ドラム式洗濯機
【課題】洗濯機の性能や使い勝手を向上させることができるドラム式洗濯機を提供する。
【解決手段】モータMを含む洗濯機Aの運転を制御する回路基板を収容する基板ケース9と、筐体1の上部に設けられ、外槽5内に洗剤を投入する洗剤ケース3と、を備え、基板ケース9は、筐体1内において外槽5の上部に設けられ、洗剤ケース3は、基板ケース9と鉛直方向において重ならないように基板ケース9の前方に配置した。洗剤ケース3は、洗剤を投入する開口3a1,3b1,3c1が上向きに形成された洗剤投入室3a,3b,3cと、て開口3a1,3b1,3c1を開閉する蓋部材3dと、を備える。
【解決手段】モータMを含む洗濯機Aの運転を制御する回路基板を収容する基板ケース9と、筐体1の上部に設けられ、外槽5内に洗剤を投入する洗剤ケース3と、を備え、基板ケース9は、筐体1内において外槽5の上部に設けられ、洗剤ケース3は、基板ケース9と鉛直方向において重ならないように基板ケース9の前方に配置した。洗剤ケース3は、洗剤を投入する開口3a1,3b1,3c1が上向きに形成された洗剤投入室3a,3b,3cと、て開口3a1,3b1,3c1を開閉する蓋部材3dと、を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗濯機本体の設置性に優れたドラム式洗濯機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のドラム式洗濯機では、洗濯機本体を真下排水として設置する場合、設置時の作業性を向上させるために、基板を筐体の上部に配置する構成が提案されている(特許文献1参照)。このように基板を筐体の上部に配置することで、ドラム式洗濯機本体を真下排水として設置する際に基板を取り外すなどの煩雑な作業を不要にできる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−63750号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ドラム式洗濯機では、洗剤を投入する洗剤ケースが引き出し式であるのが一般的であり、洗剤ケースを設置するには、奥行方向に長いスペースが必要になる。この場合、基板を筐体の上部に配置すると、洗剤ケースと基板ケースとが鉛直方向において重なり合ってしまい、洗濯機本体の高さ寸法が高くなるという問題がある。
【0005】
しかしながら、洗濯機本体の高さ寸法は、水道栓の位置によって制約があるため、基板と洗剤ケースを設置するための高さ寸法を確保しようとすると、洗濯槽の径を小さくしたり、洗濯槽の高さ位置(衣類を出し入れするための投入口の高さ)を低くしなければならない。このように洗濯槽の径を小さくすると、洗浄能力や乾燥時の仕上がり能力が低下し、また洗濯槽の高さ位置を低くすると、投入口の高さが低くなって衣類の出し入れがし難くなるという問題がある。
【0006】
本発明は、前記従来の問題を解決するものであり、洗濯機の性能や使い勝手を向上させることができるドラム式洗濯機を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、回転ドラムと、前記回転ドラムを収容する外槽と、前記回転ドラムを駆動するモータと、前記外槽を支持する筐体と、洗濯機の運転を制御する回路基板を収容する基板ケースと、前記筐体の上部に設けられ、前記外槽内に洗剤を投入する洗剤ケースと、を備えたドラム式洗濯機であって、前記基板ケースは、前記筐体内において前記外槽の上部に設けられ、前記洗剤ケースは、前記基板ケースと鉛直方向において重ならないように、前記基板ケースの前方に配置したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、洗濯機の性能や使い勝手を向上させることができるドラム式洗濯機を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本実施形態に係るドラム式洗濯機の外観を示す斜視図である。
【図2】給水ユニットの概略を筐体の上方から見たときの斜視図である。
【図3】基板ケースの配置を示す斜視図である。
【図4】基板ケースと洗剤ケースとの位置関係を示す平面図である。
【図5】基板ケースを示し、(a)は正面図、(b)は上面図、(c)は下面図、(d)は左側面図である。
【図6】基板ケースの取付状態を示す正面図である。
【図7】基板ケースの内部を示す断面斜視図である。
【図8】基板を上下反転させて筐体に支持させた状態を示す斜視図である。
【図9】図8の要部拡大図である。
【図10】図9のB−B線断面図である。
【図11】基板ケースを上下反転させてカバーを取り外して筐体に支持させた状態を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための形態(以下「実施形態」という)について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
図1に示すように、本実施形態のドラム式洗濯機A(以下、洗濯機と表記する)は、洗濯から乾燥までの工程を行うことができるものであり、外郭が鋼板と樹脂成型品とを組み合わせて構成された筐体1を有する。この筐体1には、操作パネル2、洗剤ケース3、給水ユニット4、外槽5、回転ドラム6(内槽)、ダンパ7、扉8、基板ケース9などが設けられている。
【0011】
筐体1は、ベースBs、左右の側板1a,1b(図3参照)、前面カバー1c、背面カバー1d(図3参照)、上面カバー1e、下部前面カバー1fなどで構成されている。側板1a,1bおよび背面カバー1dは、鋼板をプレス成形によって構成したものである。ベースBs、前面カバー1c、上面カバー1eおよび下部前面カバー1fは、合成樹脂を成型して構成したものである。
【0012】
操作パネル2は、筐体1の上部右側の手前に横長に構成され、電源スイッチ、各種操作ボタン、表示器などを備えている。
【0013】
洗剤ケース3は、筐体1の上部左側の手前に設けられ、洗剤投入室3a,3b,3cと、蓋部材3dとで構成されている。洗剤投入室3a,3b,3cは、上向きに形成された開口3a1,3b1,3c1を有し、開口3a1,3b1,3c1を介して粉末洗剤、液体洗剤、柔軟剤をそれぞれ別々に投入できるように区画されている。蓋部材3dは、洗剤投入室3a,3b,3cの後方に、水平方向(閉止)および鉛直方向(開放)の間を回動可能に支持された回動軸(不図示)を有し、開放時に蓋部材3dの先端が上向きとなるように構成されている。このように、本実施形態に係る洗剤ケース3は、前後に引き出す方式のものではないので、洗剤ケース3を設置する際の前後方向のスペースを短くすることができる。
【0014】
図2に示すように、給水ユニット4は、洗剤ケース3の後方、かつ、後記する基板ケース9(2点鎖線参照)の下方に配置されている。また、給水ユニット4は、後方に水道栓から給水を行う給水ホース接続口4a、風呂の残り湯を導入する風呂水ホース接続口4bなどを備えた洗剤給水電磁弁Vを備えるとともに、洗剤ケース3に給水するための給水管P1,P2、洗剤ケース3から後記する外槽5に供給するための送出管P3等を備えている。
【0015】
洗剤給水電磁弁Vから供給された水は、給水管P1を介して、洗剤投入室3a,3bを構成する後側の側面3eに形成された導入口3e1から洗剤投入室3a,3b内に導入され、給水管P2を介して、洗剤投入室3cを構成する後側の側面3fに形成された導入口3f1から洗剤投入室3c内に導入される。洗剤投入室3aに導入された水は、底面に形成された孔から外槽5内に導入され、洗剤投入室3b,3cに導入された水は、サイホン機構によって吸い出されて外槽5内に導入されるように構成されている。
【0016】
図1に戻って、外槽5は、洗いおよびすすぎの際に、使用する水が注がれて一時的に貯留されるドラム形の水槽であり、衣類投入口側が開口された有底円筒体からなる。また、外槽5の背面には、後記する回転ドラム6を駆動させるモータMが設けられている。
【0017】
回転ドラム6は、洗濯兼脱水槽として機能し、外槽5内に同軸上に内包される有底円筒体からなる。また、回転ドラム6は、手前側に衣類を出し入れするための開口部(図示せず)、および周壁に通水および通風のための多数の貫通孔(図示せず)を有している。
【0018】
また、回転ドラム6の内周壁には、奥行き方向(軸方向)に延びるリフタ(不図示)が複数個設けられている。洗濯、乾燥時に回転ドラム6が回転すると、衣類などがリフタと遠心力で周壁に沿って持ち上がり、重力で落下するような動きを繰り返すようになっている。また、回転ドラム6の回転中心は、開口部側が高くなるように傾斜している。
【0019】
ダンパ7は、外槽5の下部を弾性的に支持している。なお、図1では、右側のダンパ7のみを図示しているが、左側にも同様なダンパが設けられている。また、外槽5の上部は、側板1a,1b(図3参照)の上部をつなぐ上補強材1g(図3参照)と、側板1a,1b(図3参照)の背面上部をつなぐ後補強材1iとをまたぐように設けられた支持部材(不図示)に補助ばね(不図示)が設けられ、弾性的に吊り下げられている。
【0020】
扉8は、前面カバー1cに設けられた開口部(図示せず)を開閉して衣類を出し入れするものである。例えば、扉8に設けられた図示しないレバーを操作することで扉8が開放し、扉8を前面カバー1c側に押圧することで扉8が前面カバー1cにロックされるように構成されている。
【0021】
なお、図示していないが、洗濯機Aは、外槽5内の空気を除湿する除湿手段(例えば、水冷除湿機構)、除湿した空気を加熱する加熱手段、外槽5(回転ドラム6)内と加熱手段および除湿手段との間において空気を循環させる循環手段を備えている。
【0022】
図3に示すように、基板ケース9は、筐体1内の上部左側に配置されている。なお、図3は、筐体1から前面カバー1c、上面カバー1eおよび下部前面カバー1fを取り外し、基板ケース9を除く内部の構造体の図示を省略した状態を示す。
【0023】
このように、基板ケース9を筐体1の上部に配置することにより、洗濯機Aを真下排水として設置する場合、下部前面カバー1fを取り外すだけで、真下排水の設定をすることができ、真下排水設置時の作業性を向上させることができる。
【0024】
また、基板ケース9を筐体1の上部に配置することにより、リード線(配線)のトータルの長さを短くすることができる。これは、加熱手段としてのヒータ、循環手段としてのファンなど主要な電気部品が筐体1内の上部に配置されていることによる。例えば、センサ系のリード線を短くできることにより、ノイズによる検出誤差を低減することが可能になる。
【0025】
また、基板ケース9を筐体1の上部に配置することにより、基板ケース9から発生する熱を乾燥工程において外槽5内に取り込むように構成することで、加熱手段(ヒータ)で消費される電力を削減することが可能になる。
【0026】
図3に示すように、筐体1は、左右の側板1a,1bの上部をつなぐ上補強材1g、側板1a,1bの前部をつなぐ前補強材1h、側板1a,1bの背面上部をつなぐ後補強材1iで構成されており、ベースBsを含めて箱状の筐体1を形成し、筐体として十分な強度を有している。
【0027】
上補強材1gは、1枚ものの鋼板をプレス成形により二股状に構成したものであり、基板ケース9の上方を通る第1支持部1g1と、基板ケース9の下方を通る第2支持部1g2とを有している。第1支持部1g1は、第2支持部1g2よりも前方に位置し、かつ、幅狭に形成されている。また、上補強材1gは、左右の両端部がL字状に形成され、右端部が側板1aに、左端部が側板1bにそれぞれねじ固定されている。
【0028】
基板ケース9は、略四角箱状に形成され、その前端部が第1支持部1g1と第2支持部1g2との間に挿入された状態で筐体1に取り付けられている。このように、基板ケース9を第1支持部1g1と第2支持部1g2との間に挿入する構成とすることで、基板ケース9を安定して保持することができる。また、第1支持部1g1を第2支持部1g2の前方に配置し、かつ、第1支持部1g1の幅を第2支持部1g2よりも幅狭に形成することで、製造組立て時やメンテナンス時において基板ケース9を筐体1に取り付ける際に、基板ケース9の取り付けが容易になる。
【0029】
つまり、基板ケース9よりも後方に設けられた洗剤給水電磁弁Vは、給水ホース接続口4aや風呂水ホース接続口4b(図2参照)が鉛直方向に突出して設けられているため、上補強材1gが幅広で、基板ケース9を上補強材1gの下方にもぐり込ませる距離が長いと、基板ケース9が給水ホース接続口4aや風呂水ホース接続口4b(図2参照)に引っ掛かり、そのままでは上補強材1gに挿入することができなくなる。しかし、本実施形態では、上補強材1gを前記した形状にすることで、基板ケース9が給水ホース接続口4aや風呂水ホース接続口4bに引っ掛かることなく基板ケース9の下方に容易にもぐり込ませることが可能になる。
【0030】
図4に示すように、洗濯機Aを鉛直方向の上方から見た場合、基板ケース9は、洗剤ケース3の後方に位置し、洗剤ケース3と基板ケース9とが鉛直方向(紙面垂直方向)において重ならない(ラップしない)ように配置されている。このように重ならないのは、洗剤ケース3が前後方向に引き出す方式のものではなく、洗剤投入室3a,3b,3cの洗剤投入用の開口が上向きで、軸回りに回動する蓋部材3dを備える方式のものであるからである。ちなみに、筐体1内の基板ケース9の右側には、乾燥工程用の空気を加熱するヒータ、空気を循環させるファン、埃などを除去する乾燥フィルタなどが設けられている。
【0031】
図5(a)に示すように、基板ケース9は、回路基板100(図7参照)を収容するものであり、ケース本体10とカバー11とが組み合わされて構成されている。ケース本体10は、上側に位置し、カバー11は、下側に位置した状態で筐体1(図3参照)に取り付けられている。
【0032】
なお、回路基板100は、CPU(Central Processing Unit)、プログラムを記憶したROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、各種回路、入出力インターフェイスなどの電子部品102(図7参照)を実装して構成され、設定された運転工程に応じてモータMを含む各種の駆動部を統括的に制御するものである。
【0033】
ケース本体10は、四角箱型で扁平な形状を呈し、右側面10aにL字形状の係止部10b(支持部)と、係止部10bの後方にL字形状のフック10c(支持部)がそれぞれ形成されている。係止部10bおよびフック10cは、先端が鉛直方向(上下方向)上向きとなるように形成されている。また、フック10cは、係止部10bよりも側方に突出し、配線(ハーネス)を引っ掛けて支持する機能を有している。一方、ケース本体10の左側面10dには、L字形状の係止片10eが形成されている。この係止片10eは、先端が鉛直方向下向きとなるように形成されている。
【0034】
カバー11は、ケース本体10の開放した開口を覆うものであり、正面視(平面視)において略台形状の膨出部11aが下方に突出して形成されている。この膨出部11aは、左右方向の略中央から左側が突出している。また、膨出部11aの正面側の側面11a1には、複数本のスリットからなる排気口11bが形成されている。
【0035】
図5(b)に示すように、ケース本体10には、左側面10dの後方に、ねじ止め用の取付片10fが左側方に突出して形成されている。この取付片10fには、鉛直方向(紙面に直交する方向)にねじ挿通孔10f1が貫通して形成されている。また、取付片10fは、図示しないねじを介して、筐体1の側板1bの上端面1b1(図6参照)にねじ止めされることで、基板ケース9の左側が固定される。なお、基板ケース9の右側は、例えば、上補強材1gと後補強材1iとを連結する支持部材(不図示)に対する凹凸嵌合、上補強材1gによって支持されている。
【0036】
図5(c)に示すように、カバー11には、膨出部11aが形成された底面11a2に、円形の貫通孔11c(孔)が形成されている。貫通孔11cの周縁部には、カバー11の内側に突出する突起11d,11dが貫通孔11cの中心を挟んで対向する位置に基板ケース9内に突出するように形成されている。なお、図5(c)に示す丸(円)は、突起11dの凹みを図示している。
【0037】
また、カバー11の内側には、貫通孔11cに対応する位置に冷却ファンFが取り付けられている。冷却ファンFは、四角箱型形状の筐体f1(図7参照)の内側にファン(図示せず)が収容されたものであり、貫通孔11cの中心を挟んで対向する位置における底面11a2にねじ固定されている。これにより、筐体f1(図7参照)が内側に突出した突起11d,11dに当接することで、冷却ファンFと底面11a2との間に隙間S1(図7参照)が形成されるようになっている。
【0038】
なお、ヒートシンク110は、アルミニウム合金など放熱性に優れた材料で形成され、回転ドラム6のモータMを回転させるIPM素子(不図示)が実装される位置に設けられている。また、ヒートシンク110は、冷却ファンFに向けて立設した複数枚のフィン110a(図7参照)を有し、冷却ファンFの冷却風がフィン110a(図7参照)の先端(下端)から供給されるようになっている。このように、ヒートシンク110のフィンに対して側面から冷却風を供給する場合よりも冷却性能を向上できる。
【0039】
図5(d)に示すように、カバー11の左側面11a3には、複数本のスリットからなる排気口11eが形成されている。なお、冷却ファンFによって貫通孔11cから内部に導入された空気は、ヒートシンク110(図7参照)を介してIPM素子(不図示)などを冷却した後、排気口11b(図5(a)参照)および排気口11eから排出されるようになっている。
【0040】
図6に示すように、基板ケース9は、上補強材1gの第1支持部1g1と第2支持部1g2との間に挿入されるようにして取り付けられる。第1支持部1g1は、基板ケース9のケース本体10の上面10gに接するように左右方向に延び、ケース本体10の左端部においてL字状に曲げられて、端部が側板1bの上端面1b1にねじ固定されている。
【0041】
第2支持部1g2は、第1支持部1g1と同じ高さである上段部1g3と、側板1bの上端面1b1とほぼ同じ高さで膨出部11aが形成されていない底面11a4に対応する位置に形成された中段部1g4と、上端面1b1よりも低く、膨出部11aの底面11a2に対応する位置に形成された下段部1g5と、を有している。
【0042】
また、第2支持部1g2は、中段部1g4と下段部1g5との間が、カバー11の形状に沿う傾斜支持部1g6により連続して形成され、また上段部1g3と中段部1g4との間が傾斜支持部1g7により連続して形成され、上段部1g3、中段部1g4および下段部1g5が略階段状となるように構成されている。このように、基板ケース9は、中段部1g4と下段部1g5に支持されている。
【0043】
図7に示すように、基板ケース9の内部には、回路基板100が設けられている。この回路基板100は、例えば、ガラスエポキシ基板に配線パターンが印刷されたプリント基板101に、集積回路、抵抗器、コンデンサなどの各種の電子部品102が実装されたものである。また、回路基板100は、電子部品102の実装面101aが鉛直方向下向きとなるように構成されている。すなわち、ケース本体10の天井面にプリント基板101が固定され、このプリント基板101の下面に電子部品102が実装されている。
【0044】
このように、回路基板100の実装面101aを下向きに設定することにより、万が一基板ケース9内に水が浸入したとしても、電子部品102に水が降りかかることを防止できる。また、基板ケース9内に浸入した水は、底面11a2,11a4を流れ、貫通孔11cの周縁部と冷却ファンFの筐体f1との間の隙間S1を通って貫通孔11cから基板ケース9の外部に流れ落ちるようになっている。このように、貫通孔11cは、冷却風を基板ケース9内に取り込む機能を有するとともに、排水口としても機能するようになっている。
【0045】
ところで、洗濯機Aに不具合が発生して、モータM(図1参照)などの部品の交換が必要になった場合には、モータMから延びて基板ケース9内のコネクタに接続された配線を交換する必要がある。このような場合、本実施形態では、上面カバー1e(図1参照)を外し、基板ケース9と筐体1とを固定するねじを外した後、基板ケース9ごと上下を反転させ(上下逆さまにして)、カバー11を取り外す。それが図8に示す状態である。つまり、基板ケース9を上下反転させることとは、基板ケース9の左側が右側となるように回転させることである。なお、図8では、回路基板100の実装面101aに設けられたコネクタと接続される各種配線の図示を省略している。ちなみに、各種配線は、ケース本体10の縁に形成された切欠き10tに挿通されるように構成されている。
【0046】
このとき、基板ケース9のケース本体10は、ケース本体10の右側面10a(図8では左側の側面)に形成された係止部10b(支持部)が上補強材1gの第1支持部1g1と係合するように筐体1上に配置される。
【0047】
すなわち、図8の要部を拡大した図9に示すように、第1支持部1g1は、その幅方向の両縁部に補強のために上方に向けて垂直に折り曲げられた立ち上がり部1g8,1g9が長手方向(左右方向)に沿って形成されるとともに、L字状に形成された左側の端部が前後方向に幅広に形成されている。さらに説明すると、立ち上がり部1g9の左端部は、上端部から鉛直方向に延びる第1垂直部g1、後側下方に向けて傾斜する傾斜部g2、鉛直方向に延びる第2垂直部g3および外側方(左側方)に延びる水平部g4が連続して形成されて、前後方向の幅が広くなるように形成されている。
【0048】
一方、係止部10bは、基板ケース9を上下反転させたことにより、先端部が鉛直方向下向きとなる。係止部10bは、鉛直方向に沿う略台形状の起立片10b1を有している。この起立片10b1は、前端部10b2が、前方に向けて下方に傾斜する略三角状に形成され、水平部g4よりも前方に若干突出するように形成されている。また、前端部10b2の先端(下端)には、下方に延びる掛止突起10b3が形成されている。
【0049】
このように構成されることにより、基板ケース9を上下反転させて筐体1上に配置したときに、起立片10b1の前端部10b2が立ち上がり部1g9の水平部g4の上端に当接する。これにより、ケース本体10を筐体1に支持させることができる。また、前端部10b2に形成された掛止突起10b3は、水平部g4の前側の起立面g5に係止されることで、ケース本体10が後方に位置ズレしないようになっている。また、係止部10bの後方に配置されたフック10cは、基板ケース9が上下反転することにより、その先端10c1が側板1bの上端面1b1に当接するようになっている。これにより、ケース本体10を筐体1上において安定して支持することが可能になる。
【0050】
また、図10の断面図に示すように、係止部10bは、前端部10b2の内面10b4が、立ち上がり部1g9の第2垂直部g3の縁部g6と当接して係止されるようになっている。なお、図10は、第2垂直部g3の位置で縦方向に沿って切断したときの断面図である。これにより、ケース本体10を筐体1上に載せたときにケース本体10が図示右方向にずれ落ちるのを防止することができる。
【0051】
また、図11に示すように、上下を反転させたケース本体10は、その上面10gの一部が第2支持部1g2の中段部1g4上に支持される。このように、ケース本体10が中断部1g4に支持されることにより、係止部10bの第1支持部1g1での支持と、フック10cの側板1bでの支持とで、筐体1上においてケース本体10を水平、かつ、安定して支持することが可能になる。これにより、部品交換などの作業を安定して行うことが可能になる。
【0052】
以上説明したように、本実施形態の洗濯機Aによれば、基板ケース9が筐体1内の外槽5の上部に設けられ、洗剤ケース3が基板ケース9と鉛直方向において重ならないように、洗剤ケース3を基板ケース9の前方に配置したので、洗濯機Aの高さ寸法を高くする必要がない。
【0053】
その結果、外槽5の大径化によって回転ドラム6の径を大きくできるので、洗浄能力や乾燥時の仕上がり能力を向上させることができる。つまり、ドラム式洗濯機Aでは、衣類を落下させて汚れを落とすようにしているので、回転ドラム6の径が大きい方が落下する距離が長くなるので、洗浄力を高くできる。また、回転ドラム6の径が大きくなることにより、乾燥工程時の衣類の広がりも大きくなるので、乾燥時の仕上がりも向上できる。また、本実施形態によれば、外槽5および回転ドラム6の高さ位置を低くする必要もないので、衣類の出し入れがし難くなるといった不都合も生じない。
【0054】
また、本実施形態によれば、洗剤ケース3は、洗剤を投入する開口3a1,3b1,3c1が上向きに形成された洗剤投入室3a,3b,3cと、回動軸を介して開口3a1,3b1,3c1を開閉する蓋部材3dと、を備えるので、洗濯機Aの前後方向に長いスペースを必要とすることがなく、洗剤ケース3と基板ケース9とが鉛直方向において重なる(ラップする)ことがない。ちなみに、本発明は、前記した実施形態に限定されるものではなく、引き出し式のものであっても、例えば、左側の側板1bから左側方へ引き出す構成のものであれば、洗濯機Aの前後方向に長いスペースを確保することなく、洗剤ケースと基板ケース9とを鉛直方向において重ならないようにすることができる。あるいは、洗剤ケースが鉛直方向に構成された回動軸を支点として水平方向に回動して開閉する構成であってもよい。このように、洗剤ケース3の構成は、基板ケース9と鉛直方向に重ならない構成であれば、本実施形態の構成に限定されるものではない。
【0055】
また、本実施形態によれば、回路基板100の実装面101aが鉛直方向下向きに設定されているので、万が一基板ケース9内に水が浸入したとしても、電子部品102に水がかかるのを防止することができる(図7参照)。
【0056】
また、本実施形態によれば、基板ケース9は、実装面101aを上下反転させた状態で筐体1に支持される係止部10bおよびフック10cを備えるので、例えば、洗濯機Aに不具合が発生して、基板ケース9を開ける必要性が生じたときに、基板ケース9を上下反転させることで、基板ケース9(ケース本体10)を筐体1(側板1bの上端面1b1)に支持させることができる。その結果、基板ケース9と外部の部品とを接続する配線を外すなどの作業を安定して行うことができる。
【0057】
また、本実施形態によれば、基板ケース9は、底面11a2に基板ケース9の外部と連通する貫通孔11cが形成されているので、図7において矢印で示すように、基板ケース9内に侵入した水は、底面11a2に沿って流れ落ち、貫通孔11cの周縁と冷却ファンFとの隙間S1を介して貫通孔11cから排出される。したがって、基板ケース9内に水が溜まるのを防止することができる。
【符号の説明】
【0058】
1 筐体
1g 前補強材
1g1 第1支持部
1g2 第2支持部
3 洗剤ケース
3a,3b,3c 洗剤投入室
3a1,3b1,3c1 開口
3d 蓋部材
4 給水ユニット
5 外槽
6 回転ドラム
9 基板ケース
10 ケース本体
10b 係止部(支持部)
10b1 起立片
10b2 前端部
10b3 掛止突起
10c フック(支持部)
10c1 先端
11 カバー
11a2 底面
11c 貫通孔(孔)
100 回路基板
101a 実装面
A 洗濯機(ドラム式洗濯機)
M モータ
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗濯機本体の設置性に優れたドラム式洗濯機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のドラム式洗濯機では、洗濯機本体を真下排水として設置する場合、設置時の作業性を向上させるために、基板を筐体の上部に配置する構成が提案されている(特許文献1参照)。このように基板を筐体の上部に配置することで、ドラム式洗濯機本体を真下排水として設置する際に基板を取り外すなどの煩雑な作業を不要にできる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−63750号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ドラム式洗濯機では、洗剤を投入する洗剤ケースが引き出し式であるのが一般的であり、洗剤ケースを設置するには、奥行方向に長いスペースが必要になる。この場合、基板を筐体の上部に配置すると、洗剤ケースと基板ケースとが鉛直方向において重なり合ってしまい、洗濯機本体の高さ寸法が高くなるという問題がある。
【0005】
しかしながら、洗濯機本体の高さ寸法は、水道栓の位置によって制約があるため、基板と洗剤ケースを設置するための高さ寸法を確保しようとすると、洗濯槽の径を小さくしたり、洗濯槽の高さ位置(衣類を出し入れするための投入口の高さ)を低くしなければならない。このように洗濯槽の径を小さくすると、洗浄能力や乾燥時の仕上がり能力が低下し、また洗濯槽の高さ位置を低くすると、投入口の高さが低くなって衣類の出し入れがし難くなるという問題がある。
【0006】
本発明は、前記従来の問題を解決するものであり、洗濯機の性能や使い勝手を向上させることができるドラム式洗濯機を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、回転ドラムと、前記回転ドラムを収容する外槽と、前記回転ドラムを駆動するモータと、前記外槽を支持する筐体と、洗濯機の運転を制御する回路基板を収容する基板ケースと、前記筐体の上部に設けられ、前記外槽内に洗剤を投入する洗剤ケースと、を備えたドラム式洗濯機であって、前記基板ケースは、前記筐体内において前記外槽の上部に設けられ、前記洗剤ケースは、前記基板ケースと鉛直方向において重ならないように、前記基板ケースの前方に配置したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、洗濯機の性能や使い勝手を向上させることができるドラム式洗濯機を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本実施形態に係るドラム式洗濯機の外観を示す斜視図である。
【図2】給水ユニットの概略を筐体の上方から見たときの斜視図である。
【図3】基板ケースの配置を示す斜視図である。
【図4】基板ケースと洗剤ケースとの位置関係を示す平面図である。
【図5】基板ケースを示し、(a)は正面図、(b)は上面図、(c)は下面図、(d)は左側面図である。
【図6】基板ケースの取付状態を示す正面図である。
【図7】基板ケースの内部を示す断面斜視図である。
【図8】基板を上下反転させて筐体に支持させた状態を示す斜視図である。
【図9】図8の要部拡大図である。
【図10】図9のB−B線断面図である。
【図11】基板ケースを上下反転させてカバーを取り外して筐体に支持させた状態を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための形態(以下「実施形態」という)について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
図1に示すように、本実施形態のドラム式洗濯機A(以下、洗濯機と表記する)は、洗濯から乾燥までの工程を行うことができるものであり、外郭が鋼板と樹脂成型品とを組み合わせて構成された筐体1を有する。この筐体1には、操作パネル2、洗剤ケース3、給水ユニット4、外槽5、回転ドラム6(内槽)、ダンパ7、扉8、基板ケース9などが設けられている。
【0011】
筐体1は、ベースBs、左右の側板1a,1b(図3参照)、前面カバー1c、背面カバー1d(図3参照)、上面カバー1e、下部前面カバー1fなどで構成されている。側板1a,1bおよび背面カバー1dは、鋼板をプレス成形によって構成したものである。ベースBs、前面カバー1c、上面カバー1eおよび下部前面カバー1fは、合成樹脂を成型して構成したものである。
【0012】
操作パネル2は、筐体1の上部右側の手前に横長に構成され、電源スイッチ、各種操作ボタン、表示器などを備えている。
【0013】
洗剤ケース3は、筐体1の上部左側の手前に設けられ、洗剤投入室3a,3b,3cと、蓋部材3dとで構成されている。洗剤投入室3a,3b,3cは、上向きに形成された開口3a1,3b1,3c1を有し、開口3a1,3b1,3c1を介して粉末洗剤、液体洗剤、柔軟剤をそれぞれ別々に投入できるように区画されている。蓋部材3dは、洗剤投入室3a,3b,3cの後方に、水平方向(閉止)および鉛直方向(開放)の間を回動可能に支持された回動軸(不図示)を有し、開放時に蓋部材3dの先端が上向きとなるように構成されている。このように、本実施形態に係る洗剤ケース3は、前後に引き出す方式のものではないので、洗剤ケース3を設置する際の前後方向のスペースを短くすることができる。
【0014】
図2に示すように、給水ユニット4は、洗剤ケース3の後方、かつ、後記する基板ケース9(2点鎖線参照)の下方に配置されている。また、給水ユニット4は、後方に水道栓から給水を行う給水ホース接続口4a、風呂の残り湯を導入する風呂水ホース接続口4bなどを備えた洗剤給水電磁弁Vを備えるとともに、洗剤ケース3に給水するための給水管P1,P2、洗剤ケース3から後記する外槽5に供給するための送出管P3等を備えている。
【0015】
洗剤給水電磁弁Vから供給された水は、給水管P1を介して、洗剤投入室3a,3bを構成する後側の側面3eに形成された導入口3e1から洗剤投入室3a,3b内に導入され、給水管P2を介して、洗剤投入室3cを構成する後側の側面3fに形成された導入口3f1から洗剤投入室3c内に導入される。洗剤投入室3aに導入された水は、底面に形成された孔から外槽5内に導入され、洗剤投入室3b,3cに導入された水は、サイホン機構によって吸い出されて外槽5内に導入されるように構成されている。
【0016】
図1に戻って、外槽5は、洗いおよびすすぎの際に、使用する水が注がれて一時的に貯留されるドラム形の水槽であり、衣類投入口側が開口された有底円筒体からなる。また、外槽5の背面には、後記する回転ドラム6を駆動させるモータMが設けられている。
【0017】
回転ドラム6は、洗濯兼脱水槽として機能し、外槽5内に同軸上に内包される有底円筒体からなる。また、回転ドラム6は、手前側に衣類を出し入れするための開口部(図示せず)、および周壁に通水および通風のための多数の貫通孔(図示せず)を有している。
【0018】
また、回転ドラム6の内周壁には、奥行き方向(軸方向)に延びるリフタ(不図示)が複数個設けられている。洗濯、乾燥時に回転ドラム6が回転すると、衣類などがリフタと遠心力で周壁に沿って持ち上がり、重力で落下するような動きを繰り返すようになっている。また、回転ドラム6の回転中心は、開口部側が高くなるように傾斜している。
【0019】
ダンパ7は、外槽5の下部を弾性的に支持している。なお、図1では、右側のダンパ7のみを図示しているが、左側にも同様なダンパが設けられている。また、外槽5の上部は、側板1a,1b(図3参照)の上部をつなぐ上補強材1g(図3参照)と、側板1a,1b(図3参照)の背面上部をつなぐ後補強材1iとをまたぐように設けられた支持部材(不図示)に補助ばね(不図示)が設けられ、弾性的に吊り下げられている。
【0020】
扉8は、前面カバー1cに設けられた開口部(図示せず)を開閉して衣類を出し入れするものである。例えば、扉8に設けられた図示しないレバーを操作することで扉8が開放し、扉8を前面カバー1c側に押圧することで扉8が前面カバー1cにロックされるように構成されている。
【0021】
なお、図示していないが、洗濯機Aは、外槽5内の空気を除湿する除湿手段(例えば、水冷除湿機構)、除湿した空気を加熱する加熱手段、外槽5(回転ドラム6)内と加熱手段および除湿手段との間において空気を循環させる循環手段を備えている。
【0022】
図3に示すように、基板ケース9は、筐体1内の上部左側に配置されている。なお、図3は、筐体1から前面カバー1c、上面カバー1eおよび下部前面カバー1fを取り外し、基板ケース9を除く内部の構造体の図示を省略した状態を示す。
【0023】
このように、基板ケース9を筐体1の上部に配置することにより、洗濯機Aを真下排水として設置する場合、下部前面カバー1fを取り外すだけで、真下排水の設定をすることができ、真下排水設置時の作業性を向上させることができる。
【0024】
また、基板ケース9を筐体1の上部に配置することにより、リード線(配線)のトータルの長さを短くすることができる。これは、加熱手段としてのヒータ、循環手段としてのファンなど主要な電気部品が筐体1内の上部に配置されていることによる。例えば、センサ系のリード線を短くできることにより、ノイズによる検出誤差を低減することが可能になる。
【0025】
また、基板ケース9を筐体1の上部に配置することにより、基板ケース9から発生する熱を乾燥工程において外槽5内に取り込むように構成することで、加熱手段(ヒータ)で消費される電力を削減することが可能になる。
【0026】
図3に示すように、筐体1は、左右の側板1a,1bの上部をつなぐ上補強材1g、側板1a,1bの前部をつなぐ前補強材1h、側板1a,1bの背面上部をつなぐ後補強材1iで構成されており、ベースBsを含めて箱状の筐体1を形成し、筐体として十分な強度を有している。
【0027】
上補強材1gは、1枚ものの鋼板をプレス成形により二股状に構成したものであり、基板ケース9の上方を通る第1支持部1g1と、基板ケース9の下方を通る第2支持部1g2とを有している。第1支持部1g1は、第2支持部1g2よりも前方に位置し、かつ、幅狭に形成されている。また、上補強材1gは、左右の両端部がL字状に形成され、右端部が側板1aに、左端部が側板1bにそれぞれねじ固定されている。
【0028】
基板ケース9は、略四角箱状に形成され、その前端部が第1支持部1g1と第2支持部1g2との間に挿入された状態で筐体1に取り付けられている。このように、基板ケース9を第1支持部1g1と第2支持部1g2との間に挿入する構成とすることで、基板ケース9を安定して保持することができる。また、第1支持部1g1を第2支持部1g2の前方に配置し、かつ、第1支持部1g1の幅を第2支持部1g2よりも幅狭に形成することで、製造組立て時やメンテナンス時において基板ケース9を筐体1に取り付ける際に、基板ケース9の取り付けが容易になる。
【0029】
つまり、基板ケース9よりも後方に設けられた洗剤給水電磁弁Vは、給水ホース接続口4aや風呂水ホース接続口4b(図2参照)が鉛直方向に突出して設けられているため、上補強材1gが幅広で、基板ケース9を上補強材1gの下方にもぐり込ませる距離が長いと、基板ケース9が給水ホース接続口4aや風呂水ホース接続口4b(図2参照)に引っ掛かり、そのままでは上補強材1gに挿入することができなくなる。しかし、本実施形態では、上補強材1gを前記した形状にすることで、基板ケース9が給水ホース接続口4aや風呂水ホース接続口4bに引っ掛かることなく基板ケース9の下方に容易にもぐり込ませることが可能になる。
【0030】
図4に示すように、洗濯機Aを鉛直方向の上方から見た場合、基板ケース9は、洗剤ケース3の後方に位置し、洗剤ケース3と基板ケース9とが鉛直方向(紙面垂直方向)において重ならない(ラップしない)ように配置されている。このように重ならないのは、洗剤ケース3が前後方向に引き出す方式のものではなく、洗剤投入室3a,3b,3cの洗剤投入用の開口が上向きで、軸回りに回動する蓋部材3dを備える方式のものであるからである。ちなみに、筐体1内の基板ケース9の右側には、乾燥工程用の空気を加熱するヒータ、空気を循環させるファン、埃などを除去する乾燥フィルタなどが設けられている。
【0031】
図5(a)に示すように、基板ケース9は、回路基板100(図7参照)を収容するものであり、ケース本体10とカバー11とが組み合わされて構成されている。ケース本体10は、上側に位置し、カバー11は、下側に位置した状態で筐体1(図3参照)に取り付けられている。
【0032】
なお、回路基板100は、CPU(Central Processing Unit)、プログラムを記憶したROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、各種回路、入出力インターフェイスなどの電子部品102(図7参照)を実装して構成され、設定された運転工程に応じてモータMを含む各種の駆動部を統括的に制御するものである。
【0033】
ケース本体10は、四角箱型で扁平な形状を呈し、右側面10aにL字形状の係止部10b(支持部)と、係止部10bの後方にL字形状のフック10c(支持部)がそれぞれ形成されている。係止部10bおよびフック10cは、先端が鉛直方向(上下方向)上向きとなるように形成されている。また、フック10cは、係止部10bよりも側方に突出し、配線(ハーネス)を引っ掛けて支持する機能を有している。一方、ケース本体10の左側面10dには、L字形状の係止片10eが形成されている。この係止片10eは、先端が鉛直方向下向きとなるように形成されている。
【0034】
カバー11は、ケース本体10の開放した開口を覆うものであり、正面視(平面視)において略台形状の膨出部11aが下方に突出して形成されている。この膨出部11aは、左右方向の略中央から左側が突出している。また、膨出部11aの正面側の側面11a1には、複数本のスリットからなる排気口11bが形成されている。
【0035】
図5(b)に示すように、ケース本体10には、左側面10dの後方に、ねじ止め用の取付片10fが左側方に突出して形成されている。この取付片10fには、鉛直方向(紙面に直交する方向)にねじ挿通孔10f1が貫通して形成されている。また、取付片10fは、図示しないねじを介して、筐体1の側板1bの上端面1b1(図6参照)にねじ止めされることで、基板ケース9の左側が固定される。なお、基板ケース9の右側は、例えば、上補強材1gと後補強材1iとを連結する支持部材(不図示)に対する凹凸嵌合、上補強材1gによって支持されている。
【0036】
図5(c)に示すように、カバー11には、膨出部11aが形成された底面11a2に、円形の貫通孔11c(孔)が形成されている。貫通孔11cの周縁部には、カバー11の内側に突出する突起11d,11dが貫通孔11cの中心を挟んで対向する位置に基板ケース9内に突出するように形成されている。なお、図5(c)に示す丸(円)は、突起11dの凹みを図示している。
【0037】
また、カバー11の内側には、貫通孔11cに対応する位置に冷却ファンFが取り付けられている。冷却ファンFは、四角箱型形状の筐体f1(図7参照)の内側にファン(図示せず)が収容されたものであり、貫通孔11cの中心を挟んで対向する位置における底面11a2にねじ固定されている。これにより、筐体f1(図7参照)が内側に突出した突起11d,11dに当接することで、冷却ファンFと底面11a2との間に隙間S1(図7参照)が形成されるようになっている。
【0038】
なお、ヒートシンク110は、アルミニウム合金など放熱性に優れた材料で形成され、回転ドラム6のモータMを回転させるIPM素子(不図示)が実装される位置に設けられている。また、ヒートシンク110は、冷却ファンFに向けて立設した複数枚のフィン110a(図7参照)を有し、冷却ファンFの冷却風がフィン110a(図7参照)の先端(下端)から供給されるようになっている。このように、ヒートシンク110のフィンに対して側面から冷却風を供給する場合よりも冷却性能を向上できる。
【0039】
図5(d)に示すように、カバー11の左側面11a3には、複数本のスリットからなる排気口11eが形成されている。なお、冷却ファンFによって貫通孔11cから内部に導入された空気は、ヒートシンク110(図7参照)を介してIPM素子(不図示)などを冷却した後、排気口11b(図5(a)参照)および排気口11eから排出されるようになっている。
【0040】
図6に示すように、基板ケース9は、上補強材1gの第1支持部1g1と第2支持部1g2との間に挿入されるようにして取り付けられる。第1支持部1g1は、基板ケース9のケース本体10の上面10gに接するように左右方向に延び、ケース本体10の左端部においてL字状に曲げられて、端部が側板1bの上端面1b1にねじ固定されている。
【0041】
第2支持部1g2は、第1支持部1g1と同じ高さである上段部1g3と、側板1bの上端面1b1とほぼ同じ高さで膨出部11aが形成されていない底面11a4に対応する位置に形成された中段部1g4と、上端面1b1よりも低く、膨出部11aの底面11a2に対応する位置に形成された下段部1g5と、を有している。
【0042】
また、第2支持部1g2は、中段部1g4と下段部1g5との間が、カバー11の形状に沿う傾斜支持部1g6により連続して形成され、また上段部1g3と中段部1g4との間が傾斜支持部1g7により連続して形成され、上段部1g3、中段部1g4および下段部1g5が略階段状となるように構成されている。このように、基板ケース9は、中段部1g4と下段部1g5に支持されている。
【0043】
図7に示すように、基板ケース9の内部には、回路基板100が設けられている。この回路基板100は、例えば、ガラスエポキシ基板に配線パターンが印刷されたプリント基板101に、集積回路、抵抗器、コンデンサなどの各種の電子部品102が実装されたものである。また、回路基板100は、電子部品102の実装面101aが鉛直方向下向きとなるように構成されている。すなわち、ケース本体10の天井面にプリント基板101が固定され、このプリント基板101の下面に電子部品102が実装されている。
【0044】
このように、回路基板100の実装面101aを下向きに設定することにより、万が一基板ケース9内に水が浸入したとしても、電子部品102に水が降りかかることを防止できる。また、基板ケース9内に浸入した水は、底面11a2,11a4を流れ、貫通孔11cの周縁部と冷却ファンFの筐体f1との間の隙間S1を通って貫通孔11cから基板ケース9の外部に流れ落ちるようになっている。このように、貫通孔11cは、冷却風を基板ケース9内に取り込む機能を有するとともに、排水口としても機能するようになっている。
【0045】
ところで、洗濯機Aに不具合が発生して、モータM(図1参照)などの部品の交換が必要になった場合には、モータMから延びて基板ケース9内のコネクタに接続された配線を交換する必要がある。このような場合、本実施形態では、上面カバー1e(図1参照)を外し、基板ケース9と筐体1とを固定するねじを外した後、基板ケース9ごと上下を反転させ(上下逆さまにして)、カバー11を取り外す。それが図8に示す状態である。つまり、基板ケース9を上下反転させることとは、基板ケース9の左側が右側となるように回転させることである。なお、図8では、回路基板100の実装面101aに設けられたコネクタと接続される各種配線の図示を省略している。ちなみに、各種配線は、ケース本体10の縁に形成された切欠き10tに挿通されるように構成されている。
【0046】
このとき、基板ケース9のケース本体10は、ケース本体10の右側面10a(図8では左側の側面)に形成された係止部10b(支持部)が上補強材1gの第1支持部1g1と係合するように筐体1上に配置される。
【0047】
すなわち、図8の要部を拡大した図9に示すように、第1支持部1g1は、その幅方向の両縁部に補強のために上方に向けて垂直に折り曲げられた立ち上がり部1g8,1g9が長手方向(左右方向)に沿って形成されるとともに、L字状に形成された左側の端部が前後方向に幅広に形成されている。さらに説明すると、立ち上がり部1g9の左端部は、上端部から鉛直方向に延びる第1垂直部g1、後側下方に向けて傾斜する傾斜部g2、鉛直方向に延びる第2垂直部g3および外側方(左側方)に延びる水平部g4が連続して形成されて、前後方向の幅が広くなるように形成されている。
【0048】
一方、係止部10bは、基板ケース9を上下反転させたことにより、先端部が鉛直方向下向きとなる。係止部10bは、鉛直方向に沿う略台形状の起立片10b1を有している。この起立片10b1は、前端部10b2が、前方に向けて下方に傾斜する略三角状に形成され、水平部g4よりも前方に若干突出するように形成されている。また、前端部10b2の先端(下端)には、下方に延びる掛止突起10b3が形成されている。
【0049】
このように構成されることにより、基板ケース9を上下反転させて筐体1上に配置したときに、起立片10b1の前端部10b2が立ち上がり部1g9の水平部g4の上端に当接する。これにより、ケース本体10を筐体1に支持させることができる。また、前端部10b2に形成された掛止突起10b3は、水平部g4の前側の起立面g5に係止されることで、ケース本体10が後方に位置ズレしないようになっている。また、係止部10bの後方に配置されたフック10cは、基板ケース9が上下反転することにより、その先端10c1が側板1bの上端面1b1に当接するようになっている。これにより、ケース本体10を筐体1上において安定して支持することが可能になる。
【0050】
また、図10の断面図に示すように、係止部10bは、前端部10b2の内面10b4が、立ち上がり部1g9の第2垂直部g3の縁部g6と当接して係止されるようになっている。なお、図10は、第2垂直部g3の位置で縦方向に沿って切断したときの断面図である。これにより、ケース本体10を筐体1上に載せたときにケース本体10が図示右方向にずれ落ちるのを防止することができる。
【0051】
また、図11に示すように、上下を反転させたケース本体10は、その上面10gの一部が第2支持部1g2の中段部1g4上に支持される。このように、ケース本体10が中断部1g4に支持されることにより、係止部10bの第1支持部1g1での支持と、フック10cの側板1bでの支持とで、筐体1上においてケース本体10を水平、かつ、安定して支持することが可能になる。これにより、部品交換などの作業を安定して行うことが可能になる。
【0052】
以上説明したように、本実施形態の洗濯機Aによれば、基板ケース9が筐体1内の外槽5の上部に設けられ、洗剤ケース3が基板ケース9と鉛直方向において重ならないように、洗剤ケース3を基板ケース9の前方に配置したので、洗濯機Aの高さ寸法を高くする必要がない。
【0053】
その結果、外槽5の大径化によって回転ドラム6の径を大きくできるので、洗浄能力や乾燥時の仕上がり能力を向上させることができる。つまり、ドラム式洗濯機Aでは、衣類を落下させて汚れを落とすようにしているので、回転ドラム6の径が大きい方が落下する距離が長くなるので、洗浄力を高くできる。また、回転ドラム6の径が大きくなることにより、乾燥工程時の衣類の広がりも大きくなるので、乾燥時の仕上がりも向上できる。また、本実施形態によれば、外槽5および回転ドラム6の高さ位置を低くする必要もないので、衣類の出し入れがし難くなるといった不都合も生じない。
【0054】
また、本実施形態によれば、洗剤ケース3は、洗剤を投入する開口3a1,3b1,3c1が上向きに形成された洗剤投入室3a,3b,3cと、回動軸を介して開口3a1,3b1,3c1を開閉する蓋部材3dと、を備えるので、洗濯機Aの前後方向に長いスペースを必要とすることがなく、洗剤ケース3と基板ケース9とが鉛直方向において重なる(ラップする)ことがない。ちなみに、本発明は、前記した実施形態に限定されるものではなく、引き出し式のものであっても、例えば、左側の側板1bから左側方へ引き出す構成のものであれば、洗濯機Aの前後方向に長いスペースを確保することなく、洗剤ケースと基板ケース9とを鉛直方向において重ならないようにすることができる。あるいは、洗剤ケースが鉛直方向に構成された回動軸を支点として水平方向に回動して開閉する構成であってもよい。このように、洗剤ケース3の構成は、基板ケース9と鉛直方向に重ならない構成であれば、本実施形態の構成に限定されるものではない。
【0055】
また、本実施形態によれば、回路基板100の実装面101aが鉛直方向下向きに設定されているので、万が一基板ケース9内に水が浸入したとしても、電子部品102に水がかかるのを防止することができる(図7参照)。
【0056】
また、本実施形態によれば、基板ケース9は、実装面101aを上下反転させた状態で筐体1に支持される係止部10bおよびフック10cを備えるので、例えば、洗濯機Aに不具合が発生して、基板ケース9を開ける必要性が生じたときに、基板ケース9を上下反転させることで、基板ケース9(ケース本体10)を筐体1(側板1bの上端面1b1)に支持させることができる。その結果、基板ケース9と外部の部品とを接続する配線を外すなどの作業を安定して行うことができる。
【0057】
また、本実施形態によれば、基板ケース9は、底面11a2に基板ケース9の外部と連通する貫通孔11cが形成されているので、図7において矢印で示すように、基板ケース9内に侵入した水は、底面11a2に沿って流れ落ち、貫通孔11cの周縁と冷却ファンFとの隙間S1を介して貫通孔11cから排出される。したがって、基板ケース9内に水が溜まるのを防止することができる。
【符号の説明】
【0058】
1 筐体
1g 前補強材
1g1 第1支持部
1g2 第2支持部
3 洗剤ケース
3a,3b,3c 洗剤投入室
3a1,3b1,3c1 開口
3d 蓋部材
4 給水ユニット
5 外槽
6 回転ドラム
9 基板ケース
10 ケース本体
10b 係止部(支持部)
10b1 起立片
10b2 前端部
10b3 掛止突起
10c フック(支持部)
10c1 先端
11 カバー
11a2 底面
11c 貫通孔(孔)
100 回路基板
101a 実装面
A 洗濯機(ドラム式洗濯機)
M モータ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転ドラムと、
前記回転ドラムを収容する外槽と、
前記回転ドラムを駆動するモータと、
前記外槽を支持する筐体と、
洗濯機の運転を制御する回路基板を収容する基板ケースと、
前記筐体の上部に設けられ、前記外槽内に洗剤を投入する洗剤ケースと、
を備えたドラム式洗濯機であって、
前記基板ケースは、前記筐体内において前記外槽の上部に設けられ、
前記洗剤ケースは、前記基板ケースと鉛直方向において重ならないように、前記基板ケースの前方に配置したことを特徴とするドラム式洗濯機。
【請求項2】
前記洗剤ケースは、洗剤を投入する開口が上向きに形成された洗剤投入室と、前記開口を開閉する蓋部材と、を備えることを特徴とする請求項1に記載のドラム式洗濯機。
【請求項3】
前記回路基板の実装面が鉛直方向下向きに設定されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のドラム式洗濯機。
【請求項4】
前記基板ケースは、前記実装面を上下反転させた状態で前記筐体に支持される支持部を備えることを特徴とする請求項3に記載のドラム式洗濯機。
【請求項5】
前記基板ケースは、底面に前記基板ケースの外部と連通する孔が形成されていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のドラム式洗濯機。
【請求項1】
回転ドラムと、
前記回転ドラムを収容する外槽と、
前記回転ドラムを駆動するモータと、
前記外槽を支持する筐体と、
洗濯機の運転を制御する回路基板を収容する基板ケースと、
前記筐体の上部に設けられ、前記外槽内に洗剤を投入する洗剤ケースと、
を備えたドラム式洗濯機であって、
前記基板ケースは、前記筐体内において前記外槽の上部に設けられ、
前記洗剤ケースは、前記基板ケースと鉛直方向において重ならないように、前記基板ケースの前方に配置したことを特徴とするドラム式洗濯機。
【請求項2】
前記洗剤ケースは、洗剤を投入する開口が上向きに形成された洗剤投入室と、前記開口を開閉する蓋部材と、を備えることを特徴とする請求項1に記載のドラム式洗濯機。
【請求項3】
前記回路基板の実装面が鉛直方向下向きに設定されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のドラム式洗濯機。
【請求項4】
前記基板ケースは、前記実装面を上下反転させた状態で前記筐体に支持される支持部を備えることを特徴とする請求項3に記載のドラム式洗濯機。
【請求項5】
前記基板ケースは、底面に前記基板ケースの外部と連通する孔が形成されていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のドラム式洗濯機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2013−85868(P2013−85868A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−231528(P2011−231528)
【出願日】平成23年10月21日(2011.10.21)
【出願人】(399048917)日立アプライアンス株式会社 (3,043)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年10月21日(2011.10.21)
【出願人】(399048917)日立アプライアンス株式会社 (3,043)
【Fターム(参考)】
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