説明

ドア装置

【課題】 住宅、集合住宅等の建築物の開口部に設けられ、ペットや幼児の出入りを制限することができるドア装置を提供する。
【解決手段】 開口部に固定される左右の縦枠及び横枠とからなる枠体と、一方の縦枠に開閉可能に取り付けられるドアパネルと、該ドアパネルの表面下方位置又は左右の縦枠の下方間位置のいずれにも着脱自在に取り付けられる出入り制限パネルと、該出入り制限パネルを上記ドアパネルの表面下方位置に着脱自在に取り付けるための戸パネル側着脱取り付け部材と、上記出入り制限パネルを上記左右の縦枠の下方間位置に着脱自在に取り付けるための枠体側着脱取り付け部材とからなり、出入りを制御しないときは、出入り制限パネルを上記ドアパネルの表面下方位置に戸パネル側着脱取り付け部材により取り付け、出入りを制御するときは、出入り制限パネルを上記左右の縦枠の下方間に枠体側着脱取り付け部材により取り付けるドア装置とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、住宅、集合住宅等の建築物の開口部に設けられ、ペットや幼児の出入りを制限することができるドア装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、住宅、集合住宅等の建築物の開口部に設けられるドア装置において、ドアを開けた状態であっても、開口部におけるペットや幼児の出入りを制限できるものとして、特許文献1に示されるものがある。
【0003】
特許文献1に示されるものは、玄関の外方に向かって開閉可能に枠体に固定されるドアと、玄関の内方に向かって開閉可能に枠体に固定される補助ドアとからなる玄関のドア構造であって、ドアを開けた状態であっても、補助ドアを閉めておくことで、ペットや幼児の移動を制限するものである。
【特許文献1】特開2001−25530号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に示されるものを、例えば、建築物内の2つの部屋の間に設けられる開口部に用いようとした場合、部屋の中にペットや幼児がいない間など、補助ドアでペットや幼児の出入りを制限する必要がないときも、補助ドアが枠体に固定されているため、開口部を通行する度にドアと補助ドアの両方を開閉する必要があり、通行の妨げになるという問題があった。また、一方の部屋にドアを開くために必要な空間を設ける必要があることに加えて、他方の部屋にも補助ドアを開くために必要な空間を設ける必要があり、取り付けることができる場所が制限されるという問題があった。
【0005】
本発明は、係る問題点を鑑みなされたもので、住宅、集合住宅等の建築物の開口部に設けられ、ペットや幼児の出入りを制限することができるドア装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明のドア装置は、開口部に固定される左右の縦枠及び横枠とからなる枠体と、一方の縦枠に開閉可能に取り付けられるドアパネルと、該ドアパネルの表面下方位置又は左右の縦枠の下方間位置のいずれにも着脱自在に取り付けられる出入り制限パネルと、該出入り制限パネルを上記ドアパネルの表面下方位置に着脱自在に取り付けるための戸パネル側着脱取り付け部材と、上記出入り制限パネルを上記左右の縦枠の下方間位置に着脱自在に取り付けるための枠体側着脱取り付け部材とからなり、出入りを制御しないときは、出入り制限パネルを上記ドアパネルの表面下方位置に戸パネル側着脱取り付け部材により取り付け、出入りを制御するときは、出入り制限パネルを上記左右の縦枠の下方間に枠体側着脱取り付け部材により取り付けることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
請求項1の発明によれば、開口部に固定される左右の縦枠及び横枠とからなる枠体と、一方の縦枠に開閉可能に取り付けられるドアパネルと、該ドアパネルの表面下方位置又は左右の縦枠の下方間位置のいずれにも着脱自在に取り付けられる出入り制限パネルと、該出入り制限パネルを上記ドアパネルの表面下方位置に着脱自在に取り付けるための戸パネル側着脱取り付け部材と、上記出入り制限パネルを上記左右の縦枠の下方間位置に着脱自在に取り付けるための枠体側着脱取り付け部材とからなり、出入りを制御しないときは、出入り制限パネルを上記ドアパネルの表面下方位置に戸パネル側着脱取り付け部材により取り付け、出入りを制御するときは、出入り制限パネルを上記左右の縦枠の下方間に枠体側着脱取り付け部材により取り付けるため、出入り制限パネルをドアパネルの表面下方位置に戸パネル側着脱取り付け部材により取り付けることで、出入り制限パネルが開口部の通行の妨げとなることなく、ドアを開閉し、開口部を通行することができる。また、出入り制限パネルを左右の縦枠の下方間に枠体側着脱取り付け部材により取り付けることで、ドアを開けた状態であっても、開口部におけるペットや幼児の出入りを制限できる。更に、開口部の周辺にドアを開くために必要な空間さえあれば設けることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。尚、本発明は本実施形態の記載内容に限られるものではない。
【0009】
図1はドアを閉じ、戸パネル側着脱取り付け部材Aにより出入り制限パネルCをドアパネル3の表面下方位置に取り付けた状態を示す正面図、図2はドアを開け、枠体側着脱取り付け部材Bにより出入り制限パネルCを左右の縦枠の下方間に取り付けた状態を示す背面図である。開口部には、床6上に立設される左右の縦枠11,12と、これら左右の縦枠11,12の上部同士を連結する上枠13とが設けられており、左右の縦枠11,12および上枠13にはそれぞれ戸当たり21,22,23が設けられている。開口部にはドアパネル3が上下2つの蝶番41,42を介して縦枠12に支持されており、ドアパネル3の左側寄りの中間高さ位置にはレバーハンドル5が設けられている。
【0010】
さらに、後述する出入り制限パネルCをドアパネル3の表面下方位置に着脱自在に取り付けるための戸パネル側着脱取り付け部材Aとして、ドアパネル3の表面には図6に示す掛部材A1と図5に示す下受部材A2とがそれぞれネジ(図示しない)により取り付けられており、掛部材A1は、円板状の基部A11と、基部から突出する円柱状の掛部A12と、円板状の鍔部A13とから構成され、下受部材A2は、平板状の基部A21と、壁部A23,A24と底部A25とからなる受部A22とから構成されている。
【0011】
また、後述する出入り制限パネルCを左右の縦枠11,12の下方間位置に着脱自在に取り付けるための枠体側着脱取り付け部材Bとして、縦枠11、12には図4に示す上固定部材B1と図5に示す下受部材B2とがそれぞれネジ(図示しない)により取り付けられており、上固定部材B1は、基部B11とピン取付穴B14,B15を有する壁部B12,B13とから構成され、下受部材B2は、上記下受部材A2と同様の構成であり、平板状の基部B21と、壁部B23,B24と底部B25とからなる受部B22とから構成されている。なお、上固定部材B1の幅U及び下受部材B2の幅Sは、戸当たり21,22の高さT以下であり、開口部の幅を狭くすることがなく、通行時の邪魔にならないように設定されている。
【0012】
そして、開口部においてペットや幼児の出入りを制限しない場合には、図1に示すように、出入り制限パネルCの左右上部に設けられた洋ナシ形状の取付穴C11,C21に掛部材A1を通し、出入り制限パネルCを掛部材A1の掛部A12に掛けると同時に、下受部材A2の受部A22に上方から出入り制限パネルCを挿入することで、ドアパネル3の表面に出入り制限パネルCを取り付けることができるようになっている。開口部において、ドアを開けた状態であってもペットや幼児の出入りを制限する場合には、図2に示すように、上固定部材B1の壁部B12,B13間に上方から出入り制限パネルCを挿入し、下受部材B2の受部B22に上方から出入り制限パネルCを挿入することで、縦枠11,12に出入り制限パネルCを取り付けることができるようになっている。
【0013】
また、上記各々の取り付け手順を逆におこなうことで、出入り制限パネルCをドアパネル3の表面又は縦枠11,12から取り外すことができるようになっている。
【0014】
戸パネル側着脱取り付け部材Aは、出入り制限パネルCをドアパネル3の表面下方位置に繰り返し脱着でき、且つドアを開閉してもドアパネル3から出入り制限パネルCが外れないように確実に取り付けることができるものであれば上記のものに限定されない。
【0015】
枠体側着脱取り付け部材Bは、出入り制限パネルCを縦枠の下方間に繰り返し脱着でき、且つペットや幼児が出入り制限パネルCにぶつかったり、寄りかかったりしても、出入り制限パネルCが外れないように確実に取り付けることができるものであれば上記のものに限定されないが、ペットや幼児が出入り制限パネルCを上に持ち上げて、持ち上げた出入り制限パネルCと床6との間の空間をくぐって出ていくのを防止するために、ピン取付穴B14,B15に通すピンB3のように、出入り制限パネルCを縦枠の下方間に固定後、出入り制限パネルCが上に上がるのを防止する手段が設けられていることが望ましい。
【0016】
なお、戸パネル側着脱取り付け部材Aにより出入り制限パネルCが取り付けられるドアパネル3の表面下方位置、及び枠体側着脱取り付け部材Bにより出入り制限パネルCが取り付けられる縦枠11,12の下方間位置とは、出入り制限パネルCの上端が、ペットが出入り制限パネルを飛び越えたり、幼児が乗り越えたりしない高さとなる位置であり、本実施例では、出入り制限パネルCの上端が、レバーハンドルが取り付けられている位置まで至らない、やや下の位置に設定されている。このようにすることで、ドアの開閉時に、出入り制限パネルがレバーハンドルに当たり、ドアの開閉に支障をきたすことがない。
【0017】
出入り制限パネルCは、ペットや幼児が出入り制限パネルCにぶつかったり、寄りかかったりしても、壊れない強度をもったものであれば、材料や形状は限定されず、ポリカーボネート樹脂、ABS樹脂、ポリプロピレン樹脂等の合成樹脂、鉄、アルミニウム合金、ステンレス等の金属、合板、集成材、無垢等の木質材料等を材料として用いた、平板状のもの、格子状のもの、平板にパンチング等の手段により多数の穴を空けたもの等を用いることができる。
【0018】
更に、本実施例では、図3に示す、右上部に貫通穴70,71,72,73,74、右下部に貫通穴75,76,77,78,79が設けられた平板C1と、左上部に貫通穴80,81,82,83,84、左下部に貫通穴85,86,87,88,89が設けられた平板C2とを、貫通穴70と貫通穴80、貫通穴74と貫通穴84、貫通穴75と貫通穴85、貫通穴79と貫通穴89、とにそれぞれ固定具C3をはめることで固定し、出入り制限パネルCとして用いている。このような構成とすることで、例えば、本実施例の開口部より幅が広い開口部に出入り制限パネルCを取り付けようとした場合、平板C1と平板C2とを、貫通穴71と貫通穴80、貫通穴74と貫通穴83、貫通穴76と貫通穴85、貫通穴79と貫通穴88、とにそれぞれ固定具C3をはめることで固定し、出入り制限パネルCの幅を広くすることで対応することができる。なお、平板C1と平板C2との固定手段は、上記のものに限られるものではなく、平板C1と平板C2との固定位置が変更でき、出入り制限パネルCの幅を調節できるものであれば特に限定されない。また、3枚以上の複数枚の平板等のパネルを上記固定手段により固定し、出入り制限パネルCとするようにしてもよい。
【0019】
本実施例では、床6上に立設される左右の縦枠11,12と、これら左右の縦枠11,12の上部同士を連結する上枠13とからなる三方枠としたが、左右の縦枠と、左右の縦枠の上部同士を連結する上枠と、左右の縦枠の下部同士を連結する下枠とからなる四方枠であってもよい。
【0020】
以上のように、本実施例によれば、開口部においてペットや幼児の出入りを制限しない場合には、掛部材A1と下受部材A2とからなる戸パネル側着脱取り付け部材Aにより、出入り制限パネルCをドアパネル3の表面下方位置に取り付けることができ、出入り制限パネルCが開口部の通行の妨げとなることなく、ドアを開閉し、開口部を通行することができるとともに、開口部において、ドアを開けた状態であっても、ペットや幼児の出入りを制限する場合には、上固定部材B1と下受部材B2とからなる枠体側着脱取り付け部材Bにより、出入り制限パネルCを縦枠11,12の下方間に取り付けることができ、ドアを開けた状態であっても、開口部におけるペットや幼児の出入りを制限することができる。
【産業上の利用可能性】
【0021】
本発明のドア装置は、建築物の開口部に設けられる引き戸等の建具に応用することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】ドアを閉じ、戸パネル側着脱取り付け部材Aにより出入り制限パネルCをドアパネル3の表面下方位置に取り付けた状態を示す正面図。
【図2】ドアを開け、枠体側着脱取り付け部材Bにより出入り制限パネルCを左右の縦枠の下方間に取り付けた状態を示す背面図。
【図3】出入り制限パネルCの構成を示す正面図。
【図4】上固定部材B1を示す斜視図。
【図5】下受部材A2,B2を示す斜視図。
【図6】掛部材A1を示す斜視図。
【符号の説明】
【0023】
A ・・・ 戸パネル側着脱取り付け部材
A1 ・・・ 掛部材
A11 ・・・ 基部
A12 ・・・ 掛部
A13 ・・・ 鍔部
A2 ・・・ 下受部材
A21 ・・・ 基部
A22 ・・・ 受部
A23,A24 ・・・ 壁部
A25 ・・・ 底部
B ・・・ 枠体側着脱取り付け部材
B1 ・・・ 上固定部材
B11 ・・・ 基部
B12,B13 ・・・ 壁部
B14,B15 ・・・ ピン取付穴
B2 ・・・ 下受部材
B21 ・・・ 基部
B22 ・・・ 受部
B23,B24 ・・・ 壁部
B25 ・・・ 底部
B3 ・・・ ピン
C ・・・ 出入り制限パネル
C11,C21 ・・・ 取付穴
C3 ・・・ 固定具
11,12 ・・・ 縦枠
13 ・・・ 上枠
21,22,23 ・・・ 戸当たり
3 ・・・ ドアパネル
41,42 ・・・ 蝶番
5 ・・・ レバーハンドル
70〜89 ・・・ 貫通穴

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部に固定される左右の縦枠及び横枠とからなる枠体と、一方の縦枠に開閉可能に取り付けられるドアパネルと、該ドアパネルの表面下方位置又は左右の縦枠の下方間位置のいずれにも着脱自在に取り付けられる出入り制限パネルと、該出入り制限パネルを上記ドアパネルの表面下方位置に着脱自在に取り付けるための戸パネル側着脱取り付け部材と、上記出入り制限パネルを上記左右の縦枠の下方間位置に着脱自在に取り付けるための枠体側着脱取り付け部材とからなり、出入りを制御しないときは、出入り制限パネルを上記ドアパネルの表面下方位置に戸パネル側着脱取り付け部材により取り付け、出入りを制御するときは、出入り制限パネルを上記左右の縦枠の下方間に枠体側着脱取り付け部材により取り付けることを特徴とするドア装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−281045(P2009−281045A)
【公開日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−133982(P2008−133982)
【出願日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【出願人】(000204985)大建工業株式会社 (419)
【Fターム(参考)】