説明

ネズミの捕獲方法

【課題】手間やコストがかからず、ネズミ捕獲性に優れたネズミの捕獲方法を提供すること。
【解決手段】ネズミの存在する空間30内に、前記ネズミの行動を撹乱させるに十分量の煙を導入し、前記ネズミの行動を撹乱させ、前記空間内に設置したネズミ捕獲装置310によりネズミを捕獲することを特徴とするネズミの捕獲方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、揮散成分又は発煙装置及びネズミ捕獲装置を用いたネズミの捕獲方法及びネズミ捕獲用キットに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、害虫の生息場所を囲うように粘着材を配置し、殺虫剤の噴霧、燻蒸または燻煙により害虫を追い出して、該粘着材にて害虫を捕集する害虫駆除方法が開示されている。
また、特許文献2には、木粉と糠粉と糊粉とを主原料とし、これら主原料に所要により刺激性の鳥類忌避物質を添加し、これら原料を混合して練り合わせ、所要形状に成形、乾燥、固化せしめて成り、着火、発煙せしめて使用されることを特徴とする害鳥防除剤が開示されている。
しかし、害虫や鳥類とネズミとでは習性、行動、刺激に対する反応等も異なるうえ、上記特許文献1および2にはネズミへの適用について開示も示唆もない。
【0003】
例えば、特許文献3には、鼠の侵入を検出するための赤外線センサーと、鼠が嫌う高周波帯域の周波数を発振する発振器と、当該周波数の超音波を放射するスピーカと、侵入する鼠に対して光を放つ発光器とを備え、赤外線センサーによる検出信号に基づくスピーカからの超音波の放射と、発光器からの数回の発光とを行うように構成するとともに、赤外線センサーによる検出信号を追尾変調器を介して発振器に入力して、追尾変調器から出力される変動信号に基づき発振器からの高周波を鼠の動きに対応して変調するように構成し、かつ、赤外線センサーによる検出信号に基づきオゾンガスを発生するオゾン発生器を設けたことを特徴とする鼠撃退器が開示されている。
しかし、特許文献3に開示された鼠撃退器は、赤外線センサー、高周波発信器、オゾン発生器などが必要であり、システム構成に多大なコストがかかり、またネズミ撃退効果も不十分であるという問題点がある。
【0004】
また、ネズミの捕獲装置としては上記の他にも種々のものが知られており、粘着式のもの、金網式のもの等がある。しかし、従来の捕獲器はネズミの「警戒心の強い」という習性により捕獲性能が必ずしも万全ではなかった。
【0005】
特許文献4には、ネズミやゴキブリの捕獲を目的とし、基材に粘着剤層が塗設された粘着シートとこの粘着シートを保持する保持部材とからなる粘着トラップが開示されている。
しかし、家屋や工場内のネズミは、通常、配管の隙間、通風口、点検口から侵入し、床下や天井裏に存在する。粘着式のネズミ捕獲装置を用いて天井裏に存在するネズミを捕獲する場合は、一般家屋では通常30〜40枚、工場では数千枚もの粘着剤を敷設する必要があり、無視できない手間やコストがかかっていた。さらに上記のようにネズミは警戒心が強く、これら多量の粘着材を敷設してもネズミは粘着材を避けるようにして行動することが多く、所望の捕獲効果が得られないという問題点もあった。
【0006】
【特許文献1】特開平5−331014号公報
【特許文献2】特開昭59−227808号公報
【特許文献3】実用新案登録第3071411号明細書
【特許文献4】特開平5−308879号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって本発明の目的は、手間やコストがかからず、ネズミ捕獲性に優れたネズミの捕獲方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、ネズミの存在する空間内に揮散成分を拡散させ又は発煙装置により煙を発煙させ、ネズミの行動を撹乱させることにより、ネズミの警戒心を欠落させ、ネズミ捕獲装置に容易に捕獲されることを見出し、本発明を完成することができた。
すなわち本発明は以下のとおりである。
【0009】
(1)
ネズミの存在する空間内に揮散成分を揮散させ、前記空間内に設置したネズミ捕獲装置によりネズミを捕獲することを特徴とするネズミの捕獲方法。
(2)
ネズミの存在する空間内に発煙装置により煙を発煙させ、前記空間内に設置したネズミ捕獲装置によりネズミを捕獲することを特徴とするネズミの捕獲方法。
(3)
前記ネズミ捕獲装置が、粘着式のネズミ捕獲装置であることを特徴とする(1)又は(2)に記載のネズミの捕獲方法。
(4)
前記揮散成分が、ネズミ忌避成分を含有することを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載のネズミの捕獲方法。
(5)
前記空間内の空気対流区域に前記ネズミ捕獲装置を設置することを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載のネズミの捕獲方法。
(6)
前記空間内の暗部に前記ネズミ捕獲装置を設置することを特徴とする(1)〜(5)のいずれかに記載のネズミの捕獲方法。
(7)
揮散装置又は発煙装置と、ネズミ捕獲装置とからなるネズミ捕獲用キット。
【発明の効果】
【0010】
本発明の方法によれば、ネズミの存在する空間内に揮散成分を拡散させ、又は発煙装置により煙を発煙させ、ネズミの行動を撹乱させることにより、ネズミの警戒心が欠落し、ネズミを捕獲装置で容易に捕獲することができる。また、本発明の方法は揮散装置又は発煙装置およびネズミ捕獲装置のみを準備すれば実施することができ、手間やコストがかからない。
また、粘着式のネズミ捕獲装置を設置する形態、煙がネズミ忌避成分を含有する形態、前記空間内の空気対流区域にネズミ捕獲装置を設置する形態および前記空間内の暗部にネズミ捕獲装置を設置する形態によれば、ネズミの捕獲効果をさらに高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
【0012】
(揮散成分)
本発明に用いる揮散成分としては、空気中に揮散され、ネズミの行動を撹乱させることによりネズミの警戒心が欠落させ得るものであれば特に制限は無く、揮散装置により揮散されることが好ましい。
本発明に使用される揮散成分は特に限定されるものではないが、例えばメトキサジアゾン、ピラゾロンオレンジ、アゾベンゼン等を挙げることができる。
揮散装置としては、常温又は加熱下において揮散成分を揮散するものが好ましく、例えば、特開平11−127754号公報に記載の揮散装置を用いることができる。本発明においては、例えば200℃〜500℃に熱した板上で揮散成分を加熱することが好ましい。
【0013】
(煙の発煙)
本発明においては、ネズミの存在する空間内に発煙装置により煙を発煙させることが好ましい。本発明に使用される発煙装置は特に限定されるものではないが、例えば燻煙剤を用いた装置、燻蒸剤を用いた装置、発煙筒等が挙げられ、バクチク等の煙と音を生じるものも用いることができる。
このような装置をネズミの生息、活動場所に置いたり、屋根裏や床下等の狭い場所では、別の場所で発生させた煙をパイプ等で供給して用いることができる。
【0014】
本発明では、発煙装置によりガス発生剤を熱分解して発生する煙をネズミの存在する空間内に発煙させることが特に好ましい。
ガス発生剤としては、アゾジカルボンアミド、過酸化ベンゾイル、ニトロセルロース、ピクリン酸、トリニトロトルエン、ジニトロソペンタメチレンテトラミン、アゾビスイソブチロニトリル、ジアゾニトロフェノール、硫酸ヒドラジン、アジ化ナトリウム、硝酸グアニジン等を挙げることができる。本発明においてはアゾジカルボンアミドを用いることが好ましい。
煙量は、ネズミの行動を撹乱させ、ネズミの警戒心を欠落させるに十分な量であれば特に制限は無く、例えば、空間内に45cpm以上、好ましくは100cpm以上、より好ましくは200cpm以上となるように空間内に拡散させるのがよい。煙は、少量でもネズミに対して強い忌避効果を発揮し、ネズミの行動を撹乱させやすい。
煙には前期揮散成分を含有させてもよい。
【0015】
ガス発生剤であるアゾジカルボンアミド(以下、AC煙という場合がある)としては、200℃前後で熱分解して煙を発生するものが好ましく、例えば、ユニフォームAZ(大塚化学社製)、セルマイクCE(三協化成)等が挙げられる。
【0016】
本発明における煙量とは、屋内、倉庫、床下等における床面からの高さが10〜30cm付近において、デジタル粉じん計で測定した1分間の平均粉塵量(cpm)を意味し、具体的には、例えば、デジタルダストインジケーター モデル P−3(柴田化学社製)により測定することができる。
本発明においては、例えば、煙の発生から30分間、任意の間隔で複数回の測定を行い、その平均値を煙量とする。
上記のAC煙の煙量を発生させるには、アゾジカルボンアミドを20〜50mに対して0.2g以上、好ましくは1〜30gを用いればよい。
【0017】
また以下の図1に示すような二重容器を用いた装置等では、容器を加熱するだけでも煙が多少発生するので、AC煙の煙量としては、アゾジカルボンアミドが容器内にある時と、ない時とで煙量をそれぞれ測定し、その差をアゾジカルボンアミドを熱分解して発生する煙の煙量とするものである。
【0018】
本発明において、ガス発生剤(アゾジカルボンアミド)の熱分解は、例えば、アゾジカルボンアミドを図1に示した発煙装置の容器に収容し、該容器の外側に配置された加熱手段により加熱することにより行うことができる。
【0019】
容器としては、例えば、プラスチック容器、紙容器、金属容器、セラミック容器、ガラス容器等が挙げられる。また、加熱手段としては、例えば、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、塩化マグネシウム、塩化アルミニウム、塩化カルシウム、塩化鉄等の加水発熱物質と水との反応を用いる加水発熱方式(図1参照)、炭化鉄、鉄粉と塩素酸アンモニウムの混合物、鉄と硫酸カリウムとの混合物等の酸化反応により発熱する金属類を用いる空気酸化発熱方式、ニクロム線、正特性サーミスタ、半導体ヒータ等のヒータを用いる電気加熱方式、白金触媒方式等が挙げられる。
【0020】
図示される発煙装置1は、有底円筒状の外容器2を備えており、その底部から側部にかけて加水発熱物質Aが収容されている。また、外容器2の内部は、仕切部材4により2つの空間に区画されている。外容器2は、底部に複数の通水孔を有し、通水孔は通水性を有する部材、例えば不織布シート3によって塞がれている。使用に際して、自己発熱装置1を水Wが入った容器20に入れることにより、水Wが通水孔を通じて外容器2に流入し、更に不織布シート3を浸透して加水発熱物質Aと接触し、そのとき発生した反応熱によりアゾジカルボンアミドBが加熱されて分解し、発生したAC煙が熱溶融フィルム7の通気孔や蓋部材6の開口部を通じて外部(室内等)に放出される。
【0021】
本発明においてAC煙には、忌避成分を用いなくても十分にネズミの忌避効果を発揮するものであるが、必要に応じてネズミに対して忌避効果をもつ各種成分、煙にネズミ忌避成分を含有さてもよい。ネズミ忌避成分としては、例えば、わさび成分(イソチオシアン酸アリル)、月桃抽出物、モノテルペン類、ハッカ油、ローズマリー油、レモングラス油、ラベンダー油、オレンジ油等の精油成分が挙げられる。
【0022】
(ネズミ捕獲装置)
本発明で使用されるネズミ捕獲装置は特に制限されず、板状またはトンネル状の粘着式、金網式のものが挙げられるが、板状の粘着式の捕獲装置が好ましい。
このような板状の粘着式のネズミ捕獲装置としては、板状のシート基板に粘着剤が塗布されたものを挙げることができる。
【0023】
シート基板としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート等から形成されるフィルム状部材、厚紙、段ボール、プラスチック板、金属板等の単体もしくは組み合わせたものにより形成することができ、或る程度の可撓性及び重量を有する板材から形成される板状部材を用いることもできうる。必要に応じて、例えば、アルミニウム等の金属の蒸着加工や、アルミニウム箔等の金属箔や、プラスチックシート等の貼り付け加工を施してもよい。シート基板は、矩形状に代えて、正方形状であってもよい。また、シート基板は、床等に置かれて用いることが好ましく、その色と同系の色彩にするのが好ましい。
【0024】
シート基板の表面には、粘着剤が塗布されて粘着層が形成されている。この粘着層を形成する粘着剤としては、ゴム類あるいは合成樹脂類を主成分とし、これに多量の軟化剤、粘着力付与樹脂、等を添加したものである。軟化剤としては、ライトプロセス油、ミネラル油、動物または植物油、低分子量ポリエチレンおよびポリイソブチレン、ポリブデン等を挙げることができる。粘着力付与樹脂としては、ロジン系樹脂、テルペン系樹脂等を挙げることができる。また、粘着剤には、必要に応じて、例えば、殺鼠剤等の薬剤を添加してもよい。また、犬、猫などの愛玩動物が誤って粘着層に粘着することを防止するため、粘着剤にこれらの愛玩動物に対する忌避剤を添加してもよい。忌避剤としては、メチルノニルケトン誘導体を有効成分とする忌避剤[例えば、CANY´S社(フランス)製のREPULSIF D´INTERIEUR,含量3.17重量%]等を挙げることができるが、これに限定されるものではなく、犬、猫などの愛玩動物に対して忌避効果を有し、捕獲対象の小動物に対して忌避効果を有しないか、あるいは忌避効果に劣るものであればよい。なお、粘着層は、シート基板の全面に塗布されるものであるが、ジグザグな塗布や部分的な塗布であってもよい。また、特開2003−289786号公報、特開2003−189780号公報及び特開2007−104918号公報等に記載のネズミ捕獲装置を好適に使用することができる。
【0025】
前記ネズミ捕獲装置の設置場所は任意であるが、ネズミの存在する空間内の空気対流区域および/または前記空間内の暗部であることが好ましい。本発明者らの検討によれば、ネズミは空気対流に対し正の走性を有し、また、光に対して負の走性を有することが判明した。したがって、ネズミの存在する空間内の空気対流区域および/または前記空間内の暗部にネズミ捕獲装置を設置すれば、発煙装置からの煙によって警戒心の欠落したネズミは本能にしたがって行動しやすく、ネズミの捕獲効果がさらに高まることになる。なお、空気対流区域の例としては、空間内に設置された点検口、通風口、配管付近等が挙げられ、これらからは前記空間外部からの空気が通常流れ込んでいる。また、前記空間内の暗部とは、空間内において相対的に光の当たらない場所を意味する。
【0026】
本発明において捕獲対象となるネズミは、例えばクマネズミ、ドブネズミ、ハツカネズミ、マウス、ラット等が挙げられ、これらネズミの存在する空間内にネズミの行動を撹乱させるに十分量の煙を導入すると、それまで静止していたネズミは通常使用している出入り口の場所を見失い、周回運動を始め、パニック状態に陥る。ネズミの行動を撹乱させることにより、ネズミの警戒心を欠落させることにより、ネズミ捕獲装置に容易に捕獲される。
【0027】
(ネズミ捕獲用キット)
本発明のネズミ捕獲用キットは上述の揮散装置又は発煙装置と、ネズミ捕獲装置とからなる。本発明のネズミ捕獲用キットにより、効率よくネズミを捕獲することができる。
【実施例】
【0028】
以下に実施例によって本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0029】
〔試験例1〕
図2に示した試験装置を用いて、ネズミの空気対流に対する走性を確認した。
A室(縦3m、横4.5m、高さ2.5m)にバット11(縦1m、横1.5m、高さ1m)を設置した。つぎにB室(縦3m、横4.5m、高さ2.5m)に2つのケージ21,22(それぞれ縦40cm、横25cm、高さ20cm)を設置した。そしてバット11とケージ21,22の間を壁を貫通するパイプ101,102(直径7.5cm、長さ50cm)で繋ぎ、ネズミが自由に移動できるようにした。A室およびB室は暗室である。
なお、一方のパイプ102内部にはファン1021を設置し、風速1.05m/sとなるようにファンを回転させ、パイプ102付近を空気対流区域に設定した。なお、パイプ101付近は無風状態であり、空気の対流は認められない。
次に、図2に示す発煙装置10を用い、下記の忌避剤Aの顆粒10gを燻煙した。煙をA室内に1,000cpmとなるように導入し、A室内のバット11にマウス10頭を放った。なお、この状態で2分間はマウスがA室およびB室間を移動できないように、両室間に仕切りを設けた。2分間経過後、仕切りを開放し、その後1分間のマウスの行動を観察した。その結果、9頭のマウスがパイプ102を通ってケージ22に進入し、マウスが空気対流に対し正の走性を有することが確認された。なお、ケージ21にはマウスは1頭も進入しなかった。
このことから、空気対流区域にネズミ捕獲装置を設置することにより、ネズミの捕獲効果が高まることが示唆された。
【0030】
忌避剤A:
ハッカ油 0.8g
ローズマリーオイル 0.4g
アルファ化デンプン(アミコールH:日澱化学製) 0.2g
アゾジカルボンアミド(ユニフォームAz:大塚化学製) 8.6g
【0031】
〔試験例2〕
ネズミの空気対流に対する走性を確認した。試験装置は、上記試験例1と同様であるが、図2において、B室を蛍光灯照射による明室にし、ケージ21およびパイプ101を遮光して暗室状態にした。これにより、ケージ22およびパイプ102から光がA室内に侵入し、相対的にパイプ101付近が暗部に設定された。なおファン1021は稼動していない。
続いて、試験例1と同様に、図2に示す発煙装置10を用い、忌避剤Aの顆粒10gを燻煙した。煙をA室内に1,000cpmとなるように導入し、A室内のバット11にマウス10頭を放った。なお、この状態で2分間はマウスがA室およびB室間を移動できないように、両室間に仕切りを設けた。2分間経過後、仕切りを開放し、その後1分間のマウスの行動を観察した。その結果、4頭のマウスがパイプ101を通って暗室状態のケージ21に進入し、マウスが光に対し負の走性を有することが確認された(前記4頭のうち2頭のマウスは明室状態のケージ22を一度覗いたが、光を見て忌避されたようであり、最終的に暗室状態のケージ21に進入した)。なお、明室状態のケージ22にはマウスは1頭も進入しなかった。
このことから、暗部にネズミ捕獲装置を設置することにより、ネズミの捕獲効果が高まることが示唆された。
【0032】
〔実施例1〕
150平米(10m×15m)の広さがある食品工場事務所の天井裏でクマネズミ捕獲を試みた。
図1に示す、発煙装置付きの忌避剤(忌避成分としてハッカオイルとローズマリーオイルを含む)を、25平米あたり1個、合計6個を使用し、常に新鮮な空気が出入りする4箇所の点検口301、302、303、304の周囲に各25枚、合計100枚の粘着シート310を設置した。発煙型忌避剤を作動2時間後に、粘着シートを回収した結果合計6匹のクマネズミが捕獲できた。
【0033】
〔比較例1〕
150平米(10m×15m)の広さがある食品工場事務所の天井裏でクマネズミ捕獲を試みた。粘着シートを全面に1000枚敷き詰めて捕獲を試みたが、1匹も捕獲できなかった。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】アゾジカルボンアミドを熱分解して煙を発生させる装置の一形態を示す断面図である。
【図2】本発明の試験例に用いた装置の概略図である。
【図3】実施例における天井裏の平面図である。
【符号の説明】
【0035】
1 発煙装置
2 外容器
3 不織布シート
4 仕切部材
6 蓋部材
7 熱溶融フィルム
20 容器
A 加水発熱物質
B アゾジカルボンアミド
W 水
10 発煙装置
11 バット
21,22 ケージ
101,102 パイプ
1021 ファン
30 天井裏
301,302,303,304 点検口
310 粘着シート
311 発煙装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネズミの存在する空間内に揮散成分を揮散させ、前記空間内に設置したネズミ捕獲装置によりネズミを捕獲することを特徴とするネズミの捕獲方法。
【請求項2】
ネズミの存在する空間内に発煙装置により煙を発煙させ、前記空間内に設置したネズミ捕獲装置によりネズミを捕獲することを特徴とするネズミの捕獲方法。
【請求項3】
前記ネズミ捕獲装置が、粘着式のネズミ捕獲装置であることを特徴とする請求項1又は2に記載のネズミの捕獲方法。
【請求項4】
前記揮散成分が、ネズミ忌避成分を含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のネズミの捕獲方法。
【請求項5】
前記空間内の空気対流区域に前記ネズミ捕獲装置を設置することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のネズミの捕獲方法。
【請求項6】
前記空間内の暗部に前記ネズミ捕獲装置を設置することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のネズミの捕獲方法。
【請求項7】
揮散装置又は発煙装置と、ネズミ捕獲装置とからなるネズミ捕獲用キット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−23921(P2009−23921A)
【公開日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−186738(P2007−186738)
【出願日】平成19年7月18日(2007.7.18)
【出願人】(000100539)アース製薬株式会社 (191)
【Fターム(参考)】