステリシス部4を有する。
【0024】
ダンパ部2は、フライホイール53と内周ハブ部材11の相対回転による振動を減衰させる部分であり、リミッタ部3及びヒステリシス部4よりも外周側に配されている。リミッタ部3は、過大なトルク変動が生じたときにフライホイール53と内周ハブ部材11の相対回転を許容する部分であり、ダンパ部2とヒステリシス部4の間に配されている。ヒステリシス部4は、エンジン(図示せず)のトルク変動等の作動状況に応じて変動する摩擦力のヒステリシス特性を利用してフライホイール53と内周ハブ部材11の相対回転に対してブレーキをかけてノイズ、振動を抑制する部分であり、ダンパ部2及びリミッタ部3よりも内周側に配されている。ヒステリシス部4は、フライホイール53と内周ハブ部材11の捩れ振幅がある一定以上になると変化するように構成されている。なお、図1、図2では外周側からダンパ部2、リミッタ部3、ヒステリシス部4の順に配されているが、ダンパ部2がリミッタ部3及びヒステリシス部4よりも外周側に配されていればよく、ヒステリシス部4がリミッタ部3よりも外周に配されていてもよい。
【0025】
トルク変動吸収装置1は、内周ハブ部材11と、ベアリング12と、スラスト部材13と、スラスト部材14と、コントロールプレート15と、皿バネ16と、コントロールプレート17と、スラスト部材18と、スラスト部材19と、皿バネ20と、中間プレート21と、皿バネ22と、スラスト部材23と、コントロールプレート24と、スラスト部材25と、保持部材26と、リベット27と、スラスト部材28と、サイドプレート29と、サイドプレート30と、スラスト部材31と、皿バネ32と、プレート33と、摩擦材34と、ライニングプレート35と、摩擦材36と、プレート37と、摩擦材38と、ライニングプレート39と、摩擦材40と、外周ハブ部材41と、スラスト部材42と、スラスト部材43と、スラスト部材44と、スラスト部材45と、ガイドプレート46と、ガイドプレート47と、リベット48と、コイルスプリング49と、スプリングシート50と、ディスクプレート51と、ディスクプレート52と、フライホイール53と、ボルト54と、リベット55と、ボルト56と、リベット57と、クッション部材58と、を有する。
【0026】
内周ハブ部材11は、内周側にて、例えば、電動モータ(図示せず)の回転軸(図示せず)とスプライン係合する出力側回転部材であり、ヒステリシス部4の構成部品である。内周ハブ部材11は、外周側に延在したフランジ部11aを有する。フランジ部11aは、ディスクプレート52側の面にてスラスト部材18と摺動可能に接している。フランジ部11aは、ディスクプレート51側の面にてスラスト部材25と摺動可能に接している。フランジ部11aは、中間部分にリベット57を挿通するための穴部11bを有する。穴部11bは、リベット57の中間部分の径よりも大きく構成されており、フランジ部11aとリベット57との相対回転をガイドする。穴部11bとリベット57の中間部分との間のクリアランス領域以上の捩れ振動発生時はヒステリシスが増加する。これにより、ノイズ、振動を抑制することができる。フランジ部11aは、外周面に外スプライン11cが形成されている。外スプライン11cは、保持部材26の内スプライン26aと相対回転不能かつ軸方向移動可能に係合している。内周ハブ部材11の円筒部分の外周面は、ディスクプレート52側にてスラスト部材13と摺動可能に接しており、ディスクプレート51側にてスラスト部材19と摺動可能に接している。内周ハブ部材11の円筒部分のうちディスクプレート51の内周面と対向する部分にはベアリング12が嵌着されている。
【0027】
ベアリング12は、内周ハブ部材11とディスクプレート51の間の軸受けとなるボールベアリングである。ベアリング12の内輪は内周ハブ部材11に嵌着され、ベアリング12の外輪はディスクプレート51を支持する。これにより、位置決め精度が向上し、リミッタ部3のズレを防止することができる。なお、ベアリング12の代わりに、滑り軸受けとなるブッシュを用いてもよい。
【0028】
スラスト部材13は、内周ハブ部材11の円筒部分の外周であってディスクプレート52とスラスト部材14の間に配されたリング状の部材であり、ヒステリシス部4の構成部品である。スラスト部材13の内周端部は、内周ハブ部材11とディスクプレート52との間に延在するとともに、内周ハブ部材11とスラスト部材14及びコントロールプレート15との間に延在した円筒状になっている。スラスト部材13は、ディスクプレート52に対して相対回転不能かつ軸方向移動可能に係合している。スラスト部材13は、スラスト部材14と一体固定又は摺動可能に接している。
【0029】
スラスト部材14は、内周ハブ部材11の円筒部分の外周であってスラスト部材13とコントロールプレート15の間に配されたリング状の部材であり、ヒステリシス部4の構成部品である。スラスト部材14は、コントロールプレート15に一体固定又は摺動可能に接している。
【0030】
コントロールプレート15は、内周ハブ部材11の円筒部分の外周であってスラスト部材14と皿バネ16の間に配されたリング状のプレートであり、ヒステリシス部4の構成部品である。コントロールプレート15は、スラスト部材14が一体固定され、皿バネ16によってスラスト部材14側に付勢されている。コントロールプレート15の外周部分は、リベット57の一端にカシメ固定されている。
【0031】
皿バネ16は、内周ハブ部材11の円筒部分の外周であってコントロールプレート15とコントロールプレート17の間に配されたリング状のバネ部材であり、ヒステリシス部4の構成部品である。皿バネ16は、コントロールプレート15をスラスト部材14側に付勢し、コントロールプレート17をスラスト部材18側に付勢する。
【0032】
コントロールプレート17は、内周ハブ部材11の円筒部分の外周であって皿バネ16とスラスト部材18の間に配されたリング状のプレートであり、ヒステリシス部4の構成部品である。コントロールプレート17は、皿バネ16によってスラスト部材18側に付勢され、スラスト部材18が一体固定又は摺動可能に接している。コントロールプレート17の外周部分は、リベット57の中間部分に対して相対回転不能かつ軸方向移動可能に係合している。
【0033】
スラスト部材18は、内周ハブ部材11の円筒部分の外周であってコントロールプレート17と内周ハブ部材11のフランジ部11aとの間に配されたリング状の部材であり、ヒステリシス部4の構成部品である。スラスト部材18は、コントロールプレート17に一体固定又は摺動可能に接している。
【0034】
スラスト部材19は、内周ハブ部材11の円筒部分の外周であって皿バネ22とスラスト部材23の間に配されたリング状の部材であり、ヒステリシス部4の構成部品である。スラスト部材19の内周部分は、ベアリング12側に延在している。スラスト部材19の外周部分は、ディスクプレート51側に突出した部分を有し、皿バネ20及び皿バネ22と相対回転不能かつ軸方向移動可能に係合している。スラスト部材19は、皿バネ22によってスラスト部材23側に付勢されており、スラスト部材23と一体固定又は摺動可能に接している。
【0035】
皿バネ20は、内周ハブ部材11の円筒部分の外周であってディスクプレート51と中間プレート21の間に配されたリング状のバネ部材であり、ヒステリシス部4の構成部品である。皿バネ20は、外周部分にてスラスト部材19と相対回転不能かつ軸方向移動可能に係合している。皿バネ20は、中間プレート21を皿バネ22側に付勢する。
【0036】
中間プレート21は、内周ハブ部材11の円筒部分の外周であって皿バネ20と皿バネ22の間に配されたリング状のプレートであり、ヒステリシス部4の構成部品である。中間プレート21は、皿バネ20によって皿バネ22側に付勢され、皿バネ22をスラスト部材19側に押し付ける。
【0037】
皿バネ22は、内周ハブ部材11の円筒部分の外周であってスラスト部材19と中間プレート21の間に配されたリング状のバネ部材であり、ヒステリシス部4の構成部品である。皿バネ22は、外周部分にてスラスト部材19と相対回転不能かつ軸方向移動可能に係合している。皿バネ22は、中間プレート21を介して皿バネ20によってスラスト部材19に押し付けられるとともに、スラスト部材19をスラスト部材23側に付勢する。
【0038】
スラスト部材23は、内周ハブ部材11の円筒部分の外周であってスラスト部材19とコントロールプレート24の間に配された部材であり、ヒステリシス部4の構成部品である。スラスト部材23は、スラスト部材19と一体固定又は摺動可能に接している。
【0039】
コントロールプレート24は、内周ハブ部材11の円筒部分の外周であってスラスト部材23とスラスト部材25の間に配されたプレートであり、ヒステリシス部4の構成部品である。コントロールプレート24は、スラスト部材23とスラスト部材25が一体固定又は摺動可能に接している。コントロールプレート24の外周部分は、リベット57の他端にカシメ固定されている。
【0040】
スラスト部材25は、内周ハブ部材11の円筒部分の外周であってコントロールプレート24と内周ハブ部材11のフランジ部11aとの間に配された部材であり、ヒステリシス部4の構成部品である。スラスト部材25は、コントロールプレート24に一体固定又は摺動可能に接しており、フランジ部11aと摺動可能に接している。
【0041】
保持部材26は、内周ハブ部材11のフランジ部11aの外周に配されたリング状の部材であり、リミッタ部3の構成部品である。保持部材26の内周面には、内スプライン26aが形成されている。内スプライン26aは、内周ハブ部材11の外スプライン11cと相対回転不能かつ軸方向移動可能に係合している。保持部材26の外周面には、外スプライン26bが形成されている。外スプライン26bは、プレート33及びプレート37と相対回転不能かつ軸方向移動可能に係合している。内スプライン26a及び外スプライン26bによる係合により、高トルクな動力伝達が可能となる。保持部材26の中間部分には、リベット27を挿通するための穴が形成されている。保持部材26のディスクプレート52側の端部には、リベット27によってサイドプレート30がカシメ固定されている。保持部材26のディスクプレート51側の端部には、リベット27によってサイドプレート29がカシメ固定されている。
【0042】
リベット27は、保持部材26の軸方向両端にサイドプレート29とサイドプレート30をカシメ固定する部材である。リベット27は、保持部材26に形成された穴を挿通し、一端にてサイドプレート29をカシメ固定し、他端にてサイドプレート30をカシメ固定する。
【0043】
スラスト部材28は、ディスクプレート51とサイドプレート29の間に配された部材である。スラスト部材28は、ディスクプレート51及びサイドプレート29と摺動可能に接する。
【0044】
サイドプレート29は、保持部材26のディスクプレート51側の端部にてリベット27にカシメ固定されたリング状のプレートであり、リミッタ部3の構成部品である。サイドプレート29の外周部分は、保持部材26よりも外周側に延在しており、スラスト部材28と皿バネ32の間に配されている。サイドプレート29は、スラスト部材28と摺動可能に接しており、皿バネ32の一端を支持する。
【0045】
サイドプレート30は、保持部材26のディスクプレート52側の端部にてリベット27にカシメ固定されたリング状のプレートであり、リミッタ部3の構成部品である。サイドプレート30の外周部分は、保持部材26よりも外周側に延在しており、スラスト部材31と摩擦材40の間に配されている。サイドプレート30は、スラスト部材31及び摩擦材40と摺動可能に接している。
【0046】
スラスト部材31は、ディスクプレート52とサイドプレート30の間に配されたリング状の部材である。スラスト部材31は、ディスクプレート52及びサイドプレート30と摺動可能に接する。
【0047】
皿バネ32は、保持部材26の外周にてサイドプレート29とプレート33の間に配されたリング状のバネ部材であり、リミッタ部3の構成部品である。皿バネ32は、一端がサイドプレート29によって支持され、他端がプレート33を摩擦材34側に付勢する。
【0048】
プレート33は、保持部材26の外周にて皿バネ32と摩擦材34の間に配されたリング状のプレートであり、リミッタ部3の構成部品である。プレート33は、内周部分にて保持部材26の外スプライン26bと相対回転不能かつ軸方向移動可能に係合している。プレート33は、皿バネ32によって摩擦材34側に付勢され、摩擦材34と摺動可能に接している。
【0049】
摩擦材34は、保持部材26の外周にてプレート33とライニングプレート35の間に配されたリング状の部材であり、リミッタ部3の構成部品である。摩擦材34は、ライニングプレート35に一体固定され、プレート33と摺動可能に接する。
【0050】
ライニングプレート35は、保持部材26の外周にて摩擦材34と摩擦材36の間に配されたリング状のプレートであり、リミッタ部3の構成部品である。ライニングプレート35は、摩擦材34及び摩擦材36が一体固定されている。ライニングプレート35の外周部分は、外周ハブ部材41の内スプライン41aと相対回転不能かつ軸方向移動可能に係合している。
【0051】
摩擦材36は、保持部材26の外周にてライニングプレート35とプレート37の間に配されたリング状の部材であり、リミッタ部3の構成部品である。摩擦材36は、ライニングプレート35に一体固定され、プレート37と摺動可能に接する。
【0052】
プレート37は、保持部材26の外周にて摩擦材36と摩擦材38の間に配されたリング状のプレートであり、リミッタ部3の構成部品である。プレート37は、内周部分にて保持部材26の外スプライン26bと相対回転不能かつ軸方向移動可能に係合している。プレート37は、摩擦材36及び摩擦材38と摺動可能に接している。
【0053】
摩擦材38は、保持部材26の外周にてプレート37とライニングプレート39の間に配されたリング状の部材であり、リミッタ部3の構成部品である。摩擦材38は、ライニングプレート39に一体固定され、プレート37と摺動可能に接する。
【0054】
ライニングプレート39は、保持部材26の外周にて摩擦材38と摩擦材40の間に配されたリング状のプレートであり、リミッタ部3の構成部品である。ライニングプレート39は、摩擦材38及び摩擦材40が一体固定されている。ライニングプレート39の外周部分は、外周ハブ部材41の内スプライン41aと相対回転不能かつ軸方向移動可能に係合している。
【0055】
摩擦材40は、保持部材26の外周にてライニングプレート39とサイドプレート30の間に配されたリング状の部材であり、リミッタ部3の構成部品である。摩擦材40は、ライニングプレート39に一体固定され、サイドプレート30と摺動可能に接する。
【0056】
外周ハブ部材41は、ライニングプレート35、39の外周に配された円筒状の部材であり、ダンパ部2とリミッタ部3の構成部品である。外周ハブ部材41は、内周面に内スプライン41aを有する。内スプライン41aは、ライニングプレート35、39と相対回転不能かつ軸方向移動可能に係合する。外周ハブ部材41の円筒状部分の軸方向両端は、スラスト部材42及びスラスト部材43と摺動可能に接する。外周ハブ部材41は、外周側に延在したフランジ部41bを有する。フランジ部41bは、ガイドプレート46、ガイドプレート47、リベット48、コイルスプリング49、スプリングシート50、及びクッション部材58を収容するための窓部を有し、当該窓部の周方向端面がスプリングシート50と接離可能に接している。フランジ部41bは、ガイドプレート46側の面にてスラスト部材44と摺動可能に接している。フランジ部41bは、ガイドプレート47側の面にてスラスト部材45と摺動可能に接している。
【0057】
スラスト部材42は、外周ハブ部材41の円筒部とディスクプレート51の間に配されたリング状の部材である。スラスト部材42は、外周ハブ部材41及びディスクプレート51と摺動可能に接する。
【0058】
スラスト部材43は、外周ハブ部材41の円筒部とディスクプレート52の間に配されたリング状の部材である。スラスト部材43は、外周ハブ部材41及びディスクプレート52と摺動可能に接する。
【0059】
スラスト部材44は、外周ハブ部材41のフランジ部41bとガイドプレート46の間に配されたリング状の部材である。スラスト部材44は、フランジ部41b及びガイドプレート46と摺動可能に接する。これにより、ノイズ、振動が抑制され、部品間の位置決めが可能となる。なお、スラスト部材44は、ガイドプレート46とディスクプレート51の間に配置するようにしてもよい。
【0060】
スラスト部材45は、外周ハブ部材41のフランジ部41bとガイドプレート47の間に配されたリング状の部材である。スラスト部材45は、フランジ部41b及びガイドプレート47と摺動可能に接する。これにより、ノイズ、振動が抑制され、部品間の位置決めが可能となる。なお、スラスト部材45は、ガイドプレート47とディスクプレート52の間に配置するようにしてもよい。
【0061】
ガイドプレート46は、主に外周ハブ部材41のフランジ部41bとディスクプレート51との間に配されたリング状のプレートであり、ダンパ部2の構成部品である。ガイドプレート46は、強度を確保するために、内周端部がディスクプレート51側に曲がったリブ46aを有する。ガイドプレート46は、フランジ部41b側の面にてスラスト部材44と摺動可能に接する。ガイドプレート46は、外周端部の一部が外周側に延在し、フランジ部41bの窓部に対応する部分にてガイドプレート47側に突出した曲げ部を有し、当該曲げ部にてリベット48によってガイドプレート47と一体固定されている。ガイドプレート46におけるフランジ部41bの窓部に配された部位は、回動方向に直列に配置されたコイルスプリング49間の中間位置に配置される。これにより、ガイドプレート46、47の強度を確保することができる。ガイドプレート46の周方向の端面は、コイルスプリング49の端部の座面となっている。当該座面には、コイルスプリング49のコイル中心軸と外周に突出した凸部を有する。当該凸部は、コイルスプリング49の端部から1.5巻以上突出していることが好ましい。ガイドプレート46は、フランジ部41bの窓部の周方向の範囲内で外周ハブ部材41と相対回転可能である。ガイドプレート46は、コイルスプリング49とディスクプレート51及びディスクプレート52との間の摺動ヒステリシスを低減させ、コイルスプリング49の摩耗を低減させる。
【0062】
ガイドプレート47は、主に外周ハブ部材41のフランジ部41bとディスクプレート52との間に配されたリング状のプレートであり、ダンパ部2の構成部品である。ガイドプレート47は、強度を確保するために、内周端部がディスクプレート52側に曲がったリブ47aを有する。ガイドプレート47は、フランジ部41b側の面にてスラスト部材45と摺動可能に接する。ガイドプレート47は、外周端部の一部が外周側に延在し、フランジ部41bの窓部に対応する部分にてガイドプレート46側に突出した曲げ部を有し、当該曲げ部にてリベット48によってガイドプレート46と一体固定されている。ガイドプレート47におけるフランジ部41bの窓部に配された部位は、直列に配置されたコイルスプリング49の中間位置に配置される。これにより、ガイドプレート47、46の強度を確保することができる。ガイドプレート47の周方向の端面は、コイルスプリング49の端部の座面となっている。当該座面には、コイルスプリング49のコイル中心軸と外周に突出した凸部を有する。当該凸部は、コイルスプリング49の端部から1.5巻以上突出していることが好ましい。ガイドプレート47は、フランジ部41bの窓部の周方向の範囲内で外周ハブ部材41、ディスクプレート51、及びディスクプレート52と相対回転可能である。ガイドプレート47は、コイルスプリング49とディスクプレート51及びディスクプレート52との間の摺動ヒステリシスを低減させ、コイルスプリング49の摩耗を低減させる。
【0063】
リベット48は、ガイドプレート46とガイドプレート47を一体固定する部材であり、ダンパ部2の構成部品である。リベット48は、フランジ部41bの窓部内に配されたガイドプレート46及びガイドプレート47の各曲げ部を一体固定する。
【0064】
コイルスプリング49は、ディスクプレート51、ディスクプレート52、及びフランジ部41bに形成された窓部に収容されたバネ部材であり、ダンパ部2の構成部品である。コイルスプリング49は、一端がスプリングシート50と接し、他端がガイドプレート46及びガイドプレート47と接している。コイルスプリング49は、フランジ部41bに形成された窓部に直列に少なくとも2個収容されるようにする。これにより、低剛性化が可能である。コイルスプリング49は、ディスクプレート51、ディスクプレート52とフランジ部41bとが相対回転したときに収縮し、ディスクプレート51、ディスクプレート52とフランジ部41bの回転差によるショックを吸収する。コイルスプリング49の周辺部に、油、グリス等の潤滑材を有することが好ましい。これにより、コイルスプリング49の耐摩耗性が向上する。
【0065】
スプリングシート50は、ディスクプレート51、ディスクプレート52、及びフランジ部41bに形成された窓部に収容され、当該窓部とコイルスプリング49の端部との間に配された部材であり、ダンパ部2の構成部品である。スプリングシート50は、コイルスプリング49とディスクプレート51、ディスクプレート52、及びフランジ部41bとの間の摺動ヒステリシスを低減させ、コイルスプリング49の摩耗を低減させる。スプリングシート50は、コイルスプリング49のコイル中心軸と外周に突出した凸部を有する。当該凸部は、コイルスプリング49の端部から1.5巻以上突出していることが好ましい。
【0066】
ディスクプレート51は、環状のプレートであり、ダンパ部2の構成部品である。ディスクプレート51は、ベアリング12の外周面からフライホイール53の外周面にかけて配されている。ディスクプレート51は、内周端部がベアリング12の外輪に支持されている。ディスクプレート51は、皿バネ20の一端を支持する。ディスクプレート51は、サイドプレート29と対向する面にてスラスト部材28と摺動可能に接している。ディスクプレート51は、外周ハブ部材41と対向する面にてスラスト部材42と摺動可能に接している。ディスクプレート51は、スプリングシート50、コイルスプリング49、及び弾性部材58を収容するための窓部を有し、当該窓部の周方向の一端がスプリングシート50と接離可能に接している。ディスクプレート51は、ダンパ部2よりも外周側にて、リベット55によってディスクプレート52と一体固定され、ボルト54によってディスクプレート52とともにフライホイール53に一体固定されている。ディスクプレート51とディスクプレート52の一体固定は、ダンパ部2をできるだけ外周に配置するため、フライホイール53の外周円筒部分の部位にてボルト54及びリベット55によって行われ、それよりも内周側(例えば、コイルスプリング49とボルト54の間の部位)では行われない。ディスクプレート51は、内周端部の軸方向の弾性変形を0.5mm以上に設定することが好ましい。これにより、ノイズ、振動を抑制することができ、ディスクプレート51自体が軸方向にバネ作用するためバネ枚数が低減され、皿バネ20を廃止することも可能である。
【0067】
ディスクプレート52は、環状のプレートであり、ダンパ部2の構成部品である。ディスクプレート52は、スラスト部材13の内周円筒部の外周面からフライホイール53の外周面にかけて配されている。ディスクプレート52は、内周端部乃至その近傍の部分がスラスト部材13と接しており、スラスト部材13と相対回転不能かつ軸方向移動可能に係合している。ディスクプレート52は、サイドプレート30と対向する面にてスラスト部材31と摺動可能に接している。ディスクプレート52は、外周ハブ部材41と対向する面にてスラスト部材43と摺動可能に接している。ディスクプレート52は、スプリングシート50、コイルスプリング49、及び弾性部材58を収容するための窓部を有し、当該窓部の周方向の一端がスプリングシート50と接離可能に接している。ディスクプレート52は、窓部のフライホイール53側に突出した凸部52aを有する。凸部52aは、フライホイール53の凹部53aに収容されている。これにより、コイルスプリング49のスペースを確保することができる。ディスクプレート52は、ダンパ部2よりも外周側にて、リベット55によってディスクプレート52と一体固定するためのリベット用穴52cを有し、ボルト54によってディスクプレート52とともにフライホイール53に一体固定するためのボルト用穴52bを有する。
【0068】
フライホイール53は、例えば、エンジン(図示せず)の回転軸(図示せず)にボルト56によって固定されるリング状の入力側回転部材である。フライホイール53は、ディスクプレート52の凸部52aと対応する部位に凸部52aを収容する凹部53aを有する。これにより、コイルスプリング49のスペースを確保することができる。なお、凹部53aは、フライホイール53を貫通した穴であってもよい。フライホイール53には、ボルト54によってディスクプレート51及びディスクプレート52が一体固定されている。
【0069】
ボルト54は、ディスクプレート51及びディスクプレート52をフライホイール53に一体固定するための部材である。
【0070】
リベット55は、ディスクプレート51とディスクプレート52を一体固定するための部材である。
【0071】
ボルト56は、フライホイール53をエンジン(図示せず)の回転軸(図示せず)に固定するための部材である。
【0072】
リベット57は、コントロールプレート15及びコントロールプレート24を一体に固定するための部材である。リベット57には、ディスクプレート51側の端部にてコントロールプレート24がカシメ固定されている。リベット57には、ディスクプレート52側の端部にてコントロールプレート15がカシメ固定されている。リベット57は、中間部分の径が大きく構成されており、フランジ部11aに固定されておらず、フランジ部11aに形成された穴部11b内にて移動可能である。リベット57は、中間部分にてコントロールプレート17の外周部分と相対回転不能かつ軸方向移動可能に係合している。
【0073】
クッション部材58は、コイルスプリング49の内周側に配された弾性部材であり、ダンパ部2の構成部品である。クッション部材58は、コイルスプリング49が収縮したときにスプリングシート50とガイドプレート46、47と当接し、ディスクプレート51、ディスクプレート52とフランジ部41bの回転差によるショックを吸収する。
【0074】
ダンパ部2におけるコイルスプリング49より入力側の入力側部品(ディスクプレート51、ディスクプレート52)をフライホイール53に連結し、ダンパ部2におけるコイルスプリングよりも出力側の出力側部品(外周ハブ部材41から内周ハブ部材11の組立体)の慣性を装置全体の慣性の3%以上に設定する。これにより、ノイズと振動が低減され、別途慣性としてのおもりを付けなくてもよくなる。
【0075】
リミッタ部3は、ディスクプレート51及びディスクプレート52に対し干渉しないように回転可能に設定される。これにより、高トルクに対応することができる。
【0076】
実施形態1によれば、リミッタ部及びヒステリシス部の外周にダンパ部が配されるので、コイルスプリング49のスペースが確保され、リミッタ部3、ヒステリシス部4の周囲における屈曲スペースの確保に有利である。ディスクプレート51がベアリング12を介して内周ハブ部材11の円筒部の外周に配されるため、ダンパ部2の偏芯の発生を低減させることができる。
【0077】
(実施形態2)
本発明の実施形態2に係るトルク変動吸収装置について図面を用いて説明する。図4は、本発明の実施形態2に係るトルク変動吸収装置におけるリミッタ部及びその周辺の構成を模式的に示した(A)部分断面図、(B)Y−Y´間の部分断面図である。
【0078】
実施形態2では、リミッタ部において、実施形態1のサイドプレート(図2の29)と保持部材(図2の26)を一体化させたサイドプレート61を採用したものである。その他の構成は、実施形態1と同様である。
【0079】
サイドプレート61は、内周ハブ部材11のフランジ部11aの外周に配されたリング状の部材であり、リミッタ部3の構成部品である。サイドプレート61の中間部分は、円筒状になっており、その内周面には内スプライン61aが形成されおり、その外周面には外スプライン61bが形成されている。内スプライン61aは、内周ハブ部材11の外スプライン11cと相対回転不能かつ軸方向移動可能に係合している。外スプライン61bは、プレート33及びプレート37と相対回転不能かつ軸方向移動可能に係合している。内スプライン61a及び外スプライン61bによる係合により、高トルクな動力伝達が可能となる。サイドプレート61の内周部分は、フランジ状となっており、サイドプレート30とリベット(図示せず)とカシメ固定される。サイドプレート61の外周部分は、フランジ状となっており、皿バネ32の一端を支持する。サイドプレート61は、プレス成形により形成することができる。
【0080】
なお、ここではサイドプレート61に内スプライン61a及び外スプライン61bを形成した構成としているが、サイドプレート30に同様な内スプライン及び外スプラインを形成した構成としてもよい。
【0081】
実施形態2によれば、実施形態1と同様な効果を奏するとともに、実施形態1の保持部材(図2の26)を廃止することができ、低コスト化が可能であり、省スペース化が可能である。
【0082】
(実施形態3)
本発明の実施形態3に係るトルク変動吸収装置について図面を用いて説明する。図5は、本発明の実施形態3に係るトルク変動吸収装置におけるリミッタ部及びその周辺の構成を模式的に示した(A)第1の部分断面図、(B)第2の部分断面図である。
【0083】
実施形態3では、リミッタ部において、実施形態1のライニングプレート(図2の35、39)に対応するものに弾性材料を用いたライニングプレート(図5(A)の67、70、図5(B)の82、86)とし、当該ライニングプレートをハブ部材(図5(A)の63、図5(B)の73)に固定したものである。
【0084】
図5(A)を参照すると、実施形態1の外周ハブ部材(図2の41)に対応する外周ハブ部材63は、リング状のプレートとなっている。外周ハブ部材63の内周端面近傍の両面には、リベット64によってライニングプレート66、67がカシメ固定されている。ライニングプレート66、67は、弾性材料よりなる。ライニングプレート66の内周側の両面には、摩擦材34、36が一体固定されている。ライニングプレート67の内周側の両面には、摩擦材38、40が一体固定されている。また、実施形態1のガイドプレート(図2の47)に対応するガイドプレート65は、内周部分がサイドプレート30の近傍まで延在しており、サイドプレート30の一部をオーバーラップしている。その他の構成は実施形態1と同様である。
【0085】
図5(B)を参照すると、実施形態1の内周ハブ部材(図2の11)に対応する内周ハブ部材69は、フランジ部69aの外周端部近傍の両面にリベット70によってライニングプレート78、82がカシメ固定されている。ライニングプレート78、82は、弾性材料よりなる。ライニングプレート78の外周側の両面には、摩擦材77、79が一体固定されている。ライニングプレート82の外周側の両面には、摩擦材81、83が一体固定されている。また、実施形態1の外周ハブ部材(図2の41)に対応する外周ハブ部材71は、円筒部の軸方向両面にリベット72によってサイドプレート73、74がカシメ固定されており、内周端部に内スプライン71aが形成されている。サイドプレート73とサイドプレート74の間には、サイドプレート73側から皿バネ75、プレート76、摩擦材77、ライニングプレート78、摩擦材79、プレート80、摩擦材81、ライニングプレート82、摩擦材83の順に配されている。皿バネ75は、プレート76乃至摩擦材83をサイドプレート74側に付勢する。プレート76は、外周ハブ部材71の内スプライン71aと相対回転不能かつ軸方向移動可能に係合しており、摩擦材77と摺動可能に接している。プレート80は、外周ハブ部材71の内スプライン71aと相対回転不能かつ軸方向移動可能に係合しており、摩擦材79、81と摺動可能に接している。サイドプレート74は、摩擦材83と摺動可能に接している。その他の構成は実施形態1と同様である。
【0086】
実施形態3によれば、実施形態1と同様な効果を奏するとともに、構造の簡素化により低コスト化が可能であり、部品間の打音を低減させることができる。また、ガイドプレート65の強度が確保される。
【0087】
(実施形態4)
本発明の実施形態4に係るトルク変動吸収装置について図面を用いて説明する。図6は、本発明の実施形態4に係るトルク変動吸収装置におけるリミッタ部及びその周辺の構成を模式的に示した部分断面図である。
【0088】
実施形態4では、リミッタ部において、実施形態1のサイドプレート(図2の30)と保持部材(図2の26)と内周ハブ部材(図2の11)を一体化した内周ハブ部材85とし、実施形態1のプレート(図2の33)、摩擦材(図2の34)、ライニングプレート(図2の35)、摩擦材(図2の36)、及びプレート(図2の37)を廃止して、摩擦材38と皿バネ32の間にプレッシャプレート88を用いたものである。その他の構成は実施形態1と同様である。
【0089】
内周ハブ部材85は、外周側に延在したフランジ部85aを有する。フランジ部85aは、中間部分にリベット57を挿通するための穴部85bを有する。穴部85bは、リベット57の中間部分の径よりも大きく構成されており、フランジ部85aとリベット57との相対回転をガイドする。フランジ部85aは、穴部85bよりも外周側の部位にてリベット86によりサイドプレート87がカシメ固定されている。フランジ部85aは、リベット86が貫通する部位より外周側に延在し、摩擦材40と摺動可能に接している。
【0090】
サイドプレート87は、内周部分にてリベット86によりフランジ部85aにカシメ固定されている。サイドプレート87は、外周部分にて皿バネ32の一端を支持している。サイドプレート87は、皿バネ32と当接している部位よりも内周側の部位に穴部87aを有する。穴部87aにはプレッシャプレート88の凸部88aが挿通されている。これにより、サイドプレート87は、プレッシャプレート88と相対回転不能かつ軸方向移動可能に係合している。
【0091】
プレッシャプレート88は、皿バネ32と摩擦材38の間に配されたリング状のプレートである。プレッシャプレート88は、皿バネ32によって摩擦材38側に付勢されている。プレッシャプレート88は、摩擦材38と摺動可能に接している。プレッシャプレート88は、内周部分にてサイドプレート87側に突出した凸部88aを有する。凸部88aは、サイドプレート87の穴部87aに挿通される。これにより、プレッシャプレート88は、サイドプレート87と相対回転不能かつ軸方向移動可能に係合している。
【0092】
実施形態4によれば、実施形態1と同様な効果を奏するとともに、構造の簡素化により低コスト化が可能であり、部品間の打音を低減させることができる。
【0093】
(実施形態5)
本発明の実施形態5に係るトルク変動吸収装置について図面を用いて説明する。図7は、本発明の実施形態5に係るトルク変動吸収装置におけるダンパ部のコイルスプリング周辺の構成を模式的に示した部分断面図である。
【0094】
実施形態5では、実施形態1において2枚配置されたガイドプレート46、47を1枚にした形態であり、その他の構成は実施形態1と同様である。
【0095】
実施形態5によれば、実施形態1と同様な効果を奏するとともに、省スペース化、低コスト化が可能である。
【0096】
(実施形態6)
本発明の実施形態6に係るトルク変動吸収装置について図面を用いて説明する。図8は、本発明の実施形態6に係るトルク変動吸収装置におけるダンパ部のコイルスプリング周辺の構成を模式的に示した部分断面図である。
【0097】
実施形態6では、ダンパ部において、実施形態1のガイドプレート(図2の46)、ガイドプレート(図2の47)、リベット(図2の48)、クッション部材(図2の58)を廃止し、コイルスプリング(図2の49)の代わりに予め湾曲させた第1コイルスプリング92及び第2コイルスプリング93を採用し、第1コイルスプリング92の伸縮をガイドするガイド部材94を新たに設けらものである。その他の構成は実施形態1と同様である。
【0098】
第1コイルスプリング92は、ディスクプレート(図2の51)、ディスクプレート52、及びフランジ部41bに形成された窓部に収容されている。第1コイルスプリング92は、ディスクプレート51、52、及びフランジ部41bの回動方向に沿って湾曲している。第1コイルスプリング92は、両端に配設されたスプリングシート50と接している。第1コイルスプリング92は、ディスクプレート51、52とフランジ部41bとが相対回転したときに収縮し、ディスクプレート51、52とフランジ部41bの回転差によるショックを吸収する。第1コイルスプリング92は、第2コイルスプリング93の両端にスプリングシート50が当接する前は単独で収縮し、第2コイルスプリング93の両端にスプリングシート50が当接した後は第2コイルスプリング93とともに収縮する。第1コイルスプリング92のコイル内側には、第2コイルスプリング93が配されている。第1コイルスプリング92のディスクプレート52側の所定の位置には、複数のガイド部材が取り付けられている。
【0099】
第2コイルスプリング93は、第1コイルスプリング92のコイル内側に収容されている。第2コイルスプリング93は、ディスクプレート51、52、及びフランジ部41bの回動方向に沿って湾曲している。なお、湾曲の形態について、スプリング両端部と中央位置で湾曲率を変えるようにしてもよい。第2コイルスプリング93の長さは、第1コイルスプリング92の長さよりも短く構成されている。第2コイルスプリング93は、収縮によりディスクプレート51、52とフランジ部41bの回転差によるショックを吸収する。ディスクプレート51、52とフランジ部41bとが相対回転する際、第2コイルスプリング93の両端にスプリングシート50が当接する前は第1コイルスプリング92のみ収縮し、第2コイルスプリング93の両端にスプリングシート50が当接した後は第1コイルスプリング92とともに収縮する。
【0100】
ガイド部材94は、第1コイルスプリング92の収縮の際に第1コイルスプリング92をディスクプレート52の外周壁面に沿ってガイドする部材である。ガイド部材94は、ディスクプレート52の外周壁面と対向する第1コイルスプリング92の外周部分の所定の位置に取り付けられる。ガイド部材94のうちスプリングシート50の近傍のガイド部材94は、スプリングシート50の凸部の先端からコイル1.5巻以上離れていることが好ましい。ガイド部材94は、第1コイルスプリング92が収縮すると、ディスクプレート52の外周壁面に沿って摺動する。
【0101】
実施形態6によれば、実施形態1と同様な効果を奏するとともに、ダンパ部の低剛性化が可能であり、ガイド部材94との組合せが良好となる。また、潤滑性能が向上し、第1コイルスプリング92の端面が浮いた状態となり遠心力等の影響を受けないようになり、ノイズ、振動を抑制することができる。
【0102】
(実施形態7)
本発明の実施形態7に係るトルク変動吸収装置について図面を用いて説明する。図9は、本発明の実施形態7に係るトルク変動吸収装置におけるダンパ部のコイルスプリング周辺の構成を模式的に示した(A)部分断面図、(B)コイルスプリングと摺動プレートの組合せの部分断面図である。
【0103】
実施形態7では、ダンパ部において、実施形態1のディスクプレート(図2の51、52)の窓部に相当する部分に配されたコイルスプリング49を覆うようにしたディスクプレート97、98を採用したものである。また、コイルスプリング49の外周面とディスクプレート97、98の間に摺動プレート96を配置している。さらに、実施形態1のスラスト部材(図2の42)を廃止し、その代わりに皿バネ99を配置したものである。その他の構成は実施形態1と同様である。
【0104】
摺動プレート96は、コイルスプリング49の外周面とディスクプレート97、98の間に配されたプレートである。摺動プレート96は、皿バネ99の収縮の際にコイルスプリング49をディスクプレート97、98の外周壁面に沿ってガイドし、コイルスプリング49及びディスクプレート97、98と摺動可能に接する。
【0105】
ディスクプレート97は、皿バネ99の一端と接している。ディスクプレート97は、皿バネ99との当接部よりも外周側にコイルスプリング49を収容する部分を有し、コイルスプリング49の端部に配されたスプリングシート50と接離可能に接する。ディスクプレート97におけるコイルスプリング49を収容する部分には、外部に通ずる穴がなく、内部に油、グリス等の潤滑材が封入されている。ディスクプレート97は、コイルスプリング49よりも外周側の部位にて、潤滑材が外部に流出しないようにディスクプレート98と溶接されている。なお、溶接の代わりに、ディスクプレート97、98の間にシール部材(図示せず)を介在させてもよい。
【0106】
ディスクプレート98は、スラスト部材43と摺動可能に接する。ディスクプレート98は、スラスト部材43との当接部よりも外周側にコイルスプリング49を収容する部分を有し、コイルスプリング49の端部に配されたスプリングシート50と接離可能に接する。ディスクプレート98におけるコイルスプリング49を収容する部分には、外部に通ずる穴がなく、内部に油、グリス等の潤滑材が封入されている。ディスクプレート98は、コイルスプリング49よりも外周側の部位にて、潤滑材が外部に流出しないようにディスクプレート97と溶接されている。なお、溶接の代わりに、ディスクプレート97、98の間にシール部材(図示せず)を介在させてもよい。
【0107】
皿バネ99は、外周ハブ部材41とディスクプレート97の間に配されたリング状のバネ部材である。皿バネ99は、一端がディスクプレート97によって支持され、他端が外周ハブ部材41の円筒部をスラスト部材43側に付勢する。皿バネ99の一端は全周に渡ってディスクプレート97と当接し、かつ、皿バネ99の一端は全周に渡って外周ハブ部材41と当接しているので、コイルスプリング49側に封入された潤滑材が外周ハブ部材41の内周側に流出しにくい。なお、皿バネ99の反対側のスラスト部材43も全周に渡って外周ハブ部材41及びディスクプレート98と当接しているので、コイルスプリング49側に封入された潤滑材が外周ハブ部材41の内周側に流出しにくい。
【0108】
実施形態7によれば、実施形態1と同様な効果を奏するとともに、潤滑材によりコイルスプリング49の耐摩耗性が向上する。また、スプリング周辺部が封止された構成となっているので、封入された潤滑材の流出が防止される。さらに、ディスクプレート97、98におけるコイルスプリング49の収容部が外部と遮断されているので、ダスト、水などの異物の侵入が防止され、装置の性能の劣化や錆の発生を防止することができる。
【符号の説明】
【0109】
1 トルク変動吸収装置
2 ダンパ部
3 リミッタ部
4 ヒステリシス部
11 内周ハブ部材(出力側回転部材)
11a フランジ部
11b 穴部
11c 外スプライン
12 ベアリング(軸受け)
13 スラスト部材
14 スラスト部材
15 コントロールプレート
16 皿バネ
17 コントロールプレート
18 スラスト部材
19 スラスト部材
20 皿バネ
21 中間プレート
22 皿バネ
23 スラスト部材
24 コントロールプレート
25 スラスト部材
26 保持部材
26a 内スプライン
26b 外スプライン
27 リベット
28 スラスト部材
29 サイドプレート
30 サイドプレート
31 スラスト部材
32 皿バネ
33 プレート
34 摩擦材
35 ライニングプレート
36 摩擦材
37 プレート
38 摩擦材
39 ライニングプレート
40 摩擦材
41 外周ハブ部材
41a 内スプライン
41b フランジ部
42 スラスト部材
43 スラスト部材
44 スラスト部材
45 スラスト部材
46 ガイドプレート
46a リブ
47 ガイドプレート
47a リブ
48 リベット
49 コイルスプリング
50 スプリングシート
51 ディスクプレート
52 ディスクプレート
52a 凸部
52b ボルト用穴
52c リベット用穴
53 フライホイール(入力側回転部材)
53a 凹部
54 ボルト
55 リベット
56 ボルト
57 リベット
58 クッション部材
61 サイドプレート
61a 内スプライン
61b 外スプライン
63 外周ハブ部材
64 リベット
65 ガイドプレート
66 ライニングプレート
67 ライニングプレート
69 内周ハブ部材
69a フランジ部
70 リベット
71 外周ハブ部材
71a 内スプライン
72 リベット
73 サイドプレート
74 サイドプレート
75 皿バネ
76 プレート
77 摩擦材
78 ライニングプレート
79 摩擦材
80 プレート
81 摩擦材
82 ライニングプレート
83 摩擦材
85 内周ハブ部材
85a フランジ部
85b 穴部
86 リベット
87 サイドプレート
87a 穴部
88 プレッシャプレート
88a 凸部
90 外周ハブ部材
90a フランジ部
92 第1コイルスプリング
93 第2コイルスプリング
94 ガイド部材
96 摺動プレート(ガイド部材)
97 ディスクプレート
98 ディスクプレート
99 皿バネ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力側回転部材から出力側回転部材への動力伝達経路にダンパ部及びリミッタ部を有するトルク変動吸収装置において、
前記ダンパ部は、前記リミッタ部の外周に配置され、
ヒステリシス部を有し、
外周側から前記ダンパ部、前記ヒステリシス部、前記リミッタ部の順に配置されていることを特徴とするトルク変動吸収装置。
【請求項2】
前記ダンパ部は、構成部品として、2枚のディスクプレートと、ハブ部材と、前記ディスクプレートと前記ハブ部材の相対回転による振動を減衰させるスプリングと、を有し、
前記ディスクプレートは、それぞれボルトによって前記入力側回転部材の外周端部近傍の部位に一体固定されていることを特徴とする請求項1記載のトルク変動吸収装置。
【請求項3】
前記リミッタ部は、複数のプレートと摩擦材が軸方向に交互に配された多板構造体が挟持された構成となっており、前記入力側回転部材と前記出力側回転部材の間の変動トルクが所定値に達するとスリップにより動力伝達を遮断するように構成されることを特徴とする請求項1又は2記載のトルク変動吸収装置。
【請求項4】
前記多板構造体は、2枚のサイドプレート間に配され、バネによって加圧されていることを特徴とする請求項3記載のトルク変動吸収装置。
【請求項5】
前記多板構造体における奇数列のプレートは、前記サイドプレートを固定する保持部材と相対回転不能かつ軸方向移動可能に係合し、
前記多板構造体における偶数列のプレートは、前記ハブ部材と相対回転不能かつ軸方向移動可能に係合し、
前記保持部材は、前記出力側回転部材と相対回転不能かつ軸方向移動可能に係合するように構成されることを特徴とする請求項4記載のトルク変動吸収装置。
【請求項6】
前記サイドプレートは、相互に一体固定され、
前記多板構造体における奇数列のプレートは、前記サイドプレートの少なくとも一方と相対回転不能かつ軸方向移動可能に係合し、
前記多板構造体における偶数列のプレートは、前記ハブ部材と相対回転不能かつ軸方向移動可能に係合し、
前記サイドプレートの少なくとも一方は、前記出力側回転部材と相対回転不能かつ軸方向移動可能に係合するように構成されることを特徴とする請求項4記載のトルク変動吸収装置。
【請求項7】
前記多板構造体における奇数列又は偶数列のプレートは、軸方向に変形可能な弾性材料よりなることを特徴とする請求項3又は4記載のトルク変動吸収装置。
【請求項8】
前記リミッタ部は、前記出力側回転部材と摩擦材とが摺動可能に接するように構成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一に記載のトルク変動吸収装置。
【請求項9】
前記ヒステリシス部は、前記入力側回転部材のトルク変動の作動状況に応じて変動するヒステリシス構造を有することを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一に記載のトルク変動吸収装置。
【請求項10】
前記ヒステリシス部は、前記入力側回転部材と前記出力側回転部材の捩れ振幅が所定値以上になると変化するヒステリシス構造を有することを特徴とする請求項8記載のトルク変動吸収装置。
【請求項11】
前記ヒステリシス部では、前記ディスクプレートと前記出力側回転部材の間にコントロールプレートとスラスト部材が配置され、
前記出力側回転部材は、前記コントロールプレート間で挟持され、
前記コントロールプレートは、リベットにカシメ固定され、
前記リベットは、前記出力側回転部材に形成された穴部に挿通され、
前記穴部と前記リベットの間のクリアランス領域以上の捩れ振動が発生した時に、前記出力側回転部材と前記コントロールプレートの間のヒステリシスが増加するように構成されることを特徴とする請求項10記載のトルク変動吸収装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−247425(P2011−247425A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−170961(P2011−170961)
【出願日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【分割の表示】特願2007−152840(P2007−152840)の分割
【原出願日】平成19年6月8日(2007.6.8)
【出願人】(000000011)アイシン精機株式会社 (5,421)