ネイルプリント装置
【課題】装置の小型化、軽量化を実現しつつ、長さの異なる複数の指でも互いに各爪を揃えて印刷を行うことのできるネイルプリント装置を提供する。
【解決手段】
印刷指U1と非印刷指U2とで挟持可能な掴み部20cは、人差し指から小指までの4つの指と他方の手の親指との各爪Ta,Tbが指挿入方向Yにおいて揃えた位置で印刷可能とするために、印刷指挿入部20aに挿入された人差し指から小指までの4つの指の位置決めが可能な第1の指位置決め部201と、この第1の指位置決め部201の端部よりもその端部が印刷指U1の挿入方向奥側にずれた位置に配置され、印刷指挿入部20aに挿入された他方の手の親指の位置決めが可能な第2の指位置決め部202とを備えている。
【解決手段】
印刷指U1と非印刷指U2とで挟持可能な掴み部20cは、人差し指から小指までの4つの指と他方の手の親指との各爪Ta,Tbが指挿入方向Yにおいて揃えた位置で印刷可能とするために、印刷指挿入部20aに挿入された人差し指から小指までの4つの指の位置決めが可能な第1の指位置決め部201と、この第1の指位置決め部201の端部よりもその端部が印刷指U1の挿入方向奥側にずれた位置に配置され、印刷指挿入部20aに挿入された他方の手の親指の位置決めが可能な第2の指位置決め部202とを備えている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネイルプリント装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ネイルプリント装置は、印刷しようとする爪の指を、装置本体に設けた指載置台に位置決めし、この位置決めした指の爪に画像を印刷するプリント装置である。
従来ネイルプリント装置は、指を1本ずつ装置内にセットして印刷するものが多かったが、近時、指の固定法や指の種類を識別する技術の向上等により複数本の指を一時に印刷することが可能なネイルプリント装置が開発されるに至っている(例えば、特許文献1参照)。
このように複数の指の爪に対応して印刷できるようにするためには、印刷対象となる全ての指の爪が印刷手段の印刷可能範囲に含まれるように印刷手段を設ける必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2003−534083号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、人の指は長さに違いがあり、特に親指とその他の4本の指(人差し指から小指)とでは、爪の位置が指の長さ方向に大きくずれている。
このため、印刷対象となる全ての指の爪に対応して印刷可能とするためには、印刷手段の印刷可能範囲を広くしなければならず、印刷手段の大型化、ひいてはネイルプリント装置全体の大型化、重量化、高コスト化を招くという問題があった。
【0005】
本発明は以上のような事情に鑑みてなされたものであり、装置の小型化、軽量化を実現しつつ、長さの異なる複数の指でも互いに各爪を揃えて印刷を行うことのできるネイルプリント装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、請求項1に記載のネイルプリント装置は、
印刷を行おうとする爪に対応する指が印刷指として挿入される印刷指挿入部と、
前記印刷指挿入部の近傍位置に設けられ印刷を行なわない指が非印刷指として挿入される非印刷指挿入部と、
前記印刷指挿入部と前記非印刷指挿入部との間に設けられ、且つ、前記印刷指挿入部に挿入された前記印刷指と前記非印刷指挿入部に挿入された前記非印刷指とで挟持可能な掴み部と、
前記印刷指挿入部に挿入された前記印刷指の爪に印刷を施す印刷手段とを備え、
前記掴み部は、
前記印刷指挿入部に挿入された人差し指から小指までの4つの指と前記非印刷指挿入部に挿入された他の指との付け根を端部に突き当てることにより、前記人差し指から小指までの4つの指の位置決めが可能な第1の指位置決め部と、
この第1の指位置決め部の端部よりもその端部が印刷指の挿入方向奥側にずれた位置に配置され、前記印刷指挿入部に挿入された親指と前記非印刷指挿入部に挿入された他の指との付け根を端部に突き当てることにより、前記親指の位置決めが可能な第2の指位置決め部とを備えていることを特徴としている。
【0007】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のネイルプリント装置において、
前記第1の指位置決め部は、前記掴み部の幅方向の中央部に位置し、この第1の指位置決め部の左右両側に前記第2の指位置決め部が配置されていることを特徴としている。
【0008】
また、請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載のネイルプリント装置において、
前記第1の指位置決め部は、その幅寸法が、前記印刷指挿入部に挿入される人差し指から小指までの4つの指の左右幅の寸法よりも短い寸法に形成されていることを特徴としている。
【0009】
また、請求項4に記載の発明は、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のネイルプリント装置において、
前記第2の指位置決め部は、前記印刷指挿入部に挿入される親指の付け根に沿うように平面視湾曲形状に形成されていることを特徴としている。
【0010】
また、請求項5に記載の発明は、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のネイルプリント装置において、
前記掴み部は、幅方向の両端部に前記第2の指位置決め部を有する掴み部本体と、この掴み部本体の幅方向の中央部に当該掴み部本体に対して前記印刷指挿入部への印刷指の挿入方向手前側に引き出し可能に設けられ引き出し状態において前記第1の指位置決め部を構成する引き出し板と、を備えていることを特徴としている。
【0011】
また、請求項6に記載の発明は、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のネイルプリント装置において、
前記掴み部は、幅方向の両端部に前記第2の指位置決め部を有する掴み部本体と、この掴み部本体の幅方向の中央部の端部に、当該掴み部本体の前記印刷指挿入部への印刷指の挿入方向手前側に延出する延出状態から前記掴み部本体と重なり合う重畳状態まで回動可能に構成され前記延出状態において前記第1の指位置決め部を構成する回動板と、を備えていることを特徴としている。
【0012】
また、請求項7に記載の発明は、請求項1から請求項6のいずれか一項に記載のネイルプリント装置において、
前記印刷手段による印刷開始指示を入力する印刷開始指示手段と、
この印刷開始指示手段から印刷開始指示が入力されてから、予め定められている時間経過後に印刷処理を開始するように前記印刷手段を制御する印刷制御手段と、を備えていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、親指の位置決めをする第2の指位置決め部を、その他の4本の指(人差し指から小指)の位置決めをする第1の指位置決め部との端部の位置よりも印刷指の挿入方向奥側にずらして配置しているため、爪の位置が指の長さ方向に大きくずれている親指とその他の4本の指との指の長さ方向における爪の位置をそろえることができる。
このため、親指の爪とその他の4本の指の爪とを1つの装置で印刷する場合にも、印刷可能範囲を広くする必要がなく、印刷手段の小型化、軽量化、ひいてはネイルプリント装置全体の小型化、軽量化、低コスト化を実現することができるとの効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係るネイルプリント装置の一実施形態を概念的に示した斜視図で、蓋体を開いた状態を示している。
【図2】図1のネイルプリント装置の装置本体を概念的に示した斜視図である。
【図3】第1の実施形態の掴み部の平面図であり、(a)は、第1の指位置決め部により左手の人差し指から小指を位置決めし第2の指位置決め部により右手の親指を位置決めした状態を示した図であり、(b)は、第1の指位置決め部により右手の人差し指から小指を位置決めし第2の指位置決め部により左手の親指を位置決めした状態を示した図である。
【図4】図1のネイルプリント装置の要部である印刷指固定手段を示した断面図で、印刷指として人差し指から小指を印刷指挿入部に挿入した際の固定態様を示している。
【図5】図1のネイルプリント装置の印刷指挿入部に印刷指として左手の人差し指から小指と右手の親指とを挿入した状態を示した斜視図である。
【図6】図1のネイルプリント装置の正面側の断面図である。
【図7】図1のネイルプリント装置の側断面図である。
【図8】本実施形態に係るネイルプリント装置の制御構成を示した要部ブロック図である。
【図9】図3の掴み部の一変形例の平面図であり、(a)は、第1の指位置決め部により左手の人差し指から小指を位置決めし第2の指位置決め部により右手の親指を位置決めした状態を示した図であり、(b)は、第1の指位置決め部により右手の人差し指から小指を位置決めし第2の指位置決め部により左手の親指を位置決めした状態を示した図である。
【図10】図3の掴み部の一変形例の平面図であり、(a)は、第1の指位置決め部により左手の人差し指から小指を位置決めし第2の指位置決め部により右手の親指を位置決めした状態を示した図であり、(b)は、第1の指位置決め部により右手の人差し指から小指を位置決めし第2の指位置決め部により左手の親指を位置決めした状態を示した図である。
【図11】第2の実施形態の掴み部の平面図であり、(a)は、第1の指位置決め部により左手の人差し指から小指を位置決めし第2の指位置決め部により右手の親指を位置決めした状態を示した図であり、(b)は、第1の指位置決め部により右手の人差し指から小指を位置決めし第2の指位置決め部により左手の親指を位置決めした状態を示した図である。
【図12】(a)は、第3の実施形態の掴み部の断面図であり、(b)は、(a)の掴み部を上から見た平面図である。
【図13】(a)は、図12の掴み部から引き出し板を引き出した状態を示す断面図であり、(b)は、(a)の掴み部を上から見た平面図である。
【図14】(a)は、第4の実施形態の掴み部の断面図であり、(b)は、(a)の掴み部を上から見た平面図である。
【図15】(a)は、図14の掴み部から引き出し板を引き出した状態を示す断面図であり、(b)は、(a)の掴み部を上から見た平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[第1の実施の形態]
先ず、図1から図9を参照しつつ、本発明に係るネイルプリント装置の第1の実施形態について説明する。
【0016】
図1は、本実施形態におけるネイルプリント装置の外観を示す斜視図であり、図2は、ネイルプリント装置の内部構成を示す斜視図である。
図1に示すように、このネイルプリント装置1は、ケース本体2及び蓋体4を備えている。このケース本体2及び蓋体4は、ケース本体2の上面後端部に設けたヒンジ3を介して、互いに連結されている。
【0017】
上記ケース本体2は平面視で長円状に形成されている。このケース本体2には前側には開閉板2cが起倒可能に設けられている。この開閉板2cは、ケース本体2の前面下端部に設けたヒンジ(図示せず)を介して、ケース本体2に連結されている。この開閉板2cは、ケース本体2の前面を開閉するためのものである。
また、ケース本体2の天板2fの中央部には後述する操作部12が設置されている。
なお、ケース本体2及び蓋体4の形状、構成はここに例示したものに限定されない。
【0018】
また、ケース本体2にはネイルプリント装置1の装置本体10が収容されている。この装置本体10は、図2に示す印刷指固定手段を構成している印刷指固定部20、撮影手段を構成している撮影部30、印刷手段を構成している印刷部40及び制御手段を構成している制御手段50(図8参照)を備えている。これら印刷指固定部20、撮影部30、印刷部40及び制御装置50は機枠11に設けられている。
なお、機枠11は下部機枠11a及び上部機枠11bによって構成されている。そして、下部機枠11aは箱状に形成され、ケース本体2の内部下方に設置され、上部機枠11bは下部機枠11aの上方で且つケース本体2の内部上方に設置されている。
【0019】
印刷指固定部20は、機枠11の中の下部機枠11aに設けられている。この下部機枠11aに設けられた印刷指挿入部20a、非印刷指挿入部20b及び掴み部20cによって印刷指固定部20が構成されている。
ここで、印刷指挿入部20aは、印刷しようとする爪Tに対応する指(以下「印刷指」という。)U1を挿入するめための指挿入部である(図4参照)。
また、非印刷指挿入部20bは、印刷指以外の指(以下「非印刷指」という。)U2を挿入するための指挿入部である(図4参照)。
また、掴み部20cは、印刷指挿入部20aに挿入された印刷指U1と、非印刷指挿入部20bに挿入された非印刷指U2とで挟持することが可能な部分である。本実施形態において、この掴み部20cは印刷指挿入部20aと非印刷指挿入部20bとを仕切る隔壁21によって構成されている。
【0020】
この掴み部20cの上面は平坦な印刷指載置面を構成している。この掴み部20cの指挿入側端部には膨出部22が形成されている。この膨出部22は、印刷指挿入部20a及び非印刷指挿入部20bに印刷指U1及び非印刷指U2を深く挿入した際に、印刷指U1及び非印刷指U2の付け根U3が当接する部分に形成されている。膨出部22は、印刷指U1の腹全体が印刷指載置面に当接した状態で、印刷指U1と非印刷指U2とで掴み部20cを強く挟持することができるように、指挿入方向の断面が、掴み部20cの下面から下方に向けて膨出するように円形となっている。なお、膨出部22の形状は、断面円形に限定されることなく、断面楕円形,多角形等の非円形であってもよい。
【0021】
図1及び図2等に示すように、本実施形態において、掴み部20cの幅方向の中央部には、印刷指挿入部20aに挿入された印刷指U1である人差し指から小指までの4つの指と非印刷指挿入部20bに挿入された非印刷指U2であるその他の指(すなわち、親指)との付け根U3を端部に突き当てることによって、人差し指から小指までの4つの指の位置決めを行うことが可能な第1の指位置決め部201が配置されている。
本実施形態において、第1の指位置決め部201の幅方向Xの長さ寸法は、印刷指挿入部20aに挿入される人差し指から小指までの4つの指の左右幅の寸法とほぼ同じか、これよりも多少大きい寸法となっている。
【0022】
また、掴み部20cには、第1の指位置決め部201の左右両側に、印刷指挿入部20aに挿入された印刷指U1である親指と非印刷指挿入部20bに挿入された非印刷指U2であるその他の指(すなわち、人差し指から小指までの4つの指)との付け根U3を端部に突き当てることによって、印刷指挿入部20aに挿入された親指の位置決めを行うことが可能な第2の指位置決め部202が配置されている。
なお、本実施形態において、第1の指位置決め部201とこの左右に配置された第2の指位置決め部202とを合わせた幅方向Xの長さ寸法は、200mm程度となっている。
【0023】
第2の指位置決め部202は、第1の指位置決め部201の端部よりもその端部が印刷指の挿入方向Yの奥側にずれた位置に配置されている。第2の指位置決め部202の端部を第1の指位置決め部201の端部に対してどの程度ずらすかは特に限定されないが、親指の爪Tbと他の4本の指の各爪Taの位置がほぼ横方向に並ぶ程度となることが好ましい。
この点、人間の手は親指が他の4本の指に比べて短く、掴み方や個人差はあるものの、親指と他の4本の指とでは、その長さに40〜75mmの差がある。そこで、このような指の長さの差を考慮して、第2の指位置決め部202の端部は第1の指位置決め部201の端部よりも40〜75mm程度、印刷指U1の挿入方向Yの奥側にずれていることが好ましい。
【0024】
図3(a)は、掴み部20cの第1の指位置決め部201に左手の4つの指(人差し指、中指、薬指、小指)を位置決めし、この第1の指位置決め部201の右側に配置された第2の指位置決め部202に右手の親指を位置決めした状態を示した図である。また、図3(b)は、掴み部20cの第1の指位置決め部201に右手の4つの指(人差し指、中指、薬指、小指)を位置決めし、この第1の指位置決め部201の左側に配置された第2の指位置決め部202に左手の親指を位置決めした状態を示した図である。
本実施形態では、図3(a)及び図3(b)に示すように、第2の指位置決め部202の端部が45mm程度、第1の指位置決め部201の端部よりも印刷指U1の挿入方向Yの奥側にずれている場合を例示している。
【0025】
なお、図3(a)及び図3(b)において、二点鎖線は、従来のように、4つの指(人差し指、中指、薬指、小指)を位置決めする部分の端部と親指を位置決めする部分の端部とが印刷指U1の挿入方向Yにずれていない場合の第2の指位置決め部202に相当する部分の形状と、これに親指を位置決めしたときの親指の位置を示している。
図3(a)及び図3(b)に示すように、4つの指を位置決めする部分の端部と親指を位置決めする部分の端部とが印刷指U1の挿入方向Yにずれていない場合には、親指の爪Tbの位置と他の4本の指の各爪Taの位置とが印刷指U1の挿入方向Yに大きくずれてしまい、後述する撮影部30による撮影が可能な撮影可能領域及び、印刷部40による印刷が可能な印刷可能領域を親指の爪Tbと他の4本の指の爪Ta全てを含む領域まで拡大する必要がある。
この点、本実施形態のように親指を位置決めする第2の指位置決め部202の端部を45mm程度、第1の指位置決め部201の端部よりも印刷指の挿入方向Yの奥側にずらした場合には、親指Tb及び他の4本の指の各Taの印刷指の挿入方向Yにおける位置がほぼ揃うため、撮影部30の撮影可能領域及び印刷部40の印刷可能領域を狭くすることができる。
【0026】
図4は、左手の親指以外の4本の指(人差し指、中指、薬指及び小指)が印刷指U1となる場合における印刷指U1の固定態様の一例を具体的に示したものである。
この場合、図4に示すように、ユーザが印刷指挿入部20aに挿入された印刷指U1と、非印刷指挿入部20bに挿入された非印刷指U2とで掴み部20cを挟持することにより、印刷指U1が掴み部20cの上で固定される。
【0027】
図5は、印刷時の印刷指U1の挿入態様の一例を示したものである。
本実施形態のネイルプリント装置1では、左右一方の手の親指以外の4本の指(人差し指、中指、薬指及び小指)と他方の手の親指とが印刷指U1となる。
【0028】
図5には、左手の親指以外の4本の指と右手の親指が印刷指U1となる場合の態様が示されている。この場合、左手は親指以外の4本の指(印刷指U1)が平面的に並んだ状態で印刷指挿入部20aに挿入され掴み分20cの第1の指位置決め部201により位置決めされる。また、左手の親指(非印刷指U2)は非印刷指挿入部20bに挿入される。そして、印刷指U1と非印刷指U2とで掴み部20cを挟持することで印刷指U1である4本の指が固定される(図4参照)。他方、右手は親指(印刷指U1)が印刷指挿入部20aに挿入され掴み分20cの第2の指位置決め部202により位置決めされる。また、左手の親指以外の4本の指(非印刷指U2)は非印刷指挿入部20bに挿入される。そして、印刷指U1と非印刷指U2とで掴み部20cを挟持することで印刷指U1である親指が固定される。
【0029】
また、図6は、本実施形態に係るネイルプリント装置1の正面側の断面図であり、図7は、ネイルプリント装置1の側断面図である。
図6及び図7に示すように、撮影部30は、機枠11の中の上部機枠11bに設けられている。
すなわち、上部機枠11bに設置された基板31の中央部下面には、ドライバーを内蔵した200万画素程度以上の画素を有するカメラ32が設置されている。また、基板31には、カメラ32を囲むように白色LED等の照明灯33が設置されている。撮影部30は、このカメラ32及び照明灯33を備えて構成されている。
この撮影部30は、照明灯33によって印刷指U1を照明し、カメラ32によってその印刷指U1を撮影し、指画像を取り込むためのものである。この撮影部30は、後述する制御手段50の制御部51に接続され、該制御部51によって制御されるようになっている。
【0030】
また、印刷部40は主に上部機枠11bに設けられている。
すなわち、図2及び図6に示すように、上部機枠11bの両側板には、2本のガイドロッド41が平行に架設されている。このガイドロッド41には、主キャリッジ42が摺動自在に設置されている。また、図7に示すように、主キャリッジ42の前壁42aおよび後壁42bには2本のガイドロッド44が平行に架設されている。このガイドロッド44には、副キャリッジ45が摺動自在に設置されている。この副キャリッジ45の下面中央部には、印刷ヘッド46が搭載されている。
本実施形態において、この印刷ヘッド46は、インクを微滴化し、被印字媒体に対し直接に吹き付けて印刷を行うインクジェット方式の印刷ヘッドである。なお、印刷ヘッド46の記録方式はインクジェット方式に限定されない。
【0031】
主キャリッジ42は動力伝達手段(図示せず)を介してモータ43に連結され、モータ43の正逆回転によって、ガイドロッド41に沿って左右方向に移動ように構成されている。また、副キャリッジ45は動力伝達手段(図示せず)を介してモータ47に連結され、モータ47の正逆回転によって、ガイドロッド44に沿って前後方向に移動するように構成されている。本実施形態において、印刷ヘッド46の可動範囲がネイルプリント装置1の印刷可能範囲であり、印刷指U1に対する印刷はこの印刷可能範囲内において行われる。
また、下部機枠11aには、印刷ヘッド46にインクを供給するためのインクカートリッジ48が設けられている。インクカートリッジ48は、図示しないインク供給管を介して印刷ヘッド46と接続されており、適宜印刷ヘッド46にインクを供給するようになっている。
【0032】
印刷部40は、これらガイドロッド41、主キャリッジ42、モータ43、ガイドロッド44、副キャリッジ45、印刷ヘッド46、モータ47及びインクカートリッジ48等を備えて構成されている。
この印刷部40のモータ43、印刷ヘッド46、モータ47は、後述する制御装置50の制御部51に接続され、該制御部51によって制御されるようになっている。
【0033】
本実施形態では、印刷指U1の爪T(一方の手の4つの指の爪Taと、他方の手の親指の爪Tb)を撮影する上記撮影部30と、この撮影部30により撮影された爪領域にそれぞれ印刷を施す印刷部40とにより印刷処理手段が構成されている。
【0034】
操作部12は、ユーザが各種入力を行うための入力手段である。
操作部12には、例えば、ネイルプリント装置1の電源をONする電源スイッチ釦121a、印刷の開始指示を入力する印刷開始指示スイッチ釦121b、印刷すべきネイル画像パターンを選択するパターン選択スイッチ釦(図示せず)、その他各種の入力を行うための操作釦121が配置されている。
【0035】
また、ケース本体2の天板2fには液晶パネル(液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display))等で構成された表示部13が設けられている。なお、この表示部13の表面に、タッチパネルが一体的に構成されていてもよい。タッチパネルが構成されている場合には、図示しないスタイラスペン等によるタッチ操作により、表示部13の表面をタッチすることによっても各種の入力を行うことができるように構成されていてもよい。
【0036】
また、制御装置50は、例えば上部機枠11bに配置された基板31等に設置されている。図8は、本実施形態における制御構成を示す要部ブロック図である。
【0037】
制御装置50は、図示しないCPU(Central Processing Unit)等で構成される制御部51、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等(全て図示せず)で構成される記憶部52等を備えるコンピュータであり、ROM等には印刷すべきネイル画像パターン等のデータや印刷プログラム等の各種プログラムが格納され、制御部51はこのプログラムを実行して各部を制御するようになっている。
【0038】
特に本実施形態においては、制御部51は印刷開始指示が入力されてから所定時間経過後に印刷処理を開始するように印刷部40等を制御する印刷制御手段として機能する。
具体的には、制御部51は、印刷開始指示手段である印刷開始指示スイッチ釦121bから印刷開始指示が入力されたときは、印刷開始指示スイッチ釦121bから指示が入力されてからの時間を計時し、予め定められている時間が経過した後に印刷処理を開始するように印刷処理手段(すなわち、撮影部30、印刷部40)を制御するようになっている。
【0039】
ここで印刷処理とは、印刷指U1の爪T(一方の手の4つの指の爪Taと、他方の手の親指の爪Tb)に印刷を施すための処理であり、本実施形態では、撮影部30による印刷指U1の撮影と印刷部40による印刷である。
すなわち、印刷開始指示スイッチ釦121bが操作され印刷動作に入るときには、制御部51は、印刷部40による印刷を開始する前に、まず撮影部30を制御して印刷指U1の撮影を行わせ、印刷指U1の画像データを取得する。そして、制御部51は、撮影部30によって取得された印刷指U1の画像データに基づいて、印刷指挿入部20aに挿入されている印刷指U1の種類、当該印刷指U1の爪Tの位置・大きさ・範囲等を判断し、印刷部40による印刷の位置・範囲等を決定するようになっている。
また、制御部51は、操作部12のパターン選択スイッチ釦により選択された画像パターンをROM等の中から印刷すべきネイル画像パターンとして選択し、当該ネイル画像パターンのデータを印刷部40に出力する。
そして、制御部51により、印刷部40による印刷の位置・範囲等が決定されるとともに、印刷すべきネイル画像パターンのデータが印刷部40に出力されると、制御部51は、印刷部40を制御して印刷指U1の各爪Tに選択されたネイル画像パターンを印刷させる。
【0040】
なお、印刷開始指示スイッチ釦121bから指示が入力されてから印刷処理を開始するまでの予め定められている時間とは、特に限定されないが、ユーザが印刷開始指示スイッチ釦121bを操作してから、印刷指U1を印刷指挿入部20aに挿入し、非印刷指U2を非印刷指挿入部20bに挿入して、印刷指U1と非印刷指U2とで掴み部20cを挟持するのに要する時間を考慮して、例えば10秒程度である。
本実施形態において、制御部51はタイマー機能を備えており、印刷開始指示スイッチ釦121bから指示が入力されてからの経過時間を計時している。そして、予め設定されている時間が経過すると、印刷処理を開始するように撮影部30及び印刷部40を制御する。
なお、例えば、予め定められている時間の経過が近づくと直に印刷処理が開始される旨の音声案内(例えば「あと2秒で印刷を開始します。」等)をスピーカから発音させたり、表示部13にその旨を表示させたり、ランプを点灯させる等により、ユーザに対して印刷処理を開始するタイミングを報知するように構成してもよい。このようにした場合には、ユーザに印刷処理に対する準備や心構えができるため、より好ましい位置に印刷指U1を待機させ、より確実な指の固定を行うことができると期待できる。
【0041】
次に、本実施形態におけるネイルプリント装置1の作用を説明する。
本実施形態のネイルプリント装置1では、印刷指挿入部20aに挿入した左右の手の複数の印刷指U1の爪T(一方の手の4つの指の爪Taと、他方の手の親指の爪Tb)に同時に印刷が施される。ここで「同時に印刷」とは、一度に印刷指挿入部20aに挿入した印刷指U1を取り出すことなく印刷できることを意味している。
【0042】
印刷を行う場合、ユーザはまず、電源スイッチ52aを入れて制御装置50を起動させ、印刷指U1に印刷したいネイル画像パターン(デザイン)を選択する。選択されたネイル画像パターンは表示部13に表示されユーザが確認できるようになっていることが好ましい。ネイル画像パターンを選択すると、ユーザは印刷開始指示スイッチ釦121bから印刷開始指示を入力し、印刷指U1を印刷指挿入部20aに挿入し、非印刷指U2を非印刷指挿入部20bに挿入する。
【0043】
例えば、左手の親指以外の4本の指(人差し指から小指)の爪Taと右手の親指の爪Tbに印刷を施す場合には、左手は親指以外の4本の指(印刷指U1)が平面的に並んだ状態で印刷指挿入部20aに挿入され、印刷指U1である4本の指と非印刷指U2である親指との付け根を掴み分20cの第1の指位置決め部201の端部に突き当てることにより、4本の指(印刷指U1)が第1の指位置決め部201により位置決めされる。そして、4本の指(印刷指U1)と親指(非印刷指U2)とで掴み部20cを挟持することで4本の指(印刷指U1)が固定される(図4参照)。他方、右手は親指(印刷指U1)が印刷指挿入部20aに挿入され、印刷指U1である親指と非印刷指U2である4本の指との付け根を掴み分20cにおける第1の指位置決め部201の右側に配置された第2の指位置決め部202の端部に突き当てることにより、親指(印刷指U1)が第2の指位置決め部202により位置決めされる。
このとき、第2の指位置決め部202の端部が第1の指位置決め部201の端部よりも45mmほど印刷指U1の挿入方向Yの奥側にずれているため、左手の4本の指(印刷指U1)の爪Taと右手の親指(印刷指U1)の爪Tbとが印刷指U1の挿入方向においてほぼ横方向に並ぶ。
【0044】
制御部51は、印刷開始指示スイッチ釦121bから印刷開始指示が入力されてからの経過時間を計時しており、印刷開始指示が入力されてから、予め定められている時間が経過した後に印刷処理を開始するように、印刷指U1の撮影を行う撮影部30及び印刷を行う印刷部40を制御する。
【0045】
右手の親指以外の4本の指(人差し指から小指)の爪Taと左手の親指の爪Tbに印刷を施す場合には、右手の親指以外の4本の指(印刷指U1)を印刷指挿入部20aに挿入して第1の指位置決め部201により位置決めする。また、左手の親指(印刷指U1)を印刷指挿入部20aに挿入して、掴み分20cにおける第1の指位置決め部201の左側に配置された第2の指位置決め部202により位置決めする。その他の点は上記の場合と同様であるため、説明を省略する。
【0046】
以上のように、本実施形態におけるネイルプリント装置1によれば、次のような効果が得られる。
すなわち、本実施形態では、第2の指位置決め部202の端部が第1の指位置決め部201の端部よりも45mmほど印刷指U1の挿入方向Yの奥側にずれているため、左手の4本の指(印刷指U1)の爪Taと右手の親指(印刷指U1)の爪Tbとが印刷指U1の挿入方向においてほぼ横方向に並ぶ。このため、撮影部30の撮影可能範囲及び印刷部40の印刷可能範囲がネイルプリント装置1の前後方向(印刷指の挿入方向Y)に数十mm短くなり、印刷ヘッド46の移動距離がこの分短くて済む。したがって、その分印刷部40等の小型化、軽量化、低コスト化を図ることができ、ひいてはネイルプリント装置1全体の小型化、軽量化を図ることができる。さらに、ネイルプリント装置1の低コスト化を図ることができるとともに、装置の可搬性が向上する。
また、親指を位置決めする第2の指位置決め部202を4本の指を位置決めする第1の指位置決め部201の左右両側に設けているため、左右一方の手の4本の指の爪Taと他方の手の親指の爪Tbに対して同時に印刷処理を施すことができる。
そして、印刷開始指示スイッチ釦121bから印刷開始指示が入力されてから、予め定められている時間が経過した後に印刷処理が開始されるようになっているため、上記のように左右両方の手を印刷指固定部20内に挿入して印刷を行う場合でも、印刷開始指示スイッチ釦121bを操作してから指をセットすることができ、フットスイッチ等を用いることなく簡易に両手の指の爪に対する印刷処理を行うことができる。
【0047】
なお、本実施形態では、第2の指位置決め部202の端部が直線状になっている例を示したが、第2の指位置決め部202の端部の形状はこれに限定されない。
例えば、第2の指位置決め部202の端部は、印刷指挿入部20aに挿入される親指の付け根に沿うように平面視湾曲形状に形成されていてもよい。具体的には、例えば、図9(a)及び図9(b)に示すように、第2の指位置決め部202の端部に半円状の湾曲部202aが形成されていてもよいし、図10(a)及び図10(b)に示すように、第2の指位置決め部202の端部に第1の指位置決め部201の側部から掴み部20cの端部にかけて湾曲する円弧状部202bが形成されていてもよい。なお、湾曲形状は図示例に限定されない。
このように、第2の指位置決め部202の端部を湾曲形状とした場合には、第2の指位置決め部202の端部が印刷指挿入部20aに挿入される親指の付け根により自然にフィットして、親指を安定して位置決めすることができる。
【0048】
[第2の実施の形態]
次に、図11を参照しつつ、本発明に係るネイルプリント装置の第2の実施形態について説明する。なお、本実施形態は、ネイルプリント装置の第1の指位置決め部及び第2の指位置決め部の構成が第1の実施形態と異なるものであるため、以下においては、特に第1の実施形態と異なる点について説明する。
【0049】
本実施形態のネイルプリント装置1は、第1の実施形態とほぼ同様の装置構成を備えている。
【0050】
本実施形態において、掴み分20cの幅方向の中央部には、印刷指挿入部20aに挿入された印刷指U1である人差し指から小指までの4つの指と非印刷指挿入部20bに挿入された非印刷指U2であるその他の指(すなわち、親指)との付け根U3を端部に突き当てることによって、印刷指挿入部20aに挿入された人差し指から小指までの4つの指の位置決めを行うことが可能な第1の指位置決め部211が配置されている。
本実施形態において、第1の指位置決め部211の幅方向Xの長さ寸法は、印刷指挿入部20aに挿入される人差し指から小指までの4つの指の左右幅の寸法よりも短い寸法に形成されている。
【0051】
すなわち、人間が4つの指(人差し指から小指)と親指とで何かを掴む際には、親指の幅+αの幅があれば対象物をしっかりと掴むことができる。このため、本実施形態では、4つの指(人差し指から小指)の位置決めを行う第1の指位置決め部211の幅(図11(a)及び図11(b)においてW1とする。)を人差し指から小指までの4つの指の左右幅の寸法(図11(a)及び図11(b)においてW2とする。)又はこの寸法+αよりも50mm程度短くしている。例えば、人差し指から小指までの4つの指の左右幅の寸法W2又はこの寸法+αが90mmである場合、第1の指位置決め部211の幅を40mm程度とする。これにより、本実施形態において、第1の指位置決め部211とこの左右に配置された第2の指位置決め部212とを合わせた幅方向Xの長さ寸法は、150mm程度となっている。
【0052】
なお、その他の構成は、第1の実施形態で示したものと同様であるため、その説明を省略する。
【0053】
次に、本実施形態におけるネイルプリント装置の作用を説明する。
本実施形態のネイルプリント装置では、第1の実施形態と同様に、印刷指挿入部20aに挿入した左右の手の複数の印刷指U1の爪T(一方の手の4つの指の爪Taと、他方の手の親指の爪Tb)に同時に印刷が施される。
【0054】
印刷を行う場合、ユーザは印刷開始指示スイッチ釦121bから印刷開始指示を入力した後、印刷指U1を印刷指挿入部20aに挿入し、非印刷指U2を非印刷指挿入部20bに挿入する。
【0055】
例えば、左手の親指以外の4本の指(人差し指から小指)の爪Taと右手の親指の爪Tbに印刷を施す場合には、左手は親指以外の4本の指(印刷指U1)が平面的に並んだ状態で印刷指挿入部20aに挿入され、印刷指U1である4本の指と非印刷指U2である親指との付け根を掴み分20cの第1の指位置決め部211の端部に突き当てることにより、4本の指(印刷指U1)が第1の指位置決め部211により位置決めされる。そして、4本の指(印刷指U1)と親指(非印刷指U2)とで掴み部20cを挟持することで4本の指(印刷指U1)が固定される(図4参照)。他方、右手は親指(印刷指U1)が印刷指挿入部20aに挿入され、印刷指U1である親指と非印刷指U2である4本の指との付け根を掴み分20cにおける第1の指位置決め部211の右側に配置された第2の指位置決め部212の端部に突き当てることにより、親指(印刷指U1)が第2の指位置決め部212により位置決めされる。
このとき、第2の指位置決め部212の端部が第1の指位置決め部211の端部よりも45mmほど印刷指U1の挿入方向Yの奥側にずれているため、左手の4本の指(印刷指U1)の爪Taと右手の親指(印刷指U1)の爪Tbとが印刷指U1の挿入方向においてほぼ横方向に並ぶ。
【0056】
制御部51は、印刷開始指示スイッチ釦121bから印刷開始指示が入力されてからの経過時間を計時しており、印刷開始指示が入力されてから、予め定められている時間が経過した後に印刷処理を開始するように、印刷指U1の撮影を行う撮影部30及び印刷を行う印刷部40を制御する。
【0057】
右手の親指以外の4本の指(人差し指から小指)の爪Taと左手の親指の爪Tbに印刷を施す場合には、右手の親指以外の4本の指(印刷指U1)を印刷指挿入部20aに挿入して第1の指位置決め部211により位置決めする。また、左手の親指(印刷指U1)を印刷指挿入部20aに挿入して、掴み分20cにおける第1の指位置決め部211の左側に配置された第2の指位置決め部212により位置決めする。その他の点は上記の場合と同様であるため、説明を省略する。
【0058】
以上のように、本実施形態におけるネイルプリント装置によれば、次のような効果が得られる。
すなわち、本実施形態では、第1の実施形態と同様に、第2の指位置決め部212の端部が第1の指位置決め部211の端部よりも45mmほど印刷指U1の挿入方向Yの奥側にずれているため、左手の4本の指(印刷指U1)の爪Taと右手の親指(印刷指U1)の爪Tbとが印刷指U1の挿入方向においてほぼ横方向に並ぶ。このため、撮影部30の撮影可能範囲及び印刷部40の印刷可能範囲がネイルプリント装置の前後方向(印刷指の挿入方向Y)に数十mm短くなり、印刷ヘッド46の移動距離がこの分短くて済む。したがって、その分印刷部40等の小型化、軽量化、低コスト化を図ることができ、ひいてはネイルプリント装置全体の小型化、軽量化を図ることができる。これにより、ネイルプリント装置の低コスト化を図ることができるとともに、装置の可搬性が向上する。
また、本実施形態では、第1の指位置決め部211の幅寸法を4つの指の幅寸法と同じかそれよりも大きく構成した場合よりも、掴み分20cの幅方向(図11(a)及び図11(b)におけるX方向)の長さ寸法が数十mm短くなる。このため、その分撮影部30の撮影可能範囲及び印刷部40の印刷可能範囲が狭くて済むため、印刷部40等の小型化、軽量化、低コスト化を図ることができ、ひいては装置全体の小型化、軽量化、これによる装置の可搬性の向上を図ることができる。
その他、本実施形態においても第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0059】
なお、本実施形態では、第2の指位置決め部212の端部が直線状になっている例を示したが、第2の指位置決め部212の端部の形状はこれに限定されず、例えば、第2の指位置決め部212の端部は、印刷指挿入部20aに挿入される親指の付け根に沿うように平面視湾曲形状に形成されていてもよいことは第1の実施形態と同様である。
【0060】
[第3の実施の形態]
次に、図12及び図13を参照しつつ、本発明に係るネイルプリント装置の第3の実施形態について説明する。なお、本実施形態は、ネイルプリント装置の第1の指位置決め部及び第2の指位置決め部の構成が第1の実施形態及び第2の実施形態と異なるものであるため、以下においては、特に第1の実施形態及び第2の実施形態と異なる点について説明する。
【0061】
本実施形態のネイルプリント装置は、第1の実施形態及び第2の実施形態とほぼ同様の装置構成を備えている。
【0062】
図12(a)及び図13(a)は、第1の指位置決め部221及び第2の指位置決め部222を有する掴み部20cの側断面図であり、図12(b)及び図12(b)は、図12(a)及び図13(a)に示す掴み部20cをそれぞれ上方から見た平面図である。
本実施形態において、掴み部20cは、その幅方向の両端部に第2の指位置決め部222を有する掴み部本体250と、この掴み部本体250の幅方向のほぼ中央部にこの掴み部本体250に対して印刷指挿入部20aへの印刷指U1の挿入方向Yの手前側に引き出し可能に設けられた引き出し板260とを備えている。
【0063】
掴み部本体250内部には、引き出し板260を収納可能な空間である引き出し板収納部251が設けられている。引き出し板収納部251の裏面側(図12(a)における下側)の端部近傍には、板係止用孔部252が形成されている。
また、引き出し板260の引き出し方向の端部近傍及び収納方向(すなわち、印刷指U1の挿入方向Y)の端部近傍には、板係止用凸部261a,261bが設けられている。板係止用凸部261a,261bは、例えば板バネ等の弾性を有する部材であり、図12(a)及び図12(b)に示すように、引き出し板260が引き出し板収納部251に収納された収納状態においては、引き出し板260の引き出し方向の端部近傍に設けられた板係止用凸部261aが掴み部本体250の板係止用孔部252に係止され、引き出し板260が引き出し板収納部251中に収納された収納状態が維持されるようになっている。
また、図13(a)及び図13(b)に示すように、引き出し板260が引き出し板収納部251から引き出された引き出し状態においては、引き出し板260の収納方向の端部近傍に設けられた板係止用凸部261bが掴み部本体250の板係止用孔部252に係止され、引き出し板260が引き出し板収納部251から抜け落ちたり、引き出し板収納部251内に押し戻されたりすることのないようになっている。
なお、引き出し板260を係止する構成はここに例示したものに限定されない。
【0064】
引き出し板260は、引き出し板260が引き出し板収納部251から引き出された引き出し状態において、印刷指挿入部20aに挿入された左右いずれか一方の手の4つの指(人差し指から小指)を位置決めする第1の指位置決め部221を構成する。
本実施形態では、引き出し板260を引き出した状態で、印刷指挿入部20aに挿入された印刷指U1と非印刷指挿入部20bに挿入された非印刷指U2との付け根U3を引き出し板260の引き出し側の端部に突き当てることにより、印刷指挿入部20aに挿入された人差し指から小指までの4つの指の位置決めを行うことができる。
また、他方の手の親指を掴み部本体250の幅方向の端部に設けられた第2の指位置決め部222の端部に突き当てることにより、印刷指挿入部20aに挿入された親指の位置決めを行うことができる。
【0065】
なお、その他の構成は、第1の実施形態及び第2の実施形態で示したものと同様であるため、その説明を省略する。
【0066】
次に、本実施形態におけるネイルプリント装置の作用を説明する。
印刷指U1の爪に対して印刷を行う場合には、掴み部本体250の板係止用孔部252に係止されている引き出し板260の板係止用凸部261aを上方向に押し込みながら引き出し板260を引き出し板収納部251から手前側(印刷指U1の挿入方向Yと反対方向)に引き出す。引き出し板260を、引き出し板260の奥側に設けられている板係止用凸部261bが板係止用孔部252に係止される位置まで引き出すと、引き出し状態となる。
この引き出し状態において、印刷指挿入部20aに収納された左右いずれか一方の手の4つの指(人差し指から小指)を第1の指位置決め部221において位置決めする。そして、例えば、他方の手の親指を掴み部本体250の幅方向の端部に設けられた第2の指位置決め部222の端部に突き当てることにより、印刷指挿入部20aに挿入された親指の位置決めを行う。
そして、このように左右の手の印刷指U1が位置決めされた状態で印刷処理を行う。
印刷処理後、ユーザは、掴み部本体250の板係止用孔部252に係止されている引き出し板260の板係止用凸部261bを上方向に押し込みながら引き出し板260を奥側に押し込む。板係止用孔部252に引き出し板260の手前側の板係止用凸部261aが係止される位置まで引き出し板260を押し込むと、板係止用孔部252に板係止用凸部261aが係止されて、引き出し板260が固定され、引き出し板収納部251からの飛び出しが防止される。
【0067】
以上のように、本実施形態におけるネイルプリント装置1によれば、次のような効果が得られる。
すなわち、本実施形態によれば、第1の実施形態及び第2の実施形態と同様の効果が得られる他に、非印刷時には、第1の指位置決め部221を構成する引き出し板260を掴み部本体250の引き出し板収納部251内に収納することができるため、掴み部本体250の印刷指U1の挿入方向Yの長さ寸法は、親指を位置決めする第2の指位置決め部222の長さ分で足りる。このため、ネイルプリント装置における印刷指U1の挿入方向Yの奥行きを短くすることができ、ネイルプリント装置全体の小型化、軽量化が可能となるとともに、更に可搬性が向上する。
【0068】
[第4の実施の形態]
次に、図14及び図15を参照しつつ、本発明に係るネイルプリント装置の第4の実施形態について説明する。なお、本実施形態は、ネイルプリント装置の第1の指位置決め部及び第2の指位置決め部の構成が第1の実施形態から第3の実施形態と異なるものであるため、以下においては、特に第1の実施形態から第3の実施形態と異なる点について説明する。
【0069】
本実施形態のネイルプリント装置は、第1の実施形態から第3の実施形態とほぼ同様の装置構成を備えている。
【0070】
図14(a)及び図15(a)は、第1の指位置決め部231及び第2の指位置決め部232を有する掴み部20cの側断面図であり、図14(b)及び図15(b)は、図14(a)及び図15(a)に示す掴み部20cをそれぞれ上方から見た平面図である。
本実施形態において、掴み部20cは、その幅方向の両端部に第2の指位置決め部232を有する掴み部本体270と、この掴み部本体270の幅方向のほぼ中央部の端部にヒンジ部281を介して接続されている回動板280とを備えている。
回動板280は、ヒンジ部281を軸として回動することにより、掴み部本体270における印刷指挿入部20aへの印刷指U1の挿入方向Yの手前側に延出する延出状態から掴み部本体270と重なり合う重畳状態まで回動可能に構成されている。
【0071】
ヒンジ部281には、図示しない係止用の突起が設けられており、掴み部本体270には、この係止用の突起に対応する位置に突起を受ける溝部(図示せず)が設けられている。係止用の突起と溝部とは、回動板280が延出状態となったとき及び重畳状態となったときに嵌り合うようになっている。なお、回動板280側に溝部を設け、掴み部本体270側に係止用の突起を設けてもよい。
また、回動板280の回動側の端部には係止用突起282が設けられており、掴み部本体270の下側には、回動板280が掴み部本体270と重なり合う重畳状態となったときに、回動板280の係止用突起282が係止される係止用切り欠き部271が形成されている。回動板280の係止用突起282が係止用切り欠き部271に係止されることにより、回動板280の重畳状態が維持されるようになっている。
なお、回動板280を係止する構成はここに例示したものに限定されない。
【0072】
回動板280は、延出状態において、印刷指挿入部20aに挿入された左右いずれか一方の手の4つの指(人差し指から小指)を位置決めする第1の指位置決め部231を構成する。
本実施形態では、回動板280が延出している状態で、印刷指挿入部20aに挿入された印刷指U1と非印刷指挿入部20bに挿入された非印刷指U2との付け根U3を回動板280の延出側(回動側)の端部に突き当てることにより、印刷指挿入部20aに挿入された人差し指から小指までの4つの指の位置決めを行うことができる。
また、他方の手の親指を掴み部本体270の幅方向の端部に設けられた第2の指位置決め部232の端部に突き当てることにより、印刷指挿入部20aに挿入された親指の位置決めを行うことができる。
【0073】
なお、その他の構成は、第1の実施形態から第3の実施形態で示したものと同様であるため、その説明を省略する。
【0074】
次に、本実施形態におけるネイルプリント装置の作用を説明する。
印刷指U1の爪に対して印刷を行う場合には、掴み部本体270の係止用切り欠き部271に係止されている回動板280の係止用突起282を外し、回動板280を回動させて延出状態とする。このとき、回動板280の係止用の突起と掴み部本体270の溝部とが嵌り合い、回動板280が延出状態で固定される。
この延出状態において、印刷指挿入部20aに収納された左右いずれか一方の手の4つの指(人差し指から小指)を第1の指位置決め部231において位置決めする。そして、例えば、他方の手の親指を掴み部本体270の幅方向の端部に設けられた第2の指位置決め部232の端部に突き当てることにより、印刷指挿入部20aに挿入された親指の位置決めを行う。
そして、このように左右の手の印刷指U1が位置決めされた状態で印刷処理を行う。
印刷処理後、ユーザは、回動板280を掴み部本体270に重畳される重畳状態と鳴る位置まで回動させて、掴み部本体270の係止用切り欠き部271に回動板280の係止用突起282を係止する。これにより回動板280が固定され、装置を持ち運んだ際等のぐらつき等が防止される。
【0075】
以上のように、本実施形態におけるネイルプリント装置によれば、次のような効果が得られる。
すなわち、本実施形態によれば、第1の実施形態及び第2の実施形態と同様の効果が得られる他に、非印刷時には、第1の指位置決め部231を構成する回動板280を掴み部本体270に重畳させておくことができるため、掴み部本体270の印刷指U1の挿入方向Yの長さ寸法は、親指を位置決めする第2の指位置決め部232の長さ分で足りる。このため、ネイルプリント装置における印刷指U1の挿入方向Yの奥行きを短くすることができ、ネイルプリント装置全体の小型化、軽量化が可能となるとともに、更に可搬性が向上する。
【0076】
なお、上記各実施形態では、一方の手の4つの指の爪Taと他方の手の親指の爪Tbとに同時に印刷が施される場合を例として説明したが、指を1本ずつ印刷する場合や片手ずつ印刷を行う場合にも本発明の掴み部20cを適用することが可能である。
指を1本ずつ印刷する場合や片手ずつ印刷を行う場合には、印刷開始指示スイッチ釦から印刷開始指示が入力されるとすぐに印刷処理が開始されるように制御する構成としてもよい。
【0077】
その他、本発明が上記各実施形態に限定されず、適宜変更可能であることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0078】
1 ネイルプリント装置
2 ケース本体
4 蓋体
12 操作部
20a 印刷指挿入部
20b 非印刷指挿入部
20c 掴み部(隔壁)
20 印刷指固定部
30 撮影部
32 カメラ
33 照明灯(LED)
40 印刷部
50 制御部
121a 電源スイッチ釦
121b 印刷開始指示スイッチ釦
201 第1の指位置決定部
202 第2の指位置決定部
T 爪
U1 印刷指
U2 非印刷指
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネイルプリント装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ネイルプリント装置は、印刷しようとする爪の指を、装置本体に設けた指載置台に位置決めし、この位置決めした指の爪に画像を印刷するプリント装置である。
従来ネイルプリント装置は、指を1本ずつ装置内にセットして印刷するものが多かったが、近時、指の固定法や指の種類を識別する技術の向上等により複数本の指を一時に印刷することが可能なネイルプリント装置が開発されるに至っている(例えば、特許文献1参照)。
このように複数の指の爪に対応して印刷できるようにするためには、印刷対象となる全ての指の爪が印刷手段の印刷可能範囲に含まれるように印刷手段を設ける必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2003−534083号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、人の指は長さに違いがあり、特に親指とその他の4本の指(人差し指から小指)とでは、爪の位置が指の長さ方向に大きくずれている。
このため、印刷対象となる全ての指の爪に対応して印刷可能とするためには、印刷手段の印刷可能範囲を広くしなければならず、印刷手段の大型化、ひいてはネイルプリント装置全体の大型化、重量化、高コスト化を招くという問題があった。
【0005】
本発明は以上のような事情に鑑みてなされたものであり、装置の小型化、軽量化を実現しつつ、長さの異なる複数の指でも互いに各爪を揃えて印刷を行うことのできるネイルプリント装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、請求項1に記載のネイルプリント装置は、
印刷を行おうとする爪に対応する指が印刷指として挿入される印刷指挿入部と、
前記印刷指挿入部の近傍位置に設けられ印刷を行なわない指が非印刷指として挿入される非印刷指挿入部と、
前記印刷指挿入部と前記非印刷指挿入部との間に設けられ、且つ、前記印刷指挿入部に挿入された前記印刷指と前記非印刷指挿入部に挿入された前記非印刷指とで挟持可能な掴み部と、
前記印刷指挿入部に挿入された前記印刷指の爪に印刷を施す印刷手段とを備え、
前記掴み部は、
前記印刷指挿入部に挿入された人差し指から小指までの4つの指と前記非印刷指挿入部に挿入された他の指との付け根を端部に突き当てることにより、前記人差し指から小指までの4つの指の位置決めが可能な第1の指位置決め部と、
この第1の指位置決め部の端部よりもその端部が印刷指の挿入方向奥側にずれた位置に配置され、前記印刷指挿入部に挿入された親指と前記非印刷指挿入部に挿入された他の指との付け根を端部に突き当てることにより、前記親指の位置決めが可能な第2の指位置決め部とを備えていることを特徴としている。
【0007】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のネイルプリント装置において、
前記第1の指位置決め部は、前記掴み部の幅方向の中央部に位置し、この第1の指位置決め部の左右両側に前記第2の指位置決め部が配置されていることを特徴としている。
【0008】
また、請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載のネイルプリント装置において、
前記第1の指位置決め部は、その幅寸法が、前記印刷指挿入部に挿入される人差し指から小指までの4つの指の左右幅の寸法よりも短い寸法に形成されていることを特徴としている。
【0009】
また、請求項4に記載の発明は、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のネイルプリント装置において、
前記第2の指位置決め部は、前記印刷指挿入部に挿入される親指の付け根に沿うように平面視湾曲形状に形成されていることを特徴としている。
【0010】
また、請求項5に記載の発明は、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のネイルプリント装置において、
前記掴み部は、幅方向の両端部に前記第2の指位置決め部を有する掴み部本体と、この掴み部本体の幅方向の中央部に当該掴み部本体に対して前記印刷指挿入部への印刷指の挿入方向手前側に引き出し可能に設けられ引き出し状態において前記第1の指位置決め部を構成する引き出し板と、を備えていることを特徴としている。
【0011】
また、請求項6に記載の発明は、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のネイルプリント装置において、
前記掴み部は、幅方向の両端部に前記第2の指位置決め部を有する掴み部本体と、この掴み部本体の幅方向の中央部の端部に、当該掴み部本体の前記印刷指挿入部への印刷指の挿入方向手前側に延出する延出状態から前記掴み部本体と重なり合う重畳状態まで回動可能に構成され前記延出状態において前記第1の指位置決め部を構成する回動板と、を備えていることを特徴としている。
【0012】
また、請求項7に記載の発明は、請求項1から請求項6のいずれか一項に記載のネイルプリント装置において、
前記印刷手段による印刷開始指示を入力する印刷開始指示手段と、
この印刷開始指示手段から印刷開始指示が入力されてから、予め定められている時間経過後に印刷処理を開始するように前記印刷手段を制御する印刷制御手段と、を備えていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、親指の位置決めをする第2の指位置決め部を、その他の4本の指(人差し指から小指)の位置決めをする第1の指位置決め部との端部の位置よりも印刷指の挿入方向奥側にずらして配置しているため、爪の位置が指の長さ方向に大きくずれている親指とその他の4本の指との指の長さ方向における爪の位置をそろえることができる。
このため、親指の爪とその他の4本の指の爪とを1つの装置で印刷する場合にも、印刷可能範囲を広くする必要がなく、印刷手段の小型化、軽量化、ひいてはネイルプリント装置全体の小型化、軽量化、低コスト化を実現することができるとの効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係るネイルプリント装置の一実施形態を概念的に示した斜視図で、蓋体を開いた状態を示している。
【図2】図1のネイルプリント装置の装置本体を概念的に示した斜視図である。
【図3】第1の実施形態の掴み部の平面図であり、(a)は、第1の指位置決め部により左手の人差し指から小指を位置決めし第2の指位置決め部により右手の親指を位置決めした状態を示した図であり、(b)は、第1の指位置決め部により右手の人差し指から小指を位置決めし第2の指位置決め部により左手の親指を位置決めした状態を示した図である。
【図4】図1のネイルプリント装置の要部である印刷指固定手段を示した断面図で、印刷指として人差し指から小指を印刷指挿入部に挿入した際の固定態様を示している。
【図5】図1のネイルプリント装置の印刷指挿入部に印刷指として左手の人差し指から小指と右手の親指とを挿入した状態を示した斜視図である。
【図6】図1のネイルプリント装置の正面側の断面図である。
【図7】図1のネイルプリント装置の側断面図である。
【図8】本実施形態に係るネイルプリント装置の制御構成を示した要部ブロック図である。
【図9】図3の掴み部の一変形例の平面図であり、(a)は、第1の指位置決め部により左手の人差し指から小指を位置決めし第2の指位置決め部により右手の親指を位置決めした状態を示した図であり、(b)は、第1の指位置決め部により右手の人差し指から小指を位置決めし第2の指位置決め部により左手の親指を位置決めした状態を示した図である。
【図10】図3の掴み部の一変形例の平面図であり、(a)は、第1の指位置決め部により左手の人差し指から小指を位置決めし第2の指位置決め部により右手の親指を位置決めした状態を示した図であり、(b)は、第1の指位置決め部により右手の人差し指から小指を位置決めし第2の指位置決め部により左手の親指を位置決めした状態を示した図である。
【図11】第2の実施形態の掴み部の平面図であり、(a)は、第1の指位置決め部により左手の人差し指から小指を位置決めし第2の指位置決め部により右手の親指を位置決めした状態を示した図であり、(b)は、第1の指位置決め部により右手の人差し指から小指を位置決めし第2の指位置決め部により左手の親指を位置決めした状態を示した図である。
【図12】(a)は、第3の実施形態の掴み部の断面図であり、(b)は、(a)の掴み部を上から見た平面図である。
【図13】(a)は、図12の掴み部から引き出し板を引き出した状態を示す断面図であり、(b)は、(a)の掴み部を上から見た平面図である。
【図14】(a)は、第4の実施形態の掴み部の断面図であり、(b)は、(a)の掴み部を上から見た平面図である。
【図15】(a)は、図14の掴み部から引き出し板を引き出した状態を示す断面図であり、(b)は、(a)の掴み部を上から見た平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[第1の実施の形態]
先ず、図1から図9を参照しつつ、本発明に係るネイルプリント装置の第1の実施形態について説明する。
【0016】
図1は、本実施形態におけるネイルプリント装置の外観を示す斜視図であり、図2は、ネイルプリント装置の内部構成を示す斜視図である。
図1に示すように、このネイルプリント装置1は、ケース本体2及び蓋体4を備えている。このケース本体2及び蓋体4は、ケース本体2の上面後端部に設けたヒンジ3を介して、互いに連結されている。
【0017】
上記ケース本体2は平面視で長円状に形成されている。このケース本体2には前側には開閉板2cが起倒可能に設けられている。この開閉板2cは、ケース本体2の前面下端部に設けたヒンジ(図示せず)を介して、ケース本体2に連結されている。この開閉板2cは、ケース本体2の前面を開閉するためのものである。
また、ケース本体2の天板2fの中央部には後述する操作部12が設置されている。
なお、ケース本体2及び蓋体4の形状、構成はここに例示したものに限定されない。
【0018】
また、ケース本体2にはネイルプリント装置1の装置本体10が収容されている。この装置本体10は、図2に示す印刷指固定手段を構成している印刷指固定部20、撮影手段を構成している撮影部30、印刷手段を構成している印刷部40及び制御手段を構成している制御手段50(図8参照)を備えている。これら印刷指固定部20、撮影部30、印刷部40及び制御装置50は機枠11に設けられている。
なお、機枠11は下部機枠11a及び上部機枠11bによって構成されている。そして、下部機枠11aは箱状に形成され、ケース本体2の内部下方に設置され、上部機枠11bは下部機枠11aの上方で且つケース本体2の内部上方に設置されている。
【0019】
印刷指固定部20は、機枠11の中の下部機枠11aに設けられている。この下部機枠11aに設けられた印刷指挿入部20a、非印刷指挿入部20b及び掴み部20cによって印刷指固定部20が構成されている。
ここで、印刷指挿入部20aは、印刷しようとする爪Tに対応する指(以下「印刷指」という。)U1を挿入するめための指挿入部である(図4参照)。
また、非印刷指挿入部20bは、印刷指以外の指(以下「非印刷指」という。)U2を挿入するための指挿入部である(図4参照)。
また、掴み部20cは、印刷指挿入部20aに挿入された印刷指U1と、非印刷指挿入部20bに挿入された非印刷指U2とで挟持することが可能な部分である。本実施形態において、この掴み部20cは印刷指挿入部20aと非印刷指挿入部20bとを仕切る隔壁21によって構成されている。
【0020】
この掴み部20cの上面は平坦な印刷指載置面を構成している。この掴み部20cの指挿入側端部には膨出部22が形成されている。この膨出部22は、印刷指挿入部20a及び非印刷指挿入部20bに印刷指U1及び非印刷指U2を深く挿入した際に、印刷指U1及び非印刷指U2の付け根U3が当接する部分に形成されている。膨出部22は、印刷指U1の腹全体が印刷指載置面に当接した状態で、印刷指U1と非印刷指U2とで掴み部20cを強く挟持することができるように、指挿入方向の断面が、掴み部20cの下面から下方に向けて膨出するように円形となっている。なお、膨出部22の形状は、断面円形に限定されることなく、断面楕円形,多角形等の非円形であってもよい。
【0021】
図1及び図2等に示すように、本実施形態において、掴み部20cの幅方向の中央部には、印刷指挿入部20aに挿入された印刷指U1である人差し指から小指までの4つの指と非印刷指挿入部20bに挿入された非印刷指U2であるその他の指(すなわち、親指)との付け根U3を端部に突き当てることによって、人差し指から小指までの4つの指の位置決めを行うことが可能な第1の指位置決め部201が配置されている。
本実施形態において、第1の指位置決め部201の幅方向Xの長さ寸法は、印刷指挿入部20aに挿入される人差し指から小指までの4つの指の左右幅の寸法とほぼ同じか、これよりも多少大きい寸法となっている。
【0022】
また、掴み部20cには、第1の指位置決め部201の左右両側に、印刷指挿入部20aに挿入された印刷指U1である親指と非印刷指挿入部20bに挿入された非印刷指U2であるその他の指(すなわち、人差し指から小指までの4つの指)との付け根U3を端部に突き当てることによって、印刷指挿入部20aに挿入された親指の位置決めを行うことが可能な第2の指位置決め部202が配置されている。
なお、本実施形態において、第1の指位置決め部201とこの左右に配置された第2の指位置決め部202とを合わせた幅方向Xの長さ寸法は、200mm程度となっている。
【0023】
第2の指位置決め部202は、第1の指位置決め部201の端部よりもその端部が印刷指の挿入方向Yの奥側にずれた位置に配置されている。第2の指位置決め部202の端部を第1の指位置決め部201の端部に対してどの程度ずらすかは特に限定されないが、親指の爪Tbと他の4本の指の各爪Taの位置がほぼ横方向に並ぶ程度となることが好ましい。
この点、人間の手は親指が他の4本の指に比べて短く、掴み方や個人差はあるものの、親指と他の4本の指とでは、その長さに40〜75mmの差がある。そこで、このような指の長さの差を考慮して、第2の指位置決め部202の端部は第1の指位置決め部201の端部よりも40〜75mm程度、印刷指U1の挿入方向Yの奥側にずれていることが好ましい。
【0024】
図3(a)は、掴み部20cの第1の指位置決め部201に左手の4つの指(人差し指、中指、薬指、小指)を位置決めし、この第1の指位置決め部201の右側に配置された第2の指位置決め部202に右手の親指を位置決めした状態を示した図である。また、図3(b)は、掴み部20cの第1の指位置決め部201に右手の4つの指(人差し指、中指、薬指、小指)を位置決めし、この第1の指位置決め部201の左側に配置された第2の指位置決め部202に左手の親指を位置決めした状態を示した図である。
本実施形態では、図3(a)及び図3(b)に示すように、第2の指位置決め部202の端部が45mm程度、第1の指位置決め部201の端部よりも印刷指U1の挿入方向Yの奥側にずれている場合を例示している。
【0025】
なお、図3(a)及び図3(b)において、二点鎖線は、従来のように、4つの指(人差し指、中指、薬指、小指)を位置決めする部分の端部と親指を位置決めする部分の端部とが印刷指U1の挿入方向Yにずれていない場合の第2の指位置決め部202に相当する部分の形状と、これに親指を位置決めしたときの親指の位置を示している。
図3(a)及び図3(b)に示すように、4つの指を位置決めする部分の端部と親指を位置決めする部分の端部とが印刷指U1の挿入方向Yにずれていない場合には、親指の爪Tbの位置と他の4本の指の各爪Taの位置とが印刷指U1の挿入方向Yに大きくずれてしまい、後述する撮影部30による撮影が可能な撮影可能領域及び、印刷部40による印刷が可能な印刷可能領域を親指の爪Tbと他の4本の指の爪Ta全てを含む領域まで拡大する必要がある。
この点、本実施形態のように親指を位置決めする第2の指位置決め部202の端部を45mm程度、第1の指位置決め部201の端部よりも印刷指の挿入方向Yの奥側にずらした場合には、親指Tb及び他の4本の指の各Taの印刷指の挿入方向Yにおける位置がほぼ揃うため、撮影部30の撮影可能領域及び印刷部40の印刷可能領域を狭くすることができる。
【0026】
図4は、左手の親指以外の4本の指(人差し指、中指、薬指及び小指)が印刷指U1となる場合における印刷指U1の固定態様の一例を具体的に示したものである。
この場合、図4に示すように、ユーザが印刷指挿入部20aに挿入された印刷指U1と、非印刷指挿入部20bに挿入された非印刷指U2とで掴み部20cを挟持することにより、印刷指U1が掴み部20cの上で固定される。
【0027】
図5は、印刷時の印刷指U1の挿入態様の一例を示したものである。
本実施形態のネイルプリント装置1では、左右一方の手の親指以外の4本の指(人差し指、中指、薬指及び小指)と他方の手の親指とが印刷指U1となる。
【0028】
図5には、左手の親指以外の4本の指と右手の親指が印刷指U1となる場合の態様が示されている。この場合、左手は親指以外の4本の指(印刷指U1)が平面的に並んだ状態で印刷指挿入部20aに挿入され掴み分20cの第1の指位置決め部201により位置決めされる。また、左手の親指(非印刷指U2)は非印刷指挿入部20bに挿入される。そして、印刷指U1と非印刷指U2とで掴み部20cを挟持することで印刷指U1である4本の指が固定される(図4参照)。他方、右手は親指(印刷指U1)が印刷指挿入部20aに挿入され掴み分20cの第2の指位置決め部202により位置決めされる。また、左手の親指以外の4本の指(非印刷指U2)は非印刷指挿入部20bに挿入される。そして、印刷指U1と非印刷指U2とで掴み部20cを挟持することで印刷指U1である親指が固定される。
【0029】
また、図6は、本実施形態に係るネイルプリント装置1の正面側の断面図であり、図7は、ネイルプリント装置1の側断面図である。
図6及び図7に示すように、撮影部30は、機枠11の中の上部機枠11bに設けられている。
すなわち、上部機枠11bに設置された基板31の中央部下面には、ドライバーを内蔵した200万画素程度以上の画素を有するカメラ32が設置されている。また、基板31には、カメラ32を囲むように白色LED等の照明灯33が設置されている。撮影部30は、このカメラ32及び照明灯33を備えて構成されている。
この撮影部30は、照明灯33によって印刷指U1を照明し、カメラ32によってその印刷指U1を撮影し、指画像を取り込むためのものである。この撮影部30は、後述する制御手段50の制御部51に接続され、該制御部51によって制御されるようになっている。
【0030】
また、印刷部40は主に上部機枠11bに設けられている。
すなわち、図2及び図6に示すように、上部機枠11bの両側板には、2本のガイドロッド41が平行に架設されている。このガイドロッド41には、主キャリッジ42が摺動自在に設置されている。また、図7に示すように、主キャリッジ42の前壁42aおよび後壁42bには2本のガイドロッド44が平行に架設されている。このガイドロッド44には、副キャリッジ45が摺動自在に設置されている。この副キャリッジ45の下面中央部には、印刷ヘッド46が搭載されている。
本実施形態において、この印刷ヘッド46は、インクを微滴化し、被印字媒体に対し直接に吹き付けて印刷を行うインクジェット方式の印刷ヘッドである。なお、印刷ヘッド46の記録方式はインクジェット方式に限定されない。
【0031】
主キャリッジ42は動力伝達手段(図示せず)を介してモータ43に連結され、モータ43の正逆回転によって、ガイドロッド41に沿って左右方向に移動ように構成されている。また、副キャリッジ45は動力伝達手段(図示せず)を介してモータ47に連結され、モータ47の正逆回転によって、ガイドロッド44に沿って前後方向に移動するように構成されている。本実施形態において、印刷ヘッド46の可動範囲がネイルプリント装置1の印刷可能範囲であり、印刷指U1に対する印刷はこの印刷可能範囲内において行われる。
また、下部機枠11aには、印刷ヘッド46にインクを供給するためのインクカートリッジ48が設けられている。インクカートリッジ48は、図示しないインク供給管を介して印刷ヘッド46と接続されており、適宜印刷ヘッド46にインクを供給するようになっている。
【0032】
印刷部40は、これらガイドロッド41、主キャリッジ42、モータ43、ガイドロッド44、副キャリッジ45、印刷ヘッド46、モータ47及びインクカートリッジ48等を備えて構成されている。
この印刷部40のモータ43、印刷ヘッド46、モータ47は、後述する制御装置50の制御部51に接続され、該制御部51によって制御されるようになっている。
【0033】
本実施形態では、印刷指U1の爪T(一方の手の4つの指の爪Taと、他方の手の親指の爪Tb)を撮影する上記撮影部30と、この撮影部30により撮影された爪領域にそれぞれ印刷を施す印刷部40とにより印刷処理手段が構成されている。
【0034】
操作部12は、ユーザが各種入力を行うための入力手段である。
操作部12には、例えば、ネイルプリント装置1の電源をONする電源スイッチ釦121a、印刷の開始指示を入力する印刷開始指示スイッチ釦121b、印刷すべきネイル画像パターンを選択するパターン選択スイッチ釦(図示せず)、その他各種の入力を行うための操作釦121が配置されている。
【0035】
また、ケース本体2の天板2fには液晶パネル(液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display))等で構成された表示部13が設けられている。なお、この表示部13の表面に、タッチパネルが一体的に構成されていてもよい。タッチパネルが構成されている場合には、図示しないスタイラスペン等によるタッチ操作により、表示部13の表面をタッチすることによっても各種の入力を行うことができるように構成されていてもよい。
【0036】
また、制御装置50は、例えば上部機枠11bに配置された基板31等に設置されている。図8は、本実施形態における制御構成を示す要部ブロック図である。
【0037】
制御装置50は、図示しないCPU(Central Processing Unit)等で構成される制御部51、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等(全て図示せず)で構成される記憶部52等を備えるコンピュータであり、ROM等には印刷すべきネイル画像パターン等のデータや印刷プログラム等の各種プログラムが格納され、制御部51はこのプログラムを実行して各部を制御するようになっている。
【0038】
特に本実施形態においては、制御部51は印刷開始指示が入力されてから所定時間経過後に印刷処理を開始するように印刷部40等を制御する印刷制御手段として機能する。
具体的には、制御部51は、印刷開始指示手段である印刷開始指示スイッチ釦121bから印刷開始指示が入力されたときは、印刷開始指示スイッチ釦121bから指示が入力されてからの時間を計時し、予め定められている時間が経過した後に印刷処理を開始するように印刷処理手段(すなわち、撮影部30、印刷部40)を制御するようになっている。
【0039】
ここで印刷処理とは、印刷指U1の爪T(一方の手の4つの指の爪Taと、他方の手の親指の爪Tb)に印刷を施すための処理であり、本実施形態では、撮影部30による印刷指U1の撮影と印刷部40による印刷である。
すなわち、印刷開始指示スイッチ釦121bが操作され印刷動作に入るときには、制御部51は、印刷部40による印刷を開始する前に、まず撮影部30を制御して印刷指U1の撮影を行わせ、印刷指U1の画像データを取得する。そして、制御部51は、撮影部30によって取得された印刷指U1の画像データに基づいて、印刷指挿入部20aに挿入されている印刷指U1の種類、当該印刷指U1の爪Tの位置・大きさ・範囲等を判断し、印刷部40による印刷の位置・範囲等を決定するようになっている。
また、制御部51は、操作部12のパターン選択スイッチ釦により選択された画像パターンをROM等の中から印刷すべきネイル画像パターンとして選択し、当該ネイル画像パターンのデータを印刷部40に出力する。
そして、制御部51により、印刷部40による印刷の位置・範囲等が決定されるとともに、印刷すべきネイル画像パターンのデータが印刷部40に出力されると、制御部51は、印刷部40を制御して印刷指U1の各爪Tに選択されたネイル画像パターンを印刷させる。
【0040】
なお、印刷開始指示スイッチ釦121bから指示が入力されてから印刷処理を開始するまでの予め定められている時間とは、特に限定されないが、ユーザが印刷開始指示スイッチ釦121bを操作してから、印刷指U1を印刷指挿入部20aに挿入し、非印刷指U2を非印刷指挿入部20bに挿入して、印刷指U1と非印刷指U2とで掴み部20cを挟持するのに要する時間を考慮して、例えば10秒程度である。
本実施形態において、制御部51はタイマー機能を備えており、印刷開始指示スイッチ釦121bから指示が入力されてからの経過時間を計時している。そして、予め設定されている時間が経過すると、印刷処理を開始するように撮影部30及び印刷部40を制御する。
なお、例えば、予め定められている時間の経過が近づくと直に印刷処理が開始される旨の音声案内(例えば「あと2秒で印刷を開始します。」等)をスピーカから発音させたり、表示部13にその旨を表示させたり、ランプを点灯させる等により、ユーザに対して印刷処理を開始するタイミングを報知するように構成してもよい。このようにした場合には、ユーザに印刷処理に対する準備や心構えができるため、より好ましい位置に印刷指U1を待機させ、より確実な指の固定を行うことができると期待できる。
【0041】
次に、本実施形態におけるネイルプリント装置1の作用を説明する。
本実施形態のネイルプリント装置1では、印刷指挿入部20aに挿入した左右の手の複数の印刷指U1の爪T(一方の手の4つの指の爪Taと、他方の手の親指の爪Tb)に同時に印刷が施される。ここで「同時に印刷」とは、一度に印刷指挿入部20aに挿入した印刷指U1を取り出すことなく印刷できることを意味している。
【0042】
印刷を行う場合、ユーザはまず、電源スイッチ52aを入れて制御装置50を起動させ、印刷指U1に印刷したいネイル画像パターン(デザイン)を選択する。選択されたネイル画像パターンは表示部13に表示されユーザが確認できるようになっていることが好ましい。ネイル画像パターンを選択すると、ユーザは印刷開始指示スイッチ釦121bから印刷開始指示を入力し、印刷指U1を印刷指挿入部20aに挿入し、非印刷指U2を非印刷指挿入部20bに挿入する。
【0043】
例えば、左手の親指以外の4本の指(人差し指から小指)の爪Taと右手の親指の爪Tbに印刷を施す場合には、左手は親指以外の4本の指(印刷指U1)が平面的に並んだ状態で印刷指挿入部20aに挿入され、印刷指U1である4本の指と非印刷指U2である親指との付け根を掴み分20cの第1の指位置決め部201の端部に突き当てることにより、4本の指(印刷指U1)が第1の指位置決め部201により位置決めされる。そして、4本の指(印刷指U1)と親指(非印刷指U2)とで掴み部20cを挟持することで4本の指(印刷指U1)が固定される(図4参照)。他方、右手は親指(印刷指U1)が印刷指挿入部20aに挿入され、印刷指U1である親指と非印刷指U2である4本の指との付け根を掴み分20cにおける第1の指位置決め部201の右側に配置された第2の指位置決め部202の端部に突き当てることにより、親指(印刷指U1)が第2の指位置決め部202により位置決めされる。
このとき、第2の指位置決め部202の端部が第1の指位置決め部201の端部よりも45mmほど印刷指U1の挿入方向Yの奥側にずれているため、左手の4本の指(印刷指U1)の爪Taと右手の親指(印刷指U1)の爪Tbとが印刷指U1の挿入方向においてほぼ横方向に並ぶ。
【0044】
制御部51は、印刷開始指示スイッチ釦121bから印刷開始指示が入力されてからの経過時間を計時しており、印刷開始指示が入力されてから、予め定められている時間が経過した後に印刷処理を開始するように、印刷指U1の撮影を行う撮影部30及び印刷を行う印刷部40を制御する。
【0045】
右手の親指以外の4本の指(人差し指から小指)の爪Taと左手の親指の爪Tbに印刷を施す場合には、右手の親指以外の4本の指(印刷指U1)を印刷指挿入部20aに挿入して第1の指位置決め部201により位置決めする。また、左手の親指(印刷指U1)を印刷指挿入部20aに挿入して、掴み分20cにおける第1の指位置決め部201の左側に配置された第2の指位置決め部202により位置決めする。その他の点は上記の場合と同様であるため、説明を省略する。
【0046】
以上のように、本実施形態におけるネイルプリント装置1によれば、次のような効果が得られる。
すなわち、本実施形態では、第2の指位置決め部202の端部が第1の指位置決め部201の端部よりも45mmほど印刷指U1の挿入方向Yの奥側にずれているため、左手の4本の指(印刷指U1)の爪Taと右手の親指(印刷指U1)の爪Tbとが印刷指U1の挿入方向においてほぼ横方向に並ぶ。このため、撮影部30の撮影可能範囲及び印刷部40の印刷可能範囲がネイルプリント装置1の前後方向(印刷指の挿入方向Y)に数十mm短くなり、印刷ヘッド46の移動距離がこの分短くて済む。したがって、その分印刷部40等の小型化、軽量化、低コスト化を図ることができ、ひいてはネイルプリント装置1全体の小型化、軽量化を図ることができる。さらに、ネイルプリント装置1の低コスト化を図ることができるとともに、装置の可搬性が向上する。
また、親指を位置決めする第2の指位置決め部202を4本の指を位置決めする第1の指位置決め部201の左右両側に設けているため、左右一方の手の4本の指の爪Taと他方の手の親指の爪Tbに対して同時に印刷処理を施すことができる。
そして、印刷開始指示スイッチ釦121bから印刷開始指示が入力されてから、予め定められている時間が経過した後に印刷処理が開始されるようになっているため、上記のように左右両方の手を印刷指固定部20内に挿入して印刷を行う場合でも、印刷開始指示スイッチ釦121bを操作してから指をセットすることができ、フットスイッチ等を用いることなく簡易に両手の指の爪に対する印刷処理を行うことができる。
【0047】
なお、本実施形態では、第2の指位置決め部202の端部が直線状になっている例を示したが、第2の指位置決め部202の端部の形状はこれに限定されない。
例えば、第2の指位置決め部202の端部は、印刷指挿入部20aに挿入される親指の付け根に沿うように平面視湾曲形状に形成されていてもよい。具体的には、例えば、図9(a)及び図9(b)に示すように、第2の指位置決め部202の端部に半円状の湾曲部202aが形成されていてもよいし、図10(a)及び図10(b)に示すように、第2の指位置決め部202の端部に第1の指位置決め部201の側部から掴み部20cの端部にかけて湾曲する円弧状部202bが形成されていてもよい。なお、湾曲形状は図示例に限定されない。
このように、第2の指位置決め部202の端部を湾曲形状とした場合には、第2の指位置決め部202の端部が印刷指挿入部20aに挿入される親指の付け根により自然にフィットして、親指を安定して位置決めすることができる。
【0048】
[第2の実施の形態]
次に、図11を参照しつつ、本発明に係るネイルプリント装置の第2の実施形態について説明する。なお、本実施形態は、ネイルプリント装置の第1の指位置決め部及び第2の指位置決め部の構成が第1の実施形態と異なるものであるため、以下においては、特に第1の実施形態と異なる点について説明する。
【0049】
本実施形態のネイルプリント装置1は、第1の実施形態とほぼ同様の装置構成を備えている。
【0050】
本実施形態において、掴み分20cの幅方向の中央部には、印刷指挿入部20aに挿入された印刷指U1である人差し指から小指までの4つの指と非印刷指挿入部20bに挿入された非印刷指U2であるその他の指(すなわち、親指)との付け根U3を端部に突き当てることによって、印刷指挿入部20aに挿入された人差し指から小指までの4つの指の位置決めを行うことが可能な第1の指位置決め部211が配置されている。
本実施形態において、第1の指位置決め部211の幅方向Xの長さ寸法は、印刷指挿入部20aに挿入される人差し指から小指までの4つの指の左右幅の寸法よりも短い寸法に形成されている。
【0051】
すなわち、人間が4つの指(人差し指から小指)と親指とで何かを掴む際には、親指の幅+αの幅があれば対象物をしっかりと掴むことができる。このため、本実施形態では、4つの指(人差し指から小指)の位置決めを行う第1の指位置決め部211の幅(図11(a)及び図11(b)においてW1とする。)を人差し指から小指までの4つの指の左右幅の寸法(図11(a)及び図11(b)においてW2とする。)又はこの寸法+αよりも50mm程度短くしている。例えば、人差し指から小指までの4つの指の左右幅の寸法W2又はこの寸法+αが90mmである場合、第1の指位置決め部211の幅を40mm程度とする。これにより、本実施形態において、第1の指位置決め部211とこの左右に配置された第2の指位置決め部212とを合わせた幅方向Xの長さ寸法は、150mm程度となっている。
【0052】
なお、その他の構成は、第1の実施形態で示したものと同様であるため、その説明を省略する。
【0053】
次に、本実施形態におけるネイルプリント装置の作用を説明する。
本実施形態のネイルプリント装置では、第1の実施形態と同様に、印刷指挿入部20aに挿入した左右の手の複数の印刷指U1の爪T(一方の手の4つの指の爪Taと、他方の手の親指の爪Tb)に同時に印刷が施される。
【0054】
印刷を行う場合、ユーザは印刷開始指示スイッチ釦121bから印刷開始指示を入力した後、印刷指U1を印刷指挿入部20aに挿入し、非印刷指U2を非印刷指挿入部20bに挿入する。
【0055】
例えば、左手の親指以外の4本の指(人差し指から小指)の爪Taと右手の親指の爪Tbに印刷を施す場合には、左手は親指以外の4本の指(印刷指U1)が平面的に並んだ状態で印刷指挿入部20aに挿入され、印刷指U1である4本の指と非印刷指U2である親指との付け根を掴み分20cの第1の指位置決め部211の端部に突き当てることにより、4本の指(印刷指U1)が第1の指位置決め部211により位置決めされる。そして、4本の指(印刷指U1)と親指(非印刷指U2)とで掴み部20cを挟持することで4本の指(印刷指U1)が固定される(図4参照)。他方、右手は親指(印刷指U1)が印刷指挿入部20aに挿入され、印刷指U1である親指と非印刷指U2である4本の指との付け根を掴み分20cにおける第1の指位置決め部211の右側に配置された第2の指位置決め部212の端部に突き当てることにより、親指(印刷指U1)が第2の指位置決め部212により位置決めされる。
このとき、第2の指位置決め部212の端部が第1の指位置決め部211の端部よりも45mmほど印刷指U1の挿入方向Yの奥側にずれているため、左手の4本の指(印刷指U1)の爪Taと右手の親指(印刷指U1)の爪Tbとが印刷指U1の挿入方向においてほぼ横方向に並ぶ。
【0056】
制御部51は、印刷開始指示スイッチ釦121bから印刷開始指示が入力されてからの経過時間を計時しており、印刷開始指示が入力されてから、予め定められている時間が経過した後に印刷処理を開始するように、印刷指U1の撮影を行う撮影部30及び印刷を行う印刷部40を制御する。
【0057】
右手の親指以外の4本の指(人差し指から小指)の爪Taと左手の親指の爪Tbに印刷を施す場合には、右手の親指以外の4本の指(印刷指U1)を印刷指挿入部20aに挿入して第1の指位置決め部211により位置決めする。また、左手の親指(印刷指U1)を印刷指挿入部20aに挿入して、掴み分20cにおける第1の指位置決め部211の左側に配置された第2の指位置決め部212により位置決めする。その他の点は上記の場合と同様であるため、説明を省略する。
【0058】
以上のように、本実施形態におけるネイルプリント装置によれば、次のような効果が得られる。
すなわち、本実施形態では、第1の実施形態と同様に、第2の指位置決め部212の端部が第1の指位置決め部211の端部よりも45mmほど印刷指U1の挿入方向Yの奥側にずれているため、左手の4本の指(印刷指U1)の爪Taと右手の親指(印刷指U1)の爪Tbとが印刷指U1の挿入方向においてほぼ横方向に並ぶ。このため、撮影部30の撮影可能範囲及び印刷部40の印刷可能範囲がネイルプリント装置の前後方向(印刷指の挿入方向Y)に数十mm短くなり、印刷ヘッド46の移動距離がこの分短くて済む。したがって、その分印刷部40等の小型化、軽量化、低コスト化を図ることができ、ひいてはネイルプリント装置全体の小型化、軽量化を図ることができる。これにより、ネイルプリント装置の低コスト化を図ることができるとともに、装置の可搬性が向上する。
また、本実施形態では、第1の指位置決め部211の幅寸法を4つの指の幅寸法と同じかそれよりも大きく構成した場合よりも、掴み分20cの幅方向(図11(a)及び図11(b)におけるX方向)の長さ寸法が数十mm短くなる。このため、その分撮影部30の撮影可能範囲及び印刷部40の印刷可能範囲が狭くて済むため、印刷部40等の小型化、軽量化、低コスト化を図ることができ、ひいては装置全体の小型化、軽量化、これによる装置の可搬性の向上を図ることができる。
その他、本実施形態においても第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0059】
なお、本実施形態では、第2の指位置決め部212の端部が直線状になっている例を示したが、第2の指位置決め部212の端部の形状はこれに限定されず、例えば、第2の指位置決め部212の端部は、印刷指挿入部20aに挿入される親指の付け根に沿うように平面視湾曲形状に形成されていてもよいことは第1の実施形態と同様である。
【0060】
[第3の実施の形態]
次に、図12及び図13を参照しつつ、本発明に係るネイルプリント装置の第3の実施形態について説明する。なお、本実施形態は、ネイルプリント装置の第1の指位置決め部及び第2の指位置決め部の構成が第1の実施形態及び第2の実施形態と異なるものであるため、以下においては、特に第1の実施形態及び第2の実施形態と異なる点について説明する。
【0061】
本実施形態のネイルプリント装置は、第1の実施形態及び第2の実施形態とほぼ同様の装置構成を備えている。
【0062】
図12(a)及び図13(a)は、第1の指位置決め部221及び第2の指位置決め部222を有する掴み部20cの側断面図であり、図12(b)及び図12(b)は、図12(a)及び図13(a)に示す掴み部20cをそれぞれ上方から見た平面図である。
本実施形態において、掴み部20cは、その幅方向の両端部に第2の指位置決め部222を有する掴み部本体250と、この掴み部本体250の幅方向のほぼ中央部にこの掴み部本体250に対して印刷指挿入部20aへの印刷指U1の挿入方向Yの手前側に引き出し可能に設けられた引き出し板260とを備えている。
【0063】
掴み部本体250内部には、引き出し板260を収納可能な空間である引き出し板収納部251が設けられている。引き出し板収納部251の裏面側(図12(a)における下側)の端部近傍には、板係止用孔部252が形成されている。
また、引き出し板260の引き出し方向の端部近傍及び収納方向(すなわち、印刷指U1の挿入方向Y)の端部近傍には、板係止用凸部261a,261bが設けられている。板係止用凸部261a,261bは、例えば板バネ等の弾性を有する部材であり、図12(a)及び図12(b)に示すように、引き出し板260が引き出し板収納部251に収納された収納状態においては、引き出し板260の引き出し方向の端部近傍に設けられた板係止用凸部261aが掴み部本体250の板係止用孔部252に係止され、引き出し板260が引き出し板収納部251中に収納された収納状態が維持されるようになっている。
また、図13(a)及び図13(b)に示すように、引き出し板260が引き出し板収納部251から引き出された引き出し状態においては、引き出し板260の収納方向の端部近傍に設けられた板係止用凸部261bが掴み部本体250の板係止用孔部252に係止され、引き出し板260が引き出し板収納部251から抜け落ちたり、引き出し板収納部251内に押し戻されたりすることのないようになっている。
なお、引き出し板260を係止する構成はここに例示したものに限定されない。
【0064】
引き出し板260は、引き出し板260が引き出し板収納部251から引き出された引き出し状態において、印刷指挿入部20aに挿入された左右いずれか一方の手の4つの指(人差し指から小指)を位置決めする第1の指位置決め部221を構成する。
本実施形態では、引き出し板260を引き出した状態で、印刷指挿入部20aに挿入された印刷指U1と非印刷指挿入部20bに挿入された非印刷指U2との付け根U3を引き出し板260の引き出し側の端部に突き当てることにより、印刷指挿入部20aに挿入された人差し指から小指までの4つの指の位置決めを行うことができる。
また、他方の手の親指を掴み部本体250の幅方向の端部に設けられた第2の指位置決め部222の端部に突き当てることにより、印刷指挿入部20aに挿入された親指の位置決めを行うことができる。
【0065】
なお、その他の構成は、第1の実施形態及び第2の実施形態で示したものと同様であるため、その説明を省略する。
【0066】
次に、本実施形態におけるネイルプリント装置の作用を説明する。
印刷指U1の爪に対して印刷を行う場合には、掴み部本体250の板係止用孔部252に係止されている引き出し板260の板係止用凸部261aを上方向に押し込みながら引き出し板260を引き出し板収納部251から手前側(印刷指U1の挿入方向Yと反対方向)に引き出す。引き出し板260を、引き出し板260の奥側に設けられている板係止用凸部261bが板係止用孔部252に係止される位置まで引き出すと、引き出し状態となる。
この引き出し状態において、印刷指挿入部20aに収納された左右いずれか一方の手の4つの指(人差し指から小指)を第1の指位置決め部221において位置決めする。そして、例えば、他方の手の親指を掴み部本体250の幅方向の端部に設けられた第2の指位置決め部222の端部に突き当てることにより、印刷指挿入部20aに挿入された親指の位置決めを行う。
そして、このように左右の手の印刷指U1が位置決めされた状態で印刷処理を行う。
印刷処理後、ユーザは、掴み部本体250の板係止用孔部252に係止されている引き出し板260の板係止用凸部261bを上方向に押し込みながら引き出し板260を奥側に押し込む。板係止用孔部252に引き出し板260の手前側の板係止用凸部261aが係止される位置まで引き出し板260を押し込むと、板係止用孔部252に板係止用凸部261aが係止されて、引き出し板260が固定され、引き出し板収納部251からの飛び出しが防止される。
【0067】
以上のように、本実施形態におけるネイルプリント装置1によれば、次のような効果が得られる。
すなわち、本実施形態によれば、第1の実施形態及び第2の実施形態と同様の効果が得られる他に、非印刷時には、第1の指位置決め部221を構成する引き出し板260を掴み部本体250の引き出し板収納部251内に収納することができるため、掴み部本体250の印刷指U1の挿入方向Yの長さ寸法は、親指を位置決めする第2の指位置決め部222の長さ分で足りる。このため、ネイルプリント装置における印刷指U1の挿入方向Yの奥行きを短くすることができ、ネイルプリント装置全体の小型化、軽量化が可能となるとともに、更に可搬性が向上する。
【0068】
[第4の実施の形態]
次に、図14及び図15を参照しつつ、本発明に係るネイルプリント装置の第4の実施形態について説明する。なお、本実施形態は、ネイルプリント装置の第1の指位置決め部及び第2の指位置決め部の構成が第1の実施形態から第3の実施形態と異なるものであるため、以下においては、特に第1の実施形態から第3の実施形態と異なる点について説明する。
【0069】
本実施形態のネイルプリント装置は、第1の実施形態から第3の実施形態とほぼ同様の装置構成を備えている。
【0070】
図14(a)及び図15(a)は、第1の指位置決め部231及び第2の指位置決め部232を有する掴み部20cの側断面図であり、図14(b)及び図15(b)は、図14(a)及び図15(a)に示す掴み部20cをそれぞれ上方から見た平面図である。
本実施形態において、掴み部20cは、その幅方向の両端部に第2の指位置決め部232を有する掴み部本体270と、この掴み部本体270の幅方向のほぼ中央部の端部にヒンジ部281を介して接続されている回動板280とを備えている。
回動板280は、ヒンジ部281を軸として回動することにより、掴み部本体270における印刷指挿入部20aへの印刷指U1の挿入方向Yの手前側に延出する延出状態から掴み部本体270と重なり合う重畳状態まで回動可能に構成されている。
【0071】
ヒンジ部281には、図示しない係止用の突起が設けられており、掴み部本体270には、この係止用の突起に対応する位置に突起を受ける溝部(図示せず)が設けられている。係止用の突起と溝部とは、回動板280が延出状態となったとき及び重畳状態となったときに嵌り合うようになっている。なお、回動板280側に溝部を設け、掴み部本体270側に係止用の突起を設けてもよい。
また、回動板280の回動側の端部には係止用突起282が設けられており、掴み部本体270の下側には、回動板280が掴み部本体270と重なり合う重畳状態となったときに、回動板280の係止用突起282が係止される係止用切り欠き部271が形成されている。回動板280の係止用突起282が係止用切り欠き部271に係止されることにより、回動板280の重畳状態が維持されるようになっている。
なお、回動板280を係止する構成はここに例示したものに限定されない。
【0072】
回動板280は、延出状態において、印刷指挿入部20aに挿入された左右いずれか一方の手の4つの指(人差し指から小指)を位置決めする第1の指位置決め部231を構成する。
本実施形態では、回動板280が延出している状態で、印刷指挿入部20aに挿入された印刷指U1と非印刷指挿入部20bに挿入された非印刷指U2との付け根U3を回動板280の延出側(回動側)の端部に突き当てることにより、印刷指挿入部20aに挿入された人差し指から小指までの4つの指の位置決めを行うことができる。
また、他方の手の親指を掴み部本体270の幅方向の端部に設けられた第2の指位置決め部232の端部に突き当てることにより、印刷指挿入部20aに挿入された親指の位置決めを行うことができる。
【0073】
なお、その他の構成は、第1の実施形態から第3の実施形態で示したものと同様であるため、その説明を省略する。
【0074】
次に、本実施形態におけるネイルプリント装置の作用を説明する。
印刷指U1の爪に対して印刷を行う場合には、掴み部本体270の係止用切り欠き部271に係止されている回動板280の係止用突起282を外し、回動板280を回動させて延出状態とする。このとき、回動板280の係止用の突起と掴み部本体270の溝部とが嵌り合い、回動板280が延出状態で固定される。
この延出状態において、印刷指挿入部20aに収納された左右いずれか一方の手の4つの指(人差し指から小指)を第1の指位置決め部231において位置決めする。そして、例えば、他方の手の親指を掴み部本体270の幅方向の端部に設けられた第2の指位置決め部232の端部に突き当てることにより、印刷指挿入部20aに挿入された親指の位置決めを行う。
そして、このように左右の手の印刷指U1が位置決めされた状態で印刷処理を行う。
印刷処理後、ユーザは、回動板280を掴み部本体270に重畳される重畳状態と鳴る位置まで回動させて、掴み部本体270の係止用切り欠き部271に回動板280の係止用突起282を係止する。これにより回動板280が固定され、装置を持ち運んだ際等のぐらつき等が防止される。
【0075】
以上のように、本実施形態におけるネイルプリント装置によれば、次のような効果が得られる。
すなわち、本実施形態によれば、第1の実施形態及び第2の実施形態と同様の効果が得られる他に、非印刷時には、第1の指位置決め部231を構成する回動板280を掴み部本体270に重畳させておくことができるため、掴み部本体270の印刷指U1の挿入方向Yの長さ寸法は、親指を位置決めする第2の指位置決め部232の長さ分で足りる。このため、ネイルプリント装置における印刷指U1の挿入方向Yの奥行きを短くすることができ、ネイルプリント装置全体の小型化、軽量化が可能となるとともに、更に可搬性が向上する。
【0076】
なお、上記各実施形態では、一方の手の4つの指の爪Taと他方の手の親指の爪Tbとに同時に印刷が施される場合を例として説明したが、指を1本ずつ印刷する場合や片手ずつ印刷を行う場合にも本発明の掴み部20cを適用することが可能である。
指を1本ずつ印刷する場合や片手ずつ印刷を行う場合には、印刷開始指示スイッチ釦から印刷開始指示が入力されるとすぐに印刷処理が開始されるように制御する構成としてもよい。
【0077】
その他、本発明が上記各実施形態に限定されず、適宜変更可能であることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0078】
1 ネイルプリント装置
2 ケース本体
4 蓋体
12 操作部
20a 印刷指挿入部
20b 非印刷指挿入部
20c 掴み部(隔壁)
20 印刷指固定部
30 撮影部
32 カメラ
33 照明灯(LED)
40 印刷部
50 制御部
121a 電源スイッチ釦
121b 印刷開始指示スイッチ釦
201 第1の指位置決定部
202 第2の指位置決定部
T 爪
U1 印刷指
U2 非印刷指
【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷を行おうとする爪に対応する指が印刷指として挿入される印刷指挿入部と、
前記印刷指挿入部の近傍位置に設けられ印刷を行なわない指が非印刷指として挿入される非印刷指挿入部と、
前記印刷指挿入部と前記非印刷指挿入部との間に設けられ、且つ、前記印刷指挿入部に挿入された前記印刷指と前記非印刷指挿入部に挿入された前記非印刷指とで挟持可能な掴み部と、
前記印刷指挿入部に挿入された前記印刷指の爪に印刷を施す印刷手段とを備え、
前記掴み部は、
前記印刷指挿入部に挿入された人差し指から小指までの4つの指と前記非印刷指挿入部に挿入された他の指との付け根を端部に突き当てることにより、前記人差し指から小指までの4つの指の位置決めが可能な第1の指位置決め部と、
この第1の指位置決め部の端部よりもその端部が印刷指の挿入方向奥側にずれた位置に配置され、前記印刷指挿入部に挿入された親指と前記非印刷指挿入部に挿入された他の指との付け根を端部に突き当てることにより、前記親指の位置決めが可能な第2の指位置決め部とを備えていることを特徴とするネイルプリント装置。
【請求項2】
前記第1の指位置決め部は、前記掴み部の幅方向の中央部に位置し、この第1の指位置決め部の左右両側に前記第2の指位置決め部が配置されていることを特徴とする請求項1に記載のネイルプリント装置。
【請求項3】
前記第1の指位置決め部は、その幅寸法が、前記印刷指挿入部に挿入される人差し指から小指までの4つの指の左右幅の寸法よりも短い寸法に形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のネイルプリント装置。
【請求項4】
前記第2の指位置決め部は、前記印刷指挿入部に挿入される親指の付け根に沿うように平面視湾曲形状に形成されていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のネイルプリント装置。
【請求項5】
前記掴み部は、幅方向の両端部に前記第2の指位置決め部を有する掴み部本体と、この掴み部本体の幅方向の中央部に当該掴み部本体に対して前記印刷指挿入部への印刷指の挿入方向手前側に引き出し可能に設けられ引き出し状態において前記第1の指位置決め部を構成する引き出し板と、を備えていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のネイルプリント装置。
【請求項6】
前記掴み部は、幅方向の両端部に前記第2の指位置決め部を有する掴み部本体と、この掴み部本体の幅方向の中央部の端部に、当該掴み部本体の前記印刷指挿入部への印刷指の挿入方向手前側に延出する延出状態から前記掴み部本体と重なり合う重畳状態まで回動可能に構成され前記延出状態において前記第1の指位置決め部を構成する回動板と、を備えていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のネイルプリント装置。
【請求項7】
前記印刷手段による印刷開始指示を入力する印刷開始指示手段と、
この印刷開始指示手段から印刷開始指示が入力されてから、予め定められている時間経過後に印刷処理を開始するように前記印刷手段を制御する印刷制御手段と、を備えていることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか一項に記載のネイルプリント装置。
【請求項1】
印刷を行おうとする爪に対応する指が印刷指として挿入される印刷指挿入部と、
前記印刷指挿入部の近傍位置に設けられ印刷を行なわない指が非印刷指として挿入される非印刷指挿入部と、
前記印刷指挿入部と前記非印刷指挿入部との間に設けられ、且つ、前記印刷指挿入部に挿入された前記印刷指と前記非印刷指挿入部に挿入された前記非印刷指とで挟持可能な掴み部と、
前記印刷指挿入部に挿入された前記印刷指の爪に印刷を施す印刷手段とを備え、
前記掴み部は、
前記印刷指挿入部に挿入された人差し指から小指までの4つの指と前記非印刷指挿入部に挿入された他の指との付け根を端部に突き当てることにより、前記人差し指から小指までの4つの指の位置決めが可能な第1の指位置決め部と、
この第1の指位置決め部の端部よりもその端部が印刷指の挿入方向奥側にずれた位置に配置され、前記印刷指挿入部に挿入された親指と前記非印刷指挿入部に挿入された他の指との付け根を端部に突き当てることにより、前記親指の位置決めが可能な第2の指位置決め部とを備えていることを特徴とするネイルプリント装置。
【請求項2】
前記第1の指位置決め部は、前記掴み部の幅方向の中央部に位置し、この第1の指位置決め部の左右両側に前記第2の指位置決め部が配置されていることを特徴とする請求項1に記載のネイルプリント装置。
【請求項3】
前記第1の指位置決め部は、その幅寸法が、前記印刷指挿入部に挿入される人差し指から小指までの4つの指の左右幅の寸法よりも短い寸法に形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のネイルプリント装置。
【請求項4】
前記第2の指位置決め部は、前記印刷指挿入部に挿入される親指の付け根に沿うように平面視湾曲形状に形成されていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のネイルプリント装置。
【請求項5】
前記掴み部は、幅方向の両端部に前記第2の指位置決め部を有する掴み部本体と、この掴み部本体の幅方向の中央部に当該掴み部本体に対して前記印刷指挿入部への印刷指の挿入方向手前側に引き出し可能に設けられ引き出し状態において前記第1の指位置決め部を構成する引き出し板と、を備えていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のネイルプリント装置。
【請求項6】
前記掴み部は、幅方向の両端部に前記第2の指位置決め部を有する掴み部本体と、この掴み部本体の幅方向の中央部の端部に、当該掴み部本体の前記印刷指挿入部への印刷指の挿入方向手前側に延出する延出状態から前記掴み部本体と重なり合う重畳状態まで回動可能に構成され前記延出状態において前記第1の指位置決め部を構成する回動板と、を備えていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のネイルプリント装置。
【請求項7】
前記印刷手段による印刷開始指示を入力する印刷開始指示手段と、
この印刷開始指示手段から印刷開始指示が入力されてから、予め定められている時間経過後に印刷処理を開始するように前記印刷手段を制御する印刷制御手段と、を備えていることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか一項に記載のネイルプリント装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
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【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2012−120759(P2012−120759A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−275255(P2010−275255)
【出願日】平成22年12月10日(2010.12.10)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年12月10日(2010.12.10)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】
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