説明

ドリル

【課題】工具寿命の向上を図りつつも、切削加工時における切削抵抗の減少を図ることができるドリルを提供すること。
【解決手段】ドリル1によれば、切削加工時において周速が遅く切削抵抗が大きいボデー3の軸心O側のすくい角を切れ刃5側のすくい角よりも小さい角度に設定することで、切削抵抗に耐え得る強度をシンニング刃12に持たせつつも、切れ刃5側のすくい角をボデー3の軸心O側のすくい角よりも大きい角度に設定することで、切削加工が進行して所定の切り込み深さに達した後には、被加工物への食い付き性を向上させることができる。よって、シンニング刃12のチッピングを防止して工具寿命の向上を図りつつも、被加工物への食い付き性を向上させて切削加工時における切削抵抗の減少を図ることができる。これにより、工具寿命の向上と切削抵抗の減少との両立を図ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドリルに関し、特に、工具寿命の向上を図りつつも、切削加工時における切削抵抗の減少を図ることができるドリルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、ドリルには、切削加工時における切削抵抗の減少を図るため、例えば、特開2000−271811号公報に開示されるツイストドリルのように、その先端部にシンニングが設けられている。このツイストドリルによれば、シンニング5を設けることによってチゼルエッジ長さが短くなるので、切削加工時には、かかるツイストドリルの先端部と被加工物との接触面積が減り、その結果、切削抵抗が減少する。
【0003】
ところで、上述したツイストドリルによれば、シンニング5を設けることによって形成されるシンニング刃6のすくい角αは、一般に、その角度が大きいほど切削抵抗を減少させることができる一方、角度が大きいと、シンニング刃6の強度が低下してチッピングを招き易くなる。
【0004】
そこで、かかるツイストドリルでは、シンニング刃6のすくい角αが+5°から+15°の範囲内の角度に設定され、工具寿命の向上が図られている。
【特許文献1】特開2000−271811号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述したツイストドリルのように、工具寿命を考慮してシンニング刃6のすくい角αを設定した場合には、切削抵抗を十分に減少させることができず、工具寿命の向上と切削抵抗の減少とを両立させることが困難であるという問題点があった。
【0006】
本発明は上述した問題点を解決するためになされたものであり、工具寿命の向上を図りつつも、切削加工時における切削抵抗の減少を図ることができるドリルを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的を解決するために請求項1記載のドリルは、軸心回りに回転される円柱状のボデーと、そのボデーの先端部に形成される切れ刃と、前記ボデーの先端部にシンニングを設けることにより前記切れ刃に連接して前記ボデーの軸心側に形成されるシンニング刃とを備えるものであって、前記シンニング刃は、そのシンニング刃と前記ボデーの軸心とがなす角であるすくい角が前記ボデーの軸心側と前記切れ刃側とで変化すると共に、前記シンニング刃のすくい角は、前記切れ刃側のすくい角が前記ボデーの軸心側のすくい角よりも大きい正の角度に設定されている。
【0008】
請求項2記載のドリルは、請求項1記載のドリルにおいて、前記シンニング刃は、前記ボデーの軸心側に位置すると共に前記ボデーの先端方向視において略直線状に形成される第1シンニング刃と、その第1シンニング刃よりも前記切れ刃側に位置すると共に前記ボデーの先端方向視において略直線状に形成される第2シンニング刃とを備え、その第2シンニング刃のすくい角は、前記第1シンニング刃のすくい角よりも大きい正の角度に設定されている。
【0009】
請求項3記載のドリルは、請求項2記載のドリルにおいて、前記切れ刃のすくい面を構成すると共に前記ボデーの外周面に凹設される螺旋状の溝と、その溝の回転方向後方側の壁面と前記ボデーの外周面とが交差する稜線部に形成されるリーディングエッジとを備え、前記第2シンニング刃のすくい角は、前記ボデーの軸心と前記リーディングエッジとがなす角であるねじれ角の1/5倍以上かつ1/2倍以下の範囲内の角度に設定されている。
【0010】
請求項4記載のドリルは、請求項1記載のドリルにおいて、前記シンニング刃は、前記ボデーの先端方向視において円弧状に形成されると共に、前記すくい角が前記ボデーの軸心側から前記切れ刃側に向かうにつれて変化すると共に、前記シンニング刃のすくい角は、前記切れ刃側のすくい角が前記ボデーの軸心側のすくい角よりも大きい正の角度に設定されている。
【0011】
請求項5記載のドリルは、請求項4記載のドリルにおいて、前記切れ刃のすくい面を構成すると共に前記ボデーの外周面に凹設される螺旋状の溝と、その溝の回転方向後方側の壁面と前記ボデーの外周面とが交差する稜線部に形成されるリーディングエッジとを備え、前記シンニング刃のすくい角は、前記シンニング刃と前記切れ刃との連接部において、前記ボデーの軸心と前記リーディングエッジとがなす角であるねじれ角の1/5倍以上かつ1/2倍以下の範囲内の角度に設定されている。
【発明の効果】
【0012】
請求項1記載のドリルによれば、シンニング刃は、すくい角がボデーの軸心側と切れ刃側とで変化すると共に、そのシンニング刃のすくい角は、切れ刃側のすくい角がボデーの軸心側のすくい角よりも大きい正の角度に設定されている。
【0013】
ここで、シンニング刃のすくい角は、一般に、その角度が大きいほど、被加工物への食い付き性を向上させることができ切削抵抗を減少させることができる一方、角度が大きいと、シンニング刃の強度が低下してチッピングを生じ易くなる。
【0014】
これに対し、本発明におけるドリルによれば、切削加工時において周速が遅く切削抵抗が大きいボデーの軸心側のすくい角を切れ刃側のすくい角よりも小さい角度に設定することで、切削抵抗に耐え得る強度をシンニング刃に持たせつつも、切れ刃側のすくい角をボデーの軸心側のすくい角よりも大きい角度に設定することで、切削加工が進行して所定の切り込み深さに達した後には、被加工物への食い付き性を向上させることができる。
【0015】
よって、シンニング刃のチッピングを防止して工具寿命の向上を図りつつも、被加工物への食い付き性を向上させて切削加工時における切削抵抗の減少を図ることができるという効果がある。これにより、工具寿命の向上と切削抵抗の減少との両立を図ることができる。
【0016】
請求項2記載のドリルによれば、請求項1記載のドリルの奏する効果に加え、シンニング刃は、ボデーの軸心側に位置する第1シンニング刃と、その第1シンニング刃よりも切れ刃側に位置する第2シンニング刃とを備え、その第2シンニング刃のすくい角が第1シンニング刃のすくい角よりも大きい正の角度に設定されているので、第1シンニング刃によって切削抵抗に耐え得る強度を持たせつつも、切削加工が進行して所定の切り込み深さに達した後には、第2シンニング刃によって被加工物への食い付き性を向上させることができる。
【0017】
よって、シンニング刃のチッピングを防止して工具寿命の向上を図りつつも、被加工物への食い付き性を向上させて切削加工時における切削抵抗の減少を図ることができるという効果がある。
【0018】
また、シンニング刃をボデーの先端方向視において略直線状とした場合でも、第1シンニング刃と第2シンニング刃とを備えているので、ボデーの軸心側と切れ刃側とですくい角が変化するシンニング刃を容易に加工することができるという効果がある。
【0019】
請求項3記載のドリルによれば、請求項2記載のドリルの奏する効果に加え、第2シンニング刃のすくい角は、ねじれ角の1/5倍以上かつ1/2倍以下の範囲内の角度に設定されているので、加工精度の向上を図ることができると共に、工具寿命の向上を図ることができるという効果がある。
【0020】
即ち、すくい角がねじれ角の1/5倍より小さい場合には、切削加工時における切削抵抗が増大してドリルが振動を生じ易くなる。これに対し、すくい角をねじれ角の1/5以上とすることで、切削抵抗を減少させることができるので、ドリルの振動を防止でき、その結果、加工精度の向上を図ることができる。
【0021】
一方、すくい角がねじれ角の1/2倍より大きい場合には、第2シンニング刃の強度が低下してチッピングを生じ易くなる。これに対し、すくい角をねじれ角の1/2以上とすることで、第2シンニング刃の強度を高めることができるので、チッピングを防止でき、その結果、工具寿命の向上を図ることができる。
【0022】
また、上述した第2シンニング刃のすくい角は、ねじれ角に比例して設定されているので、その第2シンニング刃のすくい角を被加工物の材質に合った最適なすくい角とすることができるという効果がある。即ち、ねじれ角は、一般に、被加工物の材質に合わせて設定されるため、すくい角をねじれ角に比例して設定することによって、例えば、ねじれ角が強ねじれに設定される硬質の被加工物に対しては、ねじれ角と同様にすくい角を大きく設定することができ、切削抵抗を減少させるべく硬質の被加工物の切削加工に最適なすくい角とすることができる。
【0023】
請求項4記載のドリルによれば、請求項1記載のドリルの奏する効果に加え、シンニング刃は、すくい角がボデーの軸心側から切れ刃側に向かうにつれて変化すると共に、そのシンニング刃のすくい角は、切れ刃側のすくい角がボデーの軸心側のすくい角よりも大きい正の角度に設定されているので、切削抵抗に耐え得る強度をシンニング刃に持たせつつも、切削加工が進行して所定の切り込み深さに達した後には、被加工物への食い付き性を向上させることができる。
【0024】
よって、シンニング刃のチッピングを防止して工具寿命の向上を図りつつも、被加工物への食い付き性を向上させて切削加工時における切削抵抗の減少を図ることができるという効果がある。
【0025】
また、シンニング刃をボデーの先端方向視において円弧状としたので、そのシンニング刃のすくい角をボデーの軸心側から切れ刃側に向かうにつれて連続的に変化させることができる。よって、シンニング刃をボデーの先端方向視において略直線状とする場合と比較して、切削抵抗の減少を図ることができるという効果がある。
【0026】
請求項5記載のドリルによれば、請求項4記載のドリルの奏する効果に加え、シンニング刃のすくい角は、シンニング刃と切れ刃との連接部において、ねじれ角の1/5倍以上かつ1/2倍以下の範囲内の角度に設定されているので、加工精度の向上を図ることができると共に、工具寿命の向上を図ることができるという効果がある。
【0027】
即ち、すくい角がねじれ角の1/5倍より小さい場合には、切削加工時における切削抵抗が増大してドリルが振動を生じ易くなる。これに対し、すくい角をねじれ角の1/5以上とすることで、切削抵抗を減少させることができるので、ドリルの振動を防止でき、その結果、加工精度の向上を図ることができる。
【0028】
一方、すくい角がねじれ角の1/2倍より大きい場合には、シンニング刃の強度が低下してチッピングを生じ易くなる。これに対し、すくい角をねじれ角の1/2以上とすることで、シンニング刃の強度を高めることができるので、チッピングを防止でき、その結果、工具寿命の向上を図ることができる。
【0029】
また、上述したシンニング刃のすくい角は、シンニング刃と切れ刃との連接部における角度として設定されているので、切削加工時において周速が遅く切削抵抗が大きいボデーの軸心側のシンニング刃に対しては切削抵抗に耐え得る強度を持たせつつも、切削加工が進行して所定の切り込み深さに達した後には、被加工物への食い付き性を向上させることができるという効果がある。
【0030】
更に、上述したシンニング刃と切れ刃との連接部におけるシンニング刃のすくい角は、ねじれ角に比例して設定されているので、そのシンニング刃のすくい角を被加工物の材質に合った最適なすくい角とすることができるという効果がある。即ち、ねじれ角は、一般に、被加工物の材質に合わせて設定されるため、すくい角をねじれ角に比例して設定することによって、例えば、ねじれ角が強ねじれに設定される硬質の被加工物に対しては、ねじれ角と同様にすくい角を大きく設定することができ、切削抵抗を減少させるべく硬質の被加工物の切削加工に最適なすくい角とすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下、本発明の好ましい実施の形態について、添付図面を参照して説明する。図1は、本発明の第1実施の形態におけるドリル1の側面図である。
【0032】
まず、図1を参照して、ドリル1の概略構成について説明する。ドリル1は、マシニングセンタ等の加工機械から伝達される回転力によって被加工物に穴あけ加工を行う切削工具であり、図1に示すように、タングステンカーバイト(WC)等を加圧焼結した超硬合金からソリッドドリルとして構成され、シャンク2と、そのシャンク2と一体成形されるボデー3とを主に備えて構成されている。
【0033】
なお、本実施の形態では、ドリル1が超硬合金から構成されているが、必ずしもこれに限られるものではなく、例えば、高速度工具鋼から構成しても良い。
【0034】
シャンク2は、加工機械に保持される部位であり、図1に示すように、ボデー3と略同径の円柱状に構成され、ボデー3と同一の軸心O上に設けられている。このシャンク2がホルダ(図示せず)に保持されることによって、ドリル1が加工機械に取り付けられる。
【0035】
なお、本実施の形態では、シャンク2がボデー3と略同径の円柱状に構成されているが、必ずしもこれに限られるものではなく、例えば、ボデー3よりも大径に構成しても良く、或いは、ドリル1の端部側(図1上側)へ向けて縮径するテーパ状に構成しても良い。
【0036】
ボデー3は、シャンク2を介して加工機械から伝達される回転力によって回転しつつ切削加工を行うための部位であり、図1に示すように、被加工物(図示せず)に加工する穴と略同径の直径Dの円柱状に構成され、溝4と、切れ刃5とを主に備えている。なお、本実施の形態では、ドリル1の直径Dが6mmに構成されている。
【0037】
溝4は、切れ刃5のすくい面を構成すると共に切削加工時に生成された切り屑の収容および排出を行うためのものであり、図1に示すように、ボデー3の外周面に2本の溝4が螺旋状にそれぞれ凹設され、それら2本の溝4がドリル1の軸心Oに対して対称に設けられている。
【0038】
なお、本実施の形態では、溝4がねじれを伴う螺旋状に構成されているが、必ずしもこれに限られるものではなく、ドリル1の軸心Oと略平行の直線状に構成しても良い。
【0039】
また、図1に示すように、ボデー3の外周面と溝4の回転方向(図2(a)の矢印A方向参照)後方側の壁面とが交差する稜線部には、リーディングエッジ6が形成されている。このリーディングエッジ6は、図1に示すように、ドリル1の軸心Oとなす角であるねじれ角βが38度に設定されている。
【0040】
更に、図1に示すように、リーディングエッジ6の回転方向(図2(a)の矢印A方向参照)後方側には、そのリーディングエッジ6に連接してマージン7が設けられている。このマージン7は、被加工物に加工する穴の内壁面を研磨するためのものであり、ボデー3の外周面を除去して二番取り面8を設けることによって形成されている。
【0041】
切れ刃5は、加工機械から伝達される回転力によって回転して被加工物を切削するためのものであり、図1に示すように、ドリル1の先端部と溝4とが交差する稜線部に2枚の切れ刃5がそれぞれ形成され、それら2枚の切れ刃5がドリル1の軸心Oに対して対称に設けられている。また、この切れ刃5は、ドリル1の先端方向視において略直線状にそれぞれ形成され、2枚の切れ刃5が平行に設けられている(図2参照)。
【0042】
次に、図2を参照して、ボデー3の先端部の詳細構成について説明する。図2(a)は、図1の矢印II方向視におけるドリル1の正面図であり、図2(b)は、図2(a)のIIb−IIb線におけるドリル1の拡大断面図であり、図2(c)は、図2(a)のIIc−IIc線におけるドリル1の拡大断面図である。なお、図2(a)の矢印Aは、ドリル1の回転方向を示している。
【0043】
図2(a)に示すように、ドリル1の先端部には、逃げ面9と、シンニング10とが主に設けられている。逃げ面9は、切削加工時におけるドリル1の先端部と被加工物との接触面積を減らして切削抵抗を減少させるためのものであり、図2(a)に示すように、ドリル1の先端部を除去して形成されると共に、切れ刃5の回転方向A後方側に連接して設けられている。これにより、切削加工時には、ドリル1と被加工物との間に隙間が生じるので、ドリル1と被加工物との摩擦が低減して切削抵抗が減少する。
【0044】
なお、本実施の形態では、図2(a)に示すように、2枚の切れ刃5に対応して2つの逃げ面9がそれぞれ凹設され、それら2つの逃げ面9がドリル1の軸心Oに対して対称に設けられている。
【0045】
ここで、上述したようにドリル1の先端部に逃げ面9を設けた場合でも、2つの逃げ面9が交差する稜線、いわゆるチゼルエッジ11の長さは依然長いままであり、切削加工時には、ドリル1の先端部と被加工物との接触面積が大きくなるので、十分に切削抵抗を減少させることができない。そこで、図2(a)に示すように、逃げ面9の回転方向A後方側には、その逃げ面9に連接してシンニング10が溝4と交差するまで延設されている。
【0046】
シンニング10は、逃げ面9と組み合わされて切削抵抗を相乗的に減少させるためのものであり、図2(a)に示すように、ドリル1の先端部を逃げ面9よりも更に除去して形成されている。これにより、チゼルエッジ11の長さが短くなり、切削加工時には、ドリル1の先端部と被加工物との接触面積が減るので、その結果、切削抵抗が減少する。
【0047】
なお、本実施の形態では、図2(a)に示すように、2つの逃げ面9に対応して2つのシンニング10がそれぞれ凹設され、それら2つのシンニング10がドリル1の軸心Oに対して対称に設けられている。また、図2(a)に示すように、逃げ面9とシンニング10とが交差する稜線間の寸法である入り組み寸法Xが0.4mmに設定されている。
【0048】
また、ドリル1の先端部にシンニング10を設けることによって、そのドリル1の先端部には、図2(a)に示すように、切れ刃5に連接してシンニング刃12が形成されている。シンニング刃12は、切れ刃5と同様に加工機械から伝達される回転力によって回転して被加工物を切削するためのものであり、図2(a)に示すように、2つのシンニング10に対応して2枚のシンニング刃12がそれぞれ形成され、それら2枚のシンニング刃12がドリル1の軸心Oに対して対称に設けられている。
【0049】
また、このシンニング刃12は、図2(a)に示すように、ドリル1の軸心O側に位置する第1シンニング刃12aと、その第1シンニング刃12aよりも切れ刃5側に位置する第2シンニング刃12bとを備えて構成されている。
【0050】
第1シンニング刃12aは、被加工物に加工する穴の中心部を切削するためのものであり、図2(a)に示すように、ドリル1の先端方向視において略直線状に形成され、連接する切れ刃5となす中心角α1が53度に設定されている。なお、本実施の形態では、中心角α1が53度に設定されているが、必ずしもこれに限られるものではなく、50度以上かつ55度以下の範囲内に設定することが望ましい。
【0051】
即ち、中心角α1が50度より小さい場合には、被加工物への食い付き性が低下してドリル1が振動を生じ易くなる。これに対し中心角α1を50度以上とすることで、被加工物への食い付き性を向上させることができるので、ドリル1の振動を防止でき、その結果、加工精度の向上を図ることができる。
【0052】
一方、中心角α1が55度より大きい場合には、逃げ面9との隙間が減少して切り屑排出性が低下する。これに対し中心角α1を55度以下とすることで、切り屑排出性を向上させることができるので、第1シンニング刃12aのチッピングを防止でき、その結果、工具寿命の向上を図ることができる。
【0053】
また、この第1シンニング刃12aは、図2(b)に示すように、ドリル1の軸心Oとなす角であるすくい角γ1が0度に設定されている。なお、本実施の形態では、すくい角γ1が0度に設定されているが、必ずしもこれに限られるものではなく、−5度以上かつ5度以下の範囲内に設定することが望ましい。
【0054】
即ち、すくい角γ1が−5度より小さい場合には、切削加工時における切削抵抗が増大してドリル1が振動を生じ易くなる。これに対し、すくい角γ1を−5度以上とすることで、切削抵抗を減少させることができるので、ドリル1の振動を防止でき、その結果、加工精度の向上を図ることができる。
【0055】
一方、すくい角γ1が5度より大きい場合には、第1シンニング刃12aの強度が低下してチッピングを生じ易くなる。これに対し、すくい角γ1を5度以下とすることで、第1シンニング刃12aの強度を高めることができるので、チッピングを防止でき、その結果、工具寿命の向上を図ることができる。
【0056】
なお、本実施の形態では、図2(a)に示すように、2枚の第1シンニング刃12a間の最短寸法である切れ刃間隔Yが0.2mmに設定されている。
【0057】
第2シンニング刃12bは、第1シンニング刃12aよりもドリル1の外周側、即ち、切れ刃5側に位置し、第1シンニング刃12aによって被加工物に加工する穴の中心部よりも外周部を切削するためのものであり、図2(a)に示すように、ドリル1の先端方向視において略直線状に形成され、連接する切れ刃5となす中心角α2が27度に設定されている。なお、本実施の形態では、中心角α2が27度に設定されているが、必ずしもこれに限られるものではなく、25度以上かつ30度以下の範囲内に設定することが望ましい。
【0058】
即ち、中心角α2が25度より小さい場合には、被加工物への食い付き性が低下してドリル1が振動を生じ易くなる。これに対し中心角α2を25度以上とすることで、被加工物への食い付き性を向上させることができるので、ドリル1の振動を防止でき、その結果、加工精度の向上を図ることができる。
【0059】
一方、中心角α2が30度より大きい場合には、逃げ面9との隙間が減少して切り屑排出性が低下する。これに対し中心角α2を30度以下とすることで、切り屑排出性を向上させることができるので、第2シンニング刃12bのチッピングを防止でき、その結果、工具寿命の向上を図ることができる。
【0060】
また、この第2シンニング刃12bは、図2(c)に示すように、ドリル1の軸心Oとのなす角であるすくい角γ2が15度に設定されている。なお、本実施の形態では、すくい角γ2が15度に設定されているが、必ずしもこれに限られるものではなく、上述したねじれ角βの1/5倍以上かつ1/2倍以下の範囲内に設定することが望ましい。
【0061】
即ち、すくい角γ2がねじれ角βの1/5倍より小さい場合には、切削加工時における切削抵抗が増大してドリル1が振動を生じ易くなる。これに対し、すくい角γ2をねじれ角βの1/5以上とすることで、切削抵抗を減少させることができるので、ドリル1の振動を防止でき、その結果、加工精度の向上を図ることができる。
【0062】
一方、すくい角γ2がねじれ角βの1/2倍より大きい場合には、第2シンニング刃12bの強度が低下してチッピングを生じ易くなる。これに対し、すくい角γ2をねじれ角βの1/2以上とすることで、第2シンニング刃12bの強度を高めることができるので、チッピングを防止でき、その結果、工具寿命の向上を図ることができる。
【0063】
また、上述した第2シンニング刃12bのすくい角γ2は、ねじれ角βに比例して設定されているので、その第2シンニング刃12bのすくい角γ2を被加工物の材質に合った最適なすくい角とすることができる。即ち、ねじれ角βは、一般に、被加工物の材質に合わせて設定されるため、すくい角γ2をねじれ角βに比例して設定することによって、例えば、ねじれ角βが強ねじれに設定される硬質の被加工物に対しては、ねじれ角βと同様にすくい角γ2を大きく設定することができ、切削抵抗を減少させるべく硬質の被加工物の切削加工に最適なすくい角とすることができる。
【0064】
なお、第2シンニング刃12bのすくい角γ2は、特に、ねじれ角βの1/3倍以上かつ1/2倍以下の範囲内に設定することによって、より一層、被加工物の材質に合った最適なすくい角とすることができる。
【0065】
更に、第2シンニング刃12bは、図2(a)に示すように、ドリル1の先端方向視において第1シンニング刃12aと連接する連接部Pがドリル1の軸心Oを中心とした直径1.85mmの円上に位置している。なお、本実施の形態では、連接部Pがドリル1の軸心Oを中心とした直径1.85mmの円上に位置しているが、必ずしもこれに限られるものではなく、ドリル1の外径Dの1/4倍以上かつ1/3倍以下の範囲内の円上に位置することが望ましい。
【0066】
即ち、連接部Pがドリル1の外径Dの1/4倍より小さい円上に位置する場合には、第1シンニング刃12aの範囲が狭くなり第2シンニング刃12bにチッピングを生じやすくなる。これに対し、連接部Pの位置をドリル1の外径Dの1/4倍以上の円上とすることで、第1シンニング刃12aの範囲を広くできるので、第2シンニング刃12bのチッピングを防止でき、その結果、工具寿命の向上を図ることができる。
【0067】
一方、連接部Pがドリル1の外径Dの1/3倍より大きい円上に位置する場合には、第2シンニング刃12bの範囲が狭くなり切削抵抗が増大する。これに対し、連接部Pの位置をドリル1の外径Dの1/3倍以下の円上とすることで、第2シンニング刃12bの範囲を広くできるので、切削抵抗を減少させることができ、その結果、加工精度の向上を図ることができる。
【0068】
なお、請求項2及び請求項4に記載のボデーの先端方向視とは、図1の矢印II方向視が該当する。
【0069】
次に、上述のように構成されるドリル1を用いて行った切削試験について説明する。切削試験は、ドリル1によって所定の切削条件で被加工物に穴あけ加工を行うことにより、切削加工時にドリル1が受ける切削抵抗の軸心O方向(図1左右方向)の分力、いわゆるスラスト抵抗を測定すると共に、ドリル1の外周コーナ摩耗量を測定する試験である。
【0070】
なお、切削試験の詳細諸元は、被加工物:JIS−S50C、使用機械:横型マシニングセンタ、切削油剤:水溶性切削油剤、切削速度:22m/min、送り速度:140mm/min、加工深さ:100mm(止まり穴)、ステップ送り:20mm→30mm→30mm→20mmである。
【0071】
また、切削試験には、本実施の形態で説明したドリル1(以下、「本発明品」と称す。)と、シンニング刃のすくい角がボデーの軸心側から切れ刃側にかけて一定に設定されているドリル(以下、「従来品」と称す。)とを用いて行った。但し、本発明品と従来品とは、シンニング刃の構成のみが異なり、他の構成については同一構成とされている。なお、従来品のシンニング刃は、ドリルの先端方向視において略直線状に形成され、連接する切れ刃となす中心角が55度に設定されると共に、ドリルの軸心となす角であるすくい角が0度に設定されている。
【0072】
ここで、図3を参照して、切削試験の試験結果について説明する。図3は、切削試験の試験結果を示すグラフであり、図3(a)は、本発明品でのスラスト抵抗を、図3(b)は、従来品でのスラスト抵抗を、図3(c)は、本発明品および従来品の外周コーナ摩耗量を、それぞれ示すグラフである。なお、図3(c)では、加工した穴の個数に対する外周コーナの摩耗量を示している。
【0073】
切削試験の試験結果によれば、図3(a)及び図3(b)に示すように、本発明品は、従来品に対し、スラスト抵抗を減少させることができたことを容易に理解できる。具体的には、本発明品でのスラスト抵抗の平均値は876Nであったのに対し、従来品でのスラスト抵抗の平均値は1155Nであった。
【0074】
また、図3(c)に示すように、本発明品は、従来品に対し、外周コーナ摩耗量を低減させることができたことを容易に理解できる。具体的には、本発明品での外周コーナ摩耗量は、加工穴数が300個に達した時点でも0.23mmであったのに対し、従来品での外周コーナ摩耗量は、加工穴数が210個に達した時点で0.35mmであった。
【0075】
上述したように、本実施の形態におけるドリル1によれば、シンニング刃12は、すくい角がボデー3の軸心O側と切れ刃5側とで変化すると共に、そのシンニング刃12のすくい角は、切れ刃5側のすくい角がボデー3の軸心O側のすくい角よりも大きい正の角度に設定されている。
【0076】
ここで、シンニング刃12のすくい角は、一般に、その角度が大きいほど、被加工物への食い付き性を向上させることができ切削抵抗を減少させることができる一方、角度が大きいと、シンニング刃12の強度が低下してチッピングを生じ易くなる。
【0077】
これに対し、本実施の形態におけるドリル1によれば、切削加工時において周速が遅く切削抵抗が大きいボデー3の軸心O側のすくい角を切れ刃5側のすくい角よりも小さい角度に設定することで、切削抵抗に耐え得る強度をシンニング刃12に持たせつつも、切れ刃5側のすくい角をボデー3の軸心O側のすくい角よりも大きい角度に設定することで、切削加工が進行して所定の切り込み深さに達した後には、被加工物への食い付き性を向上させることができる。
【0078】
よって、シンニング刃12のチッピングを防止して工具寿命の向上を図りつつも、被加工物への食い付き性を向上させて切削加工時における切削抵抗の減少を図ることができる。これにより、工具寿命の向上と切削抵抗の減少との両立を図ることができる。
【0079】
また、本実施の形態におけるドリル1では、シンニング刃12は、ボデー3の軸心O側に位置する第1シンニング刃12aと、その第1シンニング刃12aよりも切れ刃5側に位置する第2シンニング刃12bとを備え、その第2シンニング刃12bのすくい角γ2が第1シンニング刃12aのすくい角γ1よりも大きい正の角度に設定されているので、第1シンニング刃12aによって切削抵抗に耐え得る強度を持たせつつも、切削加工が進行して所定の切り込み深さに達した後には、第2シンニング刃12bによって被加工物への食い付き性を向上させることができる。
【0080】
よって、シンニング刃12のチッピングを防止して工具寿命の向上を図りつつも、被加工物への食い付き性を向上させて切削加工時における切削抵抗の減少を図ることができる。
【0081】
また、シンニング刃12をボデー3の先端方向視において略直線状とした場合でも、第1シンニング刃12aと第2シンニング刃12bとを備えているので、ボデー3の軸心O側と切れ刃5側とですくい角が変化するシンニング刃12を容易に加工することができる。
【0082】
次に、図4を参照して、第2実施の形態におけるドリル101について説明する。図4(a)は、本発明の第2実施の形態におけるドリル101の正面図であり、図4(b)は、図4(a)のIVb−IVb線におけるドリル101の拡大断面図である。なお、第2実施の形態において第1実施の形態と同一の部分については、同一の符号を付してその説明及び図示を省略する。
【0083】
第1実施の形態におけるドリル1では、シンニング刃12が第1シンニング刃12aと第2シンニング刃12bとを備え、それら第1シンニング刃12a及び第2シンニング刃12bがドリル1の先端方向視においてそれぞれ略直線状に形成される場合を説明したが、第2実施の形態におけるドリル101は、図4に示すように、シンニング刃112がドリル101の先端方向視において円弧状に形成されている。
【0084】
シンニング刃112は、切れ刃5と同様に加工機械から伝達される回転力によって回転して被加工物を切削するためのものであり、図4(a)に示すように、2つの逃げ面9に対応して2枚のシンニング刃112がそれぞれ凹設され、それら2枚のシンニング刃112がドリル101の軸心Oに対して対称に設けられている。
【0085】
また、このシンニング刃112は、図4(a)に示すように、ドリル101の先端方向視において円弧状に形成されている。更に、ドリル101の軸心Oとなす角であるすくい角が軸心Oから切れ刃5に向かうにつれて変化するように、切れ刃5側のすくい角が軸心O側のすくい角よりも大きい正の角度に設定され、図4(b)に示すように、切れ刃5と連接する連接部Qにおけるすくい角γ3が15度に設定されている。
【0086】
なお、本実施の形態では、すくい角γ3が15度に設定されているが、必ずしもこれに限られるものではなく、ねじれ角βの1/5倍以上かつ1/2倍以下の範囲内に設定することが望ましい。
【0087】
即ち、すくい角γ3がねじれ角βの1/5倍より小さい場合には、切削加工時における切削抵抗が増大してドリル1が振動を生じ易くなる。これに対し、すくい角γ3をねじれ角βの1/5以上とすることで、切削抵抗を減少させることができるので、ドリル101の振動を防止でき、その結果、加工精度の向上を図ることができる。
【0088】
一方、すくい角γ3がねじれ角βの1/2倍より大きい場合には、シンニング刃112の強度が低下してチッピングを生じ易くなる。これに対し、すくい角γ3をねじれ角βの1/2以上とすることで、シンニング刃112の強度を高めることができるので、チッピングを防止でき、その結果、工具寿命の向上を図ることができる。
【0089】
また、上述したシンニング刃112のすくい角γ3は、シンニング刃112と切れ刃5との連接部Qにおける角度として設定されているので、切削加工時において周速が遅く切削抵抗が大きいボデー3の軸心O側のシンニング刃112に対しては切削抵抗に耐え得る強度を持たせつつも、切削加工が進行して所定の切り込み深さに達した後には、被加工物への食い付き性を向上させることができる。
【0090】
更に、上述したシンニング刃112と切れ刃5との連接部Qにおけるシンニング刃112のすくい角γ3は、ねじれ角βに比例して設定されているので、そのシンニング刃112のすくい角γ3を被加工物の材質に合った最適なすくい角とすることができる。即ち、ねじれ角βは、一般に、被加工物の材質に合わせて設定されるため、すくい角γ3をねじれ角βに比例して設定することによって、例えば、ねじれ角βが強ねじれに設定される硬質の被加工物に対しては、ねじれ角βと同様にすくい角γ3を大きく設定することができ、切削抵抗を減少させるべく硬質の被加工物の切削加工に最適なすくい角とすることができる。
【0091】
なお、連接部Qにおけるシンニング刃112のすくい角γ3は、特に、ねじれ角βの1/3倍以上かつ1/2倍以下の範囲内に設定することによって、より一層、被加工物の材質に合った最適なすくい角とすることができる。
【0092】
上述したように、本実施の形態におけるドリル101によれば、シンニング刃112は、すくい角がボデー3の軸心O側から切れ刃5側に向かうにつれて変化すると共に、そのシンニング刃112のすくい角は、切れ刃5側のすくい角がボデー3の軸心O側のすくい角よりも大きい正の角度に設定されているので、切削抵抗に耐え得る強度をシンニング刃112に持たせつつも、切削加工が進行して所定の切り込み深さに達した後には、被加工物への食い付き性を向上させることができる。
【0093】
よって、シンニング刃112のチッピングを防止して工具寿命の向上を図りつつも、被加工物への食い付き性を向上させて切削加工時における切削抵抗の減少を図ることができる。
【0094】
また、シンニング刃112をボデー3の先端方向視において円弧状としたので、そのシンニング刃112のすくい角をボデー3の軸心O側から切れ刃5側に向かうにつれて連続的に変化させることができる。よって、シンニング刃112をボデー3の先端方向視において略直線状とする場合と比較して、切削抵抗の減少を図ることができる。
【0095】
以上、実施の形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定される物ではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。
【0096】
例えば、上記各実施の形態で挙げた数値は一例であり、他の数値を採用することは当然可能である。
【0097】
また、上記各実施の形態では、ドリル1,101が2枚の切れ刃5を備える2枚刃として構成される場合を説明したが、必ずしもこれに限定されるものではなく、例えば、3枚刃、或いは、4枚刃以上として構成しても良い。
【0098】
また、上記第1実施の形態では、シンニング刃12が第1シンニング刃12aと第2シンニング刃12bとを備える場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、例えば、第2シンニング刃12bに連接し、その第2シンニング刃12bよりも切れ刃5側に位置する第3シンニング刃を備えて構成しても良い。この場合には、第3シンニング刃のすくい角を第2シンニング刃12bのすくい角γ2よりも大きく設定することによって、工具寿命の向上を図りつつも、切削加工時における切削抵抗の減少を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0099】
【図1】本発明の第1実施の形態におけるドリルの側面図である。
【図2】(a)は、図1の矢印II方向視におけるドリルの正面図であり、(b)は、図2(a)のIIb−IIb線におけるドリルの拡大断面図であり、(c)は、図2(a)のIIc−IIc線におけるドリルの拡大断面図である。
【図3】切削試験の試験結果を示すグラフであり、(a)は、本発明品でのスラスト抵抗を、(b)は、従来品でのスラスト抵抗を、(c)は、本発明品および従来品の外周コーナ摩耗量を、それぞれ示すグラフである。
【図4】(a)は、本発明の第2実施の形態におけるドリルの正面図であり、(b)は、図4(a)のIVb−IVb線におけるドリルの拡大断面図である。
【符号の説明】
【0100】
1,101 ドリル
3 ボデー
4 溝
5 切れ刃
10 シンニング
12,112 シンニング刃
12a 第1シンニング刃(シンニング刃の一部)
12b 第2シンニング刃(シンニング刃の一部)
O 軸心
Q 連接部
β ねじれ角
γ1 すくい角(第1シンニング刃のすくい角)
γ2 すくい角(第2シンニング刃のすくい角)
γ3 すくい角

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸心回りに回転される円柱状のボデーと、そのボデーの先端部に形成される切れ刃と、前記ボデーの先端部にシンニングを設けることにより前記切れ刃に連接して前記ボデーの軸心側に形成されるシンニング刃とを備えるドリルにおいて、
前記シンニング刃は、そのシンニング刃と前記ボデーの軸心とがなす角であるすくい角が前記ボデーの軸心側と前記切れ刃側とで変化すると共に、前記シンニング刃のすくい角は、前記切れ刃側のすくい角が前記ボデーの軸心側のすくい角よりも大きい正の角度に設定されていることを特徴とするドリル。
【請求項2】
前記シンニング刃は、前記ボデーの軸心側に位置すると共に前記ボデーの先端方向視において略直線状に形成される第1シンニング刃と、その第1シンニング刃よりも前記切れ刃側に位置すると共に前記ボデーの先端方向視において略直線状に形成される第2シンニング刃とを備え、
その第2シンニング刃のすくい角は、前記第1シンニング刃のすくい角よりも大きい正の角度に設定されていることを特徴とする請求項1記載のドリル。
【請求項3】
前記切れ刃のすくい面を構成すると共に前記ボデーの外周面に凹設される螺旋状の溝と、
その溝の回転方向後方側の壁面と前記ボデーの外周面とが交差する稜線部に形成されるリーディングエッジとを備え、
前記第2シンニング刃のすくい角は、前記ボデーの軸心と前記リーディングエッジとがなす角であるねじれ角の1/5倍以上かつ1/2倍以下の範囲内の角度に設定されていることを特徴とする請求項2に記載のドリル。
【請求項4】
前記シンニング刃は、前記ボデーの先端方向視において円弧状に形成されると共に、前記すくい角が前記ボデーの軸心側から前記切れ刃側に向かうにつれて変化すると共に、前記シンニング刃のすくい角は、前記切れ刃側のすくい角が前記ボデーの軸心側のすくい角よりも大きい正の角度に設定されていることを特徴とする請求項1記載のドリル。
【請求項5】
前記切れ刃のすくい面を構成すると共に前記ボデーの外周面に凹設される螺旋状の溝と、
その溝の回転方向後方側の壁面と前記ボデーの外周面とが交差する稜線部に形成されるリーディングエッジとを備え、
前記シンニング刃のすくい角は、前記シンニング刃と前記切れ刃との連接部において、前記ボデーの軸心と前記リーディングエッジとがなす角であるねじれ角の1/5倍以上かつ1/2倍以下の範囲内の角度に設定されていることを特徴とする請求項4に記載のドリル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−93805(P2008−93805A)
【公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−280765(P2006−280765)
【出願日】平成18年10月13日(2006.10.13)
【出願人】(000103367)オーエスジー株式会社 (180)
【Fターム(参考)】