説明

トレーラ

【課題】セミトレーラ式車両のトレーラに関し、セミトレーラ式車両をハイブリッド車両にして、燃費を効果的に改善する。
【解決手段】走行用の動力源としてエンジン11及び電動機13を備えるトラクタ10に連結されるトレーラ20であって、トラクタ10に連結された状態で電動機13に電力を供給可能に接続されるバッテリ25と、トラクタ10に連結されて走行する際に、走行輪27L,27Rで得られる回転動力で駆動して発電するともに、発電した電力をバッテリ25に供給する電動発電機26とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トレーラに関し、特に走行用の動力源としてエンジン及び電動機を備えるトラクタに連結されるトレーラに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車両の低公害化や燃費向上の観点から、駆動源としてエンジンの出力を走行用モータでアシストするハイブリッド車両が実用化されている。また、輸送用トラック等の大型車両においても、ディーゼルエンジンと走行用モータとを組み合わせたディーゼルハイブリッド車両が提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、輸送用トラック等の大型車両に適用可能なハイブリッドシステムとして、走行用の動力源にディーゼルエンジンとモータジェネレータとを備えたパラレル方式のハイブリッドシステムが開示されている。
【0004】
また、輸送用トラックにおいては、牽引車であるトラクタに被牽引車のトレーラを連結して走行する、いわゆるセミトレーラ式車両が知られている。
【0005】
例えば、特許文献2には、トラクタにコンテナ等の積荷を積載したトレーラを連結して走行するセミトレーラ式の連結車両が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−138876号公報
【特許文献2】特開2007−153192号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、セミトレーラ式車両においては、トレーラ牽引走行時に十分な駆動力を確保するために、トラクタ側に出力の大きい大型エンジンを搭載している。そして、大型エンジンは、トレーラ牽引走行時に高燃費を得るために、高負荷側の運転領域内にエンジンの燃費点(以下、牽引時燃費点という)が設定されている。しかし、トレーラを牽引しないトラクタ単体走行時は、トラクタ単体の重量が比較的軽く大きな駆動力を必要としないため、大型エンジンの運転領域は低負荷側の運転領域に移行されることになる。そのため、トラクタ単体走行時は、大型エンジンの運転領域が牽引時燃費点から離れることで、燃費を悪化させてしまう可能性がある。
【0008】
このような燃費の悪化を改善すべく、特許文献2記載のセミトレーラ式車両のトラクタ側に、特許文献1記載のハイブリッドシステムを適用することも考えられる。しかし、セミトレーラ式車両のトラクタ側スペースは、キャブ(運転室)や牽引時に大きな駆動力を得る大型エンジンで占められるため、トラクタ側に走行用モータやこの走行用モータに電力を供給するバッテリをさらに搭載させることは難しい。
【0009】
本発明はこのような点に鑑みてなされたもので、その目的は、簡素な構成で、トラクタ及びこのトラクタに連結されるトレーラを有するセミトレーラ式車両をハイブリッド車両にして、燃費を効果的に改善することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明のトレーラは、走行用の動力源としてエンジン及び電動機を備えるトラクタに連結されるトレーラであって、前記トラクタに連結された状態で前記電動機に電力を供給可能に接続されるバッテリと、前記トラクタに連結されて走行する際に、走行輪で得られる回転動力で駆動して発電するともに、発電した電力を前記バッテリに供給する電動発電機とを備えることを特徴とする。
【0011】
また、前記バッテリの残容量を検出する残容量検出手段と、前記トラクタに連結されて走行する際に、前記残容量検出手段の検出値が下限閾値よりも大きい場合は、前記バッテリの電力で前記電動発電機を電動機として駆動させて動力を出力させるとともに、出力した動力で前記走行輪を回転駆動させる動力制御手段とを備えてもよい。
【0012】
また、外部電源に接続されるとともに、該外部電源から供給される電力で前記バッテリを充電する充電器をさらに備えてもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、簡素な構成で、トラクタ及びこのトラクタに連結されるトレーラを有するセミトレーラ式車両をハイブリッド車両にすることができるとともに、燃費を効果的に改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施形態に係るトレーラを含むセミトレーラ式車両を示す模式的な側面図である。
【図2】本発明の一実施形態に係るトレーラを含むセミトレーラ式車両を示す模式的な全体構成図である。
【図3】本発明の一実施形態に係るトレーラの外部充電機構を示す模式的な側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図1〜3に基づいて、本発明の一実施形態に係るトレーラについて説明する。同一の部品には同一の符号を付してあり、それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰返さない。
【0016】
本実施形態に係るトレーラ20は、図1に示すように、牽引車であるトラクタ10に被牽引車のトレーラ20を連結するセミトレーラ式車両1に適用されるものである。このトレーラ20は、シャシ21の前部に設けられたキングピン50がトラクタ10後部のカプラ51に接続されることで、トラクタ10と連結されるように構成されている。まず、本実施形態に係るトレーラ20が連結されるトラクタ10を説明する。
【0017】
図2に示すように、トラクタ10は、ディーゼルエンジン(以下、エンジンという)11と、クラッチ12と、トラクタ側モータ(電動機)13と、変速機14と、プロペラシャフト15と、トラクタ側差動装置16と、前部に設けられた左右の操舵輪17L,17Rと、後部に設けられた左右の駆動輪18L,18Rと、トラクタECU60とを有する。
【0018】
エンジン11は、トラクタECU60によって、トラクタ10の走行状態に応じたトルクを出力するように燃焼を制御されている。また、エンジン11の出力軸11aは、クラッチ12を介してモータ13の入力軸13aに断接可能に接続されている。
【0019】
クラッチ12は、図示しない油圧供給源からクラッチアクチュエータ12cに作動油が供給されることで断接制御される一対の摩擦クラッチ12a,12bを有する。このクラッチアクチュエータ12cへの作動油の供給は、トラクタECU60によって制御されている。すなわち、トラクタECU60から接続信号が出力されると、クラッチアクチュエータ12cに作動油が供給され一対の摩擦クラッチ12a,12bが互いに摩擦係合することで、エンジン11の出力軸11aと走行用モータ13の入力軸13aとは接続状態に維持される。一方、トラクタECU60から断切信号が出力されると、クラッチアクチュエータ12cから作動油が排出され一対の摩擦クラッチ12a,12bが互いに離間することで、エンジン11の出力軸11aと走行用モータ13の入力軸13aとは断切状態に維持される。
【0020】
トラクタ側モータ13は、走行用モータ(電動機)もしくはジェネレータ(発電機)として機能するもので、その出力軸(不図示)は変速機14の入力軸(不図示)に接続されている。例えば、運転者によるアクセルペダル(不図示)の操作量に応じた要求トルクに対してエンジン11の出力トルクのみでは不足する場合は、このトラクタ側モータ13は電動機として機能する。すなわち、トラクタ側モータ13は、後述するトレーラ20側のメインバッテリ25に蓄電された直流電力が、インバータ24によって交流電力に変換された後に供給されることで車両1の駆動源として駆動される。
【0021】
一方、運転者によるアクセルペダルの踏み込みが解放されてエンジンブレーキが作動した場合や、ブレーキペダル(不図示)が踏み込まれ制動動作が行われた場合は、トラクタ側モータ13は回生ブレーキとして機能するとともに発電機としても機能する。すなわち、車両1の減速時に駆動輪18L,18Rに生じる運動エネルギは、トラクタ側モータ13により電気エネルギ(交流電力)へと変換されるとともに、この交流電力がインバータ24で直流電力に変換されてメインバッテリ25に蓄電される回生発電が行われるように構成されている。
【0022】
変速機14は、エンジン11またはトラクタ側モータ13から出力されるトルクを適切な回転速度に変速調整するもので、その出力軸(不図示)はプロペラシャフト15に接続されている。すなわち、クラッチ12が接続制御される場合、エンジン11の出力軸11aと走行用モータ13の入力軸13aとが接続されることで、エンジン11及び走行用モータ13の出力トルクは、変速機14で適切な回転速度に変速調整された後に、プロペラシャフト15、トラクタ側差動装置16を介して左右の駆動輪18L,18Rへと伝達される。一方、クラッチ12が断切制御される場合、エンジン11の出力軸11aと走行用モータ13の入力軸13aとが断切されることで、走行用モータ13の出力トルクのみが、変速機14で適切な回転速度に変速調整された後に、プロペラシャフト15,トラクタ側差動装置16を介して左右の駆動輪18L,18Rへと伝達されるように構成されている。
【0023】
トラクタECU(トラクタ電子制御ユニット)60は、トラクタ10の駆動系であるエンジン11,クラッチ12,トラクタ側モータ13,変速機14等の作動を制御するもので、公知のCPUやROM、RAM、入力ポート、出力ポート等を備え構成されている。これら駆動系の作動を制御するために、トラクタECU60には、図2に示すように、エンジン11,クラッチ12,トラクタ側モータ13,変速機14,インバータ24,エンジン回転センサ(不図示),アクセルセンサ(不図示)等が電気的に接続されている。
【0024】
また、トラクタECU60には、走行用の動力源として、エンジン11の出力トルクを優先的に用いて走行するエンジン走行モード及び、エンジン11の出力トルクをトラクタ側モータ13でアシストして走行するモータアシスト走行モードが設定されている。
【0025】
そして、トラクタECU60は、トレーラ20牽引走行時に運転者のアクセルペダル操作量に応じた要求トルク(以下、単に要求トルクという)が所定量未満で、この要求トルクをエンジン11の出力トルクのみで満たせる場合は、エンジン走行モードを選択する。すなわち、トラクタECU60は、クラッチ12を接続制御し、トラクタ側モータ13を空転状態に制御するとともに、エンジン11を要求トルクに応じて燃焼制御するように構成されている。
【0026】
また、トラクタECU60は、トレーラ20牽引走行時において、加速時や発進時など要求トルクが所定量以上で、この要求トルクをエンジン11の出力トルクのみでは満たすことができない場合は、モータアシスト走行モードを選択する。すなわち、トラクタECU60は、トラクタ側モータ13をメインバッテリ25からインバータ24を介して供給される交流電力により駆動させて電動機として機能するように制御するとともに、クラッチ12を接続制御するように構成されている。
【0027】
一方、トラクタ10単体走行時の場合は、トラクタECU60は、トラクタ10がエンジン11の出力トルクのみで走行するようにトラクタ10の駆動系を制御する。すなわち、エンジン11は要求トルクに応じて燃焼制御され、クラッチ12は接続制御されるとともに、トラクタ側モータ13は空転状態に制御される。
【0028】
さらに、エンジンブレーキ等の車両1の制動時は、トラクタECU60は、回生発電を行うためにトラクタ側モータ13を発電機として機能させる。
【0029】
次に、本実施形態に係るトレーラ20について説明する。
【0030】
図2に示すように、トレーラ20は、左右の前側走行輪27L,27Rと、左右の後側走行輪28L,28Rと、トレーラ側差動装置29と、シャシ21の下部に設けられたメインバッテリ25と、インバータ24と、トレーラ側モータ(発電機)26と、トレーラECU(動力機制御手段)61とを有する。
【0031】
左右の前側走行輪27L,27Rは、図2に示すようにシャシ21の後方に設けられた前側走行軸27aの両端に取り付けられている。また、前側走行軸27aにはトレーラ側差動装置29が介装されている。一方、左右の後側走行輪28L,28Rは、前側走行軸27aよりも後方のシャシ21に設けられた後側走行軸28aの両端に取り付けられている。
【0032】
すなわち、トレーラ20がトラクタ10に牽引されて走行すると、前側走行輪27L,27Rと後側走行輪28L,28Rとが路面を転動しながらトレーラ20の後方側を支える。そして、前側走行輪27L,27Rの回転エネルギは、前側走行軸27aを介してトレーラ側差動装置29へと伝達されるように構成されている。
【0033】
メインバッテリ25は高電圧の直流電力を蓄電可能なリチウムイオンバッテリであって、図1に示すように前側走行輪27L,27Rよりも前方に位置するシャシ21の下部に取り付けられている。また、メインバッテリ25は、インバータ24と電気配線を介して接続されている。
【0034】
さらに、メインバッテリ25は、図2,3に示すように、外部電源から電力の供給を受けて充電されるための外部充電機構40と電気配線を介して接続されている。以下、図3に基づいて外部充電機構40を説明する。
【0035】
外部充電機構40は、図3に示すように、トレーラ20に搭載された充電器41と、一端を充電器41に接続され他端にコネクタ43が設けられた電気ケーブル42とを有する。また、メインバッテリ25と充電器41とは電気配線44を介して接続されている。例えば、トレーラ20がトラクタ10から切り離されてトレーラ置き場等のターミナルに駐留される際は、運転者等がターミナルに設置された外部電源100にコネクタ43を差し込み、充電器41が外部電源100と接続されることで、メインバッテリ25の外部充電が実現されるように構成されている。
【0036】
なお、メインバッテリ25には、メインバッテリ25の充電残量(State Of Charge:以下、SOCという)を検出するバッテリセンサ(残容量検出手段)70が設けられている。
【0037】
インバータ24は、図2に示すように、メインバッテリ25とトラクタ側モータ13とに電気配線を介して接続されるとともに、メインバッテリ25とトレーラ側モータ26とに電気配線を介して接続されている。すなわち、トラクタ側モータ13やトレーラ側モータ26が電動機として機能する場合、メインバッテリ25に蓄電された直流電力はインバータ24で交流電力に変換された後に、これらトラクタ側モータ13やトレーラ側モータ26に供給されるように構成されている。また、トラクタ側モータ13やトレーラ側モータ26が発電機として機能する場合、発電された高電圧の交流電力はインバータ24で直流電力に変換された後にメインバッテリ25に供給されて蓄電されるように構成されている。なお、トラクタ側モータ13とインバータ24とを接続する電気配線は、トラクタ10とトレーラ20とが連結される際に、他のブレーキ系配線とともに図示しないコネクタで接続される。
【0038】
トレーラ側モータ26は、ジェネレータ(発電機)もしくは走行用モータ(電動機)として機能するもので、図2に示すように、その回転軸26aをトレーラ側差動装置29に接続されている。例えば、トレーラ20がトラクタ10に牽引されて走行する場合、トレーラ側モータ26は発電機として機能する。すなわち、前側走行輪27L,27Rが路面を転動することで生じる回転エネルギは、前側走行軸27aからトレーラ側差動装置29を介してトレーラ側モータ26へと伝達される。その後、伝達された回転エネルギはトレーラ側モータ26により電気エネルギ(交流電力)へと変換されるとともに、この交流電力がインバータ24で直流電力に変換されてメインバッテリ25に蓄電されるように構成されている。
【0039】
また、運転者によるアクセルペダルの踏み込みが解放されてエンジンブレーキが作動した場合や、ブレーキペダル(不図示)が踏み込まれ制動動作が行われた場合は、トレーラ側モータ26は回生ブレーキとして機能するとともに発電機としても機能する。すなわち、車両1の制動時に前側走行輪27L,27Rに生じる運動エネルギは、前側走行軸27aからトレーラ側差動装置29を介してトレーラ側モータ26へと伝達される。その後、伝達された運動エネルギはトレーラ側モータ26により電気エネルギ(交流電力)へと変換されるとともに、この交流電力がインバータ24で直流電力に変換されてメインバッテリ25に蓄電されるように構成されている。
【0040】
一方、トレーラ側モータ26は、バッテリセンサ70の検出値であるSOCが所定の下限閾値(例えば80%)よりも高い場合は電動機として機能する。すなわち、SOCが十分にある時は、メインバッテリ25に蓄電された直流電力がインバータ24で交流電力に変換された後に供給されることで、トレーラ側モータ26はトラクタ10の駆動力(牽引力)を補助(アシスト)する駆動源として駆動される。
【0041】
なお、トレーラ側モータ26を電動機もしくは発電機として機能させる切替制御は、トレーラECU61によりコントロールされている。
【0042】
トレーラECU(トレーラ電子制御ユニット)61は、トレーラ20に搭載されたインバータ24,トレーラ側モータ26等の作動を制御するもので、公知のCPUやROM、RAM、入力ポート、出力ポート等を備え構成されている。このインバータ24,トレーラ側モータ26等の作動を制御するために、トラクタECU60には、図2に示すように、インバータ24,トレーラ側モータ26,バッテリセンサ70等が電気的に接続されている。
【0043】
このトレーラECU61は、トレーラ20牽引走行時や車両1の制動時に、トレーラ側モータ26を発電機として機能させる。すなわち、トレーラ20牽引走行時は、前側走行輪27L,27Rの回転エネルギがトレーラ側モータ26により電気エネルギ(交流電力)へと変換されるとともに、インバータ24で直流電力に変換されてメインバッテリ25に蓄電される。また、車両1の制動時は、前側走行輪27L,27Rに生じる運動エネルギがトレーラ側モータ26により電気エネルギ(交流電力)へと変換されるとともに、インバータ24で直流電力に変換されてメインバッテリ25に蓄電されるように構成されている。
【0044】
さらに、トレーラECU61は、トレーラ20牽引走行時に、メインバッテリ25のSOCが下限閾値(例えば80%)よりも高い場合は、トラクタ10の駆動力(牽引力)をアシストするようにトレーラ側モータ26を電動機として機能させる。例えば、メインバッテリ25のSOCが十分にある場合において、発進時や加速時、登板走行時などトラクタ10に大きな駆動力(牽引力)が要求される時は、メインバッテリ25に蓄電された電力がインバータ24を介してトレーラ側モータ26に供給されるように構成されている。
【0045】
上述のような構成により、本発明の一実施形態に係るトレーラ20によれば以下のような作用・効果を奏する。
【0046】
スペースに余裕のあるトレーラ20のシャシ21下部に取り付けられたメインバッテリ25は、トレーラ20がトラクタ10に連結された状態で、インバータ24を介してトラクタ側モータ13と電気的に接続される。そして、トラクタ10に大きな駆動力(牽引力)が必要となるトレーラ20牽引走行時において、トラクタECU60がモータアシスト走行モードを選択すると、メインバッテリ25に蓄電された直流電力は、インバータ24で交流電力に変換された後にトラクタ側モータ13に供給される。すなわち、トラクタ側モータ13はトレーラ20側に設けられたメインバッテリ25の電力で電動機として駆動され、不足するエンジン11の出力トルクをアシストすることが可能となる。
【0047】
したがって、メインバッテ25をスペースが限られたトラクタ10側ではなく、スペースに余裕のあるトレーラ20のシャシ21下部に設けるとともに、このメインバッテ25をトレーラ20がトラクタ10に連結された状態でトラクタ側モータ13に電力を供給可能に接続することで、セミトレーラ式車両1をハイブリッド車両にすることが可能となり、トラクタ10の燃費を改善することができる。
【0048】
また、トレーラ20牽引走行時の発進時や加速時、登板走行時などトラクタ10に大きな駆動力(牽引力)が要求される時に、メインバッテリ25のSOCが下限閾値(例えば80%)よりも高い場合は、トレーラ側モータ26はトラクタ10の駆動力(牽引力)をアシストする電動機として駆動される。
【0049】
したがって、トラクタ10に大きな駆動力(牽引力)が要求される場合に、トレーラ側モータ26の出力トルクによりトラクタ10の駆動力を効果的にアシストすることが可能となり、トレーラ20牽引走行時の発進時や加速時、登板走行時等における燃費を効果的に改善することが可能となる。
【0050】
また、セミトレーラ式車両1の走行時にトレーラ20の前側走行輪27L,27Rに生じる回転エネルギは、発電機として機能するトレーラ側モータ26により電気エネルギへと変換されてメインバッテリ25に蓄電される。さらに、セミトレーラ式車両1の制動時に、トレーラ20の前側走行輪27L,27Rに生じる運動エネルギは、トレーラ側モータ26により電気エネルギへと変換されてメインバッテリ25に蓄電される。
【0051】
したがって、トレーラ20がトラクタ10によって牽引走行される間に、トレーラ20に搭載されたメインバッテリ25を効果的に充電することが可能となり、メインバッテリ25の充電効率を図ることができる。
【0052】
また、トレーラ20がトラクタ10から切り離されて、トレーラ置き場等のターミナルに駐留される際は、運転者等がターミナルに設置された外部電源100にコネクタ43を差し込めば、メインバッテリ25は外部電源100から充電器41を介して供給される電力で充電される。
【0053】
したがって、トレーラ20がトラクタ10から切り離されて停車している間も、外部電源100等を用いてトレーラ20に搭載されたメインバッテリ25を効果的に充電することが可能となり、メインバッテリ25の充電効率をさらに向上することができる。
【0054】
なお、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜変形して実施することが可能である。
【0055】
例えば、上述の実施形態において、トレーラ側モータ26は、前側走行輪27L,27Rの回転エネルギを電気エネルギに変換して発電するものとして説明したが、後側走行輪28L,28Rの回転エネルギを電気エネルギに変換するように構成してもよい。
【0056】
また、インバータ24は、必ずしもトレーラ20側に設けられる必要はなく、トラクタ10側に設けられてもよい。
【符号の説明】
【0057】
1 セミトレーラ式車両
10 トラクタ
11 エンジン
13 トラクタ側モータ(電動機)
20 トレーラ
25 メインバッテリ(バッテリ)
26 トレーラ側モータ(電動発電機)
27L,27R 左右の前側走行輪(走行輪)
40 外部充電機構
41 充電器
42 電気ケーブル
43 コネクタ
61 トレーラECU(動力制御手段)
70 バッテリセンサ(残容量検出手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行用の動力源としてエンジン及び電動機を備えるトラクタに連結されるトレーラであって、
前記トラクタに連結された状態で前記電動機に電力を供給可能に接続されるバッテリと、
前記トラクタに連結されて走行する際に、走行輪で得られる回転動力で駆動して発電するともに、発電した電力を前記バッテリに供給する電動発電機と、を備える
ことを特徴とするトレーラ。
【請求項2】
前記バッテリの残容量を検出する残容量検出手段と、
前記トラクタに連結されて走行する際に、前記残容量検出手段の検出値が下限閾値よりも大きい場合は、前記バッテリの電力で前記電動発電機を電動機として駆動させて動力を出力させるとともに、出力した動力で前記走行輪を回転駆動させる動力制御手段と、を備える
ことを特徴とする請求項1記載のトレーラ。
【請求項3】
外部電源に接続されるとともに、該外部電源から供給される電力で前記バッテリを充電する充電器をさらに備える
ことを特徴とする請求項1又は2記載のトレーラ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−126305(P2012−126305A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−280882(P2010−280882)
【出願日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【出願人】(000000170)いすゞ自動車株式会社 (1,721)
【Fターム(参考)】