ドリル本体及びサポートパッド
【課題】金属を機械加工するドリル用のサポートパッドであり、回転対称形状である凸状の弓形の外面(19)と、内面(20)と、前方端面(21)及び後方端面(22)と、凸状の弓形の侵入面(27)とを有するサポートパッドを提供する。
【解決手段】侵入面(27)が外面(19)と少なくとも前方端面(21)との間に形成されており、侵入面(27)は回転対称形状であり、そして一方で一対となっている前方の境界線(28)と外面(19)の境界となっている後方の境界線(29)との間に延伸しており、他方で接線方向に離間している側面の境界線(30)と側面の境界線(31)との間に延伸している。
侵入面(27)の後方の境界線(29)は、外面に向かうような凸状の弓形の線の形状を有しており、弓形の線の頂点(36)が前方に向けられている。
【解決手段】侵入面(27)が外面(19)と少なくとも前方端面(21)との間に形成されており、侵入面(27)は回転対称形状であり、そして一方で一対となっている前方の境界線(28)と外面(19)の境界となっている後方の境界線(29)との間に延伸しており、他方で接線方向に離間している側面の境界線(30)と側面の境界線(31)との間に延伸している。
侵入面(27)の後方の境界線(29)は、外面に向かうような凸状の弓形の線の形状を有しており、弓形の線の頂点(36)が前方に向けられている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属加工物に穴を機械加工するためのドリル本体に関するものであって、ドリル本体が前方端部(2)及び後方端部(3)と、周縁インサート(5)と、サポートパッド(6)とを備えており、回転軸が前記前方端部と前記後方端部との間に延伸していて、前記ドリル本体は前記回転軸を囲んで回転可能であり、回転対称の包絡面が前記回転軸に対して同心となっていて、前記周縁インサートは前記前方端部に配置されており、前記回転軸からの前記周縁インサートの半径方向の距離が前記穴の直径を規定するものであり、前記サポートパッドは前記包絡面に対して半径方向に突出していて、そして前記サポートパッドが回転対称形状である凸状の弓形の外面と、内面と、前方端面及び後方端面と、一対の離間した側面とを有していて、凸状の弓形の侵入面(entering surface)が前記外面と少なくとも前記前方端面との間に形成されており、前記侵入面は回転対称形状であり、そして一方で一対となっている前方の境界線と前記外面の境界となっている後方の境界線との間に延伸しており、他方で接線方向に離間している側面の境界線と側面の境界線との間に延伸していて、そして、前記侵入面は前記後方の境界線から前方に向かって前記侵入面に沿って通っている仮想母線が前記回転軸に向かって内側を指していて、従って前記サポートパッドが容易に穴の中へ挿入できるようになっている。
【0002】
本発明は、さらにサポートパッドに関するものでもある。
【背景技術】
【0003】
切削加工又は切りくず除去用のドリル本体は、種々の金属の工作物に効率よく機械加工することのできる多くのデザインがある。穴加工する一般的な材料は、鋼、鋳鉄、アルミニウム、チタニウム、ステンレス材料と種々のタイプの成分にわたっている。よくある機械加工方法は、固体材料に、所定の直径の穴を一回の操作で穴あけする固体の穴あけ加工であって、二つの開口を有している貫通穴又は一つの開口であって底部を有している盲穴を形成する場合がある。そのような穴あけ加工は、全長が最大で5×Dである短い穴用のドリル、及び金属が100×D以上の長い穴用ドリルを用いて行なわれる。他の方法は、いわゆるリーア加工であって、前もって加工されたパイロット穴又は中心穴が最終的な直径の穴に加工され寸法精度及び表面あらさに関する最適な品質に仕上げられる。
【0004】
短かい穴用のドリルは一般に対称に配置され、従って自動調心となっている切削インサート(cutting insert)と切れ刃(cutting edge)とを有していて、長い穴用のドリル、とりわけ内部の切りくずの吸引を必要とするSTSタイプ及びEJECTORタイプは非対称に配置された切削インサートで作られていて自動調心は不可能である。より詳しくは、そのようなドリル本体はその前方端部に三つの切削インサート、すなわち周縁インサート、中央インサート、及び中間インサートを備えていて、周縁インサート及び中央インサートは第一の切りくず入口に隣接して配置されており、中間インサートは第二の切りくず入口に対向して配置されている。切削インサートはろう付け又はねじ継手により固定される。二つの切りくず入口の後方に、回転方向に見られるように、サポートパッドがドリル本体の内面に取り付けられていて、包絡面から半径方向に突出しており、半径方向の再遠部分は周縁インサートにより形成された穴の壁面に接触しており、すべてがドリル本体の送り込み時にドリル本体を調心する目的のためである。そのようなサポートパッドを有している長い穴用のドリルの例は特許文献1,2,3に開示されている。
【0005】
例えばボーリングのための他のドリル本体が、ドリル本体を調心するためにサポートパッドを使用している例について、特許文献4,5,6に開示されている。
【0006】
通常、前述のサポートパッドは平行穴面体(一般に細長い)の基本形状であって、超硬合金のような耐摩耗材料で作られていて、穴の壁面に接触するために凸状で弓形の外面と、ドリル本体の取り付けポケットの底部に押し付けられる内面と、前方端面及び後方端面と、一対のお互いに平行な側面とにより画成されている。接触面といってもよい外面は、後方にわずかに傾斜しているが通常は円筒状である。サポートパッドが、サポートパッドの直前に工作物に挿入される切削インサートにより作られた穴に挿入されるのを容易にするために、外面と少なくとも前方端面との間にいわゆる侵入面が形成されていて、侵入面は前方向に傾斜している円錐表面の形状をしている。さらに、貫通穴を穴あけ加工するためのドリル本体のサポートパッドは、後方端部に侵入面が形成されていて、ドリル本体が穴からもどされるのを容易にしている。さらに、ほとんどのサポートパッドの凸状で弓形の外面の曲率半径は、加工される穴の半径より小さくて、穴の壁面とサポートパッドとの間の接触は外面のどこかに沿って接触する軸方向の線を形成する。このような方法で、サポートパッドがドリル本体に使用されていて、そのドリル本体はサポートパッドとは異なる直径を有しており、その曲率半径が穴の半径に一致している。
【0007】
本発明は、従来のサポートパッド及びそのサポートパッドが取り付けられているドリル本体に係わる問題に由来している。従って、従来のサポートパッドの侵入面の形状は幾何学的に円錐台により決定されていて、その底面が円筒外面の曲率半径と同じであって、同時に、円錐台と円筒とは同軸であり、すなわち、共通の中心軸に沿って形成されていて、その共通の中心軸には円錐台の底面(及び仮想円筒の一方の端面)が直交している。このことは、侵入面を画成している前方の境界線と後方の境界線とがサポートパッドの外面に向かう平面図に見られるようにお互いに平行であって、同時に、侵入面の前方の境界線と後方の境界線とが円錐台の母線を形成している。実際のところ、そのような幾何学的形状にはいくつかの欠点があって、その一つは外面の穴の壁面に対する接触点又は接触線を制御あるいは前もって決定できないことである。侵入面の後方の境界線が穴の中に挿入される場合、接触点は後方の境界線に沿った異なる位置に移動し、ドリル本体の調心を損ない、穴の寸法精度及び表面あらさの品値が低下する。他の欠点は、侵入面の二つの境界線が鋭い縁を形成し、ドリル本体の回転中に、その鋭い縁が、侵入面に沿った他の母線と同様の同一の円錐形状の移動通路の中で移動する。従って、最初に穴の端部に作用する鋭い縁は(ドリル本体の回転方向に応じて)穴の端部をこするか又は穴の端部に食い込む。
【0008】
最も好ましくは、サポートパッドがドリル本体に取り付けられた後に、外面及び侵入面が研磨により最終形状に形成されることである。侵入面の鋭い縁がもたらす悪影響をさけるために、これらの縁が仕上げられる。そのような仕上げは手仕上げ、例えば、ホーニング仕上げあるいは縁の平滑仕上げで行なうことが効果的である。しかしながら、そのような仕上げは、連続生産し、経済性を要求される大量生産品であるサポートパッドの生産費用を高価なものにしてしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許第5697737号明細書
【特許文献2】米国特許第6602028号明細書
【特許文献3】米国特許第6682275号明細書
【特許文献4】米国特許第4571130号明細書
【特許文献5】米国特許第4596498号明細書
【特許文献6】米国特許第5551812号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、前述した従来型のサポートパッドを取り付けたドリル本体の欠点を克服した改善されたドリル本体及びサポートパッド、そしてサポートパッドのブランクを提供することである。従って、第一の目的は、穴の壁面とサポートパッドの外面との間の接触が制御した方法で事前に決定することができるように作られた少なくとも一つのサポートパッドを備えたドリル本体を提供することである。さらに、サポートパッドが穴に挿入される際に、侵入面の二つの側面の境界線が穴の端部に食い込まないものであることが必要がある。さらなる目的は、ドリル本体のサポートパッド各々を後処理を必要としない簡単な研磨加工により形成することのできるドリル本体を提供することである。従って、サポートパッドを二つの簡単な機械加工、すなわち侵入面を研磨すること及び続いて(円筒状の)外面を研磨することによりサポートパッドを研磨し、所望する機能を得ることが可能である。
【課題を解決するための手段】
【0011】
少なくとも第一の目的は独立請求項1の特徴を記載した部分に規定されている構成により達成されている。本発明のドリル本体の好適な実施形態は従属請求項2−11に規定されている。
【0012】
さらに、本発明はサポートパッドに関するものでもある。サポートパッドの特徴とする構成は独立請求項12に規定されていて、サポートパッドの好適な実施形態は従属請求項13−22に規定されている。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、本発明によるドリル本体、詳しくは、長い穴用ドリルの前面のドリル本体の斜視図である。
【図2】図2は、切削インサート及びサポートパッドを取り除いたドリル本体の斜視図である。
【図3】図3は、図1のドリル本体の側面図である。
【図4】図4は、ドリル本体の端面図で穴の壁面に囲まれているものである。
【図5】図5は、サポートパッドの拡大斜視図である。
【図6】図6は、サポートパッドの平面図である。
【図7】図7は、図6のサポートパッドを左側から見た側面図である。
【図8】図8は、図6のサポートパッドを上方から見た端面図である。
【図9】図9は、図6の矢視IX−IXから見た断面図である。
【図10】図10は、図6の矢視X−Xから見た部分拡大側面図である。
【図11】図11は、図7の矢視XIーXIから見た詳細図である。
【図12】図12は、サポートパッドの外面を研磨、すなわち形状を画成している状態を示めす一連の概略図である。
【図13】図13は、サポートパッドの入口面(entering surface)を研磨手段により加工している状態を示めす一連の概略図である。
【図14】図14は、入口面を加工中の研磨手段の動きを図示するものである。
【図15】図15は、図13の別の実施形態である。
【図16】図16は、本発明によるサポートパッドの研磨を示めすものである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1において、ドリル本体はチューブ(図示せず)の前方端部に連結されるタイプのものであって、長い穴用ドリルとして使用可能である。前方端部2と後方端部3との間に軸C1が延伸していて、軸C1を囲んでドリル本体1が回転し、回転対称の包絡面4が軸C1と同心となっている。この包絡面4は円筒状か又は上部が後方にわずかに傾斜する円錐形状となっている。前方端部2において、三つの切削インサートである周縁インサート5と中央インサート6と中間インサート7とが取り付けられていて、それらは二つの切りくず入口9a,0bに隣接して配置されており、それらの切りくず入口は共通の切り口用に溝に通じていて、その溝はスリーブ状のドリル本体の後方部分10の内側における中空の貫通空間(付番せず)である。より詳しくは、周縁インサート5及び中央インサート6はお互いに第一の切りくず入口9aに隣接して配置されていて、中間インサート7は第二の切りくず入口9bに隣接して配置されている。従来と同じく、中間インサート7は周縁インサート5と中央インサート6との間の隙間から出てくるリング状の材料リッジ(ridge)を除去するためのものである。図1に図示するように、雄ねじ11がドリル本体の後方部分における外表面に形成されていて、ドリルチューブの雌ねじに螺合するようになっている。
【0015】
切削インサート5,6,7に加えて、二つのサポートパッドがドリル本体の前方端部2の近傍に取り付けられていて、二つのサポートパッドの位置を区別するために8a,8bと付番されている。図2に図示するように、サポートパッドはポケット12a,12b各々に取り付けられていて、ポケット各々は平坦な底面13と、軸方向の後方サポート面14と二つの離間した表面15,16とを含んでいて、その一方の表面15は底面13からドリル本体の半径方向後方に位置していて、サポートパッドに接触してサポートの側面となっている。しかしながら、サポートパッドは通常表面16に接触していない。図2に図示するように、切削インサート5,6,7は同様のポケットあるいは座51,61,71に取り付けられていて、ポケット51,61,71各々は底面と軸方向の後方サポート面と二つの側面とにより画成されていて、切削インサートとその固定方法とは本発明において二次的なものであるから、符号は省略してある。しかしながら、切削インサート及びサポートパッドは、この場合適切なヶ所をろう付けによりポケットに固定されている。従って、サポートパッド8各々はろう付けにより、少なくとも底面13とサポート側面15と後方サポート面14とに接続されているけれど、側面16には接続されていない。これに関連して、サポート側面15はサポートパッドから回転方向に広がっていて、回転方向に広がっているリップ17の前方表面として作られていることにより表面16より広くなっている。
【0016】
図3及び図4において、サポートパッド各々の外周部分と周縁インサート5の最も外側のコーナ5bとがドリル本体の包絡面に対してどのように突出しているかが図示されている。図4において、符号18はドリル本体が工作物に加工する穴に付番されている。穴18の直径あるいは半径は、回転軸C1と周縁インサート5の最も外側のコーナ5bとの間の距離により決定される。ドリル本体を穴の中で所望するように案内するために、穴の壁面に接触しているサポートパッドの最も外側の部分は、周縁インサートの最も外側のコーナ5bと同じく回転軸C1から同一の半径距離に位置している。図3において、サポートパッド8a,8b各々は切削インサート5,6,7から軸方向後方に位置している。このことは、サポートパッドが穴に入る前に切削インサートが穴に加工始める時間を有していることを意味している(このことに関連して、ドリル本体はサポートパッドが確実に工作可能位置に来るまで、初期に特殊なブッシングにより案内され芯合わせされる)。
【0017】
当業者は二つのサポートパッド用に同時に異なる種類のものを使用する。従って、周縁インサート5及び中央インサート6の回転方向後方に位置しているサポートパッド8aは、“ベアリングパッド(bearing pad)”と呼ばれ、他方のサポートパッド8bは“ガイドパッド(guide pad)”と呼ばれている。理由は、サポートパッド8aはより大きな切削力に晒される切削インサート5,6の後方に位置しているために、サポートパッド8bより大きな圧力にさらされていて、一方サポートパッド8bは中間的な荷重を受けている中間インサート7のほぼ半径方向の外側面に位置していて、ベアリングパッドよりと比較して案内機能を満足するようになっている。図4において、二つのサポートパッドが異なる位置に取り付けられていて、図2に図示するポケット12a,12bの底面13は回転軸C1に対して内側向きに延伸する仮想半径に関して異なる角度となっている。従って、穴壁面への接触はそれぞれのサポートパッドの外側面に沿って異なる点となっている。サポートパッドの凸面又は接触面19の湾曲の半径は穴18の半径より小さい。
【0018】
図5−12において、サポートパッド8の詳細が図示されている。通常、サポートパッドの製造者は、平行六面体の超硬合金のドリル本体を作る際に、粉末の圧縮及び焼結を行なう(サポートパッドは超硬合金以外の耐摩耗材料で作られてもよい)。幾何学的には、ドリル本体は外面19、対向している内面20、前方端面21,後方端面22及びお互いに平行な平坦な一対の側面23,24とにより画成されている。外面19は、穴の壁面に接触するサポートパッドの接触面を形成していて、凸面となっており、一方内面20は平面である。理論的には、外面19は円筒形状であるけれども、わずかに円錐形状が好適であって、より詳しくは、後方方向に収束する円錐形状である。しかしながら、この錘面の傾斜は肉眼では見ることができないくらい小さなものである。面取りした平面25は、外面19と側面23,24との間にあって、側面23,24に対して鋭角であり、平坦な内面20に対して直角である。さらに、この場合、後方端面21に隣接した前方の面取りした平面26がある。また面21,26がお互いに対して鋭角となっている。ドリル本体は図示された部分にサポートパッドの穴への挿入を容易にするための侵入面(entering surface)27を従来と同様に有している。
【0019】
ドリル本体及びサポートパッドについて説明してきた事は、従来知られているものである。しかしながら、従来のサポートパッドの侵入面は、外面の湾曲形状を決定する回転対称面に対して円錐状で同心である。しかしながら、その欠点は、穴の壁面に対する外面の接触線の接触点位置を制御することができず、包絡面の二つの離間した端部が鋭いエッジとなって穴の端部に食い込んでしまうことである。
【0020】
前述の欠点を克服するために、本発明における包絡面27は、後方の境界線29がサポートパッドの外面に向かって凸状になっていて(図6参照)、詳しくは前方に対面する弓状線の頂部を備えている。利点のあることに凸状の弓状線29は第一の中心軸と第二の中心軸を有していて、第一の中心軸を囲んでサポートパッドの外面が回転対称となっていて、第二の中心軸を囲んで包絡面が回転対称となっており、第一の中心軸と第二の中心軸はお互いに位置が異なっている。第一の中心軸と第二の中心軸との位置の違いについて、図12−16を参照して後述する。
【0021】
好適な実施形態において、包絡面を円錐の形状にすることにより位置の違いが達成されていて、第二中心軸は第一中心軸に対して偏心して配置されており、第二中心軸に関して円錐が同心となっていて、第一中心軸に関してサポートパッドの回転対称の外面が同心となっており、同時に円錐の基底面の半径は外面の湾曲半径より小さいものとなっている(図13参照)。第二の実施形態において、所望する異なる位置(図15参照)は包絡面を円筒形状にすることにより達成されていて、その円筒形状は、第二中心軸に関して同心であり、第二中心軸は第一中心軸に対して鋭角βの角度となっており、サポートパッドの外面が第一中心軸に関して同心となっている。
【0022】
図5−11において、包絡面27は、前方の境界線28と後方の境界線29及び離間した側面境界線30,31で画成されている。後方の境界線29は凸な外面19に接続されていて、前方の境界線28は前方の面取りした平面26に接続されている。側面の境界線30,31は包絡面27からサポートパッドの側面に沿って二つの面取りした平面25への境界となっている。外面19は直線の境界線32により面取りした平面25から区切られていて、その境界線32は、側面の境界線30,31が境界線29端部と出会う点から始まっている。
【0023】
本発明によるサポートパッドの正確で最終的な形状、すなわち凸状の外面19及び凸状の包絡面27は、サポートパッドをドリル本体に固定する際に研磨することにより形成される。図12−14を参照して、サポートパッドの最終研磨形状を説明する。二つの回転式研磨手段34,35がそれぞれの中心軸を囲んで回転していて、研磨面は回転体称面(それぞれ円筒状、円錐状)である。図12において、凸状の外面19を研磨するために、回転式研磨手段34及びその包絡面が円形の通路CP2(図14参照)を移動するために固定され、その中心が第一中心軸C2で表わされていて、第一中心軸C2は外面19の長手方向に平行である(例示においては平坦な内面20にも平行)。これに関連して、第一中心軸C2と包絡面、すなわち回転式研磨手段34の研磨面との間の半径距離がR2で付番されている。回転式研磨手段34の回転軸G1は中心軸C2に平行であって、サポートパッドにおける凸状の外面19は円筒形状である(もし、サポートパッドに沿って後方にわずかに傾いた円錐形状とすることを所望するなら、回転式研磨手段の回転軸G1と第一中心軸C2をお互いに数分あるいは数秒の角度で傾斜すればよい)。
【0024】
図13において包絡面27が研磨により円筒状の面19とサポートパッドの前方の端面21との間に形成されている(この場合、面取りした平面26が端面に隣接している)。この場合、回転式研磨手段35が使用されていて、回転式研磨手段35は円錐形状を有していて、中心軸がC3である円形の通路CP3を移動するようになっている。この場合、通路CP3の半径R3、より正確には中心軸C3と回転式研磨手段35の包絡面に沿った点Pとの間の半径方向の距離は半径R2より小さい。すなわち、回転式研磨手段の包絡面に沿った点Pは、回転式研磨手段34の包絡面における円形通路より小さい円形通路で移動する。回転式研磨手段35の円錐形状は、侵入面27の円錐形状を決定している。詳しくは、侵入面27の円錐形状は、回転式研磨手段35及び外面19と中心軸C3との間の角度αにより決定される。回転式研磨手段は円筒形状であって所望する円錐角とするべく中心軸C3に対して適切な角度で傾斜されてもよい。
【0025】
回転式研磨手段35が前述したように移動される場合、境界27の後方の境界線29は図5,6に図示する弓状になって、弓状線の頂点又は前方の点36が前方を指すようになっている。円形通路CP2,CP3の二つの中心軸C2,C3は共通の平面Aにあって(図14参照)、その平面Aは側面23と側面24との中央で円筒面19を横断していて、前記頂点36は中央、すなわち側面の境界線30と側面の境界線31との中央に位置する。いいかえると、外面19及び侵入面27は軸方向の平面Aに対して対称的に配置されている(図5参照)。
【0026】
図15において、外面19と侵入面21の第一の軸と第二の軸とが図12−14とは異なって配置されている(軸C2,C3はお互に対して偏心していて、円錐面27の湾曲最大半径R3は円筒面の湾曲の半径より小さい)。従って、図15による違いは、回転式研磨手段35の研磨面と第二中心軸C3とがお互いに平行であって、外面19の第一中心軸C2に対して角度βで傾斜されており、その回転式研磨手段35の研磨面は中心軸C2を有している円筒に沿った母線を有していて、回転式研磨手段は第二の中心軸C3を囲んで円形通路を移動するようになっている。この場合、R3は限定されるものではないが、円筒面19の半径R2より小さくてもよくて、回転式研磨手段35により形成される侵入面27は円筒面となる。しかしながら、回転式研磨手段の研磨面が外面19に対して角度βで傾斜されると、侵入面27の後方の境界線29はサポートパッドの端面21に向かって前方に対面している頂点を備えた弓状になる。
【0027】
これに関連して、図12−15に図示するように、サポートパッド8は図5−11による面取りした平面25,26を備えていない。図12−15において、面取りした平面は省かれていて、侵入面27は前方の境界線28を介してサポートパッドの前方の端面21に直接接続されていて、同じく端部の境界線を介して側面23,24に接続されている(平面図において、お互いに交差していない側面23,24が図示されている)。
【0028】
前述したように、侵入面27が図14に図示するように研磨される場合、すなわち中心軸C2,C3が軸方向の共通平面Aにある場合、弓状の後方の境界線29の頂点36は、中央に位置している(図5,6参照)。
【0029】
図16において、弓状線の頂点36は、簡単な方法により横方向に離間してサポートパッドの二つの側面23,24の間の所望する位置に配置することができる。従って、回転式研磨手段35の移動通路の中心軸C3が軸方向の共通平面Aに対して横方向に移動することにより、頂点36の横方向の変位は可能となり、共通の平面Aには回転式研磨手段34(図14参照)の中心軸C2が位置している。従って、本発明により、頂点36の位置は前もって決めたとおりに選択することができる。
【0030】
図12−16において、回転式研磨手段は回転対称体として図示されていて、その包絡面が研磨面となっている。しかしながら、他のタイプの回転式研磨手段、例えばディスク(その表面が研磨面となっている)が使用されてもよい。その場合、前述した寸法及び角度は、円筒及び円錐それぞれの母線対するものの代りに、ディスクの平坦な研磨面に対するものとされる。
【0031】
本発明の効果と利点
ドリル本体1のサポートパッド8各々が、切削インサート5,6,7により加工する穴18に導入される際、侵入面27の弓状の後方の境界線29に沿った頂点36が最初に穴に導入され、そして後方の境界線29の残りの部分が導入される前にサポートパッドと穴の壁面との接触が確率される。この接触は、頂点36に沿って接触する点又は線となっている。従って、本発明の基本的な利点は以下のとおりであって、設計者は、サポートパッドが穴の壁面に接触する地点を正確に事前に決定することができることである。図5−15の例において、中央の頂点36を介しての接触が好ましい。しかしながら、図16の実施形態において、後方の境界線29の頂点36を側面23端部に向かって移動することにより、接触位置を非対称とすることが好ましい。これに関連して、サポートパッドが図12−14の方法あるいは図15の方法により研磨されることにかかわりなく、頂点36の、従って接触位置の横方向への移動がもたらされる。
【0032】
本発明のもう一つの利点は、侵入面の離間した二つの側面の境界線は、サポートパッドが穴に導入される際に穴の端部に接触しない。従って、側面の境界線各々は穴あけ加工中に円錐状の通路を回転するようになっていて、その円錐状の通路は、後方の境界線の頂点の軸方向の前方に位置する母線が回転している円錐状の通路の内側(すなわち、ドリルの回転軸により近い)に位置している。言いかえると、境界線の前端部が穴の縁に食い込む危険性はない。
【0033】
本発明の前述の利点は以下の簡単な方法により達成されている。その方法とは、侵入面及び接触面それぞれを研磨する代りに、一つの共通軸を囲んで、円筒状外面の第一回転軸を侵入面の第二回転軸から位置を変えること(図12−14に図示する方法又は図15に図示する方法)であり、そして侵入面の後方の境界線は頂点を有する弓状にすること(頂点の位置は所望するように選択できる)である。
【0034】
本発明によるサポートパッドは、二つの異なる方法(すなわち研磨仕上及び研磨しない方法)で商業化されている。後者において、サポートパッドは一定の研磨C3を有する事前に形成されたブランクであって、その形状はドリル本体へサポートパッドを固定した後に、続いての面19,27の研磨により得られる形状にほぼ一致している。研磨C3をもたせてサポートパッドを事前に形成することにより、以下の利点がある。すなわち、研磨する量が少なくなり、従って、ドリル本体に固定されたサポートパッドの面19,27の一連の製作プロセスにおける最終研磨を著しく迅速かつ効率良く実施することができる。
【0035】
本発明の修正
本発明は前述した説明及び図面おける実施形態に限定されるものではない。従って、本発明は長い穴用のドリルだけではなく、例えば特許文献4に記載されているタイプの穿孔器にも適用することができる。さらに、サポートパッド及び/又は切削インサートはウラ付け以外の方法、例えばねじ継手(技術文献1参照)により、ドリル本体に固定されてもよい。さらに、サポートパッドの構造は、独立請求項12及びその従属項である請求項13−22の範囲内において修正することができる。例えば、サポートパッドの外面及び内面はお互いに平行である必要はなく、お互いに対して傾斜していても良く、ドリル本体の受容ポケットは別の形状であってもよい。さらに、超硬合金のドリル本体を圧縮及び焼結する方法がより改善されれば、サポートパッドを研磨する必要はない。
【符号の説明】
【0036】
1 ドリル本体
2 前方端部
3 後方端部
4 包絡面
5 切削インサート
8 サポートパッド
C1 回転軸
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属加工物に穴を機械加工するためのドリル本体に関するものであって、ドリル本体が前方端部(2)及び後方端部(3)と、周縁インサート(5)と、サポートパッド(6)とを備えており、回転軸が前記前方端部と前記後方端部との間に延伸していて、前記ドリル本体は前記回転軸を囲んで回転可能であり、回転対称の包絡面が前記回転軸に対して同心となっていて、前記周縁インサートは前記前方端部に配置されており、前記回転軸からの前記周縁インサートの半径方向の距離が前記穴の直径を規定するものであり、前記サポートパッドは前記包絡面に対して半径方向に突出していて、そして前記サポートパッドが回転対称形状である凸状の弓形の外面と、内面と、前方端面及び後方端面と、一対の離間した側面とを有していて、凸状の弓形の侵入面(entering surface)が前記外面と少なくとも前記前方端面との間に形成されており、前記侵入面は回転対称形状であり、そして一方で一対となっている前方の境界線と前記外面の境界となっている後方の境界線との間に延伸しており、他方で接線方向に離間している側面の境界線と側面の境界線との間に延伸していて、そして、前記侵入面は前記後方の境界線から前方に向かって前記侵入面に沿って通っている仮想母線が前記回転軸に向かって内側を指していて、従って前記サポートパッドが容易に穴の中へ挿入できるようになっている。
【0002】
本発明は、さらにサポートパッドに関するものでもある。
【背景技術】
【0003】
切削加工又は切りくず除去用のドリル本体は、種々の金属の工作物に効率よく機械加工することのできる多くのデザインがある。穴加工する一般的な材料は、鋼、鋳鉄、アルミニウム、チタニウム、ステンレス材料と種々のタイプの成分にわたっている。よくある機械加工方法は、固体材料に、所定の直径の穴を一回の操作で穴あけする固体の穴あけ加工であって、二つの開口を有している貫通穴又は一つの開口であって底部を有している盲穴を形成する場合がある。そのような穴あけ加工は、全長が最大で5×Dである短い穴用のドリル、及び金属が100×D以上の長い穴用ドリルを用いて行なわれる。他の方法は、いわゆるリーア加工であって、前もって加工されたパイロット穴又は中心穴が最終的な直径の穴に加工され寸法精度及び表面あらさに関する最適な品質に仕上げられる。
【0004】
短かい穴用のドリルは一般に対称に配置され、従って自動調心となっている切削インサート(cutting insert)と切れ刃(cutting edge)とを有していて、長い穴用のドリル、とりわけ内部の切りくずの吸引を必要とするSTSタイプ及びEJECTORタイプは非対称に配置された切削インサートで作られていて自動調心は不可能である。より詳しくは、そのようなドリル本体はその前方端部に三つの切削インサート、すなわち周縁インサート、中央インサート、及び中間インサートを備えていて、周縁インサート及び中央インサートは第一の切りくず入口に隣接して配置されており、中間インサートは第二の切りくず入口に対向して配置されている。切削インサートはろう付け又はねじ継手により固定される。二つの切りくず入口の後方に、回転方向に見られるように、サポートパッドがドリル本体の内面に取り付けられていて、包絡面から半径方向に突出しており、半径方向の再遠部分は周縁インサートにより形成された穴の壁面に接触しており、すべてがドリル本体の送り込み時にドリル本体を調心する目的のためである。そのようなサポートパッドを有している長い穴用のドリルの例は特許文献1,2,3に開示されている。
【0005】
例えばボーリングのための他のドリル本体が、ドリル本体を調心するためにサポートパッドを使用している例について、特許文献4,5,6に開示されている。
【0006】
通常、前述のサポートパッドは平行穴面体(一般に細長い)の基本形状であって、超硬合金のような耐摩耗材料で作られていて、穴の壁面に接触するために凸状で弓形の外面と、ドリル本体の取り付けポケットの底部に押し付けられる内面と、前方端面及び後方端面と、一対のお互いに平行な側面とにより画成されている。接触面といってもよい外面は、後方にわずかに傾斜しているが通常は円筒状である。サポートパッドが、サポートパッドの直前に工作物に挿入される切削インサートにより作られた穴に挿入されるのを容易にするために、外面と少なくとも前方端面との間にいわゆる侵入面が形成されていて、侵入面は前方向に傾斜している円錐表面の形状をしている。さらに、貫通穴を穴あけ加工するためのドリル本体のサポートパッドは、後方端部に侵入面が形成されていて、ドリル本体が穴からもどされるのを容易にしている。さらに、ほとんどのサポートパッドの凸状で弓形の外面の曲率半径は、加工される穴の半径より小さくて、穴の壁面とサポートパッドとの間の接触は外面のどこかに沿って接触する軸方向の線を形成する。このような方法で、サポートパッドがドリル本体に使用されていて、そのドリル本体はサポートパッドとは異なる直径を有しており、その曲率半径が穴の半径に一致している。
【0007】
本発明は、従来のサポートパッド及びそのサポートパッドが取り付けられているドリル本体に係わる問題に由来している。従って、従来のサポートパッドの侵入面の形状は幾何学的に円錐台により決定されていて、その底面が円筒外面の曲率半径と同じであって、同時に、円錐台と円筒とは同軸であり、すなわち、共通の中心軸に沿って形成されていて、その共通の中心軸には円錐台の底面(及び仮想円筒の一方の端面)が直交している。このことは、侵入面を画成している前方の境界線と後方の境界線とがサポートパッドの外面に向かう平面図に見られるようにお互いに平行であって、同時に、侵入面の前方の境界線と後方の境界線とが円錐台の母線を形成している。実際のところ、そのような幾何学的形状にはいくつかの欠点があって、その一つは外面の穴の壁面に対する接触点又は接触線を制御あるいは前もって決定できないことである。侵入面の後方の境界線が穴の中に挿入される場合、接触点は後方の境界線に沿った異なる位置に移動し、ドリル本体の調心を損ない、穴の寸法精度及び表面あらさの品値が低下する。他の欠点は、侵入面の二つの境界線が鋭い縁を形成し、ドリル本体の回転中に、その鋭い縁が、侵入面に沿った他の母線と同様の同一の円錐形状の移動通路の中で移動する。従って、最初に穴の端部に作用する鋭い縁は(ドリル本体の回転方向に応じて)穴の端部をこするか又は穴の端部に食い込む。
【0008】
最も好ましくは、サポートパッドがドリル本体に取り付けられた後に、外面及び侵入面が研磨により最終形状に形成されることである。侵入面の鋭い縁がもたらす悪影響をさけるために、これらの縁が仕上げられる。そのような仕上げは手仕上げ、例えば、ホーニング仕上げあるいは縁の平滑仕上げで行なうことが効果的である。しかしながら、そのような仕上げは、連続生産し、経済性を要求される大量生産品であるサポートパッドの生産費用を高価なものにしてしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許第5697737号明細書
【特許文献2】米国特許第6602028号明細書
【特許文献3】米国特許第6682275号明細書
【特許文献4】米国特許第4571130号明細書
【特許文献5】米国特許第4596498号明細書
【特許文献6】米国特許第5551812号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、前述した従来型のサポートパッドを取り付けたドリル本体の欠点を克服した改善されたドリル本体及びサポートパッド、そしてサポートパッドのブランクを提供することである。従って、第一の目的は、穴の壁面とサポートパッドの外面との間の接触が制御した方法で事前に決定することができるように作られた少なくとも一つのサポートパッドを備えたドリル本体を提供することである。さらに、サポートパッドが穴に挿入される際に、侵入面の二つの側面の境界線が穴の端部に食い込まないものであることが必要がある。さらなる目的は、ドリル本体のサポートパッド各々を後処理を必要としない簡単な研磨加工により形成することのできるドリル本体を提供することである。従って、サポートパッドを二つの簡単な機械加工、すなわち侵入面を研磨すること及び続いて(円筒状の)外面を研磨することによりサポートパッドを研磨し、所望する機能を得ることが可能である。
【課題を解決するための手段】
【0011】
少なくとも第一の目的は独立請求項1の特徴を記載した部分に規定されている構成により達成されている。本発明のドリル本体の好適な実施形態は従属請求項2−11に規定されている。
【0012】
さらに、本発明はサポートパッドに関するものでもある。サポートパッドの特徴とする構成は独立請求項12に規定されていて、サポートパッドの好適な実施形態は従属請求項13−22に規定されている。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、本発明によるドリル本体、詳しくは、長い穴用ドリルの前面のドリル本体の斜視図である。
【図2】図2は、切削インサート及びサポートパッドを取り除いたドリル本体の斜視図である。
【図3】図3は、図1のドリル本体の側面図である。
【図4】図4は、ドリル本体の端面図で穴の壁面に囲まれているものである。
【図5】図5は、サポートパッドの拡大斜視図である。
【図6】図6は、サポートパッドの平面図である。
【図7】図7は、図6のサポートパッドを左側から見た側面図である。
【図8】図8は、図6のサポートパッドを上方から見た端面図である。
【図9】図9は、図6の矢視IX−IXから見た断面図である。
【図10】図10は、図6の矢視X−Xから見た部分拡大側面図である。
【図11】図11は、図7の矢視XIーXIから見た詳細図である。
【図12】図12は、サポートパッドの外面を研磨、すなわち形状を画成している状態を示めす一連の概略図である。
【図13】図13は、サポートパッドの入口面(entering surface)を研磨手段により加工している状態を示めす一連の概略図である。
【図14】図14は、入口面を加工中の研磨手段の動きを図示するものである。
【図15】図15は、図13の別の実施形態である。
【図16】図16は、本発明によるサポートパッドの研磨を示めすものである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1において、ドリル本体はチューブ(図示せず)の前方端部に連結されるタイプのものであって、長い穴用ドリルとして使用可能である。前方端部2と後方端部3との間に軸C1が延伸していて、軸C1を囲んでドリル本体1が回転し、回転対称の包絡面4が軸C1と同心となっている。この包絡面4は円筒状か又は上部が後方にわずかに傾斜する円錐形状となっている。前方端部2において、三つの切削インサートである周縁インサート5と中央インサート6と中間インサート7とが取り付けられていて、それらは二つの切りくず入口9a,0bに隣接して配置されており、それらの切りくず入口は共通の切り口用に溝に通じていて、その溝はスリーブ状のドリル本体の後方部分10の内側における中空の貫通空間(付番せず)である。より詳しくは、周縁インサート5及び中央インサート6はお互いに第一の切りくず入口9aに隣接して配置されていて、中間インサート7は第二の切りくず入口9bに隣接して配置されている。従来と同じく、中間インサート7は周縁インサート5と中央インサート6との間の隙間から出てくるリング状の材料リッジ(ridge)を除去するためのものである。図1に図示するように、雄ねじ11がドリル本体の後方部分における外表面に形成されていて、ドリルチューブの雌ねじに螺合するようになっている。
【0015】
切削インサート5,6,7に加えて、二つのサポートパッドがドリル本体の前方端部2の近傍に取り付けられていて、二つのサポートパッドの位置を区別するために8a,8bと付番されている。図2に図示するように、サポートパッドはポケット12a,12b各々に取り付けられていて、ポケット各々は平坦な底面13と、軸方向の後方サポート面14と二つの離間した表面15,16とを含んでいて、その一方の表面15は底面13からドリル本体の半径方向後方に位置していて、サポートパッドに接触してサポートの側面となっている。しかしながら、サポートパッドは通常表面16に接触していない。図2に図示するように、切削インサート5,6,7は同様のポケットあるいは座51,61,71に取り付けられていて、ポケット51,61,71各々は底面と軸方向の後方サポート面と二つの側面とにより画成されていて、切削インサートとその固定方法とは本発明において二次的なものであるから、符号は省略してある。しかしながら、切削インサート及びサポートパッドは、この場合適切なヶ所をろう付けによりポケットに固定されている。従って、サポートパッド8各々はろう付けにより、少なくとも底面13とサポート側面15と後方サポート面14とに接続されているけれど、側面16には接続されていない。これに関連して、サポート側面15はサポートパッドから回転方向に広がっていて、回転方向に広がっているリップ17の前方表面として作られていることにより表面16より広くなっている。
【0016】
図3及び図4において、サポートパッド各々の外周部分と周縁インサート5の最も外側のコーナ5bとがドリル本体の包絡面に対してどのように突出しているかが図示されている。図4において、符号18はドリル本体が工作物に加工する穴に付番されている。穴18の直径あるいは半径は、回転軸C1と周縁インサート5の最も外側のコーナ5bとの間の距離により決定される。ドリル本体を穴の中で所望するように案内するために、穴の壁面に接触しているサポートパッドの最も外側の部分は、周縁インサートの最も外側のコーナ5bと同じく回転軸C1から同一の半径距離に位置している。図3において、サポートパッド8a,8b各々は切削インサート5,6,7から軸方向後方に位置している。このことは、サポートパッドが穴に入る前に切削インサートが穴に加工始める時間を有していることを意味している(このことに関連して、ドリル本体はサポートパッドが確実に工作可能位置に来るまで、初期に特殊なブッシングにより案内され芯合わせされる)。
【0017】
当業者は二つのサポートパッド用に同時に異なる種類のものを使用する。従って、周縁インサート5及び中央インサート6の回転方向後方に位置しているサポートパッド8aは、“ベアリングパッド(bearing pad)”と呼ばれ、他方のサポートパッド8bは“ガイドパッド(guide pad)”と呼ばれている。理由は、サポートパッド8aはより大きな切削力に晒される切削インサート5,6の後方に位置しているために、サポートパッド8bより大きな圧力にさらされていて、一方サポートパッド8bは中間的な荷重を受けている中間インサート7のほぼ半径方向の外側面に位置していて、ベアリングパッドよりと比較して案内機能を満足するようになっている。図4において、二つのサポートパッドが異なる位置に取り付けられていて、図2に図示するポケット12a,12bの底面13は回転軸C1に対して内側向きに延伸する仮想半径に関して異なる角度となっている。従って、穴壁面への接触はそれぞれのサポートパッドの外側面に沿って異なる点となっている。サポートパッドの凸面又は接触面19の湾曲の半径は穴18の半径より小さい。
【0018】
図5−12において、サポートパッド8の詳細が図示されている。通常、サポートパッドの製造者は、平行六面体の超硬合金のドリル本体を作る際に、粉末の圧縮及び焼結を行なう(サポートパッドは超硬合金以外の耐摩耗材料で作られてもよい)。幾何学的には、ドリル本体は外面19、対向している内面20、前方端面21,後方端面22及びお互いに平行な平坦な一対の側面23,24とにより画成されている。外面19は、穴の壁面に接触するサポートパッドの接触面を形成していて、凸面となっており、一方内面20は平面である。理論的には、外面19は円筒形状であるけれども、わずかに円錐形状が好適であって、より詳しくは、後方方向に収束する円錐形状である。しかしながら、この錘面の傾斜は肉眼では見ることができないくらい小さなものである。面取りした平面25は、外面19と側面23,24との間にあって、側面23,24に対して鋭角であり、平坦な内面20に対して直角である。さらに、この場合、後方端面21に隣接した前方の面取りした平面26がある。また面21,26がお互いに対して鋭角となっている。ドリル本体は図示された部分にサポートパッドの穴への挿入を容易にするための侵入面(entering surface)27を従来と同様に有している。
【0019】
ドリル本体及びサポートパッドについて説明してきた事は、従来知られているものである。しかしながら、従来のサポートパッドの侵入面は、外面の湾曲形状を決定する回転対称面に対して円錐状で同心である。しかしながら、その欠点は、穴の壁面に対する外面の接触線の接触点位置を制御することができず、包絡面の二つの離間した端部が鋭いエッジとなって穴の端部に食い込んでしまうことである。
【0020】
前述の欠点を克服するために、本発明における包絡面27は、後方の境界線29がサポートパッドの外面に向かって凸状になっていて(図6参照)、詳しくは前方に対面する弓状線の頂部を備えている。利点のあることに凸状の弓状線29は第一の中心軸と第二の中心軸を有していて、第一の中心軸を囲んでサポートパッドの外面が回転対称となっていて、第二の中心軸を囲んで包絡面が回転対称となっており、第一の中心軸と第二の中心軸はお互いに位置が異なっている。第一の中心軸と第二の中心軸との位置の違いについて、図12−16を参照して後述する。
【0021】
好適な実施形態において、包絡面を円錐の形状にすることにより位置の違いが達成されていて、第二中心軸は第一中心軸に対して偏心して配置されており、第二中心軸に関して円錐が同心となっていて、第一中心軸に関してサポートパッドの回転対称の外面が同心となっており、同時に円錐の基底面の半径は外面の湾曲半径より小さいものとなっている(図13参照)。第二の実施形態において、所望する異なる位置(図15参照)は包絡面を円筒形状にすることにより達成されていて、その円筒形状は、第二中心軸に関して同心であり、第二中心軸は第一中心軸に対して鋭角βの角度となっており、サポートパッドの外面が第一中心軸に関して同心となっている。
【0022】
図5−11において、包絡面27は、前方の境界線28と後方の境界線29及び離間した側面境界線30,31で画成されている。後方の境界線29は凸な外面19に接続されていて、前方の境界線28は前方の面取りした平面26に接続されている。側面の境界線30,31は包絡面27からサポートパッドの側面に沿って二つの面取りした平面25への境界となっている。外面19は直線の境界線32により面取りした平面25から区切られていて、その境界線32は、側面の境界線30,31が境界線29端部と出会う点から始まっている。
【0023】
本発明によるサポートパッドの正確で最終的な形状、すなわち凸状の外面19及び凸状の包絡面27は、サポートパッドをドリル本体に固定する際に研磨することにより形成される。図12−14を参照して、サポートパッドの最終研磨形状を説明する。二つの回転式研磨手段34,35がそれぞれの中心軸を囲んで回転していて、研磨面は回転体称面(それぞれ円筒状、円錐状)である。図12において、凸状の外面19を研磨するために、回転式研磨手段34及びその包絡面が円形の通路CP2(図14参照)を移動するために固定され、その中心が第一中心軸C2で表わされていて、第一中心軸C2は外面19の長手方向に平行である(例示においては平坦な内面20にも平行)。これに関連して、第一中心軸C2と包絡面、すなわち回転式研磨手段34の研磨面との間の半径距離がR2で付番されている。回転式研磨手段34の回転軸G1は中心軸C2に平行であって、サポートパッドにおける凸状の外面19は円筒形状である(もし、サポートパッドに沿って後方にわずかに傾いた円錐形状とすることを所望するなら、回転式研磨手段の回転軸G1と第一中心軸C2をお互いに数分あるいは数秒の角度で傾斜すればよい)。
【0024】
図13において包絡面27が研磨により円筒状の面19とサポートパッドの前方の端面21との間に形成されている(この場合、面取りした平面26が端面に隣接している)。この場合、回転式研磨手段35が使用されていて、回転式研磨手段35は円錐形状を有していて、中心軸がC3である円形の通路CP3を移動するようになっている。この場合、通路CP3の半径R3、より正確には中心軸C3と回転式研磨手段35の包絡面に沿った点Pとの間の半径方向の距離は半径R2より小さい。すなわち、回転式研磨手段の包絡面に沿った点Pは、回転式研磨手段34の包絡面における円形通路より小さい円形通路で移動する。回転式研磨手段35の円錐形状は、侵入面27の円錐形状を決定している。詳しくは、侵入面27の円錐形状は、回転式研磨手段35及び外面19と中心軸C3との間の角度αにより決定される。回転式研磨手段は円筒形状であって所望する円錐角とするべく中心軸C3に対して適切な角度で傾斜されてもよい。
【0025】
回転式研磨手段35が前述したように移動される場合、境界27の後方の境界線29は図5,6に図示する弓状になって、弓状線の頂点又は前方の点36が前方を指すようになっている。円形通路CP2,CP3の二つの中心軸C2,C3は共通の平面Aにあって(図14参照)、その平面Aは側面23と側面24との中央で円筒面19を横断していて、前記頂点36は中央、すなわち側面の境界線30と側面の境界線31との中央に位置する。いいかえると、外面19及び侵入面27は軸方向の平面Aに対して対称的に配置されている(図5参照)。
【0026】
図15において、外面19と侵入面21の第一の軸と第二の軸とが図12−14とは異なって配置されている(軸C2,C3はお互に対して偏心していて、円錐面27の湾曲最大半径R3は円筒面の湾曲の半径より小さい)。従って、図15による違いは、回転式研磨手段35の研磨面と第二中心軸C3とがお互いに平行であって、外面19の第一中心軸C2に対して角度βで傾斜されており、その回転式研磨手段35の研磨面は中心軸C2を有している円筒に沿った母線を有していて、回転式研磨手段は第二の中心軸C3を囲んで円形通路を移動するようになっている。この場合、R3は限定されるものではないが、円筒面19の半径R2より小さくてもよくて、回転式研磨手段35により形成される侵入面27は円筒面となる。しかしながら、回転式研磨手段の研磨面が外面19に対して角度βで傾斜されると、侵入面27の後方の境界線29はサポートパッドの端面21に向かって前方に対面している頂点を備えた弓状になる。
【0027】
これに関連して、図12−15に図示するように、サポートパッド8は図5−11による面取りした平面25,26を備えていない。図12−15において、面取りした平面は省かれていて、侵入面27は前方の境界線28を介してサポートパッドの前方の端面21に直接接続されていて、同じく端部の境界線を介して側面23,24に接続されている(平面図において、お互いに交差していない側面23,24が図示されている)。
【0028】
前述したように、侵入面27が図14に図示するように研磨される場合、すなわち中心軸C2,C3が軸方向の共通平面Aにある場合、弓状の後方の境界線29の頂点36は、中央に位置している(図5,6参照)。
【0029】
図16において、弓状線の頂点36は、簡単な方法により横方向に離間してサポートパッドの二つの側面23,24の間の所望する位置に配置することができる。従って、回転式研磨手段35の移動通路の中心軸C3が軸方向の共通平面Aに対して横方向に移動することにより、頂点36の横方向の変位は可能となり、共通の平面Aには回転式研磨手段34(図14参照)の中心軸C2が位置している。従って、本発明により、頂点36の位置は前もって決めたとおりに選択することができる。
【0030】
図12−16において、回転式研磨手段は回転対称体として図示されていて、その包絡面が研磨面となっている。しかしながら、他のタイプの回転式研磨手段、例えばディスク(その表面が研磨面となっている)が使用されてもよい。その場合、前述した寸法及び角度は、円筒及び円錐それぞれの母線対するものの代りに、ディスクの平坦な研磨面に対するものとされる。
【0031】
本発明の効果と利点
ドリル本体1のサポートパッド8各々が、切削インサート5,6,7により加工する穴18に導入される際、侵入面27の弓状の後方の境界線29に沿った頂点36が最初に穴に導入され、そして後方の境界線29の残りの部分が導入される前にサポートパッドと穴の壁面との接触が確率される。この接触は、頂点36に沿って接触する点又は線となっている。従って、本発明の基本的な利点は以下のとおりであって、設計者は、サポートパッドが穴の壁面に接触する地点を正確に事前に決定することができることである。図5−15の例において、中央の頂点36を介しての接触が好ましい。しかしながら、図16の実施形態において、後方の境界線29の頂点36を側面23端部に向かって移動することにより、接触位置を非対称とすることが好ましい。これに関連して、サポートパッドが図12−14の方法あるいは図15の方法により研磨されることにかかわりなく、頂点36の、従って接触位置の横方向への移動がもたらされる。
【0032】
本発明のもう一つの利点は、侵入面の離間した二つの側面の境界線は、サポートパッドが穴に導入される際に穴の端部に接触しない。従って、側面の境界線各々は穴あけ加工中に円錐状の通路を回転するようになっていて、その円錐状の通路は、後方の境界線の頂点の軸方向の前方に位置する母線が回転している円錐状の通路の内側(すなわち、ドリルの回転軸により近い)に位置している。言いかえると、境界線の前端部が穴の縁に食い込む危険性はない。
【0033】
本発明の前述の利点は以下の簡単な方法により達成されている。その方法とは、侵入面及び接触面それぞれを研磨する代りに、一つの共通軸を囲んで、円筒状外面の第一回転軸を侵入面の第二回転軸から位置を変えること(図12−14に図示する方法又は図15に図示する方法)であり、そして侵入面の後方の境界線は頂点を有する弓状にすること(頂点の位置は所望するように選択できる)である。
【0034】
本発明によるサポートパッドは、二つの異なる方法(すなわち研磨仕上及び研磨しない方法)で商業化されている。後者において、サポートパッドは一定の研磨C3を有する事前に形成されたブランクであって、その形状はドリル本体へサポートパッドを固定した後に、続いての面19,27の研磨により得られる形状にほぼ一致している。研磨C3をもたせてサポートパッドを事前に形成することにより、以下の利点がある。すなわち、研磨する量が少なくなり、従って、ドリル本体に固定されたサポートパッドの面19,27の一連の製作プロセスにおける最終研磨を著しく迅速かつ効率良く実施することができる。
【0035】
本発明の修正
本発明は前述した説明及び図面おける実施形態に限定されるものではない。従って、本発明は長い穴用のドリルだけではなく、例えば特許文献4に記載されているタイプの穿孔器にも適用することができる。さらに、サポートパッド及び/又は切削インサートはウラ付け以外の方法、例えばねじ継手(技術文献1参照)により、ドリル本体に固定されてもよい。さらに、サポートパッドの構造は、独立請求項12及びその従属項である請求項13−22の範囲内において修正することができる。例えば、サポートパッドの外面及び内面はお互いに平行である必要はなく、お互いに対して傾斜していても良く、ドリル本体の受容ポケットは別の形状であってもよい。さらに、超硬合金のドリル本体を圧縮及び焼結する方法がより改善されれば、サポートパッドを研磨する必要はない。
【符号の説明】
【0036】
1 ドリル本体
2 前方端部
3 後方端部
4 包絡面
5 切削インサート
8 サポートパッド
C1 回転軸
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前方端部(2)及び後方端部(3)と、周縁インサート(5)と、サポートパッド(8)とを備えている、金属加工物に穴を機械加工するためのドリル本体であって、
回転軸(C1)が前記前方端部(2)と前記後方端部(3)との間に延伸していて、前記ドリル本体は前記回転軸(C1)を囲んで回転可能であり、回転対称の包絡面(4)が前記回転軸(C1)に対して同心となっていて、
前記周縁インサート(5)は前記前方端部(2)に配置されており、前記回転軸(C1)からの前記周縁インサート(5)の半径方向の距離が前記穴の直径を規定するものであり、
前記サポートパッド(8)は前記包絡面(4)に対して半径方向に突出していて、そして前記サポートパッド(8)が回転対称形状である凸状の弓形の外面(19)と、内面(20)と、前方端面(21)及び後方端面(22)と、一対の離間した側面(23,24)とを有していて、凸状の弓形の侵入面(27)が前記外面(19)と、少なくとも前記前方端面(21)との間に形成されており、前記侵入面(27)は回転対称形状であり、そして一方で一対となっている前方の境界線(28)と、前記外面(19)の境界となっている後方の境界線(29)との間に延伸しており、他方で接線方向に離間している側面の境界線(30)と、側面の境界線(31)との間に延伸していて、そして、前記侵入面(27)は前記後方の境界線(29)から前方に向かって前記侵入面に沿って通っている仮想母線が前記回転軸(C1)に向かって内側を指すように向けられていて、従って前記サポートパッドが容易に穴(18)の中へ挿入できるようになっているドリル本体において、
前記侵入面(27)の前記後方の境界線(29)は、前記外面に向かうような凸状の弓形の線の形状を有しており、前記弓形の線の頂点(36)が前方に向けられていることを特徴とするドリル本体。
【請求項2】
第一の中心軸(C2)に対して前記サポートパッド(8)の前記外面(19)が回転対称であって、第二の中心軸(C3)に対して前記侵入面(27)が回転対称であり、そして前記第一の中心軸(C2)及び前記第二の中心軸(C3)はお互いに異なる位置に配置されていて、前記凸状の弓形の線(29)を与えることを特徴とする請求項1に記載のドリル本体。
【請求項3】
前記サポートパッド(8)の前記侵入面(27)は、第二の中心軸(C3)と同心となっている円錐形状を有していて、前記第二の中心軸(C3)は前記外面(19)が同心となっている前記第一の中心軸(C2)に対して平行かつ偏心しており、前記侵入面(27)の最大曲率半径(R3)は前記外面(19)の曲率半径(R2)より小さいことを特徴とする、請求項1又は2に記載のドリル本体。
【請求項4】
前記サポートパッド(8)の前記侵入面(27)が前記外面(19)の前記曲率半径(R2)の最大で80%である最大曲率半径(R3)を有しているを特徴とする、請求項3に記載のドリル本体。
【請求項5】
前記サポートパッド(8)の前記侵入面(27)が前記外面(19)の前記曲率半径(R2)の少なくとも50%である最大曲率半径(R3)を有しているを特徴とする、請求項3又は4に記載のドリル本体。
【請求項6】
弓状の前記後方の境界線(29)の前記頂点(36)が前記サポートパッド(8)の前記側面(23)と側面(24)との間の中央に位置していて、その結果前記外面(19)の前記中心軸(C2)及び前記侵入面(27)の前記中心軸(C3)が共通の軸方向の面(A)に位置しており、前記軸方向の面(A)は前記第一の中心軸(C2)から延伸していて、そして前記側面(23)と前記側面(24)との間の中央で前記外面(19)を交差していることを特徴とする、請求項1−5のいずれか一項に記載のドリル本体。
【請求項7】
弓状の前記後方の境界線(29)の前記頂点が前記側面(23)及び前記側面(24)とのどちらか一方に近寄って配置されているので、前記侵入面(27)の前記第二の中心軸(C3)は前記軸方向の面(A)の近くに配置されており、前記軸方向の面(A)は前記第一の中心軸(C2)から延伸していて、そして前記側面(23)と前記側面(24)との間の中央で前記外面(19)を交差していることを特徴とする請求項1−5のいずれか一項に記載のドリル本体。
【請求項8】
前記サポートパッド(8)の前記侵入面(27)が円筒形状であって、そして前記第2の中心軸(3)と同心であり、前記第二の中心軸(3)は前記外面(19)が同心となっている前記第一の中心軸(C2)に対して鋭角(B)の角度となっている、を特徴とする、請求項1又は2に記載のドリル本体。
【請求項9】
面取りした平面(25)が、前記外面(19)と前記側面(23)との間及び前記外面(19)と前記側面(24)との間に形成されていて、前記面取りした平面(25)は前記側面の境界線(30,31)を介して前記侵入面(27)の境界となっていて、前記側面の境界線(31)は前記侵入面(27)の前記後方の境界線(29)から前記前方の境界線(28)に向かっているを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一項に記載のドリル本体。
【請求項10】
前記侵入面(27)に沿った仮想母線が二つの側面の境界線(30,31)の近傍で最大長さとなっているを特徴とする、請求項1〜9のいずれか一項に記載のドリル本体。
【請求項11】
前記サポートパッドを前記ドリル本体(1)に取り付けた後に、前記サポートパッド(8)の前記外面(19)及び前記侵入面(27)は、研磨加工により形成されている、を特徴とする、請求項1〜11のいずれか一項に記載のドリル本体。
【請求項12】
金属を機械加工するドリル用のサポートパッドであり、
回転対称形状である凸状の弓形の外面(19)と、内面(20)と、前方端面(21)及び後方端面(22)と、凸状の弓形の侵入面(27)とを有するサポートパッドであって、
前記侵入面(27)が前記外面(19)と、少なくとも前記前方端面(21)との間に形成されており、前記侵入面(27)は回転対称形状であり、そして一方で一対となっている前方の境界線(28)と、前記外面(19)の境界となっている後方の境界線(29)との間に延伸しており、他方で接線方向に離間している側面の境界線(30)と側面の境界線(31)との間に延伸している、サポートパッドにおいて、
前記侵入面(27)の前記後方の境界線(29)は、前記外面向かうような凸状の弓形の線の形状を有しており、前記弓形の線の頂点(36)が前方に向けられていることを特徴とするサポートパッド。
【請求項13】
第一の中心軸(C2)に対して前記サポートパッド(18)の前記外面(19)が回転対称であって、第二の中心軸(C3)に対して前記侵入面(27)が回転対称であり、そして前記第一の中心軸(C2)及び前記第二の中心軸(C3)はお互いに異なる位置に配置されていて、前記凸状の弓形の線(29)を与えることを特徴とする請求項12に記載のサポートパッド。
【請求項14】
前記侵入面(27)は、第二の中心軸(C3)と同心となっている円錐形状を有していて、前記第二の中心軸(C3)は前記外面(19)が同心となっている前記第一の中心軸(C2)に対して平行かつ偏心しており、前記侵入面(27)の最大曲率半径(R3)は前記外面(19)の曲率半径(R2)より小さいことを特徴とする、請求項12又は13に記載のサポートパッド。
【請求項15】
前記侵入面(27)が前記外面(19)の前記曲率半径(R2)の最大で80%である最大曲率半径(R3)を有しているを特徴とする、請求項14に記載のサポートパッド。
【請求項16】
前記サポートパッド(8)の前記侵入面(27)が前記外面(19)の前記曲率半径(R2)の少なくとも50%である最大曲率半径(R3)を有しているを特徴とする、請求項14又は15に記載のサポートパッド。
【請求項17】
弓状の前記後方の境界線(29)の前記頂点(36)が前記サポートパッド(8)の前記側面(23)と側面(24)との間の中央に位置していて、その結果前記外面(19)の前記中心軸(C2)及び前記侵入面(27)の前記中心軸(C3)が共通の軸方向の面(A)に位置しており、前記軸方向の面(A)は前記第一の中心軸(C2)から延伸していて、そして前記側面(23)と前記側面(24)との間の中央で前記外面(19)を交差していることを特徴とする、請求項12〜16のいずれか一項に記載のサポートパッド。
【請求項18】
弓状の前記後方の境界線(29)の前記頂点(36)が前記側面(23)及び前記側面(24)とのどちらか一方に近寄って配置されているので、前記侵入面(27)の前記第二の中心軸(C3)は前記軸方向の面(A)の近くに配置されており、前記軸方向の面(A)は前記第一の中心軸(C2)から延伸していて、そして前記側面(23)と前記側面(24)との間の中央で前記外面(19)を交差していることを特徴とする請求項12〜16のいずれか一項に記載のサポートパッド。
【請求項19】
前記侵入面(27)が円筒形状であって、そして前記第2の中心軸(3)と同心であり、前記第二の中心軸(3)は前記外面(19)が同心となっている前記第一の中心軸(C2)に対して鋭角(B)の角度となっている、を特徴とする、請求項12又は13に記載のサポートパッド。
【請求項20】
面取りした平面(25)が、前記外面(19)と前記側面(23)との間及び前記外面(19)と前記側面(24)との間に形成されていて、前記面取りした平面(25)は前記側面の境界線(30,31)を介して前記侵入面(27)の境界となっていて、前記側面の境界線(31)は前記侵入面(27)の前記後方の境界線(29)から前記前方の境界線(28)に向かっているを特徴とする、請求項12〜19のいずれか一項に記載のサポートパッド。
【請求項21】
前記侵入面(27)に沿った仮想母線が二つの側面の境界線(30,31)の近傍で最大長さとなっているを特徴とする、請求項12〜20のいずれか一項に記載のサポートパッド。
【請求項22】
サポートパッドが事前に形成されたブランクであって、前記外面(19)及び前記侵入面(27)は研磨されていない、請求項12〜21のいずれか一項に記載のサポートパッド。
【請求項1】
前方端部(2)及び後方端部(3)と、周縁インサート(5)と、サポートパッド(8)とを備えている、金属加工物に穴を機械加工するためのドリル本体であって、
回転軸(C1)が前記前方端部(2)と前記後方端部(3)との間に延伸していて、前記ドリル本体は前記回転軸(C1)を囲んで回転可能であり、回転対称の包絡面(4)が前記回転軸(C1)に対して同心となっていて、
前記周縁インサート(5)は前記前方端部(2)に配置されており、前記回転軸(C1)からの前記周縁インサート(5)の半径方向の距離が前記穴の直径を規定するものであり、
前記サポートパッド(8)は前記包絡面(4)に対して半径方向に突出していて、そして前記サポートパッド(8)が回転対称形状である凸状の弓形の外面(19)と、内面(20)と、前方端面(21)及び後方端面(22)と、一対の離間した側面(23,24)とを有していて、凸状の弓形の侵入面(27)が前記外面(19)と、少なくとも前記前方端面(21)との間に形成されており、前記侵入面(27)は回転対称形状であり、そして一方で一対となっている前方の境界線(28)と、前記外面(19)の境界となっている後方の境界線(29)との間に延伸しており、他方で接線方向に離間している側面の境界線(30)と、側面の境界線(31)との間に延伸していて、そして、前記侵入面(27)は前記後方の境界線(29)から前方に向かって前記侵入面に沿って通っている仮想母線が前記回転軸(C1)に向かって内側を指すように向けられていて、従って前記サポートパッドが容易に穴(18)の中へ挿入できるようになっているドリル本体において、
前記侵入面(27)の前記後方の境界線(29)は、前記外面に向かうような凸状の弓形の線の形状を有しており、前記弓形の線の頂点(36)が前方に向けられていることを特徴とするドリル本体。
【請求項2】
第一の中心軸(C2)に対して前記サポートパッド(8)の前記外面(19)が回転対称であって、第二の中心軸(C3)に対して前記侵入面(27)が回転対称であり、そして前記第一の中心軸(C2)及び前記第二の中心軸(C3)はお互いに異なる位置に配置されていて、前記凸状の弓形の線(29)を与えることを特徴とする請求項1に記載のドリル本体。
【請求項3】
前記サポートパッド(8)の前記侵入面(27)は、第二の中心軸(C3)と同心となっている円錐形状を有していて、前記第二の中心軸(C3)は前記外面(19)が同心となっている前記第一の中心軸(C2)に対して平行かつ偏心しており、前記侵入面(27)の最大曲率半径(R3)は前記外面(19)の曲率半径(R2)より小さいことを特徴とする、請求項1又は2に記載のドリル本体。
【請求項4】
前記サポートパッド(8)の前記侵入面(27)が前記外面(19)の前記曲率半径(R2)の最大で80%である最大曲率半径(R3)を有しているを特徴とする、請求項3に記載のドリル本体。
【請求項5】
前記サポートパッド(8)の前記侵入面(27)が前記外面(19)の前記曲率半径(R2)の少なくとも50%である最大曲率半径(R3)を有しているを特徴とする、請求項3又は4に記載のドリル本体。
【請求項6】
弓状の前記後方の境界線(29)の前記頂点(36)が前記サポートパッド(8)の前記側面(23)と側面(24)との間の中央に位置していて、その結果前記外面(19)の前記中心軸(C2)及び前記侵入面(27)の前記中心軸(C3)が共通の軸方向の面(A)に位置しており、前記軸方向の面(A)は前記第一の中心軸(C2)から延伸していて、そして前記側面(23)と前記側面(24)との間の中央で前記外面(19)を交差していることを特徴とする、請求項1−5のいずれか一項に記載のドリル本体。
【請求項7】
弓状の前記後方の境界線(29)の前記頂点が前記側面(23)及び前記側面(24)とのどちらか一方に近寄って配置されているので、前記侵入面(27)の前記第二の中心軸(C3)は前記軸方向の面(A)の近くに配置されており、前記軸方向の面(A)は前記第一の中心軸(C2)から延伸していて、そして前記側面(23)と前記側面(24)との間の中央で前記外面(19)を交差していることを特徴とする請求項1−5のいずれか一項に記載のドリル本体。
【請求項8】
前記サポートパッド(8)の前記侵入面(27)が円筒形状であって、そして前記第2の中心軸(3)と同心であり、前記第二の中心軸(3)は前記外面(19)が同心となっている前記第一の中心軸(C2)に対して鋭角(B)の角度となっている、を特徴とする、請求項1又は2に記載のドリル本体。
【請求項9】
面取りした平面(25)が、前記外面(19)と前記側面(23)との間及び前記外面(19)と前記側面(24)との間に形成されていて、前記面取りした平面(25)は前記側面の境界線(30,31)を介して前記侵入面(27)の境界となっていて、前記側面の境界線(31)は前記侵入面(27)の前記後方の境界線(29)から前記前方の境界線(28)に向かっているを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一項に記載のドリル本体。
【請求項10】
前記侵入面(27)に沿った仮想母線が二つの側面の境界線(30,31)の近傍で最大長さとなっているを特徴とする、請求項1〜9のいずれか一項に記載のドリル本体。
【請求項11】
前記サポートパッドを前記ドリル本体(1)に取り付けた後に、前記サポートパッド(8)の前記外面(19)及び前記侵入面(27)は、研磨加工により形成されている、を特徴とする、請求項1〜11のいずれか一項に記載のドリル本体。
【請求項12】
金属を機械加工するドリル用のサポートパッドであり、
回転対称形状である凸状の弓形の外面(19)と、内面(20)と、前方端面(21)及び後方端面(22)と、凸状の弓形の侵入面(27)とを有するサポートパッドであって、
前記侵入面(27)が前記外面(19)と、少なくとも前記前方端面(21)との間に形成されており、前記侵入面(27)は回転対称形状であり、そして一方で一対となっている前方の境界線(28)と、前記外面(19)の境界となっている後方の境界線(29)との間に延伸しており、他方で接線方向に離間している側面の境界線(30)と側面の境界線(31)との間に延伸している、サポートパッドにおいて、
前記侵入面(27)の前記後方の境界線(29)は、前記外面向かうような凸状の弓形の線の形状を有しており、前記弓形の線の頂点(36)が前方に向けられていることを特徴とするサポートパッド。
【請求項13】
第一の中心軸(C2)に対して前記サポートパッド(18)の前記外面(19)が回転対称であって、第二の中心軸(C3)に対して前記侵入面(27)が回転対称であり、そして前記第一の中心軸(C2)及び前記第二の中心軸(C3)はお互いに異なる位置に配置されていて、前記凸状の弓形の線(29)を与えることを特徴とする請求項12に記載のサポートパッド。
【請求項14】
前記侵入面(27)は、第二の中心軸(C3)と同心となっている円錐形状を有していて、前記第二の中心軸(C3)は前記外面(19)が同心となっている前記第一の中心軸(C2)に対して平行かつ偏心しており、前記侵入面(27)の最大曲率半径(R3)は前記外面(19)の曲率半径(R2)より小さいことを特徴とする、請求項12又は13に記載のサポートパッド。
【請求項15】
前記侵入面(27)が前記外面(19)の前記曲率半径(R2)の最大で80%である最大曲率半径(R3)を有しているを特徴とする、請求項14に記載のサポートパッド。
【請求項16】
前記サポートパッド(8)の前記侵入面(27)が前記外面(19)の前記曲率半径(R2)の少なくとも50%である最大曲率半径(R3)を有しているを特徴とする、請求項14又は15に記載のサポートパッド。
【請求項17】
弓状の前記後方の境界線(29)の前記頂点(36)が前記サポートパッド(8)の前記側面(23)と側面(24)との間の中央に位置していて、その結果前記外面(19)の前記中心軸(C2)及び前記侵入面(27)の前記中心軸(C3)が共通の軸方向の面(A)に位置しており、前記軸方向の面(A)は前記第一の中心軸(C2)から延伸していて、そして前記側面(23)と前記側面(24)との間の中央で前記外面(19)を交差していることを特徴とする、請求項12〜16のいずれか一項に記載のサポートパッド。
【請求項18】
弓状の前記後方の境界線(29)の前記頂点(36)が前記側面(23)及び前記側面(24)とのどちらか一方に近寄って配置されているので、前記侵入面(27)の前記第二の中心軸(C3)は前記軸方向の面(A)の近くに配置されており、前記軸方向の面(A)は前記第一の中心軸(C2)から延伸していて、そして前記側面(23)と前記側面(24)との間の中央で前記外面(19)を交差していることを特徴とする請求項12〜16のいずれか一項に記載のサポートパッド。
【請求項19】
前記侵入面(27)が円筒形状であって、そして前記第2の中心軸(3)と同心であり、前記第二の中心軸(3)は前記外面(19)が同心となっている前記第一の中心軸(C2)に対して鋭角(B)の角度となっている、を特徴とする、請求項12又は13に記載のサポートパッド。
【請求項20】
面取りした平面(25)が、前記外面(19)と前記側面(23)との間及び前記外面(19)と前記側面(24)との間に形成されていて、前記面取りした平面(25)は前記側面の境界線(30,31)を介して前記侵入面(27)の境界となっていて、前記側面の境界線(31)は前記侵入面(27)の前記後方の境界線(29)から前記前方の境界線(28)に向かっているを特徴とする、請求項12〜19のいずれか一項に記載のサポートパッド。
【請求項21】
前記侵入面(27)に沿った仮想母線が二つの側面の境界線(30,31)の近傍で最大長さとなっているを特徴とする、請求項12〜20のいずれか一項に記載のサポートパッド。
【請求項22】
サポートパッドが事前に形成されたブランクであって、前記外面(19)及び前記侵入面(27)は研磨されていない、請求項12〜21のいずれか一項に記載のサポートパッド。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2010−142949(P2010−142949A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−287989(P2009−287989)
【出願日】平成21年12月18日(2009.12.18)
【出願人】(505277521)サンドビック インテレクチュアル プロパティー アクティエボラーグ (284)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年12月18日(2009.12.18)
【出願人】(505277521)サンドビック インテレクチュアル プロパティー アクティエボラーグ (284)
【Fターム(参考)】
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