説明

ドラム式洗濯機

【課題】 外槽および回転ドラムの出入口を塞ぐ扉に設けられた栓体を、出入口の封鎖性が良く、しかも洗濯物が絡みつきにくく、かつ、回転ドラム内の容積を狭めない。
【解決手段】 ドラム式洗濯機の扉は、栓体を有し、その栓体は、外槽の出入口に対向しており、扉が閉じられたときに、外槽の出入口を塞ぐための前方周面部と、前方周面部から後方に向かって延びており、後端が回転ドラムの出入口の内側まで入り込んだ後方周面部と、後方周面部で囲まれた領域を塞ぐ後端面とを有し、後端面は、少なくともその中央部が回転ドラムの出入口よりも前方に位置するように、前方に向かって湾曲し、回転ドラム内から見て少なくとも中央が凹んだ面となっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ドラム式洗濯機などの洗濯機に関する。
【背景技術】
【0002】
洗濯機において、乾燥機能が付与されたものが公知である。乾燥機能を有する洗濯機は、乾燥運転時に、洗濯槽内の空気を取り出し、取り出した空気を除湿するとともに加熱して、その加熱した空気を洗濯槽に戻す循環風路を有する構成のものが公知である(たとえば特許文献1の段落[0034]参照)。
【0003】
循環風路は、乾燥時に洗濯槽内の空気を循環させる経路であるが、洗濯時には、洗濯に使用する水や、洗濯処理により生じた泡が進入することがある。このため、進入する水や泡を検知するための手段として、循環風路に一対の電極を設ける構成も公知である(たとえば特許文献1の段落[0045])。
【0004】
さらに、乾燥時に、循環風路を循環され、洗濯槽内へ供給される熱風が効率良く洗濯物を乾燥させるように、洗濯槽を塞ぐ開閉扉に備えられたガラス窓の形状を、周縁から中央に向かって傾斜する傾斜面または曲面とすることが提案されている(たとえば特許文献2の段落[0025])。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−143531号公報
【特許文献2】特開2005−481号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記特許文献1に記載の洗濯機では、循環風路の入口が洗濯槽の上方に接続されており、洗濯槽の上方から循環風路に入った空気は、循環風路を上方から下方へと流れ、その間にヒータにより加熱され、循環風路の下端側から洗濯槽へと加熱風が与えられる。そして循環風路の下端側近傍に水・泡検知用の一対の電極が配置されている。
【0007】
このような構成に代えて、前記特許文献2記載のように、循環風路の下端側から洗濯槽内の空気が取り出され、取り出された空気は循環風路を上方へと流れ、上方部で空気が加熱されて上方部から洗濯槽内へと与えられる構成を採用した場合には、循環風路の下方寄りに泡検知用の電極を設けると、電極は洗濯槽から流れ出る空気に晒されることになる。そして、洗濯槽から流れ出る空気には、洗濯物から発生する細かなリントや糸くずが含まれているため、電極にリントや糸くずが付着し易いという課題が判明した。
【0008】
特に、一対の電極間が導通するか否かにより泡の有無を検知する泡検知センサが採用されている場合には、一対の電極間の距離が近く、電極間にリントや糸くずが付着し、次の洗濯時等に、泡が循環風路に進入していないにもかかわらず、電極間に付着したリントや糸くずによって電極間が導通するため、泡が進入したとの誤検知を招くという課題も判明した。
【0009】
また、前記特許文献2においては、開閉扉のガラス窓の形状が工夫されてはいるが、回転ドラム内の洗濯物が絡みつくことなく、しかも回転ドラムの出入口が良好に塞がれる構成のガラス窓に改良すべき余地があった。
【0010】
この発明の目的は、ドラム式洗濯機において、外槽および回転ドラムの出入口を塞ぐ扉に設けられた栓体を、出入口の封鎖性が良く、しかも洗濯物が絡みつきにくく、かつ、回転ドラム内の容積を狭めない構成に改良することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1記載の発明は、一端面が洗濯物の出入口となっている略円筒状の内周面を有する外槽と、前記外槽内に回転可能に設けられ、一端面が洗濯物の出入口となっている洗濯物を収容するための回転ドラムと、前記外槽の出入口および前記回転ドラムの出入口を塞ぐために設けられた開閉可能な扉と、を有するドラム式洗濯機において、前記扉は、栓体を有し、当該栓体は、前記外槽の出入口に対向しており、前記扉が閉じられたときに、前記外槽の出入口を塞ぐための前方周面部と、前記前方周面部から後方に向かって延びており、後端が前記回転ドラムの出入口の内側まで入り込んだ後方周面部と、後方周面部で囲まれた領域を塞ぐ後端面とを有し、前記後端面は、少なくともその中央部が前記回転ドラムの出入口よりも前方に位置するように、前方に向かって湾曲し、前記回転ドラム内から見て少なくとも中央が凹んだ面となっていることを特徴とする、ドラム式洗濯機である。
【0012】
請求項2記載の発明は、前記栓体は、前記回転ドラムの出入口から回転ドラムの出入口内へ入り込んでいる後方周面部の容積よりも、前記回転ドラムの出入口よりも回転ドラム前方に湾曲し、湾曲により前記回転ドラムの出入口の前方に形成された空間の容積の方が大きくなるように、前記後方周面部の進入寸法および前記後端面の湾曲寸法が設定されていることを特徴とする、請求項1記載のドラム式洗濯機である。
【発明の効果】
【0013】
請求項1記載の発明によれば、扉に設けられた栓体は、外槽の出入口に対向して外槽出入口を塞ぐための前方周面部と、回転ドラムの出入口内側まで入り込んだ後方周面部とを備えているから、前方周面部によって外槽の出入口が確実に塞がれるとともに、回転ドラム内の洗濯物が回転ドラムの出入口から出ようとしても、回転ドラムの出入口内側まで入り込んだ後方周面部によって、回転ドラム内の洗濯物が出入口から出ようとするのが阻止される。
【0014】
また、栓体の後方周面部は、回転ドラムの内側まで入り込んでいるが、後端面は、回転ドラムの出入口よりも前方側に膨らむように湾曲しており、回転ドラムの内容積が栓体の後端面によって狭められることがなく、洗濯物の洗濯や乾燥が良好に行える。
【0015】
請求項2記載の発明では、栓体の後方周面部が回転ドラムの出入口から内方へ入り込んでいる容積よりも、後端面が前方に向かって湾曲し、回転ドラムの内容積を増加させている量の方が大きくなるように、栓体の形状が設定されている。よって、回転ドラムの出入口が良好に塞がれるとともに、回転ドラムの内容積を減らすことのない栓体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】この発明の一実施形態に係る電気洗濯機の正面図である。
【図2】この発明の一実施形態に係る電気洗濯機を左後方斜め上部から見た斜視図である。
【図3】この発明の一実施形態に係る電気洗濯機を右後方から見た斜視図である。
【図4】この発明の一実施形態に係る電気洗濯機において、扉を開いた状態の右側断面図である。
【図5】この発明の一実施形態に係る電気洗濯機における水を循環させる循環水路およびオゾンを含む空気を供給するオゾン供給路の構成を表わす浄化循環水路図である。
【図6】乾燥風路の斜視図である。
【図7】乾燥風路の背面図である。
【図8】乾燥風路の分解図である。
【図9】(A)は、図7のA−Aに沿う切断面断面図であり、(B)は、図7のB−Bに沿う切断面断面図である。
【図10】電極の斜視図である。
【図11】図7のC−Cに沿う切断面断面図である。
【図12】この発明の一実施形態に係る洗濯槽および扉の縦断面端面図である。
【図13】成形ドアガラスの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下では、この発明の実施の形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
【0018】
図1は、この発明の一実施形態に係る電気洗濯機10の正面図である。電気洗濯機10は、その外殻を構成する正面視縦長略長方形状のハウジング11を有する。ハウジング11の内部上方には洗濯槽(後述する)が配置されており、その内部下方には貯水槽(後述する)が配置されている。
【0019】
ハウジング11の正面上方には、開口が形成され、開口には開閉可能な扉12が備えられている。扉12は、たとえばその主表面が透明な強化ガラスで構成されており、内部にある洗濯槽内の洗濯物の様子が視認できる。
【0020】
ハウジング11の正面上部(扉12の上方)には、操作・表示部13が配置されている。操作・表示部13には、複数個の操作キー14および複数個の表示器15ならびに液晶表示器16が配列されている。
【0021】
図2は、電気洗濯機10を左後方斜め上部から見た斜視図であり、ハウジング11を構成する背面パネルおよび上面パネルが取り外された状態の図である。また、図3は、電気洗濯機10を右後方から見た斜視図であり、ハウジングベース11Bを除き、ハウジング11が取り外された状態の斜視図である。さらに、図4は、扉12を開いた状態における電気洗濯機10の右側断面図である。
【0022】
図2〜図4を参照して、電気洗濯機10には、処理槽としての洗濯槽20が備えられている。洗濯槽20は、略円筒状の内周面を有する外槽21と、外槽21内に設けられた円筒状の内槽である回転ドラム24とを含んでいる。そして外槽21の背面にはDDモータ22が取り付けられており、DDモータ22によって外槽21内で回転ドラム24が回転され得る。また、回転ドラム24の回転軸は、水平方向に対して前方が斜め上方に傾けられた、いわゆる斜めドラム構造が採用されている。また、外槽21は、複数のダンパ23によってハウジングベース11Bに取り付けられている。
【0023】
外槽21の上方右側には注水口ユニット25が設けられている。注水口ユニット25は、外槽21内へ洗いやすすぎのための水が供給される場合に、当該水が通過するユニットである。このユニット25内には、洗剤容器27(図5参照)が備えられていて、供給される水が洗剤容器27内を流れ、それに伴い洗剤が水と一緒に供給されたり、供給されなかったりを選択可能になっている。
【0024】
この電気洗濯機10は、洗いやすすぎに風呂水を用いることができる。そのために、注水口ユニット25の左側に隣接するように風呂水ポンプ26が備えられている。
【0025】
さらに、洗濯槽20では、洗いおよびすすぎに加えて乾燥も行える。そのために、外槽21の左側後方には乾燥風路28が接続されている。乾燥風路28は、循環風路の一部を構成するもので、外槽21のたとえば後部下方から湿った空気を吸い出し、その空気を上方へ導く間に、空気の除湿を行う。乾燥風路28の上部には、接続ホース60を介して、ブロアユニット29が接続されている。ブロアユニット29は、乾燥風路28で導かれた除湿後の空気を再び外槽21内へ送り込むためのものである。ブロアユニット29内には、送り込む空気を加熱するためのヒータ(図示せず)が備えられている。ここで、乾燥風路28、接続ホース60、ブロアユニット29は、循環風路として機能しており、この循環風路は、外槽21に対して高低差を有するように接続されている。
【0026】
電気洗濯機10には、さらに、ブロアユニット29の近傍にオゾン発生ユニット30が備えられている。オゾン発生ユニット30は、後述するように、水浄化手段として機能するとともに、乾燥時やエアウォッシュ時にも、オゾンを発生させて、乾燥される洗濯物の除菌・脱臭や、洗濯槽20に入れられた洗濯物を除菌・脱臭するエアウォッシュに寄与する。なお、エアウォッシュとは、回転ドラム24内に収容された洗濯物に対し、オゾンを含む空気を与え、オゾンによって洗濯物に付着した雑菌等の除菌および消臭を行う処理のことであり、洗濯や乾燥処理とは異なる独立した処理である。エアウォッシュでは、オゾンを含む空気(エア)によって、洗濯物があたかもエアで洗われ、除菌・消臭がされるかのごとくであるから、本願出願人は、オゾンを用いて行う洗濯物の除菌・消臭をエアウォッシュと称している。
【0027】
電気洗濯機10には、洗濯槽20の下方に貯水タンク40が備えられている。貯水タンク40は、外槽21から排水される水や、風呂水ポンプ26で汲み上げられた風呂水を溜めるためのタンクである。貯水タンク40の近傍には、貯水タンク40の水を汲み出すための循環ポンプ41が備えられている。
【0028】
さらに、外槽21、注水口ユニット25、乾燥風路28、貯水タンク40等の間で水を行き来させたり、オゾンを含む空気を行き来させるために、多数のホースが配置されている。
【0029】
図5は、図1〜図4で説明した電気洗濯機10における水を循環させる循環水路およびオゾンを含む空気を供給するオゾン供給路の構成を表わす浄化循環水路図である。
【0030】
図5を参照して、水栓43から供給される水道水は、給水バルブ44の開閉制御により、注水口ユニット25および接続ホース45を通って洗濯槽20内へ供給される。このとき、給水バルブ44を切り換えることによって、水道水が第1流路46を通って注水口ユニット25内の洗剤容器47内を流れるか、第2流路48を通り、注水口ユニット25内のソフナー容器49内を流れるかを選択できる。
【0031】
洗濯槽20(外槽21)内の水は、排水口パイプ50に設けられた排水バルブ51を開閉制御することにより排出できる。排水バルブ51には中間ホース52を介してフィルタユニット53が接続されている。フィルタユニット53は、外槽21から排出される水に含まれるリントや異物を捕獲するためのものである。フィルタユニット53に入った水は、排水パイプ54およびバルブ83を通り、排水ホース55からハウジング11外へ排出される。ハウジング11外では、たとえば外部排水ホース56を通り、排水トラップ57へと排出される。
【0032】
以上が、水道水を用いて洗いおよびすすぎを行う場合の、節水機能を実行しないときの水の流れである。
【0033】
乾燥工程では、ブロアユニット29内のブロア(図示せず)が作動され、洗濯槽20内の空気は乾燥風路28へ流出され、接続ホース60を通り、ブロアユニット29内で加熱され、接続ホース61を通って洗濯槽20内へ還流される。この空気の循環によって、洗濯槽20内の洗濯物が乾燥される。洗濯槽20内の温かく湿った空気は、乾燥風路28内で熱交換により除湿される。そのため、給水バルブ44が開閉制御され、水栓43から供給される水道水は給水ホース62を通り熱交換のために乾燥風路28内へ与えられる。
【0034】
ブロアユニット29が作動しているときに、オゾン発生ユニット30を作動させると、ブロアユニット29で生じる負圧により、オゾン発生ユニット30で発生されるオゾンがエアホース64を介してブロアユニット29へ取り込まれ、取り込まれたオゾンは接続ホース61を通って洗濯槽20へ供給され、回転ドラム24内に収容された洗濯物の除菌・消臭が行われる。
【0035】
以上が、節水機能を実行しない場合の乾燥時の水および空気の流れである。
【0036】
この実施形態に係る電気洗濯機10は、前述したように、風呂水を用いて洗いやすすぎを行うことができる。そのため、風呂水ポンプ26が備えられている。風呂水ポンプ26には、浴槽66から風呂水を汲み上げるための風呂水ホース67が接続可能である。風呂水ポンプ26は、自給式ポンプであり、呼び水を供給するための呼び水水路70が接続されている。給水バルブ44の開閉が制御され、水栓43から供給される水道水が注水口ユニット25へ供給されると、その一部は、呼び水水路70を通って風呂水ポンプ26へ与えられる。この与えられる水(呼び水)により風呂水ポンプ26は風呂水の汲み上げが可能になる。そして風呂水ホース67を通って汲み上げられる風呂水は、風呂水ポンプ26の吐出口に接続された給水ホース71を通り、循環バルブ72、エゼクタ73および接続ホース74を流れて貯水タンク40に溜められる。
【0037】
風呂水がエゼクタ73を通過する際、オゾン発生ユニット30が通電されていると、オゾン発生ユニット30で発生するオゾンはエアホース75を通ってエゼクタ73に与えられる。エゼクタ73では、風呂水が流れる際に生じる負圧により、エアホース75からオゾンを取り込み、オゾンは風呂水に混入される。よって、貯水タンク40に溜められる風呂水は、溜められる途中にオゾンが混入され、第1次の浄化処理を受ける。第1次の浄化処理は、貯水タンク40への流入時になされる浄化処理である。
【0038】
貯水タンク40には、接続ホース77の一端が接続されており、貯水タンク40に溜まった風呂水を汲み出すことができる。接続ホース77の他端は循環ポンプ41の吸い込み口に接続されている。循環ポンプ41も自給式のポンプであり、注水ホース78を介して呼び水が供給され得る。給水バルブ44の開閉制御がされ、水栓43から供給される水道水が注水口ユニット25へ与えられると、その一部は前述したように呼び水水路70を介して風呂水ポンプ26へ与えられる。これとともに、注水ホース78を介して循環ポンプ41へも呼び水が与えられる。
【0039】
循環ポンプ41の吐出口79には、循環バルブ72が接続されている。循環バルブ72は、五方バルブであり、第1出口には、前述したエゼクタ73を介して接続ホース74が接続されており、接続ホース77から汲み出された貯水タンク40の水を循環させることができる。貯水タンク40の水を汲み出し、エゼクタ73を経由して循環させることにより、エゼクタ73を通過する際にオゾン発生ユニット30で発生されるオゾンを混入することができ、貯水タンク40に溜められた風呂水にオゾンを用いて第2次の浄化処理をすることができる。第2次の浄化処理は、貯水タンク40に溜められた風呂水を循環させて行う浄化処理である。
【0040】
第2出口には、給水ホース80が接続されており、給水ホース80を介して注水口ユニット25へ水を供給し、注水口ユニット25から接続ホース45を経由して洗濯槽20へ貯水タンク40の水を供給することができる。
【0041】
第3出口には、接続ホース81の一端が接続されており、その他端は乾燥風路28内のチャンバー(図示せず)に開口している。よって、循環ポンプ41から吐出される水をチャンバーから乾燥風路28内へ落下させ、貯水タンク40において熱交換用の水として用いることができる。なお、熱交換に用いられなかった余った水は、チャンバーから接続ホース63を通り、貯水タンク40内に戻る。
【0042】
第4出口には、接続ホース82の一端が接続されており、その他端はバルブ83を介して排水パイプ54に接続されている。よって循環バルブ72を切り換え、バルブ83を開閉制御することにより、貯水タンク40の水を排水ホース55から機外へ排出することができる。
【0043】
この電気洗濯機10は、風呂水を貯水タンク40に溜め、その風呂水を浄化するだけでなく、洗濯槽20から排出される洗いやすすぎに使用した後の水を溜めることもできる。そのために、フィルタユニット53には、排水パイプ54が接続された出口の他に、中間ホース85の一端が接続された出口が備えられている。そして中間ホース85の他端は、バルブ86を介して貯水タンク40に連通されている。よって、バルブ83およびバルブ86を切り換え制御することにより、外槽21から排出される水は、排水口パイプ50、排水バルブ51、中間ホース52、フィルタユニット53、中間ホース85およびバルブ86を通って貯水タンク40へ溜めることができる。
【0044】
そして、貯水タンク40に溜められた既使用水も、接続ホース77、循環ポンプ41、循環バルブ72、エゼクタ73および接続ホース74を通る循環路を循環させることにより、オゾンを用いて浄化することができる。
【0045】
さらに、外槽21には溢水ホース88の一端が接続されており、溢水ホース88の他端は溢水ホース89の一端と接続され、溢水ホース89の他端はバルブ83と接続されている。外槽21に溜まった水が所定水位以上に溢れたとき、その水は溢水ホース88、89を通って排出される。その際、外槽21内の気圧が外気圧と等しくなる必要がある。そのため、溢水ホース88および89の接続部と、フィルタユニット53の入口との間は、エアホース90で接続され、外槽21内の気圧が外気圧と等しくなるようにされている。
【0046】
貯水タンク40にも溢水ホース91が設けられている。溢水ホース91はバルブ83を介して排水ホース55と接続されている。
【0047】
さらに、洗濯槽20内の水位を検出するために、排水口パイプ50にはエアトラップホース92の下端が接続されており、エアトラップホース92の上端には水位センサ93が備えられている。よって水位センサ93により、洗濯槽20内の水位を確認することができる。
【0048】
また、貯水タンク40にもエアトラップホース94および水位センサ95が備えられており、貯水タンク40内に溜まった水の水位を検出することができる。
【0049】
なお、貯水タンク40内の水を全て排水して、貯水タンク40のメンテナンス等を行うことができるよう、貯水タンク40には手動で開閉可能なドレンホース96が設けられている。
【0050】
電気洗濯機10には、さらに、給水バルブ44と外槽21とを接続する給水ホース98が備えられている。給水バルブ44の切り換えおよび開閉を制御することにより、水栓43から供給される水道水を給水ホース98を経由して直接洗濯槽20へ供給することができる。洗濯槽20へ供給される水道水は、回転ドラム24に収容された衣類に対してシャワー状に与えられる。つまり、給水ホース98を介して水道水を洗濯槽20へ供給し、いわゆるシャワーすすぎが行えるようにされている。
【0051】
図6は、乾燥風路28の斜視図であり、図3と同じ方向から見た図である。また、図7は、乾燥風路28の背面図であり、図8は、乾燥風路28の分解図である。
【0052】
図6〜図8を参照して、乾燥風路28は、下方から上方に向かって上下方向に延びる第1風路31と、第1風路31の上端に連通され、第1風路31の上端から略直交方向に延びる第2風路32とを含んでいる。第1風路31および第2風路32は、共に、樹脂で成形されている。第2風路32の先端には前述した接続ホース60が連通されている。
【0053】
第1風路31は、図8に示すように、2つの樹脂部材が組み合わされて形成されている。より具体的には、図8(A)に示す第1パーツ33に、図8(B)に示す第2パーツ34が図示の状態から反転されて第1パーツ33に組み合わされることによって、第1風路31が形成されている。
【0054】
第1パーツ33の下方側には外槽21の背面下方に形成された空気出口(図示せず)に連通される空気取入口331が形成されている。また、第1パーツ33の上端側には、第2風路32が接続される連通口332が形成されている。さらに、第1パーツ33の上下方向中央よりも下方位置には、紙面手前側へ突出する山形333が形成されている。山形333は、第1パーツ33の長さ方向である上下方向に対して右肩上がりに傾斜する尾根334を備えている。
【0055】
第1パーツ33には、山形333の上方に、第1風路31内の風の流れを妨げないように、端縁寄りに形成された貯水区画335が備えられている。
【0056】
第1パーツ33に組み合わされる第2パーツ34は、図8(B)に示すように、長さ方向である上下方向の下方寄りであって、第1パーツ33の山形333と対向する位置に、内面側に突出する山形343が形成されている。山形343も、第2パーツ34の長さ方向と交差方向に延びる尾根344を有している。第1パーツ33と第2パーツ34とが組み合わされたとき、尾根334と尾根344とは、互いに交差方向に延びるようにされている(図11参照)。これにより、第1風路31は、その途中部において、風路断面が狭くなるように設計されている。
【0057】
第2パーツ34には、また、第1パーツ33の貯水区画335と対向する位置に貯水区画345が形成されている。さらに、第2パーツ34には、後述する電極を取り付けるための電極取付孔346および347が形成されている。図から明らかなように、一方の電極取付孔346は第2パーツ34の下端寄りであって、第1パーツ33に形成された空気取入口331と対向する領域に設けられている。他方の電極取付孔347は、貯水区画345よりも上方に形成されている。
【0058】
図6および図7に示すように、第2パーツ34に形成された電極取付孔346および347には、それぞれ、アース側電極35および検出側電極36が、第2パーツ34の外面側から取り付けられている。第2パーツ34の外表面には、アース側電極35を取り付けるためのボス37が形成されている。同様に、検出側電極36を取り付けるためのボス38が形成されている。
【0059】
図9(A)は、図7のA−Aに沿う切断面断面図であり、図9(B)は図7のB−Bに沿う切断面断面図である。また、図10は、アース側電極35および検出側電極36の斜視図(アース側電極35および検出側電極36は、等しい形状をしている。)である。
【0060】
図10を参照して、電極35は、円柱周面101およびその先端に形成された半球面102を有する円柱体103と、円柱体103の下方部を保持している取付板104とを含んでいる。この実施形態では、円柱体103は、その直径が8mmの柱状金属で形成されていて、先端が球面状に丸められている。
【0061】
なお、電極35の先端形状は、球面状(半球面)に限定されない。電極35は、その表面、特に先端面に角がなく、リントや糸くずが付着しにくい曲面であればよい。
【0062】
かかる電極35,36が、図9(A)(B)に示すように、第2パーツ34に形成された取付用のボス37,38を利用して、その先端が第1風路31内に突出するように取り付けられている。
【0063】
ここで、風路31内への電極35(36)の突出量について説明する。円柱体103の半球面102の面積をS2とした場合、円柱周面101のうち、風路31内に突出する部分の面積をS1とすると、S1<S2の関係になるように、円柱体103の突出量が設定されている。
【0064】
一般に、風路31内に露出している電極の面積は、検出精度を確保する上で、所定の面積以上が露出している必要がある。そこでこの実施形態では、電極(円柱体103)の直径を太くしてその円柱周面の面積を広くするとともに、先端を半球面に丸め、半球面の面積S2>露出する円柱周面の面積S1という構成にした。これにより、電極35(36)は、検出に必要な面積が確保されるとともに、風路31内への突出量が小さくなり、しかも、風路31内へ突出している円柱体103の先端は、半球面102であるから、風路31内を糸くずやリントが通っても、その糸くずやリントが風路31内に露出している円柱体103の先端部に付着しにくく、電極35(36)への糸くずやリントの堆積が生じにくくなっている。
【0065】
従来の電極との対比で説明すると、従来の電極は、その直径が3mmで、風路31内への突出量が約20mmであったが、この実施形態では、上述したように、電極の直径を8mmとし、突出寸法をほぼその直径に等しい寸法(約8mm)以下としている。これにより、電極35(36)への糸くずやリントの堆積が減少し、泡検知誤動作の発生を低減することができる。
【0066】
またこの実施形態では、乾燥風路28に対し、アース側電極35をその下端寄りに取り付け、検出側電極36は、乾燥風路28の上下方向中央よりも上部に取り付けた。つまり、アース側電極35と検出側電極36とを、従来のように近接して配置するのに代えて、距離を置いて配置した。
【0067】
そして、アース側電極35は、外槽21に水が溜められたとき(洗濯水やすすぎ水が溜められたとき)に、水没する位置に設けた。
【0068】
アース側電極35を、外槽21に水が溜められたときに水没する位置に設けることにより、洗濯やすすぎ工程で、アース側電極35は水流により洗浄され、その先端に糸くずやリント等が堆積するのを防止することができる。
【0069】
なお、アース側電極35は、本来、接地電位を検出するための電極であり、水没する位置に設けても何ら不都合はない。
【0070】
図11は、図7におけるC−Cに沿う切断面断面図である。乾燥風路28を構成する第1パーツ33および第2パーツ34には、図8を参照して説明したように、山形333,343および尾根334および344が形成されている。図11は、第1風路31内の空気通過流路の幅が、対向する山形333および山形343により狭められている様子を表わしている。山形333および山形343は、それぞれ、互いに交差方向に延びる尾根334および344を有しており、この交差方向の尾根334および344により風路31が狭められている。
【0071】
風路31を狭める理由は、その上方から風路31内には熱交換用の水が滴下されるが、この水が、山形333および山形343で狭められた内壁にぶつかり、飛沫状の水または霧が生じて、熱交換を良好に行えるようにするためである。
【0072】
特に、尾根334および344を交差方向に対向させることにより、風路31内が狭くなり過ぎず、かつ、山形333,343でぶつかった滴下する水が良好に散らばり、飛沫状の水となって、熱交換効率を高める。
【0073】
熱交換用の水は、既に説明したように、接続ホース81(図5参照)を通って接続口336へ与えられ、送風路28内に形成された給水区画335,345に入り、給水区画335,345から第1風路31内へ滴下される。また、給水区画335,345から溢れる水は、接続口337から接続ホース63(図5参照)を通って貯水タンク40へと戻される。
【0074】
また、水道水を用いて乾燥風路28内に熱交換用の水を供給する場合には、給水ホース62から第2風路32内へ熱交換用の水が供給され、その水が第1風路31内を滴下する。
【0075】
一例として、水道水を熱交換用の水として供給する場合には、たとえば0.4リットル/min以下の水が供給され、貯水タンク40の水が汲み出されて熱交換用の水として供給する場合には、2〜4リットル/minの水が供給される。
【0076】
図12は、洗濯槽20および扉12の縦断面端面図である。
【0077】
回転ドラム24は、その前方側(図12において左側)周縁部にバランスリング111を備えている。バランスリング111は、回転ドラム24がDDモータ22によって回転される際に、振動を軽減するために作用する。回転ドラム24には、バランスリング111の内周面側から前方へ突出する入口環112が形成されている。入口環112の先端113が、回転ドラム24の入口を形成している。
【0078】
外槽21の先端(図12において左側)114にはパッキン115が取り付けられている。パッキン115は、外槽21の先端114沿いに配置されていて、正面から見るとリング状をしている。
【0079】
扉12は、前述したようにその主表面が強化ガラス116で構成されるともとに、強化ガラス116の内側には、外槽21の出入口および回転ドラム24の出入口を塞ぐ(出入口に栓をする)ための栓体としての成形ドアガラス117が取り付けられている。
【0080】
この実施形態では、栓体が透明な成形ドアガラス117の場合を例にとって説明するが、栓体は、ガラス以外の透明な材料、あるいは透明でない部材であってもよく、例えば、金属板(ステンレス板)を加工して作ることもできる。
【0081】
図13に、成形ドアガラス117の斜視図(成形ドアガラス117を後方側(回転ドラム24の内部側)から見た斜視図)を示す。
【0082】
成形ドアガラス117は、前方から後方に向かってその周長が徐々に小さくなった略円盤状をしている。扉12が閉じられたときには、図12に示すように、成形ドアガラス117の前方周面部118は、パッキン115に圧接されて、外槽21の出入口を塞ぐ。そして、成形ドアガラス117は、前方周面部から後方に向かってその周長が徐々に小さくなるように形成された胴部119を有し、胴部の後端は後方周面部120を形成している。成形ドアガラス117の後方周面部120は、回転ドラム24の入口環112の先端113で形成された出入口121の内側(回転ドラム24の内方)まで入り込んでいる。そして後方周面部120の内側には、後方周面部120で囲まれた領域を塞ぐ面、すなわち成形ドアガラス117の後端面122が備えられている。
【0083】
ここで、成形ドアガラス117の後方周面部120は、回転ドラム24の出入口121の内側まで入り込んでいるが、後端面122は、少なくともその中央部が回転ドラム24の出入口121よりも前方に位置するように、回転ドラム24内から見て中央が窪むように、前方に向かって湾曲した面となっている。
【0084】
そして、この実施形態では、後方周面部120が回転ドラム24の出入口21から後方へ進入することにより生じた進入空間V1の容積と、成形ドアガラス117の後端面122が前方に湾曲することにより、回転ドラム24の出入口121よりも前方に膨らんだ空間V2とが、V1≦V2の関係になるように、成形ドアガラス117の後方周面部120および後端面122の曲面形状が設定されている。
【0085】
かかる構成により、回転ドラム24内に収容された洗濯物が回転ドラム24の先端113と成形ドアガラス117の後方周面部120との間から前方に出にくくでき、かつ、回転ドラム24内の容積を確保して、洗濯物が回転ドラム24内で良好に撹拌される構成とすることができる。
【0086】
この発明は、以上説明した実施形態に限定されるものではなく、請求項記載の範囲内において種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0087】
10 電気洗濯機
12 扉
20 洗濯槽(処理槽)
21 外槽
24 回転ドラム
28 乾燥風路
31 第1風路
33 第1パーツ
34 第2パーツ
35 アース側電極
36 検出側電極
101 円柱周面
102 半球面(曲面)
103 円柱体
112 入口環
117 成形ドアガラス(栓体)
118 前方周面部
119 胴部
120 後方周面部
121 (回転ドラムの)出入口
122 後端面



【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端面が洗濯物の出入口となっている略円筒状の内周面を有する外槽と、
前記外槽内に回転可能に設けられ、一端面が洗濯物の出入口となっている洗濯物を収容するための回転ドラムと、
前記外槽の出入口および前記回転ドラムの出入口を塞ぐために設けられた開閉可能な扉と、
を有するドラム式洗濯機において、
前記扉は、栓体を有し、当該栓体は、
前記外槽の出入口に対向しており、前記扉が閉じられたときに、前記外槽の出入口を塞ぐための前方周面部と、
前記前方周面部から後方に向かって延びており、後端が前記回転ドラムの出入口の内側まで入り込んだ後方周面部と、
後方周面部で囲まれた領域を塞ぐ後端面とを有し、
前記後端面は、少なくともその中央部が前記回転ドラムの出入口よりも前方に位置するように、前方に向かって湾曲し、前記回転ドラム内から見て少なくとも中央が凹んだ面となっていることを特徴とする、ドラム式洗濯機。
【請求項2】
前記栓体は、前記回転ドラムの出入口から回転ドラムの出入口内へ入り込んでいる後方周面部の容積よりも、前記回転ドラムの出入口よりも回転ドラム前方に湾曲し、湾曲により前記回転ドラムの出入口の前方に形成された空間の容積の方が大きくなるように、前記後方周面部の進入寸法および前記後端面の湾曲寸法が設定されていることを特徴とする、請求項1記載のドラム式洗濯機。



【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate


【公開番号】特開2011−240180(P2011−240180A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−192809(P2011−192809)
【出願日】平成23年9月5日(2011.9.5)
【分割の表示】特願2007−42118(P2007−42118)の分割
【原出願日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】